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41.  恐怖ノ黒電話 《ネタバレ》 
ホラーという観点で見た場合、本作はかなり怖い。ホラー版「オーロラの彼方へ」といった感じか。  ■過去の側の犯罪者が圧倒的に有利(未来はただ時の流れに従うしかない)というのが通常のイメージと逆のところで、それが生殺与奪権を完全に相手に握られているという不条理性を作りだしている。親しい人を何人も殺され、自分も大火傷を負わされ、そして負の連鎖からは逃れられない。  ■しかし、冷静に考えてみるといろいろおかしい。「時間の流れを変えている主人公だけは外側にいる」かのような説明が途中でなされていながら、主人公もが時の流れの変更の影響を受けるようになる。そして、そんな大火傷を負ったり人を一人殺したりするような大変化を受けながら、主人公の境遇が前後でほとんど変化していない(前の夫すら同じ)というのは到底ありえないと思う(他の人の境遇変化を見よ)。とはいえ、そういったことは見ている間はほとんど気にならず、ただただ怖かったのであまり減点はしない 
[DVD(字幕)] 9点(2013-05-21 01:06:30)(良:1票)
42.  シージャック(2012) 《ネタバレ》 
海賊によるシージャックを扱った映画だが、一昔前に流行った「ハイジャックもの」とは全く違う。徹底してリアリティを追求した映画で、ドンパチは全く存在しない。  ■社長自らが交渉に臨むが、交渉は一向に進まない。金銭面で一向に妥協しないようにしているのはなめられないための戦略なのだろうが、4カ月にも及ぶ長期戦になると、さすがにやり過ぎの感は否めない。実際の交渉だったら早めに妥協をしていくと思うが。  ■しかし、犯人、人質、交渉人と、それぞれ一枚岩ではなく描かれているのは非常によい。それぞれの齟齬がウィークポイントにもなり、そこが混乱や危機の元凶にもなっている。  ■そしてあのラストの展開、なんとなく予想できたがしかし・・・
[DVD(字幕)] 9点(2013-05-06 23:55:35)
43.  アシュラ(2012) 《ネタバレ》 
内容としてはかなりタブー的なものに挑んでいる作品。人間が、まさに「人間」になるがゆえに苦しみ、そしてその罪と犠牲の中で葛藤する。アシュラはその只中を経験し、人間になりかけているところですれ違いを繰り返す。  ■若狭はアシュラの人肉を拒み「食べるぐらいなら死んだ方がいい」と言う。しかし、彼の恋人もまた若狭のために盗みという罪を犯そうとする。もし盗みがうまくいったとしたらどうなったのであろうか。恋人の持ってきた食べ物を若狭が食べるのだとしたら、それは結局「罪と汚れを他の者に被せることによって、自らの汚れなき状態を安心している」だけになってしまうのではないか。アシュラはその取りつくろいが極めて下手であり、恋人は恐らく上手くやれる。しかしそれは本質的には違いはない。「私は罪なく生きる」ではなく「いかに汚れなき生き方だと思っていても、私も罪の中にいる」と自覚し葛藤することが必要なのであろう。それが最後の法師の一言に表されている
[DVD(邦画)] 9点(2013-04-18 01:00:15)(良:1票)
44.  4デイズ 《ネタバレ》 
拷問をテーマにした重い作品。肉体的に痛いシーンは多いけれども、むしろ精神的な痛さを感じさせられる。  ■拷問は、一見すると拷問している側が圧倒的に有利なように思う。だが、いかなる苦痛にも耐えしのぶ覚悟と、適宜相手を錯乱するだけの戦略を持っていると、一転して拷問される側が有利になる。本作は、核爆弾をこっそりと配備した男と、拷問のスペシャリストとを登場させている。そしてその微妙な力関係をあぶりだすことで、互いの精神的な追い詰められ方を描いている。  ■誰も決定的に間違った行動をとっているわけではない。拷問をしてでも市民を救わざるを得ない状況もある程度理解できる。