121. 鉄くず拾いの物語
《ネタバレ》 この映画は主人公たちの日常生活を観賞する「作品」ではありません、我々の「なぜ?」という気付きを喚起させ、この物語の背景にある問題について考えさせるための「素材」なのです。 社会の抱える諸問題の多くは、静かに深く佇んでいることを、セミドキュメンタリータッチで示しています。 [DVD(字幕)] 7点(2014-11-01 12:19:19) |
122. 海炭市叙景
《ネタバレ》 ドラマティックな展開は殆ど無いのに、約2時間半ついつい見入ってしまいました。 退屈と漠然とした不安が漂う地方都市に住む市井の人たちの日々の呟きを、上手く切り取ってつなげ、一つの作品にしてしまう佐藤泰志の才能と、80年代に創られた原作を今の時代に持ってきて上手く映像化した熊切監督の技量が上手くマッチしています。 地方都市が80年代に「変わりゆく日本」に乗っかろうとしながらもどこか取り残されていく姿が、現在「変わりゆく世界」に取り残されそうになっている「日本」にどこか被っているように感じられ、この作品が現在再評価されているのも理解できます。 内容については、やはり最初の物語のエピソードに漂う虚無感がこの作品のキモなので、そういう意味で、谷村美月と竹原ピストルのキャスティングが見事にハマっていて作品全体のクオリティも引き上げていると思います。 後は、とにかく「猫を抱いた婆さん」のインパクトの強さですね。この人を見つけてきた熊切監督の眼力に感服しました。 [DVD(邦画)] 7点(2014-10-04 10:07:16) |
123. クラシコ
《ネタバレ》 今や、Jリーグの理念の理想像ともいえる松本、そして長野の黎明期を描いた貴重なドキュメンタリーです。 いずれは、J1の舞台で繰り広げられるであろう信州の2チームの原点を記録した貴重な映像作品です。しかしまあ、バドゥ監督は日本で成功してもらいたかったとつくづく思わされました。 [インターネット(字幕)] 7点(2014-08-09 10:52:48) |
124. きっと ここが帰る場所
《ネタバレ》 「大人に反抗する子供」のまま年齢を重ねた男が実はもう反抗する相手などいないのだと気づくまでの過程を追った物語 [DVD(字幕)] 7点(2014-06-03 23:57:31) |
125. 桜並木の満開の下に
《ネタバレ》 日立の桜を観にいきたいと思いました。 作品内容については、見ていて「まあ仕方ないよね」を連発してしまうような内容なんですけどね・・・。個人的には、日立の町工場が舞台なのに皆が標準語をしゃべっていることに違和感を感じてしまいました。日立が舞台なんだけど日立じゃないみたいな・・・まあ、仕方ないのはわかっていますが・・・。 [DVD(邦画)] 7点(2014-05-03 00:26:10) |
126. 最初の人間
《ネタバレ》 故郷であるアルジェリアの紛争に対峙し苦悩する「大作家」カミュの姿とその背景を映し出した非常に興味深い作品でした。人間としてのカミュが全編を通して描かれていて、これまでよりも親しみを覚えましたね。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-04 14:57:25) |
127. 眠れる美女(2012)
《ネタバレ》 尊厳死という難しいテーマを軸に3つの物語を展開させているのですが、重苦しさはそれほどなく、むしろ登場人物たちの日常を時にはユーモアや皮肉を交えて描いているので非常に面白く観賞できました。 相変わらずセンスのある映像美と実力派のキャスト陣の安定した演技も見ものでした。まあ、主テーマについての結論は曖昧な感じで、結局は「愛」に行き着いたなという感想です。 [映画館(字幕)] 7点(2013-12-07 08:54:21) |
128. 我らの生活
《ネタバレ》 イタリア社会が抱える問題が描かれていて興味深かったです。不法就労移民の問題、金が何事にも優先される風潮等々日本以上にシビアな状況にはいろいろと考えさせられました。 まあ、いろいろな要素が詰め込まれているためか、後半ストーリーの流れが駆け足で収束されていったのがちょっと物足りなかったですね。 [映画館(字幕)] 7点(2013-11-09 08:10:46) |
129. トリシュナ
《ネタバレ》 とにかく、フリーダ・ピントの美しさとインドの猥雑な力強さ、勢いが非常に印象的な作品でした。特にムンバイの光景は圧倒的でしたね。その中で、古風な主人公が翻弄されていく様が物悲しく感じました。 しかしまあ、途中から若干下種な内容になってきて、そのままラストまで薄っぺらな感じになってしまったのがやや残念でしたね。 [映画館(字幕)] 7点(2013-11-09 08:08:53) |
130. アルゴ
《ネタバレ》 何と言っても「事実に基づいて作られている」ということが、この映画の緊迫感にリアリティを与えていると思います。多少の脚色はあるにしても、イラン革命の雰囲気や当時のアメリカ社会の状況、危機に対する国家の中の人間臭いドラマ等々非常に興味深かったです。イランの人々の描き方については、完全に上から目線で、アメリカという国が持つ世界観を見せてくれていますね(狙ってるのかどうかは知りませんが)。 「アルゴ作戦」自体が荒唐無稽で粗く、フィクションであればおそらくコメディタッチで処理するしかないような代物なので、なぜこの作品が成功したのかという裏側を想像するのも一つの楽しみかもしれません(アメリカが大統領選挙の最中であったことだったり、後にイラン・コントラ事件が発覚するなど、いろいろ想像のネタはあります)。 映画の作りも、まるで70年代後半から80年代前半の雰囲気に満ち溢れていて、まるで当時の作品を観ているかのような気になりました。 終盤の展開は当時の解放に対する熱狂とその裏側が描かれていて、「我々が真実だと思っていることは、実は作られた真実なのかもしれない」とちょっと考えさせられましたね。 [DVD(字幕)] 7点(2013-11-02 07:46:43) |
