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ロイ・ニアリーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 681
性別 男性
年齢 58歳
自己紹介 点数基準
芸術点、技術点、俳優点、個人的感情移入度の4要素の比重で決めています。
芸術点とは、主に脚本、演出が映画の各要素、美術、音楽、などをどれだけ高次元でまとめ上げたか
技術点とは、撮影技術、特殊効果、音響効果など、技術的な部分のレベル、完成度。
俳優点とは、出演俳優の演技、存在感、作品とのマッチングなど。
個人的感情移入度とは、作品テーマや登場人物などが自分自身の価値観や好みに対してどの程度影響するか。
これらの比重を勘案して点数を出しています。
有る項目が0点に近くても、別の項目が突出して良ければ点数は上がります。
映画としての及第ラインは6点です。それ以下は落第点、マイナス評価です。

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41.  バンド・オブ・ブラザース<TVM> 《ネタバレ》 
第6話「衛生兵」は秀逸だと思う。一衛生兵の視点から戦争を語った物語が今まであっただろうか。彼が戦場でであった従軍看護婦。爪の中まで患者の凝固した血で汚れたその手。彼女は聖母マリアでもマザー・テレサでもない、平凡な一少女。「もうこんな仕事したくない」と呟く。その夜彼女のいる野戦病院が空襲によって容赦なく破壊されてしまう。赤い炎に照らし出される教会が神々しい程に恐ろしく、愚かしい人間の殺戮を象徴するような凄まじいシーンだった。第1話から冷静に見ていたつもりだったのだが、このシーンでは呆然としてしまった。
10点(2003-12-12 01:59:29)(良:1票)
42.  エイリアン
実はそれほど怖くなかったです。でも、凝りに凝った美術、ライティングに衝撃を受けた記憶が。薄汚れて雑然とした船内、乗組員よれよれのつなぎ、ノストロモ号の油と生活臭のまじった「臭い」まで漂ってくるようでした。この映画の後、宇宙船ってみんな薄汚れになりましたね(w。でもここまで重厚で、金属の質量や冷たさを感じさせる船内てないですね。
10点(2003-12-08 10:26:55)
43.  華麗なるヒコーキ野郎
個人的にベスト1の映画です。もう何度も見すぎて、客観的な評価できません(w。ヒル監督は元パイロットだそうで、飛行機のシーンは素晴らしいですね。最後の「決闘」シーンの一部を除いては、”ガチンコ”撮りのようで、これ以上の空撮シーンて他に見たことありません。彼の映画って、人間を見る目がとても暖かくて、大好きです。それから、音楽はもう最高。サントラ欲しい。
10点(2003-12-08 10:15:14)
44.  南極料理人 《ネタバレ》 
本作を観る前に、第50次越冬隊に参加していた方のブログをよく見ていたのだが、彼のブログにも毎日の食事が掲載されていた。南極のような閉鎖された特殊な環境では食事の充実というのは重要なのだということがよくわかる。 本作もタイトル通りドームふじ基地で越冬するむさくるしい男達の生態が淡々と、ユーモラスに描かれていて、何かホッとさせられる。 ただ、原作がエッセイと言うことだからだろうか、隊員それぞれに小さなドラマはあるものの、これといった起承転結が無い。まったりしているのはそれ自体悪くはないのだが、ちょっと薄味過ぎたような・・・もう少しカタルシスを感じる何かが欲しかったなあ、と一回目の鑑賞では思ったのだが、何故かその後も何度も何度も鑑賞してしまい結局DVDも購入してしまった。不思議な魅力を持った作品である。
[DVD(邦画)] 9点(2010-12-09 14:10:08)
45.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