Hが拷問のたびに薬(恐らく精神安定剤)を飲んでいるのも、拷問が決して楽しいものではなく、自らの精神を削るものであることを示している。まさに情報を引き出すために必死なのだ。  ■しかしヤンガーは狡猾である。爆弾が同じ場所にあったということは、つまり「4つ目の爆弾」の存在は誰も確認できないのである。処理班が失敗したのか、彼がウソをついていたのか、それはヤンガーと処理班以外は知り得ない。だが両者ともに死んでしまっている以上「拷問をした」という汚点と、実際の核爆発の被害だけが残る。妻が死んでも口を割らなかった男が、たかだか子供であっさり口を割るのは怪しいと思ったが、狙いはそういうことであろう。「子供で口を簡単に割ったのは不自然」という意見が散見されるが、あれは「子供を使った脅迫に屈した」のではなく「屈したように見せかけた(4番目の爆弾があるから問題ない)」と解釈するのが正しいのだと思われる。  【追記】アメリカ版ではラストの「4つ目の爆弾」がカットされているらしい。日本公開版のラストの方でないと、そもそもストーリーとして成り立っていないように思う。9・11後のアメリカには精神的によくないとはいえ・・・
[映画館(字幕)] 9点(2013-02-26 01:07:27)
45.  ミケランジェロの暗号 《ネタバレ》 
ミステリー仕立てだが、ミステリーとして見ると拍子抜けする。でも人間ドラマとして見ると、従来的な「ナチス・ユダヤ人もの」とは違っていてなかなか面白い。  ■チャップリンの「独裁者」のように、ナチスとユダヤ人の立場が入れ替わってしまう話。ではあるのだが、入れ替わる二人が小さいころからの友人でありながら、雇い主と使用人というこれまた微妙な関係であるところがなかなかに難しい立場にしている。「金持ちのユダヤ人」は「使用人のドイツ人」を雇って、ユダヤ人の側はとても友好的にやっていて、また面倒を見ているつもりでいる。しかし一方で使用人の側からすればどことなく常に屈辱を感じ続けてきたのではないか。それがナチスによって立場がひっくり返ってしまう。ここに一つの立場転換がある。  ■もう一つの立場転換はもちろん入れ替わりなのだが、この二重の入れ替わりを経ることで、お互いがお互いを見る目というのがかなり複雑になっており、その辺の人間関係はなかなか面白い。ラストの展開はすっきりしすぎていて逆にあれだったが
[DVD(字幕)] 8点(2013-01-27 00:47:56)
46.  フランス特殊部隊 GIGN ~エールフランス8969便ハイジャック事件~ 《ネタバレ》 
タイトルが何かあれだが、エールフランス8969便ハイジャック事件を再現的に描き出した作品。アクション映画という感じはほとんどなく、サスペンス的なやり取りが中心。  ■モノクロ風で淡々としているが、決してヒーローがいるというわけでもなく、静かに交渉が進み、突入はあっという間に終わる。現実はこのようなものかという感じ。コンパクトに上手くまとまっていたと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2013-01-13 23:50:57)
47.  裏切りのサーカス 《ネタバレ》 
正直な感想「分からなかった」。これまでもSAWやインセプション等の映画は見て一応は理解できるのだが、時間軸が三本存在して、しかも特徴付けも抑揚も特に付けてくれないので、ものすごい複雑で、かなり辛かった。リンチ映画やフェニーニ映画のように「分からせないタイプの映画」でもないストーリーが明確にある映画なだけに、ある程度ポイントは定めて描写して欲しかった。  ■あと映画として見ると辛いのは、人物の掘り下げがよくわからない(原作を見ないと正しい解釈に至るのは困難)という点。ストーリーを変に複雑にするぐらいなら、人間像の掘り下げの方にエネルギーを注いだ方がよかったように思う。  ■骨格のストーリーそのものはそこそこ面白い(のであろう)し、映像や雰囲気はすごくよく取れているのでもったいない。
