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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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121.  ザ・キープ 《ネタバレ》 
この映画を酷評してしまうのはたやすいことなんだけど、マイケル・マンとタンジェリン・ドリームのコラボにはやはり捨てがたい魅力があります。初っ端からトランシルヴァニアのドヨーンとした曇り空が映り、そこにタンジェリン・ドリームのスコアがかぶさって掴みはもう文句なしです。城(キープ)の内部も雰囲気ある美術セットで、ドイツ軍兵士の装備や服装も凝りまくっています(武装SSに関してはちょっと手抜きましたね)。でもそれも封じられていた魔物が出現するまでで、はっきり言って魔物の造形と光学処理にはガッカリさせられました。 でもいちばんの問題はストーリー展開とあまりに首を傾げたくなるキャラ描写で、どうもこいつは善玉の超能力者みたいなんだけど、程度しかスコット・グレンのキャラなんかは理解できません。原作は分厚い上下巻の大作小説みたいで、それを90分程度に収めようとすること自体がムリだったんじゃないでしょうか。マイケル・マンの仕事とは思えない様な雑な編集からも、どうもプロデューサーあたりが尺をだいぶ切りまくった形跡が窺えます。マンもまだ駆け出しでこれが長編第二作目ですから、あまり文句も言えなかったんでしょうね。もしディレクター・カットがあるのならぜひソフト化して欲しいものです。 余談ですけどSS将校役のガブリエル・バーンの髪形が、北朝鮮のあの若将軍さまを思い出させてくれて困りました(笑)。
[ビデオ(字幕)] 5点(2015-07-09 20:28:09)
122.  ゆきゆきて、神軍 《ネタバレ》 
“ドキュメンタリー映画の最高峰”“凄い映画体験”などの世評は聞いていましたが、観終わってからの感想は、もう嫌悪感しか残りませんでした。引き合いに出すのもヘンかもしれませんが、自分にはこの映画を観て『ありふれた事件』が思い出されて仕方ありませんでした。共通しているのはどちらの主人公もカメラの存在を意識し過ぎだということです。奥崎という人、元から過激というか粗暴な人物だったんでしょうけど、自分が主役として撮られているという自覚が過剰な演技に繋がってゆくという影響を間違いなく与えていると思います。途中から銃殺された兵隊の遺族に逃げられて、ニセ者を同席させ始めたのにはさすがに唖然としてしまいました。製作者たちは「虚実を超えた構成」などと自賛しているみたいですが、これはTVバラエティでやったら大問題になるヤラセ以外の何ものでもありません。監督が田原総一郎の弟子だったという経歴を知って、まあ納得しましたが。 この奥崎という男はとにかく自分の狂信以外は決して認めない、他人にも私生活があるなんてことはこれぽっちも理解していないという、もうまるっきりサイコパスだということは良く判りました。自分の私怨を晴らすために亡き戦友を利用しているだけとしか思えない。彼は終戦1年前に投降して捕虜になったみたいで、敗戦まで部隊に残った兵士たちより食料事情ははるかに恵まれていたわけです。本人に自覚はないかもしれませんが、彼の深層心理にはそれが深い負い目になっているのかもしれません。そんなキチ○イ男に群がってカネもうけのネタにする映画屋たちにも反吐が出そうです。 「これこそがドキュメンタリー映画の神髄なんだ」と説教されるぐらいなら、この世からドキュメンタリー映画なんて消えてしまった方がせいせいします。
[DVD(邦画)] 1点(2015-07-06 22:46:03)(良:1票)
123.  ダーティハリー4 《ネタバレ》 
シリーズ唯一のイーストウッド監督作ですけど、まだ作風がドン・シーゲル風味だったころですので出来としてはB級色の強い刑事アクションという感じです。前作以上に「泣けるぜ」とぼやく回数が多かったようで、ハリー・キャラハンもちょっとくたびれてきたかな、という印象ですね。「ゲームのルールは変わったんだぞ」という上司のお説教のおかげでしょうか、本作ではとうとうオート・マグナムを使う様になってしまいました。ラストのオート・マグナムを構えてシルエットになって悪漢の前に現れるところなぞ、「待ってました!」と掛け声をかけたくなるカッコよさですね。でも殺しのシーンではソンドラ・ロックの“股間撃ち抜き殺法”の方がはるかにエグくて、どっちかと言えば主役は彼女じゃないでしょうか。 