映画『バベル』の口コミ・レビュー

バベル

[バベル]
Babel
2006年メキシコ上映時間:143分
平均点:5.41 / 10(Review 191人) (点数分布表示)
公開開始日(2007-04-28)
ドラマ
新規登録(2006-09-27)【TRUST NO ONE】さん
タイトル情報更新(2019-07-13)【イニシャルK】さん
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監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
キャストブラッド・ピット(男優)リチャード
ケイト・ブランシェット(女優)スーザン
ガエル・ガルシア・ベルナル(男優)サンチャゴ
役所広司(男優)ヤスジロー
菊地凛子(女優)チエコ
アドリアナ・バラザ(女優)アメリア
エル・ファニング(女優)デビー
クリフトン・コリンズ・Jr(男優)国境警備員
マイケル・ペーニャ(男優)ジョン(国境パトロール員)
二階堂智(男優)ケンジ
小木茂光(男優)歯科医
ネイサン・ギャンブル(男優)マイク
松本保典リチャード(日本語吹き替え版)
塩田朋子スーザン(日本語吹き替え版)
小森創介サンチャゴ(日本語吹き替え版)
磯辺万沙子アメリア(日本語吹き替え版)
川田妙子デビー(日本語吹き替え版)
木村良平(日本語吹き替え版)
原作ギジェルモ・アリアガ(原案)
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(原案)
脚本ギジェルモ・アリアガ
音楽グスターボ・サンタオラヤ
撮影ロドリゴ・プリエト
マサノブ・タカヤナギ(高柳雅暢)(カメラ・オペレーター:東京ロケ)
製作アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
スティーヴ・ゴリン
ジョン・キリク
配給ギャガ・コミュニケーションズ
特殊メイクグレッグ・キャノン(ノンクレジット)
美術ブリジット・ブロシュ(プロダクション・デザイン)
衣装マイケル・ウィルキンソン
編集スティーヴン・ミリオン
ダグラス・クライズ
字幕翻訳松浦美奈
その他ブラッド・グレイ(サンクス)
ショーン・ペン(スペシャル・サンクス)
ナオミ・ワッツ(スペシャル・サンクス)
ギレルモ・デル・トロ(スペシャル・サンクス)
アルフォンソ・キュアロン(スペシャル・サンクス)
奈良橋陽子(キャスティング)
あらすじ
モロッコの砂漠地帯。山羊飼いの少年が試し打ちで発射したライフル銃の弾が観光バスの中のアメリカ人女性を直撃し、事件は国際社会に思わぬ波紋を投げかける。「モロッコに反米テロ組織があるのでは?」「使用されたライフル銃の出所は?」等々が取りざたされ、肝心の被害者とその夫は砂漠地帯からの救出の遅延にいらつく。事件に遠くつらなる東京の父子家庭、そして狙撃された女性とその夫の留守を守るメキシコ人ベビーシッターなどがそれぞれに抱えるドラマが展開され、国際問題とはかけ離れた人間模様が明らかになっていく。
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💬口コミ一覧

