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 > 民朗 さんの口コミ一覧。9ページ目
民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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161.  藁の楯 《ネタバレ》 
藤原竜也の醜悪な演技にヤラれました。 この映画のストーリーは簡単に要約してしまうと「極悪人であっても法の下に平等に扱うべきかどうか」ということだと思います。この作品は二つの解を提示する。 一つは主人公が選んだ"どんな人間も法を無視して殺されるべきでない"というもの。ましてや賞金を得るために人を殺すなんてとんでもない。 もう一つは劇中の誰もが話すように"更生が絶望的な社会のクズは法に関係なく排除すべし"というもの。この感覚を観客が共有するには清丸が更生不可で社会に害しか及ぼさない完全な悪である必要がありますが、藤原竜也は少々やり過ぎな感もありましたが、その役柄に求められるキャラクターを見事に演じ切っていたと思います。 私も主人公の最後の決断を支持したい一方で、清丸の様な人間なんて問答無用に殺してしまえばいいと思ってしまったので、まんまと三池監督の掌の上で転がされてしまっていたんだと思います。 この清丸のキャラクターの描き方は秀逸で、母親の死を知り泣き崩れる姿を見て、「ああ、やはり生まれついての悪人はいないんだな。だから更生も可能な筈だ」と思わせておいて、松嶋菜々子演じる白岩の殺害(殺した理由がオバさん臭いというのも嫌悪感を増大させる)、死刑判決時の「どうせ死ぬんならもっとやれば良かった」という発言により、観客をとことんアンビヴァレントな状況に追い込んでいく。この辺りの脚本は素晴らしいです。 それから『十三人の刺客』の稲垣五郎、『悪の教典』の伊藤英明に続いて、いつも基本的に良い人しか演じない大沢たかおのイメージを逆手にとったキャスティングも見事でした。 少し気になってしまったのは役者さんがややオーバーアクト気味だったこと。芝居がかり過ぎているというか、Vシネ時代の三池監督の作品を見ているようでした。具体例をあげるなら岸谷五朗の「無い!絶対に無い!断じて無い!!」っていう台詞とかね。まあ気になって程度ですが。
[映画館(邦画)] 7点(2013-05-06 23:41:02)(良:2票)
162.  リンカーン 《ネタバレ》 
大変素晴らしい映画でした。巨匠になってなお、これだけ尖った主張の映画を作り続けるスピルバーグは本当に凄いとしか言えない。 基本的に派手なアクションは無く全編に渡って政治家達の舌戦が繰り広げられますが、まずこの会話劇が滅茶苦茶面白い!伏線も上手く貼っていて、ハイライトとなる修正第13条の決議当日とそれに至るまでの攻防はドキドキあり、驚きあり、笑いありで最高でした。黒人たちが当日に議事堂に入ってくる時にはホーキンス議員の顔芸のせいもあって思わずガッツポーズしちゃいました。そしてスティーヴンスが可決された修正第13条の原紙を手渡す相手がまた泣ける... リンカーンは奴隷解放を実現するために下院で修正第13条を可決させようとしますが、南軍が疲弊し南北戦争が思いの外に早く終わってしまう危険性が浮上する。使節団が和平を求めているとなると、修正第13条を可決する意味が民主党側には薄れてしまう。何とか可決に導こうとする為に主人公はありとあらゆる工作を張り巡らせる。でもそうなるとある葛藤が生じてくる。いくら平等を勝ち取るためとは言え、政治に工作が行われても良いのか?ということです。スピルバーグはそんな彼を主人公として、ヒーローとして描きました。何故なら平等という名のもとには全てが優先されるから。 ある人はラディカルな政治運動による統治は絶対に為させるべきでは無いと思うでしょうし、その考え自体も間違いでは無いです。というか答えなんて絶対に出ない。それでも"人種差別の根絶は全てに優先する"という考えを私は支持したい。最近、ヘイトスピーチが公然と行われ言論の自由を盾に逮捕すらされない日本という国に住んでいる自分にとって主人公は紛れもないヒーローでした。
[映画館(字幕)] 9点(2013-05-01 03:47:49)(良:1票)
163.  逃走車 《ネタバレ》 