衛星パンドラとナヴィには宮崎駿の「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」からの影響が感じられる(キャメロン本人もインタビューで言及しているが)、この星そのものがひとつの生命体であるという視点を西洋人はどう感じるのだろうか。 また本作の筋立てですぐに連想するのが「ダンス・ウイズ・ウルブス」「ラストサムライ」あたりだろうか。侵略者である人類の描き方は辛辣だが、自らを振り返ってみれば差ほど誇張でないことがわかる。突き詰めればこれは白人文明に限らず人類が辿ってきた歴史そのものでもある。 と、ストーリーやディティールに既視感はあるものの圧倒的な映像と軽快なテンポ、演出のうまさでぐいぐいと引き込まれる。観客の自分は「悪役」であるところの人類と同種なのに、鑑賞前は不気味ささえ感じた青い肌のナヴィに感情移入してしまう。 部族の娘ネイティリのけなげさ、力強さはこれも西洋白人文化の求める強い女性像なのだろうが、ナウシカにも通じる繊細さも併せ持つ。 映像は圧巻のひと言。3D立体映像と相まってまさにそこにあるかのように画面の隅々まで完璧に構築されている。どれ程多くの才能のある人々が携わり巨額の資金が投入されたのか、目眩がするほどだ。今後当分は技術面はともかくとして、ここまで念入りで手間のかかった分厚い映像にはお目にかかれないだろう。ただ、全体のテイストは狙ったのだと思うが、何か絵画のようで幻想的。緻密ではあるがライブ感というか匂いまで感じるような生々しさというものはあまり感じられない。僕が匂いまで感じる程リアルだなと思うのは「エイリアン」や「ブレードランナー」の世界だ。 2時間半以上の長尺だが、むしろ短いと思ったくらいだった。ハヤカワSF文庫の海外作家の作品を読んでいるような感慨がある。異文化、異文明交流の物語では、その過程を丁寧に説得力をもって描くことが非常に重要だと思うのだが、「ダンス~」や「ラストサムライ」でもそうだったが、本作でも短いと感じた。現実的にこの部分をこれ以上伸ばすことは出来なかったと思うが・・・。世界が非常に丹念に作り込まれているので、観客はいくらでも想像力を広げられる。映画が終わったエンドロールの向こう側でもあの世界が続いていると感じられるし、ナヴィと星の歴史だけでも長編の小説がつくれそうだ。
[映画館(字幕)] 9点(2010-12-09 14:05:27)
46.  富士山頂(1970) 《ネタバレ》 
1970年といえば、邦画界がTVに押されて凋落を始めた頃、しかしそれでもこのクオリティの高さには恐れ入った。 まずは俳優陣がとてつもなく豪華。 主演の石原裕次郎はもとより、勝新太郎、東野英治郎、宇野重吉、渡哲也、田中邦衛、山崎努、市原悦子と、実力派、重鎮がことごとく出演のオールスターキャストだ。 戦争を体験した昭和の俳優の引き締まった立ち居振る舞いと、1970年当時の風景。演出はスーパースターの裕次郎を主演に据えているからといって軽薄で観客に媚びることがない、重厚で抑制されたもの。 昨今の製作側の政治的な都合だけのミスキャストや場違いなタイアップテーマソングもない。 三菱重工社員の役所である裕次郎は台詞は少なく、表情で語る場面が多い。 僕は俳優としての彼をじっくり観たのは初めてだが、彼の並々ならぬ才能を垣間見た気がした。 安易なセット撮影に逃げることなく、果敢に富士山でのロケ撮影を敢行したことも画面に奥行きと重厚感を加えている。 本作の権利は石原プロモーションが持っているのだろうが、現在に至るまでDVD化されずに人々の目に触れなかったというのがつくづくもったいないことだと思う。 同じく幻の作品「黒部の太陽」もそうだが、ハイビジョンやBDの普及で家庭での視聴環境が整ってきた現在、そろそろソフト化して多くのファンに作品を観てもらう機会を設けるべきではないだろうか。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2010-12-09 13:41:02)
47.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
イーストウッドは本作で俳優業を引退すると語っていますが、それは非常に残念なことではあるけれども、しかし引退作としてはこれ以上ないほどの素晴らしい作品だったと思います。 本作は多民族国家米国の現実と、共生、戦争、赦し、戦うこと、生きること、死ぬこと、様々なテーマが重層的に描かれており、人々は作品のそこここに自分なりに琴線に触れる部分や共感する部分をみつけることになると思います。 それを80年近くの人生を生きてきたイーストウッドが暖かい目線で包み込んでいきます。 「荒野のガンマン」「ダーティハリー」と悪党を問答無用に鉛玉で倒してきたイーストウッドのキャラクターが、本作にいたって大きく成長し、新しい次元に到達したような感慨を憶えます。 