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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2000
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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441.  ヘレディタリー 継承 《ネタバレ》 
・・ああやだやだ。嫌だーこの映画。なんか怖がらせてくるというより、ヤな気持ちにさせる嫌がらせのような映画である。えげつないんですよねやり口が。小説に「いやミス」があるなら、こちらは「えげつなホラー」とでもジャンル確立できそうな。 悪魔信仰云々といった正統ホラー描写は宗教の違いもあってか、別に怖くない。けど人の気分を胸糞悪くさせる中盤まではホント消耗する。妹を事故で死なせた兄ちゃんが現実逃避するあのいたたまれなさ。翌朝長々と耳障りに響くトニ・コレットの絶叫。トニ・コレットのガサガサした感じの顔もしんどいが、あの娘役の顔がこれまたキツイ。一体どうやったらあんな不吉なオーラをまき散らす顔になるのか。あの子の担任になるのは絶対ゴメンである。 ‟親として絶対子どもに言ってはいけない”ことばかりを息子にぶつけるトニ・コレットの毒親ぶり。その言葉に削られてゆく息子の土気色の顔。えげつないって。誰だって辟易する。 「家」もヘン。やけに奥行きあり過ぎ、だだっ広い空間が多くて昔の旅館みたい。撮影のために建てたんだとか。生活動線を考えてない住居ってこうも居心地悪いもんなのか。 現代アメリカンホラーの最高作との呼び声高い本作、たしかに強烈なパンチは食らうけれど個人的には「怖い、でも美しい」シャイニング的ホラーの方が好み。ほんとやだったあ 二度と観ない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-20 23:45:20)
442.  華氏119 《ネタバレ》 
何故トランプが大統領になり得たのか。その原因を民主党政権の時代にさかのぼって多角的に分析した本作は、これまで「怒り」をベースにしたムーア監督に「疲れ」や「絶望」も垣間見えてアメリカの闇が深まった感がありました。 ごりごりに「左」の監督が民主党への批判をも縷々織り込んで展開してみせるは拝金主義に陥った米政治の混沌ぶり。彼の故郷ミシガン州フリントの水問題のくだりでは、「新しいアメリカの象徴」として輝かしく大統領に就任したはずのバラク・オバマの骨抜かれぶりが記録され、かの地の住民ほどではないにせよ日本人のわたしも衝撃を覚えました。 ヒラリーが献金漬けなのは有名な話だし、政治信条など無いトランプは時に民主党以上にリベラル発言をしたりで場は混乱。結果「どっちも嫌」という有権者を大量に生むことに。 これまで漠然と「米国は民主主義のチャンピオン」と思っていたけれど、実はかの国でも未だ民主主義は到達すべき理想形に過ぎないのだという学者の指摘には、問題がそびえたつほどの山積なのだと思い知らされます。 すぐになど変えられない。でも声を上げないとどんどん専横がまかり通る事態になる。その恐ろしさを胸に刻んで、この国でも選挙には必ず行かなくちゃ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-18 23:31:07)(良:3票)
443.  ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー 《ネタバレ》 
