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41.  トゥルー・グリット 《ネタバレ》 
コーエン兄弟っぽくは全くないし、正統派西部劇でもない、コーエン兄弟による西部劇。  ■ストーリー自体は単純な復讐もので、気の強い女の子が頑張るというわりとあるタイプ。なので、見るべきはむしろ細かい画や描写の方。これは確かにきれいだし見てて飽きない。  ■ただし、逆に何か一歩足りないのも事実。いわゆる「正当な美しい映画」ではあった
[DVD(吹替)] 6点(2012-10-01 00:13:56)
42.  麒麟の翼~劇場版・新参者~ 《ネタバレ》 
邦画の刑事ものの中ではわりと楽しめたが、しかし全体の構成に無理がある気がするのでこの点数、という感じ。  ■謎の刺殺事件が発生し、被疑者が交通事故であっけなく死んでしまう。早々に解決と見られたが・・・というありそうな話。結果的に犯人は別にいるのだが、かなり強引な展開。  ■一つ一つの物語は、青柳父子と過去の事件をめぐるそれも、中原・八島カップルも面白いし、あまり深められないが加賀の父子関係も気になるところではある。だが、それらがちょこっと接点があるだけで、あとは全部勝手に並走している感じなので、強引な謎解きにしないで、どれか一つに絞って深めた方がよかったように思う。  ■特に、「麒麟像にたどり着きたかった」が結局謎。父が本当に贖罪を考えたなら、自分はひとまずは救急車で運ばれて助かった上で、吉永君への償いをするべきであろう。麒麟像の前で倒れたらそれで贖罪というのはあまりに乱暴な発想。そして、かつての派遣社員がたまたま居合わせて盗みを働いて云々もこじつけに近い。  ■そして他の方も指摘しているが、みんな自分勝手に「贖罪した」と思い込んで、結局吉永母子には具体的に何もできていないところがあまりに残念な感じ。うむむ
[DVD(邦画)] 5点(2012-09-30 23:46:18)
43.  ペイド・バック 《ネタバレ》 
渋いけれども非常によくできた映画。モサドによるナチハンターものなのだが、構成がうまくて派手なシーンはないものの最後まで引き付けられる。  ■3人の英雄たちの本を娘が書き、元隊員の一人が自殺するところから物語は始まる。過去を回想する前半シーン、フォーゲルを捕まえる前後の流れはなかなか凄まじい。そして脱出が失敗に終わった後の心理戦はかなりのもの。  ■そして現在に戻る。タイミングが相当強引な気もするが、流れがスムーズでそこまで気にはならない。最後に殺そうとする必要はあまりない気がするが。。。  ■裏メッセージとして「嘘の過去とどう向き合うか」という問題が投げかけられている。30年間英雄として扱われてきて、それが嘘だったと真実を明らかにできるか。「真実は豪華なものだ」という言はなかなか的を射ている。真実が必ずしも人を幸せにするものではないという難しい問題。しかし真実を明らかにするならせめて娘さんの本の出版前にしてあげればよかったのに・・・
[DVD(字幕)] 8点(2012-09-08 23:36:57)
44.  テイク・シェルター 《ネタバレ》 
夫が繰り返し見る悪夢や幻覚から破滅の予兆を感じ取り、周りなど無関心にシェルター作りに奔走する。一方の妻と耳に障害を持つ娘は、精神を病んでしまった夫とどう接していくか・・・  ■この映画は、夫の幻覚がただ精神疾患なのかそれとも予知夢なのか、は実はほとんどどうでもいいのであろう。ここでの主題は、夫も妻もともに「家族のため」を思って最善と思う行動をとっており、しかしそれぞれの信じる世界の違いゆえに全然噛み合わない、という状況をどう乗り越えるか、というところ。  ■妻は本当に献身的で、夫に家計ギリギリのところの金を勝手に使われようと、好き勝手して会社をクビになろうと、必死に夫を支えてくれる。夫の方も家族のことは考えて入るのだが、それにしては家族に話さずにいすぎであろう。  ■しかしラスト、夫の方が正しいことを暗示させて終わる。あそこでいう「分かったわ」は「あなたの予知が正しい」ということではなく(なら嵐の段階で終わっている)、「あなたがどういうことを恐れ、そのために必死で行動していたかが分かった」ということであろう。
