1461. ジョイ
デヴィッド・O・ラッセルって、良くも悪くも、あれこれ頭の中でこねくり回した感が満載で、それが時には斬新でもあるんだけど、一歩誤ると、役者がさっぱり躍動しないことにもなるんですよね。この作品では、それが悪い方に出ています。「単なる素人実業サクセスストーリーにしない俺って、やっぱりできる奴だろ?」みたいな囁きが、あっちこっちから聞こえてくるのです。あと、家族がどうこうというのを強調したかったのか、本題のモップに入るまでが長すぎで、その割に周辺人物はごちゃごちゃしたままです。焦点がやっと絞られてきた終盤では多少盛り上がりますが、それまででした。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2019-01-29 01:43:05) |
1462. マネー・ピット
《ネタバレ》 こういうのは、人物側があれこれ頭をひねろうとして、それにもかかわらずさらに上を行くトラブルが起こる、からこそ面白いのであって、ただ単に順々に家が壊れていくだけでは、主人公が無策のマヌケに見えてしまうだけなのです。したがって、笑いになりません。●で、そんなことよりも大事なのは、途中でちらっと出てくるメタルバンド、クレジットによれば、ホワイト・ライオンではないですか!思わず戻して確認しましたが、あー確かに、ヴォーカルはマイク・トランプだし、ギターはヴィト・ブラッタですなー。時期的に、1st発表直後、2ndでのブレイク前ですよね。しかもこの"Web Of Desire"という曲、一部しか披露されませんが、割と格好良い上に、どのアルバムにも入ってないんじゃない?ということは、ものすごく貴重ですよね。この偉業に3点。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2019-01-28 00:36:53) |
1463. オレゴン魂
ジョン・ウェイン老けたなあ・・・と思っていたら、75年の作品ですか。しかし一方で、ウェインと同じ年であるはずのキャサリンはいつものキャサリンのごとくガンガンに元気で、それをウェインが受け切れておらず、つまり、2人がかみ合っていないのです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2019-01-26 11:47:57) |
1464. アンブレイカブル
《ネタバレ》 明るく楽しいアメコミを、いかにジメジメじわじわ陰鬱に描いてみせるか、という素晴らしいひねくれオタク精神を立派に具現化してみせた作品。この作品はそれだけで十分だと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2019-01-26 11:37:08) |
1465. アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場
設定は斬新だし、あえて会議室の中だけですべてが完結してしまうという皮肉な構造に的を絞った意図も分かるのだが・・・筋は一本であるにもかかわらず、意外なほどにスリリングさがない。まず、前提としてその集団を何でそこまでしてこの人たちが殲滅しなければならないのかという理由付けがきちんと描かれていないので、現実の必要性と理想との衝突というドラマが生まれてこない(ただ会議室でああだこうだ言っているだけに見えてしまう)。ターゲットの情報捕捉やそのための機器の駆使のテクニカルな部分の描写も甘め(画像があれこれ出てくる程度)。ヘレン・ミレンのイケイケ軍人というキャスティングも逆の効果を狙ったんだろうけど、どうやっても気品と落ち着きが滲んでいて、やっぱり合ってないんだよなあ。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2019-01-22 02:18:54) |
1466. 悲愁(1959)
すごく期待が高まりそうなメロドラマのはずなんですが・・・描写が表層的かつ平坦で、生活感もなければワクワク感もない。ペックは元アル中という設定なのですが、中毒性があるのか、単に酔っ払って陽気なだけなのかも分からない。つまり、シナリオをそのまま演者が実行して終わり、にしかなっていないのです。 [DVD(字幕)] 4点(2019-01-20 02:28:57) |
1467. 永遠に美しく・・・
設定からしてもっとアホバカコメディになるはずなんですけど、ゼメキス監督はどこまでも真面目なのです。なので、視覚効果面が暴走する後半になると、何となく笑いも引きつってしまうのです。一方で、主演の3人も、「こういうのにも真面目に取り組むぞっ!」とばかりに、演技が重たいのです。結果、どこまでもどよんとした空気が漂ってしまっています。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2019-01-15 01:54:40) |
