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プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  ニュー・シネマ・パラダイス 《ネタバレ》 
今までに繰り返しこの映画を観ていますが、たぶん流した涙は1リットルにはなるでしょう(ちょっと大げさです)。もう最近はトトがシチリアに帰るあたりから涙目になってしまいます。そしてラストシーンではもう滂沱の涙、正直言ってここで泣けない人がいるって信じられないです。トトって子供のころは悪知恵が働くませたガキだし、成人して映画監督になってもプレイボーイで女をとっかえひっかえ、おまけに30年も実家に帰らないというけっこう嫌な奴です。でもアルフレードが残してくれたフィルムを観てるとき、まるで少年の日に帰った様な屈託のない笑顔を見せるんですよね。ノスタルジーの魔力を見せつけてくれるこのカットはまさに偉業で、私の涙腺を徹底的に破壊してくれます。 エンニオ・モリコーネのテーマ・ミュージックはあまりに素晴らしく、もう映画音楽遺産と呼びたいぐらいです。そう言えば数年前、地元のデパートが閉店しました。閉店セレモニーで店員さんたちが深々とお辞儀をする中でもう二度と開かないシャッターが下ろされたんですが、この映画の『愛のテーマ』がその時流されたんですよ。集まった群衆からは一斉にすすり泣きが漏れ、ほとんど号泣してる人もいました。もう素晴らしい演出でしたが、この場面で『愛のテーマ』を流すなんてそりゃ反則ですよ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2013-09-17 23:55:50)
2.  ロボコップ(1987) 《ネタバレ》 
ヴァーホーヴェンは磔にされて復活したキリストのイメージをマーフィーに重ねていたそうです。でもそのキリストは、単に新しく生まれ変わったマシーンではなく、この世に残してきた妻子の記憶に苦しむひとりの男でしかなかったというわけです。マーフィーが空き家になった自宅を訪れるエピソードには何度この映画を観ても心が痛みます。 私には「こんな映画、今まで観たことない」と感嘆させられた映画の一本です。スプラッター度は製作当時ではハリウッド史上最凶だったのではないか、今観てもそのエグい描写は衰えていません。ルイス巡査のN・アレンもこの映画の時が最高に輝いていました。ヴァーホーヴェンの名を不朽のものにした映画史に残る傑作です。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2012-10-25 22:17:04)
3.  U・ボート 《ネタバレ》 
私のベスト・オブ・戦争映画は文句なしに『Das Boot』です。この映画ぐらい映画館で観ないと真価が判らない映画もないと言って良く、その音響効果たるや凄まじいものでした。あの爆雷攻撃を執拗に受けるシーンは、まるで自分がドラム缶の中にいて外からガンガン叩かれている様な体験で、攻撃が終息した時にはほんとぐったりしてしまいました。またジブラルタル海峡で海底から浮上するまで修理に奮闘する乗組員たちの行動がこれまたリアルで、このままダメージ・コントロールの教科書として使えそうなぐらいです。この映画に登場するのは“UボートⅦc型”と言う大戦中もっとも建造されて最高の戦果をあげたタイプですが、艦内の異様なほどの狭さは閉所恐怖症の人には観てるだけで耐えられないでしょう。また俳優たちがいかにもドイツ人って顔つきなのもリアル、その顔や服装がどんどん汗まみれ・油まみれになってゆくのがたまりません。 「潜水艦映画にハズレ無し」なんていうフレーズは、そもそも本作が世に出てから言われる様になったものですが、本作の登場で以前の潜水艦映画が一気に色あせてしまったのは事実です。『プライベート・ライアン』と並んで、映画の歴史を変えた戦争映画ですよ。
[映画館(字幕)] 10点(2011-10-24 21:29:15)(良:1票)
4.  コックと泥棒、その妻と愛人 《ネタバレ》 
