401. クラッシュ(2004)
《ネタバレ》 「人種問題」という非常にデリケートなテーマを、ファンタジーの要素を交えながら練りに練られたほとんど無駄の無い脚本と幻想的な映像で描いた良作です。 無知や無理解からくる他民族に対する恐れや不安に対する過剰反応、社会的に抑圧された弱い人間が更に弱い(と判断した)人間を叩いてしまう構図等、結局差別を引き起こしているものは、人間の持つ弱さなんでしょうね(まあ、権力がそういった足の引っ張り合いを利用している部分もあるのでしょうが)。 この映画は、人種問題について「同じ人間同士なんだから絶対に分かり合える」といった理想論を伝えようとしているわけではなく、差別を引き起こす人間の様々な弱い部分をストレートに描写し伝えることによってこの厄介な問題についてもう一度冷静に考え直すきっかけを観ている我々に与えてくれているのではないでしょうか。 [DVD(字幕)] 8点(2008-02-02 22:38:58) |
402. オリヲン座からの招待状
《ネタバレ》 ストーリーを追うというよりは、時代の雰囲気を味わう映画という感じですね。その中で、宮沢りえの不思議な存在感が非常に光っていました。 しかしまあ、原田芳雄も普通に老け役を演じる年になってしまったんですね・・・・・。 [映画館(邦画)] 7点(2008-01-29 18:18:25) |
403. 自虐の詩
《ネタバレ》 しかし、中谷美紀は「嫌われ松子の一生」(どうしても比較してしまいます)もそうでしたが、こういう幸薄い女性の役が本当にハマりますね。この作品でも見事な(?)薄幸ぶりを見せてくれています。 完成度の高さでは厭らしいほど緻密に作りこまれた「嫌われ松子の一生」には及びませんが、観終わった後に晴れやかな気分にさせてくれる作品でした(まさに松竹人情喜劇という感じですね)。 [映画館(邦画)] 8点(2008-01-26 21:09:06) |
404. オーロラの彼方へ
《ネタバレ》 感動必至の親子愛映画かと思ってみたのですが、この作品はそれだけに止まりませんでしたね。タイムトラベルを上手く使ったSFサスペンスとしても非常に楽しめる作品でした。ちょっと展開が都合良すぎる気もしましたけど・・・・。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-01-26 20:24:19) |
405. プラハ!
《ネタバレ》 前半部分の青春ドラマが明るく華やかであるだけに、最後の「プラハの春」の終焉が非常に重く感じられます。画面の色彩も最初は原色が多く使われていたのが、最後は灰色にくすんだ感じになってましたからね・・・。音楽のセレクトも非常に素晴らしかったですね、特にラストシーンの「Where have All The Flowers Gone?」が印象的でした(「Downtown」のチェコ語バージョンや「San Francisco」も良かったです。)。サントラ欲しいですね。 しかし、プラハの話では無いのに何で「プラハ!」なんだと思ったのですが、担当者のインタビューを読むと何とか日本で上映するためにやむを得ず付けたようですね。 [DVD(字幕)] 7点(2008-01-26 19:55:18) |
406. いのちの食べかた
《ネタバレ》 非常に勉強になりました。食物が我々のもとに届くまでの過程がよくわかりましたし、多くの人達の労働そして様々な命の犠牲の賜物であるのだなと感じました。本当に、食べ物を粗末にしたらバチがあたりますね。 しかしまあ、「生産の効率化はここまで来ているのか!」という感じですね。特にヒヨコの場面はちょっと衝撃的でした(ヒヨコのタフさにも吃驚です)。 内容的にはナレーションも無く映像が流れるだけなのですが、映像(塩の採掘場が幻想的でした)・展開等巧く作られており飽きることはありませんでした。 [映画館(字幕)] 7点(2008-01-21 12:21:26) |
407. がんばれ、リアム