191.ネタバレ 4つの物語の共通事項は、主要人物たちが、突然思いもかけぬ絶望の淵に立たされること。バベルの塔は、建設中にいきなり人々の言語が分かれて意思疎通ができなくなり、工事が中断された忌まわしきオブジェだ。元々人々は同じ言葉を話す同一文化人だったが、突然予期せぬ災難に遭い、世界各国へと放浪を余儀なくされる。聖書のこのエピソードを考えたとき、この作品のタイトルの巧みさに舌を巻いた。幸せを求めて挫折し、孤独な魂を抱えて放浪せざるを得ないという人間の性は、正しくバベルそのものだ。また、4つの国をまたいでグローバルな視点をうながすことも、安易にインターネットを用いていないのが気に入った。国と国とが連携するとき否応なく時間がかかること、インフラの整っていない地での絶望的な医療や、見はるかす大自然の脅威などで、地球という惑星の大きさをずっしりと重く感じることができた。
tonyさん [DVD(字幕)] 10点(2011-02-18 23:35:21)
👍 1
190.ネタバレ テーマは、人間の愚かさ、なのでしょう。そしてその愚かさを、悲しく抱きしめつつ、人は家族の絆を確かめることになる。役所は娘の手を握り、ベビーシッターは息子と抱き合う。・・・・・[モロッコ]//バスに向けて打ったりしなければ・・・///兄弟は言い争い、関係のない姉のことも暴露してしまう///弟は警官に向けて発砲などしなければ兄が死ぬことなどなかった。[ブラピ夫婦]母は、ずっと子どもの世話を殆どベビーシッター任せ、そうして夫婦は仲違いしている・・・観光客とは無意味なつかみ合い、その結果、バスは発車。[ベビーシッターと親戚の男]息子の披露宴で、昔の恋人と、、、//あわてて帰ろうとして、酒気帯びで国境越え//検問所を強行に突破//ライトを消してじっとしていれば良いものを、ライトをつけて逃走をはかり、あげくは砂漠の中に女子どもを置き去り//置き去りにされてじっとしていればよいものを、歩きまくって体力を消耗、あげくは子どもを置き去り・・・・最後は不法入国で強制送還されて米国での全てを失う・・・・・[役所]そして発端のライフルは、役所が善意で送ったものではなく、妻の自殺の道具を自分で処分できずに放棄したものであった。・・・・・全ての人が善意なのだけど、あまりに愚か。そしてバベルの塔の崩壊の後、人の言葉は多様になっても、その愚かさは地球をまわって連鎖している。[菊地]彼女は現代文明でのdiscommunicationの象徴なのでしょう。動物化が進むポストモダンでは、人は理性的な言葉で意思の疎通を果たせず、体でコミュニケーションするしかないわけです。・・・・・・・というようなことが美しい映像と、巧みな展開、映像とマッチした音楽によって紡がれていました。最後に家族の絆を持ってきて、息子たちへの言葉を記すところが、チョー気にくわないところですが、素晴らしい映画でした。
王の七つの森さん [DVD(字幕)] 10点(2007-12-12 09:50:43)
👍 4
189.魂揺さぶられる映画でした。一発の銃弾から紡ぎ出される世界各地の物語を時間と場所を巧みに組み合わせ構成した脚本は見事と言うほかありません。
この物語は特殊なようでいて、実はこの世界の営みを象徴しているように感じました。
この世は不条理と人は嘆くけれども、それは愚かで浅はかな人間同士の出会いやすれ違い、偶然の連鎖が絡み合って絡み合ったその集大成、その混沌は自らが生み出したものなのだということを。
それでも世界はまわり、人々はその中で生きていく。そんなわずかな希望の光をのこして物語は終わります。
それを見つめる監督の目線は冷めているようで暖かい。この点は「21グラム」と同じ空気を感じました。
本作では菊池凛子のアカデミーノミネートが話題になりましたが、彼女だけでなく、どのキャストも素晴らしい存在感でした。
彼らが俳優であり、キャメラの前で演技しているのだと言うことをしばし忘れました。
誰もがスクリーンの向こうの世界で生々しく生きていました。
特にメキシコ人家政婦、アメリア役のアドリアナ・バラッザは素晴らしい。
ロイ・ニアリーさん [映画館(字幕)] 10点(2007-07-04 08:56:38)
👍 2
188.アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督が、アメリカという国に目を凝らし、必死にとらえようとする力強さに溢れています。アメリカという国が持つ混沌は、そのまま世界の混沌にも相通ずるという主張が前提にあるように感じられます。それはアメリカいや白人社会から、監督ご自身や彼の属するヒスパニック社会に対して、長年投げつけられてきた視線や鬱積から生まれ、マイノリティだから達しえた視点が昇華し、今作品に結晶した。本作品には、悟りを開いた僧侶のような静かさ、痛烈な批判でもなく礼賛でもなく、今この瞬間を受け入れようとする監督の心を感じます。鮮烈な映像とカットの連続は、この瞬間も流れてゆく「現代」を切り取りたい捉えたいという監督の心の表れでしょうか。監督の作品は総じて“今この瞬間”という時代性・現実性に非常に重きを置かれています。古代のバベルがバビロニアつまり現イラクに位置するなら、現代のバベルは、そう…世界貿易センターということになります。数千年の歴史を経ても未だ相互不信と争いがあり、武器があり「銃社会」がある。一触即発のストレスの中を現代の我々は、生きているということなのでしょう。そんな中に一発の銃弾が入り込むだけで、人類が営々と築き上げてきた文明は、又は人々の暮らしや人生は、こんなにも脆くも崩れてしまうものなのでしょうか。全てが暗転してしまうかに見えたラストシーン、監督はささやかな光明を描いています。全世界の誰に対しても不幸は突然やって来る、そして人と人とが理解し合える瞬間は、宗教や民族や言語、貧富の差なんて関係のない、それこそ“素っ裸”になったか弱い人間でも生みだせるのですね。ああ、これで少しだけど救われる。この作品には、普遍的テーマを持たせつつも、コンテンポラリーと刺激にあふれているのです。
BUNYAさん [映画館(字幕)] 10点(2007-05-03 13:47:06)
187.ネタバレ 神の怒りによって破壊されたバベルの塔崩壊後、バラバラの言語を使うことを余儀なくされている人類の織りなす無数の物語の内の3話。
谷川俊太郎の「朝のリレー」を思い出した。
”カムチャッカの若者が、きりんの夢を見ているとき、メキシコの娘は、朝もやの中でバスを待っている、ニューヨークの少女がほほえみながら寝がえりをうつときローマの少年は柱頭を染める朝陽にウインクするこの地球では、いつもどこかで朝がはじまっている。

ぼくらは朝をリレーするのだ”

