81. 道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48
《ネタバレ》 AKB全盛期には1ミリも興味がなく、どちらかといえばその音楽とパフォーマンスを鼻で笑っていた口だが、その後バラエティ番組から面白くて可愛げのあるNMBにだけ好感と関心を持つように。 このドキュメンタリー映画はどこか高校野球の舞台裏に通じるような。テレビでもダンスや吹奏楽など女子部を舞台にしたドキュメンタリーがあるが、それに似たひたむきさと桜の花のような刹那的なものが伝わってくる。 同じCDを何十枚何百枚も買わせるようなAKBの集金システム自体は眉をしかめるものがあるが、メンバーだけを見れば純粋に頑張っている姿を応援したくなる。集金システムはこの応援したくなる心理を巧みに利用しているのだが。それに嵌っているファンも、そんなことは重々わかっていながら推しメンを喜ばせたい気持ちが勝つのだろう。まあそういった大人の事情の裏側までは映画では見せないけれど。 NMBをまったく知らなかった監督を起用しているので、それほど深く切り込んではおらず全体的に浅くてわかりやすい作り。一番フォーカスされていたのはフロントメンバーではなく、長い下積み状態に耐えて初選抜となった沖田彩華。喜びで涙を流す姿は、初めて補欠からレギュラーになれた三年生のイメージが被る。それに対して、結婚宣言で一躍話題になった須藤凜々花のナレーションには、NMBとは本質的に異質なあざとさを感じる。チームで青春する高校野球に個人主義でしたたかな大人のプロが一人混ざっているようで・・・。 [映画館(邦画)] 7点(2017-09-30 22:19:18) |
82. 新しき世界
《ネタバレ》 ギャングの跡継ぎ問題に、警察の潜入スパイが暗躍する。警察サイドで絵を描くチェ・ミンシクの手段を選ばない非道っぷりが見事。クセのある役をやらせれば本当に存在感がある。 韓国の俳優の中では、キム・ユンソク、ソン・ガンホと並んで、主役も張れるおじさん三人衆の一癖も二癖もある役の演技はいつも凄味を感じさせる。日本の俳優であえて探すなら香川照之のイメージか。 その上司に終始振り回される潜入捜査官のジャソン(イ・ジョンジェ)。捕まった同僚の女スパイを自らの手で射殺したのは、なぶり殺しにさせるのが忍びなかったから。 その辺りまではマフィアものとしてとても面白く、めちゃくちゃ期待値も高まったのだが、その後付いていけず失速。 警察官だとバレたのに、チョンが見逃したのがどうにも腑に落ちない。見逃したのには深謀遠慮があるのかと思いきや、若い頃から一緒にやってきたという友情が理由。それならばその堅い絆を築く過程を見せてくれれば感情移入もできたのに。ラストでちょこっとそれを見せられても響かない。 それにいくら友情があったとしても、相手がスパイで今まで騙してたとわかれば見逃すわけがない。 主人公ジャソンのキャラもブレてるように感じた。若い頃はチャンよりイケイケだったなら、葛藤している姿はすべて演技だったのか。 いろいろ振り回されたり葛藤してたりするわりには、最後の皆殺しの割り切り方が人格豹変のように見えてついていけない。意表を付いた展開というのにありがちな、不自然さを感じてしまった。「ゴッドファーザー」のマイケルのように、説得力のある過程が描かれていればついていけたと思うのだが。もったいない。 [DVD(吹替)] 7点(2017-09-27 20:11:49) |
83. キングコング: 髑髏島の巨神
《ネタバレ》 戦争でしか生きている実感が沸かないような大佐が、島の守り神コングに戦争さながらの敵意を燃やす。決して根っからの悪人ではなく兵士としての使命感があるので余計にタチが悪い。確固たる信念と勇猛果敢な行動力も、歪んだ独善的な思い込みなら毒にしかならない。 恐竜みたいなのがいっぱい出てきて「ジュラシックパーク」のようなノリ。ラスボスのトカゲの化け物は敵役としてはちょっとカッコ悪くて雑魚キャラに見えちゃうのが残念。 エンドロールが終わってからラストシーンがあるので、事前情報がなければ見逃しそう。エンドロールが始まると鑑賞を終えたいので、このパターンが増えると嫌だな。続編がしたいがためだけの蛇足のようにも見えたし。 このシリーズは1933・1976・2005年版も見たが、1933年版は初期の特撮技術のせいで馴染めなかったため除外するとして、1976や2005年版のほうが面白かった。 [DVD(吹替)] 6点(2017-09-26 20:14:58) |
84. マグニフィセント・セブン