マイケル・マンとJ・カーンというのも幸福な取り合わせだと思う。「男」でなく「漢」を撮りたい監督と、武骨でちょっと粗野な感じも併せ持つカーン。この手の男優さんはめっきり少なくなりました。最近はみんな小ぎれいでデリカシーも満タンになっちゃって。 徹頭徹尾男汁が溢れ出る。金庫破りのシーンひとつにしても実に丹念に時間をかけてカメラ固定で「男子一生の仕事」ぶりを描写。ついでに仕事を成功させた直後のカーンの埃ですすけた顔も長映し。この時の満足げな表情もまた渋い。 嗚呼、己はカタギになれぬ身と悟った男は幻想を破り捨て、女房を追い出し手を血に染めに向かうのだ。自宅も店も後腐れなく破壊して。ボンネットに映える電飾の煌めき、夜の空を焦がす炎。映像も美しい。 どうですこのハードボイルド気質。撮っててシビれちゃっただろうなー。わたしはハードボイルド苦手なんですがね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-17 23:18:46)
444.  アンフォゲタブル 《ネタバレ》 
「アン××ブル」ってタイトルの映画他にも色々あったよなー。きっとコレもそのうちどんな内容だったか思い出せなくなりそうな。しかし「レイ・リオッタが主演の」と言ってくれれば ああ、となりそう。だってこの人が主役を張るっていうのがもう珍しいもんね。 顔つきが(役者としては幸運なことに)小ずるくて信用置けなさそう(わたしの主観)だもんだから、役どころもそんなバイプレイヤーキャリアの彼。本作はアルコールに溺れた過去を持ちながらも妻愛に満ち、殺害犯を我が身をリスクに晒しながら探し続ける、しごく「正」側のキャラクターであります。レイはまあ好演と言えるのでしょうが、犯人像が二転三転するという展開も相まって、わたしはどーしてもレイへの固定観念が捨てきれず「結局この人が殺したんちゃうの?」と思い続けてましたから、‟真犯人探し”のプロットを生かすためにも客が勝手にミスリードするこの配役は絶妙だったのかもしれません。レイすまない。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-08-13 23:30:15)
445.  ビューティフル・デイ 《ネタバレ》 
作品紹介でスリラーとあったのですが、本作は違いますね。人の死に方がオソロシくて血も飛びますけど、テーマはPTSDと闘う男の凄絶な心の軌跡。画も音楽もビターで内省的。とりわけ音楽は劇中のラジオが音源だったりすることが多く、これが作品世界にすっと入っていける効果をもたらしているように感じました。 ホアキン・フェニックスが只事じゃない重たさです。幼少期の父親の虐待に始まって、軍の任務で経験した数々の不条理な暴力でジョーはすっかり心をやられてしまいました。何度も死のうとして、でもギリギリ踏みとどまってきたのは母親の世話があるから。二人でフォークを磨いたり、子どもの頃に口ずさんだ歌を思い出したりする姿は、説明の少ない本作の中で彼らの結び付きがうかがい知れる心安らぐ場面でした。 母親は死んでしまったけれど、ニーナがいてくれる。観る者が希望を抱くのは、彼女が若くて心の芯が強そうだから。彼女もさんざん傷ついているのに「今日はいいお天気よ(It's a beautiful day) 」とジョーが立ち上がるきっかけを与えることができるのだから。 窒息しそうなジョーが息をつくことのできる人生を取り戻してほしい。ショッキングなラストの自死のシーンが現実でなかったと分かった時、わたしは本当に、心からほっとしました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-08-11 23:41:15)
446.  ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ 《ネタバレ》 
続編というのは難しいものですけど。これもねえ・・。デル・トロのキャラクターが変わってしまっているのは大変に痛い。前作の‟闇に生きる者”としての凄みがほとんど感じられない。三段階くらい安い話になりました。女の子一人を守る為に身体を張る元検事、現殺し屋。リュック・ベッソンかいな。 車中からトバす眼光の鋭さや、側頭部を撃たれてなお瀕死でハンドルを握る鬼気迫る姿は生への執着が漲り、さすがデル・トロ。彼の演技だからこそ作品水準は一定の高さに保ててはいますけども。 細部の粗も気になっちゃうなあ。冒頭の敵対マフィア弁護士を街中で撃つ描写がまず安っぽくて嫌い。あれでは三下のチンピラみたいです。 組織の使い走りの子が夜目にデル・トロを認識したのもあまりにも都合よくないですか。一度駐車場で車内の人間と目が合っただけでしょう?それをあんな闇夜で変装すらしている男と見破ることができるもんかね、とここはどうしても引っかかって嫌でした。他のプロットを考えてほしかった。わたしが人の顔を覚えるのが苦手だからかもしれないけど。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-08-10 23:24:41)
