81. HERO(2002)
何という贅沢なロケーションだろう。中国ならではの雄大な自然をスケール感として取り込めるのは羨ましい限りだ。映像的な美の追求と精神的な美の追求をリンクさせた色彩の実験的大作である。衣装や背景の鮮やかな色使いには魅せられた。静寂の中で戦う湖面の場面が特に美しい。山々と水面のコントラストは絶景。ストーリーは先読みできる展開だった。 7点(2004-08-06 00:45:06) |
82. シカゴ(2002)
主人公の状況や心象風景をミュージカルとして展開していく。曲の導入部は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』に似ている。曲紹介は『キャバレー』がモチーフか。それにしても、女看守には圧倒された。あの爆乳とぶっといウエストは悪夢にうなされそう。歌って踊れるミュージカルスターはキャサリン・ゼタ・ジョーンズくらいだが、それぞれに個性的な歌が散りばめられ、映像表現を活かした巧みな見せ方で駒不足を補っている。記者会見のマリオネットや裁判のサーカスは一見の価値あり。官能的でちょっと下品な演出も目立つ監獄ミュージカル。 7点(2004-07-27 23:38:51) |
83. AKIRA(1988)
そういえば何となくだけど、未だに自宅で使っている下敷きはコレ。特にマニアってほどじゃないけど、高校時代から使い続けてるなぁ。原作・アニメとも斬新な表現力には魅せられた。個人的に、パーカッションと男声コーラスが迫ってくるBGMが大好きである。 7点(2004-07-25 17:45:00) |
84. スター・ウォーズ/帝国の逆襲
ヨーダの登場に尽きる。他にもジャバやボバ・フェットなどの名物キャラも充実し、世界観が広がった。出生のネタも効果的。ハマるほど好きでもないのだけれど、シリーズ中では一番好きである。ラストが尻切れトンボなのもビックリしたが、興味をそそる。 7点(2004-07-25 16:09:33) |
85. 恋愛小説家
タイトルやその存在感から、どーしてもジャック・ニコルソン中心に観てしまいますが、3人の人間関係に着目して観るのが自然なのかな、とも思いました。その主題も注目すべき面白さです。メルビンとサイモン、キャロルとサイモン、そしてメルビンとキャロルが描く三角関係は、様々な誤解や葛藤、思いやりによりお互いを傷つけ癒し合います。あえて「シングルマザー」や「ゲイ」という社会的立場の弱い人を設定し、物語は友情であり愛情という形に結実していくのです。それは最終的に“相互理解”の大切さを語っています。全体的に軽妙なタッチでありながら、3人の個性がとても丁寧に描かれている秀作でした。グレッグ・キニアも主演2人に劣らない演技です。助演男優賞も惜しかったですね。 7点(2004-07-04 18:48:38)(良:1票) |
86. パッチ・アダムス
その世界が発展するためには、既存の常識や慣習を打ち破る事が必要である。それなくして進歩は有り得ない。そのための重荷をパッチ・アダムスが背負ってくれた。寝る間を惜しんで勉学に励み、患者の前で笑顔を振りまく姿には心打たれるものがある。同期として入学した仲間がいない卒業式は、さぞ辛かったに違いない。卒業式の衣装は「自分らしさを失わないよ」という決意表明であり、彼なりの供養のように思えた。 7点(2004-07-03 02:26:54) |
87. ショコラ(2000)
カトリック世界の街並みが美しい。まるで19世紀にタイムスリップしたかのような錯覚。20世紀も半ば過ぎの筈なのに。出演している役者さんの演技の質が高いせいか、メルヘンチックな内容にも飽きることなく最後まで見入ることができた。ただ、やっぱりチョコ苦手な自分とすれば、チョコパーティは有り得ねえでがす。 7点(2004-06-28 00:19:58) |
