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Tolbieさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  美女と液体人間 《ネタバレ》 
 東宝は、放射能で生物を巨大化したと思ったら、今度は液状化までさせてしまっている。現在だったら、被爆者への偏見に繋がりかねないとして、許されなかったかも知れない表現だ。  ま、そこは目を瞑ろう。気持ち的に核兵器(実は危険なのは兵器だけじゃなかったわけだが)の、恐ろしさと批判が根底にあるだろうことは、容易にわかる。  だが、この物語はその部分を強調すること無く、超科学を信じずに右往左往振り回される、捜査陣を執拗に描写している。だから、普通の刑事ドラマのように見えるのだが、それにしてはドラマが薄い。観客が(少なくとも私の)見たいのは、事件記録ではなく、事件にまつわる人間のドラマである。  学者と女のラブストーリ-をもっと丁寧に描くとか、「精神活動を持った」という部分をもっと膨らまして、あえて女を襲わない部分を描くとかしてみれば、それなりに面白くなったのでは。 
[DVD(邦画)] 4点(2012-10-09 01:29:13)
22.  現金に体を張れ 《ネタバレ》 
 この強盗のキモは、バーで騒ぎを起こして、警官を引きつけた隙に内部に入り込み、窓から金を放り投げて、仲間に渡す。たったこれだけだ。持ち込むのに苦労したでかい銃より、自動拳銃1丁もあれば充分だったはずだし、馬なんて殺す必要もない。  でも、見ている途中では、そんな事わからないので、着々と計画が進んでいるさまが、ドキドキ感を盛り上げる。ただし、各人の行動を描写する時に、時間が戻るのがちょっと違和感。悪妻の若いツバメ絡みの話とその描写を、もうちょっと見たい気がした。なんか、「あ、お前いたんだっけ」的な感じ。 
[DVD(字幕)] 5点(2012-10-05 19:01:46)
23.  喜びも悲しみも幾歳月 《ネタバレ》 
 見合いをして、結婚して三日目に、すぐさま灯台守の仕事に就いた夫婦が、世の中の事情と厳しい自然環境に、揉まれ苦しめられながらも生きてゆく、灯台守の夫婦の一代記。  灯台の光を集中させるフレネルレンズの、ギラリとした質感が何故だかすごいと感じた。日本初のカラー映画を撮った人にしては、6年ぶりのカラー2作目なのは意外だったが、この複雑な光の屈折を見せるレンズの描写は、灯台の光がある意味、主人公を象徴している事を考えると、実に見事だ。  最後に、娘の結婚旅行の船に光と霧笛を送るシーンは、ジンと来る。 
[DVD(邦画)] 6点(2012-08-04 04:53:30)
24.  野菊の如き君なりき(1955) 《ネタバレ》 
 回想シーンに枠をはめる手法、悪くはないんだけど、殆ど全編という長時間になると、ちょっと鬱陶しい感じもする。   十五歳という絶妙な子供ぐあいの頃合いの、淡い恋心。回想者(正男さん)の視点を約50年ずらした木下版は、この物語が昔の思い出であることをことさら強調し、その情緒の機微を偲んでいる。が、原作では、正男の一人称で語られて、気持ちの移ろいや、成り行きへの悲しみなどが、よく理解できるようになっているが、映画の場合には客観視点で描かれるため、主演の二人の演技のそっけなさも相まって、その辺がちょっと分かりにくい事は否めない。   ところで、正男さんはリンドウのような人。リンドウの花言葉は、「悲しみに暮れているあなたを愛する」。巧く出来てますね。 
[DVD(邦画)] 5点(2012-08-04 04:35:18)
25.  二十四の瞳(1954) 《ネタバレ》 
この映画を見ると、唱歌というものの美しさを、しみじみ感じる。  そして、浜辺の歌の歌詞がなんと物語に合っているかと驚いたものだが、今回調べてみて知ったのだが、この歌には3番目の歌詞があって、それがまた実に物語のラストに沿っている(*)。このみごとさは、童謡『赤とんぼ』のイントネーションと音階がちゃんと合っている凄さ、という話を思い出させる。  そして、映像的にも、美しい風景はモノクロでもちゃんと美しいんだなあ、とアタリマエのことだが思う。電車ごっこのシーンの桜の美しさは、後のカラー映画を含む、邦画の中でも屈指だろう。 *:(自分解釈)  