本作はグリナーウェイの最高傑作だと思います。 まるで舞台劇を見せている様な平行移動するカメラ、ボーイソプラノの歌声、腐る肉と悪臭、早くも本作にはグリナーウェイ的な要素がすべてぶち込まれています。実は全然予備知識を持たずにこの映画を観てしまったので、観終わってあまりの凄まじい映像体験に呆然とさせられました。「食欲」と「性欲」、「悪徳」と「無垢」、この世にあるものはシメントリーに分けて対比することがグリナーウェイの映像表現の基本みたいですが、この映画ぐらい悪趣味になると「美」を感じさせられます。そして特筆すべきはヘレン・ミレンの役作りで、あの熟れきった裸身はきっと本作のために逆シェイプアップ(?)したのでしょうね。腐った食肉が詰まったトラックの荷台に隠れるシーンは、豚の頭と一緒に撮られても違和感が全然ないところが恐ろしい。出来れば、ラストは「特別料理」を旦那と一緒に食して欲しかったところです。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2010-06-23 22:12:39)
5.  恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ 《ネタバレ》 
この映画も製作されてからはや20年経ってしまったのですね。10年ぶりぐらいに再見しましたが、全然色あせていません。ほんとこの作品は脚本が完璧!ジャックと階上の部屋から下りてくる少女とのふれあう場面が、彼のキャラに深みを与えています。そしてミッシェル・ファイファーが“メイキン・ウーピィー”をピアノの上で歌うシーンは、映画史に残る名シーンです。三人がそれぞれの道に分かれてゆくのがラストですが、15年デュオで演奏するのも人生なら、一人で生きてゆくのも人生なのです。こういう大人の雰囲気の映画は最近少なくなりました。文句なしの10点献上です。
[DVD(字幕)] 10点(2009-09-26 00:51:58)(良:1票)
6.  フィツカラルド 《ネタバレ》 
ほとんど誇大妄想狂の男が妄想した夢を追い求める物語を、狂ってるとしか言いようがない監督が間違いなくあっちの世界に片足を踏み込んでいる俳優を使ってこの世に残した奇跡の一編です。ご存じ、ヴェルナー・ヘルツォークとクラウス・キンスキーの最凶コンビの『アギーレ/神の怒り』以来のアマゾン秘境ものですが、クラキンとコンビ再結成するまでにはやはりいろいろあったみたいです。当初は主役がなんとジャック・ニコルソンで企画が始まったのにビビったニコルソンに逃げられ、ジェイソン・ロバーズを主役に迎えて撮影開始したのは良いが彼はロケ地で赤痢に罹って降板、困ったヘルツォークが嫌々ながら起用したのが因縁深いクラキンだったというわけ、しかしオファー受ける方もやっぱどうかしています(笑)。  しかしこんな突拍子もないストーリーを考えつき、実際に映画化しちゃうヘルツォークがいちばんの狂人で、フィッツカラルドはまさに彼の分身だと言えるでしょう。とにかくあの船に山越えさせるシークエンスの映像は、素手だけで山を切り拓く土木工事のドキュメンタリーを見せられている錯覚にすら陥りました。そしてジリジリと斜面を登ってゆく船、これはとんでもない映像を見せられてるんだと自覚させられました。何百人もいたんじゃないかと思える先住人のエキストラも、現代に同じような撮影をしたら人道問題で炎上必至でしょう。船が急流を流されてゆく映像も危険極まりない撮影ですが、『アギーレ/神の怒り』で筏に俳優を載せて急流下りをさせたヘルツォークですから、「今度はボロとはいえちゃんとした船だから、ヘッチャラでしょ」と感覚がマヒしていたのかも(笑)。 そして意外だったのは、このストーリーがハッピーエンドで幕を閉じたことでした。船上でのクラキンが見せる爽やかな笑顔は、最高の表情です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-06-21 22:10:20)
7.  メジャーリーグ 《ネタバレ》 