131. 探偵はBARにいる
《ネタバレ》 ストーリーを楽しむというよりは、北海道、特に札幌の風景を楽しむ映画ですね。キャスティングも70年代から80年代の探偵ドラマを思い起こさせるような渋さでよかったです。 観た後に札幌に行きたくなる映画です。2作目も楽しみです。 [地上波(邦画)] 7点(2013-10-30 23:20:55)(良:1票) |
132. 桐島、部活やめるってよ
《ネタバレ》 学校の暗黙の階級関係を描いている作品ということで興味深く観賞しました。アメリカなんかはこのテーマでコメディやらドラマやらいろいろ映画を作っていますが、日本も今はそういう感じなんですかね? 自分が通ってた学校が男子校ということもあってスクールカースト的なものがあまりなかったので、どうしてもリアルさを感じることがあまり無かったのですが、それでも橋本愛の役柄のリアルさには、「あるある」と思わされましたね・・・・。 [DVD(邦画)] 7点(2013-10-05 01:23:04) |
133. 11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち
《ネタバレ》 三島由紀夫の自決前の姿を、当時の左翼運動とリンクさせながら描いていて非常に興味深い作品でした。何というか、世の為人の為を考えた行動というよりは自分の思い・美学を貫こうという幼いともいえる姿勢から来る行動という面が強いように感じて、「日本文学史に名を残す文豪」というイメージがやや崩れましたね。 国の運営に理想や目標は必要かもしれませんが、そこに美学を持ち込むことの危うさを感じましたね。 [DVD(邦画)] 7点(2013-08-17 01:20:35) |
134. チキンとプラム ~あるバイオリン弾き、最後の夢~
《ネタバレ》 なんというか、作風はファンタジックですが内容は非常にシビアでしたね。主人公の思いも、周囲の人たちの思いも結局は自分の中で秘めたもので終わってしまい、悲しい結末を受け入れざるを得なくなってしまいましたからね・・・。 相互理解の大切さ、そして難しさを痛感させられる映画でした。 [ブルーレイ(吹替)] 7点(2013-05-23 00:23:34) |
135. 小さな池 1950年・ノグンリ虐殺事件
《ネタバレ》 一般の庶民にとって戦争というものがどういうものなのかを冷静に映し出した作品です。ドラマ性もなく、映画的な面白さにも欠けている作品ではありますが、戦争の作戦遂行にあたっては、人間性や人間の尊厳なんてものは微塵も考慮されないことを伝えてくれます。 同じ民族なのに、大国の思惑により分断され殺し合いをするハメになってしまう朝鮮半島の悲劇が良く描かれています。 [DVD(字幕)] 7点(2013-02-16 13:25:04) |
136. 聯合艦隊司令長官 山本五十六―太平洋戦争70年目の真実―
《ネタバレ》 この映画で興味深かったところは、山本五十六という人物の考え・行動よりも、大本営発表をそのまま載せ、国民を煽りつづけたマスコミと、その報道を受けて心理的に勢いづく多くの国民の姿を描いているところですね。 報道は事実を冷静に伝えるのが本筋であり、そこに思想や思いを付け加えることがいかに危険であるのか良くわかります。 [地上波(邦画)] 7点(2013-01-19 09:36:14) |
137. ギリギリの女たち
《ネタバレ》 ストーリー的には普遍的な家族ドラマで、特筆するようなものはありません。ただ、3.11の被災地に住居を構え生活していた小林政広監督だからこそ描ける被災地の状況は非常に興味深かったです。 今後も被災地住民のリアルな感情を描く作品を撮ってもらいたいですね。 [DVD(邦画)] 7点(2012-12-16 23:51:17) |
138. 家族の庭
《ネタバレ》 非常に優しい雰囲気に包まれた作品でありながら、人生の厳しさを鋭く描いています。なんというか、日本で見ても何の違和感もない設定で、どの国でも皆抱える悩みとか問題はそんなに変わらないのだなと思いました。 しかしまあ、終盤の展開のシニカルさはちょっとハートに堪えましたね・・・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2012-11-11 01:59:31)(良:1票) |
139. ルート・アイリッシュ
《ネタバレ》 コメディだった前作「エリックを探して」から一転して、本来のケン・ローチ監督らしく世の中の酷い現実を怒りをこめて告発する社会派ドラマに仕上がっています。 今回は戦争を商売にしている民間会社が取り上げられていて、かなり重苦しい内容ではあるのですが、途中からまるで必殺仕事人のような展開になり見応えがありました。ただし、決してスカッと溜飲が下がるようなヒーロー物ではなく登場人物の一人ひとりが人間としての弱さを抱えていて、やはりケン・ローチ作品だなと感じましたね。 [DVD(字幕)] 7点(2012-11-11 00:47:53) |
140. ALWAYS 三丁目の夕日‘64
《ネタバレ》 相変わらず、昭和の高度成長時代を舞台にした時代劇という感じでしたね。まあ、ここまで来たら、同じ設定で60年代後半から70年代、80年代の移り変わりまで描いて欲しいですね。 なんというか、吉岡秀隆だけがコントみたいな演技になっているのが気になりましたが、まあ安心してみていられる作品でした。 [DVD(邦画)] 7点(2012-10-21 22:34:38) |