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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  スーサイド・ショップ 《ネタバレ》 
皆さん、「自殺うさぎ」って絵本をご存知ですか?ただひたすら、可愛い小さなうさぎたちがありとあらゆる方法で自ら命を絶つ姿を延々と描いた絵本で、たとえばアイロンを身体の上に載せて今まさにスイッチを入れようとするうさぎや、ジャンボジェット機のエンジンに果敢に突っ込んでいくうさぎや、切腹する日本兵の背中に隠れておんぶするうさぎたち……、どうして死ぬのかは一切説明されぬまま、彼らはただ淡々と自殺してゆきます(興味を持たれた方は、「自殺うさぎ」でレッツ検索♪)。さて、そんなシュールでブラックなのに何故か癖になるユーモアがある絵本を髣髴とさせる本作、冒頭からかなりクオリティの高いアニメーションで、ただひたすら人生に絶望した人々がありとあらゆる方法で自殺する様をコミカルに描き出してゆきます。ほぼモノトーンで描かれる人々は、皆一様に虚ろな目で下を向き、道端に自殺死体が転がっていようが見てみぬふり、警察ももうウンザリって感じでそんな死体の口に違反切符を突っ込んで終わり……。そんなシニカルな世界で盛況なのは、主人公〝ミシマ(もちろん、ウン十年前に自衛隊に立て篭もってハラキリしちゃったあの人を茶化しているのは明白ですよね笑)〟が経営する自殺グッズ専門店。「死ぬことはなんて素晴らしい!」と高らかに歌い上げるミシマ一家の、この現代に凝り固まった倫理観を徹底的に笑い飛ばすようなぶっ飛んだ歌詞に、生来のひねくれ者である僕としてはかなりテンション上がっちゃいました。「もしかしてこれは、反道徳の極北を行く伝説のアニメとして傑作になるのでは?!」とワクワクしながら観進めたのですが、残念ながらそんなアイデアのみが先行してしまったのか、後半は少々尻すぼみになっちゃいましたね、これ。とにかく常にポジティヴな次男が一家に生まれたことから巻き起こる騒動という設定がいまいち巧く活かされてないような印象を持ってしまいました。もっと既存のちっぽけな倫理観やモラルなんかを飄々と笑い飛ばすぶっ飛んだ怪作を期待していた僕としてはちょっぴり肩透かし。とはいえ、この全編を彩るセンス溢れるシニカルな世界観は充分堪能させてもらいました。あの太った長女が窓際でストリップを踊るシーンもエロティックで大変良かったです。総じて欠点は目立つものの、愛すべき小品でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2024-01-08 10:17:31)(良:1票)
42.  42~世界を変えた男~ 《ネタバレ》 
背番号『42』――。生涯を懸けて嵐のような人種差別と戦い、全メジャーリーグ球団で唯一の永久欠番となった史上初の黒人メジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソン。そんな、文字通り“野球の世界を変えた男”の気骨に満ちた生涯を丹念に描き出す伝記映画作品。もう予告編を見ただけでその内容の98%が予想できる、もう王道中の王道、例えるなら文部科学省推薦作品として体育館に集められて皆で無理やり見させられた挙句、半ば強制的に「差別について」という題で感想文を書かされそうな作品でしたね、これ。確かに、普通の人なら絶対に心が折れそうなほどの苦難な道を歩み続け、後世に多大な貢献を果たした男の生涯をストレートに描いたド直球の伝記映画として素直に良かったとは思うのだけど、うーん、もう少し新しいアプローチが欲しかったですかね。ちょっと、これってあまりにも“優等生”過ぎやしません?たとえば、一度見たら忘れられない強烈なキャラクターを登場させてみるだとか、「え、そんな伏線が隠されていたのか」と唸らされるようなストーリーで魅せるだとか、彼がその生涯を懸けて人種差別と戦い続けたにもかかわらず未だアメリカには根深い差別の病根が残っているという空しい現実を冷徹な視線でもって見つめてみるだとか、現代の映画としてそう言った心に残る新しい演出が欲しかったところ。とはいえ、ハリソン・フォードを初めとする主演俳優陣のナチュラルな演技は見ていて好感が持てるし、全編に漂うノスタルジックな雰囲気も良かったし、何より人種差別と戦い続けた実在の人物の生き様を現代に甦らせた伝記映画として――新鮮味はないとはいえ――普通に良く出来ていたと思います。僕が野球好きなら、もう少し評価は上がったかも知れませんね。
[DVD(字幕)] 6点(2024-01-08 09:13:43)(良:1票)
43.  スティーラーズ(2013) 《ネタバレ》 
うだるような熱気に包まれたアメリカ南部のとある田舎町。その片隅にひっそりと佇む質屋には、今日も様々な理由を抱えた“ワケ有り”な客たちが、色んなものを質草に金を求めてやって来るのだった――。ガソリン代欲しさにショットガンを売りに来たケチなチンピラ。ハネムーン中に金銭トラブルに見舞われ婚約指輪を担保に金を借りに来た頭の足りない新婚夫婦。プレスリーの物真似をしながらドサ廻りしている売れない三流芸人……。神の悪戯か、彼らのその後の運命は大きく狂い始め、どんどんとおかしな方向へと転がり込んでゆく。やがて彼らのくだらない物語はもつれた糸のように複雑に絡まり合い、町にとある奇跡をもたらすことに……。なーんて、本作の粗筋をざっと説明してみたのですが、うん、ご想像の通り、タランティーノやロドリゲスの影響をもろに受けちゃってます。てか、身も蓋もない言い方をすれば、これって「パルプ・フィクション」や「シン・シティ」の二番煎じですやん(笑)。さすがにもうちょっとこの作品ならではというオリジナリティが欲しかったですね。