Menu
 > レビュワー
 > tottoko さんの口コミ一覧。4ページ目
tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
投稿日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
変更日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829
>> カレンダー表示
>> 通常表示
61.  セブン・シスターズ 《ネタバレ》 
設定の斬新なこと、展開の速さと意外性、全てにハイスコアがつく見事な脚本です。人口増(あるいは減)に悩む近未来SFという発想は出尽くした感があるのですが、題材を巧く生かしています。降りかかる危機をさばくのは、一人のような七人のようなヒロイン。まるで分身の術を使っているかのようにも見えるこの設定が、観る者に月~日までの彼女らを等しく応援する気持ちにさせ、だからこそ月曜の行動の意外なことに驚かされるのでした。 ノオミ・ラバスの卓越した演技力が無くては成立しない話でもあります。七人分の人格をきっちり演じ分け、○曜と○曜がかぶるじゃん、と一切思わせなかったのはほんとにあっぱれです。厚化粧なメイクも現実離れした未来感がありました。 これといった伏線を張っていないのもポイント。思わせぶりが無いのですんなりと話に入れるし、瞬く間に疾走しだすストーリーに乗るのは快感です。伏線を回収せずとも(そもそも張ってないので)、深まる謎を明かしてゆく筋立ての妙味。脚本家はかなりのスキルとみました。脇を固める大ベテラン、W・デフォーとG・クローズのハンパない安定感も作品をきりっと締めています。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-09-24 00:04:17)
62.  シグナル 《ネタバレ》 
わあ・・点低い。そんなにだめでした?私はこれ好きです。本国では「D・リンチ的な」との評価もあったそうですが、確かに後引く余韻とか、細部について個々人で考えてしまうあたりとか、うん似てます。 けっこう雰囲気の触れ幅が大きいんですよ中盤までは。恋人との関係に悩む若者の青春ドラマ風にスタートし、POVホラーを挿んだと思ったら近未来SFへと展開します。脈絡無くなんでもぶっ込んで来た脚本だなあと途中までは思っていたのですが、最後にはちゃんとそれぞれが意味のある場面だったのねと納得がゆきます。冒頭のクレーンゲームのシーンなどはその示唆するところといったら、もう。なんせ「リンチ的」なので、二度目以降の観賞の方が趣深く観られます。 ここからネタばれというか、個人的な見解が入るんですが。再会したジャドの分析ってすごく惜しいとこまで行ってたのですよね。エリア51、しかしそれは同名の地球上の地名ではなかった。幻影にくるまれたその偽世界は壮大な実験場。「宇宙のテクノロジーと人間の精神の融合」に失敗した被検体(バグったおばさん等)はおしゃかにされてしまいます。そろそろ知性の高い人間で実験したくなったんでしょうね。でMITを標的にした、と。フィッシュバーンら施設の者たちが防護スーツをすっぽり頭から着用しているのにも、防護とは別の理由があったのだ。放射能が怖いわけじゃなかったのか・・。 秘密が明かされるそのスピードが、文字通りぐんぐん速度を増してゆく。ラスト5分のカタルシスには久々にシビれました。痺れたといえば、理工系男子の放った魂の肉弾戦には胸が熱くなりましたよ。ジャド生きててほしいなあ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-09-15 23:57:19)
63.  幸せなひとりぼっち
高齢化社会に突き進むわが国も他人事ではない「年寄りを地域でどう扱うか」というテーマに、福祉先進国がひとつのありかたを示してくれました。 老人が孤独にならないよう、引きこもりにならないようにしよう、というのが大方の福祉目線でしょうが主人公のじいさんはそんなの大きなお世話とばかりに偏屈でがみがみ怒り、あまつさえこの世から去ろうとする。そんなじいさんの壁をばりばり突き破って生活に引っ張り出す隣人のイラン人奥さんがとてもよろしい。とりたてて美人でも若くもなく、二人の子を抱えて裏表無くはっきり物を言う。福祉先進国であるスウェーデンにおいて、引っ込みがちの老人と関わるのが移民であるという描写が現代を反映しているなあ、と思う。 日本人は世界一空気を読む民族だから、こんな風にずかずか他人のエリアに入っていかないよなあ。となるとこの映画を参考にしようとしたら、やはり文化の違う国の人に頼らねばならないのかしら。 まあ福祉云々と難しく考える以前に、人間の生活ドラマとして面白いです。じいさんの若い頃からの変人エピソードや亡き妻の思い出、地域住民らの人柄も丁寧に描かれて共感ポイントが高いです。ボルボでもサーブでもどっちでも良いじゃないすか、と笑った。これはプライドの問題なのね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-09-01 00:13:50)
