1461. ヒート
《ネタバレ》 『ゴットファーザーⅡ』以来の、アル・パチーノ&ロバート・デ・ニーロという世界でも最高峰に位置するであろう二大俳優の競演という奇跡のキャスティングで撮られたハードボイルド・アクションの傑作。もう冒頭からの二人の円熟の演技合戦が最高です。思えば、このころが二人の俳優としての最後の頂点だったのではないだろうか。そしてまさにどんどんと〝ヒート〟していくストーリー、徐々に高まっていく緊張感、その臨界点に達したところで唐突に暴発する白昼の銃撃戦!もう、堪らないっす!!それ以外にも、まだ若手だったころの(そして太っていなかったころの)ヴァル・キルマーなどの脇役陣も素晴らしい。もう、男の男による男のための映画!大好きです。 [DVD(字幕)] 9点(2013-10-23 23:22:00) |
1462. 幸福の罪
《ネタバレ》 一般よりは少しだけ裕福だけど、何処にでもあるような平凡な幸せを享受するとある家族。ある日突然、一家の大黒柱であるリハビリ医に児童への性的虐待という容疑で警察の捜査が入ることに。崩壊の危機に直面した家族の動揺と結束、そしてそんな家族に秘められたとある秘密を巡るサスペンス作品。なのだけど、ドラマとして見るにはまだまだ拙すぎるんじゃないでしょうか。いまいち何を見せたいのかよく分からない作品でした。そもそも捜査を担当する刑事がリハビリ医に浮気されたあげく妻を奪われた元夫って、裁判で弁護士の格好の攻撃材料になりかねないそんな人選はいくらなんでも普通しないと思うのだけど。それに、最後のまるで観客にご丁寧に説明するかのように延々と告白する妹もなんだかなーって感じです。でも、夢見がちな少女によって崩壊の危機へと追い込まれてしまった家族の人間ドラマを、淡々と描いた前半部分はそこそこ見応えがありました。 [DVD(字幕)] 5点(2013-10-23 16:52:40) |
1463. シャッター アイランド
《ネタバレ》 愛する妻を失い、いまだその傷心を引き摺るディカプリオ演じる連邦捜査官テディ。そんな彼が、謎の殺人事件を捜査するために乗り込んだ孤島の収容所で嵌り込む夢幻の世界。って、同時期に公開された「インセプション」と色々と思いっ切りかぶってるんですけどー。でもそこはやはりスコセッシ、冒頭のあの仰々しいオープニングに、ディカプリオが迷い込む悲壮感漂う孤独な男の狂気の世界、そしてそこで出会う亡き妻の妖艶な美しさ…。こちらはこちらで、やっぱりゾクゾクするくらい怪しい魅力に満ち溢れておりました。これはもしかして傑作の予感……?と、思っていたら後半の見事なまでの失速ぶりはびっくりですね。残念です。でも前半は好きな雰囲気だったので7点。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-20 23:09:51) |
1464. スパイダーマン(2002)
《ネタバレ》 それまで、一部にはカルト的な人気を誇っていたけれどいまいち売れていなかったサム・ライミ監督を一気にメジャーに押し上げた記念碑的大ヒット作。あのドロドログチョグチョのとても家族では観られない「死霊のはらわた」でデビューしたサム・ライミが、こんなにもビックネームになるなんてほんと感慨深い。そして内容は、もちろんそのCGを多用した迫力のアクションシーンの数々もさすがなんだけど、やはり見所はMJでしょう。あっちへふらふら、こっちへふらふら、まるでそこらの街灯へと引き寄せられる夏の夜の蛾のように、色んな男たちを渡り歩くMJ…。こんなにも世の女性の反感を買ったヒロインは初めてじゃないでしょーか。最後にそんなMJをようやくフッたスパイダーマンに、グリーンゴブリンを倒したときよりも大きな拍手を贈りたくなっちゃいます(笑)。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-20 21:19:04) |
1465. レスラー