[DVD(字幕)] 7点(2012-12-06 01:49:41)
48.  アルゴ 《ネタバレ》 
結末は分かりきっているのに、しかも別に派手なシーンは一切ないし格闘なども全く存在しないのに、手に汗握ってしまう。その上、これが実話だというのだから驚かされてしまう(もちろん細部はかなり脚色あるのだろうが)。久しぶりに見た良作。  ■イランのアメリカ大使館人質事件において、6人が事件の際に大使館を脱出、カナダ大使私邸にかくまわれた。しかし逃亡がばれるのは時間の問題、そこでCIAが打って出たのが「映画作製を偽装してクルーとして国外逃亡させる」というとんでもない案だった。  ■入国から出国まで、映画として見れば大したことはしていないのだが「ちょっとでもばれたら殺される」という状況が描き出されているので、否応なく緊張する。グループ内で仲間割れがあったりと、状況も結構シリアス。最後の空港の脱出がほぼすべて「ぎりぎりのところで間に合う」の繰り返しになっているのは脚色だろうがまあご愛敬の範囲。  ■ほぼ不可能と思われた任務が達成されても、手柄はカナダであり、主人公の業績は地下にしまわれる、というところが実は印象的だったりする。目立つためのヒーローでないところはこの映画の良さ
[映画館(字幕)] 10点(2012-11-18 23:08:36)
49.  テイク・シェルター 《ネタバレ》 
夫が繰り返し見る悪夢や幻覚から破滅の予兆を感じ取り、周りなど無関心にシェルター作りに奔走する。一方の妻と耳に障害を持つ娘は、精神を病んでしまった夫とどう接していくか・・・  ■この映画は、夫の幻覚がただ精神疾患なのかそれとも予知夢なのか、は実はほとんどどうでもいいのであろう。ここでの主題は、夫も妻もともに「家族のため」を思って最善と思う行動をとっており、しかしそれぞれの信じる世界の違いゆえに全然噛み合わない、という状況をどう乗り越えるか、というところ。  ■妻は本当に献身的で、夫に家計ギリギリのところの金を勝手に使われようと、好き勝手して会社をクビになろうと、必死に夫を支えてくれる。夫の方も家族のことは考えて入るのだが、それにしては家族に話さずにいすぎであろう。  ■しかしラスト、夫の方が正しいことを暗示させて終わる。あそこでいう「分かったわ」は「あなたの予知が正しい」ということではなく(なら嵐の段階で終わっている)、「あなたがどういうことを恐れ、そのために必死で行動していたかが分かった」ということであろう。
[DVD(字幕)] 7点(2012-08-14 00:34:56)(良:3票)
50.  ビー・デビル 《ネタバレ》 
これは壮絶な作品。アングルは全く違うが「オールドボーイ」にもひけを取らない壮絶さがある。  ■舞台は島民が10人にも満たないような孤島。主人公ボンナムは生まれてこの方一度も島を出たことがない。島は徹底された家父長制、男尊女卑で、毎日こき使われ、殴られ、そして夜は島の男どもの慰めの道具にされるという、想像を絶する虐げられ方を生まれてからずっと受け続けている。  ■そんなときに、ソウルでの生活に嫌気がさして、一週間ほど島に幼馴染ヘギョンが避難してくる。喜ぶボンナムだが、ヘギョンはなるべく島の問題には触れないようにして助けてくれない。島からの脱出をヘギョンに懇願するも断られ、早朝に娘とともに脱出しようとするも見つかってしまい、娘は殺されてしまう。  ■最後の支えの娘が死んでしまい、ボンナムは「太陽を見ていたらわかった」と島民を皆殺しにしていく。  ■ラストは壮絶だが、しかしあれだけの怨念がたまるのは誰もが理解できるような構成で、むしろ今まで我慢していた方が信じがたいほどである。「発狂」というよりは、まさに「重しが外れた」という方が近い。  ■しかし一番つらかったのは、娘が殺されるのをヘギョンは見ていたにもかかわらず、それを取り調べて言ってくれなかったことであろう。こここそが「最後の綱が切れた」瞬間だ。  ■エンターテイメント性は全くない、見終わって疲れ果てるタイプの映画。でも一度は見ておきたい映画。一人で見ることをお勧めする。
