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称えよ鉄兜さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 112
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自己紹介 アメリカ在住

名前の由来は赤塚不二夫先生の作品(天才バカボン)からです。 実際金属フェチでヘルメット持ってますけど

配点分布をみると8点がピーク。 高得点評価が多い。 これは好きな映画の評価が多いから。 つまらない映画のことはあまり書かない。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ブレードランナー/ファイナル・カット 《ネタバレ》 
公開当時日本で観た。 SF映画好きだったし、「エイリアン」の監督作品だし、音楽がヴァンゲリス、見ないわけには行かない。 当時から好きな映画だったけど世間受けはしなかった。 しかし年が経つにつれて評価が上がっていった。  舞台設定は2019年ロスアンゼルス。 ネクサス6が開発されたのが2016年ごろ、今年だ。 確かに公開時(1982年)には遠い未来だったけど。 この映画が後の映画に与えた影響はとても大きい。 さまざまなシーンがオマージュ的に使われてきた。 デッカードとレイチェルのラブシーンは映画史上屈指の出来だと思う。 ヴァンゲリスの音楽がとてもよく合っている。 全体的に暗いシーンが多いが光の使い方が特徴的。 撮影したジョーダン・クローネンウェスの芸術的手腕が全面的に生かされている。 ロボット(レプリカント)がこれほどまで進化して人間に近くなったとき、人間との境界線はどこにあるのか、人間の定義はどこにあるのか。 突き詰めるとかなり哲学的なテーマ。 環境破壊、公害、人口爆発といった問題を抱えた未来社会の中で展開される話だが、たとえば公衆電話の使用など、1982年当時には携帯電話がまだ存在しなかったので描く事は出来なかった。  様々なバージョンの存在も興味をそそる理由のひとつ。 最初の公開時から日本で公開された海外版(残酷シーン入り)とアメリカ国内版があった。 後にビデオ発売されたときにアメリカ版が使われて私を含めて日本公開版を見た人には映画館で観たあのシーンが無いというような事が話題になった。 日本で言う「完全版」というのが最初に日本で公開された海外版なんじゃないかな。  デッカードの語りが全編に入っていたり、デッカードとレイチェルの逃避行が追加されていたりするがこれは配給会社が入れさせたものだった。 このときのシーンがクーブリック作品「シャイニング」の未使用カットだというのも有名な話。 ファイナルカットで初めて語りなしで鑑賞できる。 たしかにあの語りは余分だったと思うが今となっては語りつき版を何度も見た後だから判断は難しい。 もし最初から語りなしだったら、分かりにくい話がますます分からなかったかもしれない。  デッカード=レプリカントという設定も1982年公開版では曖昧にされていた。 後に発表されたディレクターズカットやこのファイナルカットではユニコーンの夢のシーンが復元されていてリドリースコットに言わせるとこれと最後のガフが作ったユニコーンの折り紙をデッカードがうなずきながら握りつぶすシーンを合わせれば(誰も知らないはずの自分の夢の事をガフが知っている)デッカードがレプリカントであることは明白で、それが分からなければ阿呆だという事になる。 でも視聴者からすれば別の解釈は可能だ。 元々ユニコーンの夢はレイチェルのものでデッカードがタイレルコーポレーションでレイチェルのデータを検閲した時にその情報を得たのかもしれない。 お医者さんごっこや蜘蛛の子の情報と同じように。 そしてその印象がデッカードの夢に現れた。 ガフもレイチェルの情報を知っていたのでユニコーンの折り紙を残した。 それを見たデッカードはガフが見逃してくれたのだと納得。 こんな解釈もあってよいと思う。 デッカードを演じたハリソンフォードはデッカード=レプリカントというアイディアに反発している。 この物語はデッカードが人間だからこそ成り立つのだ。 生身の人間とロボットであるレプリカントの愛。 これこそがこの映画の成立に不可欠だという。 私もその意見に賛成だ。  音楽は既存の作品「Memories of Green」をリドリースコットが気に入ってヴァンゲリスになった。 その権利関係で公開後長い間サウンドトラックのアルバムが発売されなかった。 メインテーマを含めてすばらしい音楽なのに長年にわたって映画以外で聴くことができなかったというのもファンにとっては渇望感をあおる事になったと思う。  公開作品に何度も手を加えたのはちょっと反則なんだけどファイナルカットと銘打つだけあって確かに完成度は一番高いと思う。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 10点(2016-03-02 01:59:42)
