261. アパートの鍵貸します
《ネタバレ》 映画の初めの方こそ、出世のために自分の部屋を上司に貸すなんてひどい奴と思ったが、徐々に惹きつけられていった。この映画はコメディであるにもかかわらず、実に丁寧に作られた映画であり、ラブロマンスとしても優秀だと思う。 笑いの中に細かな細かな心遣い配慮があり、それが積み重なって、ラストのフランがバドの元へ走るシーンにつながってくるのだと思う。いやあ、めでたしめでたし。監督のビリー・ワイルダーは脚本家としてもすばらしい。 [DVD(字幕)] 9点(2011-04-20 17:31:41) |
262. 大脱走
生死をかけた脱走ではなく、まるでゲームを楽しんでいるように見える。いろいろな役割を持つ捕虜がいて、脱走計画に知恵を絞るのはおもしろいのかもしれないが、戦争中という状況ではこうはいかないだろう。 [映画館(字幕)] 6点(2011-04-18 21:54:42) |
263. ロシュフォールの恋人たち
《ネタバレ》 何十年も昔、サウンド・オブ・ミュージックからメリー・ポピンズ、シェルブールの雨傘と立て続けにミュージカル映画を見続けていた時代に、つまづいた映画がこの映画だった。どうしても好きになれなかったのである。今回DVDが発売になって改めて鑑賞し、どうにか点数アップしたが・・・。 この映画はどちらかと言うとウエストサイド物語に似ている。ストーリーより歌と踊りという感じだ。それが私に合わなかったのかもしれない。しかしそれも何十年ぶりかに見て、許せるようになったのかもしれない。 それぞれの恋人たちがめぐり逢いハッピーになるのに、ドヌーブとペランだけはと思っていたら、最後にヒッチハイクで乗り込んできた・・・。昔見たときはこの結末を見ていなかった。 それともうひとつ、チャキリスはウエストサイドで知っていたが、変なおじさんがジーン・ケリーだったとは今の今までわからなかった。不覚 [映画館(字幕)] 7点(2011-04-16 08:22:01) |
264. 続・男はつらいよ
この2作目もすごい。シリーズとして続くかどうかは、第1作ももちろんだが2作目が良くないと続かない。1作目に志村喬が出てきたかと思うと、2作目では恩師役の東野英治郎、母親役のミヤコ蝶々、それに医師の山崎努なども出て豪華。 寅次郎の生い立ちがわかるとともに親子の情をまざまざと感じさせてくれる。 [ビデオ(邦画)] 8点(2011-04-13 15:22:29) |
265. 男はつらいよ
この第一作があったればこそ、日本映画史上に輝く寅さんシリーズ「男はつらいよ」があったのだと思う。亡き渥美清と日本の人情映画第一人者の山田洋次監督に敬意を表したい。 当初は通俗な娯楽映画と決めつけ敬遠していた私だったが、柴又慕情、寅次郎夢枕あたりから再々見ることになった。 この第一作はしばらく経ってビデオで見たのだが、さすがに映画のできが良く、登場人物すべてが良い人間だということがわかる。結婚式での志村喬の演技は特に印象深かった。 [ビデオ(邦画)] 9点(2011-04-13 14:38:23) |
266. 秋刀魚の味(1962)
《ネタバレ》 嫁にやりそびれて嘆き、嫁にやってしまって悲しむ・・・。 小津監督の映画の中で、唯一映画館で見ることのできた映画。少年の頃見た思い出は、他の映画と違って淡々とした感じで、花嫁さんが大変きれいだったということくらいで、監督の名はもちろん、俳優さんや女優さんの名前すら知らなかった。 後にテレビやDVDで2度3度と見ているうち、なるほどこれが「オズワールド」というものかと、次第に映画の良さに引き込まれていった。 軍艦マーチに乗って敬礼をするシーン、同窓生が集まり酒を酌み交わすシーン、瓢箪先生の何とも言えぬ酔っぱらいシーンなどなど・・・、すべてが絵になる映画だと思う。 [映画館(邦画)] 7点(2011-04-10 10:12:35) |
267. 波の塔
