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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1920年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  海底王キートン 《ネタバレ》 
いやーこんなアイデア満載で面白いのがまだあったとは。  発想に次ぐ発想とはこの事。  最初は少し淡々としているが、徐々に次から次へと事件が起こる面白さ。  “煙草”で出会う男女二人(頭に落ちてたらシャレになんねえ)、  缶が開かねえ? ナイフ、包丁、ドリル、あーあー貴重な食料が。  しかし物がどんどんブッ壊れる話だな。 食料→服→トランプ→船 キートンよトランプに何の恨みがwww  窓から覗く“男”が怖えー。  蝋燭?ダイナマイト!?  チャップリンの「移民」も揺れればこっちも揺れに揺れてイスをドボーン。  船内生活も慣れてくると快適だ。 ボイラー室?がベッドで缶きりも料理もピ・タ・ゴ・ラ・ス・イ・ッ・チ♪  あちゃー船が座礁だー。 おーっと、都合よく置いてある潜水服!何とご丁寧に取り扱い説明書まで!!行き届いてるわ~。  セットがいつも以上に豪華でワロタ。流石キートン。なんたってさらに“船”も“火砲”も“ロケット”まで出てくるんだから。  潜水服でタバコ吸うなよ(笑) 今回どんだけアホな回なんだよwww  当時ガチで水に潜った偉大なる先駆者の一人キートン。当時は超危険だったから、中に潜るだけで4週間かけたんだと。最高の役者馬鹿だぜ。  「危険です」 誰も行かねえよ!  キートン「あー修理がキツイ。猫の手も借りたいなー」  ロブスター「おい小僧!」  そしてカジキ、地元民とのスキンシップ(海戦)もルンルン。  船上での戦いが凄えぜ!馬鹿のバーゲンセールだ!!  行くぞ戦艦キートン!  潜水服=イカダ。  それにしたって海から現れるキートンのカッコ良さは以上。 ヒロインを助けるときも無駄に。あらやだ超カッコイイ・・・。 肺活量パネエー。  水抜きは切腹が一番。  しかし女というものはどうしてこう濡れると色っぽく(ry  最後の最後まで発想の勝利に次ぐ発想の連続、ツッコミが追いつかねえ。  お腹いっぱいで大満足です。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-13 03:20:46)
42.  思ひ出 《ネタバレ》 
サイレント時代のエルンスト・ルビッチ最高傑作を1つ選ぶとするなら、俺はこの作品を選ぶだろう。 ドイツ時代に磨かれたエレガンスな雰囲気とエロティックなやり取り、そしてメロドラマの切なさ・・・。 この映画はルビッチらしい洗練された美しさを味わえる作品の一つだ。  主人公のハインリッヒ王子の成長を美しい“想い出”と共に語る悲しき恋の物語。 乳母に育てられた王子。 彼の理解者であるユットナーは、幼い王子の遊び相手でもあった。  成長した王子は同級生、そして想いを寄せる女性たちに出会う。 そのシーンが本当に素晴らしい場面ばかりでさあ。 例えば、握手を求められるシーンでどんどん弾き出されるユットナーの様子がコミカルに描かれるし、  女性が一生懸命話しているのにソッポを向く王子のやり取りも面白い。 「あたしの膝の上に乗って」とばかりにベッドに誘ったりする彼女の姿をシカトするシーンに笑う。 そこに睨みを利かす守衛とか色んな人間が絡んだりしてさ。 ドアを開けたらその守衛みたいなオッサンが居たりして思わずクスとなってしまった。  王子がパーティーに参加する場面でも、彼女が一気飲みするならこっちもイッキに・・・に飲めないのでチビリチビリと飲んでいく。   王子の幼少時代の場面も良いんですよ。 将軍に向って一斉に「乾杯!」