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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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121.  エイプリルの七面鳥 《ネタバレ》 
見ているうちに先がわかるどころか、途中のゴタゴタまで予測ついちゃうくらいなんのヒネリもない単純ストーリーに、観た事を失敗したかなと思うもケイティ・ホームズの愛らしさに負けて見続けてゆくといつのまにか作品に入り込んでしまって最後にはこの上なくほっこりさせてもらった。最初は、ケイティの不良から更生はしたけど乱雑でケバケバで、でもホントはいい子っていう描写が作り物っぽすぎてイヤで、なんでイヤかってあれだけ露骨に娘を忌み嫌うイヤミな母親からあんな「ホントはいい子」が育つわけないじゃんと思ってたからなんだけど、でも父親がそんな妻をものすごく大切にしているのを見て、あぁ、いちいち説明してないだけでちゃんと「ホントはいい母」が描かれているなと気づいた時点からこの映画が楽しくなってきた。妹もちょいとイヤな感じなんだけど、彼女もまた不良の姉と正反対のいい子ちゃんゆえに親にかまってもらえない寂しさを「ちょっとイヤな感じ」でもって伝えてる。母が娘に会いに行くきっかけが感動的に描かれないのも気に入った。というかこの映画で一番いいところ。トイレで母親に怒られている女の子を見る。たったこれだけ。でも凄いわかる。感動的な和解も描かれない。ずっとほっこり感が持続する。
[DVD(字幕)] 7点(2007-11-28 15:20:22)(良:3票)
122.  Dolls ドールズ(2002)
最初のひもがひっかかって笑いがおこるシーン・・北野映画の嫌いな部分が思いっきり出てる。アハハハって不自然な笑い。役者の演技が下手ってのは北野映画全てにいえることで確信犯なわけで、独特の雰囲気を発する源にもなってるわけなんだが、この作品ではその下手さかげんが気になってしょうがなかった。ところが、もみじを引きずりながら雪山へと進んでゆくシーンに愕然。凄い。美しい。そういえばバラからもみじへと突然移るという伏線的な画があった。とはいえ、驚いた。こんな四季の移ろいの見せ方があったとは。もうこれだけで満足できる映画。お弁当女は思わず「怖っ」って声をあげてしまった。やってることは『幸せの黄色いハンカチ』の女といっしょなのにね。
[DVD(邦画)] 7点(2007-11-08 16:00:14)
123.  殯の森
認知症の男の生前の妻との思い出のシーンとか新米介護士とベテラン介護士の車中の会話とか妙にかったるいというか、物語を進めてゆくための説明が不器用というか、かと思うと茶畑でのかくれんぼに代表される美しい画がときおり飛び込んでくるもんだから、私にとっての実に微妙なラインを行ったり来たりしていたのだが、森に入ってしばらくしてから一転。雨が降り、森が森の本性を現したとき、女は「死」に直面する。純粋に「生」を欲する。生きたいという叫びの激しさにたじろいだ。一つの画の衝撃によって他はどうでもいいと思うことはよくあるが、これは画ではなく、生と死というテーマを元に進行していた物語に突然あまりにもテーマそのものの本質みたいなものを露骨に見せたストレートさにびっくりした。そしてそれは新鮮でもあった。もうひとつ言うとそのストレートさを森が許容する。あとはその驚きの余韻にひたっているうちに映画は静かに終わった。もちろん生の象徴であり死の象徴である完全な森の描写によって、画とテーマはすでに直結していたからこそ、そこに驚きと感動があったのだと思う。
[映画館(邦画)] 7点(2007-10-10 16:27:55)(良:2票)
124.  マイ・ボディガード(2004) 《ネタバレ》 