本家の人たちがハリウッドでますます意気軒昂に頑張ってらっしゃるせいか、最近こういう映画が本当に多いだけにまずはそう苦言を呈しておきます。さて、肝心の本作ですが、そこいらへんを割り切ってみれば、この愛すべきお馬鹿キャラたちが繰り広げるぶっ飛んだストーリーはけっこう楽しめました。もう余裕で楽しんで演じているだろう、そこそこ豪華な役者陣の怪演もグッド!脳味噌半分腐ってそうなブレンダン・フレイザーの似非プレスリー男っぷりもなかなか気持ち悪くて大変よござんした。イライジャ・ウッドの、「『ロード・オブ・ザ・リング』ファンが観たら泣くで~、これ」って感じのぶっ壊れ具合(登場時、自宅でエロビデオ見ながら一人でハッスルしてます笑)も良かったっす。というわけで、新鮮味はなかったですけど、けっこう面白かったかな~。最後にばっちり決まっちゃうオチも格好良かったしね。あれって、イライジャ・ウッドが超巨根で女たちがメロメロだったってことやんね?うん、最後までほんとアホな映画でした(もちろん、半分褒め言葉!笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2024-01-08 08:58:31)
44.  ハウンター 《ネタバレ》 
パパもママもきっと信じてくれない。私だけが気付いているの、毎日同じことが繰り返されるって!私、ずっと16歳になる前日のままなのよ――。16回目の誕生日を明日に控えた平凡な少女、リサ。ちょっぴり反抗期を迎えているものの、それなりに充実した日々を過ごしている。だがある日、彼女は気付くのだった。「私たち、ずっと同じ日をループしてる!!」。いつも洗濯機からなくなる衣服、空想上の友達と遊ぶ弟、どこからともなく聞こえてくる自分を呼ぶ声……。永遠に繰り返されるそんな出口のない迷路のような生活から、なんとか逃げ出そうともがき始めるリサ。果たしてここは何処なのか?なぜ自分はこんな悪夢のような事態に陥ってしまったのか?そして彼女は無事にこの無限ループから抜け出し、ちゃんと16歳の朝を迎えることが出来るのか?低予算ながら、誰も見たことがない斬新なアイデアと練られた脚本の力さえあればいくらでも面白い映画が創れると世界に知らしめた名作『キューブ』で鮮烈なデビューを飾ったヴィンチェンゾ・ナタリ監督。今回も相変わらず低予算(だってセットはほぼこの一軒家のみだし、ループモノだから映像さえも使い廻しが…笑)なのだけど、そこはやっぱりナタリ監督、この映像への半端じゃない拘りはさすがでしたね。特にこの一軒家に濃密に漂う不気味な雰囲気は一見の価値あり。ただ、残念ながら誰も見たことのない斬新なアイデアは今回ありませんでしたけど。てか、これってP・ジャクソン監督の愛すべき失敗作と僕が認めてやまない『ラブリー・ボーン』と設定がまるかぶりのような気が…。他にも色んな有名映画で見たようなシーンがチラホラ…。とはいえ、こういう思春期少女の精神世界をミステリアスに描き出すゴシック・ホラーってもろ僕の好みなんですよね~。それに後半の様々な少女たちの精神世界が重層的に絡み合うパラレルワールドをちゃんと破綻させずに描ききったところなど、なかなか見応えありました。主役を演じたぽっちゃり女子もけっこう可愛かったしね。ホラー映画としても普通に怖かったんじゃないかってビビリの僕なんかは思ったりもします。そんな訳で、僕の好みを良い感じにビシバシ突いてくるこの作品、ちょっぴり甘めの8点!
[DVD(字幕)] 8点(2024-01-04 07:36:10)
45.  ロボコップ(2014) 《ネタバレ》 
まだCGなどという便利なものが存在しない時代、特殊メイクやパントマイム、そしてミニチュアによるコマ送り撮影などを駆使して、それまでアニメなどでしか表現しえなかったロボットSFの世界を見事なまでに構築してみせた『ロボコップ』。もはや伝説と言っても過言ではないそんな名作を果敢にもリメイク!慢性的なネタ不足に悩まされているのか、最近ハリウッドで流行りのそんな「オリジナルに比べて映像的にはもちろんレベルは上がったものの、残念ながら内容の方のクオリティは大幅に下がっちゃいました。ごめんちゃい」な作品なんだろうなぁとほとんど期待もせずに観始めたのですが、それが功を奏したのか、前半はそこそこ面白かったです、これ。まぁ、冒頭、マーフィーがロボコップになるきっかけとなった爆殺シーンが超あっさりと描かれてしまったトコ(そこ、けっこう重要ですって!)とかは失笑でしたけど、オリジナルでは最初から家族の記憶を失っていたロボコップが徐々にその記憶を取り戻していくという設定を見事に逆転させた所など「お、けっこうやるじゃん」と思いながら観てました。なのに、後半になるにしたがってそんなドラマパートがどんどん希薄になって、特にクライマックスでのこの半端じゃないグダグダ感には失笑を通り越してさすがに怒りが……。とにかく、真の悪役が誰かいまいちピンとこないせいでストーリーが最後までなんだか盛り上がりに欠けるってトコが本作の致命傷ですね。M・キートン、G・オールドマン、S・L・ジャクソン、彼らのうちの誰が真の黒幕なのかと思っていたら、まさかのキートンさん!絶対他の2人の方が悪役顔だし(笑)、そっちの方が盛り上がったって!それにオリジナルの、社長「〇〇くん(犯人)、君はクビだ!」ロボコップ「サンキュー、サー」ズドン!!っていう超カッコ良いクライマックスシーンを頑張って再現しようとして、思いっ切り失敗しちゃってるのが見ていて痛々しかったです。うーん、本作に限らず言えることですが、製作者の皆さん、撮影技術の飛躍的な進歩に胡坐を掻いていませんか?リメイクするならするでもっと内容でもオリジナルを越えようという気概が欲しい。ロボコップの真の姿のグロさにだけ、そんな気概が感じられただけにもっと他の部分も頑張ってほしかった。残念!
