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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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141.  どこまでもいこう
どこか懐かしい少年時代の些細な出来事が描かれているはずなのに、まるで人生の悲喜交々、喜怒哀楽のほとんどがこの時期に集中しているかのように、そしておそらくソレは本当にそうなんだと思わずにはいられない超現実感がある。だから「史上最大の作戦のマーチ」がまるでこの映画のためにあるかのようにはまる。悪ガキ転校生の登場の際の怪しげな音楽が主人公にとっての最悪な事件を予感させ、その予感は親友の「裏切り」という大事件をもって的中する。大人からみれば「裏切り」でもなんでもないものでも主人公にとっては「裏切り」以外のなにものでもない。でも親友だからぎこちなく仲直りする。大好きだからとか必要だからではなく親友だから。精巧なプラモデルに「凄い」と言う。クラスメイトだからでも友達になりたいからでも、ましてや憐れみからでもなく「凄い」から「凄い」と言う。毒されていないから戸惑い、傷つき、悲しむ。そうやって大人へと成長する。リアルすぎるのが唯一の欠点。
[ビデオ(邦画)] 6点(2007-04-09 12:48:22)(良:1票)
142.  河(1997) 《ネタバレ》 
汚い河で死体の役をした翌日から首に痛みを感じ、いろいろな治療を試みる、という上辺のストーリーはことごとく要点だけが映され間がスッポリと抜け落ちている。心情までもが省かれる。しかし上辺のストーリーとは一見関係のない、例えば雨漏れのシーンだとか、父の一人での食事だとか、家の中でのただトイレに行くときの家族のすれ違いだとか、母とその愛人らしき男との何をするでもないシーンだとかは長すぎるくらいの長回しで映される。映画は息子に襲った奇病という「事件」を描かずにそれぞれの孤独を描き出す。その徹底ぶりが独特の作風を作り出す。そして「事件」を描かないからこそ見えてくるものを提示し、「事件」を描かずとも映画が成り立つことを証明している。ホテルの窓から這い出してゆく主人公の行く末は映されない。しかし常にどんよりとした暗さを見せてきた画面が最後に光を映している。実に映画的なエンディング。
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-03-29 11:23:57)
143.  岸和田少年愚連隊
井筒監督が学生時代に初めて撮ったフィルムの一部を以前深夜のバラエティ番組で観たことがあるのですが、映されたのはやっぱり学生の喧嘩。関西を舞台に中高生が暴れまくる、これが彼のルーツであり彼の本領なのです。『ガキ帝国』では後半のハードボイルドタッチが臭かったのですが、この作品は「喜劇」という基本線からけして逸れないので最初から最後まで実に楽しく鑑賞できる。なぜか必ず見ていた「野生の王国」、551の豚まん、息子の彼女に当たり前のように料理させる家族、会話のテンポ、お好み焼き屋、、細部が実に生々しく懐かしい。井筒監督が知り尽くしたいわば「庭」で素人俳優たちが輝きまくってる。
[DVD(邦画)] 7点(2007-02-28 12:00:21)(良:1票)
144.  突然炎のごとく(1994) 《ネタバレ》 
坂上香織のお尻のアップが映される。それも二度。3度目のお尻はアップではなく公衆電話での後姿。これが完璧なお尻。これを見せるために二度のアップがある。私はお尻にはうるさい。ジーンズを履いたお尻の描写としてはパーフェクトです。これだけで10点つけちゃいそうなくらい。そんな可愛くて色っぽいお尻を見られることからひとつの出会いが生まれる。その出会いを待っていたからお尻は可愛くて色っぽいのだ。しかし出会いの先にあるものは女が待ち焦がれていたものとは違った。そのオチがイージー。劇中に誰かが死ぬことによって簡単に得られるカタルシスに逃げている。井筒監督としてはこれこそが映画的なのだというところなのだろうし、たしかに過去のアメリカ映画的あるいはフランス映画的ではあるかもしれないが、私が好む井筒ワールドには馴染んでいない。
