41. シベリア超特急2
近所のツ○ヤは毎週木曜が旧作半額のサービスデイであり、大抵私は木曜に何本かまとめて借りる。普段は適当に選ぶが、気が向いた時はテーマを決めて関連作をまとめ借りしたりする。で、今回は「クソ映画に乾杯!ウィークエンド」である。ラインナップは「北斗の拳」「北京原人」そしてコレである。邦画の棚からまず「北京原人」、続いてコレを、初めてシベ超第1作を手にした時のように胸躍らせながら手に取り、喜び勇んでアクションコーナーに向かう。しかしこんな私でもいざレジに並ぶとなるとためらわれた。このクソ映画3本立て。サービスデイの大行列の中、このラインナップを奇異な目で見られるかと思うとさすがに気が引け、無意識にラベルを下に向けてしまう・・・意気地なし。いつもより長く感じられる行列がやっと終わり自分の番が来たが、レジのお姉さんはその前にいた「ファインディング・ニモ」の親子連れに対するのと変わらぬ笑顔で「全部1週間でよろしいですか?」・・・プロや。この人プロや!この最強ラインナップに一歩も引かず変わらぬ笑顔で応対するお姉さんに感激していると、お姉さんの胸のバッジにでかでかと「実習中」の文字が・・・そうか。知らないんだ。まだ駆け出しで、スレてないんだ・・・そんなお姉さんにささやかな感動を覚え家路についたのだった・・・さて北京と北斗の鑑賞を済ませようやく見たのだが・・・例によって「話さないでください」の字幕。しかし実を言うと、3度のどんでん返しの最後がどこなのか分からなかったのである。エンドロールの後のテロップではないようだ・・・じゃあどこに?!前作で観客を驚愕と不安と激昂と(心の中で)慟哭と、そして果てしない感動に陥れたあのエンディングが、今作のどんでん返しをどんでん返しと思わせなくなってしまったように思う。確かに映画としては前よりまとまっていたのだが、まさに「破壊神降臨!!」であった前作ほどのパワーはなかった・・・点数としてはこちらの方が高くなるが複雑な心境である。子供の成長を喜ぶ一方で、成長と引換えに穢れなき純真な瞳は失われてゆく・・・そして晴郎も成長し、知ってしまった。成長することで失われるものもある。どうか○タヤの新人のお姉さん、今の新鮮な気持ちを忘れずにこれからもレジで笑顔で頑張って欲しい。そしてこれを読んでもし「私のことかな?」と思ったら、この場を借りて言わせてね。ありがとう・・・ 2点(2004-07-31 19:14:09)(笑:2票) (良:1票) |
42. ダンジョン&ドラゴン
元ネタを名前しか知らない程度だったので割と楽しめました。「いかにも」という感じの剣士ではなく盗賊(シーフ)が主人公で、シーフ特有の身軽さと、自分自身の知恵でダンジョンを切り抜ける展開は新鮮だった。ただ全体的に華がないのが敗因。あと、いかにもCGって分かる城下街とドラゴンはちょっと・・・ 5点(2004-07-27 07:49:59) |
43. 散歩する惑星
《ネタバレ》 コレはもう完全に「やられた!」って感じです。なーんにもないような「やおい」映画の姿をとりながら、意味不明の出来事が映画の最初から続けざまに、しかしセンセーショナルさは全くなく、ワンシーンワンカットのほとんど動かないカメラワークが見る側を傍観者の感覚にさせる。それはまるで蛇口からぽたぽた落ちる水滴が桶を満たしていくように、ユルユルに迫る様々な出来事に力なく笑いながら、傍観者として画面を何となしに眺めているうちに・・・桶から水が静かに溢れた時・・・「この映画には何かある!」と感じた時、ただのやおい映画は、スクリーンではなく頭の中で激しくとぐろを巻いて動き始める。一見意味のないあらゆる出来事やセリフの全てに意味があるような気がしてその答えを見つけ出すのに必死になるだろう。そして「答え」が見つかった時・・・それが終わりではない。見るたびに違う解釈が生まれそうになるのでますます混乱しそうになってくる。ちなみに私はこの映画をキリスト教における「最後の審判」だと思ったがどうだろう。死者が蘇り、生ある者は逃げ惑うが逃れることはできない。永遠に終わらない渋滞、運びきれない荷物を抱え空港を牛歩する人々の頭上を轟音が空しく駆け抜ける様は、誰もが逃れられない審判の時を示しているようで、その後に続く「兄さんの時代が来るよ」というセリフが、声をあげず苦難に耐えた神の僕への救いにも聞こえる。だが映画は「正解」を示してはいない。もっと深い答えがあるのかもしれないと、ゆる~い声で「ボンボヤ~~ジ」と送り出され、脳内思考の旅が始まってしまう。期待していたのとは違う部分でこれ以上ない面白さを体験させてもらった。「何かある!」と感じたら、見終わった後またDVDを再生してみるといい。冒頭のシーンのセリフがとても意味ありげに聞こえる。ただこの映画を見た人がみんな「何かある!」と感じられる訳ではないだろう。見る人を選ぶ映画だ。ちなみに私はクリスチャンではないので、最後の審判について誤解している部分があるかもしれないことを追記する。 9点(2004-07-24 22:10:13)(良:2票) |
