1. レスラー
《ネタバレ》 ミッキー・ロークが盛りをとっくに越えた、老いをも感じさせるプロレスラーを好演。 家族を省みないできたせいで、娘との関係は最悪。 心を入れ替えてなんとか修正に努めるが、せっかく娘の凍てついた心が解け始めたかとおもったときに、大事な約束を酒に溺れてすっぽかして元の木阿弥。 とことんダメな父親で、人はそう簡単には変われない現実を突きつけられ、自分自身に失望したよう。 ファンよりも先ずは家族や愛する人だろうに自業自得というしかないが、最後はプロレスファンだけが心の支えで、命を投げ打ってでもそのファンに応えようとする姿が切なすぎる。 [DVD(吹替)] 5点(2020-12-26 01:48:41) |
2. はつ恋(2000)
《ネタバレ》 田中麗奈のインパクトが期待していたよりなかったけど、内容は悪くない。 心情の機微を丁寧に描いた静かな映画なので、地味でインパクトは薄いけどじんわりとくる温かさがある。 ネットでの再鑑賞。 年を経ての今回のほうが、良かった気がする。 この頃の田中麗奈は、演技は特別うまいとは思わないのだけれど他にないような独特の存在感があって、瑞々しくてちょっと刹那的な桜の花のよう。 原田美枝子も安定の演技力と存在感。 若い頃の恋人との別れ。そのことに思いを馳せながらも、後悔しているわけではない。 ありふれたようにも見える今の人生を否定することなく、感謝し満足もしている。 家族を残していく切なさが、重苦しくなることなくじんわり温かさを伴って伝わってくる。 [ビデオ(邦画)] 6点(2020-10-09 17:22:59) |
3. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 遊んでいた三人の少年のうち、デイブ一人だけが児童性愛者に連れ去られて被害に遭う。他の誰かが連れ去られていたら―― 結局、デイブはこのトラウマが原因となる事件を起こし、誤解から旧友に殺されるという悲惨な末路。でも、ジミーに問い詰められたとき、自分はやってないのに嘘の自白をしちゃダメ。冤罪事件でよく言われていることだけど、やってもいないことを認めてしまうものなのか。 最初の性暴行犯の罪の大きさをジワジワと突きつけられる思い。刑事のショーンは真相を知ってもジミーを追い詰めることはしない。とことん浮かばれないのはデイブ。 ジミーの妻はジミーの殺人を肯定し、間違いではなかったと正当化する。女の怖さ、家族さえよければいいとの身勝手さに嫌悪感が走る。 久しぶりに再鑑賞してみると、すごい消化不良感。 ミステリアスな展開と絡み合う人間模様に引き込まれるのだけれど、タネ明かしがしっくりこないし、伏線も回収しきれずに取り散らかった印象。 ショーンと奥さんの意味不明のやり取りは完全に浮いていて邪魔なだけ。 事件の真相も都合の良い偶然が重なりすぎて、拍子抜けでがっかり。 今まで見たイーストウッド監督作品はわかりやすくまとまったものが多かったが、これは無駄が多くて整理しきれず都合が良すぎる印象。 緊張感があって傑作になりうる作品だったのに残念。 [DVD(吹替)] 6点(2020-05-13 09:37:17) |
4. 未知との遭遇/ファイナル・カット版
《ネタバレ》 昔、通常盤を見たけど忘れてしまったので、今回はファイナルカット版を鑑賞。 ストーリーにたいしたドラマもなくエイリアンとの遭遇を描いただけで、これで終わり?という感じ。 SF好きで宇宙人との遭遇にあれこれ想像をめぐらせたいなら面白いかもしれないが、ストーリー重視派なら拍子抜けするのでは。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-05-03 18:23:11) |
5. インビクタス/負けざる者たち
マンデラ大統領とラグビーチームがつながるとは知らなかったし意外だったので、結末は容易に見当がついてしまうものの最後まで興味深く見ることができた。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-05-01 22:41:34) |
6. 半分の月がのぼる空