[DVD(邦画)] 8点(2012-08-04 04:32:52)(良:1票)
26.  スタア誕生(1954) 《ネタバレ》 
 我々が通常、星と呼んでいるものは、自ら輝く恒星のことだ。太陽に照らされて光っている月は、所詮太陽の光が届かなければ、見えなくなってしまう。ノーマンに見出され、彼がいたから輝いていたヴィッキーは、いわば月のようなもの。ノーマンを失って、それでも(彼のためにだとしても)舞台に立つことを選んだ瞬間、ヴィッキーはほんとうの意味で、自ら輝くスタアとして誕生したのだろう。  …なんて、書いてみたが、ちょっと違うな。自分としてはそのように解釈したから、一回すれ違うシーンなどはカットのままで良いと思ったし、途中冗長に思えたシーンも多々感じられた。でも、この映画は多分、主演女優の実際の境遇をダシにしつつ、人気の上り下り交差する映画スター夫婦の悲哀と愛を、描いているのだろう。でもだとしたら、『スタア誕生』というタイトルは何?と思わざるを得ない。  正直言うと、ジュディ・ガーランドの歌は聴かせるものだとは思うけど、どう展開したいのかよく分からないメロディラインの曲、(これは、この時代の映画ミュージカルの常道なのかもしれないけど)ストーリーの根幹とは関係ない部分の歌&ダンスシーンには、あまり楽しくノルことはできなかった。先に書いたように自分はヴィッキーはトントン拍子に出世しちゃっていいと思っているので、もっと切る所切って、最大限妥協しても2時間20分くらいでまとめたほうが良かったと思う。 
[DVD(字幕)] 5点(2012-07-14 01:20:34)
27.  拳銃王 《ネタバレ》 
 アメリカは州を超えると、犯罪者を逮捕・訴追することが出来ないとは、よく映画で見る事だ。このやり直せる社会というのは、人にやさしい仕組みだが、それはあくまで法律上の話。彼を撃ち殺して名を上げたいと思っている、多くのチンピラたちにとっては、そんな境界も決まりもない。  人は、どこまで罪を背負うべきなのか、過去の罪と呪縛から逃れられるのか?なんて言うと大仰だが、そういった問題をはらんだ物語は、最後に若いチンピラに撃たれて終わる。罪は償わなければならない、という訳だ。だが、その時の主人公が若者に仕掛けた意趣返しは、考えてみると、ちょっと意地悪で怖い。復讐の連鎖ならぬ、「拳銃王の宿命」の連鎖が始まる。   ところでジミーのモデルは、あのジョニー・リンゴーだそうで、ワイアット・アープの名が出てきて、彼を「子供のようなもの」と揶揄する所はちょっと笑う。あの牛泥棒たちの仲間も、見方を変えるとそれなりに好人物になるという事か。まあ実際、辺境の土地での倫理観なんて、今の日本人に伺う知ることは出来ないんだろうけど。 
[DVD(字幕)] 7点(2012-06-22 03:17:34)
28.  裏窓(1954) 《ネタバレ》 
 松尾貴史氏がラジオでオススメしていたので鑑賞。  名作の誉高い分、期待値が高すぎたか、思ったほど名作感がない。いや、傑作だとは思うのだが…。   さて、誰もが言うようだが、グレース・ケリーの美しいこと。最初のジェームス・スチュアートにキスする時の正面からのカット、文句なく美しいが、もう一つ、明かりをつけながら自分の名を名乗るシーン。「リサァ…キャロォル…フレモント…(セリフの後、クルリ!)」このクルリが、まあチャーミング。この2カットのためだけにでも、DVDを買う価値がある!  あっ!動けない主人公の代わりに、外に出て探偵するのはいいが、どんどん暴走しちゃって、事件を加速しちゃうのも面白い、と思っていたら、ひょっとしてこの映画は、この人のために作られたんではないか?と思えてきた。   事件自体は、ごくストレートな殺人事件で、刑事が調査して疑惑がないなら、違うんじゃないか?と思っていたのに、やっぱり、事件でした、は推理作家の原作付きとしては、凡庸。自分は、他のあまり興味を惹かない家の誰かと奥さんの悪巧みで、奥さん失踪、というオチかと思っていた。