64.  人生タクシー 《ネタバレ》 
いや、いいですねえ。イランは80年代にパーレビ元国王妃の援助で良質の映画作品をたくさん作れるようになったと、キアロスタミ監督がインタビューで語っていましたけど、その血脈が受け継がれているような本作は寡黙だけど雄弁な一本です。 イラン社会の今を切り取って見せるため、たくさんの市民の声を拾うべく監督が出したアイデアが自らタクシー運転手になるというもの。これが低予算で目的達成大成功なのでした。 泥棒横行、死刑は多いし女性の権利もとても低い。映画の上映には厳しい規制があったりと表現の自由も制約されているようで。でも登場するイラン市民が明るくタフなので、暗さ、辛さを観る者に押し付けることがないのです。 監督の姪っ子はキュートで口が達者。スカーフを被っていたって、自分の意見はハッキリずけずけ表明しちゃうのだ。金魚鉢おばさん二人の、大阪オバチャンも真っ青の厚かましさには笑ってしまう。口悪いし。金魚も絶対大丈夫だな。イランの生き物だもんな。 ラストはまさかのカメラ泥棒。いやちょっと。油断も隙もないったら。困ったもんだ。だけど見終わったら愛すべき人たちの国だなあ、とつくづく精神的な近さを感じるのはなぜだろう。イラン映画はいつでもそんな作用があります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-07-08 19:01:02)(良:1票)
65.  ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
ハリーポッターのスピンオフ的なイメージを抱いてましたが、新作としてとても楽しかったです。 魔法世界を描くCG技術には今さら驚嘆すべきものはないけれど、舞台となる1920年代のニューヨークは落ち着いた色彩で纏められており、この雰囲気がまず良かった。 主人公と逃げた魔法動物の追いかけっこを本筋として、街で連続する不可解かつ物騒な事件を横糸に絡ませたストーリーはきちんと謎解きになっていて面白く出来ていると思います。もっとも、真相から目を逸らせるミスリードのプロットはハリーポッターシリーズと同じじゃん、という指摘もありましょうが。 そしてこの映画の一番の功労者はエディ・レッド・メインでしょうな。彼が与えたニュートの造形すなわち動物オタクの優男キャラは100%完璧で、彼以外の配役はもはや考えられない。ハリポタシリーズ後半ではおじさんぽくなってしまって高校生に見えづらかったダニエル・ラドクリフよりも物語の主人公への理解度が高いと思われます。 エディの繊細なことと、魔法動物の奇想天外なことに心掴まれたワタシはそういえばかつてポッタリアンだったのでした。魔法の世界観にノレるタイプには楽しみなシリーズができました。ニフラーにプラス1点。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-07-04 17:10:22)
66.  レヴェナント 蘇えりし者 《ネタバレ》 
人が神の存在を思うときってどんな時だろう。この映画を観て思った。自然が文明を圧倒している場に一人ぽん、と放り出されたら、生死の際にあったら。生きることは神との対話に他ならないだろう。19世紀初頭、人間が自然を克服しきれていない時代では生き死には創造主の意志次第という考え方は人間皆の根底にあったのかも。無神論者のフィッツジェラルドの父親でさえ、飢えの極限で食料となるリスに神を見たのだ。 「自然」、アメリカ北西部の晩秋の森、山河の厳しいことったら。葉が落ちているので木々の間はすかすかで、その空間からのぞく空の青の薄いこと。差す日の光もはかなく白っぽく、でもそれすら恩寵に感じる。生きるために死んだ獣の骨から髄液をすすり、絶命したての馬から内臓を抜き取って身体を収め、吹雪をしのぐ。 生と死がせめぎあう凄まじさを演出した北米の原始のままのようなロケーションが圧倒的。雄大で美しく、気が遠くなるくらいの孤独をもはらんで容赦ない。 先住民は常に生活を神に委ねている。劇中何度もグラスの妻の祈りが繰り返されるように。グラスもついに最後には「復讐は神の手に」任せた。 違う時代と国に生きるワタシにすら神の存在を考えせしめたこの映画の映像の力には感服した。撮影班はまったくオスカーにふさわしい。ディカプリオには「大変よく頑張りました」賞でいいと思うが。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-06-06 18:51:37)
