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黒猫クックさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 791
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自己紹介 猫と一緒に映画を見ていると、ヤツらは私より先にコイツはクソ映画だというのを察知します。ストーリー展開や伏線回収が怪しくなってくると席を立ってしまうのです。だけどそんなおっちょこちょいな映画にだって良いところはいっぱいあるんですよ。
猫のヤツらは冷酷です。

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21.  トータル・リコール(1990) 《ネタバレ》 
メチャクチャ面白い。  ディックの小説で、困難とされていた作品をついに映画化!的なうたい文句があるものは疑って掛かれの法則(そんなもん無いが従っておけ)に従いはしたが、バーホーベンだしなんかスゴいことになってんじゃないの?って思ったらスゴいんだよなこれ。  ディックの原作は、淡々と落語のように落ちまで一直線な短編が映画化されると良い。世界観にこだわらず、監督が思い思いのイメージで映画に落とし込む。だから良い。このトータルリコールは、バーホーベンって原作読んでねぇんじゃないのか?って位独自の世界を作り上げ、挙げ句の果てにはディックの同名作品って宣伝要員だなただの。って程度に残骸が残っているような味付けになっている。だから映画を撮ることに集中するバーホーベンがものすごいものを創り出してしまう。  これ20年前の映画だよな。子供の頃テレビで放映されると大喜びで観ていたが、これたぶん今観ても小躍りしちゃうんだろうなきっと。いろんなギミックとか、汚らしくて未来の廉価品がゴロゴロでてくる火星の風景ってのがすさんでて、こちらも好き放題に妄想させていただける。  とにかく大好きなんだ。 
[映画館(字幕)] 8点(2010-06-19 14:15:00)
22.  ホワイトハンター ブラックハート 《ネタバレ》 
イーストウッドらしいハリウッドらしくない秀作。イーストウッドの小説的な匂いを出す映画群の中には2,3年の周期的にさらに文学的な雰囲気を発する作品がある。この作品はまさにそのタイプで、これら作品は作中の人物誰かに共感や感情の移入をしなければヨーロッパの文芸作品以上の苦痛な時間が待っている。  本作では感情移入のための劇場的なテクニックは排され、人物像や心理描写と言った文字媒体的技巧が主に使われている。ここにあるのは映像媒体の情報を受け取って感じさせられることからの楽しみではなく、情報を読み取りそこから感想を構築して行く作業でありこれをしないと何も心に浮かばない。しかし映像は何もしなくても進んでしまうがために、それを意識させないぎりぎりのところで、映像的なフォーカスが組み合わされている。  集中力をそがないその配分は、おそらく偶然のものではなく計算されたものだろう。あたかも場当たり的に作られているかの様な作中の映画撮影は、確信的な巧妙な計算のうちに作り出され、それら技術的な組み合わせはあまりアメリカ映画的とは言えない配分ではないだろうか。  ともすればヤマオチ意味なしにすら感じられるこの映画が撮られたのは90年。カンヌでは85年のペイルライダー、88年のバード、本作とイーストウッドは文芸調作品で立て続けにパルムドールにノミネートされ、この頃すでにヨーロッパでは絶大な支持基盤を得ている。技術やキャリアにおいてはすでに絶頂期を迎えており、今後こういったハリウッド的な味を持たない映画を撮り続けるのは難しいのではないだろうかとさえ当時の人たちは思っただろう。  しかし、20年たっても2,3年周期で文学性と完成度の高い作品を作り続け、ハリウッド映画を見に来た客を煙に巻き続ける。アジア、アメリカ、ヨーロッパと全く違った印象を持たれているであろうことが実に面白い。
[DVD(吹替)] 8点(2010-06-06 17:48:39)
23.  マディソン郡の橋 《ネタバレ》 