2.  ゴールデンスランバー(2009) 《ネタバレ》 
原作は知らないのだけど、少々予備知識があった(宣伝で大体のあらすじは分かる)状態で観賞した。 違和感が多い。 何かすっきりしない。 確かに面白いが、しかし煮え切らない感じ。  舞台は現代、2010年ころか。 主人公たちの学生時代は、その10年位前、2000年くらいかな。 そんな時代の学生たちはビートルズを聴いたりしたのだろうか。 聴いてもおかしくはないけど、ビートルズの解散時期にポールがどうしたとか熱く語り合うような熱烈ファンだったりしたのであろうか。  古い黄色のカローラ。よく覚えていないけど、相当古いよね。 たぶんほとんど初代に近いくらいの車種じゃないか。 そしてあのコマーシャルソング。 1970年代じゃないか? 今の30代の人ってそんな古いコマーシャルを覚えているのか、ってまだ生まれてないじゃない。  それとも舞台設定は1980年代くらいなのだろうか。 だったらあんな携帯電話は存在しない。 原作ではどうなのだろうか。  日本の首相暗殺とか現実味のない話を本当らしく描くならその舞台設定などは徹底してリアリティを追及しないと破綻してしまう。 映画として成立しない。   街中で警官が拳銃をいきなり撃ったり、黒服のおっさんがショットガンを撃ちまくるというのも、まー映画だから良いけど、ショットガン、撃ったらもっと反動があるんだからもう少し本物らしく撃ってほしかった。  あと、相変わらず無意味無駄な映画の効果音。 銃を持ち出すたびにカチャカチャさせる。 いい加減やめてほしい。 メモ用紙とかを動かしただけで大仰な紙の音を付け加えるのも相変わらずだけど。 実にくだらない。 この映画に限ったことではないけど。  犯人に仕立て上げられた主人公がわけの分からぬまま逃げ回る。 面白くなる要素が詰まった話だ。 しかしこの映画では煮え切らない。 わずか2日間で友人、通り魔、芸能人、同僚などさまざまな人が主人公を助ける。 それも命に関わるような危険を冒して。 そんなに都合よく次々と助けが得られるのか。 そもそもマスコミが犯人だと決め付けて報道しているのだ。 普通の人ならその情報に影響されるだろう。 2年も前にちょっと助けた芸能人が彼を助ける。 なんだそりゃ。 どうやって連絡したんだ。  それにクライマックスの花火の打ち上げ。 どうやって短期間にあんな大掛かりな準備をしたんだ。  そんなこんなでどうもすっきりしない映画である。 
[ビデオ(字幕)] 5点(2014-10-02 03:07:47)
3.  ゲド戦記 《ネタバレ》 
作品を見る気になったのはNHKの「ふたり」という番組を観たから。  いまだにそうだがとにかく酷評が多い作品だ。 原作者も怒ったと漏れ聞く。 しかし「ふたり」で描かれた親子の確執を見てどうしても見たくなった。  考えてみれば原作者が納得しない映画作品というのは少なくない。 目立つ例ではスティーブンキング原作のシャイニング。  鑑賞は英語版と日本語オリジナルの両方。 英語版はディズニーだけあって声優が豪華。 ティモシーダルトン、ウィレムデフォーなど。  いきなり監督でこれだけの作品を作り上げたのはすごい。 父親が宮崎駿だし、ジブリ作品だし比較されるのは仕方がない。 でも明らかに宮崎吾郎作品に仕上がっている。 父親の過去の作品と見紛うようなシーンが多いのだがこれは父親の影を追い続けた息子の精一杯の父への思いなのではないか。  声が良い。 菅原文太の声を聞いていてあの顔が浮かんでこない。 田中裕子の声が良い。 実に雰囲気のある声。 特にクライマックスのぼそぼそとつぶやく声にはしびれた。 これが宮崎吾郎の演出によるのだとしたら大したものだ。 恐らく宮崎駿の映画だったら全然違う声質、演出になるだろう。  音楽も良い。 スコットランド民謡的雰囲気も入って映画の風景と合っていた。  話の展開は直球的演出だが無理になんでも説明しようとしていないところに好感が持てた。 テーマが単純明快なのも良い。 吾郎監督かなり勉強したのだろうと思う。  冒頭でいきなり父を殺す主人公アレン。 