1. コンタクト
《ネタバレ》 人は誰もが手を伸ばしている、その孤独から抜け出したいがために。それは皆同じなのに、手を伸ばす方向が違うばかりに対立し、時には殺しあう。そのバラバラに伸ばされた手と手がつながった瞬間、私たちは「コンタクト」できるのだと。外惑星と地球、科学と宗教、政府と民間、タカ派とハト派、そして男と女、そのすべてが本当は同じ方向を向きたくて、手をとりたいと願い、叶わずにいる。地上で一組の男女が手をつないだラストシーン(厳密にはラストではないが)は、そのすべてが凝縮された、これまで腐るほど見てきたキスやセックスシーンよりも確かな手ごたえを持つシーンであったと思う。 とはいえ、時にツッコミを入れたいところもある。特にあのムキ歯君、君はテロリストには向かんよ、顔が目立ちすぎるから(だって出てきた瞬間、「スターシップトゥルーパーズ」のヤツだ!ってすぐ分かっちゃったし)。しかしこれもまた、映画は公式や科学論文ではなく、心によって生み出される産物であることのあかしであり、そうしたほころびが時に魅力となる、まさにスクリーン上の絵空事たる映画の真骨頂だろう。科学と空想、これもまた、人を豊かにすることができることで共通している(豊かにする部分は違っていても)。映画で語られたことばかりでなく、この作品を持ってして科学と空想が手をとり合った、というのはいささか考えすぎだろうか? 10点(2004-12-12 14:18:08) |
2. 愛を乞うひと
《ネタバレ》 すみません、これについてははっきり言って私情抜きでコメントすることは不可能です。正直に言いますが、私自身、映画の中の照恵のように実の母親に憎しみを抱いていたことがあり(照恵が「なぜ私を引き取ったの?」と泣きながら問い詰めたのとは対照的に、「なぜ私を捨てたの?可愛くないの?」と目の前にいない母親を責めるように心で問い掛けていました。ただ母の温かいぬくもりを求めていた点では同じだと思います)、母のようには絶対ならないと思えば思うほどその呪縛から逃れられず長いこと苦しみました。だから「もしも私自身が母親と暮らしていたらこうなっていただろう」出来事がスクリーンで展開していることに心中穏やかではいられなかった。最初に劇場で見た後しばらく私自身の人生もめまぐるしく動き、今年になってずっと会いたくないと思っていた実母となぜか話したくなり、あっさりと連絡が取れてしまったが、その間に実の祖父母の墓探しをして墓参りをしたりして、本当は割と簡単に手が届くはずだったのに随分遠回りをしてしまったようにも思う。それは照恵のルーツである台湾への旅をしなくても、実は父の遺骨が日本国内にあったのと同じように。でもね、分かるんです。本当は近くにいても、「その時」が来るまで会ってはならなかったんだということを。遠くにいて複雑な事情を抱えながらもやはりみんなが、そして母も自分自身を愛していたことに気付くまでは。娘同然に思っていた王さんだけではなく、戦争によって苦渋の選択をした父の実兄も。そのことがあってようやく、最後に母の美容院で対峙することができたんだと分かるのです。そして母・豊子が照恵を手放そうとしなかった理由も。照恵は、心から好きでずっと一緒にいたかったあの人がいたという証だから。それは子供自身を愛している訳ではないから決して誉められるものではないけれど---それでも美容師になったということが、上手に髪を梳いた娘を忘れたくなかったことのように思います(美容師免許を取得して美容院開業するのってすごく大変なんですよ)。ただ暴力の中の未熟な愛をそういう形でしか昇華できなかった母は、ただ去っていく娘を遠く見つめるしかなかった。「愛こそ全て」なんて単純なものではないからこそ、愛の激しさ・儚さ・そしてどんな形であっても確かにあることを、あのラストで感じるのです。 10点(2004-08-08 16:31:21) |
3. スターゲイト