嫌なことがあって気分が落ち込んだりした時はぜひ本作をお勧めします、言わずと知れた野球コメディ映画の最高峰です! 初めてこの映画を観たとき、アメリカに次ぐ野球大国なのになんで日本映画界はこういう野球映画が撮れないんだろうかと、腹が立った記憶があります。確かにプロ野球をテーマにした日本映画はほとんどないし、数少ない作品も単なるヒーローものか超駄作ばかりですからねえ。 この映画の凄いところは、クリーブランド・インディアンスという実在のメジャーリーグ球団を使って、オーナーから選手までフィクションの存在にして徹底的に笑いを取りに行っているところでしょう。その選手たちもキャラが立ちまくりで、ウェズリー・スナイプスまでもが今じゃ決してやってくれないコメディ演技を見せてくれるんですから、もう堪りません。特にキャンプにインチキ臭いハイブリッド・ワーゲンで乗り込んでくるところや、アメックスのCMで滑り込んできて「出かけるときは忘れずに」と微笑むところなんか抱腹です。私は長いこと彼がコメディアンだと思ってました(笑)。そしてもちろん、リッキー・ボーンのチャーリー・シーンを忘れてはいけません。プレー・オフの“ワイルド・シング”にのって登場するシーンは何度観ても鳥肌立ちまくり、きっと永遠に語り継がれてゆくことでしょう。彼は実際にも野球が上手いらしく、投球フォームがさまになっています。 そしてつくづく感じるのは、実際にエキストラで球場を埋めて撮影されたプレー・オフ戦の迫力です。もちろんボランティア参加みたいにして集めたんでしょうけど、みんなノリノリだしほんとに楽しそう。 日本にも75年の広島初優勝や85年の阪神優勝のようないいネタがあるんだから、映画化しようという発想は邦画界にはないんでしょうかね、まあないでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2018-06-02 23:43:43)(良:1票)
8.  ブルース・ブラザース
コメディ映画としては『1941』に匹敵するほどのクドさがありますが、ミュージカル映画として観ればこれほどぶっ飛んで躍動的な作品は珍しいんじゃないでしょうか。伝説のジェームズ・ブラウンを筆頭に、レイ・チャールズ、キャブ・キャラウェイ、アレサ・フランクリンというキラ星の様なR&Bの大御所たちが勢ぞろいしているんですから、もう感涙です。ジェームズ・ベルーシの“踊れるデブ”っぷりも見事で、改めてこの人は物凄い才能を持った人だったんだなと思いました。ダン・エイクロイドも若いときは細身でカッコよかったわけですが、そういやこの人最後までサングラスを外しませんでしたね。この二人がやはり出演している『1941』とどうしても比べたくなりますけど、ジョン・ランディスのコメディと音楽のセンスにはスピルバーグはとうてい敵わないということでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-04-12 20:44:22)
9.  バック・トゥ・ザ・フューチャー
タイムトラヴェル映画で、劇中にタイムスリップした未来の同時点に生きているって、なんか初めての経験の様な気がします。30周年おめでとうございます。もうこの映画の内容なんて語り尽くされていますので今さらという感も強いですけど、とても頭の良い脚本だといつも思います。タイムトラベルについてもパラレルワールド理論はあえて採用されてませんが、パラレルワールドじゃこのシリーズの様なドキドキ感はとうてい出せなかったでしょうから大正解です。小ネタも効きすぎるほど盛り込まれているし、何と言っても80年代のワクワクした懐かしい雰囲気がイイですよね。30年前に青春まっただ中だった人、そしてもう青春が終わっていた人やまだ生まれていなかった人たち、全ての世代にこれからも愛される傑作であることは間違いないです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-10-21 21:34:08)
10.  マルサの女 《ネタバレ》 
