521. CURE キュア
間宮とのかみ合わない会話と、それゆえに心に入り込まれてしまう恐怖は、なかなか見事に描かれていた。後半の怒濤の、説明を排した展開というのは、たとえば、それを間宮の(そして高部の)「本質的な異常性」や「不幸な境遇」みたいな、ありきたりでわかりやすい「動機」でもって説明すること自体が無意味だという主張なのかもしれない。なのに、その結果おきた殺人の数々は、「気にくわないから殺す」「殺してみたかったから殺す」みたいな、ものすごく利己的で単純極まる理由だったのが皮肉。ただ、個人的には、説明できないものを、なんとか映像と言葉の力でもって表現しようと努力するのが映画作家だと思うので(観客に解釈を委ねるのは、その意味では怠慢)、それを放棄したようにみえる本作の後半の展開は残念だった。 5点(2005-02-28 10:54:30)(良:1票) |
522. ニューヨークの恋人(2001)
本当にそれでいいのかと思えちゃうラストも含めて、微妙だったなあ。さすがのメグ・ライアンも少し無理があったような。立ち居ふるまいもキマっているヒュー・ジャックマンとの「大人のラブコメ」を目指すんだったら、タイムスリップという荒唐無稽な設定は必要なかった気がする。現代の英国かどっかの貴族とNYのキャリアウーマンの恋じゃだめだったかなあ。そのほうがスティングの主題歌もハマった気がする。 5点(2005-02-05 20:52:57) |
523. ニューオーリンズ・トライアル
意外に高得点続出だったんですね。演出と脚本は少しテンポが悪かったように思いました。主人公二人をミステリアスに仕立てようということだと思うんですが、陪審員に選出された後に落ち合う2人がいかにも「なにかたくらんでそう」な悪人風だったのに、ラストの裁判後の2人は急に善人になってしまうのも、最初にプロット(or観客だまし)ありきで人物としての掘り下げができていない演出のように思えました。ラストも、結局陪審員を「操作」したのかどうかはわからずじまい・・・。実は「操作」したわけでなく、最後は陪審員の良心に委ねられたのだと解釈しても、肝心の部分で「人間の良心」に頼ったのだとしたら、ヒューマン・ドラマとしてならOKだけど、知的スリラーとしては失格なのではないかと思います。そのへんの演出上のバランスの悪さが目立って、見終わってもなんだかモヤモヤしました。とはいえキャスティングは見事でした。グリシャムの原作も俳優たちの演技もよかっただけに、このモヤモヤ感が残念。 5点(2005-02-03 22:19:17)(良:1票) |
524. シュレック2
うーむ、前作が好きだったけれど、今作は「前作が当たったからつくった」感がありまくりの典型的な「パート2映画」になってしまった。『指輪物語』や『スパイダーマン』など、おなじみ映画のパロディ連発は映画ファンとして楽しいものの、前作では効いていた「毒」が、今回は予定調和的な物語のなかに埋もれてしまった。今作のもう一つの楽しみは、ミュージカル・ナンバーの選曲かもしれないが、それも『ムーラン・ルージュ』ほどの新鮮さはない。ミュージカル的には特典映像の『American Idol』のパロディ(あの辛口サイモンもしっかり登場)のほうが楽しいというのも、DVDとしてはいいのかもしれないが、映画としては少し残念。 5点(2005-01-23 02:50:25) |
525. デイ・アフター・トゥモロー
あいかわらずのエメリッヒ節。もはや大味な映画を撮らせたら右に出る者はいない。見る側も、それを期待して(?)見てる部分もあるわけだから、薄っぺらい人間ドラマも気にせずに、むしろツッコミを楽しみながら、スペクタクル・シーンにただただ圧倒されるのが正解なんでしょうね。ニューヨーク大洪水→大寒波到来までの流れは、お約束の展開ながら、画面に釘付けでした。しかし、敵が「火」や「水」や「隕石」でもなく「寒さ」だったために、クライマックスが「寒さに耐えて嵐が過ぎるのを待つ」になってしまったのが、この手の大作映画としては致命的だった。エメリッヒ監督には、余計な欲を出さす、水戸黄門のような永遠のワンパターンを追求してほしいな。今回は、クライマックスの地味さでマイナスな印象でした。 5点(2005-01-14 10:00:04)(笑:1票) |
526. エネミー・オブ・アメリカ