[DVD(字幕)] 5点(2024-01-04 07:00:42)
46.  潜水艦クルスクの生存者たち 《ネタバレ》 
2000年にロシアで起こった、未曽有の原子力潜水艦沈没事故――。一つ間違えばチェルノブイリ級の大惨事になりかねなかった、そんな潜水艦クルスクの沈没事故をモデルに、艦内に閉じ込められた23名の生存者たちの運命を冷徹に見つめたノンフィクション・ドラマ。監督は、『偽りなき者』や『アナザーラウンド』で数々の賞に輝く実力派、トマス・ヴィンターベア。この監督らしい、手持ちカメラを多用した映像とナレーションやテロップを一切使わないというハリウッドの同ジャンルの映画とは一線を画するその演出はリアルで、まるでドキュメンタリーを観ているかのような臨場感は凄かった。そのせいで多少分かりづらい部分もあったが、後半からはこの乗組員たちがどうなるのかという先行きが気になり、いつの間にか見入っている自分がいた。潜水艦映画の醍醐味である、息がつまるほどの閉塞感も凄まじく、特に酸素発生装置のバッテリーを取りに行くために水没地区のロッカーまで冷たい水の中を泳いでいくシーンは、こちらまで窒息しそうで思わず手に汗握ってしまう。「もう諦めていったん空気のある所まで戻れーー!!」と何度思ったことか。監督のこの演出力の高さは称賛に値する。そして、後半。この事件のことをほとんど知らなかったこともあり(ただ、あの息子の救済を訴える母親が公衆の面前で注射を打たれて失神するシーンはテレビで見たことがあった。詳しく知らないながらも恐怖した思い出がある)、その邦題からきっと彼らは助かるのだろうと思いながら観ていたので、最後の展開には驚かされるとともにどうしようもないやり切れなさに包まれてしまった。自らのメンツにこだわるあまり、兵士たちの命をここまで軽視するロシア上層部の非人間性には怒りを通り越して、もはや恐怖さえ感じてしまう。そしてそれは今もかの国の大統領に脈々と受け継がれているのだろう。観終わった後、色々と考えさせる社会派ドラマの秀作であった。ただ、ロシア人たちが皆英語を喋っているのはさすがに違和感が拭えなかった。ここまでリアルに拘った演出をしたのなら、そこまで徹底してほしかった。
[DVD(字幕)] 7点(2024-01-04 06:22:54)
47.  レイルウェイ 運命の旅路 《ネタバレ》 
「長い年月、僕はずっと想像してきた。奴を見つけ出し、その舌骨を折り、眼球には箸を突き刺す。悲鳴を上げさせ、そして赦しを乞わせることを。その声を子守唄に眠った…。だが、時代は変わったんだ。我々はもう兵士じゃない。今の僕は単なる〝夫〟だ。妻は僕の全てだ。もう奴の事を掘り返さないでくれ」――。1980年、英国。一年前に結婚した妻と平凡ながらも幸せな日々を過ごしている初老の男性エリック。だが彼は、時々精神的に錯乱して妻を困らせてしまう。次第に私生活に支障を来たし始める夫に、妻は真実を知ろうと詰め寄るのだが彼は一向に理由を明かそうとしない。やがて、実はエリックは第二次大戦中のシンガポールで旧日本軍によって言語を絶する壮絶な体験を強いられたことが明らかとなる。そんな彼に追い討ちをかけるように、旧友からかつての敵であった〝彼〟が実は今も生きていて、のうのうと生活していることを知らされるのだった……。物語は、そんなトラウマに苦しむ現代のエリックと彼が日本軍の捕虜となって地獄のような鉄道建設に従事させられた日々を交互に行き交いながら、罪と赦しを巡るドラマを濃厚に炙り出してゆく。実話を基にして描かれたというそんな本作を複雑な思いを抱きながら、この度鑑賞いたしました。戦争という非日常に追い込まれたとき、人は誰もが各々の正義を振りかざし、時には取り返しのつかない過ちを犯してしまうという真実を、実力派の役者陣をそろえ、冷徹に見つめたその視線はなかなか鋭い。やはり戦争は悲劇しか生まないということを改めて実感させられました。戦争を知る世代がもはや殆ど居なくなろうとしている現代の日本において、この事実は忘れてはいけない。ただ、純粋に映画としてみれば、演出として拙い面がちらほら散見されるのが惜しい(特に、過去パートでの日本軍に隠れてラジオを造るエピソードや自死を選ぶ主人公の友人。もっと巧い見せ方があったはず)。とはいえ、この事実を多くの人に伝えなければという製作陣の思いには、一日本人として素直に好感持てました。最後に提示される本人たちの写真からは、やはり事実の重みがずっしりと心に響きますね。うん、久々に観て良かったと思える作品に出会えました。
[DVD(字幕)] 7点(2024-01-01 08:46:28)
48.  アイ・アム・ニューマン 新しい人生の見つけ方 《ネタバレ》 