するシーン、一斉に帽子を脱ぐシーン。 ドラムロールと人の脚が重なる演出、幼いハインリッヒ王子が大砲の音にビックリして電車の中に戻るシーンがカワイイ。 ユットナーと結ぶ絆も深い。  青春時代のコメディタッチが、その後に待ち受ける王子の運命、それに向き合う悲しき王子の姿をより際立たせる。 掛け替えの無い友人たちよりも、一国の王の跡取りとして友人たちへの想いを断ち切らねばならない哀しみ。  だが、王としての孤独を癒すのは、一瞬でも彼の心を満たしてくれた想い出なのです。 皆さんも若いうちに良い友達に会える事を祈ります。友人て良いもんですよ、本当。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-09 17:23:08)
43.  メトロポリス 完全復元版(1926)
フリッツ・ラングは「M(エム)」、それにアメリカ時代の「ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ」や「激怒」「スカーレット・ストリート」いった作品の方が完成度が高いが、今回「メトロポリス」の完全版を見た上で大満足な出来だったのでレビューしたい。 フリッツ・ラングが当時のアメリカの摩天楼に衝撃を受け、妻のテア・フォン・ハルボウと共に熱狂しながら構想した「メトロポリス」。 完全版ではヨシワラにおける人間達の欲望が弾ける様子、フレーダーセンの部下がヨザフォートに迫るサスペンス、アンドロイドマリアのダンスシーンの一部などなど重要な部分が修復されている。修復部分の痛みは激しいが、今まで欠けていた部分が補われた事でより、いや本来の魅力を存分に愉しめるようになったのである。 今日では散逸したフィルムも補完されて「完全版」として楽しむ事が出来るようになったが、それまでの80年を生きてきた人にとってはどれほど長い道のりだったか・・・。 そしてそのフィルムを含めて、今日まで作品を守ってきた人々は、もっともっと評価されなければならない。 ここに感謝の意を評したい。 ありがとう・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-08 05:22:35)
44.  ストライキ 《ネタバレ》 
ソ連の血みどろの粛清を克明に描く「ストライキ」。 国の革命がもたらした何千何万という流血。 国の政策の犠牲になるのは、いつも下を支える民衆だ。 その一部始終がこの映画に詰まっている。  工場で重労働を課せられる労働者の苦しみ、その波は民衆に波及し、やがて工場は停止する。  我武者羅に働いてきた男たちは、いままでないがしろにしていた家庭の大切さを思い出す。  ある者は家で過ごし、ある者は演説をして民衆を刺激する。  それに手を焼く国の重役たち。 ストライキの鎮圧は軍隊に任せ、自分たちは高みの見物だ。 のんきに酒を酌み交わし、下の気持ちなんざほとんど省みない。  そこに酒を運ぶ召使い。 彼もまた民衆の一部だ。 苦々しい笑みで現状を嘲笑う。 そして人がいなくなれば、彼らは残ったご馳走を食べ尽くす。 ここまで人の上下の差を描いていく。  働き手がいなくなった工場を、一匹の猫が通り過ぎていく。 その生々しさが凄い。  動かなくなった工場はその働き手の首すら締めていく。 働かなくなり金が底をつき、家のシーツや古着を売り金に変える事にも限界が来る。 工場を動かさなければ、働き手も食い詰めるのだ。 政府はそれを待てば良いのだから。  労働者たちは、家族を食わせるために再び工場へと戻っていく。  だが、突然の不幸が襲う。 浮浪者たちがストライキに同調し、何と工場を焼いてしまったのだ。 何という皮肉。  ストライキの面々が反乱したのだと、軍隊は人々に銃を向ける。  男、女、老人、赤子まで、尽く殺していく。  後には大量の死体と血の川だけが残る・・・。  その強烈極まりない映像!