[DVD(邦画)] 6点(2007-02-27 14:09:53)
145.  フィッシャー・キング 《ネタバレ》 
殺人事件を結果として煽ってしまったDJと遺族の出会いという、どう転んでもほのぼのとした作品にならなさそうなものをほのぼのとさせてしまう脚本がうまい。とんでもないトラウマを抱えてしまった二人の男。一人は子供に帰ることで自らを癒し、一人は大人の思考で責任を果たそうとする。そこにギリアムの毒気は無い。しかし物語は終盤にうまくいきそうでうまくいかない展開へとなだれ込む。そこでありもしない聖杯奪還というけして大人がしない冒険でケリをつける。あぁ、やっとギリアム登場。毒気は無いけど。まあ、物足りないし、それ以上に長いし、だけどこのほのぼの感は嫌いじゃない。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2007-02-21 12:43:46)
146.  ハートブルー
ただキアヌ・リーヴスにサーフィンとスカイダイビングをさせたかっただけかのような強引な展開にはあきれるが、中盤のパトリック・スウェイジとの長い長い追いかけっこは良かった。お金目的ではなく、リーダーのよくわからん思想に共鳴し見事なチームワークを見せる強盗団ということなのだが、リーダーのカリスマ性を演出できていればけっこう面白くなったような気がする。例えば『ヒート』のデ・ニーロのように。本人に語らせたり、「彼はこんな人なの」と女に語らせたりという手抜きをしないで、なにげないやりとりで、佇まいで、顔で、画面で。
[ビデオ(字幕)] 5点(2007-02-08 11:16:48)
147.  ステート・オブ・グレース
はじまりはマンハッタンの景色からショーン・ペンの顔を捉えてゆく。ニューヨークって所はもうそれだけで映画的だ。キャストがかなり魅力的なのだが、さらにその魅力をしっかりと映し出そうとするかのようにやたらとアップの顔ばかりを何度も映す。その部分が映画的じゃない。最悪なのは暗がりのシーンで、魅力的な背景が映されないだけでなく、暗すぎてほとんど影しか見えない状態でもアップで撮ってるところ。このキャスト、ニューヨークの裏通りにただ立っているだけでも様になるのに、そして実際そんな魅力的な画もあったのに勿体無い。ラストのスローモーションは見てられない。
[ビデオ(字幕)] 4点(2007-02-07 10:56:27)
148.  黒猫・白猫
『アンダーグラウンド』で見せたハイテンションなノリ、独自の世界観をそのまま継承して描くクストリッツァ・ワールドは、たしかにパワフルだし見ていて楽しい。とくに結婚式のシーンのたたみかけるようなドタバタぶりは圧巻。でも、どうにも性に合わないのだろうか、疲れるんです。『アンダーグラウンド』の悲哀を内包したドタバタではなく、ただドタバタしているだけで、しかも延々と続けられると楽しいはずなのに退屈になってくる。もう少し尺を短くしてくれるといいんですが。
[ビデオ(字幕)] 4点(2007-02-01 12:53:04)
149.  アンダーグラウンド(1995)
クストリッツァのドタバタ演出の完成形。体制に翻弄される人々を描くにとどまらず、自らのエゴに翻弄される人間の悲しき性をどこまでも賑やかに映し出す。賑やかであればあるほどに、テンションが上がれば上がるほどに、悲劇が浮かび上がる。賑やかさがむなしさを共有する。他のクストリッツァの映画と同じような演出に見えても、この作品のハイテンションは常に悲哀を内包していて実に効果的といえる。物語の顚末がまた、それまでのハイテンションの中の悲しみをいっそう引き立てる。それでも正直、長さを感じた。退屈に感じたところでラストで盛り返してくれたけど、やっぱ、実際の時間も長いし、さらにその間ずっとテンション高いままなので余計に長さを感じた。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2007-01-31 13:46:20)
