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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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141.  悪の教典 《ネタバレ》 
伊藤英明を稀代のサイコキラー・ハスミン役に持ってきたのは、とりあえず正解。彼もいつも演じている偽善が鼻につくヒーローよりも、こういう悪役を選択した方が役者生命を延ばせるというもんです。でもこのハスミンは通常の悪役キャラとは大違いで普段は快活で生徒に信頼されるナイスガイ、まあこのキャラについては普段の演技パターンでこなせるわけですが、鬼畜モードに入ったハスミンを演じるにはちょっと演技力が不足しているようです。それは別に凶暴にふるまう演技を要求しているわけではなく、さりげない所作などに普通じゃないところを盛り込んでほしかったんだけどなんか物足りなかったですね。区別せずに論ずる人が多いけど、いわゆるキチ〇イ(あっちの世界に行っちゃった人)とサイコパスは明確な違いがあるんです。ハスミンは原作者の意図からしてもサイコパス分類のはずで、そうなると彼に話しかける幻聴や幻覚は誤解を招く表現で不要だったとおもいます。 大量に射殺されてゆく高校生たちの阿鼻叫喚はすごい絵面ですが、彼女らに感情移入できなかったのが我ながら不思議でした。これはこの子たちの家庭環境などの個人的な背景がまったく描かれていなかったのが原因かと思いますが、原作から大幅にカットされたのはこの部分らしいです。大部の小説を映画化する場合にはどこを切るかは重要な作業で脚本家の腕の見せどころでもありますが、エピソード自体をばっさりカットして再構築するということも時には必要なはずです、でもこれは原作者との関係もあるので難しい問題かと思います。三池崇史のことですから30分以上にわたる大虐殺シーンには力を入れたかったと思いますし、そうなるとそこに至るまでにあと30分は尺が必要だったんじゃないでしょうか。 “To Be Continued ”がエンドマークでしたが、続編はどうなってるんでしょうか、まあ小説の方がまだ発表されていないので無理ですよね。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2019-06-30 23:16:04)
142.  恋とニュースのつくり方 《ネタバレ》 
原題が一緒なのでてっきり30年代にキャサリン・ヘップバーンが初めてオスカーを獲った『勝利の朝』のリメイクかと思ったら、全然関係ないお話しでした。“MorningGlory”というのは朝顔のことだそうで、早朝の情報番組が舞台であるところに懸けているわけです。ヘップバーン版でも朝顔の意味で使われていて、これをストレートに直訳しただけの『勝利の朝』は洋画史上に残る珍訳・誤訳なんだそうです。 大して期待しないで観たら主要キャラ三人が思いのほか良い味を出していて、なんか得した気分です。“三種類の表情だけで演技して高額ギャラを稼ぐ男”ハリソン・フォードですが、本作では三種類どころか全編を仏頂面の不機嫌顔だけで押し通してしまいましたが、これが意外と良いんです。大物ジャーナリストがキャスターをやるというのはあまり実例がないのですが(そもそも日本には高級ジャーナリストという人種が存在しない)、無愛想つながりで強いて言えば木村太郎ってところですかね。となると相方のダイアン・キートンは安藤優子となるのでしょうが、ジャーナリズムとは縁遠いTVタレント役を嬉々として演じています。彼女は知的コメディエンヌとしての並々ならぬ才能の持ち主なので、このキャラはまさに適役です。レイチェル・マクアダムスもフォードやジェフ・ゴールドブラムとの掛け合いで芸達者なところを見せてくれますが、ハリウッドには彼女と同世代の女優がわんさかいますから、その中で目立つのはなかなか大変なのが現状です。 ラブコメの波動を感じるというよりも軽いノリのサクセス・ストーリーというところでしょうが、センスが良いので安心して観ることができました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-06-09 20:52:57)(良:1票)
143.  13時間 ベンガジの秘密の兵士 《ネタバレ》 