父宮崎駿がこれを見ていったい何を思ったろう。 なぜ父を殺したのかの具体的説明はない。 下手をすると単に説明不足、不完全燃焼という形で受け取られるのだが、この映画ではなんでも説明して解決ということではなく疑問を余韻として残すというように収まっているように感じた。  人物の動きにも優れたセンスを感じた。 とても自然な動きだし構図もよく考えられている。 剣の構え方も良かった。  少し持ち上げすぎなのかもしれない。 でもいきなり監督でこれだけの作品を彼は作り上げたのだ。 才能ある監督だと思う。 父親とは違う作品を作れる。 しかし宮崎駿の息子じゃなかったらそのチャンスは与えられなかったのは確かだし、ジブリだからできることなのかもしれない。 だからどうしても父親と比べられてしまうのは仕方がない。 これは宿命だ。 
[ビデオ(邦画)] 8点(2012-07-25 06:31:00)
4.  真夏のオリオン 《ネタバレ》 
みんなひょろっと背が高くて潜水艦乗りには見えないのはおろか軍人にもまったく見えないというのは時代の流れで日本人の体格が変わったのだから文句言っても始まらない。 もう受け入れるしかない。 それにしても軍服似合わなさ過ぎ。 というよりもっとぴったり合った衣装を用意してあげれば良いのに。 だぼだぼでまさに借り物という感じだった。  回天をうまく映画の中で生かしていてクライマックスのトリックなんかなかなか感心したけど、実を言えばあれはありえないことだ。 回天は母潜水艦の甲板に設置してあるだけだから乗り込んだり操作したりするにはまず浮上しなければならない。 潜水中に発艦は不可能。 でもそれを言ったらこの映画は成立しなくなってしまう。 製作する側だってわかっていてあえてうそをついたと解釈したい。 それともみんなそんな事知らないだろうと高をくくっていたのか。  そういったことにはとりあえず目をつぶって(本当に目をつぶったら映画を観られないけど)、これはおとぎ話なんだと思ってみれば良い。  [追記: 浮上して乗り込みというのはごく初期のことで後には交通筒と言う通路が設置されて潜水中にも移乗可能になったそうなので、これは「ありえる」設定でした。 とはいえやはり基本はおとぎ話的作品という思いは変わらない。  戦争映画だけどほとんど人が死なないのが良い。 艦長が海軍軍人らしからぬ口調だけど玉木宏らしくて良い。 実は指揮者になりたかったんだ、なんて冗談で言っていたけどこれは「のだめカンタービレ」を意識してるんだろうな。  米軍側の演出もみんなまともな台詞で良かった。  最近の潜水艦戦争映画ではへっぽこだったローレライを思い出すがこちらのほうがずーーーっと好ましい。 特撮もずっとましだった。  昔の映画としては当然ながら「眼下の敵」を思い出す。 「真夏のオリオン」は明らかに「眼下の敵」の影響を多大に受けている。 さまざまなエピソードが使いまわされている。 製作側も「眼下の敵」が「真夏のオリオン」の原点であると書いている。  希望ある終わり方をしてくれたのが何よりも後味が良かった。 だからこそおとぎ話として受け入れられる。 
[ビデオ(邦画)] 8点(2012-03-23 23:48:20)(良:3票)
5.  日本沈没(2006) 《ネタバレ》 
さまざまな酷評を目にしたが、やはり自分で観ないとわからない。 小松左京原作の映画化2度目なのだが、1973年版とは明らかに違う展開、演出。 しかしながらこれはこれで楽しめる。 独立した作品として完成された映画だと思う。  確かに草薙君は神出鬼没だし、俯瞰シーンの特撮はやや興ざめだし、特に最後の爆破シーンはお笑いとしか言いようが無いほど低レベルのCGだし、無理やりな設定で話を盛り上げているのは確かだ。 せっかく掘削船を使って爆薬を設置したのに最後の起爆剤の設置には潜水艇でもぐらなければいけないなんてありえない。 それに引退して展示されているふるい潜水艇を整備するまもなく使うなんていうのもありえない。 そんなことするくらいなら諸外国に協力を求めたほうが早いし確実だろう。 実際掘削船は外国からかき集めたじゃないか。 だけどそれで映画が楽しめなくなるわけではない。 無理やりな設定はありがちなもの。 そもそもの日本が沈没するという設定自体が無理やりだ。 十分に楽しめた。 1973年版と比べてはいけない。 同じ原作だがこれはまったく別の映画だ。  
[ビデオ(邦画)] 6点(2011-07-20 03:26:43)
6.  男たちの大和 YAMATO