圧倒的に詰まらない。アイデアは良いと思います。車の中のみでサスペンスアクションを作ろうとする気概は感じました。まあこの手の映画では過去に偉大な作品『激突!』があるのですが。 しっかしこの手の巻き込まれサスペンスで主人公が余りにもアホなのは観ていて辛いです。「なんでそんな手を使う?他にもあんな手やこんな手があるだろ。しかも自分から巻き込まれてどうするんだ」って展開のオンパレードで、主人公を応援したい気持ちよりどうでもいい気持ちの方が終始強くなってしまいました。しかもそんなアホな主人公がどうやって困難を切り抜けていくかというと、殆ど運だのみ!警官の職質のシーンに関してはアホらしすぎて笑えもしなかったです。ということでこの手の映画はやっぱり脚本が非常に重要なファクターなんだと実感しました。 アクションも大変ヌルく、法定速度以下でしか撮っていない様なカーアクションには心底ガッカリ。車のスピードの遅さを編集で誤魔化そうとしている分、画面がとにかく見辛いのも悪印象でした。
[映画館(字幕)] 1点(2013-04-21 09:42:57)
164.  世界にひとつのプレイブック 《ネタバレ》 
他人とかけ離れている(この言い方が適切では無いと思いますが変人)同士だからこそ成り立つ珍しいタイプのロマコメ。ある意味ウディ・アレンのラブロマンスの対極と言えると思います。個人的にはヒロインが急にダンスコンテストの参加を提案したり、主人公の親父がスポーツ賭博マニアとは言えその場のノリで全財産をかけてしまう辺りの流れにやや付いていけませんでした。フィラデルフィアのチームを知らないとさっぱり面白さがわからないシーンが多いことも結構人を選ぶ作品かもしれませんね。 ジェニファー・ローレンスがあれだけ見事なスタイルだったことには驚きました。『ハンガー・ゲーム』の時には全く惹かれなかったのに、今回は主人公と同様に彼女のクビレとそれが強調する胸に目が釘付けになっちゃいました。
[映画館(字幕)] 7点(2013-04-15 23:49:51)(良:1票)
165.  シュガー・ラッシュ 《ネタバレ》 
話はとても大人向け。早い話が職場ですね、コレ。誰だった仕事をしていれば、「こんなことやってられるか!○○の仕事はいいよなぁ」などと愚痴ることは一度や二度あると思いますが、主人公のラルフも正にそれ。ただ彼は他人への迷惑を考えることなしに自分の思うヒーローになろうとしちゃった。つまり嫌われ者も大事な職場のピースであるっていう残酷な点を描いちゃってます(ファミリー映画なのに!)。感心したのは『Fix-It Felix』のマンションに住む住民たちが嫌われ役のラルフを最初はのけ者にしている点でした。記念パーティーにも呼んでやらないって最早いじめに近い。実際に汚い仕事をしている人って職場では大抵ちょっと腫れ物扱いされている場合があると思います。そういう人こそ皆から褒められるべきなのに!(ホントにファミリー映画か?)。そんな住民たちがエンディングではラルフにねぎらいのケーキをあげているシーンには目頭が熱くなりました。やっぱり職場ってのは色々な役割の人が支えあって成り立つものということを大変上手く描いていたと思います。 そんな大人向けなストーリーが根幹の本作ですが、流石はディズニー、子どももしっかりと楽しめるように作られています。『Hero's Duty』のサイバグとの戦闘は迫力満点であれで燃えない男の子はいるんだろうか?っていう出来ですし、『Sugar Rush』のメルヘンな舞台と可愛いレーサーには女の子は喜ぶでしょう。そうそう、この『Sugar Rush』で群れた女の子たちがヴァネロペを小突きまわすシーンも完全に職場のソレでしたね。女はこええで。 それから面白かったのはなんといってもキャラクターの動き!今回『Fix-It Felix』の住民はみんな3Dでありながら動きはファミコン時代さながらにカクカク動いて表情や仕草も大げさなんですが、その動きってPixar以前のディズニーアニメーションの動きにちょっと似ているんですよね。最新の3Dと従来のディズニーが培ってきた2Dアニメの良さを上手く融合した素晴らしいアニメだったと思います(これは本編前に流れる『Paperman』にも言える事ですが)。 しっかしAAさながらの悪役集会にザンギエフがいたけれど、ストリートファイターの悪役ってベガとサガットじゃないんかい?この辺り、作り手がゲームに思い入れがあるのか良く分からん。
