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Nbu2さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 345
性別 男性
自己紹介 「昔は良かった」という懐古主義ではなく
「良い映画は時代を超越する」事を伝えたく、
 昔の映画を中心にレビューを書いてます。

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  非行少女 《ネタバレ》 
絶望的な展開であっても私は青春映画に「若さ故の闊達さ/明るさ/躍動感」を一瞬でも求めてしまう。なので監督デビュー作「キューポラのある町(’61)」に感じられた瑞々しさが2作目にして稀薄になってしまっている(金沢の街を映し出すショットや小道具の使い方)様に感じられるのでこの点数。レビュー以上。...ここから先はおっさんの愚痴なんですけど、和泉雅子推しの自分としてはこの作品見るたんびにやりきれないんすよ、ったく。 「わずか16歳の和泉が難役に挑み、その演技が高く評価され、一躍スターへとのし上げた一本。」全くその通り。ただ浦山監督のベストでないこの作品が彼女の代表作になってしまった事、そして彼女の演技力を発揮する土壌が60年代後期の日活に無かった、という事が辛すぎる。同業他社で興味をもってくれた人はいた。黒澤明「椿三十郎(’62)」で団令子の演じたお姫様役、当初は和泉雅子にオファーしたものだったが五社協定で参加出来ずに流れたというのは有名な話。彼女が松竹に居たら「男はつらいよ」ヒロインはお手の物だろう。東宝サラリーマン喜劇だって大映(市川崑とか増村保造)の女性映画だってこなせたかもしれない。いや、彼女の映画界入りが5年早かったら川島雄三の薫陶は受けられたかもしれん。(さすがに今村昌平は勘弁だが) 映画界の斜陽化・放蕩経営が続いた日活はロマンポルノ運営に移行(1971年)。その前後に彼女はフリーになったが、在籍していた会社に殉じる様に芸能活動をテレビ・音楽にシフト、映画界から離れてしまった経歴になってしまう。同期吉永小百合/松原智恵子は現在でも現役なのだから、めぐり合わせというのか道っていうのか。 ファンになってから何回か彼女のトークショーに参加した際印象的だったのは、映画鑑賞:趣味と公言してた彼女が15才で入社して約10年、青春を過ごしてきたあの日々を「本当に誇りに思っているし、光栄であった」事を熱っぽく話されていてその点、ファンとしては救われた感があった。逆に彼女が極地冒険家として活動を始めた原点は映画界で達成できなかった満足感を満たす為の代替行為だったのかな、と個人的に感じてしまいましたよ。  あ~あ、文章長くなっちゃった。ここまでお付き合いいただき、有難うございました。(2024年神田神保町シアター「女優魂」企画で鑑賞)
[映画館(邦画)] 6点(2024-02-12 12:54:12)
2.  紀ノ川 《ネタバレ》 
神田神保町シアターにおける「生誕110年記念 - 中村登」特集で初劇場鑑賞。紀ノ川の流れと共に生きた(時代に)殉じた母/抗った娘/添ってゆく孫娘の三代記。なんだけどテーマたる「不変と流転」を表現するのに字幕や多い台詞でいちいち情景を語らせたり、大仰な音楽を流す事で示唆してる:「こうすりゃ観客は理解・感動するでしょ」みたいな大袈裟文藝大作、苦手なんですよね。個人的には中村監督は女性の信念/情念を描き出す事に長けた「松竹版成瀬己喜男」と勝手に思ってたので、彼の作歴中一番の知名度を誇る作品ではあるものの、身の丈合わない感を感じちゃったんですよ。但今回レビューを記載させていただくのは主演司葉子の名演ぶりに対して。昔彼女のトークショーを聞く僥倖にあずかったのですが、によると『・男性主体の企画が多い東宝映画内での自身の立ち位置・10年間女優業を続けマンネリ感・お母さまを亡くされた といった事が重なり、演技者としての自信を無くされた時期にあたっていた。それが成瀬作品「ひき逃げ(’66)」出演後、改めて演技への自信が芽生えた時にいただいたのがこの作品』『夫を早くに亡くし、未亡人として戦後を乗り越えた司さんの母親を表現したのがあの役柄』そりゃぁ名演になるわな、という説得力です。でこの後が成瀬の名作「乱れ雲(’67)」。レビュアー皆様が「作品に恵まれたならば名女優になれた」というのも納得ですよ。(司さんご自身も「小津安二郎/成瀬己喜男の若すぎた逝去は自分にとって大きすぎる位の影響があった」とひたすら残念がってたのが印象的でした) そんな訳で機会があれば。
