701. BROTHER
いかに映画と言えども、男を貫くためには命をもいとわない“兄弟”たちの捨て身の行為の描写には、やはりこの世界に対する理解を超えた 相容れないものをどうしても感じてしまう。北野作品はアメリカを舞台にしてもあくまでもマイペースで、独自のカラーはますます磨きがかかり、さらに過激だ。主人公の山本は日本での抗争の果て、ほとんど死に体でL.A.へ自らの死に場所を求めに来たような男で、勢力拡大をはかる事にもさほど熱意といったものもなく、まるでゲームでも楽しんでいるかのようだ。結局この作品はラスト・シークエンスを撮りたいが為の、実に長いイントロを見せつけているような感じさえする。 それにしても評論家や映画ファンには高い評価を得ている北野作品だが、ごく一般の観客はどのように感じているのだろうか・・・。 7点(2001-03-04 00:05:58) |
702. バーバレラ
フランスのコミックの映画化で、ヒロイン=バーバレラを主人公にしたエロティックさが前面に出た珍品とも言えるSFで、オープニング・タイトルからして既にキワドイ。スペース・オペラのパロディを意識した創り方がベースとなっているが、科学的な裏付けは皆無。盲目の鳥人と力を合わせて悪と対決したり、未来式のSEXやパイプオルガンのようなセックスマシーン、鉄の歯を持った人食い人形や鳥籠に入れて処刑する鳥刑等々、さまざまなアイデアと艶っぽい未来コスチュームがなんとも楽しい。さすがR・バディム監督だけあって、まさに成人向けの宇宙探検モノと言える。 7点(2001-03-03 22:44:18) |
703. インビジブル(2000)
近年のテクノロジーの発達、特にCGやデジタル合成によって表現される映像は、例えばかつて不可能だと言われてきた“津波”とか“洪水”といったものが「パーフェクト ストーム」等に見られるように“パーフェクト”に可能になり、もはや再現不可能な映像は皆無とさえ思える。 そこで変身モノのジャンルでとりわけ透明人間を扱った作品には、ナチュラルな描写と表現方法が多様になり、これほど強い味方はないのである。 そういう意味では本作は完璧なほどの映像化に成功していると言える。但し皆さんが指摘しているように、K・ベーコンの性格づけやストーリー展開には不満が残るし、P・バーホーベンの相変わらずのグロっぽさには辟易してしまう。 7点(2001-02-28 00:38:55) |
704. ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦
父と子、兄と弟との様々なエピソードを絡めながら、失われつつある古き良き西部の香りをS・ペキンパーが思い入れたっぷりに描いてゆく。ただ、全体的に少しセンチメンタル過ぎるきらいがあるのと、ロデオ大会のシーンでのスローモーションの多用は、まるでスポーツの記録映画のようで、本来のペキンパーの美学とは少しズレを感じてしまう。 7点(2001-02-27 23:42:14) |
705. リバー・ランズ・スルー・イット
ブラピの役を本当はレッドフォード自身がやりたかったんじゃないかな。ストーリーはほとんど憶えていないほど印象の希薄な作品でしたが、撮影の素晴らしさによって作品価値が上がったように思います。 7点(2001-02-10 00:05:55) |
706. ワーキング・ガール
私の記憶が正しければ、たしかアカデミー賞にノミネートされるほどの作品ではなかったように思います。あくまでもM・グリフィスの映画であって、ラブ・コメディなど本質的に不似合いなH・フォードが、いかにも浮いているって感じの印象しか残っていません。(男優:ハリソン・フォードが欠落しているのはイヤミなんでしょうか?>たかさん) 7点(2001-02-07 00:33:40) |
707. 007/私を愛したスパイ