シリーズとしての疲弊感はキャスティング面において濃厚で、『ガントレット』組のソンドラ・ロックやパット・ヒングルは我慢するにしても、ハリーの相棒が『3』にも出てたアルバート・ポップウェルというのはさすがにどうかと思います。だってこの人、前作では悪役だったんですから、いくら7年のブランクがあったとしてもちょっとあり得ない配役ですよ。良く観るとこの俳優は第一作から全部に悪役として出演していて、とうとうハリーの相棒にまで登りつめたって訳です(笑)。イーストウッドのお気に入り黒人俳優だったみたいで、彼の後継者がモーガン・フリーマンということになるんでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-06-30 00:52:09)(良:1票)
124.  ハムレット・ゴーズ・ビジネス 《ネタバレ》 
カウリスマキ版『ハムレット』で舞台を現代のフィンランドに置き換えています、いわばイーサン・ホークが主演した『ハムレット』の元ネタとも言えます。おそらくセリフをひとつもカットしなかったケネス・ブラナ―版の『ハムレット』の対極に位置する作品で、歴代映画の中ではもっとも尺が短いんじゃないでしょうか。“生きるべきか、死ぬべきか”とか“尼寺に行け”等の有名なセリフは見事にスルーですからね。可哀想に、Wikiでは『ハムレット』の映像化作品にはカウントされてません(泣)。 カウリスマキはこのシェイクスピア劇を悲劇というよりはホラーに近いテイストで解釈している感じです。 またハムレットのキャラも軽薄そうに見えて実は冷酷な男で、オフィーリアも父と共謀してハムレットに陰謀を仕掛ける女だというのも面白いところです。観終わっての感想はカウリスマキ映画にしては珍しくセリフが多かったなと言うことで(まあこれはシェイクスピア劇なんだから当然でしょうが)、会議で唐突に出てくるアヒルちゃんなどちゃんとカウリスマキ印は健在でした。
[DVD(字幕)] 6点(2015-04-19 21:50:41)
125.  フィラデルフィア・エクスペリメント(1984) 《ネタバレ》 
さすが“製作総指揮ジョン・カーペンター”だけあって、広げた風呂敷のたたみ方がなんとも豪快というか強引ですね(笑)。タイムスリップものは個人的には大好きなんですけど、しょせんこのジャンルはバカ話であることも承知しております。でもバカ話であるにしてもプロットや伏線には知恵をしっかり使ってくれなきゃ映画としては困るんで、タイムスリップ映画にはこれが判っていないバカ映画が多すぎるんですよね。 ほぼ同じ実験を40年もたってから繰り返す科学者もどうかしてるけど、この博士がバカに見えてしょうがなくなる大きな理由があるんです。時空間に穴を開けてしまって「世界の滅亡だ!」とあわててますが、エルドリッジ号が40年前には再出現したということはマイケル・パレが電源を切れたからで、つまり始めから時空の大穴がふさがることは判っていたという結論になります。パラレル・ワールド理論ならこの大騒ぎは理解できるのですが、この脚本には端からそこが念頭にないのですからしょうがないですよね。 あとひとこと言わせて頂ければ、ラストの現代に戻ってくるマイケル・パレには浦島太郎みたいに一気に老けてくれたら面白かったんですけど…
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-03-19 22:32:53)
126.  800万の死にざま 《ネタバレ》 
監督がハル・アシュビー、脚本がオリヴァー・ストーンという布陣でここまで面白くない映画が出来ちゃったというのはある意味サプライズです。このお二人、良く考えたら刑事アクションもの映画に関わったのはほとんど本作だけなんですよね、やはりこれは人選ミスなんでしょう。 まず一夜だけのあんな薄い間柄だったのに、なんでジェフ・ブリッジスがあの娼婦の仇を討とうと奮闘するのかがさっぱり理解できないし、当然感情移入もできません。あの手のタイプの男なら、娘もいることだし奥さんと縁りを戻す方向で努力するほうが自然なストーリー・テリングだと思うんですけどね。終わってみればまたまた娼婦のロザンナ・アークエットと仲良くなってるとはなんか違う感じがするんです。こういうのがハードボイルドなんだと思ってるとしたら、オリヴァー・ストーンも勘違いが甚だしいですよ。 唯一この映画で興味が引かれたのはがらんどうの倉庫でジェフ・ブリッジスとアンディ・ガルシアたちが人質交換で三すくみ状態になるシークエンスで、タランティーノお得意のプロットの原型みたいな感じでした。シネフィルのタラの事だから、きっとこの映画も観てて影響を受けているのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2015-02-27 01:18:37)