2012年オバマ政権時代の事件なんだそうですが、「へー、そんなことあったんだ」ってくらい自分には「遠い」どころか「全然知らない」出来事ですね。実話なんだからしょうがないと言ってしまったら身もふたもなくなっちゃいますけど、事件の背景やら敵味方の区別がつかない現地勢力など観ていてストレスがたまることたまること。でも一番不可解だったのは領事館が攻められてなんと大使まで死亡しているのに、上空までドローンを送って状況を把握していてもけっきょく見ているだけで終わってしまった米軍の信じられないほどの不甲斐なさです。これはもちろん現場じゃなくて上層部の判断あっての対応でしょうが、さすが腰抜けオバマ大統領の面目躍如です。この映画の隠れテーマはこの対応に対する批判なんでしょうが、さすがにマイケル・ベイといえどもそこまで露骨に政治性をもった撮り方はできず、大統領選の真っ最中にリベラルが主流でヒラリー・クリントン支持一辺倒だったハリウッドではさすがにトーンダウンせざるを得なかったんでしょうかね。でも事件の概要などの予備知識をいっさい持たずに観たおかげで、先の読めない緊迫感だけはひしひしと伝わってきました(まさか大使が死ぬとは予想もしませんでした)。とはいえ作品の出来は『ブラックホーク・ダウン』には遠く及ばず、最近はこの手の非対称戦争ものが量産され過ぎのきらいがあるので、ちょっと食傷気味です。日本ではとうとう劇場未公開で終わったというのも、やむを得なかったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-05-29 23:10:34)
144.  オデッセイ(2015) 《ネタバレ》 
リドリー・スコットにしては珍しいハート・ウォーミングな作品でした。火星にひとり取り残された宇宙飛行士のサバイバル、いわば火星版ロビンソン・クルーソー漂流記という感じですが、そこにマット・デイモンを持ってきたのは大正解でしょう。オーシャンズ・シリーズ以降、彼はコメディっぽい演技に開眼したように感じますが(もっとも本作がコメディ・ジャンルにカテゴライズするのはちょっとどうかと思いますが)、肩の力が抜けた諧謔味に満ちたキャラがだんだん当たり役になってきた感があります。たしかに同種の他作品と比べれば緊迫感が不足しているという指摘はもっともですけど、そこは脚本が意図したところなのでわたくしは良しといたします。彼はいろいろなアイデアを駆使してサバイバルに成功するわけですが、なんか「マット・デイモンならできそう、いや、できて当たり前」という妙な安心感があります。まあそれはどうしてもジェイソン・ボーンのイメージが尾を引いているからで、序盤でケガして脱いだ宇宙服から現れたムキムキ・ボディを見たりすると、ジェイソン・ボーンが宇宙飛行士になったように感じてしまったのは私だけでしょうか。 科学的考証はもちろんしっかりしてるんでしょうけど、割れたヘルメットをガムテープ(みたいなもの)で直したり、脱出艇の先端を防水シート(みたいなもの)で被うだけで宇宙空間に飛び出して行ったり、妙にアナログというか「まじか」と絶句する手法が使われるところが面白い。ラストにジェシカ・チャスティンとランデブーに成功させる手段もかなりのサプライズです。そこら辺がこの映画の独特のテイストになっているんですね。 本作でもまたまた中国がいいところをかっさらっていって、「またかよ」と苦々しく感じてしまいましたが、冷静に考えると中国はじっさいに月の裏側に探査船を送り込みましたし、宇宙開発競争の現場ではこれがリアルなのかもしれません。宇宙探査でアメリカと張り合えるのは、もはやロシアではなく中国だということなんでしょうかね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-05-26 21:26:06)
145.  悪の法則 《ネタバレ》 
原作が『ノー・カントリー』のコーマック・マッカーシー、脚色して製作総指揮まで買って出ているので、どうりで雰囲気が似ているわけです、登場人物が妙に哲学的な語りをするとか、ハビエル・バルデムも出てますしね。単純に言うとよくある悪女ものピカレスクなんですが、その悪女キャメロン・ディアスが脱ぎこそないが彼女史上最強のエロっぷりを見せてくれます。ハビエル・バルデムがその魔性にメロメロにされるわけですが、彼の「アレはナマズだった…」は迷セリフでございます。 原作者自身が脚色した映画は迷走するケースが多いものですが、本作もその傾向が濃厚な気がします。進行している事件が判りにくいというのがこのお話しの欠点かもしれません。繰り返される殺しは麻薬カルテルとキャメロン・ディアスが手配した殺し屋が下手人なわけですが、カルテルがなぜマイケル・ファスベンダーを殺さなかったのか理解できないところです。彼はあの絶望のラストの後で殺される運命で、映画ではあえてそこまで描かなかったという解釈もできなくはないですけどね。このような撮り方は今までのリドリー・スコット流とはちょっと逸脱している感じで、これもコーマック・マッカーシーの影響力なのかもしれません。 しかしあの“首チョンパ・ライダー殺し”は観ていてビビりました、バイク乗りの人にはトラウマになるでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-05-21 22:48:28)
146.  オーシャンズ8 《ネタバレ》 
