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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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381.  マリッジリング
物語に必要のない描写を電車の画を有効に使いどんどん省略してゆく。原作未読なのだが、一昨日レビューした不倫映画の代表『恋におちて』と、郊外と都会を行き来しながら不倫を描いてゆくという点で一致しているのは偶然なのだろうか。ただしこちらはいかにも渡辺淳一らしい(?)エロチックな作品となっている。エロチックといっても、主演の小橋めぐみが醸す、どちらかというと清純なイメージの女のごく普通の性欲の見せ方だとか、服を脱ぐことの恥じらいと大胆さが生々しく表現されているといった心理的というか、より内面的なエロチック。もちろん「ヌード」という外観上のエロもある。ベッドシーンは日常をことごとく省略したのとは打って変わってじっくりねっとりと服を脱がせるところから映し続ける。セックスシーンよりもこの服を脱ぎ脱がされる描写を重要視する。それはその行為(セックス)よりもその関係こそが物語を語るうえで重要だからであると同時にそのほうがエロいから。なぜエロいかは、その脱ぎ脱がされる瞬間にこそ女優・小橋めぐみの恥じらいと大胆さが表出されるからである。そしてカメラはその生々しい女の性をしっかりと捉えている。
[映画館(邦画)] 6点(2008-04-09 12:57:18)
382.  2046
ウォン・カーウァイ作品の中でも極めて評価の悪い作品になるようだが、これがけっこう好きなのだ。内容は無視。『花様年華』の続編なんてことも無視。まず豪華女優陣を堪能しましょう。健気なフェイ・ウォンの涙。勝気なチャン・ツィイーの涙。孤独なコン・リーの涙に心打たれましょう。一瞬しか出てこないキュートなドン・ジェを見逃さぬように。架空の世界に登場するカリーナ・ラウとマギー・チャンに魅了されましょう。そしてここにもメインで登場するフェイ・ウォンの、唇のラインが美しい横顔にノックアウトされましょう。中国の女優は素晴らしい。鈴木清順がチャン・ツィイーを起用したのは今の日本にピンで主役を張り、画面に映え、存在感があり、さらに色気がある女優がいないからなのかも。そう思ってしまうくらいに中国の女優は素晴らしい。そんな女優たちが総出演ですから。女優と同時に赤や緑に彩られたクリストファー・ドイルの究極の映像を堪能しましょう。過去の彼の作品と比べてもこれが最も美しい映像だと思います。木村拓哉は無視してください。こき下ろすほど悪いとは思わないのですが、そこに映っている人が「木村拓哉」であるということだけで、我々日本人が持ってしまった既成概念をどうしても拭えないから。
[DVD(字幕)] 7点(2008-04-04 14:36:20)(良:1票)
383.  花様年華
映像がいちいちキザ。バラード調のジャズなんかのミュージッククリップにちょうどいい感じ。アクションでも決定的シーンでもないのにスローモーションがきまるきまる。過剰に感じるところもままあるんですが、室内シーンの雰囲気ある光の使い方とか色彩が意外とイヤミがない。構図のせいだろうか。監督ウォン・カーウァイと撮影クリストファー・ドイルと美術ウィリアム・チャンの三者のコラボレートが独特の虚構の世界を作り出している。そのなかでトニー・レオンとマギー・チャンの歩く姿がひたすらセクシー。
[ビデオ(字幕)] 6点(2008-04-03 16:14:47)
384.  マイ・ブルーベリー・ナイツ