1468. 殺したいほどアイ・ラブ・ユー
中盤までは皆さんの巧者ぶりに、笑えまではしないもののそこそこ楽しめましたが、途中でネタが尽きたのか、一気に手抜きに走ってしまいましたね(警察が来たあたり以降)。主人公夫妻の下の子としてこっそり登場し、翌年「カーリー・スー」で見事な主演ぶりを見せることになるアリサン・ポーターちゃんに+1点。 [DVD(字幕)] 4点(2019-01-14 22:13:03) |
1469. デイズ・オブ・サンダー
ホワイトスネイクのヴォーカル、デイヴィッド・カヴァーデイルのソロ曲"The Last Note Of Freedom"のためだけに存在価値がある作品。いや、内容的にここまでカスとは思わなかったよ。たまたま遭遇した女医をへらへら追いかけながら、都合よく大事なレースだけ勝ってるんじゃありません。オートレースというものがすごく簡単に見えてきます。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2019-01-13 22:44:51) |
1470. 海よりもまだ深く
《ネタバレ》 この作品の問題は、実は母親役に樹木希林を充ててしまったことではないかと思う。物語の構造からいえば、この母親は、背後にふっと潜んでそれでいて気がつけば各人物へのいろんな影響を感じさせるような、そんな役回りなはずなんだけど、画面登場時の求心力があまりにも強力であるため、むしろ彼女が主役であるかのようなパワーバランスになっている。それについては、小林聡美の別方向への求心力という偶然要素によって何とか破綻は免れているが、聡美さんは聡美さんであまりにも芸達者なので、あれ以上出番が増えていたらえらいことになっていただろう。●で、一番見たいのはやっぱり、阿部寛と真木よう子のやりとりなんですよ。別れた後の夫婦という設定ならではの、実に微妙な距離感、そして愛憎。ところがそれにたどり着くまでが異様に長い。妹夫婦が帰って「一家四人」になってからは、外に襲来する嵐のごとく、心理の綾が飛び交う怒濤のハイレベルドラマを展開してくれるのですが、なぜそれまでがああまで長かったのか、意味が分かりません。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2019-01-10 01:54:39) |
1471. そして父になる
《ネタバレ》 主人公・野々宮の造形については、ステレオタイプなものを脱却しようという懸命な努力は窺えるし、安直な方向に流れてはいない。しかし、そこを突き抜けて、この壮絶な物語の中心に位置するほどの存在を確立しているかといえば、そこまでは至っていないし、やはり食い足りない。●ただし、尾野・真木・リリーとの四者の取り合わせは絶妙であり、ここの押し引きの呼吸が万華鏡のように交錯することによって、作品に一本の鼓動を与えている。とりわけ、ほどよく一般人、ほどよく俗物、ほどよくいい人という役作りを完成させたリリーの功績が大きい。●病院との交渉シーンや法廷シーンはまったく滅茶苦茶で、交渉の場で病院はあんなことは絶対に言わないの連続だし、法廷では何が争点なのかがさっぱり分からない(大体、取り違えに争いがない以上、病院は責任の否定のしようがないのでは?何で尋問が行われてるの?)。看護師が証言台で突然告白というのもありえない(どっちが申請した証人なんですか?)。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2019-01-09 04:17:37)(良:1票) |
1472. ミッドナイトクロス
《ネタバレ》 いろんな問題を提示するだけして、ほぼ全部投げっぱなしで何も解決せずに主人公のもっともらしい溜息だけで終わらせてしまうのが、いかにもデ・パルマ。大事なところでの花火やら雪やら悲しい音楽やらでまともなドラマっぽく盛り上げようとするのがまったく似合っていないというかむしろ浮きまくっているのも、いかにもデ・パルマ。本領発揮は、最初に病院に運ばれたあたりでの、なぜか警察がまともに動こうとしない絶妙な違和感の部分くらいでした(すぐに、説明台詞によって興が醒めてしまうわけですが)。 [DVD(字幕)] 4点(2019-01-08 00:31:36) |
1473. 殺しのドレス
