81. 壬生義士伝
近年の時代劇の中でも珠玉の出来映え。中井貴一や佐藤浩市ら役者陣の魅力が十二分に発揮されている上に、迫力のある殺陣や回顧録という体をなしたわかりやすい展開は、まさにエンターテインメントと呼ぶに相応しい。後半の几帳な語りさえ無ければ満点だったのに惜しい。「おもさげなかんす」は名台詞だと思う。 [DVD(邦画)] 8点(2008-05-03 12:31:31) |
82. クローバーフィールド/HAKAISHA
《ネタバレ》 近年の作品の中でも珠玉の一本だ。ここまでの臨場感と驚きに満ちた映画があっただろうか。観客がまるでそこにいるかのような……なんて表現はこれまでで使い古された感があるが、いやいや、そういった表現は本作にこそ相応しい。一種のアトラクション要素を持っている作品で、誰もがフィクションであることをわかっているにも関わらず、ホントの恐怖を味わえる。怪獣映画に慣れ親しんできた日本人としては、海の向こうでこのような作品を作られたことが、何だかとても悔しい。また、全編に渡る怪獣映画へのオマージュには何だか涙が出た。冒頭のパラマウントマークをバックに響き渡る足音は、明らかに1作目の「ゴジラ」へのオマージュだしね。とにかく、映画館に行って見なければ絶対に損な作品!途中、若干グロに走ってしまったのが減点対象だが、そういった点さえ削ぎ落とせば、誉め言葉しか見つからない良作だろう。 [映画館(字幕)] 9点(2008-04-24 07:02:35)(良:1票) |
83. ナショナル・トレジャー
「インディ・ジョーンズ」とカブるのは承知の上で、最初から最後までハラハラドキドキ楽しめた。真新しいものは少ないけれど、「名探偵コナン」よろしく、ハイスピードに謎を解いていくニコラス・ケイジとわかりやすい物語運びはさすがハリウッド映画である。舞台は非常に狭い範囲だけれど、ロードムービーといった趣を醸し出して、スケール感を出しているのは実に上手い。「独立宣言書」という誰もが知っているアイテムを出してきたのも、観客には親切だと思う。続編にも期待。 [DVD(吹替)] 8点(2008-04-24 06:39:35)(良:1票) |
84. ライラの冒険/黄金の羅針盤
とにかく序盤から世界観や固有名詞を把握するのに苦労させられるので、気楽に見るのには不向き。っていうか、見てる人に不親切。おまけに展開が早いってのも困り者。でも、映像の迫力自体はさすがにウン百億賭けたからか満足出来る。ラストの戦いもそれなりに迫力を感じる出来映えだし、CGの使い方も結構きれい。なので、損した気分にはならないかも。 [映画館(吹替)] 6点(2008-04-16 03:32:06) |
85. サンダーバード(2004)
これってやっぱりオリジナルを親しんだ人は怒るんだろうなぁ。CGを駆使したメカ描写はさすがに良いし、ちょこちょこ「おぉっ」と思うようなシーンもあるんだけど、全体的に何でああもダラダラしてしまうんだろうか。どうやらシリーズ化を目論んでいたらしく、序章のような位置付けの作品のようだが、シリーズの一作目を作ろうとしてるんだったら、もっともっと引き付けられるような展開にしなきゃダメ。唯一の出撃シーンが悪役による操縦なんて悲しすぎる。 [地上波(字幕)] 4点(2008-04-16 03:28:09) |
86. HERO(2007)
歌舞伎の顔見世興行みたいな感じ。「THE 有頂天ホテル」の姉妹編みたいな印象。一種のお祭り映画ですな。その点では、充分満足できる出来。ストーリーはあってないようなものだけど、エンターテインメントとしては大正解。ドラマを見ていなくてもだいたい内容がわかるのも好印象。ただ、映画としての評価はこんなもの。2時間ドラマで充分。もう少し、映画的な大きいスケールで勝負しても良かったのでは。 [DVD(邦画)] 6点(2008-04-16 03:22:25) |
87. ポセイドン(2006)
確かに面白かったが、こういったパニックものにありがちな、見所は映像だけというのはちょっと勿体無い。それだけ映像は満足できるものだったし、細かなシチュエーション作りは評価できるんだが、あれだけ登場人物を多く配置したんだから、もう少し人間ドラマを描ききれば、オリジナルにも肩を並べられたんじゃないかな。 [DVD(吹替)] 6点(2008-03-31 23:27:55) |
88. キサラギ