彼の監督作品、特に「許されざる者」など90年代以降のものは、プロットだけ辿れば激しく荒々しいものなのですが、しかし実際の作品中に流れるのはとても穏やかで静かです。 そして彼の作品が独特なのは、多くのハリウッド欧米系作品が「生きること」を大きなテーマにしていることに対して「死ぬこと」「死に様」を要に持ってきているところだと思います。 本作の主人公ウォルトの「死に様」を、僕は大変羨ましく思いました。 ウォルトは自分なりの「義」を最期まで貫き通しました。たとてそれが不器用ではあってもそれが彼の人生だったのです。 ハリウッド作品にありがちなご都合主義や楽天的ラストを拒否しながらも鑑賞後に決して後味を悪くさせない、イーストウッドの作品。 スクリーンの向こうに生きる登場人物の、エンドロールのその先に続いていくであろう彼らの人生に思いを馳せたくなるのです。
[映画館(字幕)] 9点(2010-12-09 13:09:01)(良:1票)
48.  おくりびと 《ネタバレ》 
ひと言で言って多くの映画賞を受賞したということに充分納得できるものでした。 「納棺師」という人々に馴染みのないテーマを、誠実に、地味に埋もれることなく、かつ観客に媚びることなく、エンタテイメントとしてのツボはしっかり押さえた脚本、抑制された演出が光ります。 キャスティングも本木雅弘、広末涼子は言わずと知れたスターですが、脇を固める山崎努、余貴美子など実力派が大変良い味を出しています。 特に銭湯のおかみ吉行和子、常連客の笹野高史が本当に素晴らしい。 本作は脇役の存在感が非常に活かされた作品だったと思います。 それから、音楽は宮崎駿作品でお馴染みの久石譲。僕は彼の音楽は宮崎作品以外ではあまりに叙情的というか大袈裟に感じて好きになれなかったのですが、本作ではチェロの旋律がピッタリとはまっています。  大部分の人は、普段死、自分の人生の終わりを意識してなど生活しないでしょう。 しかし生きとし生けるもの、必ず平等に訪れるのが死というもの。 人生の終わりは人それぞれ。多くの人に看取られる最期が有れば、腐乱するまで誰にも見つからない寂しい最期もある。 遠くない将来に訪れる両親との別れ、そしていつかくる自分のこの世との別れ。色々と考えさせられる作品でした。
[映画館(邦画)] 9点(2010-12-09 13:02:24)
49.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
皆さんの異常なほどの高得点に興味を惹かれて観て参りました。 前2作はDVDでの鑑賞でしたが、あの手持ちドキュメンタリータッチ超畳み掛けハイスピードカット割り演出を劇場で観ると酔って目眩がするのではないかと思いましたが、良い意味で酔わせていただきました。 観客をスクリーンの向こう側に強引に引っ張り込む、息つく暇さえ与えない展開は衰えるどころか益々冴え渡り、心臓がバクバク、手に汗握り、ボーンはもちろんのこと、ヒットマンやCIAの黒幕まで、彼らが映画俳優であることなどすっかり忘れてしまいました。 ただ惜しむらくはボーンという怪物を育て上げたあの計画が、米国政府が国家の利益のために米国民をも含む暗殺プロジェクトであったというのは、それ程のスキャンダルなのかと、そのあたりがナイーブ過ぎないかなと思いました。 だって現実はもっと酷い事してるでしょう国家ってものは。国益のためなら暗殺どころか裏から手を回して他国を分裂させ、戦争をしかけるなんて、良くやる手です。 その犠牲になった人々の数なんてとてつもない数ですから。
[映画館(字幕)] 9点(2007-11-25 00:16:58)
50.  レミーのおいしいレストラン 《ネタバレ》 
事前の予告編から想像していたのは、料理の得意なねずみのレミーが、冴えない見習いシェフ、リングイニの黒子となって見事な料理の腕を発揮、そして色々な事件、葛藤の末ダメ男のリングイニは、レミーの助け無く、ひとりの男として、人間として大きく成長していく、というものでした。 しかし、実際観た物語はそうではなく、リングイニ自身は相変わらずレミーや厨房の先輩であり恋人のコレットの助けなくしては一本立ちできないという「成長」が全く見られないまま終わってしまいます。 しかもリングイニがレミーあってこその料理人だとわかったのに、恋人コレットは彼の元を離れない(彼の何処に魅力を感じたのか?)。 これではドラえもんののび太状態のままです。