大昔、これが公開された当時スゴい反響だったらしいことは何となく記憶のものすごく奥の方にある。ちょっと昔これをDVDで見たときにそんなことを思い出した。  主人公とフランチェスカの微妙な関係を首をかしげながら観る一方で、なんかいい話かもと思う気がしないでもなかった。年を取って、いろいろなものが生活に不可分に確固として存在するなか。こんなことの一つでも起こったのなら、きっとその想いにも逡巡しながら、その後を、それまでと少しだけ違う考えをもってる自分に気づいて生きていくんだろうな、と思わされる。  黙っていればきっとそれくらいは悪いことじゃないのかもしれないが、本能的になんか許せない気も。そういう塩梅が実に巧妙。実は原作小説を翻訳で読んでしまったため、その表現の異様さに思わずなんなんだこの教科書ガイドみたいな小説は。と、感じてもいたのだがイーストウッドの作った映画は文章とは関係のない美しさと、受け手にゆだねる倫理観の揺れがハリウッド映画との異質感を伴って作り込まれていた。  冒頭と最後の彼女の家族の挿入が現実感へ引き戻してくれる。やっぱりこの絵空事のようなお話は絵空事なんだ。そりゃそうだ、良いわけがない。そんな気もするけど、やっぱりあの年齢になったときに日常に蔓延する寂しさを少しだけ忘れられたらという願いを持ってしまった人を責めることも出来ないかな。なんて言う気持ちにもさせる。  肉親を捨てて願望を取ったがため、罪にまみれるか。願望を取らなかったがためにむなしさに囚われるか。この映画の良さは、そこで受け手を惑わせなかったところ。前者であれば普通の主婦が最後の時を冷静には過ごせない。家族にそっと遺灰をまいてもらえた選択を出来たことは正解だったのだろう。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-05-22 14:58:45)(良:1票)
24.  この森で、天使はバスを降りた 《ネタバレ》 
面白かった。大変良くできた話だったと思う。  やむを得ない(とみるか、それは関係ないとみるかは人次第だが)罪で長期の服役を終えた女性の人生と、アメリカの地方の生活観を巧みに織り交ぜている。これが男性であったら、成立しない話だがキレイな女性であるというところにいきなり説得力が発生している。巧いな。  まっとうな人間であるパーシーは、本質が善良であるが故に追い込まれ罪を犯してしまったことが後の方になってわかる。ことの原因を知ろうが知るまいが関わる人間に否応なく齟齬や嫌悪感を生む結果となるが、そのことをわかっていてなお新しい静かな町で新しい静かな人生を送ることを想像し、期待する人間には厳しい結果となった。  しかし、元に戻すすべのない間違いを経て、いろいろな行き違いやわだかまりが解決したその風景に感動した。素直に良い映画だと思えた。また社会的な問題や、90年代でさえ残る心を病んだベトナム帰還兵の問題など、それを意識させないさじ加減で物語の中核に据えてくる手腕に舌を巻く。  それだけではなく主演女優の美しさや雰囲気満載の邦題、脇を支える俳優たちのしっかりした演技力等見所が多く実に良くできた映画だ。良いお話を見て喜べる、実に良い作品だった。   そうそう、液晶テレビにアップコンバートしたDVDを映し出すのは現状仕方のない最善手であるが、BDとは比較にならない。やはりこうした作品こそBDで売ってくれないかと思う。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-04-18 18:58:57)
25.  マトリックス 《ネタバレ》 
すごい。面白い。  このハードな世界観を、イメージ映像的なあるいは世界観の紹介的な雰囲気映像ではなく、ストーリーの存在するエンタメとして完成してのける。そこにしびれた。これまでも似たような近未来的なハードSFはいくつもあるが、元々ストーリーがしっかりした原作ものであったり案としてすでに面白いものだ。が、これはスゴい。漫画的な技法を動画に落とし込んで、それをストーリーと分けて、さらに世界観とも分けてある。その上、それらがちゃんと相互にくっついて離れないんだからスゴい。  一つ一つの要素はアレでみた、アレと同じだ、アレに似てる。っていう集合体に近いが、それが結合することで見事に新しいものになっている。「マトリックス」になってる。ただ幻想的で新しく、ストーリーが曖昧な話もシュールな映像としては悪くはないけど、それにはやっぱり確固としたストーリーが乗っかっていた方が満足度が高いに決まってる。  だから私はマトリックスが大好きなんだ。