「忘れたのかい、僕の名前はアーサー・ニューマン。昨日、君の命を救った男さ。薬で死にそうになってたのを僕が病院に担ぎ込んだんだ。ちなみに僕の職業はプロゴルファー。これからコーチとして働くためにテレホートに向かうんだ。君さえよかったら一緒に来ないか」――。ウォレス・エイヴリー、小さな会社で地味で平凡な中間管理職として働く彼は、数年前に妻と離婚し、13歳の一人息子からも嫌われている冴えない中年男。そんな自分の人生にほとほと嫌気が差した彼はある日、とある決心をするのだった。それは、これまでの自分の人生を全て捨てて、プロゴルファー・ニューマンとなって新たな充実した人生を歩むこと。自らが創造した架空の人物に成り替わろうというのだ。会社も退職し、免許証も偽造し、3万ドルだけを手にニューマンとしてテレホートへと向かうエイヴリー。ところが、とあるモーテルで薬の過剰摂取で死にそうになっていた若い女性シャーロットと出逢う。彼女もまた自分の人生から必死に逃げ出そうとしていることを知った彼は、共に自由気儘な旅へと旅立つのだった……。社会の何処にも居場所を見つけられなかったそんな男女の行き当たりばったりな旅路を終始ほのぼのとしたタッチで描くロードムービー。最近すっかり冴えない中年男のイメージが定着しつつあるコリン・ファースと盗癖があり精神的にも問題を抱える女性役にぴったりなエミリー・ブラント、本作でのこの2人のどうしようもない駄目な感じ、なかなか良かったですね~。現実的に考えたらけっこう悲惨な状況なのに、それを終始軽~いタッチで描いたこのセンスはなかなか新しいと感じました。まあ、「こんなの冴えない中年男のエロ妄想映画やん」と言われればそれまでだけど(笑)、それでもこの人生に行き詰っていた男女のささやかな逃避行を悲愴感を微塵も感じさせずに描いたところなど観ていて心が癒されました。こんな可愛い女の子と出逢えるなら、僕も何もかも捨てて旅に出ちゃおうかしら?!なーんちって。ただ…、さすがにこのラストはちょっと甘すぎますね。この2人にはやっぱり何らかの形で制裁が与えられないと駄目でしょ。だって、彼らが旅の途上でやってきたことって、れっきとした犯罪ですから。それに、最後に再会した息子がこの親父の数日間の行動を知ったら確実に「人にさんざ心配かけさせといて、テメーは若い女とHしまくってたんかい!どつくぞー!!」ってキレるよね(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2024-01-01 08:17:00)
49.  ハリケーンアワー 《ネタバレ》 
2005年、8月29日、ニューオーリンズに巨大なハリケーン“カトリーナ”が襲来。広範囲にわたって暴風と洪水が巻き起こり、一帯に甚大なる被害をもたらしたのだった――。運悪く、そんな日に妻が急に産気づき、救急車で病院へと駆けつけたノーラン。だが、出産予定日を5週間も先に控えていた妻は、急なお産に耐え切れず呆気なくこの世を去ってしまう。突然のことに悲しみのどん底へとうちひしがれるノーラン。ところが神の思し召しか、彼女のお腹の中から小さな女の子が遺されるのだった。未熟児として人工呼吸器が手放せないそんな新たな命に希望を繋ぐ彼に、自然の猛威は容赦なく襲い掛かってくる。全館が停電し、医者も看護師も全員が避難する中、ノーランは旧式で3分間しか充電出来ない発電機だけを手にたった一人で病院へと残ることに。そこから、彼の娘の命を守るための孤高の戦いが始まるのだった……。アメリカで実際に起きた自然災害を背景に描かれるそんなシリアスな内容に、きっとこれは事実を基にした物語なのだろうと勝手に思い込んでこの度鑑賞してみました。けれど観終わって調べてみたらどうやらそうではないみたいですね。「これが事実なら、凄いことだ。娘のためなら父親とはかくも強くなれるものなのか…」という僕の本作への印象は、これが完全フィクションだと分かると微妙に変わってしまいました。これって所謂ソリッドシュチュエーションスリラーの一亜流と呼んでもいいのでしょう。そうなると、さすがにこのネタだけで90分超引っ張るのは無理があったんじゃ……。ずっと画がほとんど変わらないし基本的なストーリーは同じことの繰り返しなので、中盤辺り、ちょっぴり間延びしちゃってます。亡き妻との思い出を回想シーンで差し挟んでみるという工夫がなされているものの、いまいち上手く効果を発揮しているとは言いがたい。とはいえ、親子の絆をド直球に描きたいというスタッフたちの情熱は好感が持てるし、P・ウォーカーの男臭い一人芝居もなかなか見応えあったし、何より自然の猛威に立ち向かう一人の男という本作のテーマは素直に観て良かったと思います。P・ウォーカーさんに関しては、個人的にあまりよく知らなかったですが、なかなか無骨な華のある役者さんだったのですね。今回の事故死はつくづく残念でなりません。
[DVD(字幕)] 6点(2023-12-27 10:58:21)
50.  MIA ミア 《ネタバレ》 
「ミア、よく聞いて。あなたのお母さんを殺したのは、テロリストのカリド。そして、彼はあなたの実のお父さんでもあるの。こんなことを話したくはないけれど、あなたのお母さんは彼に昔レイプされたの。カリドは、いまや唯一の子供であるあなたの行方を必死になって捜しているわ」――。英国、オックスフォード大学に通う女子大生ミアは、両親と妹と暮らす平凡な女の子。ある夜、そんな彼女の家に武装したテロリストたちが突如として押し入ってくるのだった。瞬く間に両親を殺された彼女は、幼い妹と共に命からがら逃げ出すことに。だが、そんなミアのことを保護したMI6の捜査官から、彼女は驚愕の真実を知らされるのだった……。アフガニスタンのテロリストや英国諜報機関、石油採掘権を巡る大企業たちの国際的な陰謀に巻き込まれた一人の少女“ミア”の親と子の絆を巡る戦いをノンストップで描き出すスパイアクション。とにかく、観終わってすぐの率直な感想を述べさせてもらえば、演出のことごとくが恐ろしく稚拙な映画でしたね、これ。