バカと言われようが自分の信じる道を行く人が私は好きだ。映画界でバカと呼ばれる道を選び突き進む勇者エメリッヒ。そして、そのエメリッヒの「バカである自由」がとめどなく溢れているのが「スターゲイト」である。 最愛の息子を失い傷心の大佐に、どことなくジョン・レノンに似てる学会窓際族の考古学者、この2人が生きる意志と場所を見つけ出すのがストーリーの本筋だが、そんなこと忘れそうなほどに怒涛のように押し寄せる「前にこんなのあったよね」的デジャヴ映像の数々。常に進歩が求められるハリウッドじゃただでさえ顰蹙買いそうなのに、さらに恥の上塗りと言うか、その全てをいかにも超大作と言わんばかりの音楽が盛り立てる。だけどその「いかにも」が私は好きなんだ。エメリッヒって本当に映画が大好きなんだなって思う。どの作品もそうなんだけどハリーハウゼンなんかの古典SFテイストへのオマージュがあるよね、これもそうだけど。古典だけじゃなくて割と最近(「インディジョーンズ」や「スターウォーズ」シリーズに、後に自分で作るID4!)のやつまでやっちゃってるけど。最新技術を惜しげもなく使うくせに古いテイストはそのまま残しちゃうから「トンデモ」って思われるのかな。それでもいいじゃない、昔はきっと今よりずっと映画に夢が溢れていたと思うしそれを思い出すんだ、こういうの見てると。これは映画への夢と自由な映画作りを求めてハリウッドにやってきたドイツ人の心象風景であって、何でもありなエンターテインメントの闇鍋状態の中に、悪評されようが大好きな映画への夢を再現しようとしているひたむきなおバカさんの姿がある。それでいて見過ごされがちなドラマ部分もきちんと仕事していて、ロストイントランスレーション状態の異星人と会話が出来るようになる過程は説得力あるし、失意の大佐がやる気になった理由を理解させる手法も効果的。ラストの「敬礼」はマジ感動したよ、泣きはしないけど。しかし最近はエメリッヒも、「バカ」と呼ばれるのを気にし出したのだろうか。ID4の「地球は人類が守る」やDATの「地球環境は人類が守らねば」(ありゃりゃ大して違わないや)みたいにもったいぶったテーマなんて捨てて、これのように夢と自由というアドレナリンを爆発させた映画をまた作ってくれ。そしたらまたあたしは10点つけるよ、間違いなく。 10点(2004-07-01 09:24:10)(良:3票) |
4. 父の祈りを
《ネタバレ》 魂を揺さぶられる映画だった。ピート・ポスルスウェイト演じる父ジュゼッペに秘められた揺るぎない強さ。自分に利があろうと信念に反することはしない、その不器用ながら裏のない純粋な生真面目さこそが、威厳や父権の誇示とは一味違うジュゼッペの持つ強さであった。父と息子、分かり合えたと思ったときに訪れる永遠の別れ。ジュゼッペの霊を弔う炎が、ひとつまたひとつ、監獄の小さな窓から投げられる。怒り・悲しみ・憎しみ・侮蔑・・・北アイルランド闘争を巡る「大英帝国」の負の一面を描き、考えられる限りのマイナスの感情が激しくうねるこの映画の中で、その精霊流しに似た美しい場面に私は救いを見た。父の思いは荒波渦巻く海を照らす灯台のように、こんなにも多くの囚人たちの心を導いたのか。私の心象風景と一致したこの映像に涙を堪えることは不可能だった・・・そう言えばこの映画の原題は「In the name of the Father」これは「父なる神の名のもとに」という意味があるらしい。クリスチャンでない私が言うのも恐縮だが、磔になることで人々を罪から救おうとしたキリストのようでもある。ジュゼッペは命を落としても、愛する息子は今や自分の足で歩き出した。ラストの自由を勝ち得て正面から堂々と出て行くジェリーの顔のなんと誇らしいことか。巨悪は消えず許されざることはまだまだたくさんある。しかし最早過去とは違うジェリーの姿に不思議な安堵を覚えたのも確かだ。どんな事実があろうとも、もう決して逃げることはないと。弱く、落ちぶれていたとしても、人は生まれ変わることができるのだから。父親不在が言われる日本でこれほど多くの人がジュゼッペを絶賛するのも、世渡りが下手でも決して自分を曲げない、どことなく「不器用ですから」の高倉健を思わせる、少し懐かしい理想の父親像があるからではないか。どこの誰とは言わないが、近頃男の強さだの父権を誤った形で意識し、力を使うことこそ正義だと言わんばかりの人間がいるが、ただひたすらに家族を愛し神を信じ、信念を持って生きた男の「強さ」もまた、強い父親の姿であることをもう一度見直してもいいと思う。テロが題材となっている以上、今はこのような作品が作られないだろうと思うと残念でならない。序盤の住民と英国軍の衝突シーンの迫力は、アメリカ資本が入って作品の質を高めた稀有な例のひとつであるだけになおさらだ。映像も音楽も文句なし。これぞ名作。 10点(2004-06-28 17:25:22)(良:2票) |