[DVD(字幕)] 7点(2012-08-14 00:34:56)(良:3票)
45.  ビー・デビル 《ネタバレ》 
これは壮絶な作品。アングルは全く違うが「オールドボーイ」にもひけを取らない壮絶さがある。  ■舞台は島民が10人にも満たないような孤島。主人公ボンナムは生まれてこの方一度も島を出たことがない。島は徹底された家父長制、男尊女卑で、毎日こき使われ、殴られ、そして夜は島の男どもの慰めの道具にされるという、想像を絶する虐げられ方を生まれてからずっと受け続けている。  ■そんなときに、ソウルでの生活に嫌気がさして、一週間ほど島に幼馴染ヘギョンが避難してくる。喜ぶボンナムだが、ヘギョンはなるべく島の問題には触れないようにして助けてくれない。島からの脱出をヘギョンに懇願するも断られ、早朝に娘とともに脱出しようとするも見つかってしまい、娘は殺されてしまう。  ■最後の支えの娘が死んでしまい、ボンナムは「太陽を見ていたらわかった」と島民を皆殺しにしていく。  ■ラストは壮絶だが、しかしあれだけの怨念がたまるのは誰もが理解できるような構成で、むしろ今まで我慢していた方が信じがたいほどである。「発狂」というよりは、まさに「重しが外れた」という方が近い。  ■しかし一番つらかったのは、娘が殺されるのをヘギョンは見ていたにもかかわらず、それを取り調べて言ってくれなかったことであろう。こここそが「最後の綱が切れた」瞬間だ。  ■エンターテイメント性は全くない、見終わって疲れ果てるタイプの映画。でも一度は見ておきたい映画。一人で見ることをお勧めする。
[DVD(字幕)] 9点(2012-07-27 23:55:15)
46.  灼熱の魂 《ネタバレ》 
最初の方は筋道が見えず、バラバラの物語が投げ出されているように見える。だが、すべてのピースが組み上がると、その意味と悲劇が分かる。  ■最初は「なぜこんな謎ときみたいなのを死んだ後に子供たちにさせるのか?」と、これは映画を面白くするための設定なんじゃないか、と思って見ていたが、最後まで来て、なぜ母がそういう行動をとったか、がピシッとはまって、同時にその悲しさが見えてくる。  ■こんな悲劇に会い、しかもそれを誰にも言わずに半生を送ってきたというのは本当に想像を絶する。いささかやり過ぎな設定だが「報復に報復で応える無意味さ」を引っ張り出す設定ではある気がする。
[DVD(字幕)] 9点(2012-07-11 00:58:25)
47.  サラの鍵 《ネタバレ》 
1942年の、ナチスドイツに協力していたフランス政府によるユダヤ人強制収容と、2009年のジャーナリストとを行き来させながら悲劇性を浮き彫りにしていく作品。重い。  ■弟を納戸に閉じ込めて収容所に送り込まれたサラ。そこの謎もいろいろと残されたままの樹はするが(引っ越すまで、中に死体があって異臭を放っていても一度も開けずに放っておくか?何か知っていたのではないか等)そこへ深入りはしない。主眼はむしろ、サラの苦悩と悲劇、そしてそれがどう受け継がれていくか、であろう。  ■一度は過去を完全に消し、息子は50年後に初めてそれを知る。しかし悲劇はそれを消してしまえばいいというものではない。むしろ引き継いでいくことこそが悲劇の生き残りの意義を組みだしていく上で必要だともいえる。ラストで娘にサラと名付けたのは、そういう意志の表れではないだろうか
[DVD(字幕)] 8点(2012-06-24 00:28:57)
48.  別離(2011) 《ネタバレ》 