《ネタバレ》 かつての栄光もいまや昔、スーパーでバイトしながら地方巡業のドサ回りレスラーへと落ちぶれてしまった中年駄目男ランディ。酒浸りで唯一の家族である娘にも嫌われていて、仕事場では大して仕事も出来ないくせに偉そうにしてリストラ寸前、そして極めつけは娘との和解の機会が訪れたというのに、ストリッパーとのおいしい夜のせいですっぽかしてしまう……。良いですねー、この駄目っぷり。本当に碌でもないわ。一時期の自身の境遇を確実に投影して、ほとんど地なんじゃないかというくらいの、迫真の演技をしてみせるミッキー・ロークがほんと素晴らしい。今作の監督ダーレン・アロノフスキーって「ブラック・スワン」のときのナタリー・ポートマンもそうだったけど、役者の秘められた才能を引き出すのがほんと巧い。そして、そんな碌でもない人生を送ってきたランディも、リングに上がれば応援してくれるファンのために自らの命をも顧みずに全力のファイトを発揮する。だってそこが彼の生きられる唯一の世界なんだから。どんなに駄目な人間でも、何処かに必ず自分の輝ける世界があると身を持って示してくれるミッキー・ロークの最後のジャンプが深く胸を打つ。良作。 [DVD(字幕)] 8点(2013-10-20 20:31:08) |
1466. ビューティフル・マインド
《ネタバレ》 何の前知識もなく「とある数学者のよくある伝記映画じゃろう」くらいの感覚で観たものだから、途中のあのあっと驚く衝撃の展開にはかなりびっくりさせられちゃいました。テレビの前で「えぇー!!」と、食べていたポテチを撒き散らしそうになったくらい。そして、統合失調症からくる幻覚に悩まされる主人公のお話にどんどんとのめり込んでしまって、最後は素直に感動。それにこういった何が現実で何が幻覚なのかという、自分のアイデンティティが根底から揺らいでしまうような映画が個人的に大好きなもので。特に、主人公が嵌り込む不毛な妄想の世界がリアルで不気味に陰鬱に、そしてときには妖艶に描かれているのも良い感じ。でも、これって実話なんですよねー、もし自分がこんな世界に嵌り込むことを思うととっても怖いです。ナッシュがノーベル賞を取れて本当に良かった。 [DVD(字幕)] 8点(2013-10-20 20:01:15) |
1467. ライアー ライアー
《ネタバレ》 アメリカのコメディ映画ってやっぱり日本人とはセンスが合わないのか、これまで心の底から笑えた作品ってほとんどないのだけど、この映画はそのなかでも僕が〝心の底から笑えた〟数少ない稀有な作品。普段は嘘ばっかり吐いてテキトーに人生を生きている弁護士が子供の誕生日の願い事によって、ある日突然嘘が吐けなくなってしまう。そんなベタなお話のなかで、ジム・キャリーがやりたい放題しててそれが見事に笑えるのだけど、ちゃんと映画という枠内に収まっているから凄い。アメリカのコメディ俳優って得てしてやり過ぎちゃって映画のなかでその存在が浮いてしまっているもんだけど、ジム・キャリーってちゃんと映画のなかの因果律に含まれているんだよね。とか、そんな理屈とか抜きにして文句なしに面白いです!頭、空っぽにして最後まで大笑いしちゃいましたー。おばちゃん上司にセックスの後、「どうだった?」って訊かれて「うーん、いまいち」って答えるトコとかサイコー! [DVD(字幕)] 8点(2013-10-20 19:41:24) |
1468. ザ・フライ
《ネタバレ》 悶絶気色悪映画の古典的名作。もう自分がじわじわと少しずつ蝿になっていく恐怖といったら考えるだに恐ろしい。そんなおぞましい世界を当時のSFX技術の粋を極めて創りあげた、徹底的にグロテスクで気持ち悪い映像はCG全盛のいま見てもなんら見劣りしないから凄い。逆に、こちらのほうが生々しくて迫力があるくらい。あと、主人公を演じたジェフ・ゴールドブラムの顔が濃すぎて人間の段階ですでにちょっと怖いんですけど(笑)。でも、やっぱりこの映画の最大の見所は、最後、もうどうしようもなくなってしまった主人公が恋人に死を願うシーンの哀れさだろう。こんなグロい映画なのに最後はちょっぴり切ないなんて……。人間ドラマとしても胸に残る名作です。 [DVD(字幕)] 8点(2013-10-20 19:29:36)(良:2票) |
1469. ロック・オブ・エイジズ
《ネタバレ》 個人的には、80年代ロックには興味なくて(どちらかと言えば70年代の泥臭いハードロックやプログレ、90年代の重厚なグランジやインダストリアルのほが好み)、ミュージカルも苦手で、「じゃー、なんで観たねん!」と突っ込まれるとイタイところなんだけど、トム・クルーズが出てるという一点のみで鑑賞。いやぁー、ノーテンキ(笑)。やっぱり80年代音楽の、この何処までもノーテンキなノリは個人的に苦手だなぁ…。でも、それを抜きにしても、どうして主人公をあの女性にしたんだろう。てっきりこの女の子がのし上がってスターになっていくと思ったら、彼氏のヘタレ男がその役目っていまいち最後の盛り上がりに繋がらないような気が。でも、相変わらずのトムのお年を召してもいまだ逞しい肉体美と「マグノリア」で見せたセックス教団会長としてイケてない男どもをひたすらアジってた時の強烈ないかがわしさをも髣髴とさせる熱演は見応えがありました。あと、ロックに猛反対していたオバサマたちが急にノリノリのロックを歌い始めるのっていくらミュージカルとはいえ、どうなんですかね…。 [DVD(字幕)] 5点(2013-10-20 09:44:13) |