あまり感情移入が出来ない映画であった。 部分的にぐっとくるシーンはある。 だけど全体的に感動するかというとちょっと興ざめ気味。  戦闘シーンはレイテ沖海戦と沖縄特攻の2度出てくる。 よく出来ている。 悲惨さは良く伝わる。 しかし敵戦闘機が当然ながらすべてCGで動きがかなり不自然。 飛行機の飛び方を良く理解していない人がCGを作ったようだ。 さらに実写とのからみがないのでどうももどかしい。 実物大大和のセットはさすが。 いまいち迫力に欠けるがそれでもセットには見えない。 良く出来ている。 でもやっぱり躍動感に欠ける。 要するに船に乗っている感じが出ていない。 大海原に出ているという感じがしない。  またCGの大和もこぎれいすぎて違和感がある。 CGの完成度に難がある。  仲代達也演じる元大和乗組員、海軍軍人だったくせに最後の敬礼が陸軍式。 戦時中のシーンではみんな海軍式敬礼をしていたのに。 これにはかなりがっくり来た。 歳とって忘れちゃったのか。   エンディングで長渕の歌が流れる。 なぜ長渕? 演歌だ長渕。 これで泣けって言うのか長渕。 昔から日本の大作戦争映画はなんか変な歌がついて来る。 なぜだろう。  それにしてもこの湿っぽい展開はやはり日本人の特性というものなのか。 大和の特攻は制海権、制空権を持たない大海に航空機護衛も無い状態で飛び出していった、沖縄到着の可能性は無い自殺行為だった。 目的は(艦に)死に場所を与えるためだった。 しかし日本人はこういう話が好きだ。 先の大戦の悲惨な負け振りはこの日本人の気質がもたらした。 それが日本人を日本人たらしめている根幹に関わるゆえいまだに日本人はこの手の悲壮感あふれる話が好きなのだ。   愛するものを守るために死にに行くのだということを表現しようとしているようだが(特攻隊員の手記をエピソードに組み入れたり)、表現に芸が無いというか、あざといというか。 この手の話は昔から映画のねたにされてきているのでそのまま同じ事をされても素直に心に入ってきにくい。 ようするに演出の問題だろう。 もっと抑えた演出のほうが心に響くというものだ。 艦隊生活の描写もおざなりでとにかく感情移入しにくい作品だった。 
[DVD(邦画)] 6点(2011-01-13 07:00:34)
7.  世界で一番美しい夜 《ネタバレ》 
160分という長尺の映画。 時間的に余裕があるせいかゆったりとした流れで話が始まっていく。 いったいどうなるのか、どんな話なのか、そんな不安が最初はあったが、徐々に話の中に入り、楽しみながら観終えた。 なかなかの力作と言う感じ。  登場する女性たちが不思議な魅力を放っている。 単に綺麗だとかそんなことではなく、不思議な雰囲気。 それとはまた別に月船さららの裸の美しいこと。  話の内容は他愛ないと言ってしまえばそれまで。 ばかばかしいにもほどがあるともいえるが、まじめに描いている。 愛は世界を救うみたいな感じだけど、抽象的な愛ではない。 もっと現実的な性交だ。  最後にちょっと説教くさい感じになるのが興ざめなのだが、そこで終わらないで漂流した島での三上寛の歌まで持っていったのは良かった。  主人公水野一八の末路やらなんやら、要するに寓話のようなお話。   ところでここで照子役の月船さらら、シメコ役の美知枝といった重要なキャストが載っていないのはなぜでしょう。 
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-10-23 16:56:14)
8.  サヨナライツカ 《ネタバレ》 
原作を読んだ上の感想を書き足す。 この映画、脚本が悪い。 原作にある沓子と豊の葛藤が映画からは伝わらない。 表面的には描いているしそれらしいことを口には出すが、白々しいのだ。 これは演技力不足も原因のひとつか。 設定も大きく違う。 小説の中の豊は野心家ではあってもやっている仕事は地道なものだった。 それが話に自然に入れる理由のひとつになったと思う。 しかし映画の豊は違う。 「好青年」というキーワードも生きていない。 豊と別れた沓子が向かった先が日本ではなくニューヨークというのも安っぽい。 そうなのだ。 この映画では多くの設定が安っぽくうそ臭い。 演技もうそ臭さに拍車をかける。 豊の妻となる光子も原作とは異なる。 小説の光子はあくまでも完璧な日本の良妻を演じていく。 沓子と交わることなどない。 しかし映画ではどうだ。 恐ろしい女ではないか。 もっとも小説の光子よりも裏で沓子を蹴落とす光子のほうが現実的、人間的で、絵になるというか、映画的ではあるが。 