44. ファイナルファンタジー
エメリッヒ版ゴジラをみて教訓になったことがある。「原作つきやリメイク物はオリジナルを忘れて見るべし」人にもよるとは思うが、オリジナルのイメージをもったまま見てしまうと、その映画そのものの良さを見落としてしまうことが多々あると思ったからだ。しかし、それを教訓にしたとて、これは誉められない。誉めるところまったくなし。予告編からして嫌な予感はしていた。今ごろ「I Love You」を決めセリフに持ってくるとは・・・どんなに批評家から叩かれようが、ヒットした作品にはやはりヒットしただけの「凄み」を画面から感じることができるのだが。駄作といわれる映画は多いがこれは駄作にすらなりえていない、あえて言うなら「愚作」だろう。そこにあるのはひとりのゲームクリエイターがゲームに対する評価を著しく誤解し、実力以上の力を過信してしまった「愚」だけであった。そこが映画を愛した晴郎やエドウッドとは違う。FFだということを忘れて見たにしても全く面白くない。CG技術のために作られたストーリーであるならまだ評価も出来るが、CGを際立たせるために手を抜いたシナリオを誉めろと言われても土台無理な話。私にとって感じられた唯一のFFらしさは、モーションキャプチャーをやってるとは思えない動きのぎこちなさに、コマ神ハリーハウゼンを召喚したのか?と思ったことくらいである。こんな出来で「CGは実写に肉薄した!」なんて豪語するくらいならかえってFF7や9くらいに適度にデフォルメしてくれた方がまだ失笑もせず済むというものだ。こんな出来では1点もやれない。会社ひとつ壊す破目になって少しは頭が冷えただろうか。 0点(2004-07-24 11:38:36)(良:1票) |
45. ドラえもん のび太の太陽王伝説
あの歌で100mくらいスクリーンから引いちゃったんですけど・・・作詞したF先生も草葉の陰で引いていると思う。 2点(2004-07-22 21:04:20) |
46. ストーカー(2002)
恋愛を抜きにした「仕立て屋の恋」って感じ。わたし的にはあちらの方が上です。エヴァには失笑。アメリカじゃそーいう受け止められ方してるんでしょうか? 5点(2004-07-21 18:43:49) |
47. パトリオット
この映画を「誰の」映画として捉えるか。これの場合メルギブソン(以下メルギブ)の映画という説と、エメリッヒ(以下エメちゃん)の映画という説、2通り捉え方があるでしょうが、メルギブ映画にしては軽くて、エメちゃん映画にしてはお堅い(それ以前にエメちゃんが歴史映画を撮ること自体非常事態という気もする)。でも実際はメルギブの存在感の前に「お堅いエメちゃん映画」というのは隠れ要素に成り下がってしまったんである。エメちゃん映画らしくない(苦笑)高評価はこの「隠れ要素」にこそある気がするのだが・・・歴史モノだけに他のヤツみたいにブッ飛ばせないから「ありえなさ」がことごとく減少しているので、全体的に見れば軽いは軽いけどコンパクトにまとまっているようにも見える。しかーし!数少ないエメちゃんファンを自称する私としてはここが物足りないんである。あんなトンデモな「千代田区」を創造したエメちゃんなのに・・・星条旗の星の数は「ちゃんと」50個にしなきゃダメでしょーーー?!!(爆)いやもちろん、歴史モノでそんなことがあってはならないんだけど、そんなことしたら間違いなくここでも評価下がるでしょう。しかしエメちゃんの超大作SFでのブッ飛びぶりはアレはもう個性です。宇宙人というありえない相手だからありえない展開でいいんです。でも歴史モノという考証がものを言うジャンルではその個性を生かせないのです。私が先に「非常事態」と書いたのはそこにあります・・・エメちゃんはテーマとか考証とかそういうのはない方がエメちゃんらしい映画になると思います。唯一感じられたエメちゃんらしさは、英国軍をエイリアン扱いしているような描き方と、「英国エイリアン」を宇宙人のごとくメッタ突きするメルギブですかねえ・・・それにしてもジェイソン・アイザックスは本国で無事でいられるんでしょうか?役にはまっていた分母国イギリスで売国奴呼ばわりされていないか、彼の身が心配です。余談ですがメルギブはこれに出て以来おかしくなってしまった気がします。サイン、インビンシブル、そしてパッション・・・ 5点(2004-07-20 20:19:43)(良:1票) |
48. スパイダー パニック!
