61. ティアーズ・オブ・ザ・サン
多くの人の反感を買う映画ですね。こういう映画はアメリカと倫理的(又は政治的)無関心主義者の多い日本でしか受けないと思います。映画って特殊効果や役者の演技やシナリオがしっかりしていれば良いのでしょうか。ナイジェリアの(架空の)クーデター勢力が極悪非道に描かれていますが、反戦とか戦争の狂気を表現する目的ではなく、あくまでも主人公達の行動を正当化する道具に使われているに過ぎません。「アフリカってこんな感じでしょ?」といういい加減な感覚に基づいて精緻なフィクションを作って良いのでしょうか。「あめりかぐんって、こんなに正しいんだぞ」と言うために映画を使うのは勘弁して欲しいです。これでは完全にアメリカ海軍のプロパガンダ映画です。この映画の倫理的な欠落や幼稚なメッセージが気になって、迫力あるショーとして楽しむ気にはなりませんでした。1点は、作中に登場したマンドリルのあくびに贈ります。 1点(2003-12-12 22:33:42) |
62. 機動戦士ガンダムF91
これを観て「俺もいい大人なんだからガンダムから足を洗おう」と思いました。富野氏もいつまでもガンダムを見ちゃいけない、と語っているとおり、新しいガンダムは新しい世代が評価すれば良いと思います。しかし、冨野発言はファーストガンダムに亡霊の如くこだわり続けるガンダムファンが、彼の新しい発想の妨げになるのを念頭に置いているのかもしれません。だったらガンダムの冠を外して全く新しいものを作ればいいのに、とも思います。 3点(2003-12-12 11:21:31) |
63. 機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光
デラーズ・フリートの話自体は、世界観としては好きですが、ニナやコウのキャラが好きになれません。できることならファーストとZの間の歴史を基に自分で撮り直したいくらいです。さらに、OVA12巻を2時間に縮めるのは無茶がありすぎます。ガンダム辞典じゃないですが、ガンダム世界の史実を検証するための映像資料としてなら観れなくもないですけどね。 2点(2003-12-12 11:13:23) |
64. 機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート
まず、「第08MS小隊」シリーズ自体に満足できません。これだけだと4点ですが、全10話のOVAを53分に縮めるのは幾らなんでもあんまりなのでマイナス2点です。 2点(2003-12-12 11:03:28) |
65. 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
世界観としてのガンダムの評価と、作品としての評価は異なります。私の場合は、世界観としてはファーストから逆襲のシャアまでとターンAが許容範囲ですが、作品として評価できるのは、「ファーストTV版」「ファースト映画3作」「ポケットの中の戦争」だけです。(Zは次点)作品としての「逆襲のシャア」にはもはやついていけません。 3点(2003-12-12 10:55:28) |
66. 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編
《ネタバレ》 ファンの間ではこの映画を含めたファーストガンダムは不可侵ともいえる絶対的な存在です。そしてファーストガンダムを基準にして他のシリーズを「許せる」「許せない」で判断する風潮があります。例えば、Zは許せるけどZZは許せないと言った場合、「ファーストガンダムを基準して」という暗黙の了解あります。物語のほうは静かで厳かな幕開けから、サイド6、テキサスコロニー、ソロモンを経てア・バオア・クーで完結しますが、無駄がなく且つ緩急や静と動のバランスがとれており、とてもテレビ版を継ぎはぎしたとは思えません。さらに言えば、本来はア・バオア・クーではなくジオンの本拠地であるサイド3で完結する構想だったのを、テレビの低視聴率の影響で短縮した妥協の産物であるのに、この完成度は奇跡です。