447.  オーガストウォーズ 《ネタバレ》 
ロシア製の堂々たる娯楽大作です。正直こんなに‟こなれた”映画を作ってくるとは驚きました。男優も女優も画面負けしない一流どころで、まあ冒頭のCGの出来はさておき人間が演じる部分には画の背景や質感に安っぽさがありません。とりわけ世界水準レベルなのが戦闘場面で、砲弾散らかるガレキだらけの現場のリアリティはもとより、狙撃兵からの攻撃がいつ来るのか静と動の描き分けが巧みで緊迫感を煽ります。ここらの演出の洗練ぶりは「ブラックホーク・ダウン」や「フルメタルジャケット」等の先達からきちんと学んでいるような感があります。 惜しむらくはいろんな娯楽要素を盛りすぎかなあ、ということ。CG仕立てのクリーチャーらが跋扈する様子はSFバトルのようで非現実気分になりますが、しかし人の命が軽い戦地の不条理や酷さは「ハート・ロッカー」レベルですし、箸休め的にちょっとしたロマンスまでぶっこんで節操がないまでのごった煮の様相を呈しています。作品を壊すほどにバランスが悪いわけではないですがね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-09 23:41:21)
448.  殺し屋たちの挽歌 《ネタバレ》 
例えば銃撃戦や激しいアクションなどは目が慣れてしまうことがありますが、静かなまま、ひりひりと最後まで手に汗握らされる心理戦ドラマがあります。この映画がまさにそれ。 殺し屋2名とターゲット一人、巻き添え人質が一人。四者四様の思惑が交錯し、狭い車内に充満する不可思議な空気。不可思議オーラはもっぱら殺られる運命のT・スタンプが醸します。死を恐れぬ淡々とした死生観に、さしものベテランヒットマンである非情のJ・ハートも心を動かされるのでした。・・が、いやこれがね、まさかのラストへの慎重に敷いた伏線とはね。人の心は測りがたし。心に生じた静かな感銘をアッサリ裏切られたJ・ハートの狼狽したような表情たるや。気持ち、分かる。 逆らう新米手下は切ってしまおう、というところまではジョンの心の内にあったことでしょう。でもいっとき「天晴だ」と感嘆し本名まで明かしたテレンスに気持ちをスカされるとは予定外。かくして彼の判断が狂い、女を逃がしたばかりに自らの首を絞めることになるのですねえ。人生一寸先は闇ですね。 皆良い芝居をしています。なかでも映画初出演のティム・ロスがチンピラ顔を大いに活かしてのびのび子分役を演っており、印象強烈です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-08 23:24:38)
449.  スクリーム(1996) 《ネタバレ》 
いろんなレビューを見たところ、ホラーにコミカル要素が混じるのがツボなようで受ける人には受けてるみたい。確かに「○○、後ろ後ろ!」みたいな場面があったり、妙に転び方のキレの良い殺人鬼とかはコント風でしたが。でも、ぐさぐさとナイフ刺さったり、シャッターに吊るされた女子とかスプラッタ場面もしっかり怖いじゃないですか。笑うに笑えないというか。 話に粗が多いのはホラーの通常運転なので流せるんだけど、ワタシ序盤にドリューがポップコーンのコンロ火を消さないのが気になって気になって。二度もコンロの前通ってんのに。煙もうもうなのに。ホラーの登場人物って火を消さないものだっけ?火事は当座の不審者より怖いぞ。あ、それとホラーの定番外しといえばTVの女レポーターのまさかの活躍。マスコミの女はウルサイだけなのが常道ですのにね。以上気になった二件でした。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2020-08-03 23:01:25)(良:1票)