夜の街を電車が駆け抜けてゆく。ウォン・カーウァイの作品によくあるこの風景がものすごく好きなんだけど、やっぱりありました、この作品にも。これでもかってくらいに(笑)。出ている人間がアジアンから欧米人になっても、お洒落に装飾された映像と恋に敗れた女が涙してといういつものカーウァイ作品で、ローレンス・ブロックが脚本に加わったところでアルコール依存を克服するための禁酒の会のくだりがそれっぽいくらいで、やっぱり相変わらずのカーウァイ作品であった。でもナタリー・ポートマンとジャガーに乗ってラスベガスに行くあたりからこれまでのカーウァイ作品にはなかったアメリカ的なカラッとした陽気さが漂いはじめ、『ブエノスアイレス』とは全然違う「旅」の映画、つまりロードムービーをほんの少し見せてくれる。出発点でもあり帰る場所でもあるニューヨークのシーンのいじりまくった映像が鼻につくっちゃあつくんだが、キスをしたくなる唇の描写はさすがである。
[映画館(字幕)] 6点(2008-03-31 16:38:04)
385.  ミッション・トゥ・マーズ
デ・パルマとSFがどうにも結びつかなくて、それでもムリヤリにイメージすると設定だけを宇宙にしただけで実際には宇宙船の中だけで語られるサスペンスってとこだろうと思ってたのだが蓋を開けたらCGもさることながらセットもロケも実に繊細で丁寧な宇宙および火星を描き出していてビックリのSF映画であった。冒頭の長回しはデ・パルマの、というよりもアルトマン風。その後の説明を排除するための登場人物それぞれの関係やら人となりが一瞬で提示されるシーンとなる。ただ、2020年という近未来というにはかなり間近の時代設定の中で骨董品扱いのガソリンエンジンの自動車が登場するのに対し、いかにも未来カー・ルックスの自動車がシニーズと共に現れるのだが、いくら未発売のオープンモデルとはいえ「いすゞビークロス」ってのは勘弁してほしい。この辺、スピルバーグ作品との金のかけ方の差異。お話自体はそれなりに面白いものだと思うのだが、冒頭でも火星にたどり着くまでの年月が語られていたと記憶するが(数字は忘れた)その長い年月が描ききれない。イチイチ描いてたら違う映画になっちゃうので仕方ないのだが、そのせいでお話自体が軽くなってしまってるような気がする。あと、やっぱりデ・パルマに壮大なテーマを壮大に語らせるってのはどこか気恥ずかしいものがある。 
[DVD(字幕)] 5点(2008-03-28 13:08:15)
386.  トランシルヴァニア
『ガッジョ・ディーロ』の女版。『ガッジョ・ディーロ』の青年はロマの中に入って行き、ロマの人々と触れ合うことでロマの生き方に共鳴してゆくのだが、この『トランシルヴァニア』の女はべつにロマの人々に共鳴したわけではなく、「何もかもを捨ててただ生きる」という野生的ともいえる本能に沿った行為が結果としてロマの生き方に被さってゆくのだ。格闘の真似事をする女を見た土地の人間があきれるくらいだから、けしてロマ的な女ではないのだろうが、絶望から逃げるのではなく、絶望の中で生きることを選んだ彼女は次第に生きる喜びを見出してゆく。ラストに見せる眩しいばかりの表情にやられた。女はどうしようもないくらいに弱いくせにとてつもなくたくましい。かなわない。そう思わせたアーシア・アルジェントも凄い女優だ。そしてこんなにも生命力に満ちた映画を作ったトニー・ガトリフも凄い監督だ。
[映画館(字幕)] 8点(2008-03-21 17:42:02)
387.  ベンゴ
これはギャングのお話なのだろうか。いつの話なのだろうか。主人公の娘はなんで死んだのだろうか(映画内のお話以前に)。主人公の兄はなぜ人を殺したのだろうか(映画内のお話以前に)。よくわからないままに映画は進む。わからなくても結局困らなかったからいいんだけど。ファミリーの結束はそんじょそこらのギャング映画も顔負けの結束具合で、しかもやたらと男くさいのに怖さがなく、常に家族の結束としての暖かさに溢れている。そこに音楽。声も楽器のひとつなんだと思った。雰囲気は最高にいいんだけど、主人公の葛藤や行動に少々ついていけないところがある。兄の息子を守ること以外に自分の娘の死を引きずっていることも、最後の悲しい決断を促す要因になっているのだろうが、その行為が家族を守るための勇敢なもののようにも見え、ただただ悲しい運命にも見え、あるいは主人公のある意味投げやりな行為にも見えてしまうのが、最後の最後に自分の中で盛り上がりきらない原因になっている気がする。