ネタ切れに苦しむハリウッドが患う“過去ヒット作の女性版リメイク症候群”がオーシャンズ・シリーズにまで伝染してきたって感じなのかな。ダニー・オーシャンの妹デビー・オーシャンというのはベタ過ぎて笑えますが、確かにこの脚本はいろんな面でひどすぎる。ダニー・オーシャンのお仲間からルーベンとイェンをスペシャル・ゲストで迎えたり音楽はオーシャンズ・シリーズに寄せまくったりで雰囲気だけは盛り上げようと努力しているのは認めますが、ソダーバーグが持っていたセンスには全然及ばないんだよな。女優陣はもちろん豪華ですが、私のツボを刺激してくれたのはアン・ハサウェイでした。彼女のキャラは最近ハリウッドで評判が悪い自身のセルフ・パロディみたい、そんな役をゲロ吐きまでして愉しんで(?)演じていたような感じがしました。そしてサンドラ・ブロック、彼女の開幕直後とラストのメイクとヘアスタイルを見ていると、なんか80年代のマイケル・ジャクソン見ているみたいだと感じたのは、私だけでしょうか(笑)。まあ連休中の暇つぶしには丁度いいのかもしれません。 この映画を観終わっての最大の疑問…果たしてダニー・オーシャンはほんとに死んだのだろうか?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-05-03 23:39:17)
147.  セブン・シスターズ 《ネタバレ》 
発想は奇想天外、ノオミ・ラパスの一人七役は彼女の演技力なくしては成立しなかったんじゃないでしょうか。これはボブ・ディランを六人の男・女優が演じ分けた『アイム・ノット・ゼア』の真逆の発想でもありますが、やっぱ本作の方が主演女優のチョイスが難しくて製作のハードルは高いとおもいます。7人のキャラ分けも「こうするしかない」というほどきっちりしていますが、オタク系でITに強い子が“フライデー”というのだけはどうなんでしょうか?あれでは銀行でキャリア・ウーマンを演じるのはキツいだろうし、どうせならお休みの“サタデー”か“サンデー”にした方が良かったんじゃないでしょうか。それともこの映画の世界では休日が金曜日に変わっているのかな、それじゃイスラム教です(笑)。 あまりネタバレするので詳しくは書けませんが、七人姉妹は過酷な試練にさらされます。そして重要なのは、このお話しは実はナチスのユダヤ人迫害の暗喩となっているのです。まず“セットマン”というファミリーネームからしてユダヤ風ですし、彼女らが暮らす貧民街(?)の描写もまるでワルシャワ・ゲットーを彷彿させるところがあります。見つかると連行されてしまう第二子以降の子供たちは当然ユダヤ人のオマージュですし、隔離局という政府機構はナチス親衛隊かゲシュタポをイメージさせられます。そこに気が付くと、冷凍保存されているはずの子供たちの運命もおのずと予想できるでしょう。そういうこともあり、観終わったらいちおうハッピーエンドではあるのですが、背筋に寒気が残ってしょうがなかったのは事実です。でもこれはとても秀逸な脚本だとおもいます。 ラストでコールドスリープの実態を知った民衆によってグレン・クローズは失脚して死刑になることを暗示して映画はおわります。そこでふと考えたのは、もしヒトラーのユダヤ人虐殺を当時のドイツの民衆が知ったら、果たしてナチス打倒の動きは起こっただろうか、ということです。私は決してそういうことは起こらなかったろうと確信します。なぜなら普通のドイツ人もユダヤ人虐殺にはうすうす感づいていたし、またドイツ国民はユダヤ人排斥で経済的利益を得ていたからです。この映画の閉じ方は、ある意味でドイツ人への強烈なあてこすりなのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-04-20 10:15:50)(良:1票)
148.  ゆれる人魚 《ネタバレ》 
人魚って肉食、実は人肉が好物だったんですね、怖~。 バルト海の海岸からバンドマンに惹かれて陸に上がってきた人魚姉妹シルバーとゴールデン(金髪の姉がシルバーで黒髪の妹がゴールデンというのがややこしい)、二人がナイトクラブの人気デュオとなってゆく前半は、普通の監督なら人魚の青春ミュージカルに持ってゆくところですが、これを無理やりグロホラーに仕立てるのはこの女性監督ちょっとヘン、でも個人的にはこのセンス好きです。音楽センスも抜群で、ポリッシュ・テクノを基調としながらもポリッシュ・パンクまで聞かせていただき満足の極みです。主演の姉妹は考えてみると登場シーンの半分はヌードという頑張りようですが、二人ともボディスタイルはイマイチだったのがちょっと残念でした。金髪の姉の方がバンドマンと恋して人間になろうと臍から下のお魚パーツをぶった切って人間パーツを移植する(人間パーツを提供することになった女性はどうなっちゃんでしょうか?)ことまでするのに、他の女と結婚しちゃう男はちょっと酷すぎ。でも警告されていたのに、裏切った男の胸に抱かれて海の泡となって滅びてゆく彼女の見せた優しい表情には、ちょっと涙腺が緩んでしまいました。 中盤で監督のイメージが暴走してストーリーが収拾つかなくなったのは残念で、これがなかったらもっと高得点だったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-04-17 11:28:40)
