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Nbu2さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 346
性別 男性
自己紹介 「昔は良かった」という懐古主義ではなく
「良い映画は時代を超越する」事を伝えたく、
 昔の映画を中心にレビューを書いてます。

増山江威子さんのご冥福をお祈りいたします。

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  洲崎パラダイス 赤信号 《ネタバレ》 
別れた方が良いのは十分わかっている。お互い仕事は見つかったし、自分をちゃんと支えてくれるパートナーも出来そうだ。それに流れ流れた恋の行く末が悲劇となってしまった例をこの眼で見てしまったのだから、、、、でも別れられない二人。本当に忸怩たる思いですなコリャ。それでも赤信号を越え深川の洲崎門を離れていく二人の乗ったバスは素敵な未来へ向かって行くと信じたい! 90分にも満たない小品ですが私も好きです。
[DVD(邦画)] 8点(2006-04-14 21:26:22)(良:3票)
42.  いつも上天気 《ネタバレ》 
「レオン('94)」には大した感想はなかったものの、作中にこのMGMミュージカルが使われてるのを見て、監督リュック・ベッソンの趣味の良さに感心した記憶がある。そう、最良のジーン・ケリーが見れるという点で後世に残る一本。アスリート的なパワフルなダンスを身上としてる彼、「雨に唄えば('52)」でいえば有名なタイトル・チューンより、机/椅子の上でダンスをする「Moses Supposes(軽〜いドナルド・オコーナーとの対比含めて)」の方が個人的にはよい。そんな彼のアクロバティックなダンスの頂点が、ジャン・レノが目キラッキラさせて見てた「I Like Myself」。後年のダンス文化への影響という意味において、もっともっと評価されるべきなんじゃないのか。シド・チャリシーも良い。もともとバレリーナだったので前作「ブリガドーン('54)」の方が水に合ってるし、アステアと共演した「バンド・ワゴン('53)」も良いけど、彼女個人のパフォーマンスはこっちかな。以上パフォーマンスはYouTubeの「Warner Archive」で観れるから見て頂戴。でね、ここからなんすよ、私の強調したい事は。それは「幸福感の稀薄なミュージカルは作品としての魅力に欠ける」つまりこの作品、個々のパフォーマンスは素晴らしいのだけど流れる雰囲気がもう「ミュージカル、古臭くね」感がありありなんですな。「雨に唄えば」から3年でこの変化はなんなんだろ。冷戦状況下の社会的影響・新興のエンタメ/テレビの隆盛・何よりロックンロール(ビル・ヘイリー「ロック・アラウンド・ザ・クロック」は55年、エルヴィス登場は56年)の出現。時代の趨勢に呑みこまれてしまって抗えない、廃り感を感じさせてしまう点がこの映画の印象を薄くしちゃってんですよね。...だいたいなんで「巴里のアメリカ人('51)」「ブリガドーン」はソフト化されてるのに、この作品は無いのだ、おかしいでしょ。結局アメリカアマゾンでソフト購入しちゃったよ...。話が脱線しましたが、ミュージカル映画における幸福感ってのは結構重要で、最近でもデミアン・チャゼル「ラ・ラ・ランド(2016)」だってS.S.ラージャマウリ「RRR(2022)」にもちゃんとある。観客がダンスの世界に引き込まれるだけの雰囲気作りは大切。 今回レビューの点数は私の想い出補正と個々のダンスに関して、ってことで。長文失礼しました。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2024-02-25 06:52:34)
43.  我が家は楽し(1951) 《ネタバレ》 
中村登監督を勝手に「松竹版成瀬己喜男」と想ってる私としては この作品、中村監督版「おかあさん(’52)」。いやこっちが早いんですよね。 昨年2023年の神保町シアター、「中村登生誕110年」特集で鑑賞。 年取ってくるとこういう幸せいっぱいのホームドラマ、弱いのよ。  個人的にこの作品のツボは、配役の妙にある気がしてる。 笠智衆/山田五十鈴/高峰秀子/佐田啓二といった、 どちらかというと心に陰のある役柄を得意としてる彼らが ストーリー上起こり得る不幸に胸を痛める演技が上手いので、 ラストの大団円にて「埴生の宿(ホーム・スウィート・ホーム)」を 泣き笑いで唄うラストが映えてくる。