《ネタバレ》 時系列のギミックは意外性があって巧い演出だと思うのだが、残念ながら池松と大泉が違いすぎて受けつけない。 顔もそうだが大泉の大阪弁も下手で、それらの違いが許容できる範囲を超えてしまっていたために、せっかくのギミックがすんなり落ちてこなかった。 キャスティングが違っていれば、もっと素直に感動できたような気がする。 [DVD(邦画)] 4点(2020-05-01 22:40:24)(良:1票) |
7. ニュースの天才
《ネタバレ》 主人公がめちゃくちゃ嫌な奴で反吐が出る。 息を吐くように嘘をつき捏造を平然とやってのけ、バレそうになってもその追及をまた嘘で逃れようとする姿にイライラ。 しかもまるで自分が被害者のように周りの同情をかう。 おまけに編集長を逆恨みして陰口をいう姿に、早くこいつをぐうの音も出ないほどに叩きのめしてくれとの思いがどんどん募っていく。 結果的には真実が明るみになってカタルシスが得られるのだが、ラストシーンで弁護士に付き添われてただ黙認するだけの姿も非常に見苦しいものがあった。 この実話の主人公が後に弁護士になろうとしたのを知ってまた嫌な気持ちに。 ただ、法律事務所に勤務しているものの弁護士にはなれなかったらしい。 映画でこいつに腹を立てた身としては幸いなことに、司法試験にパスしたけれど弁護士としての資質に欠けるとして審査に通らなかったようだ。 世の中に良識が残っていたことにホッとするが、もし開業できていれば悪党を擁護するのに打ってつけな、さぞかし有能な弁護士になったことだろう。 再鑑賞しても薄れることなくこれだけ嫌悪感を催す主人公も珍しい。 不快ではあるが、この作品に巻き込む力があるということか。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2020-03-24 04:32:27)(良:1票) |
8. 鬼が来た!
《ネタバレ》 二人の捕虜を巡ってどこか牧歌的な雰囲気で、コミカルなシーンも多い。ところが、終盤で思わぬ展開に。和やかな宴会が村人への大殺戮に変わっていくさまは息を飲む。堰を切った濁流のようにどうにも止まらない残虐行為の連鎖。中国映画らしい反日的な描き方は日本人としてはしんどいし引っかかるが、それをも超えた戦争の狂気、集団心理の怖さはあった。 二人の捕虜を連れてきた男の正体は最後まで明かされないなどシュールな面もあって、なにか心にとまる作品。ラストの主人公の首は、憑き物の鬼が落ちたような表情が印象的。そこだけカラーになるので、俯瞰で見ている監督の達観した顔にも見える。狂気と滑稽さが感じられてこの映画にふさわしいラスト。 日本に反感のある中国人が観れば、鬼は憎っくき日本人でしかない。ところが、フラットな気持ちで観れば鬼は誰にでも宿るように見える。視点によって見え方が変わってくるホログラムシールのような作りは、中国当局の検閲を考慮してのものなのだろうか。日本人役者のセリフが聞き取りにくいのと、モノクロでは見にくいのでカラーで見たかった。 しばらく後に再鑑賞。やっぱり面白い。 花屋が通訳から教えられた罵倒が新年の挨拶だったのは傑作で、緊張と緩和が生む笑いの最たるもの。 [DVD(字幕)] 8点(2019-12-27 22:10:07) |
9. ブレイカウェイ
《ネタバレ》 ギャングの下っ端がボスを裏切り金を奪っての逃亡劇。この4人がグダグダで人間味たっぷり。揉めてばかりいるが、奇妙な友情でつながっていて破綻することはない。それは少年時代からの長い付き合いだったからか。 挿入される回想で、一緒に道を外していった過程が想像できる。居場所のなかった少年4人が出会ったシーンは、哀愁があって良かった。そこからの見えない絆が、大人になってからも感じられる。 非行の影には必ず家庭の問題がある。問題があっても立派な社会人になる人間はいっぱいいるからそれが免罪符にはならないけれど。この4人にははね返す強さはなく、ギャングの下っ端にまで堕ちていったのだろう。 血生臭い暴力もあるけれど、ところどころにコミカル&爽快な要素もあって緩和剤になっている。ギャングに殺されそうになった時、思わぬ助っ人のイカれた大活躍が面白かった。トーキッドが無神経でウザい女にパンチを食らわせたのも胸がすく思い。料理の不味いおっさん4人のレストランが流行るとは思えないけど、一度行ってみたい気はする。やっと居場所を得た不器用なおっさん達の姿が微笑ましい。 しばらく後に再鑑賞してみたが、やっぱり良い。 家庭に居場所のなかった孤独な少年4人が出会って、今に至る絆が微笑ましい。 [DVD(邦画)] 7点(2019-12-27 22:07:38)(良:1票) |