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-07 14:22:13)
45.  知られぬ人 《ネタバレ》 
「フリークス(怪物團)」に先駆けた傑作。 生まれ付き“ある筈のもの”が無く、普通の人間とは違う生活を強いられてきた者の哀しみと怒り。  「フリークス」はそういう者たちの怒りが刻まれた傑作だったが、この作品は“ある筈の無い”苦しみを抱えた男の物語でもある。 どうころんでも文字通り自分を“締める”話は見ていて辛い。 「フリークス(怪物團)」はまだ、何も隠さなずありのままの自分たちを他人に堂々とさらして力強く生きる人々のドラマがあった。 が、この話は隠さなければならない不安と、ソレが後に大きな伏線となってくる演出の見事さが加わっている。  ブラウニングの演出には一切よどみが無く、クライマックスまで一気に見てしまった。  とにかくロン・チェイニーの怪演、そしてジョーン・クロフォードの眩いばかりの可憐さに尽きる傑作。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2015-01-04 07:41:17)
46.  嵐の孤児
グリフィスの集大成ともいうべき傑作。18世紀末のパリを舞台にした重厚な歴史ドラマ。 フランス貴族に対する辛辣な描写は当時問題となり、ブルジョワ層を敵に回してしまう作品はヒットしなかった。 しかし、今そんな事は関係ない。 展開の速さや詰め込まれたストーリーはグリフィス映画でも屈指の完成度だ。  物語の鍵を握る二人の女性。 運命に翻弄されて違うドラマを歩む二人のヒロイン。ボロ着をまとい寒さに耐える者、愛する者を探す果てに断頭台に消えようとする者。この二重に展開されるドラマの面白さ。 フランス革命やロベスピエールの恐怖政治を絡めたストーリーはより厚みがある。 かつて「イントレランス」で試みられた手法がより分かりやすく、かつ洗練されたものになっているだろう。  登場人物の丁寧な掘り下げはモチロン、グリフィスらしいクライマックスの畳み掛けも素晴らしい。  それにしてもリリアン・ギッシュはキレイだ。「スージーの真心」あたりから余計に可愛くなった気がする。 もっとグリフィスとのコンビが見たかっただけに残念だ。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-02 23:16:02)
47.  結婚哲学 《ネタバレ》 
それぞれの夫婦がくっついたり離れたりする二転三転のストーリー展開で暴れ周り、ラストはキッチリ収まってしまう見事なシナリオで描かれるセックス・コメディ。 セックスといっても、直接的な描写をしなくともそのエロティックな仕草で魅せてくれるルビッチ。  小物を使った上品な笑いの連鎖もたまらない。 特に夫婦が握り締める“花”がその時々の喜怒哀楽を表現するのが面白い。 そういやスピルバーグの「E.T.」も“花”が印象的な場面があったね。花は生命の象徴にもなる。 他にも帽子とか、美味そうなゆで卵とコーヒーでとか・・・何処までも上品、何処までも哲学的。 色んな解釈が持てる非常に愛らしい作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-21 21:42:45)
48.  三悪人 《ネタバレ》 
フォードのサイレント時代における最高傑作。 「三悪人」は文字通り三人の悪党が暴れて身を滅ぼしていく映画だ。 中盤における馬の群れが一斉に飛び出す迫力を見よ! サイレントとは思えない凄い作品。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 19:32:49)
49.  忠魂義烈 実録忠臣蔵 《ネタバレ》 