1470. ディヴァイド
《ネタバレ》 なんの説明もなされないまま、いきなり冒頭から核戦争(らしき?)カタストロフィが巻き起こり、マンションの地下室へと追い込まれてしまった種々雑多な人々。地上に出るべきか、このままここで救助を待つべきか、各々に葛藤を重ねていたら、突然に現れた防護服姿の男たちによって唯一の扉が溶接されてしまう。「どうせ、低予算で作られた、よくあるB級SFじゃろう」くらいの心持ちで鑑賞してみたら、これが意外や意外、なかなか良く出来た密室劇で良い意味で僕の期待を裏切ってくれました。追い詰められて次第に獣性を剥き出しにする男たち、心の弱さからそんな男に引き摺られる婚約者、子供をさらわれ次第に狂気に捉われる母親、そしてそんな極限状況の中で必死に理性を保とうとする主人公エヴァ。確かに脚本上の瑕疵が目立つ作品ではあるけれど、それを補って余りあるセンス溢れる映像(ビニールで包装された無機質な通路や、銃を手に入れようとする時の変幻自在なカメラワーク、何より自らはなった業火に身を焼かれる狂った男の最期等)と、過剰なまでの暴力描写によって人間心理の深い闇を垣間見たような気がします。お金がかかっていそうなのは冒頭と最後のCG描写だけで、あとはずっと薄汚れた地下室だけで物語が進むという明らかな低予算映画なのだけど、監督の映像センスと役者陣の熱演、そして何より人の心を打つような映画を創ろうという情熱さえあれば、いくらでも面白い映画が創れるという見本のような作品でした。この監督の次回作にも期待したい。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-20 09:15:01) |
1471. ヘルボーイ
《ネタバレ》 こういう馬鹿っぽいB級アメコミ映画って、本来は嫌いで、だからこそ今まで観てこなかったのだけど、でも僕のこよなく愛する「パンズ・ラビリンス」の監督作だったのでずっと気になっていて、この度機会があってようやく鑑賞いたしました。なるほど、やっぱり後にパンズ・ラビリンスという傑作を撮った監督の作品だけあって、拘り抜いた映像美とくどいくらいに粘っこい演出がとても面白くて、今まで観てこなかったことを素直に後悔。良いですね~、これ。もう敵キャラたちの、グロテスクでありながらも何処かモダンな美しさを兼ね備えた、クトゥルフ神話の邪神たちをも髣髴とさせる(というかそのものか)造形はかなりツボでした。そして、決してカッコいいとも可愛いとも言えないヘルボーイがとても人間臭く――というか中2病臭く描かれていて、観終わるころには何故か彼に愛着が湧いてくるのだから不思議。ちょっと友達になりたいかも(すっごく面倒臭そうだけどね笑)。確かに、明らかに後半の展開はグダグダだったけど、この重厚な雰囲気と、カッコつけだけどちょっぴりお茶目なヘルボーイが良かったので、甘めに8点! [DVD(字幕)] 8点(2013-10-17 19:16:23) |
1472. 一枚のめぐり逢い
《ネタバレ》 いつ死ぬともしれない戦時下のイラク。海兵隊として過酷な戦場を生きていた主人公の青年ローガンは、ある一人の女性の写真を拾う。直後に被弾したロケット弾によって九死に一生を得た彼は、アメリカへと帰還すると生きる目的を探すかの如くその女性を探し始めるのだった。そして見付かったのは、様々な困難を抱えながら生きるシングルマザーのベスだった。戦場で心に深い傷を負った(らしい)青年と、息子のために必死に生きるヒロイン、横柄で暴力的な元夫、素直で純朴な息子、全てを暖かく見守る優しいおばあちゃん…。そんなステレオタイプな登場人物たちが、もう恥ずかしいくらいにベッタベタな超王道のラブロマンスを展開させてゆく。日々の日常生活の倦怠を忘れ、たまには燃えるような恋と情熱的なセックスを堪能してみたいわぁという有閑マダムの欲求に応える目的で作られたのは分かるのだけど、さすがにこれでは軽薄に過ぎる。最後も取って付けたように、嫌な元夫があっという間に改心して息子のために死んで、残った3人が幸せに大団円…。実際にイラクで心に深い傷を負って苦しんでいる元兵士なんかがこれを観たら、確実に怒り狂って銃を手に取るだろうね(笑)。 [DVD(字幕)] 4点(2013-10-16 22:54:54) |