[ビデオ(字幕)] 8点(2010-03-23 02:16:26)
26.  バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3 《ネタバレ》 
ちくしょう、面白いんだよなぁこれ。2でちょっと閉塞感を与えてどういう風に、行ったり来たりするのかな、と思わせて、ここに来て西部劇!すいません痺れました。  西部劇か、西部劇。しかも未来なし。うわぁつまんないわけがない。音楽もそれっぽくて笑っちゃうし、設定のインチキ臭さがまた西部劇っぽいんだよなぁ。いろんな事が良い具合に混じり合って良い感じに相乗効果を発している。  時間を行ったり来たりする要素を捨てたおかげで、一つの設定に没入できる。よくこんな決定をしたなと思う。当時アメリカで西部劇ブームだったんだと思うけど、それにしたってこんな風に、ブームのなかの一つで終わらないきちんとした固まりとして残っていることにはグッとくる物がある。  過去からドクがやってくる時、未来はマーティが望んだ世界に一直線に繋がっていた。その瞬間、オッッシャー!だ。2でさんざんどの未来に繋がってるかは確実ではないと、頭にすり込まれているからこそ活きる。この未来を真っ直ぐ疑わないエンディングは最高に気持ち良い。これで良し。異論は脳内シャットオフ。  テロリストとつきあいがあるドクのキャラとか、あれだけメチャクチャに転げ落ちた2の世界とか、そういうのと直につなぐと大変だったから方向転換したんじゃないか?そういうことを言う脳内もう一人の自分は脳内シャットダウン。良いじゃん、2より3の方が普通に面白いんだ。面白い方が強いじゃんかさ。
[映画館(字幕)] 8点(2009-12-31 13:24:44)
27.  ショーシャンクの空に 《ネタバレ》 
非常に良くできていたし、面白かったけど平均点がほぼ最高ランクっていうのに驚いた。誰が観ても面白く感じられるように作られてるっていうのが凄い。物語云々よりその技術に全くもって驚いた。  主人公の脱獄のエピソードより、刑務所内できちんと職務を行って自分の技能を鈍らせないように努力すると同時に、信頼も勝ち取り無罪を証明する機会をうかがいつつも、プランBとして穴も掘り続けるというプロットには結構痺れた。結局、使うつもりの無かったであろう穴を使うことになった落胆のような色が出ていて終盤のあの雰囲気は良かったと思う。  起承転結がじっくりと切り替わる話の巧さは、結構な満足感を与えてくれた。けど、平均点の高さから身構えていたけど、なんかこう、もっと面白い映画はあったような気がする。でも、本作品の出来をみるとでも、やっぱり多くの人が観て低い点数がつくことはないだろうな、っていう気もする。名作補正もあるんだろうけど、こういうオールラウンドな映画って作った人たち、ホントに凄いんだなって思う。  この映画で一番得したのはキングだろうなやっぱ。映画化された小説読んでみるとどれも映画のほうが確実に面白い。おいしいひと味を加えやすいんだろうな、そういう意味じゃ巧いと思った。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 8点(2009-08-02 19:59:08)
28.  ラスト・アクション・ヒーロー 《ネタバレ》 
これ大好きです(笑) 質の悪いハリウッドB級ジョークの固まりというか、それもふくめて大好き。 理由もないのに爆発するし、素手でいろんな物壊すし。  話の筋が結構切ないのに、無理矢理刑事物のお涙ちょうだいストーリーに進んでいく映画世界も切ないのに笑える。 チケットで行ったり来たりって言うのもワクワクするし、仲間内で「オイ!手が痛いぞ!!」とか未だに時々言ってますし。 凄くしんみりしているシーンで、少年がそんなことは良いから早く行こうよ的な台詞を吐くのとか大好きなんですよ。  これ以外の刑事物を見たときに凄く面白いんですよね、ダニーがつっこんでいたとおりに真面目に話が 進んでいったりしますし。服の汚れとか平気で減ってったりしますし。 子供の時に初めてみられて良かったなぁ。  字幕だとめんどくさい上にかなり魅力がスポイルされるので、吹き替え(お勧め)か原語でみるといいですよ。