67.  雨の日は会えない、晴れた日は君を想う 《ネタバレ》 
人の心ってのは難しい。いやわかりますデイヴィスの気持ちはなんとなく。おそらく彼はずーっと抱き続けてきたのでしょう違和感を。結婚生活に対して、そしてあてがわれた仕事に対して。だって彼は生来「正直が売り」(知人談)の人なのだから。 やり過ごしてきた日常が突然破壊され、どこに自分の心を置いていいのか分からなくなる。だから彼はいったん解体する。モノを。突き詰めれば自分の心を。もう一度構築するために。 なんて感覚の鋭敏な人だろう。彼は義父母のように「普通に」妻を追悼することができない。だって彼らのやってることは欺瞞だもの。義父母の娘は彼らが思いたいほど清廉ではなく、事実デイヴィスへの裏切り行為が最悪の形で発覚するし、ついでに義父の選んだ「人格品行方正な」奨学生は初対面のナオミ・ワッツに手を出す最低野郎だというシマツ。ああなにもかもが嘘っぱち。 だからデイヴィスは壊すのだね。ぺかぺかの居間を、豪勢だけど空疎な家を。 心バランスを失って「変人」すれすれの行動に及ぶ主人公はジェイク・ギレンホール。彼はこういう役をやらせると天才的に上手い。 デイヴィスと心が共鳴し合う15歳のナオミの息子を配したのは心憎い脚本でありました。映像もキレイです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-05-30 17:35:00)
68.  沈黙 ーサイレンスー(2016)
原作未読なのですが、ああこれはむごい場面に耐えなきゃならない映画だろうなあとの予想通り、迫害される切支丹たちの姿がてんこ盛りの中盤までの長いこと。つらい。 空気ががらりと変わってくるのは中盤以降。イッセー尾形演じるイノウエ様の意外や滋味溢れる人格や、役人のくせに私情をだだ漏れさせる浅野忠信の人間味が観る者にじわじわと来ます。そして真打ちリーアム・ニーソン登場への展開はまさに一気呵成、流れるような脚本力でした。 私が瞠目したのは日本人の生来の信仰概念を西洋人のそれと比較し、違いを指摘してみせたフェレイラ神父の分析力です。信仰という一筋縄では解析できない難解な心のありようを説明する、その言葉に説得力を持たせるには苦悩が知的に顔に刻まれた役者L.ニーソンでなくてはならなかった。ほんとそう思いました。着物も似合ってましたし。 そして特筆すべきことに、外国人監督による日本舞台の作品でありながら本作は目に違和感を覚えることが一切ありませんでした。西洋人のフィルターを通したばかりに細かいところで突っ込みを入れたくなる作品がごまんと存在しますが、スコセッシ監督は井上の屋敷においても上座を一段高く上げて床の間の壁を真っ赤にしつらえ、でかい甲冑を置くなどというミステイクはしませんでした。百姓らの着衣、町人の風俗、小物、街並。とりあえず私の日本史認識レベルでは「これはどこの国だ」というストレスを感じず観賞することができたのは、大変ありがたいことでした。 音楽を排し、せみの声や波音だけを耳に残すことで静寂を感じさせる。日本の情感を丁寧に表現した監督に敬意を表します。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-03-30 12:37:31)(良:1票)
69.  ザ・ギフト 《ネタバレ》 
銃声も響かないのに、この見事なサスペンスぶり。人間関係にもやもやたちこめる緊張感。疑念に次ぐ疑念で、観る者の判断を揺さぶる、J・エドガートンの手腕はとても高いと見ました。なにしろ108分間、頭の中は「えっ」「はっ?」「ええーそういうこと?」で一杯になりましたから。 起承転結がお手本のようにキレイにきまってます。 (ネタばれします) 起 若夫婦が新居に越してくる。夫の昔なじみに会う 承 昔なじみ、正体不明の不気味さをかもす 転 ”どうかしてる”のはゴードでなく、サイモンでは?という怒涛の展開 結 父親は誰なのか。皆さんの御想像におまかせ さて、こちらにボールを投げられて、後味はまったくもやーっとしたお話なのですが。各キャラそれぞれにちょっとづつ誰でも身に覚えがありそうな怖さをはらみます。高校時代にサイモンだった人、ゴードだった人、あるいは取り巻きだった、または傍観者だった人。感想はそれぞれ違ってくるのでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-06-23 23:36:53)
70.  ロングトレイル!