小説の映画化では2時間程度に映像を詰め込むためにかなりの改変が行われるのは普通のことだし映画の完成度と原作との整合性は一致しない。 原作から大きく逸脱しても映画として優れた作品はたくさんある。 結局この映画単体の出来の問題だろう。  原作を知らずに鑑賞したときの感想: 全体的に軽く流れて(内容はかなり重いにもかかわらず)、感情移入し難い映画であった。 人間の感情は理屈だけでは説明はつかない。 道徳的にどうであれ、倫理的にどうであれ、映画のような行動がありえると言うことは納得できるのだから映画の中に入り込む余地さえ与えてくれればどっぷりそれに浸かる心構えはあったのだ。 が、残念なことにそのきっかけが得られなかった。 切り替わりの早すぎるカメラワーク、そして演技。 特に東垣内豊役の西島秀俊の演技が気になって話に入っていけなかった。 昔のバンコク市街はうまく描かれていたと思う。 そのころのバンコクを知っているわけではないが、良い雰囲気だった。 中山美穂は前半は若作りの化粧で、25年後のシーンは自然。 西島秀俊は前半は普通で、25年後は老けメイク。 この老けメイク及び演技が不自然でかなり無理がある。 顔だけ老けさせても体全体から若々しさがにじみ出ている。 光子役の石田ゆり子は良かった。 女の執念が伝わった。 
[映画館(邦画)] 5点(2010-10-17 11:23:04)
9.  ハート・ロッカー 《ネタバレ》 
ハートロッカー。 カタカナで書くとなんだか良く分からない。 The Hurt Lockerという題名に込められた意味が伝わらないのは惜しい。 題名の意味についてアメリカでも結構な議論になった。 深い意味が込められているのだ。 しかしなんでこれがアカデミー監督賞を獲れたのだろうか。 理解できない。 理解できないところがアカデミーらしい。 アカデミーは一般の意見を反映していない。 政治色が強く出る。 人種格差、性差にも敏感だ。 Avatarが監督賞を取れなかったのはアカデミーらしいしHurt Locker(女性監督)が受賞したのもやはりアカデミーらしいと言えるか。  映画の出来は普通だ。 よく出来た作品だがあまり新しい驚きはない。 それほど印象に残る作品ではない。 最近のイラクとの戦いを描いた作品はここ何年か他にもたくさんあり、それらと比べてHurt Lockerが特に優れていると言うことはない。 どちらかと言えば私は映画Jar Headの方がが好きだし、アメリカのCABLE TV HBOのシリーズ作品Generation Killも興味深いし、もっと泥臭い人間ドラマを見たいならFox TVで放映されたOver Thereを勧める。 どちらも日本版は出ていないがAmazon.co.jpなどからDVD、Blu-rayを入手できる。  主人公にはDeath Wish、自殺願望があるようだ。 コメンタリーを聞いたがせっかく任務終了したのにまたイラクに戻り爆弾処理を続ける最後のシーンは彼の最後を予感させるものだという。 要するに彼は今度は生き残れないだろうと言う暗示なのだそうだ。  戦争が、身近で仲間の死を目の当たりにする異常が、爆弾処理の緊張が彼の神経を蝕んだのだろうが、どうもそのあたりの描写が欠落しているというか、力強い演出を感じさせないでさらっと流れていく。 だからどうしても感動巨編と言う感じにはならない。  戦場の臨場感を出すためと言うことで選ばれたカメラマン。 だがこのカメラワークに新鮮味はもうないだろう。 手持ち、スタビライザー無しであっちこっちめまぐるしく動き回るカメラ。 落ち着きがない。 あえてステディカムでも使ってじっくり画面を描いてくれたら感心もするのだが。 しかしそれをすると荒が出てしまうのかもしれない。 それを思うとかのスタンリーキューブリック監督の偉大さを再認識する。 
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2010-09-30 03:06:27)
10.  フライトプラン 《ネタバレ》 