[映画館(吹替)] 8点(2013-03-31 13:40:11)
166.  オズ/はじまりの戦い 《ネタバレ》 
そもそもこんなファンタジー色の強い作品の監督にサム・ライミが抜擢されたのかは知りませんが、あのサム・ライミならディズニー映画でも好き放題しているかもと僅かな期待を抱いて鑑賞しましたが、観た後の印象は只々微妙の一言でした。 とにかくどのキャラも好感を持てなくは無いんだけれど、それほど本気で好きになれないような奴らばっかり。もっとキャラクター性を極端なものにすれば面白くなると思うんですがね。例えば、オズはヒーローなのに手品を魔法と勘違いさせるインチキ野郎なのですから、もっとその純ヒーロー像とのギャップで笑わせても良いと思います。折角型破りなヒーローという設定なのにいろんな場面で一々しんみりした顔をする。こういうキャラは最後の最後にシリアスになった方が良いですよ。 映像だけ綺麗でも作品としては凡庸になるのだなあと再確認できた作品でした。それから3D効果が単にアトラクション的なものしかなかったのも残念。
[映画館(字幕)] 5点(2013-03-26 19:46:10)
167.  映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館 《ネタバレ》 
いや~、実に面白かった!子ども向け映画として即物的なギャグを重ねつつ、伏線とそれに伴うミスリードを配し、アクションもしっかり燃える。更にドラマ性もしっかり組み込まれていると来たもんだ。しかも今回は二つのドラマを同時に進行させる。一つはドラえもんの鈴にまつわるのび太との友情話、もう一つはクルトとペプラー博士の師弟関係の話。そしてその二つは最後に「絶対に諦めないことが最大の取り柄」というテーマへと収斂する。これは非常に教育的にも良いテーマですよね。だってどんなに才能が無い人でも"諦めない"ことはやろうと思えば誰にだって出来るから。 過去のファンに対するサービスも大変多く、ガリバートンネルがフューチャーされたり(ドラえもんアニメ第一話のひみつ道具はガリバートンネル)、過去の大長編の道具が背景にまぎれていたり、昔ドラえもん映画を見まくっていた私には嬉しいサービスでした。 ミステリーとしても十分楽しめました。今回の映画は子ども向け映画としては実に冒険的な演出が多かったと思います。ミステリー映画は様々な物語のキーが徐々に提示され、最後に真相が浮かび上がるというのが基本パターンだと思いますが、今回のドラえもんはそれをやってますね。だからドラえもん・のび太・しずかちゃん・クルト、ジャイアン・スネ夫、ペプラー博士・ジンジャー、マスタード警部、博物館の館長と場面が目まぐるしく変わる。これは普通は子どもが混乱しちゃうから絶対にタブーでしょう(実際に後半は物語に飽きている子達が結構いた)。それでもミステリーとしても観客を楽しませたい!と思ってこういう構成にしたのならその姿勢は断固応援したいと思います。実際、一本調子のシナリオよりは絶対に面白かったと思いますし。それから実際に悪い人は一人もいないってのも面白いですね。前作のどーでもいい悪の組織を登場させていたシナリオと比べると雲泥の差だ。 今回の監督さんは新ドラ映画の傑作『鉄人兵団 はばたけ天使たち』を撮った寺本幸代さん。もう今後の新ドラ映画の監督は彼女にまかせるのが一番良いのではなかろうか。本当にコメディとアクション、ミステリーのさじ加減が上手い方と思います。
[映画館(邦画)] 7点(2013-03-24 13:16:55)(良:1票)
168.  ジャンゴ 繋がれざる者 《ネタバレ》 
純然なブラックスプロイテーションだったと思います。近年は暴力的でありながら、真剣に「暴力や復讐は何も生まないんだ、云々~」と説く映画が多いですが、「そんなもん知るか!悪い奴らはブッ殺せ!」という、ある種陽気な暴力シーンは見ていてスカッとします。これぞブラックスプロイテーション。 しかし終盤まで主人公のジャンゴとシュルツは法に背いた殺しはしません。シュルツはいつも自分は法の下に賞金稼ぎとして人を殺めていることを強調し、ジャンゴは子どもを持つ賞金首を殺すことにためらいを感じたりもしています。 だがシュルツは極悪人キャンディを射殺してしまいます。キャンディは法的には別に犯罪者では無いにも関わらず。