たとえば冒頭、そんな凶悪なテロリストたちがミアの家庭を襲うのですが、前振りも何もなくいきなりドアを蹴破ってくるものだから、観客は完全に置いてけぼり。普通の映画なら、“ミアが家に帰ってくるのを車の中から見守るテロリスト”みたいな画を差し挟むことでサスペンスを盛り上げたりするのだけど、本作のスタッフたちはそんな映画作りの基本をまるで分かってないみたいです。その後も、ミアの隠れ家にテロ集団が進入してくるシーンでも、ベランダに隠れた彼女を一切捜さずに「どうやら彼女は居ないらしい」って勝手に判断してリビングでくつろいじゃって、案の定、ミアに反撃されるって…。このテロリスト、普通にアホっしょ(笑)。他にも、自分を保護する傭兵に惹かれていくというミアの恋愛描写もかなり雑だし、何より物語の中盤、ミアが物凄く重大なスタンスの転換を果たすわけですが、これが超とって付けたように唐突なもので思わずずっこけそうになっちゃいました。もうびっくりするぐらい、物語にリアリティやら説得力やらが欠片もありません。主役を演じた女の子がエキゾチックな魅力に満ち溢れたなかなかの美少女だっただけに、かなり残念な作品でございました。
[DVD(字幕)] 3点(2023-12-27 10:34:43)
51.  シークレット・パーティー 《ネタバレ》 
都会の片隅で出張コールガールとして働く2人の女、そんな彼女たちの運転手をしている自堕落な男――。社会の吹き溜まりのような、薄汚れたアパートの一室で酒とセックスに溺れるそんな3人の男女の愛と嘘とトラウマが刹那的に交錯する哀切な人間ドラマ。な~んて真面目に本作の内容を説明してみましたが、はっきり言って久し振りにこんなにも論評に値しないと思える「クソつまんないショボ映画」に出会ってしまいました。キアヌ・リーヴスを初めとするこの3人の男女が、ひたすらどうでもいい愚痴を言い合い、たまに喧嘩して、やっぱり仲直りしてがダラダラダラダラ延々と続いて、もう最後まで観るのが苦痛で苦痛で仕方ありません。中盤、路上でカメラを盗むキアヌのエピソードもそのカメラで撮られる女優たちの即興演技もいったい何がやりたいのか、さっっっぱり訳が分からない。挙句、最後に客である独身最後の夜を満喫したい新郎と友人たちの〝シークレット・パーティ〟に呼ばれた彼女たちの、ぬる~~~いエロ描写でお茶を濁して終わり……。山ナシ、オチナシ、意味ナシという、まるでコミケなどで売られていそうな安っぽい同人誌のようなお粗末な映画でございました。もう何日も満足な睡眠を得られていない、極度の不眠症に悩まされている方などにお薦めです(笑)。
[DVD(字幕)] 1点(2023-12-27 10:21:11)
52.  テリファー 《ネタバレ》 
ハロウィンの夜、奇怪なメイクを施した狂気のピエロがやってくる――。内容なんてほぼなし、そんな殺人ピエロがただひたすら人を殺しまくるのを徹底的なグロテスク描写満載で送る、もはやB級ですらないC級映画。こーゆー低予算を逆手に取って、それでも映画への愛だけを武器に、観客にとにかく楽しんでもらおうという作品って結構ありますけど、本作はその中でもかなりレベルの低い内容でした。とびかくセンスゼロ!!キレのいい演出も観ている者を惹き込ませるような映像も一周廻ってもはや笑けてきちゃうようなぶっ飛んだ展開も、な~~~んもありません(笑)。最後までばっちい映像がひたすら垂れ流されるだけ。観るだけ時間の無駄のう〇こ映画でありました。終わり。
[DVD(字幕)] 2点(2023-12-27 07:53:46)
53.  ディス/コネクト 《ネタバレ》 
「ハイ、ベン、はじめまして。あたしの名は、ジェシカ。あたし、あなたの歌が好き。本当に感動的な歌だわ。あたしにも一曲作ってほしいなって今回、友達申請したの……」。地味で大人しい音楽オタクの高校生、ベン。ある日、彼はフェイスブックでそんなジェシカと名乗る女の子からのメッセージを受け、友達となるのだった。だが、彼は知らなかった。それは同級生である男の子のたちの悪い悪戯であることを。次第にエスカレートする“ジェシカ”の要求にのぼせ上がってゆくベン。彼が、自らのヌード写真をジェシカに送信したとき、それは取り返しの付かない悲劇へと転がり込んでゆくのだった。さらにはそこに、ネット詐欺に騙されて全財産を失ってしまった夫婦や、児童ポルノサイトでリアルタイムで自らの身体を晒す少年少女たちが複雑に絡まり合い、物語は更なる悲劇へと繋がってゆく……。ネット社会に潜む危険な落とし穴に落ちてしまった人々の悲劇の連鎖を、淡々と描いた哀切な群像劇。ほとんど予備知識もないままにこの度鑑賞したのですが、これが予想外に良い映画で僕はびっくりさせられてしまいました。何が良かったかって、とにかくこの抜群の構成力!!かなり複雑な構造のお話で、しかも登場人物もやたらと多いのに最後まで分かりやすく、かつ緊張感を一切途切れさせずに見せきるこの監督の手腕は相当なものだと思います。のみならず、映像や音楽も随所にセンスを感じさせ、その完成度の高さには素直に驚嘆させられました。物語の方も、人間の悪意や欲望が簡単に暴走してしまうというネット社会が孕む危うさを極めて冷徹に見つめたその視線の鋭さには、久々にガツンと頭を叩かれるほどの衝撃がありました。ネットとは便利な反面、人間をさらに愚かで残酷な生き物へと簡単に変貌させてしまう危険な側面も持っている…。登場人物たちが翻弄される、所々目を背けたくなる程のそんな理不尽な現実に観れば観るほど気が滅入ってくるのですが、最後、それでも必死に生きていこうとする彼らに僕は微かな希望を見出さずにはいられません。ネットというパンドラの箱を開けてしまった僕らは、もう二度と閉じることはできない。リベンジポルノやSNS炎上、ネットを発端とする未成年者による犯罪行為…。そんなますます生き辛さを増す現代のネット社会において、本作こそ真に観るべき映画の一つと言っていい。