88. スター・ウォーズ
年齢的には“S・W”世代なのだが、宇宙モノに関心が薄いため、30歳を過ぎてから初めてシリーズをまとめて観た次第。メインテーマやダース・ベイダーのテーマなど音楽の秀逸さが際立つ。既に名声を得ている作品だし、何度もパロディにされた有名なオープニングには、さすがにワクワク感が募る。SFアドベンチャーを語るうえで金字塔であることに間違いはない。 7点(2004-06-25 00:11:20) |
89. ミザリー
キャシー・ベイツが憎々(肉々)しい!オタクキャラの不気味さがよく体現されていた。天晴れな演技力。 7点(2004-06-16 00:18:53) |
90. インデペンデンス・デイ
迫力は申し分ないし、それなりに楽しめる内容だった。地球人同士の紛争は宇宙からの侵略によってしか無くならない、という監督の皮肉も利いている。え?「ミーは、そんなメッセージは考えてない」?「いらん解釈をするな」? 監督、せっかくフォローしてるのに…。 7点(2004-06-12 17:19:44) |
91. 生きる
今さら言うまでもないが、この映画の肝はラストにある。良くも悪くも人間は忘れていく生き物。「のど元過ぎたら熱さ忘れる」、これこそ監督が生きる者への警鐘として残したメッセージではなかろうか。人生の末期に全力で渡したバトンの行方がアレでは余りに悲しい。この上ない説得力がある。 7点(2004-06-11 22:12:29) |
92. シンドラーのリスト
抹殺、絶滅、撲滅、一掃、根絶、…。一般的に我々が害虫や病原菌に対して使用する言葉が人間に対して向けられた時代。ナチ党員でありながら体制への些細な抵抗として試みた「ユダヤ人囲い込み」は、画面では知ることの出来ない綱渡り的な部分もあったであろう。収容所からシンドラーの工場へ移動できる“命のリスト”から漏れ、名前を呼ばれずに列に埋もれた人々のことを思うと心が痛む。白黒で撮られていること、一部カラーがあることの意味を、私たちは是非考えたいところである。 7点(2004-06-11 18:49:32) |
93. 戦場のピアニスト
様々なドキュメンタリーで、ユダヤ人虐殺の映像は目にして来た。そこには更に生々しくショッキングで残酷な映像がある。この映画は歴史に刻まれた真実の再現フィルムである。収容所に移送される人々、強制労働の日々、道に横たわる死体の様子などは、ドキュメンタリーと比べても忠実に描かれているように感じた。一人のピアニストの目を通して、民族の根絶という狂気に晒された数年間を追体験させる。民族の根絶、こんな表現がまかり通る時代があったという事実を忘れてはいけない。これを観てから数日間、私は寝不足に陥った。虐待とか戦争とか生と死とか、ひいては自分の存在とか、いろいろな思いが頭の中をよぎり、気づいたら明け方になっていたこともあった。相当心に刻まれた作品であることを認めるしかない。 7点(2004-05-20 23:55:28) |
94. ロード・オブ・ザ・リング
冒険、仲間、戦い、魔法、小道具、世界観。これらを構築した原作者トールキン氏の頭脳には恐れ入る。多種多様な登場人物、膨大な専門用語、その余りに壮大なスケールに躊躇していた。が、「王の帰還」の公開前に映画館が解説パンフレットを配ってくれていたので、思い切って1作目から観ることにした。この映画には手引きが必要である。理解を早めるのに大いに助かった。それにしても、主人公弱すぎで大丈夫なのか、心配になるなぁ。仲間との旅がどう展開していくのか今後に期待できる作りとなっている。 7点(2004-05-05 12:54:01) |
95. ひまわり(1970)