[DVD(字幕)] 6点(2008-03-19 12:33:37)
388.  ホーンテッドマンション(2003)
アトラクション「ホーンテッドマンション」は怖さよりも神秘さや優雅さを幽霊に吹き込んだ、子供も楽しめるお化け屋敷なわけだが、映画も当然目指す方向はこの「子供も」というところになるんだろうけど、ただ単に「怖くない」お化け屋敷になっちゃったって感じ。原因は明白でエディ・マーフィーという個性におんぶにだっこの映画だから。「怖さ」を取り払うために「笑い」を持ってくるのはいいのだが、全部エディ・マーフィーのコメディアンとしての立ち振る舞いにお任せ状態。しかもキャラクターとして映画を引っぱったカリブの海賊スパロウ船長に対し、こちらはひたすらコメディアン・エディ・マーフィーが引っぱる。演出としての笑いは皆無。怖くもなければ面白くもない。神秘的でもミステリアスでもない。ドキドキがあってもあまりにお決まりのパターン。大人どころか子供にも受け入れられんでしょう。客をなめとる。
[DVD(字幕)] 1点(2008-03-12 12:24:23)
389.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
お話は前作の続きで前作からの伏線の回収があるし、完結せずにいいところで終わっちゃってるうえに三作目につながる伏線らしきものが気になってしょうがないしで、お話的には単品だとチトきついかなとも思うんだけど、個人的にはシリーズで最も楽しめた作品。前作でも元々目的の異なる登場人物たちが結果として同じ方向へと行動してゆく様が面白かったのだが、今回はその目的の違いが明確で、そのことから起こる敵味方の曖昧なラインが登場人物たちの関係をよりスリリングに、より楽しくしている。人食い族から逃げるスパロウの笑わせながらピンチを脱するその洗練された古典ギャグの応酬に大満足。スパロウ、ターナー、ノリントンの三者によるお笑いをふんだんに取り入れた剣の戦いも良かった。シリーズものの辻褄合わせの部分が少々退屈であったりするが、三作目に比べればそれも必要最低限。これはなかなか天晴れだと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2008-03-11 14:06:57)
390.  パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち 《ネタバレ》 
かのアトラクションからここまでの物語を作り上げてしまう創造性に恐れ入りました。また続編への伏線を残しながらもこれはこれでちゃんと完結しているのもウマイ。ま、失敗したときのための戦略なんでしょうが。また、呪われた海賊たちって言わばゾンビなんですが、怖さよりもコミカルさを前面に出し、月の灯りに照らされてそのグロテスクな容姿をさらけ出したときはさらにそのコミカル演出をパワーアップさせて、けして切羽詰らない、どこか楽しい戦いを見せてくれる。へたすりゃ、本来怖いはずのところをスカされたわけで、チープ感こそが漂ってもおかしくないのだが、コミカルな部分を多く担わされているデップ=スパロウが徹底してズルくて自分勝手で自由奔放で酔っ払いで天然でだらしなくて汚くて体の動きがいちいち変で、でもキャプテン、というキャラを完璧にこなしていることでむしろゴージャス感まで漂っている。けっこう楽しめた。
[DVD(字幕)] 6点(2008-03-10 15:09:42)
391.  ヤンヤン 夏の想い出