[DVD(字幕)] 9点(2012-07-27 23:55:15)
51.  灼熱の魂 《ネタバレ》 
最初の方は筋道が見えず、バラバラの物語が投げ出されているように見える。だが、すべてのピースが組み上がると、その意味と悲劇が分かる。  ■最初は「なぜこんな謎ときみたいなのを死んだ後に子供たちにさせるのか?」と、これは映画を面白くするための設定なんじゃないか、と思って見ていたが、最後まで来て、なぜ母がそういう行動をとったか、がピシッとはまって、同時にその悲しさが見えてくる。  ■こんな悲劇に会い、しかもそれを誰にも言わずに半生を送ってきたというのは本当に想像を絶する。いささかやり過ぎな設定だが「報復に報復で応える無意味さ」を引っ張り出す設定ではある気がする。
[DVD(字幕)] 9点(2012-07-11 00:58:25)
52.  サラの鍵 《ネタバレ》 
1942年の、ナチスドイツに協力していたフランス政府によるユダヤ人強制収容と、2009年のジャーナリストとを行き来させながら悲劇性を浮き彫りにしていく作品。重い。  ■弟を納戸に閉じ込めて収容所に送り込まれたサラ。そこの謎もいろいろと残されたままの樹はするが(引っ越すまで、中に死体があって異臭を放っていても一度も開けずに放っておくか?何か知っていたのではないか等)そこへ深入りはしない。主眼はむしろ、サラの苦悩と悲劇、そしてそれがどう受け継がれていくか、であろう。  ■一度は過去を完全に消し、息子は50年後に初めてそれを知る。しかし悲劇はそれを消してしまえばいいというものではない。むしろ引き継いでいくことこそが悲劇の生き残りの意義を組みだしていく上で必要だともいえる。ラストで娘にサラと名付けたのは、そういう意志の表れではないだろうか
[DVD(字幕)] 8点(2012-07-01 00:38:16)
53.  別離(2011) 《ネタバレ》 
決してどこかに「悪」がいるわけではない。一人一人のちょっとした巡り合わせや仕方がなさそうなことの積み重ねで事態が悪い方向へ向かう。このことは冒頭の離婚の話から暗示されていて、最後までずっとそれで進む。  ■一人一人それぞれ筋は相応に通っている。でもそれを全体として組み合わせようとするとうまくかみ合わない。そして、そういう翻弄の中で最も口実にされあおりを受けるのが子供や老人といった立場のものである。両親は「娘が・・・」と口々に言うが、本当のところは娘を口実に自分の思いを(悪意はないにせよ)すり合わせているところが多そうに思った。  ■ラスト。ずっと出てこないままエンドロールとなったが、そこで暗示されていることは、娘は「どちらにもついていかずに、自分は一人で生きる」ということなのではなかろうか。振り回されるのはもう嫌だ、自分で生きていけるだけの力はある、少なくとも映画ではそれだけの力があるように描かれていたが。
[映画館(字幕)] 9点(2012-05-24 22:09:49)
54.  パラレルライフ 《ネタバレ》 
なるほどねー、そんなに期待しないで見たら予想以上に楽しめた。最初は「パラレルライフの謎を解く」のかと思っていたけど、そういうことではなく、そこはSFを認めた上で、そのフィールドでどう戦うかという映画なのね。まあ結果は最初から分かっているんだけど。  ■そうやって考えた上で、「では犯人は誰か」って考えれば確かにわりと簡単に行きつけるのかもしれないけど、そこが主眼だとはあまり思ってなかったので最後の最後まで引っかけられていた。サスペンスっぽいけど「SFサスペンス」として見ることを薦める作品
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-09 00:19:17)