[DVD(字幕)] 6点(2012-06-10 21:21:48)
29.  明治天皇と日露大戦争 《ネタバレ》 
 タイトルがイメージさせるほど、軍国主義的な内容には思えない。いや、たしかに軍国なのだが、それが真実であるか否かは別として、不当に好戦的なわけではない。世界中が植民地主義のこの時代の国の方針を、現代の倫理で断罪するのは、公正な視点とはいえないし。だからそういった意味で、この映画に不満はない。かえって明治天皇の性格が、良い人すぎるのでは、とも思う。  だが、戦争に勝利して国民が浮かれて、お祭り騒ぎをしているシーンで終わるこの映画の、最後のナレーションが「今こそ我らは日本民族の誇りと力を合わせて、今後の世界平和の発展に貢献すべきであろう。」というのは、さすがにこじつけが過ぎるような気もする。が、敗戦から十年ほどしか経っていない国と国民の、偽らざる思いなのだと考えておく事にする。 
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-28 18:59:10)
30.  シェーン 《ネタバレ》 
 日本の昔が侍だけの世界でなかったように、アメリカの西部開拓史というのは、ガンマンだけの世界ではない。むしろ、農地開拓の歴史が、アメリカを西へ押し広げたのだという。この映画は、最後に悪漢をカッコよく倒して、颯爽と去ってゆくガンマンをヒーローとして描いているように言われるが、実はその大半が、自ら耕す農民の正義と、新旧の世代の戦いを描いている。  シェーンは自分が銃で物事を解決する時代の側の人間であることを自覚して、それから抜け出そうと農民の社会に生きようとするが、結局は辺境の治安維持の不備によって、力を行使せざるを得ない状況に陥る。  彼がカッコイイのは、自らを傷つけながらも、新世代を無垢のままに守ったからだ。スターレットを直接守ったのはもちろんだが、その目の前で人を殺してしまったジョーイ少年を、銃の世界に引き込まぬようにか、一家の前から去るその潔さ!  それにしてもライカー、インデアンから土地を守ったという、彼の言い分にも一理あると思ったが、やり方がダメすぎたな。  【追記】  何でもWikipediaによれば、ラストシーンに関して、シェーンの生死の議論があるそうで…。そう言われてみると、ラストのシェーン一人のカットは、モノクロかと思うほど色調も暗く、死を暗示させる。が、シェーンは馬を操っているし、何よりこれがシェーンの死を表現しているとしたら、わかりずら過ぎるし、悲しすぎる。
[DVD(字幕)] 8点(2012-05-24 01:43:29)
31.  情婦 《ネタバレ》 
 ラジオ番組で、戸田奈津子がオススメしていたので鑑賞しました。  弁護士が被告の無罪のために、妻を追い詰めていくのが、被告へのダメージになっている、という構図になっていて、皮肉で辛い裁判劇なのだな、なんて思っていた。その後の見事などんでん返し(しかも二重)で、気持良く騙されて、ミステリの醍醐味を味わった。戦時下に恋人を待つ歌で有名なデートリッヒが、ここで歌う歌のあまりの内容に苦笑。  そう言えば、妻を「名女優」と言っていたのに、回想シーンではタダの酒場の歌うたいだったのが、気にはなったのだが、それ以上の考えは及ばなかった、というのは、悔し紛れの言い訳か。  検察側の証人という題も、どんでん返しの後には、なんともひねりの効いたタイトルだと思った。そう考えると、もう一つ仕込まれたどんでん返しである「情婦」というタイトルもまた、見事な邦題だと思う。 
[DVD(字幕)] 8点(2012-05-18 22:56:09)
32.  OK牧場の決斗 《ネタバレ》 