ではなぜあれほど法を重んじていたシュルツはキャンディを殺したか。 シュルツはキャンディの義姉(もちろんレイシスト)がベートーベンの『エリーゼのために』をハープで弾くのを聞いて、「ベートーベンはやめてくれ!」といつも冷静な彼とは思えない程に狼狽します。それはドイツ人の彼が自国の最高の作曲家を差別主義者に演奏されるのが耐えられなかったのだと思います。その後、キャンディの書斎で大デュマの『三銃士』を見つけるところも同様。大デュマは「正義」を常に作品に込めた作家でしたから、「なんでこいつはデュマの作品が好きなのにこんな非道いことができるんだ?」と愕然としたのでしょう。私も全く同感で、「もうこいつらブチ殺すしかねーよ!」とフラストレーションが極まった所で、大銃撃戦となり、白人どもを皆殺しにしてくれるので爽快感は半端じゃなかったです。この戦闘シーンに至るまでの会話劇は本当に素晴らしかった。アカデミー脚本賞も納得の出来だったと思います。 それからタランティーノの映画にはいつも言えることですが、画面がカッコいい!広漠な大地とそこに佇むガンマン・ジャンゴというだけで本当にサマになる。往年のマカロニ・ウエスタンの何よりもカッコよさを優先する画作りにはシビれました。「助けに来たぜ、ベイビー」なんてついつい笑っちゃいますけど、超カッコよかった。
[映画館(字幕)] 9点(2013-03-23 09:37:15)(良:2票)
169.  ゼロ・ダーク・サーティ 《ネタバレ》 
2001年から2011年までの10年間、アメリカはイラク戦争と対テロ戦争によって疲弊していった。キャスリン・ビグロー監督は前作『ハート・ロッカー』でイラク戦争によりアメリカが正義を喪失していく様を描いたが、最後にはどん底の中の希望を見せて終わった。しかしこの映画はそんな一縷の希望すら与えていなかった様に感じます。 主人公のマヤは序盤ではCIA内で行われる拷問に目を背けていましたが、徐々に徐々にテロとの戦争に疲弊し神経をすり減らし、最終的にはビン・ラディンを殺すことを第一優先とするようになる。これは10年間に同じく消耗していったアメリカを象徴しているのでしょう。そして最後に大きな輸送機にひとりポツンと座り一筋の涙を流すマヤは、9.11の報復というには余りにも大きな犠牲を払ってしまったアメリカそのものの様に見えました。そんな国を体現するかのような難しい役柄を演じたジェシカ・チャスティンは素晴らしい演技だったと思います。 ビン・ラディンの暗殺は対テロ戦争において一応の節目となった。それでも今なおテロは世界各所で続いている。クライマックスの途轍もない臨場感で描かれる突入作戦で、両親を目の前で殺された子どもたちが描かれますが、彼らが新たなテロの芽となっているのかも知れません。 2005年から2008年にかけてはアルカイダのテロ活動が特に活発になった年だったと強く記憶しています。イギリスのダブルデッカーが粉々に爆破され、欧米人が滞在するホテルは片っ端から自爆テロの標的にされた。新聞の国際面には毎日の様にアルカイダによるテロの記事が載り、無関係の命まで容赦なく奪うテロという行為に暗澹たる気持ちになった。その時の恐怖を本当にリアルに思い出さされた作品でした。正直観ていて自爆テロのシーンは神経に応えまくったし、もう二度と観たいとは思えませんが観るべき作品だったとは強く感じます。
[映画館(字幕)] 9点(2013-03-14 00:13:16)
170.  フライト 《ネタバレ》 
非常にキリスト教的価値観に基づいて作られている映画だったと思います。近年でも現代劇でこれだけ劇中に"God"という言葉が頻出する作品って少ないんじゃないでしょうか。この作品の根幹を為すテーマは「贖罪」だと思います。但し、主人公は熱心な(熱心過ぎてちょっと怖い)キリスト教徒の副操縦士を見舞った際に露骨にイヤーな顔をしていたり、ところどころで「神なんかいない」という旨の発言を繰り返したり明らかに無神論者です。少なくとも熱心なキリスト教徒ではない。そんな彼が最後の最後に罪の意識を告白して、罪を精算し、富も失い、人間的にも立派な男になりましたってオチをつけるんですから、物凄く乱暴な物語と言えると思います。非常に感動的ではありましたが。その辺りは別に私は特にキリスト教を信仰していないので非常に乗りづらかったです。 あと視覚的にもストーリー的にもキリスト教の話と意識させるように作られています。