《ネタバレ》 良い映画であることは間違いないのですが、この邦題はちょっとどうなんでしょうか・・・・。何か、タイトルから思い描いていた内容と全然違っていてちょっと騙された気分です。 ただ、ストーリーとしては、第2次世界大戦前になぜ欧州にファシズムが台頭していったのか、今も残る移民問題は何故起こるのかということを加害者側(実は被害者でもあるのですが・・・)の視点から描いていていろいろと考えさせられました。 「弱い者がさらに弱い者を叩く」という人間社会の負の連鎖は見ていて本当に哀しくなってきます。日本も他人事ではありません・・・・ [ビデオ(字幕)] 8点(2008-01-17 19:20:09) |
408. 世界の中心で、愛をさけぶ
《ネタバレ》 いろいろ賛否両論ある映画のようですが、私は好きです。とにかく、ありきたりなストーリーをこれだけの美しい映画に仕上げた監督・スタッフ・出演者(長澤まさみが良かったですね)等関係者の皆さんに拍手を贈りたいです。本当にこの世界を映画館で味わえなかったことが残念です(当時は「何がセカチューだ」とか思っていて、食わず嫌いで避けてたんですよね・・・・)。 [地上波(邦画)] 8点(2008-01-05 15:01:33) |
409. 太陽に恋して
《ネタバレ》 同じ監督が撮った「愛より強く」に衝撃を受け、この作品を手に取ったのですが、これまた素晴らしいロードムービーでした。本当にストーリーも良く練られているし、次々に出てくる魅力的な登場人物たち、そしてドイツから東欧を経由してトルコに至るまでのエキゾチックな光景等々文句なしです(カーチェイスのシーンも迫力ありです)。 今後もファティ・アキン監督は大注目していきたいですね。本当にこの人の作品を観ていると気分が凄く高揚してきて「サイコー!」な気分になってきます。早く新作が観たい! [DVD(字幕)] 8点(2008-01-02 23:20:49) |
410. ブリッジ
《ネタバレ》 「自殺」という、誰もが目をそむけてしまいがちな、しかしながら切実で重要なテーマを取り上げているだけでも非常に意義のある作品だと思います。文章では数多く語られているテーマを、映像として記録していることは評価したいですね(賛否両論はあるでしょうが)。このテーマについて我々観客に考えさせる上で、想像力を喚起させるのではなく、冷徹なまでにありのままの状況を見せる手法は非常に効果的だと思いました。 ゴールデンゲート・ブリッジの壮大で美しい姿が非常に印象的でした。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-26 18:13:45) |
411. サイドカーに犬
《ネタバレ》 薫と同じように1980年代初頭に小学校4年の時代を過ごしていた者としては、懐かしさを感じさせる映画でした。自販機の釣銭チェックとか良くやってましたね・・・・偽造コインは使ったことはありませんが(さすがに電子ライター部品での電気ショックネタはありませんでしたね)。内容的にも子供と親をはじめとする大人たちとの関係の微妙さを上手く描いていて、非常に共感できました。 あと、竹内結子の好演が光っています(私生活のトラブルが女優としての肥やしになったのかも)。ああいう格好いい大人が子供に与える影響って大きいんですよね・・・・。 [DVD(邦画)] 8点(2007-12-24 00:32:32) |
412. こわれゆく世界の中で
《ネタバレ》 派手さもなく淡々とした映画ですが、じんわりと心に染みる佳作です。現代の世知辛い社会の中での人間関係のあり方についていろいろと考えさせられるところがありました。音楽も非常に良かったです。 しかしまあ、ジュード・ロウ演じる主人公の行動はちょっとどうなんだ?と思うところはありましたけど・・・・。最後も背中を押されてからじゃなくて自分の意思で助けに行けよ!と言いたいですね。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-22 16:40:32) |
413. ベルンの奇蹟
《ネタバレ》 サッカーそしてスポーツの素晴らしさを味わえる作品でした。第二次世界大戦の敗戦で大きな痛手を受けたドイツのある家族の葛藤の描き方がやや重いのですが、それ故に後半のファンタジー的展開が非常に効いてきました。 代表監督のゼップ・ヘルベルガーの言葉が非常に含蓄があって良かったですね(オシム監督を思い出してしまいました)。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-22 15:56:37) |