ああー、しみじみと良い気持ちになりました。年をとっても魅力的なレッドフォードとN・ノルティ、それぞれのキャライメージをそのまんま老境の地に持ち込んでの展開は説得力ありまくり。優等生とやんちゃ坊主の無謀な冒険。 舞台となるアパラチアン・トレイルが生命の息吹みなぎる森でして、枯れた二人とのバランスが意外と良いのでした。旅の途中で出会う人々も強烈な個性だったり。そんなアクの強い出会いをさらりとやり過ごす術は老練そのもの。多くは語られない二人の過去も、もはや蒸し返してどうこう、という境地ではないのでしょうな。ちょっとわだかまって、でも水に流す。この二人の演技がね、実に良いんです。自然で笑えて。老体に鞭打って歩き続ける二人、緑美しい大自然。素敵です。”老境になっていろいろやってみる”作品はいっぱいありますけど、ベガスで騒いだり世界一周したりするより、この映画の方が好きです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-06-18 23:35:06)
71.  ブルックリン 《ネタバレ》 
これから社会に巣立ってゆく女の子たちにぜひ観て欲しい一本。ヒロインと笑い涙し、勇気を共に振り絞る経験ができるでしょう。 美少女だったS・ローナンはすっかり大人になりました。アイルランド出の野暮ったさをすっぴん顔で上手く表現できている前半と、垢抜けてゆく中盤以降の変身ぶりも印象的です。 都会に出たての心細さや、虚勢張りやホームシック、それをサポートする周囲との関わりといった彼女の生活が丁寧に描かれ、エピソードの一つ一つが胸に溜まります。船で出会った赤い服のアドバイザーや寮の先輩達、職場の主任、皆気の良い性質なのだった。初めはコワイけれど。 そして、場が急転換する第二部帰郷編。これがもう、胸がざわつく大変なことになるんだ。ええー、どうする?とワタシが苦悩しちゃったよ。なにしろ旅立つ前と状況が違いすぎる。一会社の事務を任せてもらえるし、以前は相手にもされなかった上層ランクの男子と親密になるにつれ、周囲まで期待を寄せてくる。なんと運命はズルイのか。故郷ってこんな風に絡め取ってくるものなのか。 彼女は決断します。エイリシュ、ああ、もちろんそれしかないよね。だってNYのそこは貴女が自ら切り開いた居場所なのだから。姉の後釜となって故郷に残るより、ずっとローズも喜んでくれると思う。
[DVD(字幕)] 8点(2018-01-22 00:11:20)(良:1票)
72.  キングスマン: ゴールデン・サークル 《ネタバレ》 
キングスマン、大好きです。楽しみにしながら映画館に出向いて、楽しかったー、と帰ることができました。今作もキレキレの音楽と、趣向を凝らしたブリティッシュな武器の数々にはうっとりしました。 ただ、やっぱり続編は風呂敷を広げがち。舞台は広範囲、人も格段に増えました。私は”英国風”センスが好みなので、アメリカ側にやたらと人物が出てくるのはちょっとうるさかった。チャニング・テイタムなんて、わりとすぐ冷凍になっちゃうしと思ったら、ウイスキーなんて代わりの駒が出てくる。んん?テイタム一人で押しても良かったんじゃないかい? 再会できると思ってなかったハリー、まあその無茶蘇生ぶりは置いとくとして、やっぱり嬉しいし、ジュリアン・ムーアも超絶怪演。死に際もコワイ。エルトン・ジョンの仕事っぷりには脱帽だ。どこまでが素なのやら、すごいおっさんだ。笑わしてもらったー。 主人公とその彼女のキャスティングが、個人的にぴったりこないのが前作からの難点なのですが、なんたって脇が磐石ですから。コリン・ファースにマーク・ストロング、お二方の英国紳士なスーツ姿が美麗なことに変わりなく、脚本の疾走感(と悪趣味センス)も衰えてはおりません。