[DVD(吹替)] 8点(2009-01-24 18:00:13)
29.  交渉人(1998) 《ネタバレ》 
頭脳戦ではないけれど、スピーディーな展開とやりとりが秀逸。 ラストのすっきりさも最近のようなアホかと思うどんでん返しよりよっぽど良い。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-01-24 16:14:00)
30.  海がきこえる<TVM> 《ネタバレ》 
子供の頃に、テレビで流れていたのをみていたく感動したのを思い出して再見。  リカコのあのキャラ。そうそう、クラスのかわいい子ってあんな感じだったか。 中高生くらいの時ってなんで、相手の性格に関係なく顔だけで好きになっちゃうんだろうか(笑)  杜埼の朴訥な感じと松野のああいう友人関係って言うのもなんか良いですね。 ずっと続いていきそうな、だんだん疎遠にもなりそうな感じが。 松野がリカコのことを吹っ切れているかの描写はないんですが、かなりの現実路線であることを考えると、 一番の進学校からイケメンが京都の良いとこの学校に進学してりゃぁ、そりゃしばらくすればあっという間に過去のことになってしまうんでしょう。  一方で終わったことが、いきなり駅で始まりになってしまって、いろんな事情を抱えた美人との恋が始まってしまう杜埼の方に、 エンディングの後のドラマ性を感じたりもしますね。  こういう話は色々な嫌な思い出と良い思い出が色々よみがえるからあんまり見たくはないんですが、 受け手の心情を悪い方に引きずらせない見せ方が上手いですよね。  それからちょっと出てきた成城学園駅のあの角度のあの風景。ギュギュギューって締め付けられるような思いが。 吉祥寺駅のあの風景とか、磁気式の改札機とか、ちょっとした風景でいろんなのがわいてきました。 ま、よく考えて見りゃ良い思い出ばっかりでもないんですが(笑)
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-04 21:16:42)(良:1票)
31.  ユージュアル・サスペクツ 《ネタバレ》 
多くの我々日本人がやってしまう。  「サスペンスと聞くと、オチの予想に、映画を見ないで夢中になって入ってしまう癖」  「確率が50%なのに、当たったら制作者をバカにし始めてしまう癖」  を極限まで引き出してしまう映画じゃなかろうか。 それだけに本当に良くできていると思う。  この映画は、初見ではなく2度目以降に、目に映っていながら最初全く認識されていなかった伏線を追っていく作業が面白いんじゃないかと思う。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-10-26 19:43:17)(良:1票)
32.  ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 《ネタバレ》 
面白い。面白すぎます。 もうバカばっかりなんですが、味が出すぎ。 イギリス映画って正直、良い機材でしょうもない水準の映画に思えるものが多いと感じていますが、これは別。 散弾銃の説明、勉強になりました。
[DVD(字幕)] 8点(2008-08-24 12:24:14)
33.  シンドラーのリスト
日本製テレビアニメのような、具体的で説明的すぎる作りにせずこういった題材で作る手腕があったというところが凄い。映像面ではスタッフの力量による部分が大きいと思うが、元々映画は監督個人のモノではないのでそれも含めて凄い。  賞狙い、と揶揄去れがちな本作ですが、多くの関係者が狙っているわけです。元々。なにも悪いことではないです。それに93年に映画に触れたすべての人をがっかりさせる発言ではないかと思うので賞狙いという言葉はいかがなものかと思います。これ以外の作品も狙ってとれなかったわけです。お金を掛けて狙ってとれる賞ではないことを誰もが知っている海外では非常に評価が高いですし、実際精巧に作り込まれています。  少年少女をターゲットにした映画が得意とされ、その評価が固定してしまった監督が、娯楽作品をストップしてやりたかったこと、長年暖めてきたものを撮って良い立場を得るまでに大変な困難があったことは想像に難くありません。どうか日本独特のフィルタを通さず本作品を見てください。