R・ムーア版としてはかなり評価が高く、シリーズ中最大のヒット(?)を記録した作品でもある。(最大のヒットといっても、S・コネリーとの時代が違うので単純には比較できない)エジプト・ロケの美しさが印象に残る作品だが、大衆にウケた一番の功労者はやはり殺し屋ジョーズのユニークなキャラだろう。殺し屋というよりは不死身の暴れん坊といった感じで、恐いというよりはどこか憎めない愛すべき人物で、R・ムーアもさすがに影が薄い。テーマ曲が耳に残っている、おそらく最後の作品だろう。(海上基地は「沖縄海洋博」の施設を利用したというのは有名な話。) 7点(2001-02-06 23:56:29) |
708. イレイザー(1996)
「ターミネーター」での印象があまりにも強烈な為、それ以降どんな作品を撮っても目立たないシュワちゃんだが、もうこれは致し方が無いことで(唯一の例外は同じJ・キャメロンの超大作「トゥルー・ライズ」)、それなりに制作費を賭けているんだろうけど、内容が伴なわないアクションだけっていう作品ばかりだと飽きられてしまうのは自明の理。やっぱり「T3」まで我慢しなきゃいけないのかナ? 7点(2001-02-04 23:55:28) |
709. 警視の告白
ずっと昔に観たイタリア映画でフィクションでありながら、ローマで実際起きたマフィアによる連邦検事の暗殺事件にヒントを得たと言う、一種のノンフィクション的な側面を持ちつつ、ハードで力強いタッチで観る者を釘付けにしてしまう作品だ。特にマフィアの配下である長官に戦いを挑む、フランコ・ネロ扮する連邦検事の厳しい表情がストップモーションとなる幕切れは、今なお忘れられない。さらにこの作品で印象深いのは、今やスタンダード・ナンバーともなった「モア」のリズ・オルトラーニのメイン・テーマである。エレキ・ギターの不気味な唸りとハードでビートの効いたスコアは、極度の緊張感を醸し出している。 7点(2001-02-04 23:39:53) |
710. Avalon アヴァロン
本物の銃器や戦車やヘリ等とCGによる創造物とが渾然一体となって、ほとんどなんの違和感もない点がまず素晴らしい。モノトーンともいえる作品世界(現実の世界すらバーチャルっぽい!)の斬新な創造力がこの作品の命であり全てでもある。その意味では押井守の意図したことは成功したと言っていいだろう。今後も彼の手によってさらなる映像世界というものを期待したい。 7点(2001-02-04 18:15:52)(良:1票) |
711. 007/死ぬのは奴らだ
当初、R・ムーアの甘ったるいマスクとおどけた表情に、拒絶反応を起こしたものでした。しかしS・コネリーの重厚さに比べ、むしろ彼の軽さがこの時代に上手くマッチしたのか、新しいボンド像としてすんなり受け入れられたようです。新手のボート・チェイスが最大の(唯一の)見せ場となっていますが、むしろこの作品で有名になった、P・マッカートニー&ウイングスの“♪LIVE AND LET DIE”のビートの効いたテーマ曲が強烈な印象を残します。 7点(2001-02-04 16:05:51) |
712. シックス・デイ
シュワちゃんファンの僕としてはどうしても点数が甘くなってしまう。ストーリーなどこの際どうでもよく、いかにもお金がかかっている未来社会(いかにも実現していそうな)の描写や、CGで見事な飛翔ぶりを見せてくれる未来ヘリ。もうそれだけでいいっス。 7点(2001-01-21 17:02:24) |
713. ホワット・ライズ・ビニース