あまりエメリッヒらしくないな。やっぱり彼は「ジャジャーン」という効果音が似合う大作系じゃないと様にならないね。やっぱりUFOとかワームホールから蜘蛛が出てきてくれたほうが「キタキタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!」って感じで面白いんだけどね。まあ監督じゃないからしょうがないけど。この映画は下手に知識があると楽しめません。多くの方が指摘している香水攻撃の面白さですが、私はテレビで蜘蛛や昆虫類の多くは香水が嫌いという話を知っていたんで「やっぱりね」程度にしか思えませんでした。B級としても中途半端。シェリフのお母さんにロケットランチャー持たせるくらいのことはしてもいいんじゃない?どうせこの映画にリアリティなんて誰も求めてないと思うから。私からすれば一番笑えたのはマネキンが「いや~んエッチ♪」な倒れ方したところだったってのが一番痛い。あまりに小ネタすぎて。どうせだったら本物の蜘蛛をインチキくさい合成して「巨大蜘蛛でござ~い」ってやってくれれば、その勇気に10点あげてもいいけどね。 バート・I・ゴードンは偉大だ。 4点(2004-07-19 10:07:05) |
49. ザ・コア
映画なんだから所詮絵空事、嘘と出鱈目の塊。学会発表じゃないんだから、科学的な辻褄合わせなんてどうでもいい。そんなのより果てしないイマジネーションとスピリットが見たいってのが私の娯楽映画観だけど、そんなわけでID4やアルマゲは高得点の私も、これはちょっとねえ・・・なおそまつ君な出来。ところで、この映画のテーマって何なんでしょうね?アメリカ万歳じゃないよなあ。どっちかっつーと「アメリカはバカだった」ってことですかねえ? 事の真相は、バカボンのパパレベルのことをマジ顔でやってるようなそんなもん。 「西からお日様が昇って東に沈んだ、さあ大変!バカボンがお日様を元に戻しに行ったけど、実はお日様を西から昇らせちゃったのはバカボンのパパでした」・・・そんな感じだもん。これでいいのだ?良くないってば。 3点(2004-07-16 21:52:56) |
50. ハリー・ポッターと賢者の石
初めてハリー・ポッターの名前を聞いたときは「ハリボテ?」と思ったもんだ。見て確信。この映画は「ハリー・ボッテーと他山の石」です。 華々しい視覚効果やエピソードの一方で内容は非常に空虚、人物描写の浅さ(特に最後まで悪人にしか見えなかったスネイプ。アラン・リックマン好きなのに)、予定調和を遥かに超えた主人公びいきのラスト。テーマや深みは感じない。同じく大作のLOTRは勇気や友情、愛情、人間の強さと弱さ、限られた生を生きることの素晴らしさ、二つの塔では自然破壊への警鐘まで盛り込まれていてしかもどれも食い合うことなく輝きがある。しかしこちらにテーマを探すとすれば「友情」かもしれないが、今時の子供と変わらないグループ単位での友情関係に、友情の素晴らしさを見出すことはできるだろうか?「努力・友情・勝利」少年ジャ○プを読む方が遥かに有意義だ。製作側は視覚効果を派手にしてゲームやバトルを入れれば子供は喜ぶと思っていないか?「未来の大人」であり、純粋ゆえに大人以上に厳しい目をもつ子供向け作品だからこそ真剣さが求められるのであって、映画でなくてもこの日本で名作と言われるアニメを思い起こせば分かることだ。配給側の姿勢も疑問だ。手紙や看板など普段なら字幕で済ませることに吹替でナレーションを当てる必要があるとは思えない(しらける)。子供にも分かるように配慮したつもりだろうが、字幕で分からなかったら「ママ(パパ)、これなんて読むの?」って聞くもんで、これは子供だからこそ映画から与えられる親子の思い出になるはずだ。映画への満足度は何も映画そのものの出来だけではない。それ以前に吹替の学芸会演技は耳に余るが。でもね・・・一番思うのは、「最初からお姫様と分かっている『シンデレラ』はつまらない」ってことですよ、やっぱり。まさに見かけだけのハリボテ。今後作られる大作映画には他山の石としてもらいたいところだ。 4点(2004-07-16 18:47:26)(良:2票) |