ヤンヤンの学校でのエピソード、姉の恋、祖母の意識不明、母の失踪、母の弟の新婚生活と仕事、父の青春、、、それぞれが丁寧に繊細に描かれる。どのシーンも省けない。物語上では省けても、一つ一つのシーンが愛おしくって省きようがない。ひとつのセリフにドキッとさせられたり、なにげない動きに優しさを感じたり、ちょっとした沈黙に考えさせられたり。そして、けして哲学的には語られないけど、この映画に人生が凝縮されているような気がする。男と女のドラマがそれぞれ展開される。興味と好奇心、信頼と裏切り、出会いと別れ、嫉妬、セックス、生活、夢、、、。そして家族が描かれ、年齢を重ねることが描かれ、「死」が描かれる。ヤンヤンにとって祖母は「知らない事を聞くと教えてくれる」人。「生きる」ということは知らないことを少しずつ知ってゆくこと。不思議な魅力を発散するイッセー尾形がその強烈な個性とは裏腹に、この美しく、そして優しい映画に奇跡的に染まっている。
[DVD(字幕)] 8点(2008-03-07 16:29:36)(良:2票)
392.  サラバンド 《ネタバレ》 
ベルイマンはこの『サラバンド』より20年も前に『ファニーとアレクサンデル』という遺作を送り出している。映画で出来ることは全てやったと映画界から引退し、テレビと演劇をその後の活躍の場に選ぶ。それよりももっと前からベルイマンは映画よりもテレビに興味を持っていた。芸術をより多くの人たちのものとしたいと考える彼にとって映画が大衆性を損ないつつある中で、より大衆性の強いテレビというメディアに可能性を求めたのかもしれない。 しかし彼は映画に帰ってきた。年齢からしてもおそらく本当の遺作となるだろうことを覚悟したうえで、彼は最後の最後に映画を選んだのだ(そして本当に遺作となった)。しかもスウェーデン国内で社会現象まで起こした“テレビ”ドラマ『ある結婚の風景』の続編を“映画”で。さらに最新のデジタルハイビジョンで。 何故、映画に戻ってきたのかは知らない。メディアとしての可能性が映画にあると考えたのか、ただ映画が好きだったのか。とにかく映画に帰ってきたことに素直に感謝し喜びたい。  この作品が描くのはベルイマンが描き続けてきた「家族」であり「愛」である。親と子の関係が映画の中に3つあります。物語のメインとなる親子は、親の子に対する独りよがりな愛でもって子を不幸にする。この親の父、つまり『ある結婚の風景』の主人公でもあった親とその子(つまり先の親子の親)は本心から憎みあっている。そのはずなのにあることが起こって父は夜も眠れずに震えて泣きじゃくる。体が反応する。子を愛していると。それらを見たリブ・ウルマンが病気の子供を訪ねる。親は子を、子は親を本能的に愛している。夫婦の間にあるものとは全く異質にして絶対的なもの。どちらの愛も時には喜びをもたらし時には辛さをもたらす。ベルイマンの哲学でありこの世の心理。 『ファニーとアレクサンデル』はたしかにベルイマンの集大成であったと今尚思う。 一方で『サラバンド』はベルイマンの思想的・哲学的集大成なんだと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2008-03-04 15:19:25)(良:1票)
393.  今宵、フィッツジェラルド劇場で 《ネタバレ》 
誰かが楽屋で話している姿が映され、次のカットに移る。次のカットにはその前のカットの話し声が遠くに聞こえる。誰かが歌っている姿が映され、次のカットに移る。次のカットにはその前の歌声が流れている。例えば、群像劇のお手本のような『ショート・カッツ』は大袈裟に言うならば編集作業でどうにでもなるような気がするが、皆が皆、同じ場所にいるこの『今宵、フィッツジェラルド劇場で』でこそ、音と光のコントロールを駆使し、編集の選択の限られたアルトマンの群像劇を堪能することが出来るかもしれない。さりげないけどお見事。お話はひとつの時代の終焉を描いている。そこに誰かをこの世から連れて行こうとする天使が現れる。まるで「遺作」であることを前提に作ったようなお話だ。結果として本当に遺作となったこの作品はあまりに遺作らしい作品になっている。人間の本質をちょいと毒を効かせて語ってきたアルトマンが、今度は毒のフリをした心温まる調味料をふりかけている。ラストの天使を見やる皆の表情がいい。