[映画館(邦画)] 6点(2023-08-20 08:44:33)(良:1票)
3.  アルゴ探険隊の大冒険 《ネタバレ》 
今年度の「午前十時の映画祭」で一番楽しみに してたの、もしかして本作品かもしれない。 人生初のハリーハウゼン、劇場体験というポイントで+2点。  個人的に好感が持てるのは、映画の肝がハリーハウゼンの特撮 である、と認識した上で演出/編集/音楽等がそれを盛り上げる為 のフォローを惜しまなく実行している事。モンスターの行動に対して いちいち演者がリアクションをするカットを律儀に入れていたり、 おどろおどろしさ溢れるベタな音楽もスクリーンで聴くと心地よい。  常日頃から「ハリーハウゼン=文楽(歌舞伎)」説を主張し 私は友達から馬鹿にされているのだが、あえて力説しておきたい。 彼の造形したモンスター類はモデルアニメなので、滑らかな 動きを要求される。この作品自体、ストップアニメの撮影等で 2年の年月をかけて(特にラストの骸骨剣士×7体とのバトルは 4ヶ月かけたそうな)るのはそういった自然な動きを求めてのもの。 ただ彼のモデルアニメの演出には決まって「溜め」の動きがある。 プラスチックのモデルに命を吹き込む作業として彼は、実際の 動植物の動きを参考にし、クリーチャーが動く直前のコンマ秒を 「溜め→瞬発→起動」の流れで撮影してる、そこに「藝」を感じる。 そしてそのワンテンポ留まった瞬間が私にとって文楽や歌舞伎の 「見得を切る」仕草に被るのだ。後世に残るだけの映像作家っぷり。  今回劇場で拝見してヒュドラの顔(7つ首)がそれぞれ表情が異なる 細やかさ、あと骸骨剣士の持っている盾や刀、槍の造形の違い あとタロス像の間抜けっぷり(笑)がより堪能できたのも好印象。  さあ、そこな映画ファンの皆様、 劇場に足を運び心の奥底から叫ぼうではないか、 「よっ、ハリー、千両役者!!」と。  てか、おじさんには最近のCG表現の乱雑ぶり、疲れるんだよな...。
[映画館(字幕)] 8点(2023-08-04 19:22:07)
4.  女は二度生まれる 《ネタバレ》 
増村保造/溝口健二作品で見受けられる「官能的で、情念溢れる役柄」とはまた違った、川島雄三監督における若尾文子(様)の演技演出に惹かれてるこの頃であります。「若尾文子を女にしてみせます」と、上層部の前で啖呵を切った川島監督の大映デビュー作。扱ってる題材(『営み』に至る事前事後描写は邦画史上屈指の生々しさ)もあるし、台詞も艶があるってのかエロエロなのに、川島監督の物凄く冷めた視線:建前と本音が見えかくれしている演者演技もあって不思議な空間を生み出してるんですよね。(弟子の今村昌平なんかは「ノリノリでバンバンだぁ~」なんだからわからないもんだ) ポイントは2点。「かわいらしい若尾文子(様)」を鑑賞する点において極私的ベストはこの一本である事。あと珍しく川島監督が「作家性」を意識されたのではないかという瞬間=靖国神社のシーンを入れた事。社会全体の価値観がまるっきり変わってしまった事を表す隠喩として、入れたのではないかなぁと思ったわけですよ。 最後に私見をば。今回2023年「大映4K映画祭」で映画館鑑賞したのだけど、せっかく4Kリマスターした名作を上映してるのだからKADOKAWA映画、もう少し宣伝がんばれ。
[映画館(邦画)] 8点(2023-04-21 20:40:40)(良:1票)
5.  あいつばかりが何故もてる 《ネタバレ》 
