81. 木村家の人びと
わりと、、、というか、かなり面白かったよ。当時、キネマ旬報で評価されていて観た記憶がある。滝田洋二郎監督もこの映画が実質的な出世作<前作よりも>だったんじゃないかな。確かに小品だけど、デフォルメーションされた設定、特に人物描写は笑えたし、「木村家の人々」が近所を巻き込んで<ドタバタ>「小銭集め」する姿に純粋な息子くんだけが恥ずかしさと心苦しさを覚え、それが家族問題に発展する、なんて展開はある意味で感動的だ。息子くんにとって、木村家の伯父さん<柄本明だったか>や聖書の言葉が、守銭奴「木村家」とは対照的な存在として登場するけど、あっさり舞台から退場してしまうのも時代を象徴しているようで印象深い。 9点(2003-10-12 18:00:36) |
82. ジョーズ3
僕も3Dという宣伝文句に誘われて映画館で観ましたよ。もう20年前か~。ジョーズが迫ってくるとこは結構ビビったような記憶が。。。ビデオやDVDは3Dじゃないんだろうなぁ。そりぁ面白くないかもね。 2点(2003-10-12 15:21:40)(良:1票) |
83. 眺めのいい部屋
少女に芽生えた自意識の行方は幸せな結末でした。ヘレナに比べて、ジュリアンサンズとダニエルデイルイスがなんかアホみたいだったけど、これも歴史物と見れば、ヘレナの恋愛譚にもなんとなく納得してしまいました。 8点(2003-10-09 23:49:57) |
84. ミラグロ/奇跡の地
無名の役者ばっかりで、こんなにいい映画がつくれるんだからたいしたもんだ。「普通の人々」とは全く違った味わいで、最初はちょっとどうかなって思ったけど、見終わった後の爽快感はなかなかでした。レッドフォード、やっぱり只者ではないな。 9点(2003-10-09 23:46:22) |
85. モナリザ
名作「クライングゲーム」に先駆けるニールジョーダン作品。しがない男につきまとうしょぼくれた青春の影。オトナの恋愛に見せながら、これはあくまで壮年的青春映画です。画面に漂う戸惑いと憂鬱の雰囲気はこの監督独特のものでしょう。 8点(2003-10-09 23:40:34)(良:1票) |
86. ワンダとダイヤと優しい奴ら
おもろい映画。ギャグのセンスが最高にいいと思うのと同時にかなりバカな奴らです。 8点(2003-10-05 00:05:05) |
87. 誘拐報道
ラストシーンは泣けましたね。ああこられては、もう無条件でしょう。。。子役の高橋かおりちゃんもいつのまにかオトナになりました。 8点(2003-09-27 12:27:10) |
88. 狼男アメリカン
あの変身シーンは話題になりましたね。よく物真似もされました。公開からしばらくしてから、何回かテレビの洋画劇場で観ましたが、結構面白かったですよ。僕は今30代半ばだけど、この映画は僕にとってすご~く懐かしい~って感じがします。というのも、この映画の題名を目にしたのが20年ぶりぐらいだからでしょうか。。。確かにビデオ屋では見たことないなぁ。あれだけ話題になった映画もこうして忘れさられていくのかな。「ハウリング」や「キャットピープル」もしかり。 8点(2003-09-27 12:16:54) |
89. なまいきシャルロット
シャルロットは確かにブータレているけど、これがなかなかいい味を出してるのだ。少女から大人へ。まだ13歳の彼女の瑞々しい魅力がとっても伝わってきて、切なくも爽やかな印象を残します。個人的には、さらにオトナになったシャルロットが堕ちるところまで堕ちてしまう「小さな泥棒」も好きですが。こっちはさらに痛々しい。 8点(2003-09-21 16:39:46) |
90. 遥かなる山の呼び声
《ネタバレ》 『幸福の黄色いハンカチ』へ繋がる前章という位置づけもできるが、倍賞千恵子を中心として見れば、民子3部作の最終章であり、『家族』から10年目の続編という見方が妥当だろう。 この物語は、民子の物語である。 民子(倍賞千恵子)と武志(吉岡秀隆)親子の元に現れる一人の男。高倉健。彼は、70年代を貫く山田洋次作品の中のゲストであり、主役はあくまで民子である。民子は、これまで家族の中の妻と母という立場であり、女ではなかった。今回、『遥かなる山の呼び声』で、高倉健という適役を得て、彼女は初めて女になった。この物語はそういう物語としてある。そこにこそ心動かされる。 高倉健は当時、40代後半。個人的には、この頃(70年代後半から80年代前半)の作品が高倉健の最も「健さん」らしい味わいに溢れていると思う。傑作も多い。男も惚れる。子供も女も皆健さんに惚れてしまう。本作でも寡黙だが実直、男気に溢れ、喧嘩も強い。逃亡犯という陰を持つが頼れる男、「健さん」がそこにいる。 高倉健が別れを告げた夜、「どこにも行かないで、私寂しい」と彼にすがりつく民子。そのシーンの切実さを想うと涙が出る。そして、別れの朝のシーン。列車内でのハナ肇とハンカチ。僕らは2度の号泣を覚悟しなければならない。この映画は山田洋次監督の70年代の作品群の最後に結実した大きな結晶のような作品である。『家族』から始まった民子の受難はここでもまた続くことになるけれど、それは愛という結晶を得ることによって、希望へと結実したのである。 とにかく素晴らしい映画。何度でも繰り返し観られる。実際、昔はテレビで何度も観た。今はDVDで何度も観る。北海道の大自然、時に厳しい自然の姿があり、それを含めた美しさに圧倒される。 本作は、山田洋次作品の金字塔であり、日本映画、不朽の名作である。 [DVD(邦画)] 10点(2003-09-08 00:34:46)(良:2票) |
91. グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版
とても好きな映画。僕が観たのは「グレートブルー」(THE BIG BLUE)でしたが。映像と音楽がとにかく素晴らしいですね。シチリアの白い大地と青い海、青い空のコントラスト。まるで海が奏でたような、静謐でいて躍動感溢れる音楽。ジャックのライバルであり、友人でもあるエンゾのキャラクター造形も何ともいえない味があります。ジャックにとって海とは、父親を奪った悪魔でありながら、常に自らを優しく包み込み、安らかな一体感を誘う大いなる(母なる)存在であったのではないか。その海がまたしても友人であるエンゾを奪った時。。。彼は悩みながらも、最期は海に誘われるがまま、海と同化することを選びます。そこに本当の答えがあると信じ。。。彼の中では自分こそ人の命を奪う海であり、悪魔だと思ったのかもしれませんね。彼にとっては避けられない結末だったのでしょう。彼はジョアンナという素敵な女性に恋をし、普通の生活を始めようとした矢先でもありました。簡単に言ってしまえば、男のロマンということになるのかな?? 大いなるものに導かれ、己の信じる運命に抗えず、自分の本当を確かめる為に、あなたを振り切って出ていこうとする彼氏に対して、ジョアンナのように「Go and see my love.」と言って送り出すことができるだろうか? どうでしょう、女性の皆さん。まぁ現代の普通の男性にとって、可愛い彼女と子供以上に大切なものなんてないだろうけど。 10点(2003-09-07 18:11:09) |
92. ブレードランナー
文句なし。いまさら言うことなし。原作をある意味で超えている。大傑作。 10点(2003-09-07 00:25:11) |
93. 偶然の旅行者
《ネタバレ》 とても面白いと思います。この作品の主人公は、息子の死や妻との離別によって生きる意味を見失いながら、もう一度人を愛する気持ちを取り戻すことで、生きてゆく活路を見出していきます。「自分を愛するように人を愛することはできない」と言ったのは、かのドストエフスキーさんですが、それは、ある意味で恋愛に対するナイーブさの顕れ。この映画のように恋の妖精はそう簡単に向こうから現れないもの。心のままに生きるといっても、なかなかねぇ。 9点(2003-09-06 23:56:55) |
94. カイロの紫のバラ
映画の中の世界というのは、フィクションであろうが、ノンフィクションであろうが、観る者にとってはあくまで想像の世界です。想像は美しく、そして現実には手が届かないもの。その現実がまさに手の届くところにあったとしたら。。。スクリーンの中の憧れの俳優がまさに私の目の前に現れたとしたら。。。そんなストーリーなんて現実に起こるわけない!単なるファンタジーでしょ、っていう声が聞こえてきそうですね。「ニューシネマパラダイス」のアルフレードがスクリーンの女優たちに想いを抱き続けたように、「カイロの紫のバラ」のセシリアも「憧れ」の対象として映画を観続けます。そんなナイーブさを現実逃避だといって笑うでしょうか?そうかもしれません。でも、彼女たちのナイーブな想像世界は、そのナイーブさ故に、彼女を彼女自身たらしめるとても大切なものだと僕は思います。「憧れ」とは、起こり得ないことに可能性を抱くこと。それはある意味でポジティブで、ある意味で哀しい。しかし、その哀しさは、慈愛となり、あるとき恋の熱情にもなる。そして、それは、僕らを常に優しい気持ちにしてくれるのです。映画への「憧れ」は人を優しくします。そう思いませんか? 9点(2003-09-06 22:27:06) |
95. フィールド・オブ・ドリームス
《ネタバレ》 若くて精悍な自分の親父とキャッチボールをするラスト。このシーンだけの為にこの物語があったといって過言ではない。親父に対する憧憬と確執、疎遠、そして後悔。あまりにも類型的だけど、やっぱり泣けちゃうんだよな。 9点(2003-09-06 22:04:11) |
96. ガープの世界
