1941. パサジェルカ
アンジェイ・ムンク監督の未完の遺作。 アウシュビッツ収容所における、女性看守と女性囚人との個人的関係を深く丁寧に描いている。 女性看守は、女性囚人に対して、基本的には同情の念を持っているが、それをすんなり受け入れない女性囚人に対して、時に辛く当たったりする。 まるで片想いの異性に対する接し方の様だ。 一方的な他人に対する関心は、恋愛感情に限らず、得てしてこうなりがちで、そういった人間関係の機微を感じ取ることができた。 そういう意味で、アンジェイ・ムンクの魂が込められた作品に仕上がっている。 それだけに未完で中途半端な出来具合というのが残念でならない。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-11-01 18:39:44) |
1942. 真昼の暗黒
警察の拷問による強制的自白、そして自白を主な証拠とすることにより誘発される冤罪。 それらの問題点を分かりやすく世に提示した勇気ある作品。 その社会的功績の大きさは凄まじいものがあるだろうし、それを実現させた今井正監督の勇気と心意気には感服するが、作品の面白味としてみてみると、いまいちな内容である。 なんでかと言えば、とにかく内容が固いのだ。 社会派劇は嫌いではないが、ここまで真面目に突っ走られると、観ていてどうしても飽きがきてしまう。 それに出演陣に華がない。 美しい女性が出てこない! それが大問題! 菅井一郎に山村聰当たりも辛気くさいし、飯田蝶子や左幸子もくどかった。 [ビデオ(邦画)] 4点(2009-10-31 21:15:11) |
1943. ニューヨーク デイドリーム
金城武の魅力満載! 一番魅力溢れた頃の金城武を堪能できること間違いなし。 序盤の飲食店における会話がとても良い。 後半はファンタジー色が強くなり、やや苦しい展開に。 だけど、やっぱりこの頃の金城武が出ているというだけで、魅力いっぱいの作品だ。 ニューヨークが舞台ではなく、香港だったら断然良かったかも。 それにしても、あの韓国美女、髪はおそろしく綺麗だし、グラマラスで魅力的だった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-10-31 14:15:15) |
1944. ダウンタウン物語
親指スターウォーズ?! いや、親指スターウォーズは観たことがないや。お子さん達によるミュージカル風ギャング映画。ませガキ達のお芝居を観るのは苦痛だった。 [DVD(字幕)] 3点(2009-10-31 13:59:36) |
1945. たそがれ酒場
酒場という閉鎖的な空間の中で、巻き起こる数々の人間ドラマ。 まさか内田吐夢監督が、この時代にこんな群像劇を撮っていたなんて、まずそれが驚きだ。 ただ、個人的には、話が散漫になりがちな群像劇はそんなに好きではないので、まずまず満足できた程度だった。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-10-30 22:51:17) |
1946. アラン
《ネタバレ》 鮫を捕獲するシーンが延々と続く。 その撮影の困難さと自然の荒波の凄さに驚嘆した。 しかし、観た後に感動するには至らなかった。 「あー、この映画は撮影大変だったろうなぁ。」 「自然の前には人間は何て無力なんだろう。」 、という月並みな感想しか浮かばない。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-10-28 01:18:36) |
1947. 肉弾(1968)
《ネタバレ》 岡本喜八監督の独自のセンスが光る戦争映画。 ユーモアもあるが、それ以上にやっぱり暗い。 何故って、やっぱり戦争、それも日本の敗戦を描いた内容だからだ。 それにしてもあの死に方は、これ以上なく残酷。 まるで宇宙を永遠に彷徨う人工衛星に取り残されてしまったかの様だ。 名も無き一人特攻隊。 一瞬で散っていった「神風」や「回転」などの、名のある特攻隊の方が全然楽だと思えてしまう程の、究極の孤独死である。 合掌。 [DVD(邦画)] 6点(2009-10-27 00:19:12) |
1948. ひばり捕物帖 かんざし小判
ひばりの七変化が見所らしいが、そんなの興味ない。 パチンパチンと音がする嘘っぽいチャンバラシーンも、しらけるばかり。 あと、怒鳴ってしゃべる出演陣ばかりで、やかましい。 [ビデオ(邦画)] 1点(2009-10-25 05:17:06) |
1949. 張込み(1958)