そしてアメリカのホームドラマを 上手く換骨奪胎した(父親笠智衆の物忘れ気質とか) 中村監督の職人ぶりもまたいいのよ、これ。  デビュー作品になった岸恵子、ここでは添え物。 ただ彼女のキャリアを考えたら、松竹/本作品のデビューは 最良のものだったのではないだろうか。 彼女の講演会で話されてて印象的だったのだけど 彼女自身当初は大学入学まで、と考えてた役者人生。 この作品で様々な才能と触れ合い、時間を共にする事で 本物の価値に出会い、本当に啓蒙を受けたんだろうな、 自分を磨く場として映画界に魅力を感じたんだろうなと 個人的には感じてしまった。  点数はこんなもんだけど、鑑賞後の気持ちよさも含めて 本当は+2点にしたい位。機会があれば是非。 ってまだDVD化してないの?がんばれ松竹
[映画館(邦画)] 7点(2024-01-21 17:49:40)
44.  真空地帯 《ネタバレ》 
「組織保身の為には個々の人間性や感情は無視される」「目的達成のための効果的かつ合理性に基づいたものではない、ただ末端に至るまで感情を引き上げる為の前時代的な押し付けで運営されている行動規範」「責任の所在が不明瞭なままの組織戦略」軍隊生活の非人間性を訴えたこの古典のテーマが、2023年の今に至るまで問題提起されてるのは、どういった了見なんでしょうかね...。少し録音が聞き取りづらいところがあったので(独立プロ作品なので大手よりはリマスターの機会少ないのかな)その点がマイナス。
[映画館(邦画)] 7点(2023-08-13 10:48:30)
45.  陽のあたる坂道(1958) 《ネタバレ》 
日本「青春」映画のエバーグリーンですよね、この作品。今回神田神保町シアターにおける「デビュー70周年/芦川いづみ」特集で初めて劇場にて鑑賞。実は私、今回の特集に当って芦川いづみの別作品(今回は「あした晴れるか(’60)」「乳母車(’56)」)を鑑賞してたのですが、この作品上映時は明らかに観客層が違う。つまり芦川いづみだけではない、石原裕次郎/北原三枝/川地民夫ファンにとっても思い入れのある一本ってことなんでしょう。戦後日本青春映画のビッグバンは日活+石原裕次郎の登場=「狂った果実(’56)」と考えてる自分ですが、不良性を強調し過ぎた演技、くどすぎてあんまり好きじゃない。但この作品においては「(マーロン・)ブランドじゃなくて(ジェームス・)ディーン的」な心に陰のある若者、というスタンス/演技が私だけではない、当時の老若男女に受け入れられ俳優石原裕次郎が大スター、ブームとなる後押しとなった1本としてご年配の映画ファンから愛されているんだなぁ、と感じたわけっすよ。あともう一点思ったのは、若手のフォローに回っているベテランの役者があっての日活青春映画であったという事。主演4人の魅力以上に彼らを支える小杉勇/千田是也/森川信/小沢昭一の演技が上手なので3時間半の長い映画も意外と退屈せずに鑑賞出来た。その中でもMVPは轟夕起子。1967年、49歳という若さでこの世を去ってしまう彼女にとっても、この作品は記憶に残る名演技としてもっともっと評価されてもいいはず。そういった事を念頭にいれつつ、50年代末~60年代中旬の日本芸能社会を牽引していた日活青春映画(大門軍団とか七曲署のボスだけではない石原裕次郎の魅力)を堪能していただきたいということで、機会があれば。あとスクリーンで見る北原三枝+芦川いづみ、良かったなぁ...。結局そっちかい。
[映画館(邦画)] 7点(2023-04-02 19:14:16)
46.  空の大怪獣ラドン 《ネタバレ》 
2023年初・映画館鑑賞はこの作品。 スクリーンで特撮映画を見るのは、いいもんだ。  「ゴジラ(’54)」が(核)戦争体験、「モスラ(’62)」が神話/御伽話 という点を観客に想像させる作品としたら、この映画で自分が 感じたのは身近にある恐怖=人間社会に被害を及ぼす 害獣(それこそ熊とか虎とかワニとか)の存在。 なので個人的にはメガヌロン発生~ラドン出現に至る、 前半パートの方が出色、と思ってる。  とはいえ後半、ラドンが北九州を衝撃波で蹂躙してゆく 一連のシーンはゴジラ(’54)からわずか2年しか 経ってないのに、カラー映像も含めて特撮技術の 進歩・当時の映画業界の隆盛ぶりが垣間見え、 これはこれで一見の価値はある。  上映時間の短さが不満なのと 前年の「モスラ/4Kリマスター」に感動しすぎて インパクトという点では今回レビューとして この点数なんだけど、ちゃんと入場料金分の モトは取れた。機会があれば是非。
[映画館(邦画)] 7点(2023-01-02 14:01:40)(良:1票)