[DVD(字幕)] 7点(2008-03-03 11:36:56)
394.  ジェリー
いろんな解釈ができる?うん、まあ解釈は自由ですけど、ガス・ヴァン・サントは観客をどこかに導こうとしているわけでも何かを言いたいわけでもなく、解釈の自由を提供しているわけでもないと思う。観客には何も求めない。ということは商業映画にあらず、まさに実験映画。二人の男が歩く。だだっ広い荒野をひたすら歩く。その姿を延々と撮る。それだけ。その中から画面に「何か」を出現させる試み。二人がまだ危機感を覚えない初日に走るシーンがあるのだが、完璧に二人を収め続けるカメラの異様なまでの滑らかな動きに一種の恐怖感を感じる。何をも見逃さないとするカメラ。雲が流れる空、光の度合いの変化、それでも何も起こらない、そんな中で響く足音は恐ろしいまでに二人の不安を、あるいは焦りを見せ付ける。広大で美しい絶景はそのあまりの広大さと美しさによって絶望を見せ付ける。とんでもない作品である。この作品は後年、ガス・ヴァン・サントを初期ガス・ヴァン・サントと後期ガス・ヴァン・サントに分ける記念碑的作品になる。
[DVD(字幕)] 7点(2008-02-20 13:15:06)
395.  エレファント
日常が非日常の世界に変わるその瞬間に向かって淡々と流れる時間。しかし日常の中にすでに事件が始まっていることを、数人の生徒が学内を歩き回る姿を延々と追いかけるカメラが映し出している。存在を誇張されるアメリカン・フットボールの選手たち。存在を認めてもらったように嬉しく写真に収まる人たち。存在を否定されるメガネの女の子。他人の存在を無慈悲に否定する三人のバカ女どもの自意識過剰ぶり。そして存在の確認を銃によって証明する者・・。コロンバイン高校銃乱射事件を題材に持ってきているため、当然ながら社会派の色合いが出ており、それゆえに各映画祭での好評を得ているのだろうし、その語り口も巧いとは思うものの、個人的にはこの社会派の部分は蛇足に感じていたりもする。それほどに『ジェリー』以後のガス・ヴァン・サントの映画は、思想だとかメッセージだとか実際に起こった事件の記憶だとかそのことに対する意見だとかを無視しても、単純にそこ(画面)に映っているものだけで映画が成り立っており、またそこに映っている全てのものの相乗効果でもって緊張感やら孤独感やらといった目に見えないものを表現する。「エリーゼのために」は印象的ではあったけど、これも要らないかもしれない。
[DVD(字幕)] 7点(2008-02-19 13:15:17)(良:1票)
396.  ラストデイズ(2005) 《ネタバレ》 
男が森を歩く姿が延々と映される。いや、歩く男がいる森が延々と映される。その森はもちろん美しく撮られているんだけど、それ以上に妙な緊張感をはらんでいる。何かが起こりそうな。『エレファント』に次いでこれもまた『ジェリー』の遺伝子を露骨に継承する。しかし上記2作品のような「陰」のイメージが現れそうで現れない。ひたすら「孤独」ではあるのだけど。そして「陽」のイメージがところどころでフッと現れたりする。作中の主人公はラリっているようにも見えるが、その奇行ぶりはドラッグによるものというよりも天才ゆえの奇行として描かれているようにも感じる。そこにヴァン・サントのカート・コバーンへのリスペクトを感じる。謎に満ちた男の死を興味本位で語らない。貶めない。ただ死ぬだけ。マイケル・ピットがものすごく様になってた。
[DVD(字幕)] 7点(2008-02-18 17:06:43)
397.  名探偵コナン 天国へのカウントダウン 《ネタバレ》 