前2編の伏線は、アムロはじめホワイトベースクルーの成長にその効果が確認できます。特に、アムロの未熟さや軍紀を乱す子供っぽい行動を執拗に描いた効果はてきめんです。また、荒廃した地球の戦線を延々と、少々冗長に描いたことで、宇宙の開放感が強く感じられます。様々な角度からこの映画を論じることができますが、私は「アムロとシャアの果てしない喪失の物語」として論じようと思います。シャアは、生い立ちからして失うものが何もない場所からスタートしていますが、今編ではララアと自身のプライドを失って涙を流します。ララアに関しては失って初めて彼女への愛に気付いたのではないでしょうか。この喪失感からシャアは本来の宿願であるザビ家打倒とニュータイプによる世界の変革という目標軸を一旦見失いかけます。一方、アムロの喪失はシャア以上です。母との心の繋がりを失い、マチルダさんを失い、父は自分の行動が遠因となって正気を失い、運命の出会いだったララアを失い、あれほどアムロに想いを寄せていたフラウ・ボウはハヤトの元に走ります。喪失感が深まるのと対照的に、彼のニュータイプとしての能力は開花し、鬼神のようなその強さは前人未踏の領域に彼を引き上げ、そのことが孤独感をさらに深めます。ララアの「あなたには守るべきものがない」という趣旨の台詞は、深く深くアムロに突き刺さったはずです。エンディングでは、そんなシャアとアムロにせめてもの慈悲が提示されました。シャアは自分の手でキシリアを誅殺することで目的の一つを達成しました。そしてアムロは、喪失の果てに何を得たのでしょうか。 9点(2003-12-12 10:34:42)(良:3票) |
67. A.I.
スタートレックでデータ少佐のヒューマニティを扱ったテーマに比べたら浅はか過ぎる気がします。キューブリックがもうちょっと興味深い作品になるかもしれませんね。何だか冗長でまどろっこしいだけに感じました。 3点(2003-12-12 09:22:06) |
68. トゥルー・ロマンス
タランティーノが脚本ということで、「パルプ・フィクション」の興奮冷めやらぬうちにビデオで見ました。結果はガックリ。私はドンパチが嫌いです。この映画の、特に意味のない蜂の巣ドンパチを見ているだけで吐き気がします。銃を使うなら、「パルプ・フィクション」のようにお洒落に使うか、「レオン」のように必然性をともなって使わないと受けつけません。 3点(2003-12-11 05:23:56) |
69. レオン(1994)
リュック・ベッソンの才能より、ジャン・レノの魅力に圧倒されます。牛乳を飲むシーンはショーケンを連想してしまいました。面白かったですが、個人的にドンパチが嫌いなので、点数は7点どまり。 7点(2003-12-11 02:58:30) |
70. パルプ・フィクション
多くの人の映画に対する見方を変えた記念碑的な作品です。公開された年、私は大学1年生でしたが、この映画のポスターが貼ってある友人知人の部屋は数え切れないほどありました。この映画を賞賛する者はセンスがあり、良さが判らない者は大作映画やトレンディドラマに毒された俗物であるという行き過ぎた風潮さえありました。しかし、総制作費であったり、SFXの凄さであったり、豪華なキャスティングや感動的なストーリーといった紋切り型のアプローチを繰り返した当時(今もそうですが)の大作主義的映画の中にあって、「この映画こそ、俺達の映画だ」と思わせるシャープさと大胆さがあり、私も痛く感動したのは事実です。ビートルズ以前の音楽界では、金儲けの事しか頭にないレコード会社のプロデューサーが、作曲家に適当に綺麗なメロディを作らせて、毒のない歌詞をつけて、適当に歌唱力とルックスに秀でた歌手にそれを歌わせていました。「なにか違う」と納得のいかない若者も、他に選択肢がないので適当なポップソングを「これはいい歌だ」と自分に思い込ませながら聞いていました。