10. 私の頭の中の消しゴム
ベタベタの難病ものでストーリーはこれといって際立つようなものはないんだけれど、主演の二人の良さもあって泣けるところまで持っていかれる。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-27 21:59:42) |
11. きみに読む物語
《ネタバレ》 たぶん切なくて感動させたい物語のつもりだろうけど、女に都合の良い物語でしかなくただ鼻白むだけ。 すごく冷めた気持ちでこの二人を見てしまう。 [CS・衛星(吹替)] 3点(2019-12-27 21:58:40) |
12. イーグル・アイ
暇つぶしとしてちょうどいいくらいの巻き込まれ型サスペンスで、最後まで見てしまうけれどあんまり後には残らない印象。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-12-27 21:57:36) |
13. 天使と悪魔
《ネタバレ》 ガリレオの時代から、科学と宗教の深刻な対立はあった。時として科学の発展は、ガリレオの時代にも神の領域を侵すものとされ、神への冒涜と弾圧されることも。教会から弾圧された歴史を持つイミナリティの復讐劇。――と見せかけた陰謀が顕わにされるラストのどんでん返し。 でも、最初からユアン・マクレガーに怪しい臭いがプンプンしていたので、意外性もなくやっぱりかとの印象。 ストーリーにはどうにも都合の良すぎるツッコミどころがチラホラ。殺し屋が犯行現場を見られながらラングドンとヴィクトリアを見逃してやったのはありえない。また、カメルレンゴをすぐに捕らえずに焼身自殺する猶予を不自然に与えてしまったのも、教皇選出の煙の演出のためというあざとさが見えてしまう。 スケール感と雰囲気は重厚で壮大だけれど、中身がそれに付いていっていないのが残念。 キリスト教に疎いためにこうしたキリスト教絡みの映画は深い意味が汲み取れずいつもピンとこない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2019-12-27 21:56:44) |
14. プリズン211
《ネタバレ》 新人看守が囚人の暴動に巻き込まれて、囚人のフリをして危機を逃れようと知恵を絞る。 囚人のボスとの奇妙な友情や、ハリウッド的な大団円で終わらないところがなかなか面白い。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2019-12-23 23:32:39) |
15. パラサイト・バイティング 食人草
《ネタバレ》 特別ハッとするようなものはなくシンプルな話だったけれど、B級ホラーとしては悪くない出来栄え。 役者もなかなか粒ぞろい。この手の作品は襲われる側に魅力がないと興ざめ極まりないことになるが、その点はクリアされている。 特にローラ・ラムジーがエロかわいくて、一瞬だけど全裸シーンもある。 そのラムジーが、侵入した食人草を取り出そうと自分の体を切り裂くさまは狂気を感じる。 魅力的だし演技もいいのに作品に恵まれていないのか、これといった代表作もなく活躍してないようなのがもったいない。 井戸に落ちた男は、運ばれる際に損傷した骨がボキボキ折れるは、敗血症の治療で骨を砕かれ足を切断されるは、呪われたかのように散々の目に。 かなりグロくて痛さが伝わってくる映画。後に何か残るかといえばなさそうだけど、退屈せずに暇つぶしには十分。 [DVD(吹替)] 6点(2019-08-26 00:19:37)(良:1票) |
16. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 「あの時違う選択をしていたらどうなっただろう?」「もう一度あの時をやり直せたら…」 そんな誰にでも覚えのある思いが、この映画への共感にもなっている。 親しい人たちの不幸を回避しようと何度も過去のやり直しをするがうまくいかず、その要領の悪さに呆れてイライラ。 ちょっと考えれば回避できる方法はあるように見えるが、話がテンポ良く進むので入り込んでしまう。タイムトリップのやり方が独特でおもしろく、ストーリーもサスペンス性があってよく練られていた。 ラスト前でタイムトリップが主人公の妄想と診断する医師に、ミスリードされる。結局、父と同じ特殊な能力は主人公に本当に存在した。 なんとか彼女を救おうと選んだことが、彼女と最初から関わらない人生。ラストですれ違う二人が、なかなか切ない。 ケイリー役のキャスティングには魅力の面で物足りなさが残る。 その後、数年ですっかり内容を忘れての再鑑賞。 父と主人公がマスターした過去に戻る方法は、日記だけでなくビデオでも当時に戻れるものだった。 ちょっと都合の良い気もするけれど、やっぱり引き込まれてしまった。 ちょっとした分岐点で人生も大きく変わってしまうことが面白い。 [DVD(吹替)] 7点(2019-08-19 20:14:49)(良:1票) |
17. ホテル・ルワンダ
《ネタバレ》 植民地支配をした白人が、ルワンダ国内で曖昧だった民族の区分けを、鼻の大きさや肌の色などを基準にフツ族とツチ族に分けた。そんな適当な分け方をされた民族が互いに憎しみあって殺しあう理不尽。これを見ると、グループ同士を意図的に争わせるのはいとも簡単にできそう。世界に紛争が絶えないわけだ。 実際にあった大量虐殺は、目もそむけるほどに残忍だっただろう。映画なのでオブラートに包んだ部分もあったが、もう少し生々しい迫真性があっても良かったかも。 ---------------- 再鑑賞。 日本にとって遠い世界での出来事のようだが、そう遠くない時代にこういう惨禍があったことが生々しく感じられる。 霧の中での車の移動中でゴトゴトとなにか踏んだような感覚に、外に出てみると死体の山――その衝撃に打ち震えるポールの姿が印象的。 密告でツチ族への虐殺に加担しようとするグレゴワールの憎らしさとは対比的。 [DVD(吹替)] 7点(2019-08-18 12:11:18) |
18. イキガミ
《ネタバレ》 国家繁栄維持法によりイキガミが届いた者はこの世から消えなければならない。 特殊な設定で感動的なストーリーのはずなのに、なぜだかインパクトがない。 赤紙をもらって特攻で散っていった若者のドラマの中には心揺さぶられて涙を禁じえない作品もあるが、この映画には心を揺さぶられることもなくあまり感情移入ができなかった。 [インターネット(邦画)] 4点(2019-07-03 21:31:01) |
19. ターミナル
《ネタバレ》 トム・ハンクス演じる英語もろくに話せない外国人が、母国のクーデターのせいでターミナルから出られなくなってのドタバタ劇。 吹替えで観たのが悪かったのだろうか、言葉が拙いゆえの言い間違いで笑わせようとするシーンが古臭いコントのように寒々しくて見てられない。 観ている途中で、たぶん実話を基にしてるんだろうなと感じたが、後で調べてみると案の定。 空港に長年住み着いた男がヒントになったらしいが、住み着いたいきさつ等はまったくのフィクションのようだ。 こういう設定ならいっそのことコメディに徹したらまた違ったかもしれないが、ラブストーリーを入れたり感動ヒューマン色を盛り込んだり、どっちつかずの中途半端なものになった気がする。 ビクターがアメリカに来た目的も父とのエピソードが不足していて感動できないし、アメリアとのロマンスにしても成り行きが不自然で一向に乗れない。 ストーリーに無理があるし演出も臭いし スピルバーグ監督にしてはガッカリのつまらなさ。 良かったのは、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの美貌くらいか。 [CS・衛星(吹替)] 2点(2019-07-03 09:27:11)(良:1票) |
20. バンテージ・ポイント
ドラマ的なものが薄くて、カーアクションに頼りすぎている感じ。 [CS・衛星(吹替)] 3点(2019-06-30 23:46:37) |