 ジェームズが弟って事になっていて、決闘前に殺されてしまう、という改変は「荒野の決闘」同様だ。両派の確執をエスカレートさせて、決闘の気運を盛り上げる手段なのだろうが…。  今回のドク・ホリデイは随分と女のことで、悩んだりイジケたりして、「キラー」ドク・ホリディな感じがない。そのかわり、このドクは義理堅く、友達にするにはいいかも、なんて思わせる。ケイトがよりによって、ジョニー・リンゴによろめいちゃうのも、ドクに決闘の動機を持たせるためか。ちなみに、この映画のせいで、ケイトはドクの愛人と思われてるが、実際にはドクと結婚している身なので、あれは不倫だよな。  後の2本のOKコラル映画でも踏襲されている、決闘前にアープら一行が並んで現場へ向かうシーンがカッコいい。このシーンを創りだしたというのが、この映画の一番の功績かも。  今回見て気付いたが、ワイアット嫌いで有名なバージルの奥さん、アリー・アープが、ワイアットにきつく当たっているのを見て、妙に納得。 
[DVD(字幕)] 6点(2012-04-06 01:12:56)
33.  眼下の敵 《ネタバレ》 
 潜水艦と駆逐艦、それぞれの武器の特性、船の性能、海中・海上の戦闘の特異性による制約などによって、頭を使って勝負する、いわばゲームを見ているような、”ゾクゾク感”が面白い。  潜って何分、潜望鏡深度へ何分、確認に何分って所が、巧くいき過ぎなキライはあるが、ここを納得させて、後々の長期に亘る攻防の「予想し、裏をかき、さらに隙を見つける」という頭脳戦の、細かい描写をしないでも、納得させることに成功している。本当はもっと、艦の位置関係の具合とか、詳しく説明して欲しい気もするのだが。自分の頭が悪すぎかな?  理念の見えない戦争に嫌気のさしている潜水艦の艦長が、「人間同士の戦闘」を戦いあった相手に、遂に敬礼し、駆逐艦の艦長がそれに答えるのが、イイ。松本零士の漫画なんかだと、潜水艦の艦長は敬礼しつつ、艦と運命を共にするのだろうが、そこはアメリカ映画だ。死者は最小限、駆逐艦の軍医が見つけた希望のように、最後は明るく終わっている。観終わって嫌な気分には、ならないな。 
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-24 04:19:47)
34.  雪之丞変化(1959) 《ネタバレ》 
 主人公・雪之丞と義賊・闇太郎を、一人二役で演じるのが、何やら伝統になっているようだが…。一人二役というのが、作劇上の意味を持っていない物語というのを、初めて見た。というか、物語の中で別人に見えるように意図された一人二役を、初めて見た。最初の衣笠監督版と同じ時代に原作が書かれており、原作にも監督の名をもじった役が登場するなどしており、この配役も原作者の意思かも知れぬ。顔の違う別人なら、別の役者がやればいいのにとは思うが、どうやら、主演俳優のいろいろな役の演技を楽しみたい、ということらしい。うーむ、舞台の有名な役を、いろんな俳優が演じる、その違いなどを楽しむのと、似ているのかもしれない。  さて、このマキノ版は、娯楽に徹した大胆な脚色。特にお初が、かなり良い人になっている。雪之丞も浪路を積極的にコメ問題にひきずり込む。  どうも闇さんとお初っちゃんが主役の印象。孤軒先生と脇田一松斎の役が一つにまとめられたのはいいが、お初までもが雪之丞側に都合の良すぎる役になって、話は単純化した。  原作と違い、最後の土部三斎への決着が刀による勝負なのはよし。欲を言うと、ラスボスである三斎との一騎打ちは、もうちょっと時間をとって、魅せて欲しい部分でもあった。しかし、その勢いで、浪路まで切ってしまうのは、安直。 
[DVD(邦画)] 6点(2012-02-08 02:43:55)
35.  聖衣 《ネタバレ》 
 昔、『トリノの聖骸布』という本を読んだ。イエスの遺体を包んでいた布という触れ込みで、イエスの全体像が転写されている。その本は初版では真偽は不明としていたが、重販される頃には、科学的に否定された旨、追加されていた。二十数年前、この映画は、てっきりその布のことだと思って見た。なぜなら、そういう紹介をしている本を、昔読んだからだ。……騙された。  ”これは、イエスが生前羽織っていた布の物語です。”   キリスト教では、イエスの直接使ったものは残されていないが、その後の聖人の遺したものを、聖遺物と称して霊力を認めていたりする。その中には、亡くなった司祭の腕を切り落としたものがあったり、なかなかおぞましい世界らしいのだが、そういう文化を引き継いだ欧米の人たちには、この布が力を発揮するさまを、素直に受け入れられるのかも知れない。   