実はわたくし、若いころに“脱税容疑者の関係取引先”としてマルサの取り調べを受けたことが有りました。これはもう経験しなければ到底理解できない恐怖の体験でした。そして数年後、あの恐怖のマルサをヒーローに据えた映画が製作されそれが社会現象にまでなったのにはほんとびっくりでした。あの津川雅彦たちマルサの面々は役作りも深いし実にリアルでして、自分の体験のときも津川雅彦みたいなタイプの査察官がいたことをマジマジと思いだしたほどです。紹介される脱税の手口も良く調べられていて、ピカレスク・ムーヴィーとしても一級品だと思います。対する山崎勉ですが、実はあまりに魅力的なキャラなので悪役としての凄味が薄れてしまったのは皮肉です。あのラスト・シーンなんか、もう鳥肌が立つほど素晴らしかったです。そう、この映画にはピカレスクものなのに真の悪役と言えるキャラがいないんですよね。せこい売上除外に励む伊東四朗(ばれて一瞬で顔が朱に染まるシーン、これは凄い演技です)やおかず屋の老夫婦なんか庶民かそれに毛が生えた程度ですからね。 伊丹十三は“世の中の裏の仕組みをお見せします”映画というジャンルを開拓したのですが、やはり本作がそのジャンルの最高傑作でしょうね。本田俊之のシャープなサウンド・トラックも、80年代の邦画で随一の傑作だと思います。宮本信子の女マルサはもう伝説の当たり役と言えるのですが、後の伊丹映画に出演するとどの役でも板倉亮子に見えてしまうのは困ったもんです(笑)。
[映画館(邦画)] 9点(2014-05-03 14:03:36)
11.  ダイ・ハード 《ネタバレ》 
こけおどしのアクション映画が量産されていた80年代に、突如出現した“頭のいい脚本”で初めて撮られたコップアクション・ジャンルの金字塔です。 派手な画も多いのでカネかかっている様に見えますが、基本はこの映画良い意味でB級テイストなんです。B・ウィリスのランニングシャツが、シーンが替わった途端に下地がまったく見えないこげ茶色にまで汚れちゃうなんて、ふつう超大作映画ではあり得ないけど、そんなこともちろん誰も気にしない。今でこそ中年アクションスターの座を守り続けているB・ウィリスですが、そもそもこの作品に抜擢されるまではコメディ・ジャンルの人だったこともお忘れなく。つまりキャスティングには全然おカネをかけていないわけですが、その“安い”俳優たちがウソみたいにその演じるキャラにはまりまくっているのはもう奇跡としか言いようがありません。 中でもA・リックマンのH・グル―バーは、その悪役ぶりがあまりにリアルだったので、その後の映画に登場するテロリストのキャラに多大な影響を与えています。私もこの人はてっきりドイツ人だと永いこと誤解してました。実は素のリアクションだったというH・グル―バーの最期の表情も、“悪役の死にざまベスト10”というランキングがあれば上位に入るのは間違いないでしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2013-06-01 00:34:07)(良:1票)
12.  カリフォルニア・ドールス 《ネタバレ》 
あの蓮實重彦先生に「R・アルドリッジ映画の最高峰」と言わしめた、スポ根ジャンルの隠れた傑作。男同士のどつきあいを撮らせたら天下一品だったアルドリッジの遺作が女子プロレスのどつきあいの映画になったのは何とも不思議な感じですが、本作の女闘美ファイトは『北国の帝王』でのL・マービンとA・ボーグナインが見せた死闘を、ある意味で上回る迫力です。 それにしても誰が考えついたか知らないけど、P・フォークをあのマネージャー役にキャスティングした時点で、この映画がレジェンドになることを決定づけた様なものでしょう。女レスラー二人とマネージャーの不思議な人間関係も良く描けています。敵役のタッグチーム“トレドの虎”を単なる憎まれ役としなかったのも上手いところ。このチームのマネージャーが見た目は怖いけど実はスポーツマン・シップを重んじる男だったというのも、アルドリッジ映画には欠かせないキャラです。ラストで、負けた“トレドの虎”をドールスに握手に行かせるシーンは、ちょっと感涙ものでした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-03-13 22:46:59)(良:1票)
13.  エイトメン・アウト 《ネタバレ》 