飛行機の墜落時にペンテコステ派の教会を破壊し、主人公は事故を経て一度は禁酒を決心する所などは特に分かり易い。共に暮らすウィップとニコールは楽園を追い出され罪を背負うこととなったアダムとイヴの明らかなメタファーでしょう。 まあそんなことは置いといても、クライマックスの泥酔状態となったウィップを素面に戻すトリックには劇場内は爆笑でしたし、序盤の飛行が墜落するか否かのド迫力のアクションはポール・グリーングラスの『ユナイテッド93』に匹敵するスリルでしたし、大変面白かった映画であることは確かと思います。なんかホント全てが丁寧ですよね、巨匠の仕事って感じ。この期にロバート・ゼメキスには是非とも実写の世界に戻ってきて欲しいと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2013-03-13 06:52:46)(良:1票)
171.  キャビン 《ネタバレ》 
これは本っ当に観客を選ぶ作品ですね。もっと言うと鑑賞条件を選ぶといっても良いかもしれません。劇場の周りにホラー(特にスプラッタ・ホラー)好きがいるのがベスト。私は運良くそういう人達しか集まらない様な会場で鑑賞できましたので、劇場内は爆笑の連続という大変楽しい映画体験でした。 今までもホラーの定形を崩した作品ってのは『スクリーム』『ブレアウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』など何度も作られていますが、大体の作品がまず定形を崩すことで本来ホラーに最も必要な怖さが減退していることが多いと思います。しかし、この映画は終盤まで「ホラー映画って作るの大変なんだぜ?お色気シーン入れるのにも一苦労」というネタで爆笑させておいて、最後にはキッチリとモンスターが暴れまわり観客のテンションはクライマックスに達する。しかも暴れるモンスター達は過去のホラー映画の謂わばチャンピオン級ばかりなのだから盛り上がらない訳がありません。 そして最後の最後にシガニー・ウィーバーが現れたシーンで大爆笑。最近オチ担当みたいな女優さんになってますね。アンタもうちょっと役選べ!
[試写会(字幕)] 9点(2013-03-11 22:52:30)(良:1票)
172.  ダイ・ハード/ラスト・デイ 《ネタバレ》 
80年代筋肉俳優たちがアクション映画で暴れ回っていた時代、『ダイ・ハード』の只のオッサンが泣きそうな顔で「畜生!なんで俺がこんな目に」と文句言いながらテロリストをやっつけていくマクレーン刑事は新鮮でした。今回の映画ではそんな情けなさは殆ど無し、正直敵側よりマクレーンの方が人殺してんじゃないの?という位の暴れっぷりですが、まあ底抜けアクション映画としては単純に楽しめました。全編がバカバカしくっていいですね。敵に「マクレーン、お前はここ(ロシア)では警察ですらないぞ!」みたいなこと言われて、「俺の息子はCIAだ」ってお前が人殺していい理由にはならねーよ!っていう。最高です。 シリーズお決まりの「悪役は結局金儲けが目的(だから容赦なく殺す)」や「相手が女でも容赦せず殺す」等はキッチリ入っていて、個人的には相変わらずえげつない方法で悪役をバッタバッタと殺害していくマクレーン親子に爆笑しっぱなしでした。敵をプロペラに投げ飛ばしてバラバラのミンチにするって主人公のすることじゃないぜ。 映画が始まって15分程度でカーアクションになだれ込むスピード感は嫌いじゃないですが、無意味にガチャガチャしたカメラの動きには少し参ってしまいました。車がぶっ壊れるシーンはキチンと写せばいいのに。車を引き潰しながらその上を車で進んでいくなど画的には笑えるアクションが多かったのに残念です。 それから重箱の隅になりますが、放射能を中和させる(しかもゼロレベルまで!)化学物質があったり、チェルノブイリに生身で平気で乗り込んだりする場面には、まあフィクションだから別にいいんですけど、ちょっと呆れました。ギャグにしていたから幾分マシか。
[映画館(字幕)] 6点(2013-02-21 22:27:41)
173.  ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 《ネタバレ》 