149.  ノック・ノック 《ネタバレ》 
これはあのカルト映画『メイク・アップ』の完全なリメイクですね。オリジナルのイカレ女コンビのソンドラ・ロックとコリーン・キャンプがそれぞれ製作陣で参加していますし、コリーン・キャンプはワン・シーンですが出演すらしています。それがまた驚くような変貌ぶり、完璧なメタボ中年おばさんですからねえ。最近はプロデューサー業に進出しているそうですが、『地獄の黙示録』のミス五月がここまで行くとはもう絶句です。あとオリジナルの監督まで製作総指揮ですから、これはまるで同窓会ですよ。それをカルト映画のリメイクが趣味みたいなイーライ・ロスが撮っていますのでその不快感は当社比120%、これは『ファニーゲーム』を超えてるんじゃないかな。 ここまで弱っちくて情けないキアヌ・リーヴスを見せられたら、女性ファンは悲鳴を上げるでしょう。ふつうのハリウッド・セレブならこんな役オファーが来たら即拒否でしょうが、キアヌ・リーヴスは自ら製作総指揮で陣頭に立つぐらいですからやる気満々、この人実はマゾ性癖なんじゃないでしょうか(笑)。こういうキャラは影で悪事を働いていたりして何かしら弱みがある設定がふつうですが、この映画のキアヌくんはあまりに非の打ち所がない善人なので、あまりの理不尽な仕打ちをされるのを見せられると、同情よりも糞女たちへの怒りが倍加させられます。どこかで反撃に移りジョン・ウィック化するはずだと誰もがハラハラしながら観続けると思いますが、イイ線行くかと思わせておいてキアヌくんは肝心なところではドジを踏んでばかり、あの無情なラストはそれこそ『ファニーゲーム』に通じるところがあります。ちょっと疑問だったのはイカレ女たちがキアヌくんの友人を殺しちゃってるところで、もし殺しがなかったらあのラストは超絶ブラックですけどブラック・ユーモアとして閉じることもでき、その方が後味が良かったんじゃないでしょうか。私は未見ですが話によるとオリジナルのラストはちょっとスカッとするそうで、そこを踏襲しなかったのはいかにもイーライ・ロスらしい感じがします。 最近知りましたが、ソンドラ・ロックは昨年11月に亡くなったそうです。でも今年のアカデミー賞授賞式の追悼コーナーでは取り上げられていませんでした。イーストウッドと揉めたので、アカデミー協会に嫌われていたのかな、でもちょっと寂しいですね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-03-28 10:18:30)(良:1票)
150.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
屈辱の『サンダードーム』から30年、突如としてマックス・ロカタンスキーが我々の前に帰ってきた!老いぼれてしまったメル・ギブソンは当然使えないとして、二代目マックスを拝命したのがトム・ハーディ、まるでこの人はマックスを演じるために俳優を職業にしていたかのような馴染み具合です。冒頭でいきなり愛車を分捕られて泣き別れ、鉄格子のマスクをつけられて人間輸血袋にされるなどはけっこう今までのマックス像を塗り替えるような展開でした。そしてシリーズの特色だった女気のなさもシャリーズ・セロンや美形アマゾネス(?)を活躍させることでついに汚名返上となったわけです。でもそんな俳優たちの演技に目を向ける余裕がないほどの驚異的なカット数、映像の放つ情報量はすさまじいレベルに達しています。もちろんCGのヘルプもありますが異形のバギー&タンクローリー&バイクの実車を使った迫力は息をのむほどで、そもそもこの映画の三分の二は疾走シーンなんじゃないかな。マックスにフラッシュバックする過去やフュリオサが片腕を喪失した事情など、細かいことは敢えて語らないストーリーテリングも好きです。 ほんとに「行って帰ってくる」だけの単純なお話しなんですがこれは『2』以降に共通したコンセプトで、それを35年かけてここまで昇華させたジョージ・ミラーは大した奴です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-03-18 21:48:39)(良:1票)
151.  アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 《ネタバレ》 
邪道だと判ってますけど、100分程度の映画なのにあまりの緊張感に圧倒され時間をかけて三回にわけて観ることになってしまいました。これを映画館で観ていたら、最後まで席に座っていられる自信は私にはありません。ここまで緊張感で圧倒された映画は今まで『未知への飛行』しかありませんでしたが、よく考えるとこの映画は『未知への飛行』とストーリーテリングに共通しているところがあります。第三次世界大戦勃発の危機を会議室と作戦室だけを舞台にして描いているのが『未知への飛行』ですから、誰からも攻撃を受ける危険のない英米の三か所から軍事作戦を遂行する本作の製作意図が影響を受けていることは間違いないでしょう。さらにこの映画ではハラハラドキドキ要素が強烈なので、緊迫感が半端ない水準にまで強くなっています。