イエスをその手で処刑したローマ役人の奴隷が、エルサレムに入城するイエスを、見ただけで心酔してしまうのは、聖遺物同様、信者でないと受け入れ難い表現だ。更に、マーセラスが問題の布切れを羽織っただけで、かの人の教えが彼の心を苦しめる。この辺の描写が心的なものなのか、超常的な力があるのか、判りにくい。微妙にどうとも取れる描き方なのだ。後にペテロが奇跡を起こすように、超常的な事を描く世界観で行くのなら、布の力にしてしまえばいい。少なくともペテロが奇跡を起こすよりは、その方が。しかし、そうではなく、もっと精神世界的な物語を期待していた私には、最初はどっちつかずで、とうとうペテロがやらかした、と映ってしまう。 
[DVD(字幕)] 5点(2011-10-23 05:00:53)
36.  海底二万哩 《ネタバレ》 
 1868年という設定が凄い。南北戦争が終わってちょっとの頃の話。と思ったら、原作自体1870年の作品だそうで、まあ凄い先見性である。アメリカではリアルに西部劇の時代に、まさか原子力を予見していたのではないだろうが、科学技術の危険性と、それが愚かな人間社会の有りように掛かっていると、警鐘を鳴らす物語は、驚嘆すべきものがある。そういえば、BTF3で西部劇の時代の教師が、ジュール・ベルヌの話をしてたっけ。   映画自体は1954年作、原爆から9年後。原作の方は未読でよく判らないが、映画版ノーチラス号は、明らかに原子力船で、島の爆発もきのこ雲。ディズニー映画だけあって、さすがに核兵器を使いはしないが、この圧倒的に強大な技術を以って、軍艦を沈めている天才科学者・ネモ船長は、もはや神の立ち位置だ。  捕らえられたフランスの学者は、人を殺していることに変わりはない、と彼を責めるが、その技術を悪用させないと言い張り、それを欲する。この人を見てゴジラの山根博士を思い出した。学者って時として無自覚に罪深い。  「怪物」と思われていたノーチラスに、本当の怪物が襲うのは、興味深い展開だが、生き物が鉄の塊を襲うのは、リアリティにかけて、ちょっと萎える。この事件で、人の善意を知ったネモ船長だが、結局最後まで彼は、人類の善意を信じられずに、船と運命を共にする。先の学者も、記録を失った事について「これで良かったのかも」と、国家不信。直前に、仲間をも標的にした軍を、見たからかも知れないが、ちょっとダークな終わり方だ。これが当時の人々の世界観なのだろう。   特殊映像的にも、このあたりの時代は「日本の円谷特撮が世界をリードしていた」と、ずっと聞かされていた者として、「そんな事無いじゃん」と素直に思えた。カラー作品としては、この映画のほうがリアルで、同時期に東宝が作っていたのが「ゴジラ」で、初のカラー作品は2年後の、ミニチュア感丸出しの「ラドン」である事を考えると、結局総合的には、昔からハリウッドの方が、見せ方上手かったんじゃん、と思った。 
[DVD(字幕)] 8点(2011-10-22 03:31:58)(良:1票)
37.  アニーよ銃をとれ 《ネタバレ》 
 実在の女性曲撃ち名人のラブコメディ・ミュージカル。作曲は膨大な名曲を残したアーヴィング・バーリン。本作は全体的に私の好みとはちょっと違う作風だが、それでも作中で一番有名な「ショーほど素敵な商売はない」は、楽しい楽曲だ。今回調べたら、ホワイトクリスマスやアレキサンダーズラグタイムバンドもこの人の曲だと知り、ビックリ。それでも、もしこれが当初の依頼通り、リチャード・ロジャースが書いていたら、という妄想も楽しかったりする。  物語は、ガール・ミーツ・ボーイと言ってしまえば単純だが、女性曲撃ち名人の成功譚を中心に、相思相愛だが曲撃ちに関して互いに譲れない二人、を描いている。「銃じゃ男は捕まらない」のに、意地をはって愛する男と射撃競争になってしまうアニー。普通なら、男のほうが折れるのが、紳士的な気もするけど、ずっと思ってきた想いのために、銃を(と言うより勝負を)捨てるアニーが良い。  ところで、英語で見れる人には判るのかも知れないが、銃が二人を近づけさせないのに、何故、タイトルが「銃をとれ」なんだろうか? 