「誘拐」を扱った作品の多くは誘拐されてからドラマが動く。言い換えれば誘拐されなければドラマは始まらない。しかしこの作品はまず誘拐までに作品の半分くらいの時間を費やす。その緊張の持続が荒ましい。車での送り迎えのシーン、車中と車外が何度も細かく切り替えされる。そのとき車内が映るときの静寂と車外が映されたときの喧騒という音の切り替えしが効果的に緊張感を高めていく。水泳の特訓をするシーン、あるいは試合のシーンでも細かく割られたカットに主演二人が映されないカットが何度も挿入されるがこれもそこに犯人が映っているかもしれないという緊張を与える。「いつ事件は起こるのか」から「もしかして起こらないかも」となるかならないかで突如事件が起こる。あっという間の出来事。主人公は撃たれ、事件は主人公不在のまま、これまたあっという間に最悪の解決がなされる。そこから第二幕。痛快とは言い難い容赦なきバイオレンス。それでも娯楽映画からはけして脱線しない。決定的なのが、これだけは裏切ってはいけない人質の生還。クリストファー・ウォーケンがデンゼル・ワシントンに常に向けていた優しい眼差しをも凌駕する、デンゼル・ワシントンとダコタ・ファニングの運命的な視線のやりとりが美しい。
[DVD(字幕)] 7点(2007-08-03 15:38:55)(良:1票)
125.  デジャヴ(2006) 《ネタバレ》 
すでに死んでしまった女を助けることができるかもしれない・・ってどうゆうことよ!と興味津々劇場に足を運んだのだが、なるほど!唸らされました。そのアイディアも面白かったが何よりもトニー・スコットの映像に参った。4日前の映像とやらを見ていると主人公が逆回しをしてくれと。それはできないと。早回しはできるのに?と。早回しもできないと。早回しをしてるじゃないか!と。いや視点を動かしているだけだと!!!なんと私も早回しだと思ってたその映像はたんに視点を高速移動させていただけ。前作『ドミノ』にはあきらかな早回し逆回しがあったと思うが、それゆえに「またか!」と思った私を予想してたかのようなこのセリフに参った。容疑者の車を追いかける。しかし現実にはそこにはない4日前の車を追いかける、というとんでもないカーチェイスの見せ方も、特殊な設定が助長する見事な切り替えしが見る者を釘付けにする。映像どおりに繰り返される後半の展開は子供のようにドキドキした。トニー・スコット、この人も映像の限界と可能性を模索する映画人であった。もはやこの作品はブラッカイマー作品とは言えない。間違いなくトニー・スコットの映画だ。
[映画館(字幕)] 7点(2007-07-30 16:55:23)(良:1票)
126.  ブラックブック
娯楽映画にある軽薄さを隠すことなく、むしろその軽薄さこそが映画に必要なものとでも考えているかのようなヴァーホーヴェンの映画観が吉と出た。隠され装飾され歪められた史実から真実を暴くという大真面目な題材であるにもかかわらず、この手の題材に不可欠だと思っていた「深さ」が無い。隠れ家が爆撃された際の異常な早さの警察および消防車両の到着に代表される物語優先のご都合主義が全編で貫かれる。下手すりゃしらけてしまいかねない。それでもしらけないのはご都合主義の目的がはっきりしているから。重要なのは「戦争」ではなく戦争下で繰り広げられる恋愛サスペンスである。ナチスとレジスタンスの攻防ではなくその攻防に巻き込まれた女の性と情の攻防である。ハリウッド時代とさしてやってることは変わらない。ただ商業至上主義ゆえに見せてきた刺激物に対し、この作品はひたすら物語の面白さを見せようとする。この映画は単純である。6点くらいかなと思いつつ、その単純さの魅力に7点。
[映画館(字幕)] 7点(2007-07-27 13:46:23)(良:1票)
127.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