《ネタバレ》 前半に散りばめられた伏線を一気に回収する。脚本のお手本のような作品。考えてみれば至極当たり前のことなんだろうけど、それが難しい。でも、本作はそれをしっかりやってのけた。前半からテンポ良く、後半までそれを崩さずに、なおかつ焦らないでエピソード一つ一つを消化していく手法には脱帽だ。極めつけは、小さな細かい台詞にもきちんと意味が用意されているので、一粒で二度おいしい感覚を味わえること。私も機会があったらまた見直してみたい。ただ、確かにラストの宍戸錠はちょっと蛇足な気も。でも、やっぱりみんな一年後も集まったのね。 [DVD(邦画)] 9点(2008-03-31 23:19:27) |
89. ファンタスティック・フォー:銀河の危機
ぶっ飛んでいた前作が痛快だったので、結構楽しみにしてたんだが、2作目はイマイチ。元が荒唐無稽なので、物語自体の矛盾や整合性については突っ込もうとは思わないが、たった92分の上映時間なのにも関わらず、途中でダレてしまった。特撮やCGはなかなか見ごたえあるんだけどねぇ。残念。 [DVD(吹替)] 5点(2008-03-06 16:58:58) |
90. 宣戦布告
日本政府の危機管理の無さや、自衛隊の動き方を見事にシュミレーションしている点で、大変興味深い。予算が無かったのか、特撮シーンのショボさは拍子抜けだが、本物と見間違うほどの首相官邸のセットや閣僚たちの無能さなど、演出力や表現力には評価できる部分も少なくないと思う。確かにラストの有事の回避方法は結構拍子抜けではあるが、現在の日本ではこれが精一杯ではないか。「亡国のイージス」もそうだったが、映画化に際して“北朝鮮”の名を名指しできなかったぐらいなんだから、これぐらいでも充分に攻撃的な内容と言え、個人的には努力は認めて良いと考える。 [DVD(邦画)] 7点(2008-03-06 16:56:32) |
91. 16ブロック
シンプルなストーリーで最初から最後までしっかり芯が通っているのは評価したい。ラストもなかなかきれいに纏めていると思う。 [DVD(吹替)] 6点(2008-03-06 16:52:07) |
92. そのときは彼によろしく
《ネタバレ》 同じ原作者の「ただ、君を愛してる」で不覚にも泣いてしまったので、これにも大変期待していたのだが、結果は散々。これは世の中の汚いものを徹底的に削ぎ落として描いたファンタジーみたいな作品なのかね?それにしても目覚めた後の長澤まさみが最初と全く同じ外見であるのは幾らなんでも無茶苦茶なんじゃないかい?まー、長澤まさみをとにかく清純に撮ろうという努力が作品全体に随所に見られるので、彼女のファン、というか彼女を見ているだけで幸せという方には良いかもしれないが、無論それ以外の方には何の価値も持たない作品。泣き所もイマイチ分からん。煌びやかな画面作りが唯一の救い。 [DVD(邦画)] 4点(2008-02-25 22:44:26) |
93. RETURNER リターナー
「パクリ論争」になると確実に槍玉にあげられる作品だが、確実に意図的にやってるんだろうな。じゃなきゃ宇宙人の子供があんなバリバリETじゃないと思うよ。つまり本作はハリウッドが今まで作ってきた映像を日本でも再現できるようになったよ、というある意味見せつけみたいな作品だったんじゃないかな。まー、これはこれで普通に面白いと思う。さすがに期待以上のものは無かったけど。 [DVD(邦画)] 6点(2008-02-25 22:30:26) |
94. スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ
コアな映画ファンが喜びそうなネタを散りばめた痛快ウェスタン……だと思って見てみたのだが、こいつはつまらない。最近ありがちな「上映時間が長いのに中身が無い」の代表格である。豪華キャストが勢ぞろいして、派手な爆破シーンがあって、凄絶な銃撃シーンがあって……と面白い要素がいっぱいあるのに、全然面白くない。全編英語台詞だとかアイデアは良いと思うんだけどね。バカ映画に徹しようという姿勢もわかるんだけど、如何せん中途半端でそのバカの要素が全く笑えない。おまけにストーリーに関係ない茶番劇が多くて物語自体が散文的になっている。つまり、物語の焦点がブレてしまっていて、一本芯が通っていないのである。これでは、せっかくの見せ場も見せ場として活きてこないよ。 [DVD(字幕)] 3点(2008-02-25 22:22:45) |
95. L change the WorLd