150.  アリゾナ・ドリーム
この監督は、とにかく細部を脈略のない物で埋めようとする。そのガチャガチャ感が魅力なのだろうしオリジナリティなのだろうけど、個人的にはどうもダメ。なぜ黒豚なのか、なぜアコーディオンなのか、なぜタバコを3本いっしょに吸うのか、、それらに意味はあるかもしれなくて私が読み取れないだけかもしれませんが、物語上、あるいは画面上に意味のあるものとしてそれらがあるようにはどうしても見えず、ただ奇抜にするためだけにあるように思えてしまう。そのセンスが私好みであればまた話も変わってくるのでしょうが。『レイジング・ブル』『北北西に進路を取れ』のシーンは面白かった。
[ビデオ(字幕)] 4点(2007-01-30 13:29:10)
151.  カジノ
スコセッシはこのあたりから大作志向へと転じたのだろうか。同じくデ・ニーロ、ペシのコンビで見せた『レイジング・ブル』『グッドフェローズ』と比べてもかなり演出が大味になっているような気がする。シャロン・ストーンはなかなかのはまり役のうえ、デ・ニーロ、ペシが彼女をうまく引き立てていたと思う。ただ三者の人物像にしたってやっぱり大味演出で繊細さに欠ける。この後、スコセッシの映画はどんどんストーリーが壮大になってゆく。それと同時に一瞬の画の煌きが失われてゆく。
[ビデオ(字幕)] 5点(2007-01-11 12:23:19)
152.  ヨーロッパ
実験的要素が強い印象があるが、構図を意識したカメラワークが素晴らしい映画。二人の男が歩きながら会話をする。カメラは二人の正面を見上げる位置から移動撮影。すると別の声が入る。二人の姿を支点にカメラは上昇し部屋の奥にいる声の主を二人の男の真ん中に収める。その次は娘の部屋での会話をカメラが捉え、ゆっくりと寄ってゆく。寄り切ったとき、会話する二人の男女は画面の左側に配置され、、たと思ったら右側にある鏡に給仕係が登場し、去ったあとに二人を真ん中に収める。という具合に他にも多々見受けられる長回しの中で的確な構図を作り出すカメラワークが実に面白い。この作品は『エレメント・オブ・クライム』『エピデミック』に続くヨーロッパ三部作の1本ということらしい。内容はともかく、どうもトリアーは観客がドラマにのめり込まないようにしたいらしく、後の作品もなんらかの方法を用いて冷めた視点を強要していますが、この作品ではオープニングとエンディングの催眠術がその役割を担っているのだと思う。それでものめり込みそうになると、常に先回りするナレーションが邪魔をするという二重構造。この監督の映画は彼の思想的なものに目がいきがちだが、ユニークで大胆な仕掛けにこそ興味をそそられる。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-22 16:06:25)
153.  イディオッツ 《ネタバレ》 
トリアーは、人は皆平等に愚かなのだと考えているのかもしれない。その愚かさをひたすら隠し続けなければいけないのがこの世の常。隠す術を知らない者たち(障害者)のように全てをさらけ出して生きてゆけたら、ある意味幸せなのかもしれない。ストレスは消え、虚勢をはる必要もなく、もしかしたら戦争だって起こらないかもしれない。だからといって愚かさをさらけ出しなさいと言っているわけではない。それは現実的ではないから。ここに登場する人たちがそれを証明する。愚かさを隠す人がいる以上、その中でさらけ出すには相当な勇気がいることを。障害者に見る純粋性に近づこうとする者たち。一人の女が純粋なハートを手に入れたかもしれないラスト、この世はそれを許さない。
[ビデオ(字幕)] 6点(2006-12-21 16:10:24)
154.  奇跡の海