127.  ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ 《ネタバレ》 
いつも思うんだけど、マイケル・ケインのコメディ演技はどの映画でも最高です。シニカルでスノビッシュなキャラではとくにその技が冴えわたりますね。彼こそ、デヴィッド・ニーヴンの正統な後継者だったわけですね。 コン・ゲーム映画としては『テキサスの五人の仲間』に匹敵する後味の良さを持った映画でもあります。相手役のスティーヴ・マーティンがこれまた絶好調で、ケインの可哀想な弟に化けるシークエンスはもう爆笑です。オチは中盤からだいたい察しがつきましたけど、それでもラストのケインとマーティンが呆然自失となるダメ押しには大笑いさせて頂きました。これ、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットをフィーチャーしてソダーバーグが監督でリメイクしたら面白いんじゃないですかね。コルゲート嬢はジュリア・ロバーツなんかを使って、おっとこれじゃあ『オーシャンズ』シリーズそのまんまでした(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-01-24 23:17:41)(良:1票)
128.  バタリアン 《ネタバレ》 
根拠はないですけど、おそらく日本でいちばん愛されているゾンビ映画ではないでしょうか。グロあり、エロあり、そして涙ありとゾンビ映画のジャンルを超えた80年代を代表するコメディ・ホラーの傑作です(ちょっと言い過ぎですかね)。 注目は何と言っても赤毛のトラッシュ姐ちゃん、演じているのはB級ホラー映画の三大絶叫クイーンのひとりと崇められたリネア・クィグリーでございます。もうほれぼれする美乳でしたが、そう言えば彼女が墓場でいきなり脱ぎ出すシーンで流れる“Tonight (We'll Make Love Until We Die)”は、ストリップティーズの代表的なBGMとして一時期定着していましたね、これも本作の偉大なる業績かもしれません。 上半身だけになった婆あゾンビが“オバタリアン”だとずっと認識してましたが、実は“オバンバ”とネーミングだったことを今回観直して初めて知りました、まあどうでもイイことですけどね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-01-14 20:51:14)
129.  プラトーン 《ネタバレ》 
ベトナム戦争に従軍した人がこの映画を観て号泣したという話がありますが、なんか良く判る気がします。なんせオリヴァー・ストーン自身のベトナム戦争体験を基にした脚本ですから、軍隊生活のディティールはきっと真に迫ったものでしょう。そしてこの映画に全篇にわたって満ち溢れているのは“モラルと価値観の崩壊”でしょう。その象徴としてエリアスとバーンズという人物を創造したストーンの作劇術はレベルが高く、彼の書いた脚本の中でもベストと言ってよいでしょう。また随所に“弦楽のアダージョ”を流すセンスもベタながらも感動的で、エリアスがまるで弁慶みたいに大往生するシーンは観るたびに泣かされます。この有名なシーンはいまやベトナム戦争映像のアイコンにまで昇華していますからね。ジョニー・デップがチョイ役で出演しているところも注目です。 日本の団塊世代がいいとこ取りの食い逃げしてるのとは大違いで、アメリカのベビー・ブーマー世代は血を流し犠牲を払ってきたんですね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-01-08 22:25:17)(良:1票)
130.  プレデター 《ネタバレ》 
この映画も考えてみると『フロム・ダスク・ティル・ドーン』顔負けのハイブリッド・ムーヴィーなんですよね、バリバリのコマンド潜入アクションで始まったのがモンスターSFで終わってしまうんですから。シュワちゃんはこの映画のダッチ少佐が、“人間役”としては彼のフィルモグラフィの中ではベスト・アクトなんじゃないでしょうか。いやはや強いのなんのって、このキャラが後半のプレデターとの対決にリアリティを与えてくれます。部下たちも凄腕揃いという感じが良く出ていました。 何と言ってもこの映画のすごいところは、プレデターの事については最小限しか情報を観るものに与えない放置プレイに徹しているところです。プレデターの素顔にご対面したときの「醜いツラだ」というシュワちゃんの感想が全てを物語っているとも言えますが、それにしても気持ち悪いお顔です、このデザインをクリエイトした人には敬意を表したいぐらいです。さすがにこの映画を観ながら蟹とかシャコを食する気にはなれませんよね(笑)。 ラストでヘリの中でプレデターとの激闘に疲労困憊して呆けた表情を見せるシュワちゃんが印象的でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-12-29 20:27:40)