[DVD(字幕)] 8点(2008-08-15 14:38:49)(良:4票)
34.  GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊
世界観にのめり込むことが目的ならば最適の映画。終末的な世界観でもなく、閉塞的でダラダラと暗い未来が続いてしまうような世界が秀逸。作画も動きも高レベル。ひたすらあの電脳というグロテスクな外観と内容を備えたヒトが醜く鮮やかに争う様にしびれることができます。  ストーリーや敵対関係がくっきりしすぎた物や、相関図が無駄に複雑な物に飽きてしまった人は必見です。  原作漫画よりおもしろいです。
[DVD(邦画)] 8点(2008-08-06 22:46:51)
35.  北の国から '98時代 前編・後編<TVM> 《ネタバレ》 
 今考えると、いや、当時から変な違和感は感じないでもなかったのだけど、色々世紀末だったんだなと思う。  何をやっても徹底的に上手くいかない一家と、その周りの人たち。末世的世界観と相まって至る所で予感させる死と破滅っていう概念にはどう捉えて良いものやら、分からない。当時のテレビ番組の手癖のようなものだけど、何が何でも死を感じさせる話運びにはいかがなものかと言いたい。   それから、何か新興宗教めいているのが終始気に掛かる。有機農法を自然に反すると言うような主張をキャラが始めて、それまでに腑に落ちなかったものがスッと降りてくる。要するに、新興宗教だよねこれはと。どこかで聞いたような理屈だよこれはと理解する。  成立しない男女の性行為を、避妊もさせなければ、堕胎もさせない。その上関係の修復も、前提として与えない。このような行きすぎた宗教的な説法のような設定に加えて、有機農法を自然に反すると罰として疫病を蔓延させる。そして金銭的にも困窮させ、合理的な思考を受け手からも奪ってしまう。ある意味観ている間は一瞬でも、 「そうかも」  と思ってしまう。シムシティで市民をいじめて楽しむような恐ろしいストーリーだ。  その後で、草太が死んだのはお前らのせいだと言わんばかりに、重要キャラを殺してしまう。こんなことなら時代に合わせた農業なんてやらなければ良かった。とホントに思ってしまう。恐ろしい。   その後ちょっといい話になって、何となく暖かくなったような気がして終わる。  が、ちょっと待て。どういう風に蛍が生きていくことが子供にとってよりベターなのか、七〇年代や八〇年代の日本のような伝統農法でも科学的でもない、ある種歪んだ農業が九八年より昔と言うだけの理由でより自然である合理的な理由もどこにも示されていない。  オブジェクト指向は目的が手段になるから完全に排除してCOBOLをCUIで逐次型で何万行もスパゲティコードを書くべき、と言っているのと何ら変わらない。いきなりそう言われたら、プログラミングなんかしない私にはそうなのか!と、思ってしまうだろ。   そういう意味で、観てる人間に「どうせわかりゃしねえだろ」といい加減な専門的な出来事を挿入して、それが軽いSFや宗教の類でしかないという事を中途半端に隠そうとしてるところになにやら言い知れない不快感がある。   でも何となく観ちゃう。面白いからだ。
[地上波(邦画)] 7点(2013-07-28 22:05:21)
36.  キンダガートン・コップ
「ごめんな、全部俺が悪かったんだ」   寡弁というか、無口では無いにしろ内容の無い事はあまり喋らない父が僕に言う。いったい何の悪気なのかさっぱり分からない僕は、うんうんと彼を宥める。  「おいしいよ、全部食べられるよ」   僕の言葉がストライクだったらしく、言葉を詰まらせて全然おいしくないスクランブルエッグのスプーンを自分の口に運ぶ父。二人だけの食卓である。   「ごめんな。母さん、出て行っちゃったのは父さんが悪かった。謝らなくちゃな」  「けんかしたら悪い方があやまるんだよ」  「うん、返ってきたらね。そうだな。すぐ謝るよ」   僕の頭を乱暴に撫でる。なかなか手は離れなくてもの寂しげだった。  「幼稚園には今日はお父さんと行こうな」  「いいよ、行ってあげる」    前の夜、一方的に父が何かを言っていた。