1473. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
《ネタバレ》 子供から大人まで、わくわくドキドキ出来る冒険活劇を作ろうというスタッフたちの熱意が見事に結実したエンタメ作品。一直線な正義感と情熱を持った王道をいくハンサムな主人公と、男勝りでお転婆なヒロイン、そして月光を浴びると恐ろしいグロテスクな骸骨と化してしまう呪われた海賊たち。ともすれば、あまりにも王道過ぎて平板な作品になりそうなものなのに、そんな作品世界にいちいち茶々を入れるように現れるジャック・スパロウ(ジョニー・デップの相変わらずの怪演が良い感じ)の存在が作品に良いアクセントを加えている。そして、海賊たちのあと一歩で不快感の方が勝りそうになるグロテスクな造形(個人的には、勝っていても好きだけど)が、ぎりぎりのところでコメディタッチに収まっているその絶妙のバランス感覚も見事だわ。これがこの監督のセンスなんだろうね。そしていかにもお金かかってますよって感じで盛り上がっていくクライマックスに否応なくテンションが上がる躍動感溢れる音楽。いやー、やっぱり良いよ、これ。僕の中で「エンタメ映画はこうでなくっちゃ」という見本のような作品っす。まあ、子供向けに過ぎるってトコもあるけれど、そこはご愛嬌で。 [DVD(字幕)] 8点(2013-10-16 19:12:38)(良:1票) |
1474. スタンド・バイ・ミー
《ネタバレ》 初めてこの映画を観たのは、中学生になってしばらく経ったころ。なので、この主人公たちの年代と思いっ切りかぶってしまい、思わず感情移入して泣いてしまったのを覚えている。少年たちが思春期に入って大人への階段の一歩目を踏み出すときに、誰もが感じるあの普遍的な切なさが胸に染みる。世界が自分が思っていたより圧倒的に広く、そして自分ではどうしようも出来ない理不尽な現実があることを身を持って知ってしまったあと、今まで何も悩むことなく皆で楽しく遊んでいられた昨日の世界にはもう帰ることが出来ないんだ。僕たちは、これから嫌でも大人になっていくしかないんだ。タイトルにもなっている楽曲がそんなテーマととてもよくマッチしていて、その郷愁感がとっても切なくて、大人になった今でも、好きです、この作品。 [DVD(字幕)] 8点(2013-10-16 14:13:11) |
1475. ウォッチメン
《ネタバレ》 これまで、徹底的にこだわり抜いた映像センス溢れる映画ばかり撮ってきたザック・スナイダー監督が、とうとう自分の本当に撮りたかった作品を創りあげたという印象だった。これまではっきり言ってストーリーに意味なんかない映画ばかりだっただけに、今回はそのイメージを覆すかのような深い世界観に素直に圧倒されました。正義と悪の境目はいったい何処にあるのだろう、と各々に苦悩する個性豊かなヒーローたち。濃縮こってりスープのような濃ゆい映像美で描き出される、唯一無比のダークな世界。さすがにちょっと付いていけないところもあったけどね(笑)。ロールシャッハの暗い闇を纏った格好良さと、フリチン黄金男の巨根がいつまでも忘れられない。 [DVD(字幕)] 8点(2013-10-16 13:52:11) |
1476. ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
《ネタバレ》 三部作のなかでは、個人的にこれが一番好きだなー。単純にこの作品が一番うまく脚本がまとまっていると思う。蛇の舌(このキャラのいやーな雰囲気も良く出てた)にたぶらかされたセオデン王によって荒廃する王国に辿り着いたアラゴルンたち。一方、フロドやピピンたちは各地で指輪を捨てるための苦難の旅を続けていた。そしてセオデン王の王国に迫るグロテスクな闇の軍勢と、ガンダルフによってようやく覚醒した国王の下に集う騎士たちとの一大決戦へと雪崩込む後半の怒涛のストーリー展開は何度観ても圧巻!各々の思惑を抱きながら、そんな戦へと巻き込まれてゆく木の髭やサルマンといったサブキャラクターたちも巧く活かしながら、そして最後に「も、もう駄目だー!」ってところで朝日とともに現れるガンダルフ!!ベタですけど、やっぱりテンション上がりますって、これ。 [DVD(字幕)] 8点(2013-10-16 12:58:06) |