131.  スターマン/愛・宇宙はるかに 《ネタバレ》 
“愛”とか“ハート・ウォーミング”といったジャンルには縁遠いと思っていたカーペンター親父でも、その気になったら出来るんですよね。もっともこういうテイストの映画をカーペンターが撮ったのはこれだけで、おそらく今後も手がけることはないでしょう。 何と言っても素晴らしいのはジェフ・ブリッジスの演技で、地球人になり変ったスターマンをまるで知的障害者みたいな演技で表現するなんて素晴らしいアイデアです。いつものジェフらしい表情もほとんど見せないので、まるで違う俳優かと思うぐらいです。音楽もいつものようにカーペンター御大の♪ベン・ベン・ベンの重低音サウンドじゃなく、ジャック・ニッチェの美しいスコアを使っているのもグッドです。 ぶった切った様なラストはいかにもカーペンターらしさが出ていましたが、思いもよらずカーペンター映画でホロリとさせられるとこでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-12-16 23:02:16)
132.  チェンジリング(1980) 《ネタバレ》 
凄く怖い映画が観れるかと期待値大で鑑賞しましたけど、ちょっと期待外れでした。たしかに河に捨てたボールが家の中で転がっていたりする描写もあって見せかたに工夫はあるんですけど、お話しが進むにつれて私が怪談映画で重視している「訳のわからない恐怖」が薄れて行っちゃうのが残念なんです。刑事をあんな凄い技で殺せるなら、この霊なら核心人物をもっと簡単に誅することが出来るでしょうにね。あとジョージ・C・スコット、もうこの主人公が全然霊現象を怖がらないいつものスコットで、それどころか仕事をそっちのけで霊の復讐のヘルプに邁進しちゃいます。やはりこの人は悪魔と闘うエクソシスト見たいな役柄の方がお似合いですね。 どうも海外の怪談には日本と違って“ものの哀しみや哀れ”が希薄なんでどうも性に合わないんです。
[DVD(字幕)] 6点(2014-12-07 23:54:02)
133.  ブラック・レイン 《ネタバレ》 
追悼、高倉健。この映画は日本人出演者の中では健さんよりも松田優作の方が今まで圧倒的に注目されてきてましたが、改めて観てみると随所にそれまでの高倉健のイメージを変える様な人物造形が見られます。上司に忠実な窓際族だったり、なんせあの健さんがヘンなサングラスをかけてレイ・チャールズのモノマネさせられるんですから、リドリー・スコットも怖いもの知らずです。対照的にマイケル・ダグラスはいつも通りで、『氷の微笑』の荒っぽい刑事と同一キャラを再登場させたのかと思いましたよ。 お話自体は前年に製作された『レッド・ブル』の設定を真逆にした様な感じがします。『レッド・ブル』と違って主人公の方が敵の母国に乗り込むわけですから、それだけ敵国たる日本の描写をどれだけ丁寧に撮れるかが映画の出来を左右するわけです。でもそこはリドリー・スコットはご覧のとおり自分のやりたい通りに大阪を撮っちゃってますが、センスが良いから様になってます。毎日自分が通勤で通っていた阪急梅田駅のコンコースが、あんな幻想的な映像になるなんて思いもよりませんでした。難波・十三・京橋・神戸とロケしていますが地元の人間が見ると確かに空間的にはおかしなところも有りますが、これはリドリー・スコット世界なんだから良いんです。でもクライマックスの田舎家の対決だけは風景からしてアメリカで撮影したことがミエミエだったのは残念でした。 ラスト、松田優作を殺さずに逮捕して府警本部に連行するところも普通のハリウッド・ポリスアクションとは一味違っていて良かったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-11-22 20:55:12)(良:1票)
134.  ラストエンペラー 《ネタバレ》 