そのハラハラ要因は言うまでもなくパン売りの少女の運命ですが、あの結末はハリウッド映画では絶対にありえないでしょう。 「誰もが真面目に職務遂行しているのに、その結果はとてつもなく後味が悪い」というのが両作のエッセンスですが、本作の場合はそこに官僚的な責任転嫁という人間的な弱さも登場キャラの言動に加味されているので、よりリアルです。ここにはヘンリー・フォンダが演じる大統領の様に、途轍もなく過酷な決断を下してその責任を背負い込むような人物は存在しないのですけど、それこそが現実というものでしょう。 現代のハイテク戦争の一端がうかがえるのは興味深かったです。中でも“偵察用ロボ昆虫”には驚きました、本当にこんなメカが存在するんでしょうかね。そして考えさせられたのは、また昔に戻るかもしれないけれど、現在進行中の対テロ戦争はもはや古い戦争という概念が通用しない警察活動に近い代物なんだということです。“非対称戦争”という概念がありますが、敵には殺意いがいは大した武器を持たず低速で飛ぶドローンを撃墜することすらできない。地上兵力を投入して徹底的にやれば必勝ですが、大国は人的損害というリスクがとれないので指揮官だけじゃなく兵士までもが安全な職場から攻撃するわけです。これでは人命になんの価値も持っていない集団と戦っても勝利できるのか疑問です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-03-14 23:20:00)(良:1票)
152.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 
製作費が300万円ということですが、ほとんど映画らしい手間をかけていないPOV映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の6万ドルや『パラノーマル・アクティビティ』の1万5000ドルと比較すれば予算の割には登場人物も多くて普通の映画だと思います。逆に言うと、300万円でこれだけの映画が撮れちゃう日本の映画製作状況が心配になります。俳優さんたちはギャラなんてほとんどもらってないんじゃないかな。 冒頭の長回しの他はとくに目新しいアイデアは使われていないけど、映画として普通に面白い。「ネットで話題沸騰!」ということで大ヒットしたわけですが、若いネット民やマスコミには長回しというスタイルがよほど新鮮に感じたみたい、ヒッチコックなんか70年も前に全編ワンカットという手法(厳密にはワンカット風)で『ロープ』を撮っているのを知らないみたいです。私はそれよりも、全編に映画愛が濃厚にあふれているところが気に入りました。トリュフォーの『映画に愛をこめて/アメリカの夜』の日本版がついに誕生したとさえ私は感じています。ラストで人間ピラミッドが崩れた後に俳優たちが見せるさわやかな笑顔には、胸がキュンとしてしまいました。 最近の地上波では血が画面に映るのはご法度で放映できない映画がたくさんあると聞いていたので、劇中劇のフェイク・ブラッドとは言えこれだけ流血シーンや首チョンパまである本作が放映されたことには驚きです。数字が稼げてスポンサーがつくなら原理原則なんて糞くらえというというのはいかにもTVらしいところですが、そんならもっとゾンビ系やスプラッター系を放映しろよと言っておきます。もっとも自分としては、地上波で映画を観ることは滅多になくなってますけどね。
[地上波(邦画)] 8点(2019-03-10 21:41:01)
153.  パージ 《ネタバレ》 
プロットは完全にケータイ小説レベル、イーサン・ホークやレナ・ヘディといったそこそこ名の知れた俳優を起用していますが、B級感は隠しようがない。まあこのプロットは詰めて考察すれば穴だらけなんで無視することにして、やはり『わらの犬』的な映画として観るしかないですね。でも緊迫感は『わらの犬』に遠く及ばず、というよりも比べること自体がペキンパーに失礼極まりないといったほうが正解。イーサン・ホークはいつものイーサンで、今回こそは今までのヘタレキャラを返上するかと思えば最後まで生き残れないし、奥さんのレナ・ヘディにしてもお前の中途半端な態度も事態を悪化させた要因の一つでしょ。パージの日だから交際の邪魔をする父親を始末しよう、いくらバカ娘の恋人だからといってこんなアホな奴いるわけねーじゃん。そして匿われた黒人ホームレスを執拗に狙うヤッピー軍団、あの黒人にそこまで執着する理由がさっぱり判らん、狩りの獲物なら他にいくらでもいるでしょ。そして本当に怖いのは成功を妬む隣人軍団で、もしパージ制度が実際に存在したら、パージの対象は見知らぬ他人じゃなくて人間関係がある者になるに決まってるじゃないですか。そこがこの映画のプロットのおかしい根本理由です。 「1年で12時間だけだれを殺してもイイですよ」こんな制度があるおかげでアメリカが平和な国になった、これは考えようによってはアメリカ人をずいぶん馬鹿にした設定だとも言えますが、トランプを選挙で大統領に選ぶ人たちだからあながち間違っていないのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-02-28 23:55:29)(良:1票)