彼が物語の軸になるには解せない(題名は確かにリングニイの物語、とはなっていませんが)。 ではねずみのレミーの物語なのかというと、確かに彼は自分の「ねずみ」であるという宿命を打ち破り、レストランをリングイニとともに開業するのですが、それだけではリングイニやコレットにとって果たしてそれで良いのかと若干の物足りなさが残ります。 とはいえ各シークエンスの細かい演出には驚かされたり、うっとりしたり、大笑いしましたし、レミーやその他のキャラクターは表情豊かで暖かく愛らしい。 特に「後ろばかり見てると、未来から来るものを見逃すよ」と敬愛する名シェフグストーの霊に促され、薄暗い下水道から駆け上っていくレミー。そして登り詰めてみると、そこは彼が夢見、憧れたパリの街だった・・・。 このシーン、鳥肌が立ちました。映画史に残る美しいシーンだと思います。 ピクサー作品のCGには毎回驚かされますが、今作に至って、もはや芸術的とも言える境地に達したと思えるのは、ソフト、ハードのテクノロジーの進歩に助けられた画面上の質感の向上という面だけでなく、キャラクターの生き生きとした動きと豊かな表情の変化です。 どんなにデフォルメされた人間であろうと、地を這うネズミであろうと、彼らがスクリーンのなかで間違いなく生きているんだと確信させるほどの説得力を持っていました。 これは製作過程に於いて、徹底的に研究を重ね労力を惜しまず追求してはじめて生み出される、職人芸ともいえるものだと思います。 こういう部分にもピクサー作品の映画に対する愛と真摯な姿勢を感じるのです。
[映画館(字幕)] 9点(2007-08-03 13:58:47)(良:2票)
51.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 
日本では地味な宣伝も足を引っ張り、GW前には早々に上映館が無くなってしまいましたが、本作に興味があったのに劇場で観れなかった人は人生で大変な損をしました。この映画は視界全てがスクリーンになるような、そして地響きがする程重低音まで再現できる優れた音響のある劇場で観てこそこの世界を味わい、乗組員と一緒に旅が出来るのです。おそらく家庭のTVやパソコンの小窓から眺めても、暗黒の宇宙、太陽の灼熱や光、重責を担うクルーの焦燥感や孤独なども他人事にしか感じられないと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2007-04-28 14:12:13)(良:1票)
52.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
映画館で予告編を観て、女の子の妙な表情や色彩に嫌な感じがしていたので避けていたのだが、ツタヤで旧作扱いになったので借りてきた。観てびっくり。まったくとんでもない映画だった。 松子は心理学か精神医学か、その世界の用語で言えば共依存の典型的な症例なのだろう。両親の愛に恵まれずに育った松子が不幸に吸い寄せられるように転落していく悲劇の物語。しかし画面はひたすら華やかでミュージカル仕立てでアップテンポ、コメディタッチでもある。それがまた哀しさを際だたせるのだ。何よりも特筆すべきは邦画にありがちな映像の安っぽさや、たどたどしいテンポ、音楽の陳腐さが微塵も無い事。脚本、映像、美術、編集、特殊効果、音楽、何もかもが邦画の水準を突き抜けている。ただの1カットたりとも手抜きが見られない緻密な映像だ。そして主演の中谷美紀の迫真、美人女優のプライドも何もかもかなぐり捨てたような演技、存在感、まさしくプロの仕事。監督はCM畑出身らしいが、尋常ではない映像の細部までのこだわりはその為なのか。この監督は出演者やスタッフを罵倒して追い詰めることでも有名だそうだ。そういえばクリント・イーストウッドの現場は穏やかで決して声を荒げたりすることは無いそうだが、スタイルの違いなのだろうけど、日本人には罵倒、叱責でネガティブに追い詰めたほうが力を発揮するのかもしれない。
[DVD(邦画)] 9点(2007-02-14 20:35:15)(良:1票)
53.  不都合な真実 《ネタバレ》 