[DVD(字幕)] 8点(2023-12-22 12:24:15)(良:1票)
54.  セブン・サイコパス 《ネタバレ》 
「サイコパス(キ〇ガイ野郎)たち、大募集!!最近、なんだか錯乱気味?ひょっとして危ない理由で入院しちゃった?でも、大丈夫!世間に理解がないだけさ。実は俺、友達と一緒に只今『セブン・サイコパス』って映画の脚本を執筆中だ。だが、今ちょっぴりネタ切れ中で困ってる。面白いネタを提供してくれたら映画の中で使うかもよ。自分の正義感が世間に比べてちょっぴり歪んでる、なんだか最近無性に犬猫を虐めたくてしょうがない、そんなナイスな野郎どもはこの番号まで大至急電話してくれー!!」――。エージェントからの依頼で、サイコ・サスペンス映画の脚本を執筆中の酒浸りの脚本家、マーティ。タイトルだけは考え付いたものの肝心の中身の方は遅々として進まない。そんな彼を見かねて友人である売れない俳優のビリーは、彼に内緒で新聞広告を出すのだった。「サイコパスなんて募集してどうする!」と、当然のように怒り狂うマーティ。その日から、彼の元に危ないサイコパスたちが続々とやって来るのだった。果たしてマーティは無事に映画の脚本を書き上げることが出来るのか?という、なんだかよく分からない(笑)設定の奇抜なバイオレンス・コメディ。コリン・ファレルを初めとする何気に豪華な役者陣競演に惹かれて今回鑑賞してみたのだけど、うーん、僕にはよく分かんなかったです、これ。主人公マーティの元に集まったイカレ野郎たちの過激なバイオレンス描写が暴走しまくっちゃう前半から一転、後半での荒野に集まったそんなサイコパスたちの微妙に噛み合わない禅問答のような遣り取りが延々と繰り返される展開に、「あぁ、きっとこれは過去にジョン某さんが主演した、秀逸な設定のサイコ・サスペンスの某傑作と同じオチなんやろねんな~」と思っていたら、なんだか分かりにくいモヤモヤとしたラストを迎えちゃいました。きっとこれって、調子に乗って拡げすぎた大風呂敷をきちんと畳むことが出来なくなって、無理やりこのオチに持っていったんじゃないの?なんだかスッキリしないですよ、これじゃ。ギャング2人がいきなり射殺される冒頭シーンとか、なかなかキレのあるバイオレンス描写にけっこうセンスを感じただけに惜しい!この監督の次回作に期待ってことで。
[DVD(字幕)] 5点(2023-12-22 11:53:45)
55.  フォックスファイア 少女たちの告白 《ネタバレ》 
「私たちの物語が始まったのは、そう、1955年3月16日の夜、レッグスと私が新しいグループを結成してからだ。名前はまだなかった。でもすぐにレッグスが思いついた。“フォックスファイア(キツネ火)”。夢の中で聞いた言葉だとか…。そう、フォックスファイアこそ、まさに忠誠と信頼と愛で成り立つ血の団結。男どもに対抗しうる、少女たちのギャング集団」――。東西冷戦が激化し始めていた50年代。アメリカ南部のとある地方都市に生きる男勝りな少女レッグスは、女をまるで頑張った自分へのご褒美のようにしか見ない男たちに対抗するため、少女の少女による少女のための秘密結社「フォックスファイア」を結成するのだった。最初は悪戯程度で収まっていた彼女たちの活動だったが、レッグスが警察に捕まり刑務所に収監されてからは次第にエスカレートしていく。そして、強烈なカリスマ性でそんな少女たちを惹き付けるレッグスが保釈されると、フォックスファイアは本格的に過激な反体制派活動を活発化させてゆくのだった……。特筆すべきなのは、本作で主役を演じたレッグス役の女の子のその類稀なるカリスマ性だろう。キラキラと輝くような笑顔を見せていた前半での大人しい彼女から、中盤、刑務所に収監されてからの中性的な魅力を振りまく、今にも壊れてしまいそうなまるでガラス細工のナイフのような圧倒的な存在感には最後まで目が釘付けになってしまった。彼女が、本作のためのオーディションで選ばれたそれまではずぶの素人だったなんて到底信じられない。そんな彼女以外の女の子たちも皆、それぞれに個性豊かな魅力を放っていて素晴らしい(特にグループの用心棒的なあの太った女の子!)。お話の方も、男の論理で形成される資本主義社会に徹底的に少女の視線で〝ファックユー!〟を突きつけるそのパワフルなメッセージに、僕は爽快さすら感じてしまった。ただ残念だったのは、映画として全体的に少々冗長な印象を受けてしまったところ。2時間弱ぐらいに纏めてくれれば、もっと格好良いガールズ映画の傑作になっていただろうに。とはいえ、少女たちの生きるエネルギーに満ち溢れた、シスターフッド映画の秀作であったことは間違いない。
[DVD(字幕)] 7点(2023-12-22 11:36:10)
56.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 