450.  ホームワーク(1989) 《ネタバレ》 
監督自らが我が子に課せられる宿題に疑問を抱いて、子ども達や親ら現場の声を集めたドキュメント。学校側の言い分が無いのはちょっと公平ではない気もするけれど、80年代のイランに於いては学校や先生は「権威」であったぽいからカメラを向けることは恐れ多かったのかしら。 もっと広くて明るい部屋は借りられなかったの?と思わずにいられない暗く狭い小部屋でライトを当てられる子どもたち。ちなみに全員男の子。どの子も宿題は手に余っていて、家の事情が何通りも語られる。子どもなのに「タテマエ」をわきまえている子もいて、テレビより宿題の方が好きとか言う。見え隠れするのは年長者や大人という存在が我が国よりずっと強くて強権的にすら感じること。 人の国の教育の在り方にどうこう口をはさむ気はない。もちろんこの作品はイランの人々が観るべきものだろう。 宿題について聞かれて困った顔をしたり、時にはべそをかいてパニック気味になる子もいたりだけど、冒頭学校の外で「何の映画を撮っているの?」とわらわらと聞いてくる彼らは別人のように生き生きと子供らしくてほっとした。あんないい顔で日々を常に送ってほしい。どこの国とも喧嘩せず、大人になれたらいいのにね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-08-02 22:44:07)(良:1票)
451.  キッズ・オールライト 《ネタバレ》 
両親と子どもが二人の家庭。妻が家族ぐるみの付き合いのあった男と浮気してしまった。当然家庭の空気は悪くなり、思春期の子どもらへの影響も計り知れず・・と書くと凡庸なホームドラマだけれど本作は夫婦がレズビアンカップルで、浮気相手が子どもらの精子提供者だというヒネリにヒネったシチュエーションである。 いやあー、考えさせられましたねえ。なまじ設定をノーマルな家庭環境にしなかったため、「家族」というシステムの定義しづらさ、曖昧さを浮き彫りにする効果がありました。 即ち「生物学上の父は家族となり得るか?」 本父ポールはいい線行ってましたよね。独身の気楽さがちょっと鼻につくけど人好きがして、明るく積極的な性格がニックの家庭には無い資質で子どもらもジュールスすらも惹かれてゆく。アネット扮するニックはこの家で父性的な役割でしたから、初めからポールに対して「侵入者」への警戒心が強かったのも無理はないです。だって相手は「正真正銘の」父なんだもの。いくら女医でも彼女には真似できない。ほんと設定の妙が活きますな。 わたしはマーク・ラファロ扮するポールに反感は抱かなかったので、ジュールスと事があったのち、子どもらが一斉に怒りを向けてきたのにはむしろ驚きすら感じました。つまりこのことこそがこの映画のアンサーで、やはり「家族」を作り上げるのにかかった年月はそれなりに重いのです。特に子どもにとっては、人格形成期に愛情を注いでくれた大人がやはり親なのですね。 そして四人が「家族」なんだ、ということをこの上なく表したジョニの巣立ちの場面。ワタシは思わずもらい泣きしたのですが、一人家を離れる長女を別れ際に抱きしめる両母親の姿は娘を手放す寂しさや祝福、心配がないまぜとなりA・ベニングとJ・ムーアの演技力の真骨頂を見せられます。まさしく長年手塩にかけて我が子を育ててきた者でないと出せない感情であり、やはり「単なる良い人」ポールでは無理でありましょう。 そして、息子もまたちゃんと成長を遂げていました。15才という難しい年ごろ、両親がゲイ・カップルということに事あるごとに反抗的な態度を見せていましたが最後に車中で「別れちゃダメだよ。もうトシなんだから」ですって。涙なくして聞けましょうかこの台詞。 初め、正直なところレズビアン両親にどうも気持ちが入りづらかったのですが、観終わってみれば彼らの家庭にとても親近感を抱いていました。脚本も演技もとても良いです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-08-01 23:20:35)
452.  ロボコップ(1987) 《ネタバレ》 