決してどこかに「悪」がいるわけではない。一人一人のちょっとした巡り合わせや仕方がなさそうなことの積み重ねで事態が悪い方向へ向かう。このことは冒頭の離婚の話から暗示されていて、最後までずっとそれで進む。  ■一人一人それぞれ筋は相応に通っている。でもそれを全体として組み合わせようとするとうまくかみ合わない。そして、そういう翻弄の中で最も口実にされあおりを受けるのが子供や老人といった立場のものである。両親は「娘が・・・」と口々に言うが、本当のところは娘を口実に自分の思いを(悪意はないにせよ)すり合わせているところが多そうに思った。  ■ラスト。ずっと出てこないままエンドロールとなったが、そこで暗示されていることは、娘は「どちらにもついていかずに、自分は一人で生きる」ということなのではなかろうか。振り回されるのはもう嫌だ、自分で生きていけるだけの力はある、少なくとも映画ではそれだけの力があるように描かれていたが。
[映画館(字幕)] 9点(2012-05-24 22:09:49)
49.  トゥルース 闇の告発 《ネタバレ》 
民間警備会社でボスニアに派遣された主人公が、そこで国連や政府によって少女の人身売買が行われていることを知り、告発する、という話。実話ベースだとか。  ■起きている事態は残酷だし、最後がそこまで救われないのも現実的。全体の雰囲気は重くていい感じ。事態の展開も主人公と一緒にイライラ出来る。  ■ただ全体として淡々としており、また話や人物がごちゃごちゃしているのは展開を分かりにくくしてしまったように思う。主人公の家庭事情や「身内を売る」話が本筋にうまくからんでこないのは頂けない。  ■また、主人公の行動が思ったより賢明でないのは、話に入り込みにくくしている要因の気がする。最初に「守る」と約束してそれが果たされなかったのは仕方がないとはいえ、二度目の家宅捜索でついてくるというはずがないことは明らかであろう。また、ラストの書類持ち出しも、あれが困難になったのは主人公が解雇されたからであって、その前ならやすやすと持ちだして内部告発できたはず。そう考えると主人公の行動は如何にも後手後手の印象。その辺がマイナスになってしまっているように思う。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-09 00:13:12)
50.  スーパー! 《ネタバレ》 
すでに書かれているが「キック・アス」と見せかけてその正反対を行く作品。徹底して通常描かれない「ヒーローとは何か?」「正義とは何か?」を問うていく。  ■主人公はダメな中年であり、ヒロインが暴力大好きな女の子。「凡人でも強くなる」には道具に頼るしかないわけで、そうやって武装した凡人が「正義を実行」し始めるとどうなるのかが本作。基本的にやり過ぎだが、「何か悪いことをした人」にしか暴力をふるっていないのはやはりポイント。  ■本作はゆえに暴力シーンも多いので注意が必要。ただ、この映画は「暴力礼賛」などでは全くない。むしろアメコミなどで平然と描かれるシーンが「実際にはどのようなものか」を明白に提示することで、そうした描写に一石を投じる意図であろう。それは「ファイト・クラブ」や「ファニー・ゲーム」がむごい描写は多くとも暴力批判なのと同じで。
[DVD(字幕)] 8点(2012-03-07 00:34:06)(良:1票)
51.  アジョシ 《ネタバレ》 
韓国映画の強烈さはありつつ、ツボをきちんと押さえている作品。わりとグロいので注意。  ■ウォンビンはとにかく強すぎる。途中セガールじゃないかと思うぐらい。ストーリーも「女の子の救出」っていかにもセガール映画にありそう(笑)  ■悪役一人一人はきちんと特徴付けがされている(ボスが鮮烈な変態さなのに、ラストですごくしょぼいのも印象的)。アメリカ人(?)の最強の敵もいい味出している。素直に銃で撃ってれば勝てたのにナイフ勝負しに行ったのは男気なのであろう。  ■ナイフや銃捌きを豪勢に見せてくれる。血はかなり出るので要注意。でもハートフルなポイントはしっかり押さえてあるところが憎い。
[DVD(字幕)] 9点(2012-02-17 19:45:42)(良:1票)
52.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