《ネタバレ》 原作は過去七度もテレビドラマ化された松本清張の代表的長編小説である。政財界に纏わる汚職事件を描きながら、それに絡む人妻と青年検事の許されぬ愛を描くという松本清張にとっては甚だ異色とも言うべき作品である。 しかしながらこの映画は、テレビのメロドラマの枠を超えているとは思えない。原作にほぼ忠実であり、大切な要素は網羅されていると思われるのに、なぜ・・・。 ひとつはミスキャスト、有馬稲子のヒロインはともかくとして、津川雅彦の検事はあまりにも若すぎて未熟だと思う。それに映画の展開、あまりにも原作をなぞっているだけで平坦すぎ、感動も何もない。これでは・・・。 [DVD(邦画)] 3点(2011-04-08 16:35:01) |
268. 日本海大海戦
本来戦争は悲惨なものであり、あってはならないはずだが、この映画にはそういったところが少しもない。 日露戦争では、数多くの死者が出た。その中には上官の命令に従って突撃し、敵の機関銃で蜂の巣のように弾丸を受け散っていった者も多い。 また少数の艦隊で、ロシアのバルチック大艦隊を破ったのも、まさに幸運だったはず。そうした「犠牲」や「幸運」というものをまったく考えず、「勝った、勝った、万歳」をしていると、ひどい目に遭うのも当然のことである。 日本を軍国主義の方向へと導いていった日露戦争、それを美談や英雄視することによって、悲劇はますます大きくなるのだ。 この映画は「明治天皇と日露大戦争」の後にすぐ見たこともあり、甚だ良くなかった。明治天皇の扱いはいくらかは小さくなったが、戦争を肯定し、東郷平八郎他を美談化することによって、日本の軍国主義、右翼化が進んだのではないかと思う。 [DVD(邦画)] 3点(2011-03-20 13:37:32) |
269. 路傍の石(1964)
《ネタバレ》 私は子どもの頃に、映画「路傍の石」を見たが、この映画ではない。制作された年代からすれば、おそらく1955年の映画ではないかと思う。(路傍の石は戦前1回、戦後3回制作されている) 以来数十年、ようやく探し求めたのがこの1964年版のDVDであるが、極めて重要な「汽車が走ってくる鉄橋の枕木にぶらさがるシーン」が割愛されている。このシーンがあるからこそ、次野先生の自分自身を大切にせよという「吾一とは我は一人だ」の意味が生きてくると思うのだが・・・。 しかしそれを除けば、さすがに文部省推薦映画らしいできばえである。「奉公」とか「辛抱」などという言葉を知らぬ世代にはぜひ見てほしい映画である。 [DVD(邦画)] 7点(2011-03-17 22:15:34) |
270. 太陽はひとりぼっち
「太陽がいっぱい」が大ヒットした後、日本ではやたら「太陽は・・・」という名の映画が次々と公開されていった。この映画もその一つ アラン・ドロン主演は同じだが、女優はモニカ・ヴィッティ、いや彼女こそが主役である。美しい、本当に美しい。けだるそうな表情の美しさは、何人をも魅了するだろう。映画少年の私にはまぶしいほどの輝きであった。 映画はきわめて難解、この映画にモニカ・ヴィッティが出ていなければ最後まで見ることはできなかっただろう思う。 それとまた、ミーナが歌う主題歌とツィストのリズム、音楽もまた極めて強烈である。映画を見た後レコードを買い、すり切れるほど聴いたあの頃がなつかしい。 何十年も経ってDVDを買い、再度鑑賞する。昔見た時は、証券取引所のシーンやアフリカの話など突如として飛躍したストーリーだったが、何とかつながったような気もします。 原題のL'Eclisseは「食」という意味らしい。食は食べることではなく、日食の食だと知り、株の大暴落に結びつくものなのかとも思ったりして・・・。 [映画館(字幕)] 7点(2011-03-17 08:24:00) |
271. ブーベの恋人
映画「鉄道員」でカルロ・ルスティケリを知り、彼の映画音楽集で「ブーベの恋人」を知った。そして映画を見たのは、彼女とのデート。不覚にも映画館で私は涙ぐんでしまい、彼女とはそれきりになってしまった。 感動的な映画を見るとすぐに涙ぐむことに気づいた私は、それ以来、悲しさのこもったロマンス映画は絶対に一人で見ることにした。 私事はおいといて、映画は実にすばらしい。マーラがブーベを愛し尽くす心が痛いようにわかる、最高のラブロマンスだと思う。イタリア映画は心の描写が実に丁寧で、胸にジーンとくる映画が多いと思う。 [映画館(字幕)] 8点(2011-03-14 10:18:45) |
272. 日曜はダメよ