[映画館(字幕)] 8点(2018-01-12 00:39:08)(良:1票)
73.  ナイトクローラー 《ネタバレ》 
TVにおいては映像こそが力。より臨場感を伴って、刺激的であればあるほど価値が上がる。一応「視聴はご自身の判断で」とか言って流す責任は取らないのもヤラシイ。こんなTV局のディレクターらも相当イっちゃってるんだけども、怪物ギレンホールに比べりゃまだまだ。目ばかりギョロギョロ大きくて薄っぺらな笑みをふりまき、御宣託めいた理屈をまくしたてる。ジャンクワードをつなげてるだけなんだけどな。 こいつの冷やっとする人間性の欠落した感、もうギレンホールが凄い。事故に遭った同業者をカメラに収める時の、その何の情も無い顔、暗い目。悪魔かと思う。この場面、担架で運ばれる負傷者の目線で描かれているので殊更ルイスの非情さを感じる。 一人でTVを見て笑い、繕い物も一人でやる。いつも一人。相棒を募っても本物の仲間になんかなれっこない。こいつは他者に与える情なんか持ち合わせていないから。警官が人間らしい怒りを向けても、女性ディレクターが特ダネに感謝を寄せても、いつもニヤニヤして一人でぬるん、としている。あー気分悪い。ナイトクローラーとは良く言えている。闇に徘徊する暗い生き物、できれば人生で出会いたくないものだ。だけど私も「刺激的な」画を求める視聴者の一人。ルイスばかりを悪く言う資格はない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-10-18 00:02:56)(良:1票)
74.  サード・パーソン 《ネタバレ》 
「三つの都市での三者三様の恋愛模様」だかっていうピンボケの内容紹介のせいで、全く先入観無しで観たのだけど、ラスト5分で唸ってしまった。そこに至るまでオチが読めず、だからこそとてもすっきりした。 変だったもんなあ。NYのミラ・クニスがちょくちょくパリに現われるし、ローマでは初対面のロマの女に全財産注ぎ込む男が不可解。女の8歳の娘も姿を見せないし、出来事全容の歯切れが悪いのだ。 NYとローマの側が「何か変」なのは、架空の話だから。実在するのはニーソンとオリヴィアとキムのフィールドだけ。NYの愚かな母ミラはニーソンの映し鏡。”重過失”でわが子を失った小説家が自らを投影したキャラクター。翻ってローマ編、他人の娘を救いたいと必死になるビジネスマンもまた、小説家の願望の現われなのだろう。こちらはぼんやりとハッピーエンドぽくフェイドアウトした。 観直すと、ちゃんと伏線がたくさん張られている。キムの台詞「あなたは小説の人物にしか感情理解できない」「この会話もどうせ書くんでしょ」とか、編集者の「(エレインが)よく立ち直ったね。強い人だ」とか。分かって観るとおお、と思うが初見で気付くのはかなり難しいと思う。タイトルの「三人称」の意味するところも、気付いた人って凄いな。 ラストの愛人の驚愕顔と小説家が「自らについた嘘」、これらはまだ私にとっては宿題中。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-06-26 00:27:32)
75.  セッション 《ネタバレ》 