戦闘機の空中戦にしてもライトサーベルでの戦いにしてもひたすらアトラクション的である。今あるアトラクションムービーの中でも突出している。そこに監督の意図しないものは表れない。監督の想像以上のものも想像以下のものも無く、シリーズの回が進むにつれてその傾向は強まりどんどん映画から離れていく。しかし多くのアトラクションムービーのように観客に媚びるということがない。ジョージ・ルーカスはアニメ作家でもない限り不可能な「監督の意図と寸分違わぬ完璧な映像」をひたすら目指しているのだ。『帝国の逆襲』以降はハリウッドを離れ組合も脱退し自らのスタジオで作っているのだが、それも前人未到の完璧さを追求しているからこそで、この大いなる挑戦には賛辞を送りたい。そしてその限りなく完璧に近づいた「スター・ウォーズ」の最終作をそれまでの「スター・ウォーズ」と共に支持したい。さらに、コレを先々行上映で観たのだがこの映画館が通路まで客を入れるという気の利いたことをしており、ベイダーのマスクやおもちゃのライトサーベル持参の子供たち、そして大人たちでいっぱいになった劇場という今ではすっかり味わえなくなったワクワク感をもたらすこのシリーズはやっぱり凄いのだ。1作目で見せたタトゥイーンから見える二つの太陽が映されたとき、「やっぱり終わるのか」と感慨深くなった。
[映画館(字幕)] 7点(2007-05-30 13:00:58)(良:1票)
128.  ファム・ファタール(2002) 《ネタバレ》 
バカの一つ覚えのような監視モニターで見せるサスペンスと無邪気な分割映像になぜか嬉しくなりながらデ・パルマを堪能する。思い返せばこういったデ・パルマ印は現実のシーンだけに用いられたような気がするのだが、もしそうならそんな拘りもまた愛おしいではないか。まだやるか!なヒッチマニアぶりも今回はかなりの手の込みよう。カツラをかぶり容姿を変えて別の人間に成り代わるという『めまい』とは逆パターンのプロットを用意し、しかもそれは現実ではなく、現実は容姿ではなく中身の変身というすっきりさわやかなオチ。この変身の決断への伏線が冒頭のファム・ファタール映画をラリぎみで観る主人公。薬でラリっている状態というのがミソ。悪女の悲しき結末を暗示にかけられた女の決断が自らの運命を変える。ファム・ファタール(運命の女)の運命の変化によってまわりの全ての運命が変わる。どこもかしこも愛おしい陳腐さで満ちている。こういうの、けっこう好き。
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-05-07 11:18:20)
129.  カナリア 《ネタバレ》 
太鼓の音とともに走り出す。これだけでこの映画が只者じゃないことがわかる。『害虫』でも思ったが「走る」シーン、そしてそこにかぶされる音楽が絶妙です。私は『害虫』のレビューで主人公の家庭を『どこまでもいこう』のプラモ少年と同じと書いた。この『カナリア』の主人公の家庭環境も『どこまでもいこう』の主人公の親友にそっくりである。父の不在、そして親に代わって小さな妹の面倒をみる兄。つまり『害虫』も『カナリア』も監督のデビュー作『どこまでもいこう』から派生した作品と捉えることが出来る。『どこまでもいこう』は子供の健全な成長が描かれていたと言っていいと思う。『害虫』は健全な成長をし損なった母に育てられた子供の、成長できない姿を描いていたのだと思う。そして『カナリア』は成長に必要な様々な経験を特殊なカタチで通過しイビツな成長を遂げようとする少年が、自らの、そして道連れの少女の、あるいは少年を想う大人たちの作り出す新たな経験によって、超越した成長を遂げる物語。ラストは所謂「解脱」の領域にまで達したということでしょう。スーパーサイヤ人みたいなもんです。この超越した成長をもって「成長3部作」(勝手に命名)は完結する。
[DVD(邦画)] 7点(2007-04-13 14:20:49)
130.  