そこにリバプール出身の薄汚い4人組が現れて、熱狂をもって迎えられたのは周知の事実です。ブームの規模は違えど全く同じ現象がこの映画をきっかけに起こり、コマーシャルベースで見捨てられがちだった個性派映画を求めて小さな映画館に若者が殺到しました。「単館系映画」というジャンルまで生まれました。(この映画が単館上映だったわけじゃないですけどね。)タランティーノが掘り起こして、ウォン・カーウァイが固めたこの流れのお陰で、良い映画を鑑賞できるチャンスが広がったのではないでしょうか。(そこまで言うなら10点つけろ、というツッコミは勘弁してくださいね。) 8点(2003-12-11 02:46:44)(良:1票) |
71. トイ・ストーリー2
代表的な「前作以上に面白かった続編」だと思います。今回はウッディを人質役に仕立てて、他のキャラを前面に押し出すというツボを抑えた演出をしています。スタートレック、小説版の「リング」「らせん」「ループ」、三島由紀夫の「豊饒の海」でも実践されているとおり、主人公を代えるのは(今作では「代える」というほどのものではないですが)、世界観を活かしつつ新鮮な視点を提供するために効果的な手法です。前作でバズのフィギアを買った私ですが、今作を見てハム(ブタの貯金箱)とスリンキー(バネ犬)も追加購入したのは言うまでもありません。ん?端役キャラのおもちゃを売るための戦略だったのか、ディズニー。。。 8点(2003-12-11 02:24:49)(笑:1票) |
72. トイ・ストーリー
宮崎アニメに遅れをとっていたディズニーが、ピクサーという強力な武器を得て、逆襲に転じたのがこの映画です。アメリカという国は、ある意味偏執的に表現に対する規制が多く、子供向けのアニメを作るディズニーは、その煽りを最もまともにくらった会社と言えるでしょう。ブランドイメージも表現的な制約も守らなければいけない難しい立場の中で、この映画ができあがったのは奇跡としか言いようがありません。人畜無害で過去の遺物的なキャラクターに頼らず、新しいヒーローを作り上げたことは意義があります。しかも、そのヒーローが元々おもちゃだという斬新な発想により、子供時代のおもちゃ遊びを懐かしむ大人の観客まで魅了しました。私もこの新しいヒーローに敬意を表してバズのフィギアを買いました。ボタンを押すとビーム(?)も出るし、「To Infinity and Beyond!」としゃべるし、良くできた代物でした。 7点(2003-12-11 02:14:33)(良:1票) |
73. 欲望の翼
何度も観るほど好きな映画で、誰よりもこの映画の良さが判っていると思っていました。しかし実際にコメントを書こうとすると語るべき言葉を持ち合わせていないことに気づいて気持ちが沈んでしまいました。音楽が素晴らしいのは間違いないですが、音楽だけの映画と割り切れるものではありません。皮肉なことに、粗を探すといっぱい出てきます。レスリー・チャンが演じる主人公は身勝手で行動が突飛なため感情移入ができないし、足のない鳥の話だって生活力のないダメ男の妄想みたいで安っぽく見えるし。ウォン・カーウァイの出世作で「どうだ、俺のセンスはすごいだろ」という独り善がりの作風に思えます。でもセンスが本当にすごいので満点。 10点(2003-12-10 22:48:22) |
74. フォレスト・ガンプ/一期一会
ベトナム戦争、ヒッピームーブメント、ウォーターゲート事件。率直な感想としては、「自分がアメリカ人だったら少しは感動するかも」です。アメリカの現代史を、純真で無垢な主人公に駆け抜けてさせて、その天使のような主人公とアメリカのイメージを重ね合わせようとしているのでしょう。サブリミナル効果の出来損ないみたいな仕掛けに辟易してしまいました。 3点(2003-12-10 22:44:37)(良:2票) |
75. Love Letter(1995)