大統領選で僅差で敗れたゴア氏は、こんなことをやっていたのか。彼は地球温暖化問題、つまりは地球環境問題に長く取り組んできたようで、今は世界中をこの問題の啓蒙のために飛び回っているそうだ。この作品はその講演内容をシンプルに映像化したもの。だから映像的に斬新であるとか目新しいとかいうことはないのだが、今地球に起こっている「不都合」どころではない背筋も凍るような驚愕の真実が、ゴア氏のユーモアを交えた巧みな話術と、豊富なデータによって明らかにされる。皆さん環境問題、地球温暖化と耳タコでしょうけれど、目を背けずにこの現実を見てください。ほんと地球マジヤバイです。しかしこの作品の良いところは、危機を煽るだけ煽って、はいサヨウナラ、ではないところ。アメリカ人らしい、明るさといおうか、前向きさ、といおうか(一番CO2を吐き出しているのは当のアメリカ人なのに・・・)、これだけ絶望的なデータを示しながらもなお「希望を捨てるな、我々は今まで幾多の危機を乗り越えてきたではないか。この人類未曾有の危機も必ず乗り越えられる」と訴える。それは特別なことではない。エアコンの設定温度を上げましょう、公共交通機関を使いましょう、リサイクルしましょう、といったことだ。正直なところ、それも焼け石に水かもしれないと思う。でも、何もしないよりは少なくともましなのだ。
[映画館(字幕)] 9点(2007-01-21 01:51:17)(良:2票)
54.  ユナイテッド93 《ネタバレ》 
綿密に取材をし、遺族の了解を取り、制作者の意志、演出を極力排した特異なつくり。これは映画と言うよりセミドキュメンタリーといった方がしっくりくるだろう。驚いたのは管制センター、軍司令センターの出演者の多くが、911当日に実際に現場に勤務していた当事者であり、俳優としては勿論素人であるということだ。1時間以上もカメラをを長回しして、事前に予告せずに911報告書に基づいた情報を彼らにぶつける方法で、事件当日を追体験させるという方法をとったという。これが見事に成功しており、監督のコメンタリーを聞くまで彼らが俳優でないとはまったくわからなかった。それはあまりに真に迫った「演技」であるため、まさか素人が、映画撮影という管理された状況下でこのような表情、動きが出来るとは思わなかったからだ。監督は「ボーン・スプレマシー」もそうだが彼独特のスタイルで、手持ちカメラを振り回すことで観客をスクリーンの向こう側に叩き込もうとする。これは賛否があるようで、映画館の大スクリーンで観ると、生理的に酔ってしまう観客もいるかもしれない。今回DVDで鑑賞したが、特典に93便の乗客役の俳優達が遺族の元を訪ねるというドキュメンタリーが収録されている。これはとてもシンプルな番組だが、ある意味本編よりも重みがあり、心に刻まれる内容だった。劇場で見た人もこのドキュメンタリーも是非観ることをお勧めする。
[DVD(字幕)] 9点(2006-12-07 19:08:08)
55.  父親たちの星条旗 《ネタバレ》 
硫黄島の激戦はすさまじい描写なのだが、観終わった後の感想は「静かな映画」だなというものだった。戦争は、平和であればきっと幸せに送るはずだったであろう彼らの人生を、強制的に終わらせ、または全く違う運命の渦に放り投げてしまった。それを分けたのは、ちょっとした偶然や行き違いでしかない。そんな運命に翻弄された彼らは、英雄として称えられ祭り上げられ、やがて忘れられて、それぞれ静かに人生を終える。「戦争のヒサンサ」とか「ムナシサ」なんて手垢の付いた表現ではどうしても収まらない、もっと俯瞰しているようで、それでいて実は彼らの人生に寄り添って見つめるクリントの人間的な暖かさを感じる作品だった。ただ、この映画は「硫黄島からの手紙」とあわせて評価したい作品。かつて激しく憎しみあい、殺しあった敵をあえてその視点に立って映画化するという試み。クリントが日本人をどう描くのか期待している。
[映画館(字幕)] 9点(2006-11-10 20:55:37)(良:1票)
56.  ロード・オブ・ウォー
この世から武器を無くしたとしても、人々の争いが消えるわけはなく、人々は素手や棍棒で殴り合いを始めるでしょう。需要が有る所供給があり、利権が生まれる。世界はあらゆる要素が絡みに絡んでいて、何を糾弾すれば世の中から戦争が無くなるなんてとても言えない。武器商人は死の商人といわれるが、彼らだけが諸悪の根源であるわけも無い。そう思いながら観ていたが、アンドリュー・ニコルも当然そんなことは承知の上。ちょっと突き放してシニカルにこの世界を皮肉っている。感情露わに戦争反対を叫ぶ反戦映画よりもこんな映画のほうが僕は好感が持てますね。ニコラス・ケイジはちょっと悲しげな表情と猫背の佇まいが素晴らしい。