154.  アウトレイジ 最終章 《ネタバレ》 
シリーズ三作目かつ最終作となったわけですが、北野武および出演俳優の健康面をふくむゴタゴタの影響か、私から言わせると観るも無残な出来となってしまいました。 まず、西田敏行と塩見三省が製作までの間に健康を害してしまったのが、多大な悪影響を及ぼす結果になってしまいました。塩見の若頭補佐中田なんかもう前作とはまるきり別人という感じ、西田もセリフ回しに衰えが顕著で映画全編でもあの“バカヤロー&コノヤロー祭り”が雲散霧消してしまいました。新たにピエール瀧が起用されていますが、こんないい役者をあの役にしたのはあまりに無駄遣い、あのキャラならもっと違う俳優でもよかったんじゃないですか。前作でその猛威を見せつけた鉄の軍団・関西花菱会が、前作の脚本の使い回した様にかつての山王会みたいなガタガタな状態(いや、もっと悲惨)になっているというのもちょっとどうかと思います。現実世界でも広域暴力団の後継が世襲という事例はなく、まして元証券マンの女婿に後を継がせるなんてあまりにも非現実的な設定です。たしかに証券業界の偉いさんには、知能派極道みたいなのがゴロゴロしてますけどね(笑)。これも大杉漣起用から逆算したようなキャラなのかもしれません。そしてもっとも現実離れしているところは、闇市上がりの在日韓国人フィクサーが政官界にも権力を持っていてカッコよく描かれているところです。こいつが電話一本で警察の捜査を中止させるなんてシーンまであり、その脚本の発想の古臭さには唖然としました。ハリウッドはもちろん最近はカンヌやヴェネツィアでも相手にされなくなった北野武の、釜山映画祭に呼んでくれたりして優しくしてくれる韓国へのサーヴィスであることは見え見えです。そう見れば、たけしは劇中の大友よりもはるかに義理堅いのかもしれません(笑)。全般的に構成が前二作と比べても雑かつ安易な脚本で、大友と市川のパーティー会場での大乱射も『ソナチネ』の同様なシーン(ホテルの外に漏れてくる銃声だけを聞かせる秀逸な演出)を実演で再現しましたって感じです。そういやラストも『ソナチネ』風でしたね。 私が三作目を撮るならこうあるべきだと考えたのは、先輩刑事片岡をやられた繁田が大友と花菱会に対して警察権力を駆使して追い詰めてゆき全面対決にいたるという脚本でしたが、あまりに繁田が活躍しないで終わってしまったのには、ほんとにがっかりでした。三部作を振り返ってみると、大友と上部組織との争いはオフィス北野とたけしの確執を反映させていたのかも。北野武にはプロデューサーとしての力量はなさそうだし、これが彼の最後の監督作になるのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2019-02-04 23:05:23)
155.  ガール・オン・ザ・トレイン 《ネタバレ》 
誰がミガンを殺したかという謎ときになると、女刑事以外の五人しか登場人物がいないしおのずと犯人は絞られていきます。そういう謎ときとしての面白さは薄いけど、エミリー・ブラント演じるアル中女のこれでもかと追い込まれたキャラは興味深いところがあります。不妊を口実に自分を捨てた元夫が不倫していた再婚相手と同じ家に住み、二人は子宝に恵まれてその家を毎日電車の窓から眺める、これはちょっと強烈なシチュエーションじゃありませんか。しかも酒でしくじってクビになっているのに居候している友人には話せず、仕事に行くふりをしてただ電車で都心を往復して過ごす日々、まるでリストラされた中年サラリーマンがやりそうな行動です。ラストもだいたい予想通りの展開ですが、ヒロインを含めて誰にも幸せが訪れないような幕の閉じ方でした。やはり疑問が残るのは泥酔して欠落した記憶がフラッシュバックして回復することで、そんなことあり得ないと思うがそれじゃ物語が成立しないので黙っときましょう。とにかく登場人物誰にも感情移入できないし後味も悪いし、あまり人にお奨めしたくなる映画じゃなかったことは確かです、決して出来が悪いわけじゃないんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-02-02 21:19:19)(良:1票)
156.  ヒトラーに屈しなかった国王 《ネタバレ》 