傑作『アカルイミライ』以降、黒沢清はホラー以外のジャンルを撮るだろうと思ったし期待してたのですが、またホラーかよ!と思いつつもそもそも黒沢清の映画は「ホラー」だとか「ミステリー」だとかというより「クロサワキヨシ」というジャンルの映画と言っても過言ではなく、この『叫』もまたとびっきりの「クロサワキヨシ」だったので結局のところ予想どおりたいへん満足できました。「アカルイミライ」のために埋め立てられ、途中で放置された場所を舞台に、まるで『CURE』の殺人のように人は何かに誘導されて殺人を犯す。殺人現場に残る自分の痕跡(偶然にも同時期に公開中のトニー・スコット『デジャヴ』と酷似!)に『ドッペルゲンガー』を彷彿させ、多くの黒沢映画に登場する「幽霊」と「終末」が描かれる。『ニンゲン合格』や『大いなる幻影』がこの世界に存在することの意味を問いただしたように幽霊は人間であったときの存在を無にしようとする人々を許さない。どこを切っても「クロサワキヨシ」でありながら常に進化し続けるクロサワ映画。同じようで同じじゃない。切り口を変えるだけで全く新しい映画にしてしまう。「見なかったことに」がもたらす恐怖。この映画、けして「見なかったことに」なんてできません。
[映画館(邦画)] 7点(2007-03-30 12:14:27)
131.  パッチギ! 《ネタバレ》 
オーバーととられがちな喧嘩のシーンですが、私にとっては実に懐かしかった。「なにメンチきっとんじゃー!」のセリフにうんうんと懐かしみ、急所蹴りにケツの穴が縮こまる思いをし、朝鮮学校とのいざこざという恐怖体験を思いおこしながら楽しく鑑賞。中学生くらいの頃は私も平気で差別用語を連呼してました。でも差別という概念はなく、それが当たり前の言葉として存在していた。この映画も公共のメディアとしては実に乱暴だけど、あきらかな「在日VS日本人」という普通なら話の隅っこに描かれてきた、でも実際はちゃうやん!という図式を堂々と見せつける。私たちがそうであったように、この映画の子供たちは政治から全く切り離された世界で戦っている。そこに実は差別は無いと思いながら。だから青臭くて楽しくてどこか悲しい。しかしそのことを全肯定していない。子供たちの、そして私の無知を非難するシーンがある。葬式のシーンです。ここは応えた。それでも新しい世代の子供たちは自分たち流にケリをつけようとする。加茂川の戦い。無意味な戦争。そこに命の誕生を告げる飛び蹴り。戦争を終わらせる方法としてこれ以上ない感動の飛び蹴り。政治の話はいまだによくわかっとらんのですが、この映画が楽しいというのはよくわかります。
[映画館(邦画)] 7点(2007-03-02 14:36:43)(良:3票)
132.  ドッグヴィル
ただ白線を引いただけのセット。あたかもそこに家があるかのように、壁があるかのように、ドアがあるかのように役者が演じる。その不自然な様を我々は知らぬ間に受け入れる。家を想像し、壁を想像し、ドアを想像し、無いはずの背景が我々の頭の中で作られる。観客は映画を自分流に解釈する。それを逆手に取った手法といえる。そして観客はすべてを見ることが出来る唯一の存在としてトリアーの投げかける「人の行い」を直視する。目の当たりにするのは資本主義のいびつな形。何かを与え何かを得る、のではなく、何かを得るために何かを与える。見返りというものを常に念頭に置いた行いが露呈される。この異様なセットのように自分本位な醜態がさらけ出される。主人公の善意はこの自分本位の資本主義の世界に翻弄される。しかし主人公の善意もまた見返りが前提としてある。その見返りが無かったとき巨大な力が発揮され解決という名の終焉がもたらされる。アメリカ三部作の1本目は強大な力を持つアメリカ、自由の国アメリカが、出来得る限りの皮肉を込めて描かれる。
[DVD(字幕)] 7点(2006-12-18 14:33:03)(良:1票)
133.  世界