《ネタバレ》 降り注ぐ明るい太陽と海のギリシャの港町、そこで元気に笑い歌い踊る陽気なイリヤは、町一番の人気者。彼女が海に飛び込めば、男たちも負けじとばかり海へ飛び込む・・・。 そこへやってきたのが米国の考古学者ホーマー、彼は言葉が通じず町の男たちとけんか騒ぎになる。それを丸く収めたのは超グラマーのイリヤ、彼女は外国語がペラペラ・・・ もうこういう設定だけで、私は映画の世界にとけ込んでしまう。 彼女が外国語がペラペラなのはなぜか、日曜はどうしてダメなのか、「マイ・フェア・レディ」をご覧になった方は、ぜひこの映画もご覧になれ。 [DVD(字幕)] 5点(2011-03-13 08:23:02) |
273. 史上最大の作戦
私の私の最も嫌いな映画のひとつ。これだけ豪華なキャストをそろえて何を表したかったのだろうか。 「最も長い一日」の題がしめすように、戦争の描写が延々と続くだけの映画。よほどの戦争大好き人間でなければ、見るのもつらいだろうと思う。 [映画館(字幕)] 3点(2011-03-11 20:37:00) |
274. あゝひめゆりの塔
《ネタバレ》 和泉雅子と同年齢で映画少年の私には、キューポラのある街や泥だらけの純情などの映画は見たが、この映画だけは見る気がなかった。それは子どもの時見た「ひめゆりの塔」があまりにも衝撃的でトラウマ的な感覚を持っていたことと、吉永小百合・浜田光夫のいわゆる日活ゴールデン・コンビとひめゆりの塔のイメージでは、遠くかけ離れたもののように思えたからだ。 ようやくDVDの時代になって初めて、この映画を見た。前半部分に対馬丸という名前が出てきたのにはびっくりしたが、学生の頃すでに知っていた「対馬丸事件」(貨物船の船底に学童疎開の子どもと引率の先生方を乗せたまま、米軍に撃沈にされた事件、これ一つをテーマにしても一つの映画が作れる)や10.10沖縄大空襲をさらっと流したのにもまたまた驚いた。 さらに沖縄の悲劇は、米軍の無差別攻撃や防空壕に隠れた者までも毒ガスで殺すという悲惨なものとなり、生き残った者も青酸カリ入りのミルクを飲んだり、手榴弾の信管を抜いて自決した。映画に出てくるような「命を粗末にしないで」とか「あなただけは生き延びて」が言えず、「お国のため命を捧げる」「鬼畜米英に身を汚されることなく、純潔を守る」が当たり前の時代があったことを現代の若者にも伝えたい。その想いが感じられる映画であった。 [DVD(邦画)] 7点(2011-03-11 17:06:57)(良:1票) |
275. 奇跡の人(1962)
《ネタバレ》 三重苦の困難を乗り越え社会福祉に身を捧げたヘレン・ケラーを、日本では「奇跡の人」と言う。しかし映画の奇跡の人(The Miracle Worker)は、奇跡を起こした人すなわちヘレン・ケラーを教育したアン・サリバンである。 ヘレン・ケラーは少年少女の偉人伝にも出てくる大変有名な人だが、どのようにして三重苦を克服したかはさほど知られてはない。家庭教師アン・サリバンという名前は知っていても、彼女自身が目の病気で障害者だったことは、私もこの映画を見て初めて知った。 映画を見ればすぐわかるが、ヘレン・ケラーという少女は三重苦である上に、わがまま放題で育てられたためどれほど教育が困難だったが手に取るようにわかる。食事の躾シーンなどすさまじい闘いである。 これだけすさまじい闘いだったからこそ、ヘレンが物にはすべて名前があることを理解した井戸のシーンは大変すばらしかった。三重苦になる前のわずかな記憶が蘇ったのである。まさに感激のドラマだった。 この映画は私が子どものとき、大きな期待を持ってみた映画である。ヘレンを演じたパティ・デュークは私とほぼ同じ年、私たち少年の大変な憧れの的であった。 このパティ・デュークとアン・バンクロフト、どちらもアカデミー賞の主演・助演の女優賞を取ったのも当然と言える。 蛇足だが、ヘレン・ケラーは日本訪問を何度も行い、日本と非常に縁の深い人だったことを忘れてはいけないだろう。 [映画館(字幕)] 9点(2011-03-08 22:36:51) |
276. 氷点