これまでの作品(劇場長編ではない)と全く違う作風でデビューして、当時の岩井俊二はちょっと謎を秘めた期待の新人監督としてまさに時の人でした。慶応大学在学中で芥川賞を受賞したばかりの若手小説家みたいな感じですね。この作品も良いと思うのですが、それよりも「次は何を撮るんだ?」という周囲の期待を大きく膨らませました。仙台出身だし、当然私も期待しました。「PiCNiC」に続く。。。 7点(2003-12-10 07:33:42) |
76. スワロウテイル
同時代性(同世代ではなく)という言葉がありますが、ウォン・カーウァイと岩井俊二はまさに同時代の映画監督という気がして、注目して観ました。「打ち上げ花火」は良かったですがテレビの小品だし、「ラブレター」はメジャーデビュー作なので好きなことやりきったわけではないでしょうし、「PiCNiC」は短編で実験的な色合いが強いし、これが集大成と見て公開からかなり経ってから映画館に乗り込みました。前置きが長くなりましたが、結論は「岩井俊二は俺には合わん」です。ウォン・カーウァイに専念します。 5点(2003-12-10 05:41:49) |
77. PiCNiC(1994)
実験的な作品のような気がします。この映画が良かったというより、「こういうことをやる監督だったら、そのうちすごい映画を撮るんじゃないか?」と期待感を持たせる作品でした。丁度この頃香港ではウォン・カーウァイが注目を集め、「これからのアジア映画、これからの日本映画はすごいぞ」と期待一杯でした。「スワロウテイル」に続く。。。 6点(2003-12-10 05:17:30) |
78. ムーラン・ルージュ(2001)
「これ良いから観てみて」と、知人に勧められた映画というのは大抵外れるもの。ましてやミュージカル映画なんて「雨に唄えば」しか観たことないし。どうやって相手を傷つけずに感想を言おうか、観る前から気が重かったのですが、不覚にも8点献上してしまいました。これはミュージカルというよりファンタジーですね。二コール・キッドマンの完璧な美しさは言うまでもないですが、それよりも圧巻はユアン・マクレガー。本当にこの人冴えないんじゃないかと思うほど見事に冴えない男を演じ、しかもあの歌唱力。私は最後までこれは吹替えで、プロの歌手が歌っているんだと信じ込んでいました。さらに、選曲がぶっ飛んでいて良いです。特に前半に「ドサクサに紛れてこんな曲使うかよ?」というのが2、3曲ありました。Kさん、いい映画を紹介してくれてありがとうございました。 8点(2003-12-10 05:05:46)(良:1票) |
79. 恋する惑星
《ネタバレ》 テクニックとセンスとユーモアと小細工に徹底的に凝った作品です。しかも前作「欲望の翼」と違って登場人物に血が通っていてストーリーも楽しめます。大仕掛けとしては金城武主演の前編とフェイ・ウォン主演の後編を脈絡もなく接着してしまう斬新さが挙げられますが、全編に散りばめられた小さな仕掛けが見所でしょう。例えば、ぶらぶら揺れる受話器や、パイナップルの缶詰を食べ続ける金城武、何度も石鹸に語りかけるトニー・レオン。何度観ても新しい発見があるという意味では、この作品は映画史の中でも記念碑的だと思います。それとこの映画には、パイナップルの缶詰と一緒で、賞味期限があると思います。私が観たのが21歳の頃ですが、28歳の今の年齢で初めて観たらこれほど良いと思わなかったと思います。もちろん期限は精神年齢でカウントされます。 9点(2003-12-09 11:29:53) |
80. マディソン郡の橋
超ベストセラー小説の映画化、不倫ものという意味では「失楽園」とどっこいどっこいだと思いました。実は原作小説も読んだのですが、ぐっとくるものはありませんでした。40代の女性なら何か感じられるかもしれませんが、それ以外の人にはちょっと厳しい気がします。ところで主題歌はGarth BrooksのWhat She's Doing Nowで良かったんでしたっけ?かなり前に観た映画なので、記憶が定かではありません。すごくいい歌だと思うのですが、見当違いでしたら済みません。 4点(2003-12-09 08:01:19) |