[DVD(吹替)] 9点(2006-06-16 21:45:40)
57.  明日の記憶
誤解を恐れずに言えば、主人公佐伯は大変幸せな男です。アルツハイマーによって残された人生が一変した不幸よりも、一緒に人生を歩いてくれる妻や家族や仲間がいる幸せが再確認できた。もちろん現実はもっと壮絶でしょうけれど。私事ですが、父が数年前に脳梗塞になり、言葉が不自由になりました。リハビリを通じて随分回復しましたが、その間、母はつきっきりで父の世話をしました。父が病気になったことは不幸ですが、父は母の愛に支えられて今も元気に生きています。父は幸せものだと思います。 渡辺謙はまさに入魂の演技で、その気迫が凄まじい。脇を固める役者たちも素晴らしい。特に窯元の師匠の大滝秀治、告知する若き医師役の及川光博の存在感が印象に残りました。 10点でも良いのですが、冒頭のCGのクオリティが今ひとつだったので9点とさせていただきます。
[映画館(邦画)] 9点(2006-05-16 16:37:08)
58.  ヒトラー 最期の12日間
悪の象徴、非人間、悪魔と糾弾されるヒトラーだが、描かれていたのは極限状態に置かれ混乱し、憔悴し、部下に八つ当たりをしながらも、一方で秘書や少年兵に優しい言葉をかけるそれこそ何処にでもいそうな初老の男だった。それだけに彼の招いたあまりにも大きな混乱や悲劇が際立って見えてくる。20世紀は人類史上最も多くの血が流れた世紀だと言われるが、その嵐の目にいた者は、しっぽの生えた悪魔でも妖怪でもなく、ただの人間だったのだ。何か暗澹たる気持ちにさせられた。
[DVD(吹替)] 9点(2006-01-13 21:39:58)
59.  キング・コング(2005) 《ネタバレ》 
大満足の3時間でした。確かにキングコングが登場するまでの1時間はじれったいですが、その後はエンドロールまであっという間の凄まじい映像の洪水。しかし1930年代のNY、髑髏島、恐竜や巨大昆虫達、どんな些細なシーンでも全く隙が無い豪華絢爛な映像です。映画だから、きっと予算が・・・などと想像させるカットがただのひとつも無い。完璧に世界を作り上げています。監督が痩せるのもわかる。大変な労力だったでしょう。しかしこの映画はそれだけのCGアトラクション映画では終わらない。この物語の肝であるアンとコングの「愛」も大変美しく描かれていました。ナオミ・ワッツはこの映画で本物のスーパースターになったと思いました。
[映画館(字幕)] 9点(2005-12-28 08:34:41)(良:1票)
60.  ALWAYS 三丁目の夕日 《ネタバレ》 
レビューに当たって細かいケチをつけてしまうのがバカらしくなってくるほどほのぼのとしたいい映画です。登場人物はそれぞれ魅力的で愛らしく、極悪人が一人も出てこない。淳之介の実の父親はまあ、ちょっと憎まれ役ですが。昭和33年の世界を再現したビジュアルエフェクト、美術の努力には敬服するほかありません。現在出来るベストの映像ではないでしょうか。子供からお年寄りまで安心して薦められる映画ですね。 とはいえ、褒めてばかりではつまらないので、あえて気付いたことをあげるとすれば、この物語が昭和33年でしか成立しないのかといわれれば、そんなことも無いような気がします。六ちゃんの集団就職や三種の神器をとりまくドタバタはもちろんこの時代ならではなのですが、しかしそれもディティールであると思います。日本とは!戦後とは!なんて大上段に構える映画ではありませんが、もう少しこの時代だからという必然性が欲しかった気がします。そうすればもっと立ち上がっていく東京タワーも印象に残ったのではないでしょうか。 最後に「ALWAYS」という英語、要らなかったと思いますね。なんでALWAYSなのかもピンと来ないし、「三丁目の夕日」だけでいいと思いました。  そうそう、映画館での周りの反応ですが、年齢層は見たところ40代後半以上の方が多かったですね。きっとこの時代をリアルタイムで体験した人も多いと思います。そして皆さん大笑いしたり、手を叩いて喜んだり、最後はあちこちですすり泣きが聞こえてくるなど、いつも静かな日本の映画館とは思えないほどにぎやかでした。本当に皆さん楽しい時間を過ごしたのだと思いました。
[映画館(字幕)] 9点(2005-11-30 07:43:41)
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