シャープなモノクロ映像に、夏の暑苦しさがリアルに伝わってくる描写はなかなかのものだが、いかんせん、大木実と宮口精二という二枚看板が地味すぎる! [DVD(邦画)] 5点(2009-10-23 23:29:50) |
1950. 笑う蛙
冒頭で、夫が妻の前に突然現れた時の妻の驚き様が、いかにも冒頭で観る者を引き込もうとするあざとい演出に感じられたのはマイナスポイントだが、全体を通しては、軽いテンポの喜劇といった感じで、普通に楽しめた。 何しろ、この映画のポイントは、大塚寧々の魅力の一言に尽きる! 若さと大人としての色気を兼ね備えた、この頃の大塚寧々は、ただそこに佇んでいるだけで、その魅力が画面満面に満たされる。 儚げな魅力と、スレンダーな肢体、良く似合ったスカート、絶妙な膨らみ加減の胸、ほのかに漂うエロス、それらを、長塚京三と一体となって覗き穴から覗く楽しみが、この映画にはある。 そして又、穴からその淫らな行為を覗き、長塚京三と一緒になって嫉妬し、羨むことにより、より一層、感情移入できる展開となっている。 ちょっとエッチに気軽に楽しめる邦画喜劇であった。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-10-19 23:49:23) |
1951. なつかしい風来坊
山田洋次監督の職人技炸裂。 実に痛快な作品だが、それでいて人生の悲哀も感じられる。 山田洋次監督の書く映画は、実にバランスが取れている。 ただし、山田洋次監督は数々の佳作を生み出しているが、その中にあって本作が突出しているとは思わない。 卒なく楽しめるレベルだ。 ハナ肇はパワフルでがさつな男を演じているが、その一方で女性に弱かったりもして、まるで寅さんをみているかの様である。 倍賞千恵子も若々しく、実に可憐。 名脇役女優の中北千枝子も、どこにでも居そうな主婦を自然に演じていて見事だった。 でもやっぱり、主人公を演じた有島一郎だろう。 うだつのあがらない平凡な公務員を演じているが、これが見事にツボにはまっていたし、ハナ肇が現れてから生気を取り戻したかの様にはしゃぐところなんか、実にうまかった。 それにしても、山田洋次監督の作品って、宝の山だなぁ。 まだもっと良い作品があるような気がして、探して観てみるのが楽しみだ。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-10-19 01:07:46) |
1952. 少年期
戦時下に少年期を生きた主人公は、父親が反戦的ということで厳しい環境に置かれていた。 そんな中、少年なりに逞しくを生きていくという内容で、戦時下の厳しい世相を反映しながらも、そんな厳しい環境の中でもくじけず逞しく生活している庶民の姿を、ストレートに人情豊かに映し出している。 特別に面白いとは感じなかったが、木下惠介監督の作品らしい安定した内容だった。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-10-18 21:46:01) |
1953. 愛染かつら 総集編
《ネタバレ》 日本映画史における名作を遂に鑑賞。 愛染かつらの木になぞって送られる物語は、“愛の物語”の王道をひたすら突っ走る内容。 さっきまで悪口言っていた人が、突然良い人になったり、最後は強引にくっついたりと、とにかく強引さが目立つストーリーは、現代から観ると苦笑させられるが、その反面、予定調和がそのまま達成されるので、観ていて安心感がある。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-10-18 21:34:59) |
1954. エノケンのちゃっきり金太
東宝ビデオ版「エノケンのちゃっきり金太」を鑑賞した。 尺が72分のもので、オリジナルの前篇と後篇をぶつ切りにして、それをつないだものらしい。 確かに展開が突飛というか、いまいち分かりにくい箇所があった。 エノケンは、チャップリンの様に、自分で自分の映画を創らせると、非常に良いものを作る人だ。 脇役で黒澤映画に出たりもしているが、それほどイメージは良くなかった。 本作は、まさにエノケンの独壇場で、エノケンの良さがうまく発揮されていた。 1930年代の日本映画という趣きが存分に漂っている。 まるで、無声映画をそのままトーキーに変換した感じの味わいだ。 バックに流れる音楽も、まるで活弁つき無声映画の音楽の様である。 ラストシーンも素晴らしく、心地良く最後まで観ることができた。 ただ、面白さと完成度という点で、『エノケンの頑張り戦術』には少し及ばないかなぁ。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-10-17 20:43:47) |