5. アルマゲドン(1998)
ちょうどコレが公開されたのがミレニアム前の1999の年で、ちょうど世の中はノストラダムスの7の月にカウントダウンって雰囲気だった。そういう時代の雰囲気があったから大ヒットした。今やってももうウケない。でもあたしは21世紀4年目になってもこれを見るとゾクゾクしてしまうんだ。何て言うのかな、あたしの中の”漢(おとこ)”が揺さぶられるっつーのか。何度も見て内容覚えて、ほとんどBGM代わりにしているような時でもシャトルが飛び立つ辺りだと目が釘付けになるんだ。一糸乱れず向き直る軍の上官たち、その中を歩いていくブルーカラーのガテン宇宙飛行士軍団。規律を乱さず国を守る男たちの誇りと、バカでスケベで口悪くて遊び好きだけど誰にも負けない技を持つ男たちの誇り。相対する二つの誇りが、この時交差しあってひとつに重なり合ったようだった。方法論が全く違うけれどお互いが、「漢」として飛び立ち、それを「漢」として見守るような。女のあたしが立ち入っちゃいけないような、だけどだからこそ男になってそこにいたかったような。シャトルが飛び立つ時、あたしには神が見えたような気がするよ。それこそみゆきに歌われた黒部ダムに散った男たちのような、いろんな場所で命をかけた男たちの思いがシャトルを後押ししてるようで。今は映画の中で小惑星のかけらがぶつかった世界貿易センタービルも、ドッキングした宇宙ステーションミールもなくなってしまったけれど、こういうのを作り上げた男たちの思いがあの時あそこに神になって現れた、考え過ぎかもしれないけどそう見えたんだ。実を言うと、あたしの家系はブルーカラー系なんだ。ハリーたちのようなバカどもが好きだ。バカだけど一本筋が通ったコイツらが好きだし、コイツらにあたしはありがとうって言うよ。こんなバカな血筋に生まれたことを、あたしは誇りに思うって。話や科学考証がでたらめなんてあたしにはどうでもいい。あたしの中に熱い思いがある限り、いつまでもこの映画で泣けると思うから。あたしがコレをけなしたら、それはあたし自身をけなすことにもなるからさ。 10点(2004-06-11 19:15:24)(良:3票) |
6. ムトゥ/踊るマハラジャ
ちゃらっちゃっちゃっちゃちゃ~らら~ら~ら~♪世界の銀幕から~~~今日は、インド・カルカッタからお送りします(嘘)。富○通の提供でお送りいたします(嘘)。映画が始まると・・・インド独立の父・ガンジーに手を合わせるスーパースター。そして、スターウォーズの宇宙船のように、「RAJNI」の文字が、星と輝く「SUPER STAR」をバックに、画面から飛び出します。大仰なテーマソングとともに、スローモーションで駆け出すスーパースターが画面に現れると、館内はすでに熱狂の渦、盛り上がりは最高潮です。明日も、インド・カルカッタよりお送りします(嘘)。 ---ハナから日本の常識をあざ笑う、めまいがしそうな映像の連続。テーマソングは実はすごく哲学的なのに、バックの映像がマイケル・ジャクソンもどきのダンスで、一体何なんだこの映画はと思わせるパワーが満ち満ちている。画面に繰り広げられる全てが、映画の面白さをガラムマサラで味付けし最高潮に爆発させ、涅槃の境地へと導いた究極のエンターテインメント。よくマンガで頭をぶつけて頭の周りを鳥が回っている絵があるが、これを見た私は別に殴られてもいないのに頭の回りを曼荼羅がぐるぐる渦を巻いていた。ヤバい、ヤバい、私はドラッグはやってないぞ。ドラッグにはまる若者よ、ドラッグで人間やめちまう前に是非体には無害のこれを見て合法的にトリップしなさい。これを見ただけで印度、印度、印度へGo on a trip,頭の中もトリップ。これだけの映画、やはりこれは10点つけねば。素晴らしい。追記:私は映画館で見ることが出来、観客がこれだけ一体感を持って見られ、その時間を共有できたことを幸せに思いました。DVDやビデオで見る場合はノリの近い友人を集め(4人以上推奨)、仲間内で一番でかいテレビまたはスクリーンを持っている人の家で上映会方式で見ることをお勧めします。 10点(2004-06-07 21:50:30)(笑:1票) |
7. トゥルーライズ