インディーズ映画の雄でありアメリカ社会の影を追ってきたJ・セイルズが撮っているので、強欲なオーナーと薄給の選手たちの対立という図式が濃厚。この八百長に加担したブラック・ソックスの選手たちが、とてもプロスポーツ界のトップに立つセレブとは思えないようなダサい生活ぶりで、彼らを資本家と対立するプロレタリアートに摸する意図があったのかもしれない。でも選手たちのとても共感できないような野卑な言動もきっちりと描いていて、バランスはとれている。この八人に曲者バイ・プレーヤーたちをずらりと並べたJ・セイルズ作品にしては空前のオールスター・キャストで、監督役のJ・マホーニーも実にいい味出してました。当時のメジャー・リーグ・ゲームの雰囲気は良く再現されていて、ダボダボのユニフォームに背番号が付いていないというのは、今の眼からはとっても奇異に見えます。 一度は観ておきたい野球映画の秀作です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-02-08 20:07:24)
14.  ファニーとアレクサンデル 《ネタバレ》 
ベルイマンの映画を大して観たわけではないけど、これは自分にとっては初めての“色つき”ベルイマンです。クリスマスパーティに始まり赤ん坊のお披露目パーティで終わる、これはもう素晴らしい人間賛歌ではないでしょうか。夫が孕ませたメイドを平気な顔で家族の一員として迎えるグスタフの妻をはじめ、この愛らしいエクダール家の面々がもう最高です。死んでからも亡霊となって現れるオスカル、このヤール・キューレという俳優の演技には心を揺すぶられました。ラスト、アレクサンデルの背後から現れたのはオスカルだと思っていたら、なんと司教の亡霊だったというのはサプライズだったしゾッとさせられました。 ふつう巨匠と呼ばれる映画監督でもたいがい晩年は力量が衰えるものですけど、ほとんど遺作といってよいほどの本作がこれほどの傑作とは、ベルイマンは恐るべき人です。
[DVD(字幕)] 9点(2012-12-26 22:18:25)
15.  刑事ジョン・ブック/目撃者 《ネタバレ》 
“二種類の表情だけで演技する男”ハリソン・フォードなんですが、もうこのジョン・ブックの様な好演は観られないでしょうね。でも不思議なことに、この映画でもいつものように“二種類の表情”なんですけど、ピーター・ウィアーの様な腕の良い演出家がつくとやっぱり違うんですねえ。アーミッシュの集落にだんだん溶け込んでゆくところが実に自然で清々しいんです。 プロット自体は『リーサル・ウェポン』や『ビヴァリーヒルズ・コップ』シリーズなどの一作としても違和感ないのですが、観終わってみるとハリウッド製刑事映画では決して味わえないような不思議な爽やかさが残るんです。ラストのロング・ショットは映画史に残るような素晴らしいシーンじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-05-17 23:37:33)
16.  ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録 《ネタバレ》 
サイレント映画の時代から星の数ほど犯罪映画は撮られてきたけど、この映画を超えるのは本物のスナッフ・ムーヴィーしかないんじゃないかと思うほどで、実話犯罪映画のまさに極北です。ヘンリー役のマイケル・ルーカーがあまりに強烈で、他の映画で彼が出てくるたびに「あ、ヘンリーだ」っていまだに条件反射してしまう私です。 4年もオクラ入りしてようやく公開されたと言うだけあって、冒頭のタイトル・ロールからしてまるで自主製作映画みたいなシンプルさ、そして普通の人が蠅や蚊を退治する様な何気なさで殺人を重ねるヘンリーとオーティスの鬼畜の様な生活。これがほぼ実話だと言うのは凄いことで、創作なら誰もこんな恐ろしいお話しは考えつかないでしょう。思いのほかグロい描写は少ないのですが、こんなに淡々と人を殺すところを見せ続けられると、観てる方も精神的に参っちゃいます。 まさに取扱注意の毒薬ムーヴィーです。
[ビデオ(字幕)] 9点(2012-04-04 21:24:19)
17.  レイダース/失われたアーク《聖櫃》