ナチス・ドイツがノルウェーに侵攻を始めた1940年4月9日から11日までの2日間の物語がストーリーです。立憲君主国において、王が非常時に果たすべき役割とは何か?というテーマのもとに、ノルウェー王ホーコン七世の苦悩をリアルに描いています。 まず、孫たちと遊ぶ平凡なお爺ちゃんとしか見えない王の日常にちょっと驚きです。ヨーロッパとはいえ小国の部類に入るノルウェーですから、王家のありさまも庶民的です。ましてこの王はもとはと言えばデンマークの王子で、1905年のノルウェーのスウェーデンからの独立時に議会から招聘された人で生まれながらに王になる定めではなかっただけに、謙虚な姿勢は好感が持てます。この役を演じるのは現007シリーズでMr.ホワイト役のイェスパー・クリステンセンで、この王のキャラは名演です。対するドイツ大使として王との交渉に奔走するのは、『ヒトラーの贋札』で印象深かったカール・マルコヴィクス。興味深いのは、この大使がヒトラーにはもちろん逆らえないけど、何とかノルウェーに有利になるように図りたいと頑張るちょっと信念を持った人物として描いているところです。終盤の王と大使の緊迫感あふれる会見がクライマックスですけど、両者ともよい演技でした。いまや絶対的な悪であるナチス・ドイツの代表者をここまで好意的に描くとは、ノルウェーという国の柔軟な精神が感じられます。対照的かなと感じたのは「売国奴」の代名詞として辞書にまでその名を遺すクヴィスリングの扱いで、セリフでは言及されるけどとうとう画面に登場せずでした。王と王太子の関係性もかなり踏み込んで描かれています。この時点ですでに他界していた母親である王妃を、王太子が辛辣に批判するシーンもあります。ウィキペディアなどではとても好意的に記述されている英国王室から嫁いだこの王妃にも、いろいろ批判される面があったみたいです。 結局この2日間でホーコン七世はヒトラーの理不尽な要求を断固拒否して両国は正式に戦争状態になります。英仏軍も加勢して抗戦しますが、二か月後には王室は英国に亡命しノルウェーは降伏します。でも1941年に始まるバルバロッサ作戦まで、ヒトラーが侵攻した国で最も長期間抵抗したのは実はノルウェーでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-30 21:21:25)
157.  アウトレイジ ビヨンド 《ネタバレ》 
日本映画史に残るあっけない荒業を使って黄泉の国から現生に帰ってきた大友の親分。「大友が死んだなんて私言ってないですよ、噂があるって言っただけです」、いやはや、こんなセリフだけでプロデューサーからの無茶ぶりを解決させたたけしは、やはり天才なのかもしれません(笑)。 さて二作目として物語をパワーアップさせるために登場してきたのは、お馴染みの関西の大組織。3分に一度は役者の誰かが「コノヤロー!」「バカヤロー!」を口にするのはスコセッシ映画の“FUCK”みたいなものだと思いますが、そこに関西弁が入ってくると迫力が一段ましです。刑務所から出てきても大友のお人よしぶりは相変わらずで、在日のフィクサーのところにいるときは借りてきた猫みたいに大人しいし、なんだかんだと言ってもけっきょく片岡の扇動に乗って木村とともに山王会潰しに奔走するわけです。でも殺しを重ねるうちに、大友の残忍な本性がだんだん目覚めてくる感じはよく出ています。花菱会のリップサービスを真に受けている木村に愛想を尽かして大友が最後に逃げだしちゃうところなんか、要は前作の愚かだった自分の姿を見てるようで嫌になっちゃたんだろうな、学習の効果が少しはあったというわけです。たけしのヤクザ映画にはいわゆる“指ネタ”はお約束ですけど、それにしても歯で自分の指を食いちぎるとは、木村は前作ではカッターナイフで指を詰めようとして悪戦苦闘しただけに、お前の歯はカッターナイフの刃よりも固いんかい、と思わず突っ込みを入れてしまいました(笑)。 この映画での最大のサプライズはやはりラストですが、これは大友がまだ見ぬ第三作ではカッコつけるの止めて鬼に徹することになるのを暗示してるのかな?
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-01-26 22:14:09)
158.  アウトレイジ(2010) 《ネタバレ》 
北野武の映画がなんで世間では高評価なのかがイマイチ解せない自分ですが、やくざモノを撮らせたら目が覚めるような秀作を撮ることは認めざるを得ません。この映画の優れているところは、ストーリーテリングというか脚本の構成です。会長の池元への叱責がきっかけでまずは大友組の嫌がらせから始まり次は村瀬組の反撃、このテニスのラリーのようなターン交代が徐々にエスカレートしながら上映40分過ぎまで続く。途中カジノ開業のハーフタイムショーがあり、試合再開したらたけしの怒涛の攻撃で村瀬組組長のタマを捕る。しかしこれでワナに落ちることになって、窮地に立たされた大友は池元を葬ってしまい、旧池元組と山王会の連合軍の猛反撃であえなく大友組は全滅。これぞまさしくヤクザ抗争におけるバタフライエフェクトと呼ぶにふさわしいエスカレーション劇、まことに見事な脚本です。この映画で面白いのは、北村総一朗が三浦友和を、椎名桔平が加瀬亮を、そしてたけしが小日向文世をと上位者や先輩が目下の者に恥をかかせたり殴ったりするのですが、三人とも逆襲されて無残な最期を迎えます。アウトレイジな世界でも、行き過ぎたパワハラは禁物ということなんでしょう。 とは言え、「やっぱたけし映画だなあ」と嘆息させられたのも確かです。それは大友が山王会会長に「池本を殺っちゃえ」と唆されるところで、大友が会長の甘言を疑わずに信じていたところです。