ここまでの単なるB級サスペンスを、ここまでの手間とアイディアのあれこれをつぎ込んで真剣に映画的に撮ろうとするデ・パルマは、やはり偉大だ。ただ、脚本はやはり最後で息切れしちゃったかな・・・。それまでの(無駄な部分も含む)力の入れ方に比べ、ここぞというときのネタ割りは異様に早いし、その後の一幕はまったくの蛇足でした。 [DVD(字幕)] 5点(2019-01-06 22:36:28) |
1474. ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
今回の中心テーマは、青春映画ばりの「4人の団結!」ですな。そこはそれで丁寧にやっている気配は見受けられるんだけど、一方で敵の強さとかそれに対する作戦のあれこれとかそれに伴うスリルといった部分は、前作より落ちます。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-04 22:26:55) |
1475. 二ツ星の料理人
そもそも、こんな始終ピリピリイライラしている料理人が作った食事って、あえてわざわざ食べたいと思わないのですが。また、ミシュランなんぞはまったく当てにならない(ほかにもっとウマい店はいくらでもある)ことを知っている日本人に、そんなミシュランごときを相手に頑張っている姿をいくら見せても、説得力はありません(したがって、ラストも着地になっていません)。加えて、エマ・トンプソンやユマ・サーマンやアリシア・ヴィキャンデルにあんな露骨な客寄せパンダの使い方をしているのも気に入らない。 [DVD(字幕)] 3点(2019-01-04 02:11:31)(良:1票) |
1476. E.T.
意外だったのは、とても「暗い」作品であること。冒頭から夜の屋外のシーンが続くし、家の中でも灯りがついている場面はあまりない。E.T.を追ってくる集団は、意図的なくらいに顔を見せなくしている。この辺が、押し入れの奥でも洞窟に見えるみたいな子供視点からの冒険心を確保し、作品に落ち着きを与えているし、ワーワー騒ぐだけのSFファミリー作とは一線を画している。一方で、E.T.自身の生態や能力といった点については、あまり作り込みがされていないのが難点。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-03 01:55:36) |
1477. ヘッドハンター(2011)
《ネタバレ》 前半の頭脳系窃盗モノから、中盤、予想を裏切って追いまくられ状態になるあたりまでは良かったのですよ。ただ、そこから収束に向かうところで、風呂敷をまとめられずに強引に振り切ってしまいました。それと、こういう主人公設定をしたのですから、問題解決も、銃だの何だのではなく知恵と機転でやってほしいところでした。 [DVD(字幕)] 5点(2019-01-02 20:44:14) |
1478. はなちゃんのみそ汁
演出は「ただ台本を喋らせているだけ」で何とも凡庸だし、いろいろ体験している割には登場人物に衝突も葛藤もないので、段取り通りに物事が進んでいるようにしか見えない。広末涼子の天性のセンス(病状の進行によって疲労した体をちょっとした動きで示す、とか、ことさら大声を出さなくても表現ができる、とか)がなければ、かなりひどいことになっていたでしょう。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2019-01-01 00:14:31) |
1479. ハード・ウェイ(1991)
せっかくの面白そうな設定なんですけど、ジョン・バダムにこういうもろコメディの作品というのはやはり無理がありましたね。刑事のふりをした俳優と本物刑事のタッグなんかだったら、そのギャップとかそれぞれの特技の相乗とかでいくらでも笑いはとれそうなんですけど、バダム先生はすぐに真面目なアクション方面に走ってしまうので、素材が生かされないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-31 02:32:14) |
1480. シネマチックな恋人
冴えないバス運転手と誰もが知っている有名女優との恋、といえば恋愛ものの王道パターンのはずなんですが、何とも中身がなく、面白みのない内容になってしまっています。例えば、男が脚本をどうのこうの言ってくるのが1つのキー・ポイントになっているのだから、それに即した業界関係の描写があったりするのかと思ったら、何もない。男は映画好きという設定なのですが、会話の中にそれっぽいネタはいろいろあるものの、恋愛の発展とは何も関係ない。それこそ、この男ならずとも脚本に文句をつけたくなる作品です。男がそのまんま東に似ているのも気になりました。 [DVD(字幕)] 4点(2018-12-30 01:20:21) |