21. 二人の恋人
若大将加山雄三もこの頃になるとぐっと落ち着き今回は背広姿の会社員。3年前に亡くした恋人への思いを引きずっている。そこへ瓜二つの若き女性が登場し恋が芽生えるが簡単にいかないのがおもしろいところ。途中から高橋長英演ずる弟に感情移入し食い入るように見た記憶がある。この映画で注目すべきは池内淳子、テレビでは和服が似合う女将さんとして大活躍したが、この映画ではショートカットのやり手の編集長という役、若々しく酒井和歌子よりも加山雄三に合うのでは思っていたら・・・。 [映画館(邦画)] 8点(2014-12-27 08:30:02) |
22. 東京おにぎり娘
一見コメディ風のホームドラマからまり子をめぐる三人の男たち(伊藤雄之助の社長さんは除く)のバトルかと思いきや、みどりさんという女性の出現によりぐっと人情っぽくなる。美人でチャキチャキ看板娘の若尾さんの女らしさがとても良い。大阪生まれの江戸っ子の親爺もまたなかなかのもの。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-11-26 10:15:05) |
23. にっぽん泥棒物語
山本薩夫と言えば当代きっての社会派映画監督だ。戦争と人間の三部作や白い巨塔、華麗なる一族、不毛地帯など数多くの名作を作り、どの映画にも深い感動を受けた。この映画は題名からしてコメディっぽく、泥棒稼業の主人公らにもとぼけたおもしろさを感じる。ところが列車転覆という事件が起こるとやはり山本監督らしい社会派映画となった。他の方も言われているように、伊藤雄之助のねちねちとした追求と三國連太郎のとぼけた言い逃れが非常におもしろい。だがやはり前科者の更生のむずかしさや証言と新生活の葛藤なども良く表現できていると思う。 [DVD(邦画)] 8点(2014-03-08 07:42:21) |
24. 暗くなるまで待って
入れ替わり立ち替わり登場する三人組とスージーの知恵比べも良いし、後半から終盤にかけてはハラハラドキドキ、もう何度も心臓が止まりかけた。おもしろさ抜群だし、オードリーの熱演は見事。 [映画館(字幕)] 8点(2013-11-22 12:13:45) |
25. 女系家族
遺産相続をめぐる三姉妹の欲深い争いと思っていたら、大番頭や踊りの師匠、叔母らも加わった駆け引きと画策のすさまじさがおもしろい。さらに愛人若尾文子を登場しさらにヒートアップ、けなげに見える彼女が一番したたかとは予想通りだったが、最後に笑ったのが当の死んだ本人だったとは良くできた物語だ。遺産相続に関する法律等、よく調べあげられたところが実に山崎豊子の小説らしい。死を惜しみ鑑賞。 [DVD(邦画)] 8点(2013-09-30 22:46:56) |
26. 飢餓海峡
ずいぶん昔に見た感動の映画。主役は三國連太郎だが、弓坂刑事の伴淳三郎、杉戸八重の左幸子の印象が強い。伴淳三郎はコメディアンとしか見ていなかったし、左幸子がこれほど情の深い役をするとは思っても見なかった。爪を大事にとって哀願するさまは目に焼きついて離れない。 [映画館(邦画)] 8点(2013-09-30 07:12:34)(良:1票) |
27. にっぽんぱらだいす
たくさんの引っ越し車の行列の中に一台の霊柩車、実に印象的だ。赤線を描いた映画は数多くあれど、おもしろく、おかしく、そしてもの悲しく、表裏をさらりと表現した映画はめずらしい。若く美しい香山美子はもちろん好きだが、喜劇役者としてしか知らなかった益田喜頓の味のある演技も良い。 [DVD(邦画)] 8点(2013-07-09 07:04:26) |
28. 月曜日のユカ
《ネタバレ》 私が少年の頃見た映画の中で、強烈な印象が残っているものの一つ。日活100周年と共にHDリマスターとして蘇ってきた。映画の最大の魅力は加賀まりこ、他のレビュアーの皆さんが言われる通りである。日曜日は家族サービスデー、したがって月曜日のユカとなるわけだが、月曜は男にとって仕事の日、このすれ違いが最後になって悲劇を呼ぶ。身体は許してもなぜキッスはダメだったのか、改めて思い知り感慨にふける。だけど50年近く経った今、冷静に点数を付ければやはりこの点数か。(50年前だったら満点だったかも) [映画館(邦画)] 8点(2013-05-25 06:51:38) |