「渥美清の魅力は寅さんだけにあらず」常々から言いまくってる私としては、今年1月から始まってる神田・神保町シアター「俳優・渥美清:「寅さん」だけじゃない映画人生」この企画が全くもって我が意を得たりでジャストフィットなラインナップなんですよ。喜劇役者であった彼だからもちろん人情劇・喜劇は良い。ただ私としましてはそういった枷に組み込まれる前、人間の「業」みたいな、暗い面を演じていた渥美清に物凄い魅力を感じ「寅さん休んで、極悪非道の大悪人とか性犯罪者とか詐欺師みたいな役柄、やってくんないかな」と思ってました(ファンの皆様、本当にすみません)。その位渥美清、という役者には人間が持つ心情の振幅を演じ分けられる技量というのかポテンシャルがあったんだ、とも一回力説いたします。(と同時に最後まで寅さんに徹し、彼の演技の「闇」を見せる機会はついぞなかった事も賞賛に値します) 初めての主演作品となったこの作品に関していえば、テレビ界(この当時テレビは生放送が主流だった)に慣れてるからか、演技が急ぎすぎというのか「間」の取り方が後年の名人芸までは至っておらずそこがマイナス点。但し「人情味溢れる」スリ役という彼の役柄は喜劇的なペースにはあるものの、目の奥に見える漆黒というのか闇というのか、という雰囲気が早くも見受けられそこはポイント。それ以上にもっと大事なのはその後邦画界を支える「国民的兄妹(今回神保町シアターのパンフより)」倍賞千恵子との初?顔合わせ。個人的には三木のり平・田中春夫・森川信・清川虹子のフォローもうれしいが、やっぱり寅とさくらだよね、この場合。
[映画館(邦画)] 5点(2023-01-15 14:57:42)
6.  電撃フリントGO!GO作戦 《ネタバレ》 
金もあり、女にも不足せず、尚且つ凄腕のスーパー・スパイ、デレク・フリント:という触れ込みで始まるこのスパイ映画の冒頭、ジェームス・コバーンの空手の型から(なにせ彼は一応ブルース・リーの弟子だし)「多分、この人は煩悩溢れすぎて『感じるよりも考えやすい』キャラなんだろうな」と観客に思わせてしまう位の緊張感のなさがこの映画の魅力なんだと思う。敵の組織に侵入する方法として「自分の心臓を止める」という民明書房にやり方が掲載されてそうな体術の持ち主にも関わらず、美女を侍らすフリントは下腹部がぽっちゃり気味でビキニパンツを着用、というある意味拷問なシーンもあり。しかも結構長い時間。 後年の「オースティン・パワーズ(’97)」シリーズは007というより、この映画にインスパイアされたんではないかな?と思うのですが如何でしょうか。 ...でもってこの映画を日本人にとって更に記憶に残したのはコバーンの吹替えフィックス、小林清志さんの演技力。毒針に付いていた料理の匂いから「ブィヤベィ~ズ!」=フランスからの刺客、と叫ぶコバーンは眉唾ものなんだが、小林氏の声で「ブイヤベースだ!」と言われるとなんか説得力が増す。贔屓目もあるが、コバーンの軽妙洒脱さをより強調する事でこのある意味くっだらない作品をちゃんと成り立たせてしまう「声優マジック(小林氏ご自身はあくまで「俳優」としてのスタンスを保ち続けられていましたが)」を堪能できる作品として、この点数。氏自身も印象的な吹き替えとして挙げておられるこの作品をもって、追悼文とさせていただきます。小林清志さん、本当にお疲れさまでした。 
[地上波(吹替)] 6点(2022-09-17 07:24:59)(良:1票)
7.  宮本武蔵 一乗寺の決斗 《ネタバレ》 
事前に町山智浩・春日太一「日本映画講義 時代劇編 (河出新書)」を読んだ上で、2022年GWに4Kリマスター・リバイバルを鑑賞。黒澤明「用心棒('61)」を起点とするリアル時代劇の流れによって制作されたとは言え、個人的な感想としては「のんびりとした東映時代劇らしさが残ってしまっている」このシリーズ。ところがこの作品における一乗寺の死闘=カラー画面がモノクロに変わり汚泥の中で多人数と闘う宮本武蔵、このシーンだけは物凄い緊張感と迫力があり、このシーンを見るだけの為に映画館鑑賞の元は十分取れた感がある。町山氏+春日氏の本の中で印象的だった記述はまず、監督内田吐夢の戦争体験。