「名探偵コナン」は「事件→解決」という推理漫画であると同時に別に大筋の物語があります。もともと新一がコナンとなった原因である「黒の組織」との戦いです。で、劇場版コナンで今のところ唯一「黒の組織」が大きく絡んでくる作品がこの「天国へのカウントダウン」なのです。この作品でも「事件→解決」というパターンが当然描かれるのですが、その部分では他の作品と大差ないというか、どうでもいいというか、とにかく「黒の組織」と比べたら、どんな卑劣な殺人犯もかすんでしまうわけで、だからこの最高の敵キャラが登場するこの作品は別格的な面白さがあるわけです。全く関係のない殺人事件と「黒の組織」との絡ませ方が絶妙で伏線を張りまくったストーリー展開は絶品です。お約束の新一(コナン)と蘭のラブラブシーンは、ココだけの話、泣いてしまった。ホース巻き付けてダイブするところね。劇場版コナンの最高傑作だと思います。今のところね。
[映画館(邦画)] 7点(2008-02-15 13:20:22)
398.  名探偵コナン ベイカー街の亡霊
バーチャルリアリティゲームの中で命懸けのゲームに挑むというかなり飛躍した設定は、その飛躍ぶりにおいてシリーズ中でも最たるもので、劇場版だからこそ描けた設定ともいえる。ただ、いくら「名探偵コナン」があり得ないことだらけの漫画であっても、世界観そのものがココまで現実離れしてしまうと個人的にはどうもしらけてしまう。「命」はゲームのようにリセットできないというメッセージも、ゲーム内でどんどん子供たちがゲームオーバーとして消えてゆく姿で感動を煽ることでむしろ「命」を軽んじたような結果となってしまっている。お馴染みのキャラクターでありながら滅多に登場しない父、工藤優作の活躍という、サブキャラ投入によって「名探偵コナン」ファンに対するサービスと同時にマンネリ打破という効果を狙っていると思われるが、その部分に関してはまずまずの効果はあったと思う。
[映画館(邦画)] 3点(2008-02-14 11:02:25)
399.  名探偵コナン 瞳の中の暗殺者 《ネタバレ》 
コナンファンのヨメ(当時はまだ結婚してませんでした)に付き合って並びましたよ。子供ばっかりの列に。その長い行列が一番印象に残ってる。いつも新たな登場人物に名前や職業の字幕が出て、いわゆる容疑者を我々に提示するのだが、その提示された瞬間に、一人だけ全く容疑者前としていないという理由で犯人が予想できてしまうという粗さがまず痛い。犯人がただただコナン(新一)と蘭のロマンスを盛り上げるためだけとしか思えない不可解極まりない思考と無謀な行動を繰り返し、全体的にムリヤリ感が充満している。それでも一番の見せ場となる告白シーンにウチのヨメはいちいち「キャ~!!」とか「イヤーン」とか叫ぶのだが、まあ、そうやって楽しむ作品なんだろう。そうでもしないとクサすぎて見れないでしょ、コレは。
[映画館(邦画)] 4点(2008-02-13 17:28:31)
400.  名探偵コナン 水平線上の陰謀
毎年毎年よく考えるなあと感心する。途中からワンパターンから抜け出そうと人気のあるサブキャラの活躍で急場を凌いできた感があったがそろそろ限界かなと思ってた矢先の今作は、サブキャラの助けを借りずに王道で頑張っている。コナンのアクションシーンがかなり少ないのだが、そのぶん本筋の推理以外のかくれんぼや園子の居場所の推理といった推理漫画ならではの展開で楽しませてくれる。ラストはこれまた本筋の事件とは関係のない蘭のピンチ。ウチの娘は何度も見てるくせにラスト付近になると、蘭ちゃんは?蘭ちゃんは?とウルサイウルサイ。とまあ、視覚的にも一人閉じ込められているという画は、けっこうドキドキさせてくれる。毛利のおっちゃんが滅法かっこいいというのもたまには良い。
[DVD(邦画)] 6点(2008-02-12 11:32:20)
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