「実録物」の元祖?とも言えるマキノ省三生誕50周年記念の作品。 生涯で実に400本以上映画を撮ったと言われるマキノ省三だが、残念な事に現存するフィルムは数本のみで、しかも1時間以上残るフィルムは「雄呂血(製作総指揮)」「忠魂義烈 実録忠臣蔵」と「百萬両秘聞」ぐらい。 息子の正博(雅弘)との共同作「浪人街」も総集編として1時間足らずのフィルムが残るのみだ。 幸いにも「百萬両秘聞」は前後半合わせて100分以上も現存する貴重なフィルム。コチラも是非とも見たい作品だ。 前・後編それぞれ1000円もしないので、とてもリーズナブルな値段で入手できる。 本作「忠魂義烈 実録忠臣蔵」は2時間以上にもなる当時としては大作だったらしいが、マキノ省三は作品の出来に不満を洩らしてらしく、フィルムも編集中の火災でネガの半分を失ってしまう。 残ったフィルムを何とか繋ぎ合わせ、終盤の討ち入りシーンも焼失したので急遽正博が撮影し直した。 そのため「忠臣蔵」の1時間ダイジェストという出来だが、終盤の迫力ある戦闘は凄まじいものだ。 出演に嵐長三郎、端役に月形龍之介や山本礼三郎など後の実力者たちも名を連ねている。 本作は古典的な「忠臣蔵」のストーリーを映画化。 大胆なカメラワークで迫力あるドラマを魅せる。 中盤の忠臣たちが一斉に抜刀して誓を立てる場面。 カメラでぐるりと収めるようなショットが面白い。 吉良を欺こうと女遊びにふける内蔵助。 女人衆が「うきまさ」または「うきはし」の文字を作る。 つまらなくもないし、特にこれといった突き抜けるほど面白いというワケではない。 ただ終盤の戦闘。 正博が撮り直した場面だが、吉良邸に押し入る浪士たちの群れ、一斉に白刃を抜き討ち入る迫力は凄い。サイレント特有の超高速戦闘。 目にも止まらぬ速さで刃を交わせ敵を斬り倒していく。 修羅場と化す吉良邸、偽装工作と動かざる「額の傷」。 ラストシーンはフィルムの都合もあると思うが、あえて橋の上を渡る浪士たちの後ろ姿で締めくくる場面が良い。 逃れられぬ死の運命・・・最後まで戦う事を選んだ男たちの“死の匂い”を感じた。 今でこそ「忠臣蔵」は史実より脚色された「虚構」であり「神話」状態だが、主君の無念に体を張って応えた義侠心は捨てがたい。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-14 21:11:40)
50.  キートンのスケアクロウ(案山子) 《ネタバレ》 
キートンは短編でも「文化生活一週間」といった傑作群があるが、本作「案山子(The Scarecrow)」もアイデアに満ちたそんな傑作の一つ。  太陽が昇り、虫歯に悩むキートン、それを見つめる太目の相棒。 相棒はキートンの虫歯とドアノブを繋ぎ抜こうとするが・・・この変のやり取りからして面白い。  その後の“朝食”シーンは笑いよりもそのアイデアの豊富さに脱帽。  レコード盤は朝食を焼くガスになり、上からはティーバックや塩やこしょうのオプションが降り注ぎ、ベッドはピアノに、イスは農場への肥料や水を運ぶ注ぎ口となる。  バターといったものも専用の“車”に入れられ移動し、酒瓶もヒモによって宙を飛ぶ。 「海底王」でもこれに近いギミックが後半出て来た。やっぱりキートンのアイデアは面白いし、見ている方も凄い楽しい。  後半はそんな家のアイテムを活かすシーンが少ないのだが、それでも農園の娘をめぐる父親とのやり取り、“狂犬”との追いかけっこが父親やキートンの事を思っていた相棒すら敵に回して大騒動、娘さんのバレエの真似をする可愛らしさ、家の内部での騒動も激しい出入りで3回に別けて脱出口を開いたり、藁の山に揉みくちゃにされてシャツとパンツ一枚になるキートン、怪我が絶えず不憫な相棒、“案山子”になって追っ手を交わすやり取り(その案山子から酒を拝借)、逆立ちで河渡り、“馬乗り”失敗、盗んだバイクで走り出し神父もかっさらってウォータースライダー張りの飛び込みで求婚とジェットコースターみたいな詰め込まれ振り。 車が一瞬いなくなった瞬間をすり抜ける時のスリルも地味に怖い。  家でのやり取りをもっと見せて欲しかったが、それを抜きにしても充分すぎる傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-12 05:38:01)
51.  朝日は輝く 《ネタバレ》 