満州国の設立に参加した彼が敗戦による混乱を経験・戦後残留民として約7年間、極貧の中で生きてきた、という=この白黒シーンはそんな重苦しい戦争体験を表したのではないかという感想を私、持ったわけですよ。そしてもう一点、正月ロードショーとして公開されたこの映画、その年の興行収入6位だったにも関わらず東映上層部の評判よろしくなくこの作品でシリーズ打ち切りの可能性もあった、という事。藤子・F・不二雄先生のオバQだと思ったら実は「劇画・オバQ」だった、位の観客の戸惑いが東映上層部には映ったんだろうなぁ。...え〜、とにかく日本の時代劇史上屈指の名作ですので機会がありましたら。特に1作目(新免武蔵=中村錦之助のギラギラ感が素晴らしい)と4作目のこの作品は必見。
[映画館(邦画)] 8点(2022-07-18 15:55:47)
8.  モスラ(1961) 《ネタバレ》 
「ゴジラ(’54)」は別格として、東宝特撮映画のベストは皆様いろいろございますでしょうが 私にとってはこの作品。各スタッフがプロの仕事に徹して作り上げた邦画ファンタジー映画の最高峰。  特撮の素晴らしさやシナリオの良さは下記レビュアー様のご感想に記載されてるので 割愛するとしても、何しろ人員配置の妙に尽きる。皆素晴らしいのだ。 主演にフランキー堺(宝田明や佐原健二だと悲愴的だし高島忠夫はイェーイ、だし)はいい。 香川京子の丸顔(実は東宝特撮映画の出演はこの作品のみなんだけど、惚れる)もいい。 水野久美とか浜美枝みたいなクール・ビューティなら「裏切り者?」になっちゃうし。 志村喬+上原謙+平田昭彦+河津清三郎ですよ。安心して見てられる。 うさん臭さ丸出しのジェリー藤尾、そしてデビューから2年目のザ・ピーナッツ。 歌の素晴らしさもさることながら「まだ化粧には慣れてませーーん」みたいな 田舎臭さがインファント島の雰囲気にドンピシャ。 音楽も伊福部昭じゃなく古関裕而なのがいい。朝ドラ「エール」のあの人ですよ。  この映画のMVPはもちろん特技監督円谷英二の特撮技術なんだけど、 特に東宝特撮映画史上最大のミニチュア・セットを作り上げた 特殊美術の渡辺明と井上泰幸。本当にあっぱれだ。 今回「午前10時の映画祭11」のデジタル4Kリマスターで鑑賞したのだけど、 昨今のkaijyu映画に観られるCG丸出しの「街、壊れたんじゃね?」 みたいな映像とは異なる「破壊の様」が大スクリーンで見れた事に おっさんは感動しましたよ。よかったよかった。  という事で今回の点数にはその点加味されているので甘いかな、と思いますが 機会が有ればぜひ。極彩色の艶やかさ。
[映画館(邦画)] 8点(2021-12-31 09:22:49)
9.  真田風雲録 《ネタバレ》 
この時代劇に「爽快感」などを期待してはいけない。真田幸村/猿飛佐助で加藤泰+中村錦之助なんだから「風と女と旅鴉(58)」「瞼の母(62)」を期待していた観客からすればなんだこりゃ、であり関西では上映6日間で打ち切られたという失敗作であったのもむべなるかなである。ただしこの作品が現在まで残っているのはそんな「どっちらけ」感によるものだったのだなぁと思っている次第。福田善之原作の脚本を読了する機会があり基本は60年代学生運動の風刺=どんなに立派な理想論/イデオロギーを掲げても結局人間の欲望に挫けてしまう現実+若者の情熱を悪用する偽善者たる大人たちという主題は変わらないのだが、若者のエネルギー=狂騒感溢れる馬鹿馬鹿しさ・くだらなさを存分にフィルムに映し出すことが出来た(ジェリー藤尾やミッキー・カーチス+トッテチッテターな戦争シーン)点で良い映画化なのだろう。さらにこの作品が後世の人々に影響を与えた事実も忘れてはならない。助監督鈴木則文はさることながら勝間田具治は東映アニメ―ション演出家として名匠。さらにもう一人...脚本家福田善之は大河ドラマ脚本(風と雲と虹と)だけでなく出演の経験もあり、大河ドラマ史上脚本・出演した脚本家はこの人と三谷幸喜だけ(wikiより)。...あれ、もしかしたら堺雅人、転んでそのまま槍にグサー、なのかな。加藤泰作品としては中級者におすすめ。