47.  拳銃の報酬(1959) 《ネタバレ》 
ロバート・ワイズ、というと「ウエスト・サイド物語('61)」、「サウンド・オブ・ミュージック('65)」「砲艦サンパウロ('66)」といった大作作家の印象が強いけど個人的には50年代までの作品群、それこそ「罠('49)」「傷だらけの栄光(’56)」、そして「地球の静止する日('51)」みたいな小品が好きだ。「黒人を主演にしたフィルム・ノワールの傑作」として紹介されてるこの映画を鑑賞したきっかけはロバート・ライアン好き+音楽(MJQにビル・エヴァンス+ジム・ホール)。3人の男が銀行強盗を実行、その破滅を描いた話なのだが顛末は「自滅」なので、サスペンスとしては他のレビュアー様と同様「最初からやめときゃ良かったやん!」という感想しか出てこない。但最近DVDで再見する機会が有ってこの作品、企画=主演ベラフォンテ+監督ワイズによる、好景気に沸くアメリカの暗部を描き出した社会派作品として感じるところがあったのでこの点数。黒人差別の件はすぐわかったが、今回見直してみて新たな発見だったのは前科者で極端な人種差別主義者であるアール(ライアン安定の好演)、彼は戦争体験によるPTSDを病んでしまっていたのでは?という点。(軍部が鎮痛剤/精神安定剤として供給したモルヒネの影響で、薬物中毒とPTSDに苦しむ帰還兵が社会に復帰できない=犯罪等の増加の一因となるほどの社会問題になってたのは有名な話)犯罪決行の前、時間つぶしで狩りに行くもウサギを打つことが出来ない→ラスト銃撃戦からのタンク大爆発も銃の流れ弾が、というよりも精神不安定でもたらした帰結なんだろうな、と。50年代後半、映画界におけるヘイズ・コードが未だ効いている中、ベラフォンテ+脚本エイブラハム・ポロンスキー(映画公開当初はノンクレジット=後年名誉回復)は赤狩りのブラックリストに乗った人物。そういったポイントを踏まえて機会があればぜひ鑑賞下さい。あともう一点。音楽に参加したビル・エヴァンス(p)とジム・ホール(g)は後年大傑作アルバム「Undercurrent('62)」で共演し、この映画で使われた「Skating In Central Park」をプレイしてます。これが本当に、いいんだなぁ~。
[ビデオ(字幕)] 7点(2021-10-02 19:30:40)(良:1票)
48.  雲ながるる果てに(1953) 《ネタバレ》 
GHQの占領統治が終結、これが1953年=その前後から各メディアへの情報統制/規制も解除されつつあり、それは映画界にも影響を及ぼした。メジャー会社より独立した「独立プロダクション」の隆盛もこの頃から。山本薩夫/新藤兼人/今井正などが有名だが、家城巳代治もその一人。...すみません、説明が長かったですね。で現在でもよく上映される「太平洋戦争における特攻作戦」の先駆けになったのがこの作品。私も久方ぶりに映画館で見て印象をもったのは、軍上層部の特攻兵に対する見方=徹底して「兵器」としての感覚で表現している、その点にありました。平成~令和の戦争映画はその点、まだ人間としてあつかわれてる気がします。とうちゃんかあちゃんと号泣した特攻兵が国のためにと飛び立っていったその後で、更なる「兵器」の投入を示唆する軍上層部の非情さ。 あとは鶴田浩二。19歳で徴兵され海軍航空隊に所属していた彼は整備兵として、間近で特攻隊を見続けた体験をしております。私財を投じ戦没者の遺骨を収集し続け、戦争に対する講演活動をその俳優人生において積極的に行っていた彼にとってこの作品はたぶん忘れられない一本であったでしょう。そういった点を考慮してこの点数。
[映画館(邦画)] 7点(2019-08-11 07:51:41)
49.  風と女と旅鴉 《ネタバレ》 
三國連太郎の起用/ドーランを使わず全役者はスッピン/同時録音の実施と、監督加藤の作歴上始めて?の股旅映画は50年代東映チャンバラに、「リアリズム」を組み入れるという試み溢れる意欲作。ただ率直に言えば主役二人以外の人物造形/脚色は東映チャンバラ映画のファンタジー世界そのままなので、(千両箱を置いて逃げ出す殿山泰司とか長谷川+丘+錦之助の三角関係、もしくはコメディ悪役の造形?と思われる進藤英太郎)その半端感がマイナスポイント。 それでも最後まで見る事ができたのは監督加藤のワイドスクリーンを存分に活用したローアングル+クロースアップの使い方、そして画面上の人物配置に工夫を凝らしたショットの素晴らしさと役者錦之助の演技=明暗含めた感情の出し方が抜群に上手い、という点にあるのだろう。...でこの作品がなぜ未だDVD化されてないのですかね?がんばれ東映ビデオ!