(7/21記)今回10点に格上げするにあたり、10点をつける自分なりの基準についてここで説明したいと思う。ここに登録してもうすぐ2ヶ月、だんだん自分なりの点数のつけ方が分かってきたのだが、「最高に面白い!ブラボー!!」という作品はあえて9点なのである。ではどんな作品に10点をつけるかというとそれプラスアルファが必要で、例えば自分の価値観に決定的な影響を与えたとか、コレだけは絶対に何があっても自分の手元に置いておきたいとか、何がしかのプラスの影響が強く出たものに10点をつけている。そういう意味ではこの作品はまさに私自身の映画の楽しみ方に決定的な影響を与えた作品であった。最初のシュワが女の手を取り「タンゴを?」と言った瞬間にフロアの音楽がタンゴ調に変わってしまう、この時点で私は「ああ、そういう映画なんだな」と理解した。そしてその瞬間、無意識のうちに「映画とは所詮スクリーンの中の虚構の世界、ありえない事を楽しみに変えるのが極意なり」と理解したのである。キャメロンがスクリーンで繰り広げる「ボケ」の数々に内心「ありえねぇぇ!!!」とツッコみながら、さあ何でもかかって来い、こっちはどんどん面白がってやる!と思っているうちに、全てがマンガのようなスコーーーンと突き抜けた馬鹿馬鹿しさがなんとも心地良くなってきた。映画なんだから、いくらありえなくたっていい。変にリアリティが追及されて現実を見ているような映画より、脳天突き抜けるほどのありえない世界に浸って目の前の不可思議を味わいたい。それまでどちらかというとスクエアだった私が、こうしておバカ映画を愛するようになってしまったのである。「常識破壊」というキャッチコピーのごとく、私はキャメロンに自分自身の常識を破壊された。もう、ことごとく湯水のごとく金を使いまくった超絶バカ映画(バカだとちゃんと自覚している映画)は、後にも先にもこれ以上のものはないと思うし、今でも仕事で心身疲れきったときはつい見てしまう。そして見るたびに、常識やこの世の仕組みやルールなんてモノは完璧に置き去りにして脳内旅行へ旅に出る。私にとっては、ある意味究極のファンタジーでもある。 10点(2004-06-05 09:50:58)(良:2票) |
8. アンドリューNDR114
《ネタバレ》 私としては2つの意味で文句なしに10点つけさせていただきます。まずは、テーマの「引出し」が豊富。ロボット映画って程度の差こそあれ、大抵は人間ではないロボットを通じて人間の本質を描いてるものなんだけど、これの場合まあ確かに「人間とは何か」という一言でまとめることもできるけど、その範囲がとても広い。永遠の命、自分とは異なる存在に対する関わり方(サーやリトルミスと他の人を比べると良く分かるよね)、ありのままの自分とはどういうことか(ありのままならロボットでいいじゃないかという問題ではない。人間として認められたいという気持ちが彼を動かしてきたのだから)、人間としての尊厳、そして愛。深く考えさせる要素がこれだけありながら食い合うことなく全く破綻していない。アシモフが原作だけあってバックボーンがしっかりしているし、もしかするとアンドリューの「愛」っていうのはロボット3原則を突き詰めていけば自然とそうなるのかもしれないなーなんて考えた。納入する時の箱に「一生使え守る」って書いてあったけど、よくよく考えれば3世代に渡って大切にしてくれた人に使えて守った訳だから。そういう人たちに何かしたいと思うようになれば、それが愛なんだろう。 もう1つは、この映画はロビン・ウィリアムズの「幸せ配達人」としての集大成であること。これを最後にしばらく映画を離れて、復帰後はどちらかというとダーティな役が多い。だからこれは幸せ配達人としての最後の仕事なわけだけど、最初の全く感情のないところから人間らしく愛を表現するまで、少しずつ感情が盛りがっていく中で時にコミカルな場面もあって抑揚があり、リトル・ミスの最期のシーンは、感情を殺しているのに悲しさが伝わってきて、オトナコドモだけではないロビンの役者としての凄さを再認識してしまった。かなり主観入ってると思いますが、これでオスカーノミネートされなかったのが不思議なくらい・・・ラストシーン、アンドリューの安らかな顔の中に役目を終えたロビンの安堵感が重なったようにも見えて、何とも言いようのない感慨に襲われた。それは彼の「幸せ配達人」としての最期でもあったのか・・・何とか1000文字で収まったみたいです。本当はこの映画を語りだすと止まらないんですよね、私(^^; 10点(2004-06-04 20:34:34) |