[映画館(邦画)] 7点(2021-12-15 08:47:38)(良:1票)
10.  不良番長 《ネタバレ》 
※今回は作品単体、というよりはシリーズの総括という感じで確認下さいませ。    参考書籍は杉作J太郎/植地毅氏の「不良番長・浪漫アルバム」【徳間書店】  (これ数ある「浪漫アルバム」シリーズの中でも結構名著と思います)    ・東映ピンキー・バイオレンスにはまり、ポルノ映画館に通い詰めだった若き日の私。  お目当ての同時上映がだいたい決まってこのシリーズ。  4年間に16本、というどんだけ作品出してんだよ!もういいよカポネ団!  自分も何が何作目でどんな話かもうさっぱり。思わず苦情言った事がある。  「興行的に時間つぶしになるし、単純に面白いし、何よりフィルムの上映料が安い!」  とは映画館側の返事。ハァ、市場経済の中では優良なコンテンツなんですなぁ。  ・映画館上映のすき間を埋める為に東映社長岡田茂が指示したのは  なにしろ低予算。プロデューサー吉田達に指示し当時の製作費としては  最低レベル。監督も外注ではなく、この作品が初監督作となる野田幸男。  関西出身の野田監督「谷岡ヤスジの様にメチャクチャにしますよ〜」。  上映当初は不評だったものの、観客にそのハチャメチャさが受けて  社長岡田もその流れに乗った。で4年間に16作。  ・私にとっての名作「0課の女・赤い手錠」('74)の監督でもある野田監督。  ただ結局若くして亡くなられた為(97年、62才で逝去は若すぎる)、  話を聞く機会は無かったが、先輩の石井輝男が良く講演会、上映ゲストで  話してたのは「野田ちゃんは、あの作品で時流に乗った」という事。  60年代後半の学生運動の高まり+邦画の斜陽化によるエログロ路線への移行、  そして野田監督の才気が生み出したエネルギーによる賜物であった、  てな話なのでしょう。  【ただ石井監督は「会社のコマ」になってしまった野田監督が   後年細かすぎるカット割りや予算を越えた映画作り=作家性追及   の結果、岡田茂社長=東映から追い出された事も話しており   収益性と芸術、両立の難しさも語っていたのが印象的でした】   ・撮影時のエピソードは上記の「~浪漫アルバム」に記載されてますが、  もう凄すぎですな、こりゃ。神坂弘=生前の辰兄ぃのインタビューも  記載されてますが、「(共演者たちに)撮影開始の時間だけは守らせた  =開始までは遊んでも良いと認識してた」「女性にはもう飽きた」  文脈の裏にはどんだけトンデモない事実があったか、という事ですよね。  でもそんな作歴を「誇りに思う」という辰兄ぃだったからこそ、  ダウンタウンの突っ込みを平然と受け、ロバート秋山の物まねも許容してた。     「映画というのはあくまでも娯楽である」という事を徹底したこのシリーズ、 いちいち突っ込むのは野暮。とことん楽しもう。 駄文失礼しました。
[映画館(邦画)] 5点(2021-11-10 18:10:02)
11.  緋牡丹博徒 花札勝負 《ネタバレ》 
70年代東映エンターテイメントの中核を担っていた鈴木則文監督。「トラック野郎」シリーズや東映ピンキー・バイオレンスの諸作品は私にとって青(性)春の良き想い出です。ただ脚本家としての技量も優れたものがありその代表作としてこの一本を挙げさせていただきたい。彼の造形した緋牡丹のお竜=矢野竜子(藤純子)シリーズは正直言うと「主役を女性にした東映任侠映画」それだけのことでB級の域を抜け出せないワンパターン物。ところが名匠加藤泰が監督したこの作品に関してはお得意のローアングルとロングショット+時に挿入されるクロースアップの演出術が冴えわたっていることもさることながら、「ニセお竜」が蔓延っている賭場に本物のお竜が流れ着く、という脚本展開は素晴らしいと思います。これによりお竜自身の「博徒であること=女性であることを封印している」寂しさが強調されニセお竜に足を洗い、女性の幸せを求めるシーン(また~いかんとよという博多弁が良いんですね)+好意を持っている高倉健への抑えた視線に物凄い説得力が加わってしまう、今は亡き新宿昭和館のスクリーンで酔っ払いがお竜さ~んと騒ぐのも完全に理解できる情景。これはB級グルメがミシュランの星を取ってしまったような奇跡の一本でしょう。そしてそんな素晴らしい映画世界を教えてくれた鈴木監督のご冥福をお祈りいたします。