謎の地球外生命体“ギタイ”の襲撃により、突如として滅亡の危機へと陥ってしまった未来の地球。入隊したばかりのケイジ二等兵は、上司の命令により、いきなり戦いの最前線へと送り込まれてしまう。戦場など初めての彼は当然、そんな凶悪な敵にあっという間に殺されてしまうのだった――。だが、次の瞬間、ケイジはその前日の朝へと舞い戻ってしまう。「これはいったいどういう事だ?」と当然のように戸惑うケイジ。そこから、同じ時間が延々と繰り返される地獄のような無限ループの日々が始まるのだった……。日本のライトノベルが原作ということで、そんないかにもな内容に、子供のころから「スーパーマリオ」や「悪魔城ドラキュラ」、最近だと「ダークソウル」系のいわゆる死にゲー、そんなアクションゲームにがっつり嵌ってきた僕としては、その死んだら最初からやり直し、もっと長く生き残りたかったらここでジャンプしてこの敵をかわしタイミングよくこのアイテムを使って…みたいな内容に否が応にもテンション上がっちゃいました。うん、やった、やった、こういうこと(笑)。超受身のヘタレ男だった主人公が、超活発で強いヒロインの女の子の強引な導きにより強くなって、いつしか立場が逆転してツンデレ状態に…な~んて、いかにも日本の男子中高生が好きそうなライトノベル的ストーリーがアメリカで、しかもトム・クルーズ主演で製作されたってのもなかなか感慨深いものがあります。ただ…、本作はそーゆーライトノベル、もしくは死にゲー的な内容のなさが最後まで付き纏うのが賛否が分かれるところかな。これで、ストーリーや映像に革新的なものがあれば傑作にもなりえただろうに、残念ながら本作は「プライベートライアン」や「スターシップ・トゥルーパーズ」「マトリックス」という有名映画の良いとこ取りをしているだけでそんな傑出した部分がほとんどありませんでした。という訳で、確かに娯楽映画としてはぼちぼち楽しめましたけど、僕の中では「宇宙戦争」や「オブリビオン」と言ったトム・クルーズ主演の過去のSF娯楽映画の一つとして一纏めにくくられそうな、そこそこレベルの作品でございました。でも、お酒のおともに最適ではあるよん。
[DVD(字幕)] 6点(2023-12-18 13:38:09)
57.  プリズナーズ 《ネタバレ》 
これから厳しい冬を迎えようとしているアメリカ北部の田舎町。平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた2つの家族、ドーヴァー家とバーチ家に突如として悲劇が訪れる。それは、お互いの幼い娘たちの不可解な失踪事件だった。すぐに容疑者としてアレックスという男が逮捕されるのだが、彼は10歳児並の知能しか持ち合わせていない、いわゆる知的障碍者だった。しかも物証となるような証拠は何も発見されない。嫌疑不十分で釈放されることになったアレックスに、被害者家族であるドーヴァー家の父親ケラーは当然のように納得できるわけがなかった。彼こそが真犯人だと確信するケラーは、次第にその行動をエスカレートさせ、さらにはアレックスを拉致監禁し、あろうことか酷い拷問にもかけてしまう――。娘を愛するがあまり、正義と狂気の狭間をどんどんと暴走してゆく父親ケラー。互いの家族や事件を担当する刑事らも巻き込んで、物語は更なる悲劇へと繋がってゆくのだった……。2時間30分というなかなかの長尺で、しかもその間どこにも一片の晴れ間すら感じさせないかなり陰鬱な作品なのに、最後まで一切緊張感を途切れさせずに見せきるこの監督の手腕には素直に圧倒させられました。登場人物誰もが愛する者を救いたいと行動しているのに、それがどんどんと不幸の連鎖を生み、周りの人間を次々と悲劇のどん底へと引き摺り込んでしまう…。正直、見れば見るほど鬱になる、徹底的にいや~なお話なのですが(笑)、それでも最後まで惹き込まれ観終わった後はいろいろと深く考えさせられる作品でした。最後に姿を現す、「神に戦いを挑む人間」にして、全ての悲劇の“迷路”の中心に居る「絶対悪」の存在――。なんだか現代日本文学の最前線をひた走る作家・中村文則の小説をも髣髴とさせるその迫力に思わず驚嘆。正義とは何か?悪とは?正義のための悪行は許されるのか?サスペンス・スリラーとして充分なエンタメ性を有しながら、そんな哲学的で深甚なるテーマをも鋭く追求したなかなかの良品であったと思います。この監督の他の作品も観てみたくなりました。
[DVD(字幕)] 8点(2023-12-18 13:10:18)
58.  マレフィセント 《ネタバレ》 
名作の誉れ高いディズニーの古典的アニメ「眠れる森の美女」を、最新のCG技術を駆使して実写映画化、主演には新旧人気女優を起用し、さらには現代的な解釈で元々のお話を大胆にアレンジして……という最近流行りのスタイルのファンタジー大作。川端康成のロリコン小説の傑作「眠れる美女」なら知ってるけど、原作となったアニメや童話はほとんど知らず、それでも昔からそのコケティッシュでキュートな魅力でもって僕のロリ心を良い感じで突いてくる美少女エル・ファニングちゃんが主演ということで今回鑑賞。まあ、アンジェリーナ・ジョリー主演がウリってことで彼女が全面的にフューチャーされているのは分かるのだけど、それでも僕のお目当てのエル・ファニングちゃんが登場するのが映画が始まって40分も過ぎてからって、ちょっと酷くないっすか?あの、子役時代に数々の映画で魅せてきたその可愛い笑顔を見たくて見たくて堪らなかった僕としては超不満爆発なんすけど!!でも、真面目な話、これってそーゆー脚本上の爪の甘さが目立つ作品だと僕には思えました。本作の主人公って、いったい誰なんでしょう?マレフィセントならそのあまりにも特異な立場のせいで全く感情移入出来ないし、オーロラ姫ならあまりにもその扱い方が雑です。だから、これって観客が感情移入できるキャラクターがいない、物語の粗筋だけが延々と垂れ流されているだけのかなり退屈な作品に感じてしまいました。それに、唐突に出てくる王子の存在もかなり薄っぺらいし、「ファンタジーは最後にドラゴン出しときゃ万事OK」みたいなクライマックスのテキトーな展開も何だかな~。うーん、原作もこんな感じなんですかね?僕には、本作の魅力はあんまり分からなかったです。