たけしが自身の映画で演じるヤクザは、どれもお人よしだったり過剰にカッコつけたりなど悪人に徹しきれていないのは彼個人のナルシスト気質が濃厚すぎるからで、これが鼻につくんです。あんだけ無法の限りを尽くした大友が、あんな見え見えの策略に引っかかるようなアホでしたってのは、私には耐えがたいところです。半面、池元演じる國村隼の人間の卑しい面をこれでもかと強調した演技は、もう絶賛しかないです。これは『仁義なき戦い』シリーズの金子信雄を超えちゃったかもしれません。できたら二作目以降も出てほしかったけど、さすがのたけしも死人を蘇らせる(自分が復活するだけで精一杯)わけにはいかないでしょう(笑)。まあこの映画の前日譚を撮るという手もありますけどね。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2019-01-23 22:08:57)
159.  ミロクローゼ 《ネタバレ》 
ぶっ飛んでます。山田孝之はへんな役でも感性が合えば嬉々として演じる人ですが、伝説のTV番組『オー!マイキー』や映画『狂わせたいの』で知る人ぞ知る石橋義正とタッグを組むとは、ほんと彼はいいセンスしてます。山田孝之は三種類のキャラを演じていますが、その中でもやはり「青春相談員熊谷ベッソン」がサイコーでした。彼のキレッキレッのダンスは見応えがあり、このノリでおバカミュージカルを一本撮ってほしいですね。このパートがわずか10分足らずというのは実に惜しい。時空を超えた時代劇という感じの「片目の浪人多聞」が一番長い尺なのですが、まあこれは『キル・ビル』のいわゆる“青葉屋の死闘”へのオマージュがしたくて撮ったって感じです。この多聞が暴れる天拓楼は美術に凝りまくっていて、スローで見せる山田孝之の殺陣もかなりのレベルとお見受けいたしました。驚いたのは壺振り役の原田美枝子、メイクの効果もあるかもしれませんがとても撮影当時50代とは信じられない美魔女ぶりです。ちなみに天拓楼遊女七人衆の軟体遊女は、山田孝之の実姉である椿かおりなんだそうです。でもこの多聞、どうして「片目」という役名なのかは謎です(笑)。そういやオブレネリなんとかというキャラも出ていましたが、このエピソードはイマイチ理解不能でした(笑)。 石橋義正は最近は目立った活動がないのですが、どうしちゃったのかな?
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-01-05 22:37:37)
160.  ダウンサイズ 《ネタバレ》 
前半はとてもよく考えられたSFです。税金や選挙権などの人権、そして経済に与える影響など、ミニサイズの人類が登場したらどういう問題が起きるかということを、社会科学的な視点で見せようとする意図の脚本です。その代わりダウンサイズのテクノロジー面の描写はけっこう雑で、注射を打たれてから縮小されるまでのあっけなさには思わず笑っちゃいました。疑問なのはミクロ社会の建物や車などの人工物で、あくまで生体の細胞を縮小するテクノロジーだからモノには通用しないはず(ミニサイズの馬がいるのは納得できます)、じゃあ彼らはそれらのモノをコミュニティ内で製造したことになるけど、そんなことできるわけないでしょう。とすると、あの建造物などは通常サイズの世界で作られて持ち込まれたものじゃないとおかしいということになりますが、車や携帯電話をあのサイズで製造するのは無理でしょう。つまり論理的にはこの映画のプロットは破綻しているわけですが、このお話しのキモは全人類がダウンサイズするわけではなく、ミクロサイズと通常サイズの二種類の人類というか社会が併存する世界であることでしょう。つまりダウンサイズ人間社会は通常サイズの人類なしでは存在することができず、一種の棄民された人類とも言えます。 この映画が迷走し始めるのはノルウェーに舞台を移す後半です。あの地下に潜る選択をする人々は、私にはカルト集団としか思えません。この人たちを揶揄するわけでなく、最後まで善意に満ちた集団として描いているので違和感が半端ないです。マット・デイモンは全編を通して「人生流されて生きてきました」という感じのジェイソン・ボーンとは対極のキャラでしたが、まあ最後の決断は良しとしておきましょう。 余談ですがホン・チャウが演じた元政治犯を刑罰としてダウンサイズした国家はベトナムということになっていますが、なんか違和感があります。たしかにベトナムも今でも共産党独裁国家ですが、ここはやはり中国としたほうがしっくりきませんか。ひょっとして脚本段階では中国だったのかなと邪推したりしますが、これもまたハリウッドを毒しているチャイナ・リスクなのかもしれません。これはあくまで私の勘で、根拠はないですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-03 20:55:32)(笑:1票) (良:1票)
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