51. シックス・デイ
結局はシュワ映画って、どんなテーマを選んでいても最終的には「家族愛」に落ち着いてしまう。これはT2以降強く現れた傾向かな。恐らくその辺りから政治的野望を抱き始めたんでしょうかね。これも例外じゃない。公開された時はタイムリーだったし、実際映画はクローンの生きる権利を描こうとしていたのは評価したいと思う。もし本当にクローン人間が出来てしまったら、避けられない問題ですから。でもね、やっぱりそれはそっちのけになってクライマックスは家族を救おうとする良きお父さんのお話でした。しかしそれ以上に・・・ラストはコメントしにくいな~う~ん、でも、「火の鳥生命編」(20年以上前にクローン人間社会の問題を予見!)を読んだことのある私としては、ハリウッドは手塚治虫を超えることは出来ないんだなー、手塚はやはり偉大だったんだなーと、別のところで感心してしまいました。まあ、普通に見る分にはそこそこ面白いし音楽が良かったので点数ちょい甘いかも・・・ 6点(2004-07-11 18:59:38) |
52. 閉ざされた森
シリアスで緊迫感あるサスペンスだったのに、ラストで台無し。何じゃあのおちゃらけは。ま、トラボルタとジャクソンだからしゃあないっちゃーしゃあないかも。 5点(2004-07-11 03:49:02) |
53. キル・ビル Vol.1(日本版)
《ネタバレ》 「パルプ」で馴染めなくて「フロム」で怒り狂った私としては、今回もきっと怒ると思ってたのよ。ところがどっこい・・・一体何が起こったんだ。初めて笑ったよ、タラ公の映画で! 「彼はロリコンだった。」 これでスイッチ入っちまった。何なんだよレッドアップル3mgって。今まで下品だと思ってダメだったけど今回は美学みたいなのを感じるからだろーか。テンポもいいしね(あたしゃタラ名物ダラダラ会話が苦手だ)。ヤッチマイマシタね、あんたは素晴らしき脳味噌足らんティーノだわい。9点でもいいが、青葉屋での血しぶきプラス目ン玉のおかげで当分眉間のしわが消えそうにない。しわの本数分減点だ。 しかし。しかーし!あたしがメインで言いたいのはそんなことじゃない。タラ嫌いのあたしがこれを見ようと思ったのは、かの宇宙刑事ギャバン、大葉健二御大が出演していたからであーる。久しぶりにギャバンと対面できるんだから、タラだろうがなんだろうが見るっきゃねえ! ・・・しかし。「さけぇ?まっぴるまからぁ?」・・・この時私の中でギャバンの雄姿は、やる気のない言葉と共に、あの世のシャイダーとは違う遠い所へ光の速さでダッシュしてしまった・・・女である私の胸のエンジンにも火をつけたヒーローは、今じゃただの大根に成り下がったのか??いや、当時から大根だったかもしれない。しかし過去を髣髴とさせるアクションシーンもなく、ギャバンはバカセリフをはく・・・「バカさ、バカさって何だ?(ギャバンの過去を)振り向かないことさ」ってことだったのか・・・愛を込めてためらわず言う。あばよギャバン。よろしく勇気。 ※一部の年代以外の方には分かりにくい内容お詫びいたします<(_ _)> 6点(2004-07-08 18:26:09)(笑:1票) |
54. ハリー・ポッターと秘密の部屋