29. 馬鹿が戦車(タンク)でやって来る
ハナ肇と山田監督による馬鹿シリーズはどれも好き。そしてこの映画にも大好きな岩下志麻も出ているし・・・。常田富士男の日本昔話のようなメルヘンチックな田舎村とどこかへんてこりんな村人たち、映画の前半は團伊玖磨の舞台劇を思わせる軽妙な音楽もすばらしくとても好きだ。釣り人と船頭によって語られる物語形式も良い。だが戦車が登場してからはどうも憂さ晴らしのように思えてややマイナス。 [映画館(邦画)] 8点(2013-05-06 08:34:19) |
30. なつかしい風来坊
「男純情の~♪」灰田勝彦が歌っていた「燦(きら)めく星座」なつかしい! その歌がぴったり?するような映画。ハナ肇をメインにした山田監督の映画はどれも好きだし、この映画は特に私のお気に入りだ。コメディとしては控えめだが、それでも愛ちゃんが笑ったときは私も笑ったし、ラストシーンは遥かなる山の呼び声とまではいかなくても感動的。そしてお役所つとめの切なさを漂わせる有島一郎のつつがむし演技はまさに絶品。 [映画館(邦画)] 8点(2013-02-19 23:20:30) |
31. 恋人よ帰れ!わが胸に
何とか金をふんだくろうとする側と、そうはさせじと盗聴マイクや監視カメラでしっぽを捕まえようとする側のやりとりが大変おもしろい。欲に目がくらんだ悪徳弁護士や元妻でさえ、ワイルダーの元では憎めない存在になっている。正直でやさしい偽患者と親切な黒人アメフト選手だから映画の結末は容易に予想できるものの、それでもおもしろいのがやはりワイルダー。タイトルがやや気障なものだから見るのが遅くなったが、大好きな監督の映画だと知っていたらいの一番で見てただろうに。 [DVD(字幕)] 8点(2013-02-12 07:03:36) |
32. 喜劇 初詣列車
瀬川昌治監督の列車シリーズ喜劇の第3弾、渥美清と佐久間良子のコンビは相変わらずだが、渥美清の奥さん役は中村玉緒になる。うーん、寅さんに出てくれたらな、と思ったりして・・・。この映画は1作2作よりさらに好き、おもしろさ満載だけど若い二人を結びつけたりして、意外な人情味も見せてくれる。 そういえば、この映画の何年か前に新潟で大地震があったんだったっけ。 [映画館(邦画)] 8点(2012-12-31 15:13:31) |
33. 風と樹と空と
今の人ならたぶん「三丁目の夕日」を思い出すだろう。しかし集団就職、上野駅というと私は井沢八郎の歌「あゝ上野駅」を思い出す。井沢の歌と「風と樹と空と」の映画とどちらが先だったかは覚えていないが、どちらも1964年東京五輪の年だった。吉永小百合さんは元気でとても明るいお手伝いさんだし、映画自体もラブロマンスにならず、あくまで青春映画に徹しているところが断然好き、私の青春時代思い出の映画のひとつだ。「もらえる物はもらいます」とちゃっかりしたところも良い。OLをBG(ビジネスガール)と言っているのも時代を感じるし、吉永小百合が口ずさんでいる「高校三年生」も大ヒットした時代だった。 [映画館(邦画)] 8点(2012-12-20 22:18:04) |
34. 喜劇 にっぽんのお婆あちゃん
タイトルに「喜劇」という名前が付いているが、決して単純なコメディではない。むしろ「喜劇」を付けることで、風刺のこもった社会派映画の要素を際だたせている。身寄りがなく老人ホームで暮らすのと身寄りがあって息子夫婦の家族と暮らすのとどちらがベターなのか。50年も昔、高度成長期のまっただ中にあってすでに少子高齢化を予測させる映画はまったく見事というほかない。なおこの映画にはたくさんのお婆ちゃんが出てくるが、年長は東山千栄子さんの71歳だが一番若いお婆ちゃんと言えば・・・。 [地上波(邦画)] 8点(2012-12-19 17:44:16) |
35. 青春のお通り