414. しゃべれども しゃべれども
《ネタバレ》 下町風情に溢れた、派手さはないけれども非常に爽やかな気分にさせてくれる作品でした。 しかし、故・桂枝雀の芸のインパクトは非常に大きかったですね。本人の姿自体はビデオでほんのちょっと出てくるだけですけど、それを真似る子役の演技が凄かった。ところどころで、枝雀が乗り移ったかのような表情になるんで、ちょっとドキっとしてしまいました。 ちょっと、恋愛話の部分が拙稚な感じでしたが良い作品だと思いました。 [DVD(邦画)] 7点(2007-12-16 18:07:08) |
415. サラエボの花
《ネタバレ》 戦争という愚かな行為が、(兵士だけではなく)様々な人間の人生にいかに深い傷跡を残しているかを、サラエボのある母娘の姿を通じて描いた作品です。正直、あまりにテーマが重く衝撃的で、上手くコメントができません。サラが母から秘密を明かされる場面や父親に似ていると言われた髪の毛を剃り落とす場面などは余りにも痛々しく目を背けたくなるほどでした・・・・。ただ、ラストはかすかに希望を残して終わっています(サラが手を振るのを見た時のエスマの笑顔が非常に素晴らしく印象に残りました。)。 [映画館(字幕)] 8点(2007-12-16 17:21:00)(良:1票) |
416. ALWAYS 続・三丁目の夕日
《ネタバレ》 何というか、砂糖がたっぷり入った苺ショートケーキのようなひたすら甘い映画でしたね。ちょっと胸焼けしそうになりました。まあ、前作同様昭和を舞台にした時代劇といった感じです。 しかしながら、この作品の凄いのは昭和30年代風映像の作りこみ方が半端なく凝っているところですね。もう最初のゴジラから圧倒されてしまいました・・・・。それ以外にも、当時の日本橋や羽田空港などが映し出されていて、今の姿と比較しながら見てしまいました。 まあ、ストーリーが前作の続きなので、まずは1作目をみてからこの作品を見た方が良いかと思います。 [映画館(邦画)] 7点(2007-12-16 17:18:10) |
417. ブラックボード 背負う人
教師達がまるで行商人のように黒板を背負いながら教える生徒を探す姿は、中々インパクトがありました。また、国を持たず迫害されたクルド人たちの姿を、ドキュメンタリータッチで描いていて非常に興味深かったです。日本ではあまり馴染みのないテーマを取り扱っているので、ある程度の予備知識を持った上で見た方が良いかと思います。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-12-12 12:40:34) |
418. 図鑑に載ってない虫
《ネタバレ》 小ネタ満載の笑いの中で、世間からちょっと取り残された人間たちの姿を描く三木ワールドは健在ですが、何かこの作品はイマイチでしたね。まあ、「シニモドキ」を探すというストーリーにあまり興味が持てなかったですし、伊勢谷と松尾スズキのコンビ(+菊地凛子)も何か上手く噛み合ってなかったですね。 しかし、この人の映画で映し出される風景は、何というか世間や時代に取り残されたような雰囲気が漂っていて好きですね。 [DVD(邦画)] 5点(2007-12-11 12:32:43) |
419. 悪い男
《ネタバレ》 はっきりいって、暴力的でストーカーという最悪な男(極道としては男前ですが)による最悪な物語です。しかし、そんな最悪な物語に魅力を感じてしまうのが男って生き物なんですよね・・・・。 [DVD(吹替)] 6点(2007-12-09 22:10:06) |
420. ツォツィ
《ネタバレ》 ヨハネスブルグに並立して存在する高層ビルが立ち並ぶ近代的な街並と荒廃したスラムのあまりの違いに驚きました。同じ赤ん坊でも生まれた場所が違うだけで、人生(それも豪邸か土管かというような非常に格差のある)が決まってしまう不条理さをクールに描いており、非常に衝撃を受けました。 [DVD(吹替)] 8点(2007-12-08 13:16:38) |