1301. 伊豆の踊子(1963)
《ネタバレ》 この「伊豆の踊子」は、初老の大学教授が街角で大らかに振舞うアベックを見つめるシーンから始まり、彼の回想として物語が綴られる。大正末期の原作なので、映画のオリジナルシーンだ。その教授の記憶は書生時代の悔恨へ飛ぶ。悔恨ではなく、罪と意識しているのかも知れない。幼いあどけなさが残る踊子と、まだ世事に染まっていなかった書生は純粋に若い男女として意識しあった。当時の階級をまだ明確に理解できない踊子と、理屈は分かっても恋心との間で整理が付かない書生、すべてが分かっている周囲の大人たち。このグラデーションのなかで、旅路を重ねる。書生に気を使いながら曖昧な態度でブレーキを掛ける大人たちに較べて、無邪気さが先行する踊子はどうしようもなく子供であるし、押しも引きも出来ない意味では書生も子供に近かった。温泉宿に多くたむろする娼婦風の女性たちが踊子の未来を暗示する。ラストの岸壁シーンは美しく映るが、書生が自分の無力を意識したうえでの曖昧な逃避であろう。懸命に手を振る踊子と書生の意識のギャップが悲しい。大学教授の視線に戻ったとき、彼の胸に去来したものは踊子との過去を惜しむ気持ちなのか、あるいは、その後の踊子の人生を儚む気持ちかなのか。大正時代の階級意識に消えた淡いラブストーリー。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-08-12 12:57:31) |
1302. ブロークバック・マウンテン
主演二人の感情の微妙な動きが繊細に演出されています。マイノリティーが抱える悲哀が時代背景と共に、宿命的に描かれています。良い映画なのでしょう。でも、偏見は持っていないつもりだけど、最後まで観るのがかなりしんどかった。進んで見たいものでもない。みなさん、けっこう平気なようで、それが驚き。やっぱり自分は偏見を持ってるってことなのか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-08-11 01:16:59) |
1303. クローズド・ノート
《ネタバレ》 引っ越してきた部屋にあった前の住人の日記を読んでしまうエリカ嬢。そこには彼女が目指している教職に就いている女性が、一人の男性への想いを綴っていた。エリカ嬢はその記述に共感し、アクションを起こす勇気をもらう。まぁ、同じ男を好きになっていたんだから、共感するのも当たり前か。あるコンテンツから何かを得るかどうかは、そのコンテンツに共感するかどうかと同義だと思う。ご大層な中味であっても、共感しないと自分の中を素通りするだけ。エリカ嬢は、教職という仕事と片想いの進捗に痛く共感して、色々なものをあの日記から授かったようでした。ちなみに、自分の名前が隆(リュウ)という字を使うタカシなので、伊勢谷友介の素性はすぐにバレました。そこが分かると伊吹先生の去就に関しても同様です。そもそも、日記を取りに来ないことが変だ。ほとんどの人が途中で気づくオチですが、それがこの映画の評価を下げることはないでしょう。小学生に戻って伊吹先生に教わりたくなる映画でした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-08-08 04:16:28)(良:1票) |
1304. 大決戦!超ウルトラ8兄弟
《ネタバレ》 新しい4人のウルトラマンは全く知らないが、昭和ウルトラマンの4人には随分とお世話になった。自分が幼稚園に入る前の年にウルトラマンの放送が始まったから、現役視聴の最年少が自分の年代だ。さすがに幼稚園の同窓会はやったことがないけど、この映画は自分にとって最も古い仲間との同窓会という趣きだ。同窓会の大きな目的のひとつは好きだった女の子との再会だけど、ヒロインたちを全員出席、じゃなくて出演させたスタッフは偉い。昭和ウルトラマンたちの回想シーン、特にウルトラセブンのそれには、強烈な懐かしさに涙が出そうになった。ウルトラマンは自分にとってのヒーロー第一号。それが、ゴジラに変わり、ブルース・リーに変わり、ヤマトやガンダムに変わり、色々なコンテンツを経て、今の自分がいる。でもウルトラマンの前に好きだったものは思い出せない。自分の中で最も長い時間居座っているヒーローがウルトラマンだ。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-08-08 02:19:25)(良:1票) |
1305. 大学の若大将
このシリーズをちゃんと観たのは初めてでした。自分が生まれる前の映画。ものごとに「屈託」や「深刻」を感じない世界観。その象徴が主人公のあのお兄さん。誰しも、あんなふうに生きられたらと思いますよ。映画スタアですね。人気が出たのが分かります。ただの懐古趣味かも知れないけど、今よりはずっと暮らしやすそうな世の中に見えました。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-07-30 21:27:20) |