[映画館(邦画)] 7点(2019-04-08 22:04:57)
50.  キクとイサム 《ネタバレ》 
今井監督映画のテーマにいつも古臭さを感じてしまう私。この作品にも時代との乖離を感じるが、役者の演技力で見せきってしまうからすごい。宮口精二に東野英治郎、滝沢修や三國連太郎といった演者の登場には驚かされたが、やっぱり北林谷栄の凄さ。(約30年後「となりのトトロ」における「メイちゃーん」という呼びかけ、あのまんま。御理解いただけるだろうか)物語の終わり方も「頑張って生きてゆくんだ」と予定調和的なものになっているが彼女が演じたからこそあの説得力が生まれたのだと思う。子役の二人も好印象。これは機会があれば。
[映画館(邦画)] 7点(2018-01-21 20:33:12)
51.  昇天峠 《ネタバレ》 
ブニュエルの「脱力系」ロード・ムービー。但しコメディを期待すると現代の観客には合わない気がする。そんな私の琴線に引っかかるのは「筋金入りの無神論者」と自身を称し、後年キリスト教を風刺する作品を取り続けた監督ブニュエルがこの作品でも「祈りを捧げたからといって物事は上手くいくとは限らない」「理想から程遠い結果に落ち着く人生」をキリスト教の挿話を暗示させる映像表現で示している点にある。激しい風雨の中を突き進むバスはまさにゴルゴダの丘を登るキリストの比喩であり、リンゴ(禁断の果実)を食べながら主人公を誘惑する女、バスに乗り込んでくる山羊(聖書における悪魔の化身)。道中主人公が体験する様々なトラブルは「七つの大罪」の暗喩。親想いの主人公は最後色欲に負けて聖者になり切れず、親の死に目に会えないというしっぺ返しをくらう。ラストもハッピーエンドに見えがちだけど、それは主人公が奸計を使っての事であり「人をだます事を覚えた」暗い心の発露感は否めない。オープニングが結婚式/ラストは葬式、バスの往路に出産/帰路に葬列というのも印象深い。万人におすすめとは言えないが興味があれば。
[ビデオ(字幕)] 7点(2018-01-03 10:29:57)
52.  夜の河 《ネタバレ》 
主人公が恋を諦めてキャリアウーマンとして改めて生きてゆく事に決めた経緯が男性陣(演者の演技は良いし時代的な背景もあろうが)の「だらしがない」(としか言いようのない)性格に起因してしまっている点、加えてメロドラマにしても都合の良すぎる展開・余計な描写(特に私はラストのメーデーの描写は蛇足と思っております)といった欠点あるこの作品を何故故にレビューするのか。まずは日本を代表する名カメラマン宮川一夫の撮影/カラー描写の素晴らしさが一点。京都出身の彼が撮りだした日常風景や色彩配置の各ショットは今の邦画ではもう映し出せないし、出せたとしてもその「空気」までは抽出出来ないと思わせる。そしてもう一点は山本富士子の「美しさ」をフィルムに捉える事の出来た一本であった事に尽きるのではないか。後年五社協定事件(1963年=フリーになろうとした彼女に親会社の大映がそれを許さず五社協定の名を借りて映画界から締め出した事で彼女はTV・舞台女優としての生き方を余儀なくされた)により10年しか映画女優として活動できなかった彼女の代表作の一本になった事でこの作品は映画史に名を残した。ま、私としては「彼岸花(58)」「女経(60)」とか「美貌に罪あり(59)」くらいの少しムッフーンな方が好きなんだよう...ムツフーン。...ゴホンゴホン、早く大映はブルーレイ仕様のデジタルリマスターやっちゃってください!