溝口健二の初期のサイレント作品。  これは元のフィルムの四分の一しか残っておらず、「東京行進曲」同様ダイジェストみたいな作品だ。  光の洪水から始まるオープニング、 電光掲示板でタイトルを出す斬新さ、 新聞と地球儀の数で月日を表す、 当時としては珍しい空撮映像、 新聞を製造する機械のうなりが聞こえるよな映像とかなり凝った実験的な作りだ。 完全に朝日新聞の宣伝ですハイ。そっちの「朝日」かよ!  溝口健二も結構職業監督というか、国の政策で幾つか映画作ってたんだな。 こういう映画と他のサイレント映画もいっしょくたに国が管理してくれていたらよかったんだがなー・・・残念だ。  戦争みたいな映像や関東大震災後の東京をチラリと映す。 それを新聞の記事として執念で追う記者たち。 記者にとっては大事な仕事、ただ一般人には邪魔だよな。 それでも記者は命懸けでネタを追う。 船の事故の時も「後でたらふく助けるから先にネタをくれ」だ。 図太いんだか白々しいんだか。  あっという間の25分だった・・・。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-07 21:20:33)
52.  吸血鬼ノスフェラトゥ(1922) 《ネタバレ》 
ムルナウというと「サンライズ」や「ファウスト」「最後の人」といった素晴らしい傑作を残してくれた監督で、この「吸血鬼ノスフェラトゥ」もまた退屈というものを感じさせてくれなかった。・・・しかし正直感想は微妙だ。 久しぶりに「今見ると大したことないな」という映画だった。 自分でもビックリだ。 これまで豊作続きだっただけに、尚且つ上で述べた作品で感動しただけムルナウだけに今作はちょっとガッカリと言えた。 ブラム・ストーカーの原作を下敷きに、ヘンリック・ガレーンといったドイツ映画家たちのアレンジを組み込んだホラー映画。 名前のアレンジはモチロン、ねずみ男のような不気味な風貌(実際ねずみだらけ)、原作とは違った結末など普通の吸血鬼映画ではない。 むしろブラム・ストーカーの世界観をまともに映画化したのがトッド・ブラウニングの「ドラキュラ」辺りからだったし、それまではカール・テドア・ドライヤーの「吸血鬼」みたいにまったく別物の吸血鬼映画が量産された。 屋敷までのやり取りが40分もあるのは展開の遅さを感じた。丁寧すぎる印象を受けた。 つうか馬車のスピード早すぎバロス。 原作にある程度沿ったストーリー、ただ少し違うのがヒロインだ。 原作は伯爵がヒロインを誘惑する。 ただ今作は「かかって来い」と言わんばかりに伯爵を呼び込む。 食虫植物の授業をする教授も真っ青なくらい。 つうか教授がマジで使えねえ。杭を伯爵にねじ込むとかそんな能動的な事はまったくと言って良いほどしない。 「血は生命なり!血は生命なり!」と叫ぶ伯爵の部下はいつも通り。ハゲ具合も教授と双璧だ。 いやー次から次へとブラム・ストーカーのファンが発狂するようなシーンばっかりだね。伯爵のハゲ具合とか。 自分の棺桶を一生懸命に運ぶ伯爵が面白い。 墓場が並ぶ海岸とか、崩れそうな古屋、影、吸血鬼=ペストとなって押し寄せるという演出も不気味だ。 ラストはぶったまげた。 何せヒロインが「身をもって」伯爵を誘い込む。 己の肉体と引き換えに伯爵を消し去る・・・こういう「ドラキュラ」もアリだと思った。 コッポラの「ドラキュラ」なんかヒロインみずからドラキュラ殺りに行くんだぜ? 凄すぎてドン引きしたよ(監督を)。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-04 23:17:38)
53.  東京行進曲 《ネタバレ》 
溝口健二の初期のサイレント映画。  当時の東京の様子を上空から拝めるのは大変貴重だが、このフィルムも四分の一にまとめられたダイジェスト。 残りのフィルムは何処へやら。  溝口らしいといえばらしいが、普通の普通の作品。 たった25分だけでもそれが解る。  印象的だったのが、後ろの兜の影と男の影が重なり鬼のようになる場面。 そこに思いをよせる女の表情を重ねる。 これぐらいかな。  後はなんだかんだ言ってハッピーエンド。 船に乗り込み旅立つ・・・・てやっぱり船が出てくるのか。  溝口だな~。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-03 23:33:08)