章ごとに美しいこの世の風景が映される。そして流れるツボな選曲(ディープパープルまで!)。しかしそれらは手振れ映像で描かれる生々しい現実世界をより生々しく見せるためにあるかのように、作品の空気と合ってない。筋はかなりドラマチックといえるのに、この章ごとの画と音楽がドラマの部分への感情移入を一旦リセットするので生々しさだけが強調される。この手法の発展形が『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のミュージカルシーンへと受け継がれる。その『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を最終作とするハート・オブ・ゴールド三部作の先陣でもあるこの作品は他の2作品同様、純粋な心の女が純粋であるがゆえにこの世界で辛い仕打ちに遭う様が描かれる。いかにこの世界が歪んでいるかを、舞台を封建的で閉鎖された土地にすることで実にわかりやすく見せている。わかりやすければわかりやすいほどに増す嫌悪感、そして女が純粋であればあるほどに増す嫌悪感。つまり純粋なものが異端となる現実に嫌悪するようになっている。だからこの3部作自体を嫌悪するのは自然な現象。この挑発、私は認めます。
[DVD(字幕)] 7点(2006-12-20 18:08:48)
155.  風が吹くまま 《ネタバレ》 
白い壁の村、山なのか道なのか、屋根なのか道なのか、地形を利用した集落は自然との共存の象徴のような気がする。そこへ訪れる文明人。自動車はオーバーヒート。携帯電話は繋がらない。訪れた理由は風変わりな伝統を持つという葬式の撮影。しかし死ぬはずのおばあさんがいつまで待っても死なない。そもそも「死ぬはず」と考えること自体が摂理に反する。「死」はいつ来るというものではなく、いつのまにかやってくるもの。「生」もまたいつのまにかやってくる。隣家の奥さんがいつのまにやら赤ちゃんを産んで次の日から働いている。「生」も「死」も風の吹くまま訪れる。撮影打ち切りの報を聞き、拘束から開放された主人公がようやく「生」を愛しみ「死」を慈しむ。その穏やかな感情こそが風の吹くままに訪れる「生」と「死」を受け入れるということ。医者のバイクに乗せてもらい美しい地球を疾走する姿、このシーンに生きる喜びが凝縮されている。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-01 16:33:08)
156.  ハバナ 《ネタバレ》 
バチスタ政権崩壊直前のハバナを再現した大セットに大エキストラが混迷する状況下でのメロドラマを盛り上げる。アメリカ式資本主義がもたらす自由と退廃の象徴としてのハバナ。レッドフォード演じるギャンブラーもまた自由と退廃の象徴として登場する。そんなギャンブラーが金を捨て女に走る。ちと説得力に欠ける気もするが、混乱を極める状況下がハートの火に油を注いだということでまあ納得。一方、女は結果としてレッドフォードを選ばないのですが、政治的背景が二人を引き裂くのではなく、背景を無視して純粋に男と女のドラマとして選ばない。この堂々としたメロドラマぶりには好感が持てる。ふられた男の悲しみも倍増ってなもんです。惜しむらくは極めてユーモア感覚に乏しい点。それゆえにヒロインが魅力的でない点。
[DVD(字幕)] 5点(2006-11-22 11:49:20)
157.  暗殺者
文句なしに面白い!と思ったらここでの評価はなんとリチャード・ドナー監督作の中での最低の平均点!!なんで??殺しの世界に見切りをつけたいベテランスナイパーとこの世界でナンバー1を目指す野心の塊のような若いスナイパーの対決。静と動。殺しの美学の対比が対決の中に常に映し出される。ターゲット以外の人間も有無も言わせず殺す非情をサイレンサー付きの銃から出る乾いた銃声が助長する。頭脳戦を内包したあくまでクールな銃撃戦の連続にしびれまくり。全く正反対の二人のようでいて、この世界で生きる男の持つ同じ臭い。同じ臭いを持つもの同士にある、ある意味においての信頼関係。アクションてんこ盛りの中にしっかりと描かれていた。熱い(暑苦しい)二人の男の中での、けして汗を掻かなさそうなジュリアン・ムーアのキャスティングも絶妙。彼女が性的な臭いを発しなかったからからこその絶妙なブレンド。ベッドシーンがなくてホントに良かった。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-11-14 10:56:31)(良:2票)