久々のフィンチャー・ワールド全開の作品。「セブン」「ファイト・クラブ」の空気を引き継いでいる。「ソーシャル・ネットワーク」「ベンジャミン・バトン」のイメージで見ると期待と違う作品になるかもしれない。  ■彼特有のおどろおどろしい雰囲気、殺伐としつつも美しい画、は健在。ドラゴン・タトゥーの女、リスベットの雰囲気は群を抜いて素晴らしい。あの特異なキャラはそうそうできるものではない。  ■ただ一方、ミステリの展開としては微妙。そしてミステリ部分に時間を割いていて、人物像の掘り下げがあまり出来ていない(私はシリーズものとかそういうことは考慮せずに単体で作品は評価する)。 この作品なら、リスベットに絞って話を展開するか、あるいはミカエルとリスベットの二人を軸としつつ、事件の方は最初から犯人が分かっている、ぐらいのレベルで問題なかったように思う。この作品のメインは謎ときではなくドラゴン・タトゥーの女の心理にあるというのは恐らく正しいであろうから。
[DVD(字幕)] 8点(2012-02-16 01:49:50)
53.  ミッション:8ミニッツ 《ネタバレ》 
予告編と「映画通ほど騙される」という安っぽい宣伝文句を見て、普通のSFサスペンス・ミステリかと思って鑑賞。しかし、さすがダンカン・ジョーンズ、そう見せかけて実は全然違うところに本質のある映画だった。  ■この映画の本質は「犯人探し」にはないし、オチがどうなるかでもない。この映画を「つまらない」と思った人は、この映画をミステリとして評価しているのだと思う。確かにミステリとしては簡単に読める。しかしこの映画のポイントはそこではなく、自分の運命とか、愛する人のためにどうするかとか、そういうところなのだと思う。その意味で、映画通ほど最初の方で「これはありがちなミステリだ」と「騙される」のであろう。  ■「量子力学だ」というのは、恐らく「多世界解釈」を指してのことだと思う。これにおいては、複数のありえる世界が同時並行的に存在していてよい(正確に言うと、すべてのありえる世界の重ね合わせとして存在している)。しかし(ここからは物理学の理解としてはおかしいが)「観測」によってある世界に強引に引きずり戻すことができる、というのがこの映画の設定なのではないだろうか。  ■ラストで「みんなが笑顔で静止したまま終わり」の方が、実際の展開よりもいいと思うのだが、これは装置の設定が異なるのであろう。  ■前者の「静止して終わり」だと、「可能な別の世界にアクセスする主体」はあくまでも「現実」として指定されているこの世界にのみ存在していることになる。だから現実の大佐が死ねばアクセスも停止する。  ■後者だと、別の世界に主体は生きており、ただ「測定によって意識を引き戻せるor引き戻した際に、記憶を伝えてもらえる」のが8分程度までだということであろう。つまりそれ以上経つと「現実の世界」と「行き先の世界」が離れすぎてしまい、呼び戻しができない。だから「現実世界」の主体を殺すことで「呼び戻しの測定」を不可能にし、別の世界にそのまま乗り込んでしまう、ということであろう。  ■しかし、一方的に乗り移られたショーンはこれでいい(ハッピーエンド)のかよく分からないが
[映画館(字幕)] 9点(2012-01-16 00:52:37)(良:1票)
54.  小さな命が呼ぶとき 《ネタバレ》 
展開はありがちな難病ものだが、実話ということもあって決して一筋縄ではいかない。  ■子供たちの命をなんとしても救いたい父親、我を押しとおす研究者、ビジネスの視点で見ている企業、という三者三様の意図が絡み合うため、新薬を作るといってもなかなか思い通りにはいかない。チーム行動をとらないハリソン・フォードをあえて外したり、会社を売り払ったり、果てはブレンダンはクビにされたり。  ■本当は向いている方向は皆同じはず(別に製薬会社は金のことしか考えていない、という風には描かれていない)。しかしそれぞれの事情が絡み合うので、互いに分かるけれどもどうしようもない状況になっていく。確かに最後の行動は普通に見たら公私混同極まりない。まあブレンダンとしても子供が助かったらあの会社にいてもしょうがないわけで、みんな落ち着くところに落ち着いた印象も受けるが