こんなアホなケネス・ブラナー初めて見た。きっと"ノキシニータス・タカサノホア"の魔法をかけられたに違いない(右から読んでみよう!)。パパさんママさん、お子様に彼はシェークスピア劇出身の名優だということを教えてあげて下さい、初めて彼を見た子がアホ役者と誤解しないように。ハリーが声変わり真っ只中で時々変な声になってたな。スネ夫みたいやん(マジ)。見た目はのび太のくせに生意気だぞ!! まあ前半はミステリー色強くてかなり面白かったけど、蜘蛛の巣を脱出するとこからしらけましたねー。何でやねんって。そこからは「やっぱりこれって賢者の石の続編なのね」的なお話。一番面白かったのはやはり真のラストシーンですな。 5点(2004-07-06 09:56:05) |
55. アメリカン・サイコ
空虚。ストーリーなんてないようなもの。でもかなり意図的。「ドーシア」の予約を取った後カメラが思いっきり引いてベールを映してるけど、生活観のない広い部屋の中にぽつんといるベールがすごく空虚に見えたりする。表面的なスマートさと乏しい実体の乖離、これこそが描きたかったことだから割と許せるかな。もう、うざったいくらい見た目は念入りに仕上げるけれど・・・モノローグでは「自信を持てる自分自身がない」とか言っていたけれど、押付けがましい親切とか音楽についての演説じみたウンチクとか、自分より他人の感情を理解できないっていう方が近いようにも思う。空虚な時代に生きている空虚な人間の物語。でも我らが(笑)ベールのおかげで内省的な部分が加わったのが良かったかな。作中ジェネシスの曲かかった時はすごく懐かしくて感動した(笑) 7点(2004-07-04 17:46:23) |
56. マイケル・ムーアの恐るべき真実 アホでマヌケなアメリカ白人
ロジャー&ミーがあって、その次のボウリング・フォー・コロンバインを見て映画っぽくないなーと思った人もいると思いますが、その原点こそがこれです。銃の正しい使い方を教えるマスコットキャラなんてのは彼らしい皮肉が利いてて、しかも最後はちょっぴり物悲しくもなったりして。「隠れNYバスツアー」「人体実験用チキン」もツボで大笑いでした。日本人にはなじみのないギングリッチ議員の女性問題ネタを見ると分かりますが、時事ネタを大衆バラエティとして料理してしまうムーアの手腕は評価できます。言うなれば彼一流のジョークであり、コロンバインも(未見ですが)華氏911も、彼が選ぶジョークのネタがあまりにどぎついだけです。でも1点です。なぜなら、これは映画ではなくアメリカのケーブルTV用に作られたバラエティ番組であり、かろうじて映画といえるのはアメリカ選挙制度の矛盾を突いた「フィカスの木」のお話くらいで(これはムーア自身が短編映画と言っているので)、それ以外は映画として点数をつけることはいたしません。10点÷12(全放映回数)=0.833333・・・、四捨五入して1点。念のため言いますが、TVバラエティとしては断然面白いです。 1点(2004-07-02 11:51:55) |
57. ラスト サムライ
高得点をつけたい要素と低評価にせざるをを得ない要素が混在していて決めかねており、仮の点数として現時点での平均点に近い7点を暫定評価とする。 吉野の里の情景が気になって仕方なかった。山の中を馬にまたがり疾走する侍たちはどうしても中世騎士ものとかぶるし、村の中はひどいもので取ってつけたような鳥居、見下ろした全景がLOTRのローハン城下街と変わらないように見えた。鉄道敷設のシーンも衣装が違えば西部劇と変わらない。アイテムは日本的だがどうしても日本のようで日本でない、日本テーマパークのように思えて仕方なく、そこに日本の心を感じることはできなかった。真剣に作っているゆえにむしろ違和感を禁じえず、その異様な風景は、共に理解し戦うようになってもなお越えられない壁が何か存在する、監督がどんなに日本通だとしてもやはりアメリカ人なのであり、外から日本を眺めている時間の方が長い人間の限界をも示しているとは言えまいか。サムライの美学と言う表面的なテーマ以上に、理解しているつもりであっても自分自身のことではない以上100%理解することはできない、それゆえに対等な立場で心を通わせあうことがどれほど難しく、そして重要か。二時間半の長尺もその思いを後押しする。違う世界に住む人間が心を通わせるには普通よりも長い時間が必要なことを。やはりこれは日本を描いた映画というより、中世の騎士道と同じで、失われた美学に題材を求めたファンタジーであり、ノスタルジーにも似た感傷にこそ感動を覚える種類の映画ではないだろうか。それにしても奈良県の人はこの映画をどう見たんだろう。気になる。 7点(2004-07-02 07:52:20) |