55.  トゥルース 闇の告発 《ネタバレ》 
民間警備会社でボスニアに派遣された主人公が、そこで国連や政府によって少女の人身売買が行われていることを知り、告発する、という話。実話ベースだとか。  ■起きている事態は残酷だし、最後がそこまで救われないのも現実的。全体の雰囲気は重くていい感じ。事態の展開も主人公と一緒にイライラ出来る。  ■ただ全体として淡々としており、また話や人物がごちゃごちゃしているのは展開を分かりにくくしてしまったように思う。主人公の家庭事情や「身内を売る」話が本筋にうまくからんでこないのは頂けない。  ■また、主人公の行動が思ったより賢明でないのは、話に入り込みにくくしている要因の気がする。最初に「守る」と約束してそれが果たされなかったのは仕方がないとはいえ、二度目の家宅捜索でついてくるというはずがないことは明らかであろう。また、ラストの書類持ち出しも、あれが困難になったのは主人公が解雇されたからであって、その前ならやすやすと持ちだして内部告発できたはず。そう考えると主人公の行動は如何にも後手後手の印象。その辺がマイナスになってしまっているように思う。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-09 00:13:12)
56.  アジョシ 《ネタバレ》 
韓国映画の強烈さはありつつ、ツボをきちんと押さえている作品。わりとグロいので注意。  ■ウォンビンはとにかく強すぎる。途中セガールじゃないかと思うぐらい。ストーリーも「女の子の救出」っていかにもセガール映画にありそう(笑)  ■悪役一人一人はきちんと特徴付けがされている(ボスが鮮烈な変態さなのに、ラストですごくしょぼいのも印象的)。アメリカ人(?)の最強の敵もいい味出している。素直に銃で撃ってれば勝てたのにナイフ勝負しに行ったのは男気なのであろう。  ■ナイフや銃捌きを豪勢に見せてくれる。血はかなり出るので要注意。でもハートフルなポイントはしっかり押さえてあるところが憎い。
[DVD(字幕)] 9点(2012-02-17 19:45:42)(良:1票)
57.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
久々のフィンチャー・ワールド全開の作品。「セブン」「ファイト・クラブ」の空気を引き継いでいる。「ソーシャル・ネットワーク」「ベンジャミン・バトン」のイメージで見ると期待と違う作品になるかもしれない。  ■彼特有のおどろおどろしい雰囲気、殺伐としつつも美しい画、は健在。ドラゴン・タトゥーの女、リスベットの雰囲気は群を抜いて素晴らしい。あの特異なキャラはそうそうできるものではない。  ■ただ一方、ミステリの展開としては微妙。そしてミステリ部分に時間を割いていて、人物像の掘り下げがあまり出来ていない(私はシリーズものとかそういうことは考慮せずに単体で作品は評価する)。 この作品なら、リスベットに絞って話を展開するか、あるいはミカエルとリスベットの二人を軸としつつ、事件の方は最初から犯人が分かっている、ぐらいのレベルで問題なかったように思う。この作品のメインは謎ときではなくドラゴン・タトゥーの女の心理にあるというのは恐らく正しいであろうから。
[DVD(字幕)] 8点(2012-02-16 01:49:50)
58.  ミッション:8ミニッツ 《ネタバレ》 