[DVD(字幕)] 7点(2011-10-14 11:49:03)
38.  真昼の決闘 《ネタバレ》 
 アメリカという国は、良くも悪くも、社会というものは治安も含めて市民が作るんだ、という事が基本なんだな。もちろん、実話ではないんだろうが、こういう精神構造が町を作り、州を作り、国を作ってきたのだろう。だから自衛のための銃所持も当然。まっ、それはそれとして。  そういった治安観から、西部の町では、犯罪者を自警団が私刑してしまう事もよくあったと聞く。この町の人達も、どうみても理不尽な悪漢の襲来という事態に対して、どう対処するか議論になるが、結局相手のターゲットが保安官一人なのを良い事に、我関せずを決め込んでしまう。社会の構成員が、社会の秩序維持を辞めてしまった瞬間だ。  保安官は、自身の問題として決着を付けなければ、先へ進めないため、これに立ち向かうが、事が終わった後には、バッジを捨てる。当然だ。町が町を守る意思を捨てたのだから、保安官も要らないはず。  蜘蛛の子を散らすという言葉があるが、その真反対を見るように、銃撃戦の後ワラワラと集まる市民を見ると、一見、保安官の正義と職責を貫く映画のように見えるこの映画が、私には、実はこの社会の有り様というものを描いているように見えて仕方がない。これでいいのか?と問いかけているように。  ところで、だれも味方のいない立場で悪に立ち向かわざるをえない、というシチュエーションは、アメリカ映画の大好物だったなあと、思ってみたりもする。 
[DVD(字幕)] 8点(2011-09-01 05:01:02)
39.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 
 最初に事件について判っていることが、少年が父親をナイフで刺殺した。ということだけで、大事なことは、後から後から、出てくる。もし、この法廷を最初から見ていたら、随分この人達は議論が下手だな、と感じてしまうことだろう。まあ、そこがこの脚本のニクい所なんだろうが。  それはともかく。この人達は一体何に「怒」っているのか?移民者に、スラムに、暴力的な若者に、老人に。それらのはけ口が被告に向いてしまう、陪審員という制度の恐ろしさ。それらの怒りを抑え、冷静な議論による正しい結果をもたらすには、民主主義のシステムだけではダメで、それに誠実に向き合う気持ちが必要だという事が、よくわかった。途中、ぐちゃぐちゃの議論を象徴するように、土砂降りだった雨が、討論を尽くして結果が出た後に、すっかり上がっている様が何とも清々しい、良いラストシーンだった。   ところで、私の年代では、どうしても「優しい日本人」の方が先に接していて、舞台版を含めて馴染みがある。今回その元ネタを見てみて、正直、コメディにしたほうが、素材に合っていると思ってしまった。それは、議論している内容が実に机上の、「空論」とまでは言わないが、現実味に欠けること、論拠が実に弱いこと、あまりに非論理な主張をする人が、笑い話にピッタリだからだ。騒音がどんなものか、ドアまでの距離がどうなのか、実地調査すりゃ一発解決なのに、と思わざるをえない。ま、余計なことだけど。
[DVD(邦画)] 8点(2011-08-24 02:11:38)
40.  帰らざる河 《ネタバレ》 
こういうドンパチのない西部劇(っていうか時代劇だよね)って、好きですよ、私は。 悪いギャンブラーが、農民の銃と馬を奪って町に行くが、残されたギャンブラーの女とその男を追う農民と息子が、追跡の旅のうちに一つの家族となる話。 人間長く生きてると、世間の規範的には「悪い事」と言われるような事もせねばならない時がある。そういう過去を引きずった男が息子に嫌われながら旅を続け、その旅路の果てに、息子も「決まり事」よりも大事な事があることを知る話。最後、モンローが脱捨てた、いつも磨いていた舞台用の派手で美しい靴のカットが、彼女の心を表現していて嬉しくなる。 
[DVD(字幕)] 6点(2011-07-30 02:46:11)
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