58. ボウリング・フォー・コロンバイン
「華氏911」公開直後、ムーアが「次回作はブレア首相をネタにする」と言った直後ブレア首相本人が激怒し、「あれはジョークだったんだ」とムーアが詫びを入れた。関係ないようだが、ムーア作品をどのような眼で鑑賞するのが一番いいか、それを暗に示す出来事だったと思う。「ボウリング・フォー・コロンバイン」も、そういう目線で見ればこの作品の価値と言うのが理解できる。 ムーアは銃社会をあくまでもジョークにしているに過ぎないのだ。マリリン・マンソンの説得力あるインタビューもあるが、マンソンも含めた様々な人へのインタビューはおかしな細工をすることなく淡々と流される。だがその中で、映画内で私が一番傑作だと思っている「マンガで見るアメリカの歴史」のたがが外れたような勢いのよさが強烈だった。それこそがムーアの持つ、時事問題をギャグで料理してしまうムーアの真骨頂であり核心とも言える部分だ。しかしそれ以外は実に淡々としているものだ。ムーアが自覚しているかしていないかはさておき、こういう形でしか誰もが避けようとする社会の抱える問題を真剣に議論させることが出来ないアメリカをくっきり浮き彫りにしている。なぜならジョークというのは、真に受けてしまう人にとっては自分自身の抱える「傷」に対し過敏に反応させてしまうものだからだ。アメリカ社会の「傷」に唐辛子を塗りこんだムーアだからこそ、この夏公開される「華氏911」の社会の過敏な反応があったのではないか?正しいか間違っているかではなく、社会の傷をえぐるピエロとしてのムーアの存在が高評価に値する。 8点(2004-07-02 07:40:20) |
59. スペース・カウボーイ
ブルーカラーのジジイ共って結構好きなんだよなあ。スケベだしどうしようもなく下らないことばかり言ってるけど、若い奴の下らない話よりも100倍面白いんだ、あたしには。下らない言葉の隙間にジジイ共が積み重ねてきた人生があって、こういう人って苦労してる人多いからなおさら、ただのバカ話なんだけどすごく深いんだよなあ。トミー・リー・ジョーンズの昔話聞いてて昔建設現場で知り合ったおっちゃんたちを思い出して何だか嬉しくなった。完全B級のネタを準A級に引き上げてくれた4人に感謝。映画としての出来はかなり荒っぽいが、しかしある意味、イーストウッドが何を描きたかったのかは分かりやすかったね。ジジイ4人、昔から知った顔が集まれば気持ちは若い頃の無茶やった日々に戻るのねえ。いくつになっても変わらんどころか年のせいでますます無茶な気がしてきて、そこが何だか可愛く見えちゃうんだよなあ、特にトミー・リー・ジョーンズ。舞台は大風呂敷って感じだけど、じいさんの夢と人生の再生物語としてはよくできてる。夢をかなえたトミー・リー・ジョーンズは最高に幸せだったろう。月にあのテンガロンハットを持っていきたかったなあ。ただしお宅のおじいちゃんがこれを見て「宇宙に行く」なんて言い出したら必死で止めましょうね(笑) 6点(2004-06-30 13:23:10) |
60. ストーリーテリング
映画そのものよりも、これを予告編で絶賛していたクドカンとはやっぱ相性悪いんだろうなあ~ってことの方が実感強いな。 1点(2004-06-29 10:22:24) |