1477. ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
《ネタバレ》 この監督、前作の『愛を読むひと』もそうだけど、人を泣かせるのが小憎たらしいほど巧い。悔しいけど、素直に感動してしまった。かけがえのない人の命が、ある日突然理不尽にも奪われてしまったら、人はどうその悲しみに立ち向かえばいいのだろう。911という歴史の汚点を背景にそんなテーマを、重くなり過ぎず、かといって軽くなりすぎもしないという、ちょうどいいバランスで描いている。そして父親を失ったという事実と、そんな父からの最後の電話に出ることが出来なかったという罪悪感に苦しむ少年という難しい役を演じた子役が存外に魅力的。とても初めての演技だとは思えないほど。家族って面倒臭いよね、でもそれでも人は家族と共に生きていくんだ、だって人は独りでは生きていけないんだもん。そんななんてことないテーマだけど、かえってシンプルなぶん、それがストレートに胸に届く。 [DVD(字幕)] 8点(2013-10-16 12:11:15) |
1478. 声をかくす人
《ネタバレ》 南北戦争終結後、ようやく平和が訪れると歓喜に沸いていたアメリカ社会にリンカーン大統領暗殺という悲劇が襲い掛かる。再び混乱へと陥ることを怖れた政府は全力を挙げて容疑者たちを次々と逮捕していく。そんななかに、暗殺計画の中心人物だった青年の母親が含まれていた。北軍兵士として戦った主人公の弁護士は、そんな母親の弁護を担当することになる。そうして始まる裁判を通じて、法と正義、勝者と敗者、個と公、そして親と子の絆といった重厚な人間ドラマが展開されていく。法廷劇としてみれば(結局、死刑になるということが分かっていることもあって)少々地味で印象に残るシーンが乏しいという面は否めないけど、それでも歴史という巨大なうねりの前でちっぽけに押し潰されそうになりながらも、最期まで凛とした誇りを失わなかった一人の女性の悲劇は充分に見応えがありました。 もうちょっとドラマティックでも良かったかなーとも思うけども。 [DVD(字幕)] 6点(2013-10-15 14:02:24) |
1479. エージェント・マロリー
《ネタバレ》 主にスパイ活動を行う民間企業にエージェントとして雇われている、凄腕の女性スパイ・マロリー。バルセロナで人質奪還という任務を無事に果たし、優雅なバカンスへと旅立とうとしていた彼女は、上司から簡単な任務だからと強引にとある仕事を引き受けることに。だが、それは彼女を破滅へと陥れる危険な罠だった…。そんな窮地へと追い込まれた現在の彼女と、そんな状況に陥るまでの過去の彼女をテンポよく交互に描く前半部分は、ノリの良い音楽や豪華俳優陣の華やかさもあって、けっこう楽しんで観れました。だけど、ストーリーが現在へと収斂されてからの後半部分は見事なまでにグズグズに。それに、マロリー役の女優さん(?)、ちょっぴりお顔が大きいせいか、いまいちスタイリッシュな女性スパイというイメージに合ってないような…。でもまあ、典型的なソダーバーグらしいおしゃれで薄っぺらいアクション映画ということで、適度な暇潰しにはなると思います。 三日も経てば、完全に記憶から消え去りそうだけどねー。 [DVD(字幕)] 5点(2013-10-13 22:53:42) |
1480. ゲットバック
《ネタバレ》 超一流の銀行強盗であるニコラス・ケイジ演じる主人公ウィル。ある現場で痛恨のミスを犯してしまった彼は、警察に捕まり刑務所に服役することに。8年後、ようやく出所した彼の元に復讐に燃えた元相棒が現れ、そして最愛の娘が誘拐されてしまう。犯罪者ながら正統派な主人公、分かりやすい悪役、娘との確執と和解、そして綺麗でセクシーなヒロインとの甘いロマンス…、冒頭からもう絵に描いたようなベッタベタな展開が続く恥ずかしいくらい超王道なアクションエンタメ映画でした。確かに、後半になるにつれ、明らかにストーリーが破綻しているけれど(あんな簡単に億単位の金塊が盗めるんだったらみんなやってるっつーの!)、テンポよく描かれたアクションシーンの数々はけっこう楽しめたかなー。何故か誘拐した娘をタクシーのトランクに閉じ込めて街を徘徊し、案の定、簡単に逃走を許してしまうお間抜けな悪役の元相棒には笑っちゃいましたけど。最近のニコラス・ケイジ主演の酷い作品群のなかでは良かったと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2013-10-07 22:41:46)(良:1票) |