61. ザ・テキサス・レンジャーズ(2019)
《ネタバレ》 年老いた2人の元テキサス・レンジャーが、殺しを続けるボニー&クライドを追う物語。しかし、本作の主題は追跡劇にはない。時代の変化に取り残されたかのような2人の男の人生を語りながら、かつて多くの人を殺してきた重荷と、犯罪者を人気者に仕立て上げる世間との乖離というジレンマに抗う姿が描かれる。ケビン・コスナーがハマり役で、彼の作品群の中では、かつて共演したクリント・イーストウッドの名作「許されざる者」のような位置づけになるのではないだろうか。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-02-23 20:41:12) |
62. THE GUILTY ギルティ(2018)
室内劇。主人公の巧さがあって、飽きることなく見れる。電話越しの事件と、主人公が抱えている問題とはなんなのかという真相が同時並行で明らかになっていく。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-11-06 22:16:44) |
63. バイス
《ネタバレ》 ディック・チェイニーの伝記映画のようでそうではない。権力をもつ者がどうのし上がるのか、そして、周囲の人間をどう利用して権力を振りかざすのかをシニカルに描く。実際の登場人物や政治背景が元になっているためシリアスになりやすいところを、コメディタッチで一気に魅せる。ブッシュ息子の大統領誕生から9.11、イラク戦争に至る背景と、当時の米国の変遷をある程度知っていないと理解しづらいところがある。オリバー・ストーンの「ブッシュ」と比べてみるのもおもしろいと思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-11-06 21:36:27) |
64. ファイティング・ダディ 怒りの除雪車
《ネタバレ》 雪の情景にフィルム・ノワールの世界を被せたような、異質なクライムドラマ。ステラン・スカルスガルドの渋さもはまっていて、楽しめた。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-01-16 22:51:47) |
65. ペイン・アンド・グローリー
《ネタバレ》 アルモドバルの感性の目覚めを描く。母親への想い、同性に対する性への目覚め、器用した俳優(だれ??)への贖罪。淡々としていながら、ドラマとしての見応えは十分あるものの、アルモドバルらしい奇をてらう表現はない。バンデラスの枯れた様相が適役。80年代以降のアルモドバル映画が好きな人は、見て損のない作品。 [映画館(字幕)] 7点(2020-09-27 23:08:40) |
66. アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
《ネタバレ》 トーニャ・ハーディングの描き方がうまい。主要登場人物への模倣インタビューや観客への語り掛けを絡ませながらの演出は、フィクションと伝記ものの微妙な立ち位置を示す。そして、この曖昧かつ大胆な語り口が、この映画のおもしろさとその裏に潜む社会的背景の闇深さを増大している。その一方、フィギュアシーンはどうやって撮影しているのかわからない程になめらかで関心させられるほど見事だった。 [映画館(字幕)] 7点(2020-02-20 22:03:52) |
67. フォードvsフェラーリ
クリスチャン・ベールの存在感がすごい。カーレースに駆ける情熱、その圧倒的なパワーがスクリーンを通して活き活きと伝わってくる。 [映画館(字幕)] 7点(2020-01-29 08:44:30) |
68. ミッション・ワイルド
《ネタバレ》 19世紀のアメリカ西部が舞台。婚期を逃して人生に迷いつつも、農業に精を出して逞しく生き抜こうとする女性と、初老のはみ出し者との交流が、ロードムービーとして描かれる。この時代、田舎の開拓地で女性が生きることの過酷さが伝わる。陰鬱とした雰囲気の中に、ヒラリー・スワンクとトミー・リー・ジョーンズの巧さが光る、味わい深い作品である。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-29 08:39:57) |
69. ロングトレイル!
ロバート・レッドフォードとニック・ノルティの駆け合いを楽しむ映画。個人的には、がらがら声の強面で、人情味を持たせた演技のできるニック・ノルティのご贔屓なのでとても楽しめました。女好きで粗野な反面、アルコールをやめようと努力する律儀さ、レッドフォードの成功と交友関係に嫉妬するお茶目なキャラクターを見事に演じたノルティに大喝采です。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-01-03 22:23:48) |
70. MERU メルー
《ネタバレ》 「運命を分けたザイル」と「イントゥ・ザ・ワイルド」を意識した作りだろうか。登山に挑む様がドキュメンタリーで語られる。登った本人が撮影して映画にしているのが本作品の凄みでもあり、ユニークな点でもある。山のどこに魅了され、なぜ登るのかが、直に伝わってくる。本人たちにしか分からない感性、山の頂点を目指す者にしか理解しえない感情が垣間見える。他者にとっては無謀だなと思う一方で、夢に挑む姿に憧れも抱く。 [インターネット(字幕)] 7点(2019-12-19 21:31:46) |
71. 最後の追跡
《ネタバレ》 日本では劇場公開のなかったのが残念な良作。生活のために銀行強盗を繰り返す兄弟と、2人を追うテキサス・レンジャー2人の攻防を追う。テキサスのさびれた情景が印象的に映されている。ラスト、クリス・パインとジェフ・ブリッジスが対峙する場面がせつない余韻を残す。 [インターネット(字幕)] 7点(2019-11-27 09:05:41) |
72. モリーズ・ゲーム