[映画館(邦画)] 7点(2016-05-05 22:06:53)
53.  下郎の首 《ネタバレ》 
日本映画史に名を残す名匠伊藤大輔の佳作として、「王将」(48年)ほどではないが印象深い本作 。とはいえ同年に公開された『同じ槍持ちの下男・ラストの殺陣』を主題とする内田吐夢の「血槍富士」の評価の方が高いし、実際この映画を鑑賞するとそういった世評もむべなるかな、という感はある。純朴な下男を演じる田崎潤が嵯峨三智子演じるお市に惚れられるという展開は説得力に欠け(それこそ片岡千恵蔵ならともかく)、なによりも片山明彦演じる主人新太郎が下男の身柄を敵に引き渡すか否か悩むその心情をいちいちモノローグで説明している、という点は伊藤大輔らしからぬ、キレ味悪い表現として点数は厳しくなってしまう。但私がこの作品をなぜレビュー登録したか=ラスト15分の展開+ヒロイン嵯峨三智子の存在感によるもの。主人に裏切られ(字の読めない訥平に「身柄を引き渡すので好きにしろ」と書いた手紙をもたせ、果し合いの場で敵一団に届けさせる、というのはひどい)絶望した訥平が天に向かって叫び、ボロボロになりながら敵に立ち向かうも相手に何も害を与えることなく、ただなます切りにあって死んでいくその情景に監督伊藤がなぜこの作品をリメイクしたのか・強く訴えたい程の「ほとばしる感情」が見える分、酒蔵で泥まみれになって暴れる千恵蔵よりもインパクトは強い。また果し合いの現場に急行し決闘を諌めるも巻き添えの刃をくらい、訥平の手を取って死んでいくヒロイン。後年伊藤大輔は「薄桜記(58年)」脚本で雷蔵&真城千都世に同様の死に様を見せているがその悲劇度で断然こちらの方が印象深い。加えてこの時19歳の嵯峨三智子の艶っぽさ。着物の襟足から覗く強烈なエロティシズムというのか…とにかくこれは山田五十鈴のDNAですな。脇役(小沢栄・浦部粂子・三井弘次・丹波哲郎)の演技も好印象。
[映画館(邦画)] 7点(2014-04-23 13:52:35)
54.  キッスで殺せ! 《ネタバレ》 
カルトムービーとして世界中に愛され、尚且つ様々な映画作家にオマージュを捧げられているこの映画。とはいえ現代の観客目線で再見すると正直粗ばかり目立つのは仕方がない。話の流れが(字幕だけで情報を得る困難もあるのだが)多少わかりづらいし、主演級・とくに女優は魅力に欠ける。にも関わらず私が好きなのは、50年代のアメリカ映画がマッカーシズムとヘイズコードによって規制が多かった中で、監督アルドリッチが「初めてやりたい事が出来た」と述べている=微笑ましいほどのフィルムから溢れる「若さ」なのだと思う。妙にいやらしい・とことん暴力をもりこみショット(=特に階段の上り下り)にこだわりを持ち、奇人変人を愛する。単なる雇われ監督作品「アパッチ」「ヴェラクルス」(共に54年)と比べ、ワクワクぶりが滲み出ているではないか。現在では結末が補完されたプリントがソフト化されているがこの作品に関しては昔の結末が欠けたバージョン(DVDでは特別映像として見る事が出来る)の方がなんじゃぁぁぁ、そりゃぁー!的な感じがして好きなのでマイナス1点。
[映画館(字幕)] 7点(2013-02-24 18:27:18)
55.  風船 《ネタバレ》 
本当は「女優芦川いづみの最高傑作」だけですむこの映画のレビューだがそれだけでは寂しいので一言。北原三枝の演技も良い。多分彼女はルリ子や小百合やいづみ、雅子といった日活若手女優の中でも若い頃から演技力の幅・器が合ったと感じさせる一本。もちろんこのような小品で彼女達の演技を引き出せた監督川島のうまさあっての事だと思うが。
[映画館(字幕)] 7点(2010-04-03 11:47:38)
56.  乳母車 《ネタバレ》 