一緒に飛行機に搭乗した娘が誘拐され、探そうとするも乗客名簿には娘の名前はない、娘を見た人も誰もいない、あげくに実は(自殺したとされる)旦那が娘を道連れにしていたと言う話を聞かされる。 もう自分は何を信じて良いのか分からない。  話そのものは面白い。 あきることなく観る事が出来た。 本当にそんなことが可能なのか、同乗する航空保安官が犯人でスッチーの1人がぐるだった。 だったら出来そうだな。 私は映画を見ていてあまり先読みしたりしないのだが見直してみればこの航空保安官の態度、怪しすぎる。 最初から私が犯人ですと言っているようだ。 ひねった映画だとこれで実は保安官は良い人でしたということになるのかもしれない。 しかしこの映画は超ストレート。 怪しい人がやっぱり犯人でした。  なかなか面白かったよ。 だけどなんだこの主人公。 独りよがり、自分勝手。 いなくなった娘を心配して必死に探す、のはいいよ、だけどなんだあの態度。 関係ないアラブ系男性を勝手な思い込みで犯人扱い、周りの迷惑を全く考慮しない振る舞い。 まったく同情できない。  いかにもアメリカにいそうなうるさい女って感じだった。 それをまたジョディフォスターが完璧に演じているのがすごい。 ほんとにいやな女だ。 むかつく。 最後、機長が主人公に謝る。 ま、普通そうだよな。 だけどその主人公はアラブ系男性に謝らない。 何様だよお前。 主人公にしてみれば自分の娘の命が危うかったのだから自分の行動は100%正しくて疑われたアラブ系男性は疑われるような顔をしているのが悪いってことなのか。  観ていてむかついたぞこの主人公に。 ここまで性格が悪い主人公もめずらしいし、それをきっちり演じたジョディフォスターはやはりさすがだ。 なんでこんな映画に出演したのかは理解できないが。 たぶん彼女も主人公と同じ思考回路なのかもしれない。 台本を読んで共感しちゃったのかもね。  
[DVD(字幕なし「原語」)] 5点(2010-09-30 02:29:07)
11.  トランスフォーマー/リベンジ 《ネタバレ》 
前作の主要登場人物がそのまま出てくるので前作を観ていれば余計なことは考えずに最初から話に入れる。 が内容は少々引っ張りすぎの感じがする。 150分は長すぎる。 いろいろなロボットが登場してアクション盛りだくさんだが全体的に散漫な印象。 コメディタッチに仕上がっているのは良いのだが犬のマウンティング(小ロボットもやる)などちょっと下品すぎる。 
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2010-02-27 13:30:19)
12.  インフォーマント! 《ネタバレ》 
コメディ仕立てではあるがあつかう題材はかなり重い。 相当ブラックな話になっている。 1990年代に実際にあった販売価格操作(闇カルテル)事件の話なのだが主人公がすごい。 会社重役の立場にありながらFBIに協力して内部情報を何年にも渡り収集して証拠集めをする。 ついに事件は立件され告発されるが実はこの主人公は調査期間中にカルテルで得た会社利益のキックバックやら脱税やらマネーローンダリングやらで900万ドルも個人資産にしていた。 結果その罪で彼は8年半も連邦刑務所に服役することになる。 でも出所後の後日談がすごい。 今はカリフォルニアにあるバイオテクノロジーの会社社長なんだそうな。 これだけだとなんかすごく重い犯罪映画なんだけど、完全にコメディタッチで描いている。 主演のマットデイモンの好演が見もの。 すごい人格を見事に演じて観客を惑わせてくれる。 実は観ている間はマットデイモンだとは気がつかなかったのだが。 それくらい役になりきっていたということか。 それにしても実在の人物(しかも今も現役の会社社長)をこんな風に映画で描いちゃって良いのかな。 
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2010-02-27 13:18:53)(良:1票)
13.  252 生存者あり 《ネタバレ》 
252人生存者がいるということかと思っていたら、全然違った。 前半の洪水シーンはなかなか迫力があって感心した。 でも超巨大台風の発生から日本上陸までがやたら短くてだれも備えをしていないのが不自然だ。 気象庁(なのかな)ですら全く状況を把握していない。 普通あれだけでかい台風が赤道近辺で発生して北上してきたらみんなもっと防災体制を敷くだろう。 雹(ひょうってこんな字だったのか。)が降るのは良いとして、なんであんなに巨大な津波が来るのか。 しかもいきなり。 あれだけ大きな災害なら少なく見積もっても数万人単位で死者が出たと思うんだけど、肝心のレスキュー隊員が身内を救うことだけに尽力を注いでいる。 ちょっとしらける展開だった。 最後の救出シーンの演出はいろいろ詰め込みすぎで興ざめ。 しかし伊藤英明演じる主人公っていったい何者? 超人ハルクですか?  子役の女の子(大森絢音)がなかなか良かったのがこの映画の一番の収穫。 
[ビデオ(邦画)] 4点(2010-01-27 13:10:48)(笑:1票)
14.  LIMIT OF LOVE 海猿 《ネタバレ》 