[映画館(邦画)] 9点(2021-09-24 17:50:43)(良:1票)
12.  柔らかい肌 《ネタバレ》 
点数を8点にしたが、私が一番好きなトリュフォー作品はこれ。 というと、たいていの映画ファンからは「あれがぁ?」というリアクションをされる。 だいたいこの映画、レビュアー様の評価もまちまちだし。 フランス本国では不評だった、らしいし。  わからなくはない。不倫を題材にした映画で、尚且つ 「柔らかい肌=若い女性の魅力に溺れる」中年男性の不徳と不実を これでもかと描写した挙句の顛末を描いてるんだから不快にはなりますな。 (そんな意味では主人公ピエールを演じたジャン・ドサイの演技は良い)  私がこの映画が好きなのは監督トリュフォーが敬愛するヒッチコック等の巨匠の 撮影テクニックに触発された上で、「日常での最もスリルある行為=背徳の恋」を 映画的な効果でストーリー化しようとした試みが自分の琴線に触れたわけだ。  冒頭の手の絡み合いから始まるショットからラスト、夫に制裁を加えるべく 移動する車の不安定な動き~銃声。あからさまな裸や性描写を駆使 しなくとも、官能を表現する事は可能だし、感情を表現するのに表情を 映すのではなく、動作やフィルムに映し出された陰影でちゃんと表す事が 出来る、という点で面白い映画だと思う。 なので撮影:ラウール・クタール(ヌーベルヴァーグを支えた名カメラマン/後監督)、 音楽:ジョルジュ・ドルリューもいい仕事してる。 あとはフランソワーズ・ドルレアックを一番美しく捉えた映画として。  「定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー(晶文社)」を読んだ上で、 この題材に問題なければおすすめ、って結構高いハードルだなぁ。
[映画館(字幕)] 8点(2021-08-04 19:02:36)
13.  仇討(1964) 《ネタバレ》 
前作「武士道残酷物語(’63)」監督今井正+主演中村錦之助コンビが橋本忍のオリジナル脚本を使い、改めて武士社会の理不尽さを描いた作品。だけど「橋本忍脚本+武士社会への糾弾」というテーマでは小林正樹「切腹(’62)」「上意討ち・拝領妻始末(’67)」が有名で、この作品にあまり触れられないのがちょっと残念だ。武家社会において「仇討を果たさない限り主家の名誉(武士道)は回復しない」という風潮の中、些細な事情から正当防衛で上級武士を殺してしまった下級武士の主人公は武家社会からは討たれるべき対象となり、一般社会からは抹殺されるべき憎悪を向けられる。可愛がっていた弟分が家の名誉回復の為、討ち手として仇討の場に出てくる事を知り、男は刃引きした刀を持ち果し合いの場へ出向く。そこで彼が見たものは...。理不尽な境遇に追い込まれた哀愁感漂う演技から最後、狂気を込めた大爆発と壮絶な仇討シーン、と中村錦之助の演技力がやはりこの映画の白眉。仲代達矢も三船敏郎も怒りは演じれるけど、悲しみや哀愁を感じさせる演技は出来ない。ラストの悲劇性がちょっと薄いかなぁという事でこの点数にしたけど、個人的には好きな一本という事で機会が有れば。(ってか東映ビデオ、中村錦之助作品のDVD化もう少し頑張って下さい。)
[映画館(邦画)] 7点(2021-05-31 20:57:10)
14.  スペンサーの山 《ネタバレ》 
この度TSUTAYAでのレンタル解禁を機に約30年ぶりの鑑賞。雄大なワイオミングの自然を背景に繰り広げられる、大家族の物語なのだが、後に同じようなストーリーラインを踏襲した作品が山の様に出てきている昨今では目新しさも何もないけど、最後まで(悪意/偽善といった負の要素を取り上げる事なく)希望溢れた作品展開にした事が私にとって好印象で+1点。でもって他のレビュアー様も述べておられるが、(実際インテリな役どころを得意としたとは逆に)ブルーカラーなお父さんを演じたヘンリー・フォンダもいいけれど、やはりこの映画を支えているのはモーリン・オハラの存在感。素晴らしい。 昔の廃盤ビデオや未DVD化映画がここに来て鑑賞可能になっていることが多くなっている流れでようやく見る事ができたこの映画、心が洗われますよ、という事で機会があればぜひ。