なんとなくタイトルからメカ警官がバンバン銃をぶっ放してばたばた悪人をやっつける爽快ドラマを想像していました。だいぶ違いました。だってそりゃ監督がこの人だものなあ。 作品の根底にびっしりと悪趣味や底意地の悪さが通底しており、爽快のソの字もない。 P・ウェラーに銃弾を浴びせてなぶり殺しにするチンピラ集団の極悪ぶりはお茶の間にそぐわないほどだし、彼の所属する警察組織はいわば身内なのに上層部はろくでもない連中ばっかで非人道的なロボトミー手術を勝手に施す始末。唯一人間らしく側に寄り添ってくれたナンシー・アレンにすら、あんな最期をくれてやるのかね。監督ヒドくない?マーフィー「大丈夫だ復活するさ。俺みたいになって」って、励ましなのか冷たいのかそれとも笑うトコなのか判別つかなかったんですが。 甘さ一切なし、どことなく牧歌的なタイトルとは真反対の苦いテイスト。ナンシーと恋仲になるとか、署の誰かが彼の非運を嘆いてくれるとかそういったヒューマニズム要素を排除した、稀にみるハードな作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-28 23:15:32)(良:1票)
453.  深夜の告白(1944) 《ネタバレ》 
正統派の保険金殺人モノ。正統もなにも、この作品こそがこのジャンルの草分け的存在なのでした。 色と欲に目がくらんで計画を実行する語り部と、黒幕悪女、そしてトリックを見破る推理役とこの手の話に必要なオールキャスト揃えで、穴がありません。 一つの計画に破綻が一つ。後発作品がもっと色々と不確定事態を盛り込んでくるのに比べればシンプルですが、役者が上手いのでぐいぐい引っ張ってくれます。金髪カツラが妙に似合わないバーバラ・スタンウィックのやり手っぷりは迫力ありますし、エドワード・G・ロビンソンのコミカルな名探偵ぶりもキャラ立ち抜群。彼と罪を犯した主人公との友情も根底にあって、ちょっと話が深まりました。 ワイルダー監督が意図したのかどうかわからないけれど、ヒッチコックばりのサスペンス感も漂います。列車で居合わせた老紳士が保険会社の待合室にいた時のひやっとさせられるあの感じ、似てますよね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-27 23:21:22)
454.  デイブレイカー 《ネタバレ》 
ヴァンパイアと人間の人口比とか考えたこともなかったわ。なるほど‟エネルギー源”となる人間が絶滅寸前ともなると吸血鬼側も確かに困ってしまいますね。 吸血鬼といえば月と古城をバックに美女を襲いに単独行動していた中世から何世紀も過ぎるとヴァンパイア社会が出来上がり、血の配給が行われ、コーヒースタンドの商品も血液入り(それがどんどん薄くなっていくという経済破綻の一面もあり)、ニュースでは血液配給量が流される。怪物すら生き辛い世の中になってるとはねえ、と作品設定にまず感心しました。 上司に特効薬の製造をせっつかれ、モラルと仕事の板挟みで悩むイーサン・ホークてのもやけに現代サラリーマン的な描写です。 ヴァンパイアものなのに社会問題提起作品になりつつあるところ、終盤ごろには急展開で血しぶき上げまくりに。それまた豪快にバンバン血が吹き上がって戦争映画かスプラッタものの様相を呈し、懐かしきゴシックホラーとの距離がはるか遠くなった感のあるニューヴァンパイアのお話でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-23 22:46:31)
455.  スパイダー パニック! 《ネタバレ》 
「化学物質によって巨大化した蜘蛛が街を襲う」と、まあ撮り方によってはZ級まで落ちそうなコンセプトなんですが、由緒正しい(?)B級それもBの上ランクの出来です。 スカヨハが出ている、というのも水準を上側にキープするのに一役買っているし、一人ひとりのキャラ付けや台詞等がちゃんと練りこまれていてやっつけ仕事感が無いのです。こんな映画なのに。 登場人物らになんとなく好感を抱くというか、このコミュニティにすっと入れるという雰囲気づくりは脚本のセンスを感じます。怪物にやられる犠牲者数も爆薬の量も惜しまないあたりも、正しいB級作品のセオリーを踏襲してます。 