稚拙な脚本、稚拙な演出、そして稚拙な演技。 ってこれ、前作「海猿」のReviewで書いたけど、全く同じ感想。 いや、それがスケールアップしてる。 前作の瞬間的感動シーン(というよりつぎはぎ感動シーンか)がパワーアップしてる。 しかしここまでやるか。 突っ込みどころ満載。 煙突のはしごを上っていくシーン。 船が転覆寸前まで傾いているのになんではしごが垂直のままだ。 船に閉じ込められたまま沈没。 救出に掛かれーって、今言うんだったらなんであんなに早い時点で諦めて全員引き上げたのだ。 これはほんの一部。 いちいち取り上げていたら本が一冊書けそうだ。  きっとあんなことやこんなことをてんこ盛りにしたかったんだろう。 そのためにはどんな矛盾が生じても、ストーリーに破綻をきたしてもやむなしと思ったか、いやそもそもこれで筋が通ってるとでも思っていたか。  映画の最後に唯一のキスシーン登場。 前作のキスシーンが余りに情けなかったが、今回はどうだ。 やっぱりお子ちゃまだった。 これは恋人のキスじゃない。 ただ唇を押し付けただけだ。 そんなにいやだったのかな。 興ざめだな。
[ビデオ(邦画)] 3点(2009-12-31 13:28:27)
15.  海猿 ウミザル
稚拙な脚本、稚拙な演出、そして稚拙な演技。 瞬間的感動シーン盛りだくさん。 だけど設定に無理がありすぎ。 でもここまでベタだとある意味すごい。  唯一のキスシーン、だけど本当にはキスしてない。 ってどこまでお子ちゃま映画なのよ。 
[ビデオ(邦画)] 3点(2009-12-31 13:08:39)
16.  沈まぬ太陽
途中休憩が入る3時間を越える作品だが、よくまとめたと思う。 確かに登場人物は多いし映画で描いている時間軸が長いし、各個人の内面に迫るようなシーンはあまりなかったがそういう説明的な演出がなくても十分に想像で補える。 原作を読んでいなければ先入観無しに勝手に登場人物を解釈できる。 あるいは読んだ上で予備知識を持って観るのもまた良しだと思う。 鑑賞後やり切れぬ思いだけが残る。 日本航空の体質、それに関わる政治家官僚の醜悪さ。 これが日本の本質なのかと思うとどうにも。。 もちろん映画では国民航空という会社名だしエンドクレジットで劇中の会社人物は実在のそれとなんら関わりがないと免責説明をしている。 だがこれが日本航空とそれを取り巻く人間の話であることは明白だし、フィクションではあっても事実を元にしていることも周知のこと。 関西に230人もの未亡人を一気に生んだ。 この台詞はあの墜落事故の大きさ辛さをあらためて再確認させるに足るものだった。 だが有名な「遺書」を映画の中で扱ったシーンはあまりにもお涙頂戴的な安易な演出でまったくいただけない。 最初のシーンは良い、激しく揺れる(ダッチロールという言葉、当時ほとんどの人はこのとき始めて聞いたろう)機内で遺書を書く。 それだけに留めて置けばよかったのだが棺の前でその遺書を息子に読ませるという余計な演出を加えてしまった。 あまりにもわざとらしくて少々しらけた。 そんなことしなくてもあの遺書のことはみんな知っているわけだし十分心に響いているというのに。 それにしてもあれほど会社から、いや出世して会社を牛耳って甘い汁を吸おうとしている連中に虐げられてもなお会社を辞めない主人公というのは私には理解を超えている。 あまりに清廉潔白で人間としてありえないんじゃないか。 とてもよく出来た作品だと思うのだが、CGの質の悪さが作品を貶めているかのようだ。 なんなのあの安っぽい不自然な飛行機のシーンは? 素人が自宅のパソコンででっち上げたかのようだ。 役者の出演料で予算を使い切ってしまったのだろうか。 海外に外注すれば良いのに。 飛行場からの単純な離陸シーンですら不自然極まりない。 せっかくのすばらしい演技が台無しだ。 
[映画館(邦画)] 8点(2009-12-19 04:53:51)
17.  ゼロの焦点(2009)
なかなかに見ごたえがある作品である。 広末涼子演じる禎子が狂言回し役。 後半彼女の語りで真実が明かされるのは良いのだがどうも彼女の立場では知りえない内容がかなり含まれているようで、さらにそこにいたるまでの話の流れから唐突に怒涛の説明に入っていってちょっと戸惑いを感じた。 3時間くらいの長さが許されたらこのあたりはもっとうまく処理されたかなと思う。 後半に見られる中谷美紀の迫真の演技が作品の質を高めた。 ほんと、怖かったよ。 そして薄幸の女を演じたら右に出るもの無し、日本一の木村多江。 もう涙なくして見られません(っていうのは大袈裟だが)。 CGの使い方がさりげなくてとても良かった。 とても自然な処理で映画館で一度鑑賞しただけではどこでCGが使われていたのか良く分からないが、蒸気機関車、駅のシーンなどで使われていたと思う。 日本の特撮もここまで来たかと思ったがエンドクレジットを見たら特撮処理は韓国への外注だった。 海際の崖でのシーンは逆に舞台的な大袈裟なライティングで自然さからはかけ離れていたが演出としてこれはありだろうと思う。 