54.  アンダルシアの犬 《ネタバレ》 
何を考えてんだかわけがわからない、でも何故か飽きないそんなブニュエルと言えば「アンダルシアの犬」。  個人的にブニュエルは「ビリディアナ」や「忘れられた人々」等メキシコ時代の傑作群で一目置く存在だ。 「よくこんな変な映画撮れるよ」と首を傾げながら拍手しちゃう監督だよ。  が、フランス時代の「アンダルシアの犬」はサルバドール・ダリ×ブニュエル・・・考えうる限り最高に意味不明な投げっぱなし映画が産まれないワケが無い。 ある意味映画を芸術(よくわからないけどとにかく凄いんだろうな)にしちゃったコンビです。 犯罪レベルで偉大な二人だ(きっと褒めてると思う)。  シュルレアリスムをテーマにした映画はジュルメール・デュラックの「貝殻と少女」を皮切りに マルセル・レルビエの「人でなしの女」、 ジャン・コクトーの「詩人の血」、 日本でも衣笠貞之助の「狂った一頁」などがある。 が、それよりも遥かに難解を極めた作品がブニュエルの「アンダルシアの犬」なのだろう。  映画は芸術?娯楽? 無論娯楽以外の何者でもない。 「映画=映像、無粋な言葉はいらない」という考えには大いに賛同する。  ただ、ストーリーを重視する俺は映画の芸術性や美しさというものは自然に生まれる存在だと思っている。 ダリやブニュエルも「自分の夢を映画にしたら面白いだろう」という発想からこの映画を作った。 だってブニュエル本人が剃刀男を演じてんだぜ? 100%本気でふざけています(褒めてる)。 ダリもそんな格好で何してんだwww  悪夢、手、乳揉みと後のブニュエル映画の要素が揃った短編。  眼球ぱっくり、 謎の手首、 虫がたかるほど臭い手、 おっぱい揉んで吐血、 謎のピアノにロバの死体、 掴んだ木の板を銃に変える謎能力、 脇ツルツルで感動、 とりあえず砂浜・・・意味不明すぎる。やりたい放題すぎだろ・・・(乳揉みも)。 凄まじい嫌悪感、病みつきになると抜け出せない魅力・・・それがルイス・ブニュエル。 「黄金時代」も酷い映画(賛辞)だったよ。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-01 20:28:24)
55.  偽牧師 《ネタバレ》 
チャールズ・チャップリン短編時代の傑作の一つ「偽牧師」。  この「偽牧師」は「黄金狂時代」の前に撮られた西部劇の要素を含んだコメディだ。  チャップリンは「移民」や「犬の生活」辺りから優しさのにじみ出る映画が増えてきたが、本作はそんなチャップリンがブラックだった頃の面影を感じさせる。  今回のチャップリンは脱獄囚。  何で捕まったのかは知らないが、お腹が空いてホットドッグでも盗んだ(「犬の生活」)か、無銭飲食(「モダン・タイムス」)か、女性関係のもつれ(私生活ノンフィクション)で豚箱に入れられたかどれかだろう。  それよか下水道から脱走しただって!? 新聞にそう書いてあった。 後の「ショーシャンクの空」である(違います)。  そんでチャップリンは牧師の服を拾って偽の牧師と化す。  しかし運の悪い事に本物の牧師と勘違いされてチャップリンは街に居座る事となる。  教会でやりたい放題自由奔放なパフォーマンスを演じるチャップリン。  聖書を見て「宣誓!」の場面は爆笑したわ(裁判についての詳細はビリー・ワイルダーの「情婦」かシドニー・ルメットの「十二人の怒れる男」辺りが解りやすいかな)。  踊って、笑って、騙してバタバタ・・・「黄金狂時代」への布石が散りばめられた44分間。  でも流石に帽子は食えなかったか。  泥棒仲間との再会でギクリ、スピーディーなスリ合い、「牧師」から「紳士」への早変わりなど見事としか言えない。  ラストが実にチャップリンらしい締めくくりだ。 ありがとう保安官。どうせなら銃撃戦の無い場所でほっぽってくれれば良いのだが・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-01 20:13:23)
56.  十誡(1923) 《ネタバレ》 