敵は数で押し寄せてくる。それもショッピングモールに、となるといやでもゾンビを思い起こしますよね。蜘蛛とゾンビ、どっちが嫌かなあ。ゾンビの方は遅いから逃げきれそうな気もするな。でも噛まれたら自分もゾンビ化する二次被害もあるんだった。嫌だ。じゃあ蜘蛛の方がいいかというとそんなこともない・・、などと本筋とやや遠いことを考えながらの鑑賞となりました。 それに化学物質で池が汚染されたのにデカくなったのは蜘蛛だけなんだね。ほかの虫は・・、いや、いいや。脚がいっぱいあるやつとか考えたくないし。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-21 23:22:56)(良:1票)
456.  ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 《ネタバレ》 
もう、美しかったです。「若草物語」が美質の塊のような原作であることに加えて、役者陣、風景、衣装、何もかもが美しい。わたしなんぞは素敵な四姉妹が連れ立って隣家に食事を運ぶシーンだけでその尊さに涙止まらず、折しもウィズコロナ下での鑑賞ゆえマスクがハンカチ代わりになるという、湿り気のある体験になりました。 従来の作品群と大きく変えてきたのは時間軸を前後させる脚本。これまた巧い。何度も現在と過去を行きつ戻りつしながら、ジョー目線に偏らずメグやエイミーの心情もこれまでにないほどの丁寧さで描きます。特に「お利口さん」のイメージが強かった長女メグについては彼女の小さな見栄や羞恥心まで描くことで、どのメグ像よりも立体的で人間性がよく伝わる造形となりました。 姉妹の脇を固めるベテランも皆役の解釈が正しく圧倒的な仕事を見せます。賢母のローラ・リニー、封建的考えの叔母M・ストリープ、少ない出番ながら印象大のC・クーパー。しかし特筆すべきはティモシー・シャラメでしょう。これまでこんなに鮮烈にローリーを演じた役者がいただろうか。若草物語といえば四姉妹のお話、であったのが今作は「ティモシー・シャラメの」と枕詞がついても過言でないくらいの存在感であります。 この人は「君の名前で僕を呼んで」でも見せたように、身悶えするほどの恋情を演じたら天下一品。ジョーに告白する丘のシーンは切なく激しく、彼の心がざくざく切れる痛みまで伝わり、映画史における告白シーンでも屈指の場面といえるでしょう。彼の表情を捉えるカメラも、距離や角度が完璧です。ティモシーの発露するフェロモン量はただ事でなく、世界中でやられる女子が続出するのも納得ですねえ。 ラストはちょっと驚きました。ここでようやく邦題の意味するところが分かるのですが。監督は原作者オルコットの考えを最大限に尊重したのだそうな。 編集者と対するジョーは突然オルコット女史になり、それまでの物語は以降は(数分程度ですが)フィクション扱いとなって展開するんですよね。目線の急激な転換にわたしは大いにまごついてしまって、咀嚼するのに時間がかかりました。なんというウルトラC的な力技でしょうか。とはいえ現実のオルコット女史の幸福は製本過程の美しく丁寧な職人技の描写で伝わりますし、フィクション側のマーチ家の人々もハッピーエンドです。監督の原作&原作者へのリスペクトを感じます。
[映画館(字幕)] 10点(2020-07-16 23:52:10)(良:2票)
457.  殺人者の記憶法 《ネタバレ》 
アルツハイマーの殺人者の話、と聞くと新しい切り口に感じたのですが結局のところは既出の「妄想もの」や「記憶喪失もの」と筋立ては一緒ですね。記憶のアヤシイ主人公の目線でストーリーが展開するので、何を現実として捉えれば良いのか観客を混乱させるパターン。ラストに実は妄想だったのです、と明かされるのではなく最初から主人公の記憶がアテにならないと分かっているので意外な驚きを伴う展開はあまりなかったな。「これほんとなのかな」というもやーっとした感は観てる間中つきまといます。 画は終始陰気。ぼそっと課題を残すような後味悪い終わり方はいかにも韓国映画。 陰鬱なんだけど所々笑わすシーンが入るのはエンターテイメントの自覚があってさすがです。呑気な雰囲気の警察官の友人がいい味出してたり、詩のセミナーで講師に殺意(笑)を抱くとかね。ここは大いに同意。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-14 22:57:04)