要求を全く遮られていよいよ喧嘩になったのだった。記憶をたぐるとこうだ。  「いや、だからさ、義父さんと出掛けるから土曜は連れて行けない。見ててよ、母親だろ?」  「何で訳の分からない趣味に私が振り回されなきゃいけないの?お母さん何とか言ってよ」   優しい祖母はよその子である私の父には強く言えず、それでとうとう家を出て行ってしまった。     呼び戻してくると言って心当たりに駆けていった祖父母は夜まで帰ってこなかったが、彼らがただ今と玄関を開けたとき母もいた事で安心したのは私以上に父だった。  「でさー、うちの子がまた迷惑掛けちゃったみたいでごめんなさいねー、子供ほったらかしで戦艦見に行くって馬鹿なのよあの子馬鹿の部類の子」と、どうやら父の母までついてきて何故か楽しそうだ。  「いやー、戦艦見たかったのは俺なんだけどねー」などと見当違いな声も聞こえてくる。  「あやまってくれば?」と僕が言うと、浮き腰の父は玄関に向かう。    銃弾を雨のように浴びて一発もあたらないシュワルツェネッガーが、幼稚園で先生になってしまうのを目の当たりにしたとき、自分が幼稚園だったときの記憶がよみがえる。そう言えば普段は偉そうなのに、何かのきっかけで大人は弱くなる。   で、近所にあるマスオさんの実家に「もみあげどうされますか?」の自然な感じで愚痴を言いに行く母も大概であるなと思う。しかも彼らはそのシチュエーションを楽しんでいるとしか思えないからたいしたものだ。
[地上波(吹替)] 7点(2013-06-11 10:38:24)
37.  バッドボーイズ(1995) 《ネタバレ》 
 色々痛くて嫌いじゃ無い。と言うか好きな部類。時代を色々思い出す。九〇年代って言うのは八〇年代よりは内容があって、それに劣らない馬鹿馬鹿しさが良い。
[地上波(吹替)] 7点(2013-05-21 20:56:00)
38.  ハードロック・ハイジャック 《ネタバレ》 
 新宿駅の東口で降りて、三丁目に向かう。旨そうな天ぷら屋を通り過ぎて三越を曲がると俺達のユニオンだ。ランチが安いらしいから入ってみようぜなんて言いながら、寿司屋を通り過ぎるとあのビルが待ち構えている。各ジャンル専門のフロアではしゃぎながら色々漁った。あまり関係無いがアンヴィルなんかもその一つだったりする。  クラスの中のHR/HM大好き人間グループ一味は何も男だけだったわけでは無く、女の子だってちゃんと居たわけだ。その女のこのうちの一人と、二人だけで帰る事だってあったのだがどう言うわけかその時はバンドの話では無く、進学とかの話だった。  土曜日にこっそり二人で大学でも見に行こうと言う話になって、小田急線沿いの大学にいく事になった。   新宿から始めた大学探索はお金持ちな雰囲気の学校がある急行の停車駅を過ぎて、もう一つ行ってみようと神奈川県の大学に忍び込む事になった。山の上にあるその学校は理系の学部で、その大学然とした雰囲気に僕は圧倒されてしまった。  その次の日からグループの中で、彼女だけはあまり音楽の話題で新しい話を出さなくなっていった。たぶん、あの帰り道で交換したMDをずっと卒業まで聞いて居たからなんだ、と思う。急に勉強に熱心になった彼女と、今のままのペースの僕とでは何となく行く方向が離れ始めているっていう事に、全然気付いていなかった。  あの帰り道、メカのようなヤギにこう言う学問があるのかなんてはしゃいで居たけど、ガード下で何となく言った「よし、ここ来よう、ここ」と言った言葉は彼女の中では強く焼き付いていた。   そんな事をすっかり忘れていても、いくつものバンドが演奏する楽曲が流れて季節は変わっていく。そうこうしているうちにもうすぐ高校で迎える三度目の春、という季節だった。  HRとHMの三年間はあっという間に終わってしまって、それからは時々の飲み会に顔を合わせるだけの関係に戻ってしまった。僕も彼女も、小田急線の学校に進学したけれど、あの山の上の学校の合格発表で僕のために用意された数字の配列が無いのは何となく分かっていた。努力をしていなかったことを、彼女への罪悪感で明かす事はしなかった。  哀しい目をしていたのは、僕よりも、彼女の方だった。   この映画はHR/HM好きがこう言う気持ちになる装置が満載されていている。   ホントか?