《ネタバレ》 タイトルバックが結構格好良かったので、期待感を持って鑑賞を始めたのが運の尽き。冒頭からいきなり「アウトブレイク」まんまの場面を見せられて面食らった。その後も結末に至るまで「えっ!?」っていうシーンのオンパレードで、非常に残念だった。だいたい「デスノート」のスピンオフである必要性が全くないし、だからこそ物語途上で思い出したように出てくる“デスノート”という言葉に違和感を拭えなかった。第一、映画版デスノートのLというのは頭脳戦を駆使したキャラクターだったわけだが、今回は頭脳戦さえもしていない。ってか、敵があんなバカなんだから頭脳戦をする必要もないわけなんだが、それじゃあLの魅力を十二分に引き出すことは出来ないだろう。人間を減らして地球環境を改善させるって一体何よ? 他にも、ナンちゃんは一体何のために出てきたわけ? 飛沫感染するはずのウィルスなのに一番近くにいた工藤夕貴の感染スピードが一番遅いのは何故? Lは、いつあんな大量のワクチンを飛行機に持ち込んだの? 他にも様々な矛盾点・疑問点がいっぱい。これはあまりにもひどい。だいたい本作の最大の疑問点はなぜ監督を金子修介から中田秀夫に代えたのかということ。こんなホラーまがいの展開にされちゃ困るよ。まー、松山ケンイチを始めとする役者の演技は見れたものだったのが救い。中でも高嶋政伸は(演技だけは)良かったと思う。また迫力ある音楽は本作で少ない誉めどころの一つであることは付記しておこう。 [映画館(邦画)] 2点(2008-02-20 00:16:33) |
96. ラスト サムライ
最初は食わず嫌いしてなーんにも期待していなかったけど、予想以上に面白くて満足。何よりこの作品は、ハリウッドが製作した「日本人のプロパガンダ映画」なのである……と言ってしまうと言いすぎだな。見ながらそう感じてしまうほど、本作は日本への愛国精神が漲っている。外国人が作った映画なのに不思議だ。真田広之や渡辺謙らはトム・クルーズと顔を並べても見劣りしない貫禄を持っているし、戦いのシーンの迫力はハリウッドの面目躍如である。確かに時代考証がどうとか言い出したらキリがないし、あんな広大な場所が日本にあるわけないんだけれど、それを言うのはナンセンスというものだ。私は本作を大いに讃えたい。 [DVD(字幕)] 8点(2008-01-18 21:54:15) |
97. パーフェクト ストーム
《ネタバレ》 映像は素晴らしい。凄まじいまでの暴風と波は息を呑む迫力。だからそれを見てるだけでも充分楽しめるし、決して損した気分にはならないんだけど、ストーリーがどうもねぇ。前半の散りばめられている伏線(らしきもの)を、後半にまったく無視するのっていかがなものか。しかも物語上、感情移入出来る人間がいないから、ただの自業自得なヤツらにしか映らない。確かに生きていくためには、危険な海域に漁に行くのは仕方の無いことだが、もう少しそれを生かした物語展開に出来なかったものか。ラストは全滅というのも、何だかね……。 [DVD(吹替)] 5点(2008-01-18 21:35:22) |
98. スパイダーマン3
毎回楽しませてもらっているこのシリーズだけど、今回もその面白さは健在。ただ、さすがに完結作を銘打っていたためか、やや詰め込みすぎなのが玉にキズ。ラストの戦いは何か怪獣映画みたいだね。映像的には前2作以上のものを提供しているんだけどね。ただ、相変わらず背景からスパイダーマンたちが浮いているのはどうなんだろう。色んな不満も出てきてしまったけど、やや甘めでこの点数。 [DVD(吹替)] 8点(2008-01-18 21:26:59)(良:1票) |
99. スパイダーマン2
シリーズ2作目。前作ではやや消化不良だった敵との戦いが、今回は一段とスケールアップしていて楽しい。敵のオクトパスの動きも素晴らしい。そして何よりスパイダーマンの心の葛藤を描いているのが、物語としてのこのシリーズをまた一つ成長させたといって良いだろう。 [DVD(吹替)] 8点(2008-01-18 21:20:31)(良:1票) |
100. ALWAYS 続・三丁目の夕日
《ネタバレ》 何といっても特筆すべきは最初のゴジラでしょう。もう、あれだけでお腹いっぱい。ゴジラの見せ方や雰囲気の醸し出し方は言うまでも無いが、個人的に最初の東宝スコープから「緊急情報~」のラジオまでの見せ方が圧巻。怪獣映画のお約束をまさかこんなところで見せ付けられるとは。山崎監督、あっぱれ。 さて、本筋の内容だけど、前作同様素晴らしい。ベタを塗り手繰った内容ではあるけれど、昭和の時代を徹底的に美化して潔く泣かせる手法はさすが。鈴木オートが「こいつの才能はな…」って啖呵を切るところが個人的に一番グッと来た。他にも「(帰ってきて)ダメなわけないだろ!」だとか台詞一つ一つが力を持っていて好印象。加えて前作よりスケールアップしたCGは圧巻。特に小日向さんをアップにした羽田空港はため息が出た。欲を言えば、東京タワーから眺めた東京の街を描いてほしかったけど。そこはご愛嬌。全体的には前作と併せて見終わった後ポカポカした気分になれた。良作。 [映画館(邦画)] 9点(2008-01-10 03:28:54)(良:1票) |