日活映画「文藝路線」の輝きはこういった小品を堅実に撮り続ける事で成り立っていたのだなぁ、とこの作品を観るといつも思う。またこの映画の裕次郎は無理な「背伸び感」が無く物凄く好感をもてる。子供の存在感、笑顔が大人のしがらみを解きほぐすラストも大好き。しか~しこの映画の最大の魅力は下の方皆様が書かれている様に芦川いづみにつきる!彼女の魅力は「笑顔よりも憂い顔」と思っている自分だけどこの笑顔、メチャクチャ可愛いではないか。ラスト赤ちゃんコンテストに参加するために主婦らしさを見せるべく、「いい考えがあるわ」ってあの服と眼鏡は反則でしょう。しかも出産の様子を説明する時のアタフタっぷりで撃沈。極私的芦川いづみ出演作のベスト5には入るものと、勝手に解釈しています。
[映画館(邦画)] 7点(2008-07-19 21:18:29)(良:1票)
57.  隠し砦の三悪人
言いたい事は多々ありますが、この後2~3本の映画に出演しただけで「自分には才能がない」と引退した上原美佐にこの点数をささげます。あなたはまさに(アストロ球団ではないですが)「一映画完全燃焼」の人でした。演技を越えた存在感。
[映画館(邦画)] 7点(2007-09-09 16:45:34)
58.  スタア誕生(1954)
この映画によってジュディ・ガーランドは「スタア『再』誕生」を果たすはずだった。にも拘らず彼女のパフォーマンスは評価されず。人によって「鑑賞するのに辛い映画」というのがあるだろうが私にとってはまさにこれ。点数はすべて彼女の最後の熱演によるもの。アカデミー賞協会のバカ!(ちなみにこの時の場景を描いた本として心に残るのはサミー・デイヴィス・ジュニアの本「ハリウッドを鞄に詰めて(早川書房)」。本当に切ない)
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-02-25 19:59:30)
59.  アニーよ銃をとれ
ベティ・ハットンの300%の熱演と周りのキャスティング(ハワード・キールもいいがやはりルイス・カルハーン)の好サポートが印象を残す、MGMミュージカルの佳品。(私見で申し訳ないがDVDの映像特典、ジュディ・ガーランドのアウトテイクは入れていただきたくはなかったです。ベティ・ハットンの300%以上の熱演をもってしてもヘロヘロのジュディには及ばなかった、というある意味酷なものを感じてしまうんですよね。付いてて良かった!という方もいらっしゃるとは思いますが。)
[DVD(字幕)] 7点(2006-06-17 00:59:02)
60.  地球防衛軍 《ネタバレ》 
結局、ミステリアンが地球侵攻失敗した理由って 日本をターゲットにしたからなのではないか。 土地だってもっと広い場所もあるだろうに。 白川由美さんの入浴シーンでドキドキしちゃったのかな。 日本の盆踊りに惹かれちゃったのかな。 この頃から日本、インパウンド的に魅力あったんだろな。  それはともかく...地球滅亡の危機たるもの、 H・G・ウェルズ「宇宙戦争」なり、「インディペンデンス・デイ」 的な侵略側の絶対的力を誇示する等の大緊張が あってしかるべきなのだけど、モゲラの鉄橋橋踏み外し・ マーカライトファープ光線への頭ぶつけ、では幻想譚としても なんか膝カックンな展開が繰り広げられる点が、歯がゆい。 その反面地球移住への条件として「種の保存」を要求し 地球人女性を捕えて基地に連れてゆくってのは妙に 生々しさを感じて、気恥ずかしい。  ただ今回スクリーンで鑑賞して良かったのは、 「現実に有り得るのではないか」と感じさせる 小松崎茂デザインの各種兵器。そして 私が「東宝・伊福部昭3大マーチ」と勝手に名付けてる (あとはゴジラのテーマ/怪獣大戦争マーチ) 地球防衛軍のテーマを大音量で聴けた事。 得した気分に、なりました。
[映画館(邦画)] 6点(2023-08-04 20:03:37)
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