そう言えば『秦・始皇帝』も自分は観たので、知らないうちに“中華王朝マラソン完走!”の偉業を達成していました。でもその間の2100年間の中華皇帝の映画なんて観てないし(そんな映画自体がほとんど存在してないでしょ)、すみません全然意味がありませんでした(笑)。 ご存知、史上2作しかないオスカーのパーフェクト受賞達成(これはもう紛れもない偉業です)映画ですが、ひとことでまとめるとベルトリッチという西洋人の眼で観た現代中国史と言えるでしょう。頑迷なる東洋文明が近代西洋文明によっていかに変容させられたかということを追求する視点が貫かれています。西洋文明には共産主義も当然含まれるわけです。あとかなり溥儀の残した自己弁護に基づいて脚色され、お決まりの日本悪玉パターンが徹底しているところも要注意です。この映画は溥儀が紫禁城を出るまでの前半が映像と言いドラマチックな構成といいもうパーフェクトなんですが、満州に舞台が移ってからはとくに日本含みのパートが妙に薄っぺらで価値を落としています。坂本龍一の甘粕正彦なんて登場させている意図が判らないほどの影の薄さでした。婉容の私生児の件なんか、まるっきり日本が殺させたなんて史実と真逆の描き方なのはちょっと酷すぎの感があります。 溥儀の人生は日本が利用して狂わせたが、共産中国が刑務所で教育して真人間に生まれ変わらせたという結末なんですけど、ベルトリッチは共産主義を信じているんだなとため息が出てしまいます。 私の祖父は満州国政府の日本人官吏だったので皇帝溥儀と接触する機会もあったのですが、「溥儀は腹黒くて冷酷な人物だった」と回想していたそうです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-11-17 23:56:54)(良:1票)
135.  暴走機関車 《ネタバレ》 
黒澤明が投げた企画を形にしたゴーラン&グローバスのキャノン・フィルムの功績は素直に認めてあげたい。なんで監督がアンドレイ・コンチャロフスキーなのかという疑問はありますけどね。でも映像の随所にソ連の映画監督を引っ張ってきたという効果はみて取れます。刑務所の荒れっぷりや仕事に対する緊張感が不足している鉄道会社の社員たちの姿は、アメリカというよりも当時のソ連社会を投影しているみたいです。ジョン・ボイトを屋根に載せて機関車が突っ走るラストには、ソ連の映画作家が好む無常感に通じるものがあります。 黒澤のオリジナル脚本はもっと乾いたスリルとサスペンスを強調したものだったそうですが、それをアメリカ人がリライトしたら男と男の情念のぶつかり合いみたいな日本的なストーリーになってしまったというのも皮肉なもんです。出演者の中では半分ぐらい経ってようやく登場してきたレベッカ・デモーネイ、いつもの厚化粧とは打って変わってほとんど素ッピンみたいな田舎の芋ネエチャン風が良かったです、ほとんど活躍しなかったけどね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-10-17 21:14:32)(良:1票)
136.  ワーキング・ガール 《ネタバレ》 
いやはや何とも、あのジョーン・キューザックの存在感というか厚化粧の凄さは強烈でございました。連獅子ヘアスタイルもさることながら毒々しいアイシャドウのメイク、もう荒事の歌舞伎役者そっくりです。メラニー・グリフィスもさんざん下着姿を披露したけど完全に喰われちゃった感がありました。 下積みキャリアウーマンの逆転サクセス・ストーリーといういかにも80年代らしさに溢れたテーマで、似た様なプロットの『赤ちゃんはトップレディーがお好き』(もっともこっちはエグゼクティブ・ウーマンがヒロインでしたが)に比べてみるとはるかに映画としての出来は上かなと思います。シガニー・ウィーバーが長を務める買収部門のフロアーが、良く見ると30人近くスタッフがいる様に見えるのに全員が女性というのはちょっと壮観でした、日本の証券会社では考えられないことですよ。そしてハリソン・フォード、この映画では三女優がオスカーにノミネートされたのに彼だけ無視され、まあそれも納得の平常運転の演技ですから。でも、ボタンをひとつも外さずにスルリとYシャツを脱ぐ妙技は、ワンシーンだけでしたけどなかなかレベルが高い技でした(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-10-07 21:45:27)
137.  赤ちゃんはトップレディがお好き
そう言えばむかしDINKSという言葉が流行りましたよね、とっても懐かしい気持ちです。そして80年代にはほんのちょっと社会性をまぶしたラブコメが流行ったんですよね、この映画はその奔りみたいなもんです。 ダイアン・キートンを強引な展開で子持ちにしちゃってからの軽いというかご都合主義の極みの脚本、この手の映画は雰囲気を愉しむのが正解なんで気にしないことにいたしましょう。キートンのスーツ姿のキャリア・ウーマンというのも珍しいのですが、さすがにファッションセンス抜群の彼女だけあって見事な着こなしです。でもそのキートンもサム・シェパードも喰われてしまったのが、あのエリザベスちゃんの名演技です。この子は映画出演もこれだけで子役の道も歩まず普通の人になっているみたいですが、今では30代半ばというところ、どんな女性になったのかいっぺん見てみたいですね。