フレッチャーは果たして「師」なのか。終盤の、運命のあの一瞬まで私の心は揺れ動きつつも肯定的だった。何につけ、”芸事”や”技”を磨くフィールドではスパルタはつきものだ。「ガラスの仮面」もそうだったし。 時間を嘘ついたり、気さくに聞き出した家族事情を恫喝のネタに使ったり、性格は極めて悪いとは思ったが。しかし、ラストの騙し討ちは次元の違う話だ。人として屈辱を与え、演奏家として再起不能なダメージを与えた。「師」とは”育てる”者のことをいうのだ。フレッチャーは悪魔だった。音楽に魅入られた人非人。かつての教え子は命を絶ったではないか。事故じゃないオメーのせいだよ。しかしニーマンは死んでしまうタマではなかった。そもそも唯我独尊、親戚に喧嘩を売り、自己中全開で彼女を捨てる。見た目が田舎出の野暮ったい青年なので、さしものデビルフレッチャーも見誤ったろう。 ストーリーのテンションは冒頭からラストまで常に高く張り詰めており、ワタシのような小心者は心臓がばくばくしっぱなしだ。 悪魔と狂気がぶつかり合うラスト9分、発せられる熱量はただごとではなく息苦しい。個人的には相討ちと思う。「フルメタル・ジャケット」の、教官が落ちこぼれに弾丸を放たれた手洗い場のシーンがだぶった。
[DVD(字幕)] 8点(2017-06-20 23:55:40)
76.  偽りなき者 《ネタバレ》 
恐ろしくて恐ろしくて身の置き所無く感じられる辛い2時間だった。 以下は鑑賞中の気持ちの推移。 ・・あ?何言ってんのこの子。しかもこの園長やばい。専門家もやばい。園長、話聞きなさいよ。子どもは嘘つかないだ?つくわ。どうしよう立証できる術がないじゃないか。ちょっと、息子に暴力ふるうのやめなさいよどこが友人だ(怒)。なんだこの肉屋訴えてやるこんなとこで金輪際買い物しない(激怒)うわああ犬が。酷すぎる。なんなんだお前たちはあっ。 と、取り乱すワタシよりミケルセンはよほど冷静で、ぎりぎりの精神状態で理性的に良く耐えた。あの女児に怒りをぶつけることもしなかった。実に成熟した大人ぶりを憔悴した表情とともに見事に演じている。 人の世の恐ろしさを見せ付けられて気が休まらなかった。しかし、もしも自分がこの女児の親だったらルーカスを100%信じられるだろうかと考えると暗澹となった。・・さてどうしたら良いのだろう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-05-09 17:48:19)(良:4票)
77.  誰よりも狙われた男 《ネタバレ》 
フィリップ・シーモア・ホフマンは当代最高峰の役者の一人だと思っている。彼の遺作となった本作を、多大な喪失感を抱きながら観賞した。 ル・カレ原作らしい重たさと切実な空気の中、ホフマンは身体つきそのままに、どっしりと緩慢に動く。ストレスや苦悩をぜい肉として纏っているかのようだ。部下に指示を出す時の動作や電話を取るしぐさ、おっさんジョークを飛ばす時の表情。バッハマンという一人の人間が完璧に造形されていて、もう私は目が釘付けになった。 「個人」を救いたい女弁護士と、全体像を見据えて国および地域の安全を担保したいバッハマンとは利害が必ずしも一致しない。彼女をアメと鞭で懐柔する時のプロの凄み。そしてプロ同士、すなわちCIAとの一騎打ちも冷ややかに尖っていて見ごたえがある。 物語は「大樹」であるところのCIAにバッハマンは鼻を明かされて終わる。「組織」の非情さと人間への不信感で言葉も出ないラストであった。ここのホフマンの仕事は誰ができるだろう。憤怒に身体を貫かれたようなその後姿。ああ彼がCIAらに一矢報いるような続編が見たいと心から思う。もう叶わない。とても悲しい。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-11-28 18:07:59)(良:1票)
78.  あしたのパスタはアルデンテ 《ネタバレ》 