《ネタバレ》 「七人の侍」「荒野の七人」ともに好きな映画だが、それよりも明らかに落ちる。 アクション重視のようで、戦闘シーンが長くて映像も凝っている。ガトリング砲も出てきて戦闘の迫力はアップしたが、西部劇なら一対一のガンマン対決のほうが好み。間合いもへったくれもありゃしない。 大作のスケール感と戦闘の迫力は上だけど、アクションよりもストーリーや人物の魅力のほうが気にかかるので、そちらのほうに深みや魅力を感じなかったのが残念。 イーサン・ホークの老け方にビックリ。別人かと思った。 [DVD(吹替)] 6点(2017-09-26 20:13:44) |
85. 春香秘伝 The Servant
《ネタバレ》 権力を握った者が横暴に下の者を踏みにじる。下男の主人公にはなす術もない。 ラストで現実の悲劇をチュニャンが望んでいたような美しい物語に仕立てようとするのが腑に落ちない。そんな聖人のようなキャラでもなかったはずで、無理のあるキレイごとに感じられる。恨みを募らせるならわかるが、人間そこまで割り切れるものじゃない。 そこに至るまでのストーリーはなかなか見ごたえがあったのだけれど。 [DVD(字幕)] 6点(2017-09-09 15:13:07) |
86. 少女(2016)
《ネタバレ》 教師が生徒の書いた原稿を盗んで新人賞――ってところで、もうありえなさすぎてゲンナリ。湊かなえの描く悪人はデフォルメしすぎたステレオタイプが多い気がする。この原作は未読だが、小説もこんな感じなのだろうか。 由紀に迫った変態エロ親父が痴漢の濡れ衣で金をせしめる紫織の父親。子が子なら親も親の典型だ。そこはオチがついてまだ良かったけど、それ以外でもあまりにも出来過ぎた偶然に笑ってしまう。由紀がボランティアで知り合った少年の父が、敦子のボランティア先での上司だったとか。 そんなこんなで随所で嘘っぽさが顔を覗かせるので、感情移入もできず。 本田翼の演技はまったく期待してなかったが、思ったより上手かった。山本美月は際立った美形が印象に残る。 [DVD(邦画)] 4点(2017-09-08 19:40:07) |
87. きみはいい子
《ネタバレ》 『そこのみにて光輝く』が暗く退屈で、呉美保監督は師匠が個人的に苦手な大林監督というのもあって勝手に相性が悪いに違いないと思っていた。が、この映画は良かったし、大林監督とも作風が違っていた。 虐待された子が親になったら心ならずも我が子を虐待してしまうというのはよく言われていることだが、この映画には雅美の葛藤がよく出ている。同じように虐待された過去を持つ陽子は、愛にあふれた優しい母に。そうなれたのは、暴力親から庇って抱きしめてくれた近所のお婆ちゃんがいたから。一人でも抱きしめてくれる人がいれば、子供を救うことができる――そんなメッセージが伝わってくる。 認知症のお婆さんと自閉症の子供の交流もほっこりさせられる。 言うことを聞かない生意気なガキをきっちりと叱れない新米教師岡野の頼りなさにイライラ。昔は時にはビンタで愛のムチも辞さない恐い先生がいたものだが、今はモンペが黙っていないのでそんなこともできないのだろう。教師が手出しできなくなって子供がつけあがる。そうして学級崩壊へという悪循環。 こういう状況で「家族に抱きしめられる」宿題なんか出したところでバカにしてやってくるわけがないのだが、欠席者一人(義父に虐待されてる神田)以外は全員やってきているところがあまりに絵空事に感じられる。気まずくて言い出せない子供や、言われても無視する親は絶対にいる。拒否された子はさらに傷つくことを考慮にいれない、超楽観的な宿題だ。 岡野が神田宅に乗り込むところで映画は終わっているが、そこまでやる気持ちは大事。あのクズ親相手なら、自分の無力さを思い知ることになるだろうけど。 それにしても、今の学校はつまらないことでがんじがらめで先生が気の毒になる。あれでは教師に心の病が増えるはずだ。職業病と言っていい。男子も女子もさん付けで呼ばなければいけないとか、もっと大事なものがあるだろうに、本当にくだらない。 [DVD(邦画)] 7点(2017-09-07 23:07:24)(良:1票) |
88. ブリッジ・オブ・スパイ
《ネタバレ》 交渉の達人がソ連のスパイの弁護士を引き受ける。理論武装した口八丁の人間は好きではないが、味方にすれば頼りになるタイプ。 1対1の人質交換を2対1にした手腕は、失敗すれば責任を取りきれないようなとんでもないリスクを背負ってのことだったので、余計に光った。 「心配じゃないのか?」と聞かれる度に「それが役立つのか?」と超然としている老スパイの言葉が耳に残る。どれだけの修羅場を潜り抜ければああいう言葉が吐けるのだろう。 実話の基づく映画は、事実に偏りすぎれば散漫で淡々としたものになったり、フィクションを入れすぎれば実話の意味が薄れたりするけれど、この映画はその辺りのバランスがよく面白かった。 [DVD(吹替)] 7点(2017-09-01 22:06:34)(良:1票) |