[DVD(字幕)] 4点(2023-12-08 10:34:03)
59.  それでも夜は明ける 《ネタバレ》 
私の名前はソロモン・ノーサップ、自由黒人だ。信じてくれ、拘束される理由など何もない!この鎖を解いてくれたら人違いだと証明できる。お願いだ、私は決して奴隷なんかではないんだ――。1841年、ニューヨーク。愛する妻と二人の子供たちと共に充実した毎日をおくる自由黒人であるソロモンは、ある日、奴隷商人の男たちに騙され拉致監禁される。そのまま、彼は奴隷として有無を言わさずアメリカ南部の農場へと売り飛ばされるのだった。まだ、黒人が“家畜”と同じ扱いを受けていた時代。様々な農場を転々としていくうちに、ソロモンは白人からゴミのような扱いを受けている黒人たちの悲惨な現実を目の当たりにしてゆくのだった……。実話を基に、まだ黒人が白人たちの奴隷として悲惨な現実を生きていた時代に、数奇な運命を生きたとある男の12年に及ぶ奴隷生活を冷徹に見つめたヒューマン・ドラマ。こういう作品を観ると、いかに白人が有色人種を下に見ているかがよく分かります。もう全編にわたって、思わず目を背けたくなるような理不尽で残酷な現実のオンパレード。監督は黒人ということで、その積年の怨嗟の表明には目を見張るものがある。主人公が首を括られた状態でほとんど一日放置されたり、ただ自らの身体を洗いたくて石鹸を借りに行った女性が酷い鞭打ちの刑に処されたり…。「どうして私がニガーをこんなにも痛めつけるかだって?違う、私は自分の所有物で遊んでいるだけだ。こうしている時間が一番楽しい。黒人をいたぶる、これ以上気の晴れる遊びはない」と平然と言ってのける白人の農場主には、人間の極限の愚かさを見せ付けられて寒気すら覚えてしまいます。昨今、アメリカで多発する警察官による人種差別的暴行事件に端を発する暴動を目にしていると、本作がますますそんな人種対立を煽る結果になるのではないかと危惧するばかり。でも、この残酷な現実から目を逸らさずあくまで冷静に黒人たちの歴史と怨念を直視した、この監督の情熱はやはり賞賛に値する。広島や長崎に半ば実験目的で原爆を投下された同じく有色人種である我々日本人としても他人事とは思えません。これから先も人種差別という病理は絶対になくならない酷い世の中なのかもしれないけれど、それでも希望を見失わずに生きたソロモンに僕は生きる勇気を与えてもらえたような気がします。良い映画でした。
[DVD(字幕)] 8点(2023-12-08 10:23:28)
60.  複製された男 《ネタバレ》 
大学で教鞭をとる歴史学者アダム。素敵な恋人にも恵まれ、なんとなく物足りないものを感じながらもそれなりに幸せな日々を過ごしている。ところがある日、彼はある映画の端役に自分と瓜二つの男が主演しているのを発見するのだった。役者の名はアンソニー、妊娠中の妻と過ごす売れない三流俳優だった。なんとかしてそんなアンソニーとコンタクトを取ることに成功したアダム。恐る恐る彼と会ってみると信じられないくらい自分と瓜二つであることが分かるのだった。そう、まるで最新鋭の技術で複製されたかのように……。冒頭から、くすんだイエローを基調としたダークで美しい映像と不安感をひたすら煽る音楽とでそんなミステリアスな世界へと観客を惹き込んでゆきます。胸の古傷までそっくりの二人の男、「きっとこれは、そんな複製された男たちのアイデンティティを巡る戦いを描いた前衛的な芸術作品なんだろう」と、さすがノーベル賞作家の原作を映画化しただけのことはあるなあと、そんなデビット・リンチをも髣髴とさせる淫靡でダークな世界観に素直に酔いしれていました。ですが中盤辺りから、巨大蜘蛛やら裸のねーちゃんやら意味があるのかないのかさっっっぱり分からない映像が延々と差し挟まれ、挙句終盤に至ってはこの二人が互いの妻と恋人を交換してセックスしようと頑張っちゃうという下世話なスワッピング展開になってしまって、僕はどうにも肩透かし感が否めませんでした。まあ、いろいろと考えていけばちゃんと深い意味があるんでしょうけど、僕は本作にそこまでの価値があるとは思えません。なんだか、これって全体的に中途半端じゃありません?後半とか、もっと常人では到底考え付かないような徹底的にシュールな展開にしてくれんと目の肥えた観客のハードルは超えれないですよ。こういうのを観ると、やっぱりデビット・リンチは偉大だなぁとあらためて再確認させられますね。それでも、全体を覆う濃厚な雰囲気は良かったので6点で。
[DVD(字幕)] 6点(2023-12-08 10:03:47)
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