A・ヒッチコックの「サイコ」に代表されるように、洋画におけるバスルームがサスペンス&スリラーの題材(当然、エロティックな意味も含めて)となりやすいのは、日本映画と決定的に違う点だ。オカルト的な作品としては、S・キューブリックの「シャイニング」以来だろうか。で、とりわけそのバスルームでのクライマックスの緊迫感は良く出来ているが、全編「わっ!」という驚かせるようなシーンの連続には、いささか趣味が悪いと言わざるを得ない。だいたいそんな事が根本的な「怖さ!」ということにはならないでしょう?それよりもこの作品の本当にコワイのは、M・ファイファーの妖しい魅力にほかならない。ゼメキス監督の意図する狙いが良く分かり、又、彼女自身も見事に答えている。H・フォードを観にいって、M・ファイファーに唸った。そんな作品でした。(それにしても例の隣人夫婦が、後半まったくストーリーに絡んでこないのが不可解だ。) 7点(2001-01-21 16:16:42) |
714. ドレッサー
刻々と老いさらばえていくシェークスピア役者(その声量の凄さは、走り出そうとしている列車をも停車させるほど!)と、その付人がそれぞれの人生を語る。他者を寄付けぬ二人の間に醸し出される、カミソリで切りつけあっているような緊張感が作品全体を覆う。 7点(2001-01-14 18:44:41) |
715. 小さな巨人
インディアンとして育ち、白人として教育をうけ、ときにはガンファイターとなり、又、アル中になったりして、白人社会とインディアン社会を激しく往復しながら、121歳まで生き永らえた男を通してアメリカの歴史の一段面を描く。その弱虫な自分を認識して以来、徹底的にしかも卑劣に逃げ回ることに命をかけた、痛快なづっこけぶりの主人公をD・ホフマンが嬉々として演じきる。 7点(2001-01-14 18:11:52) |
716. ダンサー・イン・ザ・ダーク
現実はザラついた淡白なカラーで、主人公の夢想はクリアな画調でカラーも美しく表現されている。が、しかし夢想シーンがあからさまに“楽屋裏”を見せつけているような手法(さほど珍しくもないが・・・)は、この作品にはあまり得策ではないように思う。身につまされると言う点では、以前観た「ロゼッタ」のほうが、よほど強烈な印象として残っている。それにしても全編がカメラの手ぶれ効果とやらで気分が悪くて、映画鑑賞どころではなかったのが正直なところ。この作品にこんな落とし穴があるとは・・・。そういう意味では二度と見たくない作品ではある。 7点(2001-01-07 22:06:44) |
717. 狼の挽歌
ハリウッドでなかなか芽が出ず、フランスやイタリヤで陽の目を見たという点では、C・イーストウッドと同じ道を辿ってきたC・ブロンソンが大ブレイクした記念碑的作品。ジル・アイアランド扮する女に裏切られ、エレベーターで彼女を射殺するラストは、全編のど派手なカー・アクションと共に強烈な印象を残す。 7点(2001-01-07 21:54:18) |
718. 華麗なるギャツビー(1974)
御婦人の前では、たとえ暑くて顔に汗をかいていても、ピシっとスーツを着こなし平然としているのが、この時代の上流階級の男のダンディズムか。この作品、ストーリーなどどうでもよく、ただ次々と登場するラルフ・ローレンの華麗なるファッションに身を包んだ美しい男と女に、ただただ見とれていればいい。そんな作品です。 7点(2001-01-07 21:45:30)(良:1票) |
719. ブルースチール(1990)
銃を執拗にこのうえもなく美しく描いたサスペンス・アクション。映画はタイトルバックのマグナムのどアップから始まり、まるで愛撫するかのように無機質な音を響かせて銃弾が装填されていく。スーパーマーケットでの強盗の手から放物線を描いて落ちるショット。ラストでの犯人を射止めたあと、車のシートの上でスローモーションで何度もバウンドするシーン。肝心のストーリー以上に銃の描写が実に丹念で印象的。 7点(2000-12-17 18:58:29) |
720. カル
「氷の微笑」、「セブン」といったミステリアス・ポリス・ストーリーの王道をかなり激しく意識した作品。矛盾点や納得いかない部分があったりと、かなり粗が多い作品だが、観ている間はほとんど気にならない程、巧妙な計算で作られている。 7点(2000-12-03 23:24:57) |