予告編と「映画通ほど騙される」という安っぽい宣伝文句を見て、普通のSFサスペンス・ミステリかと思って鑑賞。しかし、さすがダンカン・ジョーンズ、そう見せかけて実は全然違うところに本質のある映画だった。  ■この映画の本質は「犯人探し」にはないし、オチがどうなるかでもない。この映画を「つまらない」と思った人は、この映画をミステリとして評価しているのだと思う。確かにミステリとしては簡単に読める。しかしこの映画のポイントはそこではなく、自分の運命とか、愛する人のためにどうするかとか、そういうところなのだと思う。その意味で、映画通ほど最初の方で「これはありがちなミステリだ」と「騙される」のであろう。  ■「量子力学だ」というのは、恐らく「多世界解釈」を指してのことだと思う。これにおいては、複数のありえる世界が同時並行的に存在していてよい(正確に言うと、すべてのありえる世界の重ね合わせとして存在している)。しかし(ここからは物理学の理解としてはおかしいが)「観測」によってある世界に強引に引きずり戻すことができる、というのがこの映画の設定なのではないだろうか。  ■ラストで「みんなが笑顔で静止したまま終わり」の方が、実際の展開よりもいいと思うのだが、これは装置の設定が異なるのであろう。  ■前者の「静止して終わり」だと、「可能な別の世界にアクセスする主体」はあくまでも「現実」として指定されているこの世界にのみ存在していることになる。だから現実の大佐が死ねばアクセスも停止する。  ■後者だと、別の世界に主体は生きており、ただ「測定によって意識を引き戻せるor引き戻した際に、記憶を伝えてもらえる」のが8分程度までだということであろう。つまりそれ以上経つと「現実の世界」と「行き先の世界」が離れすぎてしまい、呼び戻しができない。だから「現実世界」の主体を殺すことで「呼び戻しの測定」を不可能にし、別の世界にそのまま乗り込んでしまう、ということであろう。  ■しかし、一方的に乗り移られたショーンはこれでいい(ハッピーエンド)のかよく分からないが
[映画館(字幕)] 9点(2012-01-16 00:52:37)(良:1票)
59.  小さな命が呼ぶとき 《ネタバレ》 
展開はありがちな難病ものだが、実話ということもあって決して一筋縄ではいかない。  ■子供たちの命をなんとしても救いたい父親、我を押しとおす研究者、ビジネスの視点で見ている企業、という三者三様の意図が絡み合うため、新薬を作るといってもなかなか思い通りにはいかない。チーム行動をとらないハリソン・フォードをあえて外したり、会社を売り払ったり、果てはブレンダンはクビにされたり。  ■本当は向いている方向は皆同じはず(別に製薬会社は金のことしか考えていない、という風には描かれていない)。しかしそれぞれの事情が絡み合うので、互いに分かるけれどもどうしようもない状況になっていく。確かに最後の行動は普通に見たら公私混同極まりない。まあブレンダンとしても子供が助かったらあの会社にいてもしょうがないわけで、みんな落ち着くところに落ち着いた印象も受けるが
[DVD(字幕)] 9点(2012-01-09 00:33:59)
60.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
話題だったので今更ながら見たが、なるほど面白い。かなりずしりと重い内容だが、見応えはある。  ■一度ずれてしまった歯車は二度と戻らない。誰かが決定的な悪魔というわけでもなく、軋んだ運命は巻き込まれた人々を不幸にしていく。「悪」と「糾弾」の構図を拒絶するのが冒頭の「感謝はしても謝罪も反省もしない」という裁判シーンであろう。  ■巻き込まれたものは元には戻せない。それは八日目まで生き残ってしまった蝉のように不幸に引きずり込まれる。しかし、八日目まで生き残ったのは事実だが、それが本当に「不幸」なのか、それは分からない。違う世界が見れたことで広がるものもあるかもしれない、ともするとそれはそれで幸せなのかもしれない。確かに普通に見れば不幸な人生かもしれないけど、でもそうした人生を歩んできたからこそ掴めたものもある。それを取りこぼさずに生きることが重要なのかもしれない。
[DVD(邦画)] 9点(2012-01-06 01:01:23)
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