《ネタバレ》 原作の「氷点」その後の「続氷点」を読み、映画もテレビドラマも見た。安田道代、内藤洋子、島田陽子らが演じた辻口陽子、夏枝の陰湿ないじめにも負けず、けなげに努めて明るく生きようとした・・・。また、陽子の出生の秘密を知りながらも必死で妹をかばう兄の徹、兄妹のいじらしさに、私は何度も涙した。 原作がベストセラーになり、自殺を図ったときも「陽子を殺さないで」という読者の声が多かったのもうなづける。 しかし映画ではその感動は半分も感じられなかったのが残念だ。 [映画館(邦画)] 5点(2011-02-28 21:51:27) |
277. 卒業(1967)
《ネタバレ》 この映画を最初に見たのは学生の頃、主人公ベンとほぼ同年代だった。(役者ダスティ・ホフマンは10も上、彼は新人ながら30歳でこの役を演じている) この頃は、アメリカン・ニューシネマという波に乗り、反体制反倫理(暴力、セックス、ドラッグなど)の映画が多く作られた。この映画もまた「俺たちに明日はない」や「イージーライダー」などと並び称されるものかもしれない。 映画は花嫁を奪って逃げるラストシーンももちろんだが、私はその直前の教会の屋上から「エレーン! エレーン!」叫び、それに「ベーン!」と答えるシーンの記憶が忘れられない。 映画の後、二人はどうなったかはわからない。少なくともハッピーエンドではない。両親が敷いたレール、社会常識や規範を卒業した二人は、二人だけの新しい世界へと向かっていく・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2011-02-28 13:18:02) |
278. 白い巨塔
《ネタバレ》 白い巨塔と言えば財前五郎、財前と言えば田宮二郎、まさに映画の財前と役者田宮が重なってしまうほどだ。 白い巨塔は、私が学生の頃見た山崎豊子原作最初の映画であり、それまで物の裏側まで見ることのなかった私には、強烈な映画となった。 野心に燃え傲慢不遜な財前、東教授ならずともまったをかけたくなるだろう。そこに渦巻く策略、利用できるものは何でも利用し、用済みともなれば捨ててしまう、医大病院の裏側の汚れた部分を見事に描いている。 この映画の後のテレビドラマも、もちろん見た。田宮二郎だけでなく、小沢栄太郎 、加藤嘉も映画と同役で、映画で描ききれなかった細部や続編を付け加え、より完成されたものとなった、。 [映画館(邦画)] 6点(2011-02-26 06:32:09) |
279. 天地創造
《ネタバレ》 映画「天地創造」は学生の時、封切りで見た。たぶん子どもの時見たモーゼの「十戒」が良かったからこの映画も見ようと思ったのだろう。今でも「十戒」と「天地創造」は混同することがある。 「十戒」は旧約聖書でも「出エジプト記」、「天地創造」はそれ以前の「創世記」、それも50章まである中の22章までである。こうして考えると、旧約聖書がいかに膨大なものかがわかる。 さてこの映画「天地創造」の主題だが、私は「神への畏敬の念」だろうと思っている。神を冒涜し享楽にふける民は、ことごとく神の罰を受けている。 禁断の実を食べて、エデンから追われたアダムとイブ、弟アベルをねたみ殺してしまったカイン、ノアの方舟 、バベルの塔、ソドムとゴモラの滅亡と続いた・・・。 しかし、映画後半部の主役アブラハムは善人であり、神から罰を受ける理由は全くない。それなのに、年老いてできた息子イサクを神に献げなければならないという大きな試練を受ける。神の御心を得るには、我が子までを犠牲にしなければならないのか、これがこの映画の一番のテーマだろう。 息子を縄で縛り、まさに刃物を突きつけようとした瞬間、アブラハムは許される。それほどまでの信仰心ゆえに、後の人から崇拝されることになるのであろう。 [映画館(字幕)] 7点(2011-02-24 10:44:15)(良:1票) |
280. キューポラのある街
私の少年時代のあこがれは吉永小百合、歌に映画に大活躍で当時のアイドルとしての人気は高かった。 「伊豆の踊子」「青い山脈」「泥だらけの純情」など次々と小百合さん映画を見ていっのだが、「キューポラのある街」はあまり記憶がなく後にビデオで改めて鑑賞。結構内容があると思う。川口市の鋳物工場や在日朝鮮人のことなど当時の風情をよく反映しているからだ。しかし、何となくお嬢様イメージの吉永さんと鋳物工場の貧しさがしっくりこなかった。 [映画館(邦画)] 6点(2011-02-22 23:52:10) |