父親を9.11で亡くした少年がその喪失感を乗り越えるまで(実際は少し違うが)を描いた成長物語。何らかの事故で残された遺族というのはどこかでその悲しみを乗り越えていかなけれないけないものだ。でもそんな簡単に最愛のひとを忘れられる訳が無い。ではどうするか?オスカーは父親が残した謎の鍵の手がかりを探すためにニューヨーク中を回る。色々な人たちと出会う度に当然色々な人がいて様々な悩みや辛さを抱えた人生を送っていることに気がついていく。一番わかり易いのはオスカーの祖父だ。この祖父はオスカーの父親、即ち自分の息子を捨てたも同然の冷静に考えたら酷い男なのですが、彼は彼なりにそのことを後悔し、乗り越えようとして生きている。そんな祖父がオスカーに桟橋を渡らせることで、彼の人生を一歩進ませてあげようとするシーンなんかは凄く良かったです。 公開時には賛否両論だったらしいですが、私は再生を象徴させる映画として大変素晴らしかったと思います。同時多発テロから10年、やっと人々が前を向いて進み出すことが出来る、そんな希望が見えました。
[DVD(字幕)] 7点(2013-02-17 17:43:24)
174.  DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る 《ネタバレ》 
ああ、嫌いだ。本当に、全くもって、嫌な作品だった。心の底から、この映画は嫌いだ。しかしそれも仕方の無いことだと思います。AKBに、正しく言うとアイドルに特に思い入れも無い私が興味本位に手に取ったことが間違いだったのでしょう。 私はスタジオジブリのドキュメンタリー作品『もののけ姫はこうして生まれた』が大好きなのですが、無茶苦茶な作画枚数に忙殺され私生活を犠牲にしてもアニメの完成に命をかけるアニメーターの姿は非常に格好いいものです。本作でも少女たちが過密なライブスケジュールに翻弄され過呼吸を起こしながらも舞台に立つ姿が魅力的であるのは分かります。しかし「フライングゲット」なる曲の曲調やダンスに一切の魅力を感じなかった私には何の感動もありませんでした。大変なんだろうけどその結果生まれる曲がこれなのねっていう。別にアイドルソングをどーだこーだいう気はないですが。それよりも「良くこんな劣悪な状況で頑張れるなあ。反抗したりしないんだろうか」という疑問を強く感じました。まあ反抗なんかしたら辞めさせられるんですかね? もっと意地を悪く言うと、プロはどんな状況でも完璧であるものです。それがプロです。パフォーマンスが下手なら解雇されるし、失敗は基本的に許されないもの。過呼吸でバタバタ倒れていきそれでも立ち上がる彼女たちを感動的に撮っていますが、個人的には只のNG集&少女虐待のような気がします。まだプロになるには精神的にも肉体的にも未熟であるからだと思うんですが。但し彼女たちはそれでも満足なんでしょう。傷つきながら夢をみるのですから。 この言葉は映画自体を全否定しているようで絶対に使いたく無かったのですが、この映画にだけは言わせてもらいます。”私が見るべき作品では無かった。”
[DVD(邦画)] 0点(2013-02-17 09:03:38)
175.  ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略 《ネタバレ》 
う~ん、映画の作りとしては実にキチンと出来ている筈なのにどうしてこんなに面白くないのだろう。黄金時代篇第二部はキャスカの転落事故からドルドレイ攻略を経てガッツとグリフィスの決別までを描きます。約90分と短い上映時間もあってかミッドランド王妃によるグリフィス暗殺未遂事件は丸々カットされています。このカットについては個人的にはアリかなと。王妃という高貴な身分の人間に対しても「敗れたものが死ぬ」と言い切る徹底的なリアリストであるグリフィスを強調するエピソードですが、前作でグリフィスの人となりは描いているので、省いても特に違和感は無い。 私が省かれているエピソードで最も気になったのは端的に言うとギャグシーンの全てです。前作でも少し気にはなっていたのですが、今回の三部作は徹底的にシリアスに作っている風に感じます。恐らくベルセルクという凄惨さが売りになっている物語にギャグシーンはそぐわないと判断しての省略だと思います。しかし元々原作では妖精のパックを始めギャグシーンも多く、特に黄金時代篇はガッツの青春の1ページとあってかその傾向が顕著です。そして改めて映画を観て自分はその部分が結構好きだったことに気付きました。 