[ビデオ(字幕)] 5点(2014-10-04 20:56:16)
138.  バーニング 《ネタバレ》 
懐かしいですね~バンボロくん。この映画は東宝東和が当時大宣伝した底抜け超大作のひとつですが、これが実際観てみると『13日の金曜日』をパクった典型的なB級映画でした。日本人にB級映画を突っ込みながら観るという作法がまだ理解されていないころですからしょうがなかったかもしれませんが、もうこれは詐欺です。中身も子供たちの悪戯で大やけどを負ったキャンプ場の管理人が復讐するスラッシャー映画ですが、この殺人鬼バンボロ(これは東宝東和が勝手につけた名前)、ジェイソンやフレディーの様なスーパー・ナチュラルではなくただの性格の悪いおっさんだというのがどうも気にかかります。ラストでやっと全身を見せますがまるで溶解人間みたいなお顔で、障害者を化け物扱いしてるみたいでなんか後味が悪いです。 この映画はワインスタイン兄弟のミラマックス製作で、ボブ・ワインスタインは脚本にまで参加してます。彼らもその活動原点はロジャー・コーマンと大して変わらなかったんですね。眼を皿のようにしても判別出来なかったホリ―・ハンターは別にしても、スタッフがムダに豪華なんです。特殊メイクはトム・サヴィーニ、『ヒドゥン』のジャック・ショルダーが編集ですが、音楽を担当したお方に注目です。アルジェント映画のゴブリンの様ないかにも安っぽいサウンドが基調なんですが、何とリック・ウェイクマンが書いたスコアなんですよ。どうしてここに彼が引っ張って来られたか、それは大いなる謎です。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2014-09-20 23:34:16)(良:1票)
139.  バーディ 《ネタバレ》 
正直言って中盤までは「ちょっと退屈な映画だな」という感想でニコジーの髪の毛ばかりに眼が行ってしまったんですが、バードアイ・ビューの映像を見せてくれるあたりからはラストまでぐいぐいと引き込まれてゆきました。マシュー・モディーンは一世一代の名演なんじゃないでしょうか。この頃はまだニコジーとマシューは同格だったのに、かたやニコジーは稼いだカネを湯水のように浪費するオスカー俳優になるとは、まあ彼の人生が楽しいのかは別にしても随分とハリウッド業界の位置づけが変わってしまったものです。バリ島のケチャをモチーフにしたピーター・ガブリエルの音楽も変わってるけど作品に良くマッチしているし、アラン・パーカーはほんとに音楽センスが良いですね。 誰もが意表を突かれるあのラスト、あれは元から常人とは違っていた戦争に行く前のバーディに戻ったというわけなんですね。バーディはとっても魅力的なキャラなんですけど、プロムの後で誘ってきた巨乳の彼女に恥をかかしたのだけは個人的にはぜったい許せません(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-19 20:43:18)
140.  刑事ニコ/法の死角 《ネタバレ》 
当たり前だけどセガールが、若い。ほっそりしているけど腕っ節の強さはかなりのレベル、でも後のセガールに比べるとまだ常人らしさが残っています。CIAのエージェントがシカゴ市警の刑事になっているというあり得ない設定はともかくとしても、かなり粗い脚本だけどさほど破たんしているわけじゃないんでまあ安心してみていられます(でも観終わっても全然印象に残りませんがね)。このニコ・トスカーニというキャラはケイシ―・ライバックと比べるとはるかに人間味があり、これ一作で終わってしまったのはちょっと惜しい気もします。奥さん役がシャロン・ストーンだというのも今の眼で観ると豪華、というよりもまだ彼女がブレークする前で出演している他のB級キャストと同じ境遇だったからかもしれません。でもか弱い主婦を演じるシャロン・ストーンというのも珍しいですよね。 でもいちばんの見どころは、出番が少ないながらも敵ボスが怪優ヘンリー・シルヴァであるところで、髑髏に直接皮膚を貼り付けて眼玉をはめ込んだ様なこの人のご面相はほんと強烈なインパクトがあります。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2014-09-13 20:16:10)
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