89. 私の少女
《ネタバレ》 ペ・ドゥナは小悪魔的な役が好きだったが、年齢を重ねて今回は陰のある大人の役。同性愛者としての傷を持ちながら、虐待された子を助ける女性警察官。少女はどこかで見た顔だと思ったら「アジョシ」に出てた子だった。 少女を虐待する義父と祖母が本当に憎々しいキャラで殺意が沸く。こういう役は韓国映画はマジで上手い。 [DVD(字幕)] 5点(2017-09-01 22:03:45) |
90. まほろ駅前多田便利軒
連続ドラマの前にこの映画版がある。なので、この映画を先に見ておいたほうがドラマの設定や二人の背景を理解しやすい。 [DVD(邦画)] 5点(2017-08-31 23:03:36) |
91. TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ
クドカンらしさのあるポップな映画。でも、クドカン作品は映画より舞台のほうが合っている。 地獄でのギャグチックなやり取りに少々胸焼けしてくる。 [DVD(邦画)] 4点(2017-08-30 00:24:11) |
92. ボーダーライン(2015)
《ネタバレ》 悪名高いメキシコの麻薬カルテルの抗争。ネット上でも思わず目をそらせるようなものもある。その世界が現実感を持って迫ってくる。 そんな修羅の世界ではケイトのような正論は通用しない。あくまで正論を通そうとするケイトにイライラし、手段を選ばず復讐相手の妻子まで皆殺しにするアレハンドロに感情移入してしまう。良い悪いは別にして、修羅の中で生き抜く凄味に圧倒される。 ラストでアレハンドロに銃口を向けながら結局引き金を引けなかったケイトが印象的。 最近観た映画の中では一番面白かった。 [DVD(吹替)] 9点(2017-08-30 00:20:45) |
93. IAM A HERO アイアムアヒーロー
アウトレットモールでの戦いは初代「ゾンビ」のオマージュか。結構楽しめた。 [DVD(邦画)] 6点(2017-08-30 00:17:20) |
94. 日本で一番悪い奴ら
完全にタイトル倒れで拍子抜け。 もっと悪い奴はいくらでもいる。 [DVD(邦画)] 4点(2017-08-28 20:20:02) |
95. 俺物語!!
鈴木亮平は同じように漫画原作の映画化である「変態仮面」が最高の適役だった。 が、本作のキャラはわざとらしくて全く乗れない。 [DVD(邦画)] 3点(2017-08-28 20:14:58) |
96. 永い言い訳
《ネタバレ》 浮気の最中に妻が事故死してしまったら… こんなに後味の悪いものはない。やっぱり良心の呵責に耐えかねるかも。 西川美和監督はこうなったら嫌だなという設定を巧みに使って人間をえぐり出す。そういった意味ではファルハディ監督にちょっと似ている。 そう思って検索してみると、西川監督がファルハディ作品を賞賛しているコメントがあった。 [DVD(邦画)] 7点(2017-08-28 20:13:49) |
97. 何者
原作の小説は既読。 映画も悪くはなかったけど、小説を読んだときのほうが面白かった。 [DVD(邦画)] 6点(2017-08-28 20:12:31) |
98. ルーム
《ネタバレ》 17歳のときに誘拐監禁されて7年も狭い部屋に閉じ込められたジョイ。 子供を逃がしてハッピーエンドかと思えばそれは序章で、そこからの物語が本番だった。 ジャックを複雑な思いで見る祖父の気持ちもわかる。愛する娘の子であると同時に、憎んでも憎み切れない犯人の子なんだから。 事件がなかったものとしては暮らせない。救出後の苦悩にしっかり焦点を当てて描かれた映画で考えさせられる。 [DVD(吹替)] 5点(2017-08-28 20:11:36) |
99. リップヴァンウィンクルの花嫁
《ネタバレ》 いかにも胡散臭い何でも屋に、簡単に騙される世間知らずな女。 浮気を仕組まれて離婚させられたり、末期がん患者との心中相手にされたり。 普通ならありえないような話だが、役者がハマっているのもあってそれなりに成立して見える。 ただ、3時間は長い。 [DVD(邦画)] 5点(2017-08-28 20:06:06) |
100. 王になった男
《ネタバレ》 賎民と王様がすり替わった物語は『王子と乞食』にもある。それ以降、容姿の似た物が入れ替わるストーリーは手を変え品を変えいろんなバージョンで作られている。エンターテイメントとして水準以上のものを作りやすい設定なのだろう。本作も安定感があって楽しめた。本物の王がそんなに簡単に改心するかといえば疑問だけれど。 クスッと笑えるシーンにセンスを感じる。おどおどした偽王をコミカルに演じるイ・ビョンホンもうまい。 [DVD(吹替)] 7点(2017-04-29 19:39:32) |