158.  シンプル・プラン 《ネタバレ》 
大金が人を狂わせるというごくありふれた、まさにシンプルなテーマを兄弟の対比によって繊細に描かれる。ダニー・ボイルの『シャロウ・グレイブ』をより身近にしたような感じ。何人かの方が触れられているコーエン兄弟の『ファーゴ』もたしかに彷彿させます。ただしコーエン兄弟の映画は登場人物たちがコーエン兄弟の手によって弄ばされているかのように転がされるが、この作品は普通であれば普通であるほどに誰もが持ち得る悪意が悪いほうへ悪いほうへと転ばせているようで、自分にもあるだろう卑しい心を見透かされているような居心地の悪さを覚える。昔住んでいた家を買い戻すために大金が欲しい兄、借金返済のために大金が欲しい兄の友人、とは異なり、明確な使途が無い弟夫婦。より良い生活をしたい、そのためにまじめに働く弟夫婦は、大金を前により良い生活をしたい、もっとよりよい生活を、もっともっと、、という際限の無い欲望に取り付かれてしまう。殺人をも肯定させてしまう心情が怖い。ラストがちとドラマチックに過ぎるような気がする。
[DVD(字幕)] 6点(2006-11-09 14:40:24)(良:1票)
159.  ロゼッタ 《ネタバレ》 
いきなり怒ったロゼッタが突進してくる。止めに入る上役の手を振りほどき怒りをぶつけてくる。カメラが必死にその一部始終を捉えようとする。カメラの振れはロゼッタの怒りの象徴か、はたまたロゼッタについていけないゆえの不可抗力か。とにかくインパクト大である。怒りの原因は解雇。定職に就くということに異様な執着を見せる彼女の生活が徐々に露にされてゆく。アルコール依存症の母とトレーラーハウスで暮らす彼女が人間として生きる最後の砦が定職に就くこと。そんな人間らしく生きたいという一途な想いが人を蹴落としてまで職に就きたいという人間らしくない行動をとらせてしまう。人間らしく生きたいという目的のための手段であったはずの就職がいつのまにか目的になってしまう。カメラは淡々と冷徹な社会と弱い人間の悲鳴を捉え続ける。歯車が狂った。死に向かうが死すらもうまくいかない。衝撃のラストは「救い」だととりたい。
[DVD(字幕)] 7点(2006-10-31 10:18:22)(良:1票)
160.  イゴールの約束
ドキュメンタリー出身のダルデンヌ兄弟の映画はどの映画もドキュメンタリー的視点で主人公と主人公の生活が生々しく描写される。この作品では不法滞在する外国人労働者に住居を斡旋しその賃料を飯の種とする親子が登場する。この親子を演じたオリヴィエ・グルメとジェレミー・レニエは些細な仕草によって目に見えない親子の絆までも画面に残し、二人は以前からずっとこの仕事をしてきたかのように自然に且つ手際よく、それこそ演技の枠を超えて役に染まっている。しかしこの映画が素晴らしいのはその完璧なまでのリアルな描写に留まらず、その上に「少年が成長(自立)する」きっかけと過程というドラマチックなものを違和感なく溶け込ませている点。「約束」という情的なものを支点として「父親に従う子供」という図式が徐々に崩れてゆく展開が実に映画的で良い。さらに「現実」に追われる親子の生活ゆえに少年が惹かれるきっかけともなった黒人家族の悪魔祓いや占いといった非現実的な儀式が親子の生活との対比として描写されるあたりもまた実に映画的である。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-10-30 15:11:17)(良:1票)
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