161. PERFECT BLUE
《ネタバレ》 サイコサスペンスとしてはオーソドックスで、ストーリー展開やオチにもそれほどインパクトは感じないが、全体的には丁寧な作りで好感。何よりも、あまりニーズが無いであろうアニメで、ここまできちんとサイコサスペンス映画を作ったという点を高く評価したい(事実、サスペンスやホラーを扱った長編アニメはほぼ皆無と言って良い)。もちろんアニメならではの演出も活かされていて、単なる実写映画の劣化コピーのような安易な代物ではない。 ストーリー展開もありがちなストーカー殺人に見せかけておいて、ちゃんと色々なパターンのどんでん返しを用意してある(ただ、序盤から見当をつけていた人物がやっぱり真犯人だったのは少し残念。所謂ミスディレクションとして、あのオタクを不気味に描き過ぎたのが失敗)。 それでも、この手のジャンルが好きなら一度くらい見ても損は無い完成度。 [ビデオ(邦画)] 8点(2004-01-19 02:06:02)(良:1票) |
162. ルパン三世 燃えよ斬鉄剣<TVM>
五右衛門が中心のストーリーのはずなのに、ラスト以外、彼にほとんど活躍の場が無いのは残念な限り。敵キャラも微妙に中途半端な感じで魅力に欠ける。特に桔梗のキャラの掘り下げがいい加減で、五右衛門を裏切るに至った経緯や、心の底にあるであろう葛藤がまったく描けていない。同じように、ストーリーにも盛り上がりやどんでん返しが無く、可も無く不可もなし。何か、ルパンを始め、登場キャラ全員が脚本に沿って淡々と「演技」しているような印象を受ける作品でした。 4点(2004-01-16 21:05:13) |
163. 羊たちの沈黙
アンソニー・ホプキンス演じる「人食い殺人鬼でありながら、知性溢れる天才精神科医」というレクター博士のキャラクター性は強烈に魅力的。 それまでホラー映画の中の殺人鬼と言えば、単に凶暴な怪物のような描き方をされる事が多かった所へ、「知性」と「狂気」を持ち合わせたキャラクターを造形した、この作品の意義は大きい。 特に刑務所の中に居ながらにして、相手の性格や心理などを推察してしまう「プロファイリング」の面白さとも相俟って、非常にオリジナリティのある作品に仕上がっている。 その後ブームに乗っかって量産されたサイコホラー映画とは一線を画する出来。 [ビデオ(字幕)] 9点(2004-01-13 18:23:41) |
164. 悪魔のような女(1996)
何ともフツーのサスペンスミステリー。ラスト辺りのどんでん返し(と言うほどのものでもないけど)もオーソドックス過ぎて、コメントのしようがないくらい。リメイクらしいけど、もう少し現代風にアレンジしようよ。さんざん引っ張っといて、あんなオチでは…。 3点(2004-01-12 18:55:29) |
165. ナチュラル・ボーン・キラーズ
意外と低評価ですね。なかなか良いと思いますよ。結局、人間も本能に従えば、他者との生存競争の果てには殺人という行為もあるわけで。問題は、その破壊衝動を正当化するのではなく、また見ないように誤魔化すのでもなく、誰しもが自分の精神の内部にセットされている本能だと認識しておく必要があるということでしょう。それぞれの映像が、現実と非現実をひとつの場面に共存させるかのような酩酊感を誘い、同時に主観と客観の曖昧さや、現実世界の脆弱さを際立たせている。 7点(2004-01-09 14:43:11) |
166. キャンディマン2
前作のレビューにも書きましたが、後進の殺人鬼ホラーにしてはそこそこ。キャラクター性も悪くない。ただ、どうしてもシリーズを重ねる毎にインパクトは薄れていく。「3」も中途半端な終わり方をしてた覚えが…。 5点(2004-01-02 10:21:43) |
167. ネクロマンティック【特別版】
こんなもんなの?製作者側に中途半端な理性や遠慮が見えるんですけど。社会常識からはるかに逸脱したものを作り上げるくらいの覚悟でやらなけりゃ、始めからこんな映画を撮る意味ないんじゃないの? 0点(2004-01-02 10:02:23) |
168. シベリア超特急
ちょっと~、ここでの皆さんのレビューがあまりにも面白いので、とうとう見ちゃったじゃないですか!レンタル屋で探しても、なかなか見つからず、意地になって探し出して借りてきました。「コメディ」の棚を探していたのが間違っていたんですね。内容については、全編NG集、みたいな感じです。 0点(2003-12-31 10:00:36)(笑:3票) |
169. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