1306. ランボー/最後の戦場
感動はしなかったのでこの点数ですが、見応えはありました。ランボーの内面は以下のように解釈しました。結局、自分ひとりの力では何も変えられない。目が届く範囲の人は救うことが出来るかもしれない。だけど、なんら根本的解決になっていない。戦争ではなく、紛争や内戦には明確な決着がない。自分たちのような傭兵は、こんな場所でしか生きられない人種だ。だけど、もはや自分でなくてはならない必然も感じない。自分が必要とされる戦場は無くなった。改めてそれを実感した。故郷か。このあたりを潮時にしよう…。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-26 00:12:16) |
1307. エル・マリアッチ
制作費7000ドル。ちょっと貯金すれば誰でも作れる。俺が出資したかった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-24 17:53:00) |
1308. 眠らない街〜新宿鮫〜
久しぶりに観たけど、面白かったです。田中美奈子が許せる人は楽しめるんじゃないかな。私は楽しめます。刑事ものとしては良く出来ていると思います。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-07-24 16:58:16) |
1309. ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!
《ネタバレ》 元007のあご串刺しには痛笑った。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-11 02:52:29) |
1310. ゴーン・ベイビー・ゴーン
《ネタバレ》 台詞に人名が多く出てくる映画はストーリーを追いかけるのが大変で苦手です。字幕を作る人の能力にもよるけれど、かなり分かりにくかった。そんな展開にイライラしていたら、テーマは犯人捜しとはまったく別のところにありました。最後に重たい問題を投げつけて終わります。観終わってからしばらく考えましたが、主人公の判断は間違っていないと思います。自分も、あの幼い娘が幸せになる確率は誘拐されたままの方が高かったと思います。でも、あの娘の幸せ云々以前に、誘拐までして干渉する問題だろうか。娘を不憫に思い行動した勇気は立派です。しかし、娘が虐待を受けていた訳ではないし、不幸になることが決定している訳でもない。不確定要素がたくさんある中で実行すれば、あの母子の人権やアイデンティティを無視した行為でしょう。少なくとも数年後に、娘が自らの意思で家出したいと思ってから手伝っても遅くはない。つまり、娘本人がどう感じているかが一番大事です。勿論、助けを請われたら話は全然別。それなら主人公も違う判断をしていたと思いますよ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-07 12:32:32)(良:1票) |
1311. 大盗賊(1963)
《ネタバレ》 とっても馬鹿らしい無国籍アドベンチャーだけど、なんだか元気が出る映画である。田崎潤の立ち回りなんて観た記憶が無く、とても新鮮だった。三船があんまり盗賊っぽくない。強くもない。その分、周囲の出演者たちがそれぞれに個性を発揮して妙な熱気を孕ましている。特に天本英世が絶品。彼はある意味、世界に通用する役者さんだったのでは…などとこの映画を見て思いました。王国の摂政みたいな奴から女王を助け出すというプロットは某有名アニメにそっくりです。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-07-06 04:58:56) |
1312. 007/ゴールドフィンガー
《ネタバレ》 自分が初めて観た007映画はこれでした。あのアストン・マーチンが「マッハGoGoGo」みたいだ、と興奮したものです。製作年度はこの映画の方が先ですが…。最後はハロルド坂田さんを相手に頑張っていたけど、よくよく考えると、ほとんど捕まったままのボンドの逆転の秘訣は女をたらし込むことだった、と云うのが情けない。ゴールドフィンガーが大物ぶらずに殺す気があれば何度死んでたか分からない。改めて観ると、やたらとそのことが気になった。で、5点しか付けられないんだけど、この映画の主題歌とオープニングの金粉女体映像は素晴らしい。シリーズのオープニングの在り方を決定付けたということでは、意義深い作品でしょう。 [地上波(吹替)] 5点(2009-06-27 01:10:32) |
1313. 007/ドクター・ノオ