やっぱりドルドレイ攻略の際、アドンに「生理だったとでもいうのかぁ?」と言い当てられ赤面してたキャスカが見たかったし、舞踏会でドレスを着たキャスカの格好を茶化すガッツやそれをネタに笑い合うガッツとグリフィスは見たかった。 鷹の団の他の面々の描写の薄さも大変気になりました。このままじゃ次作に描かれるであろう蝕のシーンもそれほどショッキングに感じられなそうです。個人的にはジュドーが好きなんだけどな。彼の隠されたコンプレックスが分かる身の上話も省略。 それから音楽の使い方が大変に下手くそだと思います。合戦シーンでは常にテンションが振り切るような音楽を流しまくっていますが、ここぞというシークエンスに絞ったほうが絶対に良いと思います。実に冗長です。意味なく長い宮廷でのダンスシーンも同様。
[DVD(邦画)] 4点(2013-02-15 00:57:23)
176.  映画 ホタルノヒカリ 《ネタバレ》 
映画が好きな身からすると、余り作り手に暴言は吐きたく無いのですが、この映画に関しては作り手が明らかに真面目に作っていないので、まあいいでしょう。 簡潔に言ってこの映画の物語を考えた人は頭がどうかしています。というか企画段階でこんな意味不明な脚本は弾かれるべきでしょう。なぜこんな脚本が企画を通るのか。「ま、それなりに面白そうな話だし、こんな感じでいいんじゃない?」そんな風に適当に映画を作っている風景が目に浮かびます。 この映画の中の登場人物は一般人から見ると明らかに異常な行動を取りまくります。しかし劇中ではその行動に誰もツッコミを入れず世界はあたかもそれが当然のごとく流れている。だから観ていて物凄く恐怖感というか何というか、違う世界に紛れ込んでしまったような奇妙な感覚に襲われました。だって意味無く(実は意味あるけど超どうでもいい理由)超唐突に男二人が変な仮面付けて社交ダンスするシーンが挟まれるんだもの。なんというかドラッグムービーに近いような気がします。頭がおかしい映画を見たい人にはお勧めです。
[DVD(邦画)] 2点(2013-02-05 06:50:56)(良:1票)
177.  私の奴隷になりなさい 《ネタバレ》 
ごめんなさい、個人的な好みによりこの高評価です。普通に考えるとどうかな?という映画ではあります。なにせ上映時間の約半分は濡れ場、原作が官能小説なので仕方がないとは言え(官能小説は大抵飽きが来ないように濡れ場が連続する)、一般作品としてはやや過剰な濡れ場の連続だったと言わざるを得ません。 話は良くあるファム・ファタール物。主人公が謎の多い年上の女に魅了され、順調だった人生に狂いが生じていく。しかしこのありふれた話の転がし方が上手いんです。主人公は顔が良くて要領も良く女にも全く不自由していないという見ていて殺したくなる様な調子こいた男、彼は壇蜜演じるエロい人妻の香奈に目を付けちょちょいと食ってやろうと近づきますが、どんどん香奈を取り巻くSMの世界に囚われていきます。その後、映画の冒頭で出てきた緑という女の子とことに及ぼうとしますが、もう彼の頭にはアブノーマルな世界しか広がっていない。以前の世界に馴染むことができない。その世界が全く変わってしまった描写が凄く上手かったと思います。彼の書いていた絵本は謂わば子どもの世界の象徴、板尾演じる先生が勧めたフランシス・ベーコンは欲望を曝け出した香奈の世界の象徴。 忘れてはいけないのが役者さんの熱演。壇蜜さんの全ての欲を解き放ったような演技はとにかく美しかったです。正直『ヘルタースケルター』の沢尻エリカの濡れ場がおママゴトに見えるレベルでした。私は今の女優が全く脱ごうとしない邦画界では脱ぐ人は無条件で偉い!と思っているので、彼女の体の張り方には拍手を送りたいです。本当に次代の杉本彩さんみたいになってくれないかなー。今まで余り注目したことはありませんでしたが、真山明大さんの整いすぎている顔を活かしたチャラ男演技、そしてどんどん香奈に溺れ狂っていく演技も大変良かったです。
[映画館(邦画)] 8点(2013-01-27 22:25:30)(良:1票)
178.  ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 《ネタバレ》 