5年以上前に「情報監視社会」というテーマを娯楽映画に仕立てたブラッカイマーの先見の明に感心。携帯電話、SuicaやICOCA、監視カメラなど、利便性や安心感と引き替えに成立しつつある監視社会の恐怖をかいま見ることができます。ただ、それを使ってる人間たちが、意外なほどマヌケなのもブラッカイマー流なのかも。序盤のウィル・スミスがどんどん包囲されていくまでは、面白かったのだけれど、そこから急に話が荒唐無稽になっちゃった上に、ラストは某映画を思わせる銃撃戦・・・。題材が面白かっただけに、ちゃんと脚本も練ってくれたら上質なサスペンス・スリラーになったと思うんだけど、それをこの映画に期待するのが間違いか・・・。 5点(2004-10-23 21:41:11) |
527. スパイダーマン(2002)
《ネタバレ》 ピーターが「スパイダーマン」になるまでの過程が面白い。シンプルなキャラ設定だけど、それで複雑な人間関係を構成してるのも、ほかのヒーロー映画と比べて好印象。ヒロインのMJも、たった120分の間に、4人の男(最初のBF、ハリー、「スパイダーマン」、ピーター・・・)に恋をするという異例の尻軽ぶりに驚いたけど、複雑そうな家庭環境や女優を夢見つつもしがないウェイトレスやってるところとか、妙な現実感があるのもいい。ただ、敵役グリーンゴブリンの造形があまりにも、安っぽかった・・・。もう、これだけで映画の印象が大きくダウン。そのせいか、後半の対決もあんまり盛り上がらなかった。ただ、ピーター、ハリー、MJのその後の関係には興味あるんで、続編も見たくなった。もう映画館でやってないかなあ・・。 5点(2004-09-23 23:31:11) |
528. 踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!
《ネタバレ》 ま、2時間ふつうに退屈はしませんでしたが、それだけの映画でした。犯人グループの印象が薄いのは、このシリーズの定番のようなものなんで、まあ、いいでしょうが、相手がトップダウン型じゃなくてネットワーク型の組織っていうのに(しばらくの間)気づけない警察というのもちょっと・・・。あと説明的で冗長なセリフもいただけないし、本店と所轄の対立も、本作では少しマヌケにすらみえる。特に、沖田管理官の「そんな捜査しなきゃいいのよ」っていうセリフもあんまりなら(「優秀」な管理官がそんなアホな言葉を発するものか・・・)、それを聞いて「所轄の仕事って何だ」って本気でへこむ青島らもいかがなものか・・・。こういう部分の細かい作り込みが、テレビシリーズのウリだったはずなんだけど、すっかり「イベント」と化してしまって、大ざっぱになっちゃったのは残念。 (追加)後日、あらためてテレビシリーズを再見してみると、このシリーズってけっこう登場人物像を単純化して描く傾向があったのに気づきました。オタクなストーカー犯とか、プロファイリング・チームの描写なんか、ステレオタイプそのもので深みなんてぜんぜんない。今回の映画は、その単純化のマイナス面が際だっちゃったということでしょうか。 5点(2004-08-15 23:30:36) |
529. トロイ(2004)
うーん、2時間40分の上映時間は、ちょっとダルかった。女優陣が弱かったんで、「愛」の語りもすべり気味。ブラピ、バナ、オーランドの3人は、それぞれの役柄をうまく演じてたと思うけど、ピーター・オトゥールの存在で(特に後半の)物語が締まって、駄作一歩手前で止まったという感じ。 5点(2004-06-17 00:39:56) |
530. ロスト・イン・トランスレーション
けっきょく、主人公二人の孤独が、異国の地でつかの間に交差したさまを切り取った映画ってことでいいのでしょうか? でも「異国」としての日本は、最後まで、主人公たちと交わることなく、「異国」のまま。じゃあ、日本じゃなくてもよかったんじゃないか・・。<以下DVDにて再見>西洋人には「クール」に映るであろう「東京」を舞台にしたソフィア・コッポラのあざとさというか、計算高さは好きになれないし、彼女の「日本好き」というのも、きっと(ソフィア的には)センスのいい「日本のお友だち」が好きなだけなんじゃないのか? 劇中で、日本の友だちと遊ぶシーンも、そのへんを見せつけられているようで気分が悪かった。ソフィアには本気で「異文化」と格闘するつもりなんて、はなからなかったのでしょう。主人公二人をめぐっては、いいシーンがたくさんあっただけに、そのへんの覚悟のなさが残念。この映画の収穫は、やっぱりスカーレット・ヨハンソン! いい女優になったなあ・・・。 5点(2004-06-07 01:37:45) |