[映画館(邦画)] 8点(2009-12-19 04:45:03)
18.  犬神家の一族(2006)
いったい何のためにこの映画を撮り直したのだろう。 話題作り? それ以外には思いつかない。 同じ監督、同じ主演者ということでどんな作品になるのか楽しみだったのだが、肩透かしというか、拍子抜けというか。 まるでデジャブーだ。 まったく同じ脚本同じ演出ということなのだろうか。 これなら前作をそのまま劇場再公開したほうが良かったろうに。 これは今回の出演者には大変酷な作品になったと思う。 何しろ前作の出演者と比較されること必至だから。 珠世役はやはり清楚な雰囲気を持つ島田陽子の方が松嶋菜々子より良かったし、旅館の女中も坂口良子の方が深田恭子より圧倒的に良かった。 同じギャグでも今作品ではことごとく滑っている。 それはそうだ、前作と同じなのだもの。 前作が存在しなければそれほど違和感なく受け入れることも出来たろうに。 前作を知らない人だけに見て欲しかったのかな。 でも私は前作を知っているのだ。 比較するなというのは無理な話。 唯一良かったのは音楽。 前作のテーマ曲だけを残して大野雄二以外が音楽担当というのは正解だった。 石坂浩二の金田一耕助は確かにはまり役だが、今となっては年齢的に合っていない。 ふけボロボロのシーンも若いから見ていられるのだ。
[DVD(邦画)] 3点(2009-11-11 17:42:27)
19.  バニラ・スカイ 《ネタバレ》 
The sweet is never as sweet without the sour. こういう映画は好きです。 まさに悪夢なので話が微妙につながらなくて混乱して、どういう落ちに持っていくのかと思ったらすっきりまとめてくれて良かったな、と言う感じ。 ただ観ていて気になったのはFが付く4文字言葉がとにかく多い。 あと驚いたのはキャメロンが一晩に4回もしたと言う話をトムにする車内のシーン。 キャメロンの「I swallowed your cum」と言う台詞を聞いてひっくり返りそうになった。こういうハリウッド映画でしかもキャメロンが言う。 衝撃でした。 台本どおりなんだろうけど、すごいこと言うな。 日本語字幕ではいったいどうなっていたのだろうか、あるいは吹き替えではどうしたのかな。 直訳したら直接的過ぎる。 ちょっと気になる。 他には「F#@k buddy」。 これは素直に「セフレ」かな。 しかし汚い台詞は多いのだがそれ以外は結構良い台詞が多かった。 映画の最後、トム(David)が目を覚ます時に聴こえる女性の声「Relax, David. Open your eyes.」 これは誰の声だろう? なんとなくSofiaの声みたいだったけど。  
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-07-29 17:19:19)(良:1票)
20.  モンスターVSエイリアン 《ネタバレ》 
Monsters Inc.の亜流、はたまた二番煎じと思ったらとんでもない間違い。 さすがDreamworks、またまたぶっ飛んだ映画を作ってくれたものだ。 私の笑いのつぼにはまりっぱなしであった。 過去のSF映画へのオマージュ(というかパロディかな)で溢れているし(Star Wars、E.T.、未知との遭遇、Star Trek、The Blob、さらにはモスラ/ゴジラなどなど) アメリカ大統領が全くの間抜けとして登場するが、自国の元首をあそこまでおちょくれる国アメリカ、さすがにすごい国だと思う。 CGの出来もすばらしい。   50年間もモンスターたちを管理してきたモンガー将軍、ってあんたは何歳だと誰もが思うがちゃんと落ちがついていた。 エンドクレジットで席を立たずに最後まで見届けることが肝要である。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2009-07-15 07:35:56)
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