「現代篇」の部分は退屈だが、古代篇は良いと思う。確かに同時期のデミルにしてはレベルが落ちるのかも知れないが、1956年の「十戒」は自分には長すぎて退屈だった。コッチは2時間弱のコンパクトさ。ニタ・ナルディも美しい。 海や天空(現代篇)が割れるシーンは音が聞こえてきそうな迫力だ。大量のエキストラによる群衆シーン、廊下を歩く光と影のコントラストが際立ったシーン、エジプト軍の大群が一気に駆け抜けるシーンのグリフィスや後のジョン・フォードを思わせるスピード感!これぞ豪華絢爛なスペクタクル史劇。 特に海が割れるシーンは、56年版の「十戒」のレビューでも書いた事だが岩肌が露出するほどの割れっぷり。岩肌から水が滴る感じ、エジプト軍が膨大な水によって木っ端微塵に飲み込まれるシーンは圧巻だ。海のうねり具合を出すためにゼリーを徐々に溶かしながら撮影したらしい。 だが、人によっては古代から現代に切り替わる“瞬間”のインパクトの方が強烈だという人もいるだろう。 神を信じる者と信じないもの。天井が崩落する場面やモーター・ボートが暗礁に激突する瞬間の戦慄。エレベーターが登っていくシーンのカメラ・ワークも凄い。そう、単体だったら凄く良いのかも知れない。ただ、古代のスペクタクルと絡ませるとどうしても比較して見てしまうのだ。グリフィスの「イントレランス」がそうだったように。アレは物語が交互かつ、ところどころ繋がる部分があって見応えがあったけどさ。
[DVD(字幕)] 8点(2014-11-27 00:36:52)
57.  メトロポリス(1926) 《ネタバレ》 
フリッツ・ラングが当時のアメリカの摩天楼に衝撃を受け、妻のテア・フォン・ハルボウと共に熱狂しながら構想した「メトロポリス」。   公開当時は「近未来」、今ではゴシック調のSFファンタジー・サスペンスとしての面白さがある。  当時のドイツ美術の粋を結集した美しさ、自らも脚本を手掛けた「カリガリ博士」を思い出す怪しげなロートヴァングの研究所、機械工場の爆発と押し寄せる水、街に放置された車の山の不気味さ、そしてアンドロイドマリアの誘惑によって狂気の渦と化す人の恐怖。   1984年に熱狂的なファンだったジョルジオ・モロダーが尽力して本作が再び注目され、  2002年にマルティン・ケルパーが映像をデジタライズ、  2010年に行方不明だったフィルムが発見され「完全版」として蘇った。   ゴシック調の摩天楼が居並ぶ近未来的な都市。   冒頭から力強い機械の描写、労働者と富裕層が完全に分断された格差社会が拡がっている。   そう、本編の主軸は鮮烈な映像だけではない。  中世の貴族趣味に興じる富裕層、  近未来のはずの都市に「複葉機」が飛んでいる事自体、富裕層の道楽ぶりを表している。  近代的な都市を闊歩する富裕層の下で、自らの力で機械を動かす労働者たちが蠢いているのだ。   どんなに機械が発達しようと、それを作るのは人間だ。  手塚治虫が本作に影響を受けた事からも解るように、機械を創れるのは結局「人間」なのだ。  人がいなければ機械は目覚める事も無い。   当然、人間も機械ではない。  超過勤務や過重労働で肉体は疲れ、精根尽きるまで死ぬまで働かされる。  これでは「奴隷」と同じでは無いか。   だが、奴隷になりつつある労働者たちも黙ってはいない。  「頑張ればきっと神様が助けてくれる」と神を心の支えにして必死に生きているのだ。  労働者を励ます少女の「マリア」は、天使聖母マリアの如く人々の拠り所である。   様々な人物模様がメトロポリスをきしませていく。   壮麗な未来都市、  丁寧な作り込みの美術、  魅力的な登場人物、  起伏に富んだストーリーなどなど、我々を飽きさせない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-16 08:40:53)(良:2票)
58.  グリード(1924) 《ネタバレ》 