[ビデオ(字幕)] 8点(2021-03-11 14:21:58)
15.  十兵衛暗殺剣 《ネタバレ》 
1964年10月の公開(世の中は東京オリンピックで映画どころではない)+カラー映画の隆盛期にも関わらず白黒+でもって地味な主演陣という、どう考えても映画館の上映スケジュールを穴埋めする為だけに作られたであろうこの作品が、現在でも東映チャンバラの名決闘シーンとして記憶に残る一本になっているのだからわからないものではある。但これは「影の軍団」シリーズや東宝版「子連れ狼」に連なる、アクション時代劇のまさに先駆け的な立ち位置にある映画なんだろう。アクションといっても大友柳太朗と近衛十四郎が水中でくんずほぐれつしてるくらいなんだけどさ(笑)。時代劇の様式美とか概念を取っ払ったような、ノビノビ感がたまらなく好きなんだよね...。面白さだけなら+1点でもいいくらい。あと弘樹&祐樹パパとしての印象でしかなかった近衛十四郎の魅力が溢れまくってるのも好印象。何せ大友柳太朗の格上感溢れすぎてて、小物な柳生十兵衛(刀を失った時の狼狽ぶり、最高)というのはめちゃ新鮮。機会があればぜひ。
[映画館(邦画)] 7点(2020-11-01 09:37:10)
16.  死霊の盆踊り 《ネタバレ》 
おっす!おらNbu2!おらもレビュアー仲間にいれてくれよな!(野沢雅子さんの声で) という訳で今年最後の映画鑑賞、アラフィフおじさんがこの度32年ぶりのスクリーンリバイバル・HDリマスターを劇場で見ましたよ。もう何と言うのか...劇場で映画を鑑賞して「2001年宇宙の旅」「アラビアのロレンス」「燃えよドラゴン」を見たのと同等の衝撃=何にも感慨が起こらないという衝撃、虚無の感情が脳内を駆け巡った90分。 自分はこれまでワースト映画は見てきたつもり、だった。「デビルマン」=怒り:漫画史上空前絶後の傑作台無し、「北斗の拳」=哀しみ:バツが悪そうに演技する鷲尾いさ子や真剣に吹替えしてる神谷明、「シベ超」:驚き=情熱に対する映画の面白さがここまで反比例している実例、そして「北京原人」:おぱーい。...悪いなら悪いなりに感情感想を抱くし、込められるだろう。がこの作品、怒り哀しみ驚きおぱーいといった歴代のワースト作品に対して感じた要素がてんこ盛りにも関わらず、なんにも感じない。あるのはただ「他になにか有益な時間の使い方があったのでは」「何故俺は、劇場まで来てこの映画を見ているのだろうか」という禅問答。ラスト救助隊が助けに来た時、マジで「助かった~!」って思ったよ。巻き戻し早送り、ストップ出来ねーんだから。 で思ったんだ、これは映画ファンにとっての予防接種のようなもの、新井選手にとっての護摩行そのものだって。この先どんなにつらい映画ライフを送ろうとも「俺は『盆踊り』を劇場でお金を払って90分時間をかけて、鑑賞したんだ」って。心の苦しみ、全てオーケー。映画製作者や関係者にも希望の一本かもしれない。「下には下がある」と(それはそれで困ったことだが)。フェリーニ「道」でリチャード・ベースハートがジュリエッタ・マシーナにも言うてたやないか、「どんなものにも意味がある、この石ころにだって」。だから映画の内容はともかく1点を献上する。んじゃ、またな!  でもこの映画が人生最後に見た映画だとしたら...絶望だな。
[映画館(字幕)] 1点(2020-01-19 10:27:56)(笑:2票)
17.  博奕打ち 総長賭博 《ネタバレ》 