「アバター以来の衝撃!」と映像面の凄さを前評判で聞いていたので、期待して観に行きましたがトンでもなかったです。「どうやって撮ったの?」っていう様な映像がバンバン出てくるので、観ていて頭がクラクラしてきます。船の沈没シーン、トビウオの飛来シーン、嵐が吹き荒れるシーンの余りもの迫力についつい仰け反ってしまいました。そして広大な海の風景が宇宙へと広がっていく映像は途轍もないスケールのデカさに只々唖然。CGが普及した時代とはいえ素晴らしい映像美でした。音にも大変拘っているので、出来るだけ画面・音響共に優れた劇場で観るべきでしょう。3Dに関してはどうでしょう。トビウオのシーンや虎を調教しようとするシーンなんかは絶対に奥行を感じられる方が良いと思いましたが、色彩が余りにも美しいザトウクジラのジャンプや食人島の幻想的な風景は3Dだと暗さが出てしまい堪能しづらそう。 哲学的な話に目が行きがちですが、サバイバル物としてもそれなりに面白く、劇場内では虎が躍りかかるシーンなんかは悲鳴が起きていて終始楽しい雰囲気で鑑賞できました。
[映画館(字幕)] 7点(2013-01-27 21:22:27)
179.  ONE PIECE FILM Z 《ネタバレ》 
言わずと知れた国民的少年漫画『ONE PIECE』。前作の「STRONG WORLD」から原作者の尾田栄一郎が制作に参加するようになり、只の週刊誌漫画の映画化とは思えない力の入れようとなっています。特に驚くのは作画の凄さ。私はアニメには詳しくないですが、終盤のゾロ、サンジ、ルフィ三者の戦いはカメラがあっちこっちに飛び回り、その戦いの中でマグマは飛び散るわ蔦が動き回るわ、もうとんでもないレベルの作画ということは素人でも分かります。 コメディパートはやや映画全体のテンポを失っているとは思うものの、フランキー将軍(ロボ)に完全に無関心なナミとロビン等クスッときた場面も沢山ありました。 あと観客への露骨なサービスがすごかったですね。女性クルーではシナリオ的には完全に必要のないロビンのダンスやナミのロリ化&急成長(しかもなぜか喘ぐ)、男性クルーではタオル一枚でケツが度々映される温泉シーン等。 ただそれらの過剰なサービスを観に行ったかと言うと私はそうではなかったので満足できたかと言われれば甚だ疑問です。
[映画館(邦画)] 6点(2013-01-25 23:37:58)
180.  ミッドナイト・イン・パリ 《ネタバレ》 
正直、ファーストシーンでテーマソングに合わせて延々とパリの街並みが映された時はどうしようかと思いました。「何故こんな旅行会社の販促VTRを撮ってるの?俺は映画館に"世界の街道をゆく"を観に来てんじゃないんだけど」と思っちゃった訳です。しかしその心配もオープニングだけで杞憂に終わりました。主人公は懐古主義というか1920年代のパリの芸術活動とパリの街並みが大好きっていう良い歳したオッサンです。彼は最後の最後にどの時代の誰もが懐古主義になりやすいことを知る。現代はモダン派に憧れ、モダン派は印象派に憧れ、印象派はルネサンスに憧れ、ルネサンスは……以下略、とどの時代だってそう。その中で「俺は俺の好きなようにやる、他人の評価なんて気にするな」とハッキリと言い放ったヘミングウェイが最も正しい芸術家の様に思える。そして主人公はパリに住むことを決心し異なる価値観を持つ恋人と別れ、自分自身の今現在の理想に向かって雨のパリを歩き始める。それはオープニングの様な一般的に誰もがステキ!と思えるような明るいパリでは無く、雨が滴る夜のパリなのだ。っと懐古主義の人間に見せたら完璧に嫌味になるような映画でしたね。かく言う私も今の映画は詰まらんとかたまに言ってしまう人間なので気を付けます。 それから主人公の彼女の役柄も良かったですね。彼女は憧れのパリを溺愛する主人公を理想主義者だとか現実を見ろだとかなじりますが、彼女も同じなんですよね。彼女はインチキインテリ男が言っていることは何でも正しいと思ってしまう。つまり理想しか見えていない。理想像の言うことは何でも正しく、たとえ正しくてもどこぞの物書きの彼氏の言うことは勘違いと決めつける。これは終盤まで理想の20年代を絶対視している主人公と全く同じです。 あと劇中のギャグの多くが当時の芸術運動を知ってないとチンプンカンプンなので、そこらへんは少し観客を選ぶ映画でしたね。
[映画館(字幕)] 7点(2013-01-25 23:34:39)
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