《ネタバレ》 「闇の眷属」として生きなければならない悲哀はそこそこ出てる。でもまあ、「不老不死の吸血鬼」と来たら、この手のキャラクターアプローチは当然でしょう。むしろ、当たり前すぎてオリジナリティに欠けるくらい。 実際、主人公の幼稚な苦悩ばかりがクローズアップされていて、あまり「生と死」や「出会いと別れ」について思い巡らせている様子も無く、キャラ描写に深みや成長が見られない。それこそレスタトが言うように、「何世紀悩んでいれば気が済むんだ」と言いたい。 また、財産を失ったはずなのに収入はどうしてるんだとか、昔とは言え、あんなに大胆に何人も殺して不審に思われないのかとか、年齢を取らないのに何年も同じ場所に住んでていいのかとか、突っ込み所も多い。 もっと不老不死であるがゆえに感じるはずの「命の儚さ」や「一期一会」といったテーマを深く描いて欲しかったが、そこまでは追求されなかった。この種の感性って、やはり日本人特有のものなのかな…。 [ビデオ(字幕)] 5点(2003-12-28 14:54:37) |
170. 古畑任三郎vsSMAP<TVM>
まるで「マジンガーZvsデビルマン」のような、夢の共演ではあるが、残念ながら内容はお粗末。 このシリーズに共通する欠点だけど、「証拠を残すための露骨な失策」や、「偶然による証拠の入手」など、ミステリーとしてあまりにもご都合主義的な展開が多すぎる。 時間も長い。序盤の緊張感はなかなか出ているが、後半がグダグダ。古畑任三郎とSMAPの魅力が無ければ、とても二時間も見ていられる内容ではない。始めから犯人が分かっているこのシリーズに長編は合わない。 [地上波(字幕)] 4点(2003-12-21 17:22:46) |
171. 古畑任三郎スペシャル 黒岩博士の恐怖<TVM>
もともとこのシリーズは、あまり本格的な謎解きや、犯人探しがあるわけではなく、観客側には「誰が犯人か」も分かっている状態で話が進む。見所は、完璧に見えるアリバイや完全犯罪の方法を崩す過程にある。それはいいのだが、さすがに全てのシリーズにおいて、こういうパターンを繰り返されると、さすがに飽きてくる。計画殺人の割には、いかにも「証拠を残すためのような露骨な失策」をしたり、その証拠が、「偶然と幸運」のおかげで手に入ったりと、ミステリーとしては褒められた出来ではない。古畑任三郎始め、登場人物のキャラクターの魅力に助けられているが、特に今作は無理が目立つ。 4点(2003-12-21 17:16:26) |
172. フェイク
「信頼とは何か」が、この作品のテーマですね。FBI捜査官としての信頼、夫としての信頼、マフィアとしての信頼、友人としての信頼。すべてに共通しているのは、「人間としての信頼」でしょう。「人間付き合いとは相手に期待することではない」という人間関係の本質が、ラストのレフティのセリフに集約されています。 8点(2003-12-19 17:53:06) |
173. ファーゴ
どうも、これって監督の「創作」みたいですね。しかし、そうなると、ちょっと話が違ってきます。冒頭に、堂々と「実話です」と入れること自体が、コーエン兄弟の仕掛けたギミックだとすると、それは少しルール違反ではないかと思います。あまり感心できる「仕掛け」ではないでしょう。話自体は確かにリアルなんですが、その分、犯人探しや謎解きのカタルシスは皆無ですし、それに加え、実話ではなくフィクションであることの反動が、作品全体の「意味」と「価値」を変質させる結果になっていると思います。それなら始めから「フィクション」として見せるほうがよかったのではないかと感じます。平凡ながらも日常をしっかり生きている女刑事やその旦那、それに対して、安易に金を手に入れるために犯罪に手を染めていく男達。そのキャラ描写による対比が秀逸なだけに少し残念です。 6点(2003-12-13 14:02:55)(良:2票) |
174. トラウマ/鮮血の叫び
《ネタバレ》 昔に見たときは、かなり恐かった記憶があるんだけど、今になって見直してみると、中途半端な作品だな~、という印象。サスペンスにもミステリーにもなりきれていない。最大の問題点は、序盤の死体入れ替えの強引さ。「近所の女性の死体で代用した」って、アホか!いくら警察がヌけていても、首無しの死体が出たら、指紋や血液型などで、本人かどうか確認するだろ?殺人の動機もエグイだけで、フーダニットにしてはありきたり。 4点(2003-12-10 11:09:57) |
175. ストリートファイターII MOVIES STREET FIGHTER!!