貧しい農村から夢を持って北京にやってきたはずの登場人物たちは、世界に開放をアピールする中国とは裏腹に、誰もが閉じられた世界で生活に追われるだけの毎日を過ごす。そしてその生活に慣れてゆくことの怖さ。「世界」とはほど遠い「世界公園」という極めて閉じられた環境で各国の華やかな衣装を身に纏うダンサーと「世界公園」の警備主任のカップル。彼らはここに長くいすぎたために外国へ飛び立つ知り合いを見送ることしか出来ない。カメラがとらえる二人の長い沈黙が「どこにも行けない」「なにもできない」「なにも見えない」、そんな二人を浮かび上がらせる。北京オリンピックを控える中国において、しかしそのほとんどの人が生まれた地から出てゆくことなく一生を終えてしまう現実を若い男女の物語の中に露呈させる。携帯電話をかけたときに女の心情を表現するアニメーションは正直どうなんだろう?と思うものの、どおってことのないシーンの連なりがとても印象に残るいい映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2006-12-05 14:22:26)
134.  16ブロック
恥ずかしながら中盤までブルース・ウィリスだと気づかなかった。似てるなぁとは思って見てたのですが(汗)。拳銃を取りにある家に入る。あきらかに主人公の自宅だと思わせて。トイレに入るモス・デフに便座をあげろと言うとあがってると。そこで意味深に男の写った写真に目を移す。当然私の脳裏に『ラスト・ボーイスカウト』のあの場面がよぎる。あっ、ブルース・ウィリスだ!とやっと気づく。自分を擁護するわけじゃないけど、このブルース・ウィリスの変身ぶりには恐れ入る。渋いっス。警察官と犯罪者のコンビ、白人と黒人のコンビ、警官同士の戦い、どこにでもあるありふれた駒を最大限に駆使して頭脳戦、心理戦、銃撃戦とひっきりなしに見せてくれる。その合間に挟まれるバスの人質とのやりとり、アパートの住人とのやりとりは戦いの(観ている側にとっての)小休止。個人的にはこの小休止をもっと短く端折ってくれても良かったような気もしますが、総体的には楽しめたので、ぎりぎりの7点ってことで。
[映画館(字幕)] 7点(2006-11-13 12:29:25)
135.  スパイダーマン2 《ネタバレ》 
前作とは打って変わってサム・ライミがようやく「スパイダーマン」を自分のものにしたという感じ。ハリウッドだから出来ること、高制作費だから出来ることを自らの作家性に拘らずにやったおかげでかえって彼の個性がこのハリウッド大作の中で暴れまくる。「大いなる力には大いなる責任が伴う」というたいそうなテーマをもってヒロインとの決別で終わった前作からの続編でありながらそのたいそうなテーマを主人公自らが放棄するかのようにヒロインと結ばれるは、ベールに包まれているはずのヒーローは堂々と顔をさらすは、ヒロインが襲われてキャーキャー悲鳴をあげるシーンは全くヒロインらしからぬ恐怖の顔をさらした単なるホラー映画の被害者の顔になってるは、オクトパスの暴れっぷりは恐怖と気色悪さと可笑しさが凝縮されてて大いに楽しませてくれるは、ハリウッドでやるべきことはしっかりと押さえて、あとはやりたい放題。期待薄で観たこともあって大変満足いたしました。
[DVD(字幕)] 7点(2006-11-07 09:57:35)
136.  息子のまなざし
職業訓練所に新しく入った少年は大工コースを選ぶが、主人公の教師は履歴書を見た後、生徒が多いことを理由に断る。その後なぜだかソワソワし始める。家に帰ると女の人が訪ねてくる。最初はこの女性が誰なのかわかんない。これらは後にはっきりとしてくるのですが、「説明」を一切排除しているので、分からないまま見ていた最初の数十分は退屈に感じた。分かってからはのめり込まずにはいられない特殊な設定。設定だけが特異で何が起こるわけでもないが、さりげない会話から少年の同情すべき家庭環境や睡眠薬で眠るしかない後悔と苦悩が前面に出ることなく、でもしっかりと描かれ、それゆえの教師の葛藤がガンガンと迫ってくる。そして『イゴールの約束』でも感心させられたオリヴィエ・グルメの演技を超えた演技にまたしてもやられた。大工仕事の手際の良さはもちろん、その身のこなし、何かのついでに部品を取る仕草、痛めた腰をかばう歩き方、復讐心でも愛情でもない少年に向ける眼差し。オリヴィエ・グルメ、この男を見るだけでも価値がある。そしてこの男をここまで引き上げているのはまぎれもなくダルデンヌ兄弟の力なのだ。
[DVD(字幕)] 7点(2006-11-01 11:42:41)
137.  ヴィレッジ(2004) 《ネタバレ》 