9. タイタニック(1997)
《ネタバレ》 私は大デブと言う訳ではないが、まあ言ってみれば「プチでぶ」ってとこだろうと思う。「スポーツやってらっしゃるの?」と聞かれることが多いが、実はかなり肉弛んでます(苦笑)まあそんな私がケイト・ウィンスレットに共感を抱くのはご想像いただけるかと。ハリウッドもスレンダーな女優が多くなってきて、そこに現れた二の腕のぶっとい彼女に、ドレスなのに斧を持った姿があまりに様になりすぎるその体格に、「頑張れ・・・君はデブの希望の光だ!」と勝手に希望を託していたんである。その希望は打ち砕かれ、太りやすい体質の彼女はその後体質がアダとなって作品に恵まれなかったが・・・やはりこの映画は「ターミネーター」のキャメロンらしいと言うか、男が死んで女は愛を胸に生きていく・・・なんてまるっきりそのままやんか。と今になっては冷めた見方もできるのだが、当時の勢いで行けばやはり9点は堅いと思う。 9点(2004-12-18 23:06:01)(笑:3票) (良:1票) |
10. マルコムX
《ネタバレ》 私はこの映画を、ある特定の目的があって見た訳だけど、予想以上の収穫がありましたね。というのも、私はこれを見るに際して「人種差別」よりは「宗教」という視点でセレクトしたのですが、今の情勢を考えるとこの2つは双子の関係のようにリンクしていることを実感しました。信教の自由がありながら、事実上キリスト教国になっているアメリカで、同じキリストを敬いながら同じクリスチャンに罵られ、襲撃され、牧師であった父親を奪われた。さらに白人に生まれてレイプされた母。教会に飾られるキリストは白人であり、白人牧師が教えをたれて冗談でありながらも黒人を「サタン」と呼ぶ。キリストの愛を説く白人が一方で非道な仕打ちを行い、あらゆる場面でそれが降りかかってきたマルコムの半生を思うと、独房で牧師にうそぶいた「おれのケツでもなめやがれ!」というセリフがすごく重く響いてきます。晩年訪れたメッカでイスラムの真実を知り、博愛思想に目覚めてから暗殺されたのも皮肉だと思いますが、清教徒によって生まれたアメリカは今ではなくその頃から、いやそれ以前からイスラムを苦々しく思っていたのでしょうか。時間が経てばまた、私自身の中からいろいろな言葉が生まれてきそうです。 9点(2004-12-12 08:26:12) |
11. ラスベガスをやっつけろ
ひょえ~~~、ぼぼぼぼぼ・ぼーぼぼ、帽子とるな、美しきジョニー・デップの波平マイナス1本!現「目で妊娠させる男」デルトロがブヨブヨでパンツ見えてるぅ~~うわぁあ~~~ひぃ~~イッちゃってるぅぅぅ!!!!!今夜はまともにレビュー書けそうにありません。タイピングがまともにできねぇ~~~何書きたかったのか全然わかんねぇぇええよぉぉぉおおぉおぉぉ★∞∂▼∀∬†∃Å⊆ァ●〒☆∇・・・・・(壊れてます。らりぱっぱ♪) ↑・・・・・これが見た直後にupした文章です。何だかまぁ~、すごい文章書いちゃってる・・・(ーー;; 自分で唖然。ジョニー波平がしらふに戻った時ってきっとこんな感じなんだろう。見た後は頭がボーっとして指先に大脳からの命令伝わらなくなっちゃってました、マジで(だからタイピングがまともに出来なくて、↑この文量で10分近くかかった・・・)二日酔いや温泉の入りすぎで頭がボーっとする時は私はアイスクリーム食うとしゃきーーんっ☆とするので、先ほどアイス買いにコンビニまで行きましたさぁ。そしたら、アパートの階段降りる足が、歩道を歩く足がふらつく、ふらつく・・・傍目から見れば完全に酔っ払いでありましょう(アルコールは入ってません念のため)。もしかすると、ジョニー波平&高体脂肪率デルトロのようにお尻をちょっと突き出してカクカク歩いていたのかも知れない・・・と思うとちょっと怖い(汗)この映画のリアルタイムは1971年。それ以降に生まれて時代を体感できなかったワタクシは、この映画でもってその時代のらりぱっぱー♪なおかしさをこの身で実感したのでありました・・・ドラッグはダメ。ゼッタイ。by西村○美。 それにしてもハー○ン○ッツのリッチミ○クはうまい・・・ 9点(2004-07-27 23:25:48)(笑:1票) |
12. ガタカ