531. テープ
キャスト(ホントに3人だけだ!)の演技も申し分ないけど、イーサン&ロバートのコンビは「いまを生きる」を思い出させて、年月を妙に感じてしまいました。こういうミニマムな心理劇って、映画人だったらやってみたいんでしょうねえ。話してる内容のくだらなさは、自分としては好きかも。ただ、寝不足気味だったせいか、物語にうまく入れず、何度か眠ってました・・・。体調がもう少しよければ、緊迫感のある会話を楽しめたのかな。 5点(2004-05-15 01:50:06) |
532. ラヴァーズ・キス
惜しいなあ。キャストは思ったより悪くなかったし、ところどころ印象的な場面もあるんですが、全体的には、ちぐはぐな印象でした。あと、音楽の使い方、とくに「歌もの」の音楽の流れるタイミングが悪くて、シーンを台無しにしちゃってたような気がします。 5点(2004-04-11 18:50:18) |
533. バニラ・スカイ
リメイクだけど、ほとんどオリジナルと一緒でしたね・・・。ペネロペまで一緒だし。妙に豪華なキャストにしてスター映画っぽくして、言語が英語になっただけ? まあ、冒頭の無人のマンハッタンのシーンは印象的だし、キャメロン・クロウらしい音楽もよかったけど。それだけかなあ・・。 5点(2004-04-01 15:03:51) |
534. ダブル・ジョパディー
フツーのサスペンス映画でしたね。時間つぶすにはいいかもしれないけど、貴重な時間を削って見ると腹がたつかも。アシュレイ・ジャッドの地味さ加減は、こういう作品向きだなあ。 5点(2004-03-29 22:41:31) |
535. ALI アリ
ウィル・スミスもジョン・ボイトもマリオ・ヴァン・ピープルズ(マルコムX)もいい演技してると思うんだけどなあ。特に、マルコムXは、デンゼル・ワシントン版よりもこっちのほうが好き。ドラマチックなはずのモハメド・アリの半生が、抑揚のない、ダレダレな展開になってしまったのは、やはり脚本と演出の問題か・・。 5点(2004-03-29 22:16:49) |
536. グリーン・デスティニー
アン・リーは好きな監督ですけど・・。話が中途半端だし、特別新しさを感じませんでした。彼の器用さが裏目にでた作品だと思います。チャン・ツィイーだけが印象に残りましたね。ネイティブの英会話の先生に絶賛されて見たんですが、この映画を見て以来、西洋人の「東洋趣味」をアテにしないことにしました。 5点(2004-03-13 23:50:43) |
537. マトリックス リローデッド
前半のザイオンのシーンで「なんだこれは??」状態に陥り絶望しかけたところを、カーチェイスとアーキテクトの登場で救われました。『マトリックス』でも薄々感じていたことですが、ウォシャウスキーBrosは、人間ドラマめいた部分を撮らせると鑑賞に堪えられないほどベタベタになってしまって、1作だけならスタイリッシュなアクションってことで気にならなかったけれど、3部作化したことで、それが致命傷になってしまったようです。でもこのシリーズの謎解きめいた部分は好きです。 5点(2004-03-12 18:31:21) |
538. ターミネーター3
《ネタバレ》 ラストはよかったと思います。ただ、それにしたって、T-Xが弱すぎた・・。最後、あんなにあっさりやられちゃうなんて・・。「ターミネーター」シリーズは、死んでも死なずにどこまでも追っかけてくる怖さが売りの、B級アクション映画の血統を大事にしてほしかった。 5点(2004-03-12 01:23:28) |
539. スナッチ
スタイリッシュな映像と音楽。確かにかっこいい。でも、オリジナリティを感じないのはなぜでしょう? タランティーノの映画には、偏執狂的な「愛」を感じるんですが、この映画はそのへんが物足りないのか。うまいとは思うんだけど。 5点(2004-03-10 03:44:39) |
540. マイノリティ・リポート
未来世界のディテールに引っ張られすぎて、サスペンスが中途半端になっちゃいましたね。個人的には誰よりもサマンサ・モートン! 特に前半は、全身タイツ(!)で浮かんでるだけなのに、その表情がものすごく印象に残りました。今後注目したい女優さんです。 5点(2004-03-08 11:26:27) |