前作の『サイン』で宇宙人の影に隠れてしまった現実社会の描写。汚染された水、隣人の嫌がらせ、過酷な労働条件、それゆえに起こった理不尽な交通事故、食べたいものはジャンクフード、そしてテレビだけを信じる家族。そんな病んだ社会から逃れて閉じた空間で暮らす面々が『ヴィレッジ』の住人。まるで『サイン』のあの家族が外の世界を見えないように窓を覆い隠したように。盲目のヒロインが盲目ではないかのように暮らす姿は現実を見ないように見ないようにしているヴィレッジの住人たちがヒロイン以上に盲目であることを提示している。年寄りだけでなく若者たちも目先のものしか見ていない。スーツのしわを気にする男もその典型的な描写といえる。『サイン』のあの家族たちは奇跡を信じたが住人たちには何も見えない。その結果の悲劇。そして外を見ようとする二人の若い男女がいずれ奇跡を体現するのだろう。この映画はそんなわずかな光を残して静かに終わる。うまいなぁと思ったんですが、、。ビジュアル的にも森の中の赤と黄色が強烈な印象を残していてけっこう気に入ってます。
[DVD(字幕)] 7点(2006-10-27 14:05:25)(良:1票)
138.  サイン 《ネタバレ》 
まず、観ている時はかなり楽しめたということを先に言っときます。ミステリーサークルが宇宙船の降り立つ目印?いやいや、宇宙船なんか無いんじゃないだろうか。あるのはテレビの中だけじゃん。「何も手を加えていません」と協調するアナウンサー。怪しいなぁ、どっちにしてもいつもは手を加えているってこと?人間を食う?誰もそんなところ見てないじゃん。水に弱い?汚染に敏感なだけでは?これって不安が間違った情報に踊らされることを助長してパニクってるだけ?そんな風に見ていたので楽しめたわけです。でも宇宙人が登場。撃退法はずっと以前に死の間際で発した妻の言葉にあった。偶然ではなく神の起こした奇跡。シャマランの映画にいつのまにか着地。これも楽しめた。でも公開直後からの酷評の嵐に促されたかのように、私の解釈だと話が繋がらないことに気がつく。ま、いいではないか。そのとき楽しめたのならと思っていたが、今思い出しながらレビューを書いていて、いや、これってちゃんと繋がってるぞと。幽霊やヒーローがいたように「宇宙人がいた」。なぜ来たのかは知らん。そして助かった。それは様々な偶然の重なりではなく「奇跡が起きた」から。それ以外は不正確なメディアの嘘。噂。疑心暗鬼。ちょっと強引か?
[映画館(字幕)] 7点(2006-10-26 13:57:31)
139.  アンブレイカブル
映画に何を求めるか、何を楽しむかは人それぞれあるだろうが、ストーリーが面白いか面白くないかは好みはあるだろうけど面白いものは誰が見たって面白いし、面白くないものは誰が見たって面白くないものだと思ってたけど、違ったみたい。これは前作『シックス・センス』を勝るほどの面白いストーリーだと思ってたのですが世間の評価はイマイチのようですね。個人的には非常に楽しめた。ストーリーも良いが、その見せ方も秀逸。冒頭に生まれながらに骨折した赤ん坊が映され、列車に乗るブルース・ウィリスが映されるが、黒人と白人とすることで同一人物ではないことを判らせたうえで見せてます。でも両者ともがこの映画において非常に重要なキャラで、その重要さが同等であることを宣言しています。これが最後に効いてくる。何もかもが真逆な二人なんだからオチは当然のオチといえる。それでも驚いた。天から授かった力の封印が家族を崩壊へと招き、力の使用が再生を招くというシャマランの信仰とも言えるテーマが物語を美しくさせ、オチに拘らない映画へと昇華させていると思う。と同時に負の力を持つ悲しき運命に涙する。
[DVD(字幕)] 7点(2006-10-25 15:48:59)
140.  風花(2000) 《ネタバレ》 
物語がとんでもない方向へ飛んでゆくことを期待しながら見ていても、いつまでたっても淡々と進んでゆく。それでも変な二人の、かたくなに寄り添わない二人のロードムービーに次第に引き込まれてゆく。「風花」とは山肌の雪が風にさらわれ花びらのようにひらひらと舞う雪のことなんだそうです。小泉演じる風俗嬢も浅野演じるエリート官僚も昔は持っていただろう「目的」を失いまるで風花のようにフラフラと人生を消化してゆく。その行き着く先に「死」を見つめる。しかし風花が溶けるということは「死」を意味すると同時に春を招く、つまり「再生」を意味する。まさに二人のロードムービーは「再生」への旅。顔を上げる時期は必ず訪れるのだ。春を告げるカエルがぴょんと跳ねるエンディングが清清しい気分にさせてくれます。
[DVD(邦画)] 7点(2006-08-25 18:24:02)(良:1票)
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