市井の人々の人生を見守る視線の温かい、イタリア映画の真骨頂。喜劇なので身構えなくても大丈夫。 まあなんと全員キャラの立っていることか。人数はけっこうたくさん出てくるけど、まず見間違えることも忘れることもないアクの強さである。工場経営主の跡取り長男が投下した爆弾発言に卒倒するほど取り乱す父親。しかし実はそれ以上に出し抜かれたショックの強い次男坊、とオモテと裏の問題二本立ての創業家。お家騒動は笑って観ていられますね他人だから。 お父さんはやりすぎなほどコミカル。遊びに来たゲイの友人ご一同のくだりは抱腹絶倒。筋肉隆々のメンズ5名と女の子1人がビーチで戯れる。しかし彼女は絶対的に「安全」でありまして、なんだこの珍しいシチュエーション。 あはは、と笑って観ているさなかに、時折ちょっぴりほろ苦い感情も挟まります。彼女が共同経営者の次男に寄せる決して叶わない想いであるとか、ほんとの恋を諦めたお婆ちゃんの昔のエピソードとか。このあたりは人間観察力の優れたイタリア映画ならでは。 過去から現実へと時間がキレイにスライドするラストシーンは見事でした。 タフでめげない、愛のある人たちから元気がもらえる映画です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-11-13 00:30:28)(良:1票)
79.  博士と彼女のセオリー 《ネタバレ》 
かのスティーブン・ホーキング博士と妻であったジェーンとの結婚生活とその終わり。言ってしまえば他者の私生活だけれど、存命中の博士や関係者らにもきちんと配慮した、品のある筆致で描かれていると思います。 博士とジェーン、二人とも共感しやすく好感の持てる人柄として描写されており、ゆえにジェーンの心の揺れに、こちらも一緒に苦悩するのでした。 病を得てもいなくても、人の心とは測れないもの。 言葉では言い尽くせない思いを数年にわたって抱えながら、二人が誠実に精一杯生きてきたことが伝わる良い映画でした。 エディ・レッドメインはそりゃあオスカー獲りますよもちろん。顔立ちがもともと似ているのも手伝って、博士ご本人そのものに見える。限られた顔の筋肉の動きで出す表情も見事で、これは役者が放つ、一世一代の渾身の演技でありましょう。彼の瞳は雄弁で、ジェーンとの別れを意味するシーンでの彼の表情を思い出すと、今また泣けてきます。
[DVD(字幕)] 8点(2016-09-25 23:53:53)
80.  ルーム 《ネタバレ》 
子を思う母と、母を思う子の互いの愛の形が、異常な環境下に置かれていても尚 普遍的で美しくてもう、館内で滂沱の涙に溺れそうになった。狂った状況下でも子供の魂を傷つけまいと作り話で日々をしのぐ若い母親。ブリー・ラーソンがどこにでもいる”普通の”容貌であることで、観客にとっても気持ちが入りやすいのではと思った。 元の日常に戻ってからの困難についての描写が監禁時より長く割かれており、彼女らの人生の現実にしっかり踏み込んだ。戻ってみれば母は17才のままで、でも失った時間は想像よりはるかに重くのしかかる。そりゃ甘えられる存在がそばにいれば、子供帰りもするよなあ。彼女もその母も本当に可哀想だったけど、だけど以前と確実に違うのは息子の存在である。この子がいることで皆の心が救われる。愛の塊である幼い存在、無垢というのはなんと尊いのだろう。髪を切って母に送るその姿にまた号泣し、エラい顔になって映画館を後にすることになった。 祖母とそのパートナーが理想的な存在として描かれたのも良かった。W・H・メイシー演じる祖父もあれはあれでまたリアルなのかもしれないな。 子役が凄まじい演技をしています。台本があるのだよ、とはちょっと信じられないほど。圧倒的にこの子が凄かったのでプラス1点で。
[映画館(字幕)] 8点(2016-06-02 00:52:23)(良:1票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS