1621. ハムレット(2000)
ハムレットの映画版はすでに何作もあるんだから、今度は舞台を現代のニューヨークに持ってきました・・・という試み自体はいいんだけど、そこで全部が終わってしまっているのです。つまり、設定背景や美術や衣装を現代風にしたというだけであって、やっていることはこれまでの作品と何も変わっていません。もっと思い切って換骨奪胎して、原作の要素で残っているのは残渣くらい、くらいの配分にした方が面白かったと思うけどなあ。せっかくこうするんだったら。 [DVD(字幕)] 3点(2018-06-12 01:25:07) |
1622. 荒野のガンマン
ウエスタンのくせしてやたらじめじめしていて、しかも登場人物はそれぞれ行動がまったく一貫していない。あまり前後の整合性とかは考えず、撮りたいシーンをとにかく撮っていって強引につなげていったのでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-06-11 02:31:07) |
1623. 今そこにある危機
これだけ登場人物がいて、整理も描き分けもまったくできていないのですから、面白くなるわけがありません。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-06-10 00:55:10) |
1624. ル・アーヴルの靴みがき
《ネタバレ》 密入国少年が家に紛れ込んだところで、「あ、そう」レベルで済ませている(どころか、その後少年をほっといてとっとと外出している)シーンが何とも強力。この超然とした主人公の立ち位置が、その後ラストまでの展開を一気に必然性あるものとするほどのパワーがある。また、密入国の背景とか、警視とカフェのマダムの過去の経緯とか、妻の病気の詳細とか、そういう余計な背景とか感情描写をすべて切り捨てている潔さも良い。 [映画館(字幕)] 7点(2018-06-09 20:54:31) |
1625. から騒ぎ
《ネタバレ》 ドタバタ恋愛劇なんだからみんながそれぞれ大騒ぎしていたらそれなりの形になるはずなんだけど、それでも何かかみ合わない印象を与えるのは、ブラナーが自分の出番を増やしすぎて、バランスが崩れちゃったからでしょうね。エマ・トンプソンの舞台系台詞言い回しはなかなか新鮮。最後の長回しには、ちょっとびっくりしました。 [DVD(字幕)] 5点(2018-06-09 20:47:08) |
1626. スラップ・ショット
アイスホッケーを扱った映画は初めて見るので、その限りでは新鮮だったが、それ以上のものはなかった。大体、ラフプレーそのものを正面から賛美してしまうのは、スポーツの描写として何かが間違っている気がする。全体のテンポもあまりよくない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-06-07 23:44:23) |
1627. パトリオット・ゲーム
ストーリーとしても単に「ワルをやっつけました」というだけで面白みも何もないのだが、そこに変にいろんな登場人物を入れてやりとりを盛り込もうとしているため、かえってスピード感が削がれていっそうつまらなくなっている。危険を前にした真剣みがまったく伝わってきません。点数はアン・アーチャーの分。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-06-06 00:09:07) |
1628. 快盗ルビイ
《ネタバレ》 キョンキョンは演技力は全然まだまだなんだけど、脚本の練られ方、演出のフォーカス、そして真田広之の的確なフォローによって、絶妙に助けられている。一方で、ここぞというところでのどアップとか照明とか、とにかくキョンキョンを可愛く映そうという、制作側の丁寧さも感じられるのです。筋立ても、至ってシンプルながら、一番簡単なはずの手紙のところでさくっと捕まるなど、振りと落ちがきちんと決まっている。それぞれの脇役が、必要な部分以外は顔を出さないのも良い(それによってかえって引き立っている)。唯一、伊佐山ひろ子の上司は、もう少し何かあるかと思ったのですが。最後、舞台のカーテンコール風のクレジットも洒落てますね。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-06-05 02:53:03) |
1629. ハムレット(1996)
4時間超えでこの戯曲を再現しようとしたケネス・ブラナーの根性は大したものですが、根性だけではやはり中身は伴わないわけで。まず、自分で主演してしまったのは失敗でしょう、全部先回りして考えているように見えてしまい、迷っているようにも悩んでいるようにも見えません。豪華に並べられた役者陣も、形を整えるのに精一杯で、芝居の本領発揮にはおよそ至っていません。まあ、ケイト・ウィンスレットの舞台風芝居が見られるのは、今となっては貴重でしょうか。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2018-06-04 23:54:22) |
1630. トゥルー・ロマンス
やっぱり、せっかくのタランティーノ脚本が、監督が別の(そして一般人の感性を持った)人がやっているため、角が取れている感が漂っているのです。バイオレンス描写とかは別としても、根本のところで、登場人物がみんな分かりやすく一直線なのです。あと、肝心のクリスチャン・スレーターが、真面目で純朴な雰囲気がどうやっても醸し出されていて、作品の感覚と合ってないのだな・・・。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-05-31 01:32:31)(良:1票) |
1631. エド・ウッド
《ネタバレ》 こんな変な人の人生を、全力で真面目に描写しているところが良い。主人公がやっていることは滅茶苦茶なのですが、芸術で大事なことは、周囲の視線とか段取りなどは無視した、こういう初期衝動であり、対象への愛情なのです。最後、主人公の周りに集まってきた変な人たちのその後の進路をいちいち説明してくれるオタク魂に笑いました。 [DVD(字幕)] 6点(2018-05-29 02:24:05) |
1632. 蘇える金狼(1979)
松田優作の気合と迫力で何とか乗り切っているが、脚本や演出はあまりにも平坦。また、会社の人達が少しも実力がありそうに見えないので、それに立ち向かう主人公にも存在の意味がない。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2018-05-27 03:11:27) |
1633. 紙の月
《ネタバレ》 若い男との逢瀬にはまっていく過程を相当すっ飛ばしているのは、あえて省略であると理解して(もっとも、その前提となるべき家庭の空洞感なり不足感が描写されていないので、説得力があるとはいえない。あの旦那さん、相当いい人だと思いますけど)。問題は、主人公が横領する金額なり手口までが、一気にエスカレートしていて、市井の一般人が足を踏み外して落ちていくという現実感がないこと。また、上司の次長が絵に描いたような無能描写なのも、その監督をかいくぐる横領というスリリングさを削いでいる。全体として、無表情演技が絶大なインパクトを放っている小林聡美に相当助けられていますが、その存在感ゆえ、最後は物語まで彼女に浸食されてしまいました。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2018-05-24 02:10:24)(良:1票) |
1634. 眺めのいい部屋
一つ一つの「絵」は限りなく美しいのですが、それが前後としてつながっていない。登場人物に行動の基本原理がないからです。つまり、映画というよりも、画集を一頁一頁見ているような気になります。まあ、今となっては、素直で真面目なヘレナ・ボナム=カーターとか、とてつもなくださいダニエル・デイ=ルイス(もっとも、その割に、存在感は無駄なほどある)が見られるというのは、貴重かもしれませんが。 [ビデオ(字幕)] 5点(2018-05-23 01:19:26) |
1635. ハムレット(1990)
やっぱりメル・ギブソンにはちょっと無理があったかな-、台詞回しに演技が全然ついていっておらず、ボソボソ喋るだけになってしまっています。グレン・クロースも、登場しただけで五癖も十癖もあるように見えて、流れに翻弄される王妃としての悲しさとか儚さが出てきません。こういった役者の個性を生かす方向で行けば、それはそれで独自の作品にはなったでしょうが、ゼフィレッリはあくまでも路線を外さずに正統的に忠実に作り上げようとする。結果、いろいろ中途半端に終わってしまいました。 [DVD(字幕)] 5点(2018-05-22 02:50:59) |
1636. 傷だらけの栄光
《ネタバレ》 前半のチンピラ人生描写が、異様に力が入っておりまして。特に、軍隊で同室メンバーに遊びの外出を断られるくだりなどは、主人公の微妙に苛々した手や筋肉の動きが完璧に表現されていて、ぞわっとします。これ、他害行動が習性化していることの表現なんですよね(その伏線として、冒頭の父親とのシーンが機能していたりも)。ただ、いざボクシングの方向に進んでからは、急速に描写が普通になっているのです。ラストのあっけなさというか、いろんなドラマを放り出して無理矢理まとめている感にもややびっくり。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-05-19 00:59:36) |
1637. 泥棒成金
何気なくやってくる警察からするりと抜け出す冒頭部はなかなか魅力的なのに、そこからスリルがまったく持続しないのです。全般的にみんなのんびりしてて、追われてる感とか、これをしないといけない感みたいなものが感じられません。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-05-18 00:55:09) |
1638. マイ・ブルーベリー・ナイツ
雰囲気で押し切っているといえばいえるが、独特の浮遊感とある種の倦怠感は意外に悪くない。各登場人物がさらりとした接点だけで通り過ぎていく中、デヴィッド・ストラザーンの地味怪演が、地道な存在感を残している。カサンドラ・ウィルソンの"Harvest Moon"の巧カヴァーに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2018-05-17 20:46:58) |
1639. ジュリアス・シーザー (1953)
普通の伝記ものかと思っていたら、これもシェイクスピアだったのですね。しかし、導入部からいきなり、各登場人物がいちいち仰々しい台詞回しで嬉しくなってくるのですが、それでいてテンションが先走りになることもなく、手堅い展開を確保しています。カメラや美術関係も一つ一つが丁寧で、舞台劇の引き写しにとどまらない映画としての作品世界を完結させています。俳優陣では、何といってもカシウス役のサー・ジョン・ギールグッドの貢献が絶大ですね。この演出下でこの台詞を喋れるのが嬉しい、という喜びすら感じさせるような、強力な眼力と存在感を発しまくっています。一方で、マーロン・ブランドの10分超えの演説も圧巻(ここ以外には出番が少ないのが、かえって迫力を増している)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-05-15 01:31:52) |
1640. 岸辺の旅
《ネタバレ》 設定は実に魅力的ですし、例えば、霊力が解けた(?)後の朽廃した室内とか、手紙で喧嘩した後に現実の生々しいやりとりに当たり前のように帰って行くとか、演出が冴えている場面もあるのです。何がいけないかって、聞いてて恥ずかしくなるような説明台詞ばかりの脚本。そして、全員共通ののっぺりした平坦な演技。つまり、結局は頭で考えた中身にしかなっていないのです。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2018-05-12 00:23:10) |