博徒としてあるべき「任侠道」を押し通せば通すほど増大する悲劇を格調高く描いた日本任侠映画の最高傑作。今は無き新宿昭和館で見た時の胸震える感動は忘れられない。【追記】これはこの後没落してゆく任侠映画ジャンルの鎮魂歌=レクイエムである。それは「任侠道」の時代遅れな面、そしてこれから来るべきヤクザ映画の流れを脚本の笠原和夫が見抜いていた、その先進性に感嘆せざるを得ない。この映画では任侠映画の考え方が現実に則さない、絵空事であるということを示し、頑なに「博徒としての任侠道」を守っていった役者全てに破滅の道を歩ませた。その反面現実に則した「ヤクザとしての生きる道」を選択した仙波(金子)の方が完全にうまくやっている。「任侠映画」としては滅び行く漢の生き方に涙し感動するのが普通だが、そんな観客の心を見透かすかのようにこの映画はラスト中井(鶴田)の判決文として博徒が守るべき「任侠道」を遵守した事を「博徒間の私怨」というつまらない理由で説明し映画の幕を閉じるのだ。後年笠原はそんなきれい事ではすまないヤクザの生き様を描く「仁義なき戦い」に関わってゆくがそれは偶然ではない。ちなみにこの映画でも最後まで上手くやるのは、皆さんご存じの通り「山守=金子信雄」であった。
[映画館(邦画)] 10点(2019-07-14 17:22:14)
18.  あした晴れるか 《ネタバレ》 
「芦川いづみの魅力は『憂い顔』(風船/洲崎パラダイス・赤信号/陽の当たる坂道)だ」と小生は言う。友は「笑顔が素晴らしい(乳母車)」「大人の魅力(嵐を呼ぶ男【渡哲也版】/若草物語)」「幸薄い美少女も素敵(佳人)」そしてここに「ツンデレ」コメディエンヌも継ぎ足そう。話に齟齬があるというのは野暮ってもの、これはアイドル映画なのだからキャラクターに魅力があればそれで十分なのだ。久しぶりにスクリーンで鑑賞したが今回改めて強く感じたのは、この様な小品に渡辺美佐子/中原早苗/高野由美といった他社作品なら主演級の若手俳優を惜しげもなく助演として投入し、三島雅夫/東野英治郎/殿山泰司という多くのベテランで脇を固めている→「日活」という会社の当時の勢い=映画が流行の最先端であり発信地であった事実そのものでありました。もちろん監督中平康の映像テクニックが、この映画の魅力に貢献しているのは間違いない。生きてるうちに中平+芦川いづみの「結婚相談(’65)」見てみたいなぁ...。
[映画館(邦画)] 7点(2019-04-12 19:40:27)
19.  まぼろしの市街戦 《ネタバレ》 
【2019年改訂】2018年10月に4Kリマスターが劇場公開されてたので鑑賞。混乱に満ち溢れるこの世界で、この作品がますます存在感を増す様になってしまったのは嬉しい事か悲しい事か。強烈な皮肉に溢れたこの映画、これはおすすめ。
[映画館(字幕)] 9点(2019-01-06 09:02:50)
20.  異常性愛記録 ハレンチ 《ネタバレ》 
輝男、どうしてあなたは輝男なの?いいじゃぁなひか、輝男なんだから。とにかく深畑を演じる若杉英二のアドレナリン500%位ぶっ飛んだ演技に気持ち悪い以前に可笑しくて仕方がない。「ウハハッハハ×10」と笑い彼女に傍若無人な振る舞いを行うも、最後は極まって「ノンコ~、愛してるよ~」でオールオーケー。按摩に体をモミモミされつつメイクラヴ。ぷよぷよな身体に女性用下着を着込み、外国人女性のレズショーを覗きつつ自分はゲイとカモナレッツプレイ。その反面自分にとって耳の痛い話題にはツンツンしノーテンキュー。なんなんだこいつは!(笑)常人なら気色の悪い、観るに耐えない題材をここまでエンターテイメントに仕立てた輝男、あんた最高だよ。更にひどい目に遭うのが黄色いショールに赤ストールを真知子巻きにした橘ますみなのだからたまらない。ラスト若杉英二と吉田輝雄の対決シーンは何故か(いや、お約束の)雷雨。ここでヒロインが絶叫する「ハレンチよぉ!」そしてドンガラガッシャーン!!!で観客はドッカンドッカン沸きまくるのでした...。こりゃ観る人、選ぶな。なんちゅうレビューなんだ、こりゃ。そして自分にこんなレビューを書かせるような映画を撮りあげた輝男に完配。いや完敗、ううん乾杯だ。
[映画館(邦画)] 8点(2018-12-06 08:15:31)(笑:1票) (良:1票)
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