《ネタバレ》 ケガで五輪出場という目標を諦めざるをえなくなった一人の女性が主人公。実話で有名らしいけど、日本人には馴染みうすいかもしれません。持ち前の知性と負けん気を活かして、金持ち向けのポーカー会場運営でのし上がる。その栄光と挫折が、裁判に向けた弁護士とのエピソードと交互に描かれる。主演のジェシカ・チャスティンの畳みかけるようで滑らかなしゃべりが映画のテンポをよくしている。父親とのエピソードは唐突な部分もあるけども、見応えのあるよく出来た作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-05 08:18:14) |
73. アド・アストラ
《ネタバレ》 テレンス・マリック風の哲学的展開に、「ブレードランナー2049」的な重厚で冷たいSF要素が混じるものの、全体としてはB級感が漂う。不思議で独特の雰囲気があった。CGに頼らない画作りもいい。その一方で、娯楽要素を加えようとした中途半端さが足かせになり、映画の雰囲気に陶酔できない部分もある。この要素を排除できれば、「惑星ソラリス」や「ストーカー」のようなタルコフスキーの名作にも近づけた……かもしれない。 [映画館(字幕)] 7点(2019-10-04 08:47:28)(良:1票) |
74. オンリー・ザ・ブレイブ
《ネタバレ》 アメリカの森林火災を取り巻く現状が丁寧に描かれている。専門の消化隊と消化方法、そして、火災の頻度の高さに驚かされた。マイルズ・テラー演じる消化隊に入ってヤク中から立ち直ろうとする若い隊員と、ジョシュ・ブローリン演じる消化隊のリーダーが物語の中心。ジェフ・ブリッジス、ジェニファー・コネリー、テイラー・キッチュなど、まわりの俳優陣も豪華。最後は、知ってはいたけど呆然と涙。エンドロールで実年齢が流れますが、彼らがあまりに若いのでさらに驚きました。亡くなった隊員たちへの敬意も含めて、手堅い演出でした。 [DVD(字幕)] 7点(2019-07-16 09:01:36) |
75. ファントム・スレッド
《ネタバレ》 映像、衣装、演技、演出のすべてが整っている。キノコで男を操る歪んだ愛はなかなかおもしろくはあるけれど、もう少し物語に捻りや意外性があっても、というところ。完成度の高い作品を送り出すPTAだが、「マグノリア」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のような、強引さをものともしない、圧倒的な力強さのある作品をまだまだ期待してしまう。 [映画館(字幕)] 7点(2019-03-17 20:37:43) |
76. 女神の見えざる手
《ネタバレ》 強引にも感じるストーリー展開だが、ジェシカ・チャスティンの巧さにひたすら魅了されて圧倒される快作。政治絡みの内容が膨大なセリフとともに語られるが、馴れれば苦にならない。銃規制が焦点の映画かと思いきや、ロビー活動のネタになっているだけなのが、少し残念。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-03-14 08:46:29) |
77. ファースト・マン
《ネタバレ》 体感する映画。狭い窓とヘルメットにより極度に視界が制限された閉塞感が、しっかりと伝わってくる。一方で、聴覚は敏感となり、金属の軋みとエンジンの轟音によって不安感は極度に高まる。主人公のアップの多様と手ブレの烈しさは集中力を欠く部分にもつながるが、主人公の世界を体感させる意図だろう。次々と命を落としていく仲間たちの姿を背に、テスト飛行に挑み続ける過酷さとともに、家庭には素直に寄り添えない主人公の内面も描かれている。 [映画館(字幕)] 7点(2019-03-01 15:23:26) |
78. パッセンジャー(2016)
《ネタバレ》 宇宙船で一人目覚めてしまう謎と孤独ドラマから、ラブストーリーを挟んで、終盤にようやくサスペンスとなる。ストーリーの語り口は不自然でじれったい場面が多く、脚本はよくない。それでも、宇宙船の外観と内部のヴィジュアルが奇抜で美しいのと、主演2人が役に見合う息の合った演技をしているので、飽きずに楽しめた。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-12 22:06:49) |
79. カフェ・ソサエティ
《ネタバレ》 シャレと皮肉を絡めた、アレン節たっぷりの雰囲気のいい映画。前半は1930年代のハリウッドが舞台で、後半はニューヨークに移る。映画業界とギャング、ジャズに家族と恋愛、人生の起こるある一片のせつなさと可笑しさをさらっと描く。映像やセットがきれい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-23 21:44:23) |
80. ボヘミアン・ラプソディ
《ネタバレ》 前半は凡庸、後半は魅力大。この作品、ストーリーの主軸が結構ボケている。「Ray/レイ」のような一人の天才的ミュージシャンの人生を描くなら、この傑作たるお手本に倣ってもう少しフレディ・マーキュリーの生い立ちとその人生を深く語ることができただろう。しかし、その一方で「ジャージー・ボーイズ」で主体であった音楽グループとしての家族関係も盛り込んでいる。そのためか、前半は展開が駆け足すぎて、ドラマ映画としては物語を十分に語りきれず、焦点がボケている。しかし後半、フレディが自己の破滅と原点への回帰に至るシークエンスは魅入られる。この王道の展開こそ、クイーンの名曲に見事マッチして、現代に受けてヒットした要因なのであろう。ある時代の若者たちを熱狂させたクイーンが、現代に小さな鬱憤を抱いて映画館に出向いた観客がたちと融合して、2時間で経験したあれこれ全てがライブエイドのシーンに集約し、「昇華」する。これら全てのプロットに、映画としての魅力を感じざるを得ない。 [映画館(字幕)] 7点(2018-12-15 23:42:44)(良:1票) |