「ガープの世界」とは、“父”の不在を前提とした“母”の崩壊めぐる寓話である。こう言ってしまうと、なんだ江藤淳の「成熟と喪失」の引用かい、と思われるかもしれないが、この物語を読み解くのに、日本型フェミニズムの到来を予見した江藤淳の60年代の名著が手がかりになることは間違いない。なぜアメリカ人のアーヴィングが江藤淳なのか? 確かに「ガープ」に関わらず、「ホテルニューハンプシャー」でもアーヴィングは成熟しない<し得ない>家族の物語を描いている。「ガープ~」は、特に父の不在を前提とした中での、母性の密着と崩壊をテーマとして扱っていると思える。父の不在は、精神喪失の世紀と言われる19世紀からの自明の現象であり、その自明の不在を敢えて物語として設定化した上で描きたかったものは、現代的問題である母性の行方のはずなのである。<ここで言う母性とは、根拠のある自閉性といっていいかもしれない> だから、ガープの母親ジェニー・フィールズは、過激なフェミニストにして、やはり母親そのものであるというアンビバレンツな存在なのだ。これは小島信夫「抱擁家族」と全く逆のシチュエーションであり、アーヴィングは母性を崩壊させない。「すべてを受け入れて赦す母」と「責任に耐える治者としての父」、これは江藤が夢想した国家イメージである。これはアーヴィングの登場人物たちが目指す家族イメージに重なるだろう。江藤にとっての日本は、アーヴィングにとっての家族なのである。そして、それは、母子という最も根源的な関係性を前提としているのである。「ガープの世界」は、この問題に対して、どう着地しているか。ガープは決して成熟していないが、そこには既に失われたものでありながら、成熟する為の根拠を求める意志があり、彷徨があるのだ。「ホテル~」もそうであるが、そこがこの作品の着地点であると感じる。しかし、僕たちにとっては、日本も家族もその根拠を求める意志すら薄らいでるようだ。これこそが江藤が決して認めたくなかったことだが、常に彼の著作に漂っていた現実なのである。最後の最後でこの2人の見通しは決定的に違う方向を向いていたといえるのではないか。そして、今や母の崩壊は成熟を意味しない。父の不在の中で母の崩壊を達成する、それは根拠のない自閉性の罠に嵌ったということなのだ。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-09-06 16:09:52)(良:1票) |
97. 蜘蛛女のキス
とても哀しいラブストーリーだと思う。恋する感情を強烈に見せられると、なんで人は哀しい気分になるんでしょうね。三島由紀夫が「豊饒の海」で恋愛とテロリズムを同列に扱っているが、恋への妄想も現実変革への希求もその心情の過剰さは抗いがたく、すべては叶わぬ想いの中で自らの美意識に消えゆくのみか。 10点(2003-09-06 15:12:59) |
98. イマジン/ジョン・レノン
ジョンレノンに100%共感できる人というのは、もはやいないのではないかな。実際、彼のファナティックとも思える行動にそれほど惹かれるものはないし、「イマジン」で歌われる理想に心底ジョインする気分にもなれない。にもかかわらず、ジョンレノンという、そのすべてを否定できないのはなぜだろう。それは多分、僕が「イマジン」よりも「ジョンの魂」の方が好きだということに関係するのかもしれない。ジョンとヨーコが初めて出会った有名なシーン。ヨーコの個展を訪れたジョンが備え付けの虫眼鏡の中で見た小さな「Yes」の文字。自らの赤裸々な想いを小さな「Yes」に乗せて歌う「Mother」や「God」。大きな「Yes」でも小さな「No」でもないもの。この映画に垣間見える、彼が本当に追い求め、そして得たもの、語られない彼の密やかな情念、映画「イマジン」の映像や音楽が確かな形をもって伝えてくるものがある。死ぬ前の一枚の写真。彼の真摯な視線の先に見ていたもの。ラストの死のニュースには自然な哀しみを覚えた。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-09-06 14:09:19)(良:1票) |
99. ダイナー(1982)
この手の青春群像を描いた映画って結構ありましたね。「セントエレモスファイヤー」とか「ファンダンゴ」とかね。その中でもいちばん好きな映画です。クールでいて、もの哀しい、そんな雰囲気がたまりませんです。あ~、青春だァ。 9点(2003-07-27 17:02:48)(良:2票) |
100. ラウンド・ミッドナイト
《ネタバレ》 世界は何故丸裸なのかな? 心と魂は人間の中にある。 魚は水の中。 だが世界は周りに何もない。 いいことか、悪いことか、 覚えておこう。 『ラウンド・ミッドナイト』 -デクスター・ゴードン/海辺の語り- デクスターゴードンのナチュラルな演技(アドリブ)に魅了される。 その息遣い。失われた熱情をなぞりながらもジャズへの愛情を深く感じる映画。 そう、これは映画である。ジャズ・ライクな映画。 ジャズに生きた男がその魂を語る言葉。声。そして音楽。 それが彼の世界であり、この映画の魂。 レディ・フランソワが受け止めたように、 それは、僕らの心と魂に伝わる。 失われたものを想起させる。 素晴らしい映画。珠玉の作品。 ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムス。 演奏シーンも痺れる。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-07-27 16:00:45) |