[DVD(字幕)] 9点(2012-01-09 00:33:59)
55.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
話題だったので今更ながら見たが、なるほど面白い。かなりずしりと重い内容だが、見応えはある。  ■一度ずれてしまった歯車は二度と戻らない。誰かが決定的な悪魔というわけでもなく、軋んだ運命は巻き込まれた人々を不幸にしていく。「悪」と「糾弾」の構図を拒絶するのが冒頭の「感謝はしても謝罪も反省もしない」という裁判シーンであろう。  ■巻き込まれたものは元には戻せない。それは八日目まで生き残ってしまった蝉のように不幸に引きずり込まれる。しかし、八日目まで生き残ったのは事実だが、それが本当に「不幸」なのか、それは分からない。違う世界が見れたことで広がるものもあるかもしれない、ともするとそれはそれで幸せなのかもしれない。確かに普通に見れば不幸な人生かもしれないけど、でもそうした人生を歩んできたからこそ掴めたものもある。それを取りこぼさずに生きることが重要なのかもしれない。
[DVD(邦画)] 9点(2012-01-06 01:01:23)
56.  スリーデイズ 《ネタバレ》 
うまい。王道のサスペンスであり、ひねりがあるというわけでもないのだが、ぐいぐいと2時間超を見せてくれる。  ■妻の有罪無罪は問題にしない。ラッセル・クロウ演じる夫は妻の無実を一身に信じる。そして私財をなげうって手探りで脱獄の計画をする。前半の綿密(とも言えないが)な準備に半分以上の時間を割いているが、それがこの話の厚みを与えていると思う。  ■後半は一転スピード勝負だが、子供を巡る部分や車から半身乗りだすシーンなどが印象的で、純粋な時間勝負の部分と心の微妙な葛藤がうまく重なり合っていると思う。ただ検問があんなんで通れるのかとは拍子抜けだったが。  ■ラストは別にいらないんじゃないかな。素直に飛行機と車で移動しているシーンだけで終わらせて、再捜査を暗示させるシーンもカットでいい気がする。
[映画館(字幕)] 9点(2011-12-22 01:18:23)
57.  4デイズ 《ネタバレ》 
拷問をテーマにした重い作品。肉体的に痛いシーンは多いけれども、むしろ精神的な痛さを感じさせられる。  ■拷問は、一見すると拷問している側が圧倒的に有利なように思う。だが、いかなる苦痛にも耐えしのぶ覚悟と、適宜相手を錯乱するだけの戦略を持っていると、一転して拷問される側が有利になる。本作は、核爆弾をこっそりと配備した男と、拷問のスペシャリストとを登場させている。そしてその微妙な力関係をあぶりだすことで、互いの精神的な追い詰められ方を描いている。  ■誰も決定的に間違った行動をとっているわけではない。拷問をしてでも市民を救わざるを得ない状況もある程度理解できる。Hが拷問のたびに薬(恐らく精神安定剤)を飲んでいるのも、拷問が決して楽しいものではなく、自らの精神を削るものであることを示している。まさに情報を引き出すために必死なのだ。  ■しかしヤンガーは狡猾である。爆弾が同じ場所にあったということは、つまり「4つ目の爆弾」の存在は誰も確認できないのである。処理班が失敗したのか、彼がウソをついていたのか、それはヤンガーと処理班以外は知り得ない。だが両者ともに死んでしまっている以上「拷問をした」という汚点と、実際の核爆発の被害だけが残る。妻が死んでも口を割らなかった男が、たかだか子供であっさり口を割るのは怪しいと思ったが、狙いはそういうことであろう。「子供で口を簡単に割ったのは不自然」という意見が散見されるが、あれは「子供を使った脅迫に屈した」のではなく「屈したように見せかけた(4番目の爆弾があるから問題ない)」と解釈するのが正しいのだと思われる。  【追記】アメリカ版ではラストの「4つ目の爆弾」がカットされているらしい。日本公開版のラストの方でないと、そもそもストーリーとして成り立っていないように思う。9・11後のアメリカには精神的によくないとはいえ・・・
[映画館(字幕)] 9点(2011-12-20 01:23:22)
58.  ブルーバレンタイン 《ネタバレ》 
珍しい「恋愛の崩壊」を描いたラブストーリー。幸せな過去と破局寸前の現在の対比が心に響く。  ■どちらかが決定的に悪いという感じではなく、「不幸な誤解」でもなく、互いの考え方、価値観が微妙にずれていて、それが徐々にひび割れを大きくしていく感じで愛情が冷めていく。何か事件があったりしたわけでもないこと、それがリアリティと恐怖の源泉でもあろう。  ■カットバックの入れ方が一部意図的に時間軸を混乱させるかのような入れ方があったが、あれは不要だと思った。そういうところで勝負してる作品ではないし。
[DVD(字幕)] 9点(2011-12-14 01:04:08)
59.  127時間 《ネタバレ》 
「生きるための究極の決断」って言ってるわりに、「生きる」と「決断」の間の結びつきがあまりしっかり描かれていない、というのが致命傷だなと思った。  ■軽いノリの主人公が腕を挟まれて動けなくなり、要するに切り落とすしかなくなる、という話。最初の方を見て「SAWと同じじゃない?」と思ってしまうともうどうしようもなくなる。あっちはスプラッターの要素が最初から予想されてるからいいが、この映画でそのノリでやられるとさすがに困る。  ■「これまでの人生の振り返りと後悔」の部分はカットがごちゃごちゃしていてあまり全体的なつながりや重みをもって響いてこない。何に後悔したのか、そこまで生き抜きたいのは何なのか、そういう部分が早落としの映像のつなぎでは見えてこない。  ■そして「決断」。最初からこの方法しかないのは明白なのだから「切らなきゃいけないが、でも出来ない」から「でもやるしかない」への心理の転換がポイントのはず。けど、そこの部分の描き出しは明らかに成功していないと思う。延々居続けて、ふと思ったかのように腕を切って逃げ出す、正直そう要約されても仕方ないような展開。残念
[映画館(字幕)] 5点(2011-11-27 01:46:07)(良:1票)
60.  ブラック・スワン 《ネタバレ》 
批判的なコメントも多いが、個人的には非常に面白く見れた。人間の際どい心理のバランスと、それが浸食されていく過程がよく描けていると思う。  ■最初の方で「もしや・・・」と思って、ラストで同じ展開を見せたので恐らくこの理解でいいと思うのだが、この映画の構図は「ファイト・クラブ」と基本的に同じだと思う。ただしこの映画の場合、リリー(という人間)そのものは実在するが、そこに対する嫉妬と「自分の持っていないもの(黒鳥の要素)への憧れ」も相まって「反転した自分」の投影されたリリーもまた立ち現われていると考えていいだろう。  ■これはバーで「薬」を飲む前からそうだと考えられるのは、ニナはもとから自傷癖がある(幻影を最初から見うる)という設定が示唆している。この作品は徹底してニナの視点からしか描かれないが、映画内の描写は事実を表すというより「彼女の心においてみる世界」であることを意識してみると、この作品の見え方はだいぶ変わると思う。  ■ニナは結局、自らの肉体の破壊と引き換えに自身の精神の合一を果たし、完璧な芸術の境地へと至る。これは芥川龍之介の『地獄門』などとも比較しうる、完璧な芸術の保有する「ある種の狂気性」の体現ともいえるであろう。  ■それを考えると、ニナは監督の厳しさや母親の過剰な期待、プレッシャーに負けたというより、自らの精神を芸術の世界における完璧さに高めるために狂気の世界へ立ち入った、と見る方がいいのかもしれない。少なくともその側面も確実に混じっていると思う。
[DVD(字幕)] 9点(2011-11-27 01:30:09)
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