シュトロハイムが「愚なる妻」に続いて完成させた映画。  「愚なる妻」は実在の巨大カジノを再現してしまうなど美術・技術・予算をふんだんに使った贅沢な美術で魅了してくれたが、本作はデス・バレーで文字通り死者まで出した酷暑でのロケ。 冒頭は炭鉱夫の主人公マクティーグが仕事を辞める経緯を描く。「金は要らない。歯医者の弟子になればそれで食っていけるだろう」。 一見欲の無い男だが、何も知らない野暮な主人公は、一度欲望に心を蝕まれたらどうなるかも知らなかった。 トリーナこれといった美人じゃない。が、何処か肉欲を掻き立てるようなオーラがこの女にはある。 トリーナの心がマクティーグを狂わせていく。 マーカスもまたトリーナをそれほど愛していなかった。いや、友人とは言え簡単に自分の女を他人に譲っちまうような軽薄な男だ。 トリーナも金さえあれば良いという女。肉欲だけが目的の男、金だけが目的の女。  じっくり二人の男女の邂逅を描き、結婚式の場面まで実に幸せなムードで進行してさえいるのに。 金貨の輝きは女心も男心も狂わせる。金の弾ける音が聞こえてきそうだぜ。二人の間にはやがて亀裂がはしる・・・。 野暮なマクティーグの純粋さは、そのまま憎しみに変貌していく。  一方、今まで無責任に金も女も放り出したマーカス。 「女もやっちまって、せっかく当てた大金もあんな奴らにくれちまって。何で俺はこんな事してんだ?」てな具合に後悔は嫉妬、憎悪へと変わる。 この心理描写が実に怖い。   グリード(強欲)にとり憑かれた人間が如何に身を滅ぼしていくか。ラストシーンの荒野の情景は絶望的なまでに美しい。 気がついたら、もう自分には何も残っていない・・・あるのは土と汗と血にまみれた己のみ。 「どうしてこうなっちまったんだろう」。  人間の歴史は後悔の繰り返しでもある。いくら教訓を得たって、実践してくれる奴がいなけりゃ意味がない。 人間の歴史はその繰り返しだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-23 13:25:41)
59.  群衆(1928)
ニューヨークの人の群れと摩天楼をぐるりと移してくダイナミックなカメラワーク。  そこから一つのビルの窓にクローズアップし、ぎっしり並んだ会社の机の群れ。 そこで黙々と作業を続ける男たち。 「昼休み」の知らせと共に一斉に飛び出す人の群れ! 凄いシーンだ。  ストーリーは極ありふれた題材。  ひとりの男が家族を持ち、その家族と仕事の間で揺れながら暖かいドラマを展開していく。  実に地味な題材、それをダイナミックに描くヴィダーの手腕。  最後まで暖かい、無音の世界から音が聞こえてくる良いラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-22 13:25:21)
60.  荒武者キートン 《ネタバレ》 
バスター・キートンの最高傑作というと「将軍」や「セブン・チャンス」も挙がりますが、ストーリーの随所でアクションが炸裂する「荒武者」を私は推します。  単なるコメディ映画として片付けるにはもったいないほど練られたストーリーとアクション。 首が折れても撮影を続行するようなクレージーな俳優はキートンとジャッキー・チェンぐらいです。  昔から争い続ける二つの家。 同士討ちから始まるファーストシーン、時が立ち家の再興をかけて故郷に戻る主人公。 キートンというと無表情が売りですが、笑わずとも表情豊かなしぐさはとても魅力的な存在です。 犬と戯れるキートンは可愛いです。  しかし故郷に戻ってみれば爆破される家、電車で中を深めた娘も、実は父親が争っていた家の娘だった。 争う宿命にある男を愛してしまった娘・・・キートン映画はコメディである事を忘れるような設定のオンパレードです。  主人公は負けずに暗殺の危機をのらりくらりとかわして行きます。 爆走、馬、汽車泥棒、断ダイブに滝における「救出劇」! キートン渾身のアクション、今見ても思わず思わず拍手してしまうほど凄味があります。 「セブン・チャンス」の鬼神の如き爆走といい、キートンは本当に凄い人です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-22 13:24:04)
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