[地上波(字幕)] 7点(2013-01-26 21:43:18)
39.  パーフェクト・ワールド 《ネタバレ》 
 子供と大人の関係。大人が子供に接するとき、独特の感情が湧く人も多いと思う。家族的な愛情とも友情とも違う慈しみのようなものだ。親戚の家や友人の家に遊びに行って、そこの小さな子供と遊んですっかり懐かれてしまうと、帰るときの辛い気持ちに驚く。  あまり子供が好きなわけでは無いのだが、それでも子供が慕って来て一緒に過ごす時間をともにするとまた違った感情も湧いてくる。不思議な物だと思う。   ブッチが目指したアラスカは彼が望んだ全てがかなう世界などでは全く無いのだろうが、すがる物はそれしか無かったのだろう。きっと途中で手折られる逃避行の中で、絶望と贖罪にさいなまれていたのだろうけれど、罪人になってしまった自分自身を救ってくれるのは少年が自分のようにならないで普通の生活を生きる事だけだったのだろう。  それなのに彼を引きずり回してしまったブッチは、最後の瞬間素直な気持ちで少年に謝罪の言葉を用意する事が出来た。彼の安らかな表情は、清算しきれない大きな間違いを認めて短い逃避行に温かさを感じられたからではないか。
[ビデオ(字幕)] 7点(2012-12-05 04:35:52)(良:1票)
40.  メン・イン・ブラック 《ネタバレ》 
 子供の頃、妙に興奮したクラスメートが「ムー」を持ってきた。怪しすぎる表紙と内容に僕らは釘付けになったのだが、とりわけ目を惹いたのは「神奈川県で多数の目撃情報があった」という未確認飛行物体の記事だ。大型の石油ストーブで温めた牛乳を飲みながら、夜は空を見ながら帰ろうぜ的な話題で持ちきりになったのは言うまでも無い。   程なくして僕らはすっかり暗くなった夜に、もの凄い速度で北に消える飛行物体を見た。その事で僕らは大興奮だった。赤く光る編隊が消えるという物を目撃したのは廻りでは僕ら三人だけだったが、僕らはあれがいわゆる未確認飛行物体であると言う事は間違いないと確信していた。  「ムー」はアメリカが宇宙人と共同でUFOを開発しているだの、エリア51で極秘だのそう言う話を更に盛り上げていた。  しかし、大人になってから気がつく。神奈川県で未確認飛行物体である。米軍の陰謀でも何でも無く、それは真っ当に米軍の戦闘機なのである。もちろん、近所で黒服の男など目撃されていない。   しかし何でも「ムー」のやつは米軍とUFOを結びつけやがって、子供が米軍機を見りゃそりゃ何だってUFOである。
[DVD(吹替)] 7点(2012-11-29 13:01:41)(笑:1票)
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