この映画は対比法が絶妙である。夫を探してジョバンナがロシアへ到着した場面では行き交う人々が皆、明るい服装をしているのに対し、彼女だけが地味で暗い茶色の服。前向きに歩み出した社会から取り残されている主人公を意識させる。夫との再会の場面では、歳を重ねたジョバンナに対し、若く可憐な妻が現れる。性格も勝気なジョバンナと正反対の控えめな女性だ。そこで知る残酷な現実。戦時下に生死を彷徨った極寒のロシアに対し、真夏を象徴するひまわり。ひまわりが見事に咲き誇るほどに、引き裂かれた2人の運命を際立たせる。情感たっぷりの音楽が力強く響き、エンドクレジットのひまわりが逆に悲しく見える。 7点(2004-05-04 14:54:12)(良:1票) |
96. シャレード(1963)
ロマンティック・ラブ・サスペンスとでも言おうか。ハリウッドお約束のロマンスグレーの中年男性と美女の甘い甘~いラブロマンス。サスペンスとしても犯人探しの興味をそらすことなくラストまで上手く展開されている。ジバンシーの素敵な衣装に次々と身を包むオードリーのファッションショーも目を離せない。ヘンリー・マンシーニの音楽も名曲として誉れ高い定番曲であり、耳まで楽しませてくれる。 7点(2004-04-29 01:54:35) |
97. たそがれ清兵衛
全体的に薄暗いトーンで描き、主人公の清貧を演出している。当時の実生活での屋内の暗さを表現するためと思われる。監督自身が初めて時代劇を撮るということで、既存のテレビ時代劇とは一線を隔した徹底的なリアリティを追及した姿勢が強く感じ取れる。真田広之は演技の幅の広い人であるから静と動の演じ分けの必要なこの役にはピッタリの配役である。それにしても、宮沢りえはすっかり幸薄い女性役が板に付いてしまった。丹波哲郎がいい演技をしていたのには驚いた。さすがに今回は監督に気を遣って脚本を読んだのか。余談だが、清兵衛が謙遜して言う「~の末席を汚しただけ」は今度使ってみよう。 7点(2004-04-23 22:54:51)(笑:1票) |
98. うる星やつら オンリー・ユー
当時は中学1年生か。映画のパンフレットや特集記事はよく読んだし、ポスターも貼ったし、サントラも聴きまくったなぁ。高橋留美子さん描き下ろしのポスターが嬉しかった思い出がある。幼少の頃のあたるとエルの絵が可愛かった印象が強い。あぁ、『影ふみのワルツ』がリフレインしてきた。第1作としてテレビシリーズの持つ雰囲気をそのまま踏襲した作りである。第2作では大いにその反動が来ることに…。 7点(2004-04-21 22:56:04) |
99. 黄泉がえり
超常現象により交錯する生と死。そこに描かれる様々な人間模様。親子、夫婦、兄弟、恋人などいろんな形の愛があったが、特にRUIと彼のエピソードが良い。「また歌える」というセリフ、突然のコンサートの理由、お互いの気持ちのこもった歌など、ほとんど言葉を交わさず二人の愛が綴られている。RUIの歌唱力も勿論だが、昨今には珍しく美しい日本語が心に響く。確かにコンサートシーンは長過ぎるが…。あと、ラス前の葵の「私消えちゃう…」は切なく、名セリフである。 7点(2004-04-14 00:26:23) |
100. ラヂオの時間
シチュエーションコメディの旗手・三谷幸喜の真骨頂ともいえる作品。確かに舞台劇で十分である。監督本人も百も承知であろう。映画は彼にとってプロパガンダである。舞台公演ではオーディエンスに限りがある。2時間汗だくで公演して、ライブ感という充実感は得られても、世の中への認知度は効率が悪い。「僕こんな舞台作ってます」という名刺代わりの意味があり、第1回監督作品として一番の得意分野を持ってきたのだろう。こーいった一風変わった作品の作り手は大歓迎したい。映画を楽しむ幅が広がるというもの。役者さんも皆いい味出していて、息の合ったやり取りは、もはやファミリーとして完成されている。それ故、オヒョイさんの役どころは読めたけどね。 7点(2004-03-24 00:59:23)(良:1票) |