1955. 長靴をはいた猫(1969)
時代は感じさせるし、オチは読めるが、それでも独創性は感じられる。 ラピュタにも通ずる、ワクワクするような飛翔感。 そびえ立つお城を縦横無尽に飛んで跳ねる。 物語のリアリティとか、子供の教育に悪そうだなぁとか、そんな“大人な”大人気ない見方は、本作を観るにあたっては好ましくない。 そんなんあり得りえねょー!と思いながらも、心地良くなっていく自分がそこに居た。 それにしても、極小のキャラの使い方が巧い。 実に創作性に充ちた疾走感のある使い方。 これは地味に素晴らしい。 [DVD(邦画)] 5点(2009-10-17 20:32:51) |
1956. 遠い一本の道
《ネタバレ》 国鉄に勤務して30年。 保線工として人生を鉄道に捧げた男の一生を描いた作品。 伝記的な面白さがあり、しかも実際の国鉄職員の証言と思われるナレーションも入るので、セミドキュメント的な趣きもある作品である。 国鉄という組織で一生働くことの過酷さ、その過程で起る数々の出来事。 一人の男と、その妻の半生がたっぷりとリアルに描かれている。 現在は観光地化してしまった長崎の離れ小島、通称「軍艦島」をロケーションにして、ラストの数十分が描かれ、貴重な歴史的資料としても存分に楽しむことができる。 ストーリーとは全く関係なく、「軍艦島」の30年前の姿を映像として観たい方は必見の作品。 そして又、国鉄に永らく勤務していた方も必見の作品である。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-10-15 01:41:57) |
1957. ドクトル・マブゼ
《ネタバレ》 サイレント大作ってのは、鑑賞しきるのに体力を要するが、その分、その静寂たる世界に浸れる心地良さもある。 本作もまさしくその特徴に漏れない。 マブゼの冷徹ぶりを見せ付ける前半からして、ラストの落とし方は納得がいく。 しかし、予定調和の感も否めず、それほど楽しめたとは言いがたい。 ただ、フリッツ・ラングの魂が聴こえてきそうな、その大作による力作ぶりは凄まじいものがあり、サイレントを代表する一作として揺るぎないものを感じた。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-10-13 00:35:19) |
1958. 徳川いれずみ師 責め地獄
《ネタバレ》 これって、徳川モノ(江戸時代モノ)の異常性愛シリーズの中じゃ、いまいちでしょう。 “いれずみ”という題材だけで一本撮るのは、ネタ的に厳しいんじゃなかろうか。 『徳川女系図』『徳川女刑罰史』『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』と、この頃は石井輝男監督も立て続けに同系統の作品を撮るが、この作品で江戸時代異常性愛絵巻はネタ切れとなってしまった。 本作よりも、上述の三作品の方が、扱っているネタもバラエティ色豊かだった。 だが本作は、“いれずみ”ネタが最初から最後までひっぱられ、異常というより、単にいれずみ映画(?)になってしまっているのだ。 正直後半は、飽き飽きして長く感じてしまった。 それにしても、橘ますみは本作でも魅力タップリであった! 橘ますみほどエロかわいい女優さんは、他にはいない。 現代においても、もちろんいない。 橘ますみという可憐な女優さんを観るためだけに本作を鑑賞したとしても、それはそれでアリだろう。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-10-11 01:04:20) |
1959. 冷飯とおさんとちゃん
第一話の『冷飯』が圧倒的に面白い。 この『冷飯』をもう少し長めに作って1本とした方が傑作になったかもしれない。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-10-09 01:00:34) |
1960. あれが港の灯だ
日本と朝鮮との諍いをテーマに描いているが、そのテーマを描くことが全てで、面白味に欠ける。 真面目すぎるその内容からは、主張したいことは存分に伝わってくるものの、映画として楽しめるかと言えば、甚だ疑問である。 [ビデオ(字幕)] 4点(2009-10-06 23:33:08) |