手に汗握る様なシークエンスだけをつなげて一本の映画を撮ると言うサイレント映画の連続活劇の手法を、スピルバーグが見事に甦らせた元祖ジェット・コースター・ムーヴィー。あまりに有名なオープニング・エピソードだけでも、普通のアドベンチャー映画一本分のアクションがわずか10分あまりの時間に濃縮されていて、天才スピルバーグの面目躍如たるものです。だいたいこの映画を観るまで“聖櫃”のことなんて知識がなかったけれど、“聖櫃”に超自然的なパワーがあってヒトラーと争奪戦を展開すると言う荒唐無稽な大風呂敷っぷりが実に楽しい。最近気がついたのですが、この映画のストーリー原案には若き日のフィリップ・カウフマンが関わっていたんですね。なにはともあれ、今思えば楽天的だった80年代を象徴する名作であることは間違いなしです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-01-04 21:09:41)
18.  存在の耐えられない軽さ 《ネタバレ》 
“驚異の目力”が武器のプレイボーイ外科医、まさに“肉食獣”と言える女流画家、そして腋毛ボーボーの田舎娘、この三人が見せる純愛とは対極に位置するような恋愛劇ですが、ドロドロになりがちなストーリーなのにどこか突き抜けた明るさがある語り口です。ヨーロッパ俳優を多く使い撮影監督もスヴェン・ニクヴィストなので、ハリウッド資本ながら欧州映画の様な味わいがありました。スヴェン・ニクヴィストのカメラがまた美しくて、「プラハの春」の記録映像にデイ・ルイスやビノシュが映り込むところなぞ素晴らしい映像テクニックです。黒い山高帽をかぶった下着姿のレナ・オリンはポスターやパッケージにも使われてこの映画のシンボルみたいな存在ですが、本作での彼女のセクシーさはちょっと尋常ではない。人間の存在なんて「耐えられないほど」軽く歴史の激動にのみ込まれてしまうはかないものかもしれませんが、それでもそれぞれが生きた証しは必ず残ってゆくものなんでしょうね。そう考えるとラストのフェード・アウトには泣かされてしまいました。それにしても役者がいい演技を見せてくれる映画はホント上映時間の長さなど気にならないものですね。
[DVD(字幕)] 9点(2011-08-10 22:37:32)
19.  ブロンコ・ビリー 《ネタバレ》 
深刻なテーマを取り上げる様になる映画としては完璧な後年の作品より、初期から中期の軽く荒削りなタッチのイーストウッド監督作の方が個人的には好みです。その中でも本作はイーストウッドのベストフィルムと言っちゃってもいいんじゃないかな。 他愛もないお話しなんですが、弱者や負け組への温かいまなざしがとても心地よい。ブロンコ・ビリーを始め登場人物の造形が良く考えられていて生き生きしている。サンドラ・ロックのツンデレぶりと後半のイーストウッドへのデレデレぶりの変わりっぷりが、イーストウッドの男としての願望がストレートすぎるほど単純に表現されていてもう笑うしかありません。ジェフリー・ルイスの絡み方などはストーリー・テリングとしては粗さが感じられますが、実に愛すべき一篇です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-03-31 23:08:00)
20.  グローリー 《ネタバレ》 
脱走に失敗して、鞭打ちの刑を受けるデンゼル・ワシントン。鞭を受けながらマシュー・ブロデリックを見つめる眼から一筋の涙が流れる。それを観て「なんと美しい顔なんだろう」と思わず唸ってしまった。まさしく、名優が誕生した瞬間だったのだと思います。この映画の黒人俳優たちはみな表情が素晴らしい。彼らがワグナー要塞攻撃の前夜、焚き火を囲んでゴスペルを歌うシーンは涙なくして観れない名シーンです。そしてマシュー・ブロデリック、弱々しいお坊ちゃんが指揮官に任ぜられて奮闘する姿が健気で、内面の成長はともかくとして最後まで初々しい姿のまま戦死してしまうのがまた涙を誘います。第二次世界大戦では日系人部隊でも同じ様なドラマが繰りかえされていることを決して忘れてはならないと思うし、ぜひハリウッドでこの物語も映像化して欲しいところです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-01-19 23:41:29)
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