《ネタバレ》 反発は覚悟の上で書くが、これは「アメリカ万歳」映画だと私は思っている。 一般的にアメリカ万歳映画だと思われているアレやソレに高評価を与えている私なんだけれども、それらの圧倒的なスケール感は、今の時代ではやはりアメリカじゃないとできないということは否定できないし、軍や宇宙技術といったアメリカの充実した「ハードウェア」に依存している面は大きい。一方こちらは未来のNASAである「ガタカ」が舞台だが、中心に描かれるのは遺伝子によって人生を決められた人間の運命への抵抗と、それへの勝利並びに敗北である。 どうも日本人の多くの傾向として、滅びや別れの悲しい運命が待ち受けていようともそれを潔く受け入れる姿は美しいと考えがちである。この映画を見た人の中にも主人公に対し「何もそこまでしなくたって・・・」と思う人は少なくないと思う。しかしその運命の渦中にいる者にとっては今にも逃げ出したい現実でしかない。実際映画の中では何かと遺伝子的に優れた弟と比較され、生きるために必要な自尊心さえ傷つけられる。主人公が宇宙飛行士を目指す理由も現実から逃げることだった。アメリカという国はフロンティア精神と言われるように自ら進んで開拓していくイメージがあるが、実際のところは清教徒が迫害を逃れるために新世界に希望を求めたというのが本音であり、やがて移民が増えるに連れ徐々に西へ西へと地平を広げていく過程で自由、自主、独立、開拓・・・アメリカのパブリックイメージであるこうした国民性を手に入れた。時には銃で先住民を駆逐する「犯罪」を犯しながら・・・主人公もこうして宇宙という「西海岸」へ到達し映画が終わる。 決められた運命を受け入れるのは美しく見えるが、本来人間と言うのはより良い存在になろうとすべく努力を重ねる。それは生きるために必死に道を探す、「生物」としての人間の姿でもある。(私は決して主人公の犯罪を肯定しているのではない。ただ自分の生きる道が自分の運命とは違う所にあると知って罪を犯すことを選んだその心を否定はできない)ドクターが最後に不正を許したのもジェロームの人生の選択も、あくまで自分自身として生きようとした主人公に胸を打たれ夢を託したからだと思うが、その姿は自分の道は自分で切り開くプラスのイメージでのアメリカ人の在り方でもあった。 これはアメリカの精神の部分に光を当てた「アメリカ万歳」映画だと思うのだ。 9点(2004-07-17 18:58:03)(良:1票) |
13. クール・ランニング
ちくしょーーー!!ジャマイカの能天気野郎どもに泣かされた!!! 9点(2004-07-02 10:28:02) |
14. ドラゴンハート
西洋人はドラゴンが大好きだ。キリスト教的価値観の下、悪魔的存在に変わってしまってもファンタジー作品の「敵役」としては絶大だ。かつては悪魔ではなく、むしろ単なる小悪党であったり、逆に神の遣い的な要素が強かった彼らへの、無意識のうちの罪悪感がそうさせるのか。そこで出てきたのがこの「ドラゴンハート」、実は元ネタと思われるゲルマンの伝承がある。小悪党が財宝を守るためにドラゴンに姿を変えた。だからかそのドラゴンは凶悪というよりどことなく愛嬌があり、心臓を食べると生き物の言葉が分かるという特徴もあった。これが後に「ニーベルンゲンの指輪」となり、この「ドラゴンハート」にも繋がった。それまでの倒されるために存在するドラゴンとは違い、善なる存在、というよりは善悪を併せ持ち、人間を上回る叡智を持つ存在(「人類がまだ幼かった頃・・・」の話が象徴的)として描かれている。21世紀が目前となった時にこの映画が作られたのは決して偶然ではあるまい。まずは価値観の変化。キリスト教的価値観が以前ほど絶対的ではなくなり多様な価値観を認めるようになり、ファンタジーやSF小説では善のドラゴンも登場するようになった。そしてCGという技術革新は、操演では不可能だった複雑な動きを可能にした。この二つの変化が、人語を話し、叡智と愛嬌を併せ持ったドレイコを誕生させたといっても過言ではない。長々と書かせていただいたが、映画の出来以上にこのドレイコががまさに「現代」を象徴する存在であり、またキリスト教以前の原点に回帰した古くて新しいドラゴンとして稀有な魅力を持つドラゴンだと思っているからである。姿を見せず声だけのショーン・コネリーはこのドレイコがまさにはまり役で、その存在感と愛嬌がドレイコにも反映され、私などはだんだんドレイコの顔がコネリー自身に見えたほどだ。映画そのものはいい意味でラウレンティス一家らしい出来で、英雄箪にコミカルな要素を加えて飽きさせない(どこか間の抜けたピート・ポスルスウェイトがいい)。ラストシーンは感動のほかに、父ディノが製作した「フラッシュ・ゴードン」を思わせる演出もあって憎らしい。いろいろな意味で楽しめるお得な作品。 9点(2004-06-23 22:43:20) |
15. ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ
ふふふ。公開当時は、こういうのを待っていた!って感じだったんだよね~。そのころ某大統領の某スキャンダルがありましたからね~、グッドタイミングで作られた映画だったわけ。内容はブラックでシュール、エンディングも私としては納得できるものだった。国家が利用し、そして国家にとって都合が悪くなった存在の行く末は・・・それがダスティン・ホフマンなんだけど、その何日か前に「レインマン」をビデオで見てたから、映画の中でべらべら喋り捲るホフマンにものすごいギャップを感じ「うるせーよ!(笑)」ってくらいに笑わせてもらった(笑)これが製作された頃は、まだハリウッドも健全だったと言えるんだろうけど今はどうなんだろうね。今じゃ突っつく人がマイケル・ムーアしかいないからなあ(苦笑。あ、ムーアはハリウッドとは違うか)大量破壊兵器はなかったということで決着しそうな今だからこそレンタルででも見て欲しい映画。ニュースにしろどんな情報でも人の手を介して伝えられる以上、鵜呑みにしてはイケナイ。そしてこの映画も、鵜呑みにしてはイケナイ(笑) 追記:南浦和で笑う三波さんの締めのコメント見て、そう言えば今の大統領は「藪」だよなあ、とミョ~に納得してしまった私。全てはハイド・イン・ザ・ブッシュ。ザバダック。 9点(2004-06-20 01:46:26) |
16. フィッシャー・キング
大人のためのお伽話です。ロビン・ウィリアムズとジェフ・ブリッジズ、2人のダメ男の友情と、人生を取り戻す物語。ギリアムらしくないという声もありますが、夢や妄想に囚われている、いつものギリアムらしい設定を、2人の友情に彩りを与えています。他の作品と違ってハッピーな妄想もありますしね。ラストではないですが不条理に思える展開も忘れていない。だけど見る者の気持ちをハッピーにしてくれる魔法のような映画です。人生うまくいかないことばかりと思っている人は男女問わず、是非見てはいかがでしょう。蛇足ですがロビンは、これでオスカー獲って欲しかった。 9点(2004-06-13 18:20:02) |
17. GODZILLA ゴジラ(1998)
《ネタバレ》 1回目(2点)と2回目でこんなに評価が変わった映画は初めてかも。勇気を出して一度劇場でがっかりしたコレを借りました。とりあえずゴジラだということは忘れようと思って。そしたら予想以上に、ある意味期待を裏切る面白さ。でもコレは、シベ超や死霊の盆踊りのノリで見るべきものかも・・・出だしからあのチェルノブイリで「雨に歌えば」をのんきに歌うブロデリックに脱力。で、そこは大雨なのですが次のカットでは日が射しているいい加減さ。これは全編通じてこんな感じで、大雨のシーンが多いけど時々大雨なのに青空になってるし死霊の盆踊りみたいでいい味出してます。またシベ超の山下大将こと晴郎ちゃんが降臨したかのような突然のひらめきも多数。生き残った日本漁船の船員が何があった?と聞かれて「ゴジラ・・・」とつぶやいたり、ブロデリック博士はゴジラの生態について何の根拠もなくひらめいたり。さらに日本漁船が漂着した時、一緒に漂着した缶詰の文字がハングル・・・こんな調子でどんどん頭痛くなってきます。さらに駄目押しで米軍も脳味噌がシベ超並で、「地下鉄トンネルを封鎖しろ!」「いぇっさー!!・・・で、どうやって?」「・・・・・セメント・・・レンガ・・・」まさにハリボテ列車のシベ超レベル!!エメリッヒ今までにない暴走ぶりです。ああ、ついにエメちゃんやっちゃった?・・・と思っていたら?!迫り来るゴジラ軍団を人間の知恵で切り抜けていく展開は「ブラボー!」と思うと同時に、エメリッヒってやっぱり人間が好きなんだなあって嬉しい気持ちにさせてくれます。考えてみれば人間が好きっていうメッセージはエメリッヒ映画のほぼ全てに流れていますね。