この手のゲームキャラを使ったOVAにしては、最低限のラインはクリアしている。当時、「まったく期待せず見た」割には、そこそこだったので、まさにこの点数。 キャラの技(竜巻旋風脚、スピニングバード等)の描写が、ゲームよりもリアル路線なのが◎。ただ、肝心のキャラ描写自体はかなり大雑把。会議室や病院、街中などで、ゲーム中のコスチュームのままというのは、いくらなんでも違和感がある。春麗の上司が「キミ、そのコスプレは何とかならんのかね」と注意しないのも、ある意味問題(笑)。こういう部分こそリアルにすべきでは?序盤のキャミーも目立つこと目立つこと。暗殺に最も適さない格好。声優もメインキャラにこそプロを充てて欲しかった。最後のエンドロールのトラックは不必要でしょう。何でベガ様がトラックに?どうせなら、地平の彼方からサイコクラッシャーで飛んで来て欲しかった。 4点(2003-12-10 10:58:46)(笑:1票) |
176. ストリートファイター(1994)
ストⅡの基本設定までキャンセルされるとは思わなかった。ある意味、満点なんだけど。 0点(2003-12-06 03:57:16)(笑:1票) |
177. ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
クレイアニメに対する手間と情熱が、この世界のキャラたちに命を吹き込んでいる。これを安易にCGで作っても、この絵本のような暖かさは感じられないだろう。キャラデザやストーリーは、まさにディズニー。好き嫌いは別れるかも。もう少し深い内容に出来たはずなだけに残念。 6点(2003-12-06 03:42:42) |
178. パルプ・フィクション
なるほど、微妙。でも、個人的には楽しめたし、共感も出来たかな。組織に属しながら、決して心の底まで組織に染まってはいないギャングの二人やレストランで強盗を企てるチンピラカップルは、自分にだけ所属する個人主義者であり、まさに典型的な現代人の象徴でもあるのだろう。銃の暴発で人を死なせてしまい、そして自分も銃の暴発で殺されてしまうシーンなど、何か濃厚で強烈な主張性を孕んでいながら、まるで水彩画のタッチで油絵を描くような感覚で、さらりとこんな映画を撮ってしまう監督は、やはり非凡な人間だったのだなと再認識。ただ、それゆえに「内容の無さ」とも表裏一体の関係を持っている「微妙な」作品でもある。無駄に長いシーンが多いのもマイナス。 8点(2003-11-29 22:10:05) |
179. カリートの道
一般人にとっては簡単に手に入る当たり前の生活も、一度、裏の社会に足を踏み入れてしまった人間にとっては叶え難い夢になってしまう。もう少しで手に出来たはずが、男として義理と人情を重んじるがゆえに、その平穏な生活を永遠に失ってしまう。しかし、男子としてその選択は決して間違ってはいないはずだ。裏切られたことは問題ではない。自分の生き方に背中を向けなかったかどうかが問題なのだから。 7点(2003-11-28 19:58:19) |
180. 逃亡者(1993)
うーん、実に可もなく不可も無い作品。サスペンスアクションとしては王道的内容で、安心して見てはいられる。しかし、はっきり言えば、ストーリーも展開も演出もオチも、全体的にありがちで、見ていて良い意味で期待を裏切られることはなかった。ラストに向けて、すべてが行儀よく展開していく様は、ご都合主義と背中あわせと言ったところ。 5点(2003-11-28 19:44:59) |