記念すべき第一作。現在の007シリーズをはじめとしたスパイアクションものと較べると古いのは当たり前だけど、1962年という制作年代ほどではない。当時は相当先を進んでいたのだと思う。オープニングにボンドが出てこないこと以外は、この作品ですべてのスタイルが出来上がっていることにも感心。それと、あのテーマ音楽がふんだんに使われていて、ボンドがホテルで特に何もしていないときにも使われていて、なんだか嬉しかったぞ。この頃まだ人類は月に到達していない。ボンドの活躍のおかげでこの作品の7年後にアームストロングは月に第一歩を刻んだのである。う~ん、歴史を感じるね。 [地上波(吹替)] 5点(2009-06-27 00:00:23)(良:1票) |
1314. 普通じゃない
《ネタバレ》 ユアンとキャメロンのロマンスは、別にどうってことないですね。あえて言うと、好き嫌いは別にしてもキャメロンはキャラがしっかり立っていて、その後の巷の人気を予感させる作品ではありました。この映画の見どころは、あのすっとぼけた天使どもでしょう。嘘はつく、銃も撃つ、死んだふりはする、鼻血も出る、営業ノルマに悩む、などなど…、とっても人間味を感じる愉快な天使で楽しかったです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-06-20 12:43:43) |
1315. 燃えよ剣(1966)
テレビドラマの新撰組をチラ見したときにも思ったことだけど、栗塚旭という人は土方歳三にピッタリですね。自分の土方像は、冷静だけど喧嘩好き、神経質で非情、女にモテる繊細さ、計算高いが思想色は希薄、などなど…。ひと言で言えばひねくれたガキ大将で、その感じが良く出ている。近藤役の役者さんも、その正反対の役どころを上手く演じていて、新撰組の両輪という意味では自分のイメージに極めて近い。原作は、多摩の田舎の暴れん坊が、その理屈で新撰組を強固な集団へ仕立て上げ、函館で討ち死にするまでを描きますが、今作は池田屋まで。田舎郷士の立身篇という切り方としては、泥臭い感じが良く出ていますが、映画としては中途半端感が否めず、イメージも暗く、原作と照らし合わせて観ない限り楽しめないでしょう。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-06-20 12:27:21) |
1316. 西の魔女が死んだ
50歳そこそこであの老け顔。さすが魔女。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-06-20 10:51:03) |
1317. レッドクリフ Part I
「アストロ球団」並みでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-05-26 01:33:08) |
1318. 水のないプール
内田裕也を初めて観た作品でした。ほとんど喋らないんですが「ジンジャエールはジュースじゃねえ!」って売店のおばさんに怒鳴ってました。どう形容したらいいのか、世の中の全部を憎んでるぜ、って迫力を感じましたね。やってることはメチャクチャで思いっきり犯罪です。「タクシードライバー」は大物を狙って、皮肉にも英雄になりましたが、こちらはケチな性犯罪者でオチがない。こういう救いは無いけど味がある映画は好きなんだけど、洋画好きの人が見たらダメな邦画の代名詞にされかねない内容かなと、当時は思ってました。 [映画館(邦画)] 5点(2009-05-25 01:01:42) |
1319. ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
アメリカの成金のは、神を殺して成り上がり、不幸になる。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-05-24 23:51:18) |
1320. ノーカントリー
《ネタバレ》 分からない。この内容でアカデミーの作品賞を獲ったということは、何らかの社会性を評価されているのだろうが、アメリカの人たちは本当に理解しているのだろうか? 邦題は「for Old Men」が略されていて、直訳すると「老人のための国が無い」。こんな危険な国では老人が安心して余生を送れない、ってことか? 時代が30年近く昔なのは、今は良くなったのか、今もあまり変わらないのか? いずれにせよ、自分は現在のアメリカの市井の危機意識や犯罪情勢に理解が無いので分からない。不条理に突然訪れる死がいくつかあったけど、あれが本当に一般論ならば、確かに老人に限らず安心して暮らせる国じゃない。だけど、あんな殺し屋のコインの表裏で殺されることこそフィクションだろう。場所が日本でも、ヤクザの抗争の流れ弾に当たって死ぬ方が確率は高そうに思える。ということで、意味深なタイトルには白旗だ。足元のおぼつかない老人がたくさん交通事故死するような内容なら、こんなに悩まずに済んだ。あの殺し屋の特異なキャラをフィクションとして楽しむのが正解なら、面倒なタイトルを付けるな、と言いたい。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-05-24 14:49:55)(良:2票) |