デイ・アフター・トゥモローのラストもそんな感じだし。だけどその一方で子を失った母ゴジラの執念と言うか、母としての本能に突き動かされるゴジラの姿はエイリアン2のクイーン以上のものがあって、人間の文明兵器にやられた時はすごく哀しかったりもする。動かなくなったゴジラがとても神聖なものに見えました。ついでにあのラストシーンは、私は続編への布石というよりは母ゴジラの無念の結晶のように見えましたが。前半がシベ超並だったのも作戦?とは思えないけど(笑)、作品の構成としては「お見事!」と言う他ありません。でも満点にはしません。だって「ゴジラ」であること忘れないとここまで楽しめないから。「原子イグアナ現る」ですね(笑) 9点(2004-06-12 19:03:05) |
18. ロミーとミッシェルの場合
《ネタバレ》 いやー痛快。日本では「トゥシューズに画鋲」が定番だけど、この映画では「背骨矯正プレートにマグネット」!ポリシーのあるいじめられっ子だったから最後にヤな感じの女王様はパ・・を見せる破目になって笑いもの、これはもう痛快以外の何物でもない。自分を信じていれば、きっといつかはこの2人のようにみんなの視線を釘付けにしちゃう・・・まあ現実はこうはうまくいかないけどね。だけど言う。頑張れ、いじめられっ子。 9点(2004-06-11 18:35:13)(良:1票) |
19. ジャック
《ネタバレ》 偉大なる親バカ映画。何しろあのコッポラが若くして亡くなった息子に捧げた話だというじゃないか。タイトルバックからして本当に息子を赤ん坊のジャック自身に投影しているみたいに、舐めるように撮っている。カメラ越しの視線が愛に溢れている。ここですでに1泣き。こんな元気に好奇心旺盛にカメラを見つめるこの子が、限られた命しかない。それだけで涙。そしてはしゃぐロビン登場、見た目40歳のジャックはもう人生の半分を消化してしまっちゃったのね、そこで2泣き目。見てるこっちまで、自分より老けたこの子に幸せに生きて欲しいって気持ちになっちゃう。実はロビンの役の設定というのは有り得ない。早老症とは違います。そのことについては最初の方、ジャックの病気について説明を受けるシーンでお医者さんが言ってます。早老症は映画の中のロビンみたいなおじさんになるわけではなく、子供なのに顔や体はお爺さんお婆さんっぽくなる。有り得ないんだけど、それが監督ならではの愛。せめて4倍早く年を取る以外は健康体にして、限りある命をエンジョイさせてやろうじゃないか。そんな監督の愛が泣ける。息子さん早く死んでしまったけれど、こんないい映画を作らせてくれた。例え短い生涯でも、意味のない人生ってないんだね。そのことを誇りにして、せめてあの世じゃ幸せに暮らして欲しい。 9点(2004-06-11 18:19:03) |
20. 月夜の願い/新難兄難弟
話は結構ベタです。父子愛がテーマだし、タイムスリップするのも方法は違うけど「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたい。それでも私としては8点はあげたいいい映画。忘れかけたものを思い出させてくれる気持ちが温かくなる映画です。香港の下町風情は「こち亀」の両さんの子供時代の浅草みたいでみんながお互いに気にかけ合って助け合ってて、昔は当たり前だったこと、本当なら今でも当たり前のはずの「困った時はお互い様」の気持ちが生きている。レオン・カーファイの若かりし日のお父さんがすごく生き生きしてて良かった。頑固だけど情に厚い昔気質だけど、すごくお人よし。こんな人絶滅してしまったのかなあなんて思っちゃうけど、こういうのに感動してしまうってことはまだまだ昔の熱い心があるってことなのかもしれないなって思う。このレオン・カーファイ、「ア○ノ式」顔負けのすごいダンス見せてくれます(笑)歌が下手なのはご愛嬌ってことで。さすが香港映画、真面目なのかふざけてるのか分からない胡散臭さ(ウォン・カーウァイは別)も忘れてません。トニー・レオンの「目からビーム」とか。でも一番の注目はトニーとカーファイの○○シーンです。あんたたち、ラーメンマンやん(特にカーファイ)・・・(笑)笑えて最後にはほろっとできる気持ちいい映画です。温かい気持ちになりたいときにオススメ。 8点(2004-08-02 00:08:04)(良:2票) |