458.  誘拐犯(2000) 《ネタバレ》 
まあー何にも説明してくれない脚本で。デル・トロとライアン・フィリップの2人が何者なのか、この冒頭から察するに二人はデキてんのか?といった背景説明はゼロ。富豪のおやじにしたって、すでに息子いるんじゃん。代理母使ってまで息子が欲しいって一体?嫁さん部下と浮気してますけど。ジュリエット・ルイスに至ってはますます何考えてるのか完全に不明。赤ん坊を自分のものにしたくなったのか、医者と一緒になりたいのか、まさかのボブとも関係匂わすエンディング。・・等々、観る者の「そこんとこ、も少し詳しく」との気持ちをばっさり無視して話は進む。 こんなに不親切な作品なのにわたしは割とこの映画嫌いじゃなくて、それはたぶん画のかもす独特感が好ましいからですね。 初めて見る「ゆっくり」カーチェイスや、話し合いを持つうちに意気投合するJ・カーンとデル・トロだとか。ゆるっとしてるかと思えば、突然銃撃戦。舞台となる暗闇にぽつぽつとカラフルな電飾が浮かぶモーテルの駐車場の雰囲気が素敵だったり、終盤急に開けるメキシコの眩しい白壁の画も良いです。 何といってもジェームズ・カーンが渋いですよ。私的贔屓役者のデル・トロも、この頃はカーンに比べると若造に感じられます。無駄撃ちされる銃弾が窓を割って降り注ぐ、その脇で冷静に弾を込めなおすJ・カーンの画が好き。 渋い役者らの素敵な画が堪能できるので、ストーリーの細部はどうでも良くなりました。まさに制作の思うツボ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-07-13 23:32:12)
459.  緋牡丹博徒
これぞ東映ザ・任侠。大ヒットシリーズの一作目だけあって、この分野の完成形をみています。こってこての様式美、ヤクザ渡世かくあれかし、のストーリー。お約束の口上に台詞回し、飛び道具になるかんざし。いずれの要素も現代劇には持ち込めない型にはまったものばかり。だからこそ非リアルの極致で作られた作品は味が濃く、逆に目新しく感じました。 もちろんこの手の作品は主人公が最重要であります。任侠の記号として説得力のある役者でないととんでもない駄作として失笑を買いかねません。その点本作は藤・高倉両名を始め、脇に至る面々までがコクのあるご面相とキャラクターですんばらしい。敵役はちゃんと「悪人顔」、トボけ役は頬っぺたや鼻まで赤くして分かりやすいことこの上ない。後の御大若山富三郎ってこんな役もできたのか・・(衝撃) 「こうなるだろう」という筋は乗りやすく、同性でも惚れ惚れするような藤純子の美しさと気っ風の良さは観ているうちに快感アドレナリンがどんどん促されました。つまりそれこそが大衆娯楽なのですね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-12 00:37:12)
460.  セントラル・インテリジェンス 《ネタバレ》 
凸凹刑事コンビの、相棒との丁々発止のやりとりが楽しいバディ・ムービー。そりゃハリウッドはこの分野のノウハウを山ほど蓄積してますから手慣れたもんで、今作のD・ジョンソンとK・ハートもノッちゃってます。実になめらか。 だけどまあバディもののひな型をきっちりなぞっているものの、そこから大きく広げてくれることはなく話は凡庸そのもの。CIAは単なるにぎやかしの役割であることはすぐ分かるので緊張も無いですし。 イジメの問題も織り込んでいる以上はあのいじめっ子にもっと制裁を加えてもいいような気もするな。20年経っても意地の悪さは直らない。そこんとこが今作で一番おっかないな、と思いました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-07-09 23:01:41)(良:2票)
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