《ネタバレ》 吉永小百合主演映画の中でも特に好きな映画。お嬢様っぽい吉永が関西弁を使い、しかもお手伝いさん役(当時は女中さんと言った)で、チャカリンスカヤの名にふさしく、元気で明るく爽やかな雰囲気を醸し出す。そしてまた仲良しのケロリンスカヤ、キドリンスカヤもまた良い。キドリンは私のお気に入りの松原智恵子だし、ケロリンは新人として売り出したばかりの浜川智子(後の浜かおる) お相手の浜田光夫は今回はやや控えめだが、チンパンジーの声優を披露。コメディタッチの青春映画として私のお薦めいちおし。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-12-08 11:35:07) |
36. サラリーマン清水港
しみーずみーなとのめいーぶつーはー♪ 次郎長、大政、小政に森の石松。柳屋金語楼の寿司屋の板前さんに、寿司食いねえ江戸っ子だってね、次郎長ってそんなに強いのかじゃなくて、そんなにうまいのかってくれば、もうご機嫌だ。 社長シリーズの中でも好きな映画のひとつ。社長でなくてサラリーマンの名前がつくのはこの清水港と忠臣蔵だが、かったるい忠臣蔵に比べ、歯切れ良くテンポが良く調子が良い。例によって浮気すれすれ路線だが、毎度おなじみでも気持ちが良い。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-11-27 22:03:23) |
37. 世界大戦争
私の子どもの頃は米ソのみならず、イギリス、フランスなど各国が競争して核実験を行っていた。日本がそのたびいくら抗議しても変化なし。おまけに東西冷戦の緊張は日毎に増していた。ひとたび第3次世界大戦になれば、核戦争となり地球が破滅すると盛んに言われていた時代、そういう時代に作られた映画だから、映画自体は完璧ではなくても十分にそのメッセージは伝わってきた。ただ映画としては星由里子が年齢以上に大人びて見えるため、父親役のフランキー堺ととても父娘には見えないことが不満。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-11-17 10:33:26) |
38. でっかいでっかい野郎
何度見ても実におもしろい。「男はつらいよ」のシリーズでおなじみの渥美清だが、私は寅さんよりこっちの方が開けっぴろげで好き。当時の大ヒット曲の「恋の季節」もなつかしいし、若松・小倉を舞台にした「無法松」が出てくるも良い。そういえば、病院の先生の長門裕之は小さいときの敏雄を演じていたんだっけ、これも何かの縁か。 [映画館(邦画)] 8点(2012-10-31 20:56:48) |
39. ごんたくれ(1966)
ごんたくれとは「乱暴者」とか「いたずら者」という意味の言葉らしい。この映画は、そうした定時制高校のごんたくれたちと情熱に燃える若い先生の、熱い熱い学園ドラマだ。 昔の定時制高校は貧乏で働かなければならない生徒たちの集まりだった。昼間は厳しい肉体労働、夜は寝るだけ、夕べの定時制でのひとときだけが心の安らぎという生徒も多かった。(私自身も若い頃定時制に勤務した事がある)だから通り一遍の型どおりの教えでは授業は成り立たない。まさにバトルである。この映画は、こうしたきびしい現実をふまえ、情熱的にリアルに描いた人間ドラマである。 今の時代にも、金八先生など熱血学園ドラマは多々あるが、本当のぶつかりあいという点ではどうだろうか。そう金八先生より仲間由紀恵の「ごくせん」の方が近いかな。そういえば、この映画はごくせんの大江戸一家の親分宇津井健が主役だ。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-09-23 07:48:29) |
40. 女と女と女たち
《ネタバレ》 パリ風のエレガントなお洒落とユーモア、イタリア風なコメディ、そして演じるのはシャーリー・マクレーン! 葬式の列を歩む悲しみの未亡人から始まり、浮気現場に出くわした妻、二人の男に迫られる女性、夫の書く小説の主人公に変身する妻、パリ社交界の花型でライバルと競う女性、雪の中を若い男に付けられる女性、全部で7人を女を彼女が演じる。まさに七変化なのだが、コスチュームはそれ以上になってしまう。単に目の保養だけでなく、シャーリー・マクレーンの魅力たっぷりの映画だ。このさい共演している男性の活躍は眼中になし。 [映画館(字幕)] 8点(2012-08-23 23:18:11) |