海外に住むと日本への偏見がひどくやな思いを多数する、「鮨は臭い。」「東京は排気ガスで太陽が見えない。」「東京でのランチは3000円する。」あるヨーロッパ人はイスラム圏の考え方は嫌いと言った、アメリカでのヒスパニック系の人々への偏見も知っている、すべてはバベルから始まった問題なのかは知らないが、これは、この言語をバラバラにされた後の世界の小さな3つの物語。高層ビルからみた時に見える無数の明りが見える、あの明りの数だけ、それぞれのドラマはあるはずなのだ。それをもっと上から見ればこの地球上に存在する明りの数だけドラマはある。そんな他人の窓の明かりの中のドラマを垣間見れるこの映画は良作だと思います。
N列23番さん [DVD(字幕)] 9点(2010-01-14 00:01:54)
186.一度みてすぐにもう一度観ました。二回とも泣きました。この映画の云いたいことをまとめようと、途中まで考えてたんだけど、やめました。私はこの映画から確かに何かを受け取ったし、だからあとは、黙ってそれを抱きしめればいいのだ。そう思いました。最後に流れる教授の音楽は、やっぱり素晴らしい。ここまで魂の奥深く浸透する音楽作る人は、そうそういないと思います。
airさん [DVD(字幕)] 9点(2009-08-03 13:27:09)
👍 1
185.ネタバレ 1丁の銃が人々の不幸を招いたという見方もできるし、1丁の銃が人々の切れた絆を元に戻す役目を果たしたという見方もできる。皮肉なことに残酷な「銃」が、バベルな人々を再生させるきっかけになっています。「聾唖」は、コミニケーション不全の社会のメタファーだと考えるのが適当だと思いますので、聾唖者(又は日本人)が悪く描かれているという見方をすると、この作品の本質を見失う可能性もあります。つまりこの少女はバベルの塔をつくり、神からコミニケーションを奪われた罪深い人間の象徴として描かれているのです。この映画の本当の主人公でしょう。彼女はコミニケーションに飢えており、奇怪な行動を繰り返すようになる。しかし喋ることができる私たちでしたら、コミニケーションは正常に機能しているのでしょうか?神話の時代に言葉を「分断」されてしまった私たち人間は、今では言葉が通じ合う人たちに対しても、コミニケーション不全に陥ってしまいました。お互いを理解できないモロッコの兄弟や、アメリカの夫婦、日本の父娘をみて、まずそのことに気がつかされます。すべての登場人物たちが、同じ言葉を持つ人たちと意思疎通ができていません。彼らは「銃」をきっかけに、自分の罪を自覚し、一番大切なことに気がつきはじめる。たとえばアメリカの夫婦。妻にもっと努力しろと言っていた夫は、妻が凶弾に倒れ瀕死の状態になったときに、はじめて自分と向き合い、妻に懺悔する。罪の自覚がなかったモロッコの弟は、兄が銃殺されたことによって、死の恐怖を超越するほど強烈な罪の意識が芽生え、銃を持った警察の前に進み出て激しく懺悔する。また、善人であるはずのメキシコの家政婦は、子供に「あなたは悪い人じゃないの?」と言われて「私は悪い人間ではない。ただ愚かなだけなの」と弱々しく言い放つ。誰もが罪を背負って生きているという強烈なメッセージ。彼らは「銃」によって傷つき、そして自分たちの弱さを自覚する。こんな世の中で一番大切なことはまず自分の愚かさに気がつくことなんです。自分の罪を自覚したときにはじめて同じ罪を持った他人を理解できるようになる。バベルの塔を連想させる超高層ビルで抱き合う父娘のラストシーンについて。神から言葉を分断されても、また言葉すら失っても、人間はさまざまな手段でお互いを理解しようと試みる─。コミニケーションの重要性を訴えかけた素晴らしい作品でした。
花守湖さん [DVD(字幕)] 9点(2008-02-12 20:21:43)
👍 3
184.言葉が通じない。言葉が話せない。神によって言葉をたがえられた人間と神のいたずらによって言葉を失った人間。
言葉を話さないが人を殺す為に作られたアメリカ製の銃によって4つの物語が進行して繋がって行く。
私は、アメリカの銃社会をこれほど強烈に皮肉った作品を他に知らない。
ありあさん [映画館(字幕)] 9点(2007-07-24 17:52:57)
183.疲労感と共に“ものすごい映画を見てしまった”と鑑賞後は思いました。ただスクリーンの前に数時間いただけですが、映画を見るという作業だけなのに、ものすごく疲れました。ハラハラするし、痛いし、微笑ましかったりもするし、陽気にもなるし、でも最後の方はやっぱり終始心がチクチク痛くて痛くて、見終わった後も数日間ずっと余韻が残っていて。でもそれがなんだかだんだん心地よくなってきて、私は人間臭いこの映画大好きです。文化がまったく違う3つの場面で繰り広げられるドラマは本当に良く描かれているなと思いました。登場人物の奥に隠されたものをこの短時間で描くというのはすごいテクですよ。他の作品も見ましたが、この監督は天才なんじゃないですかね。音楽も編集も全部良かった。ひとりで見て良かった。はー、疲れた。
未歩さん [DVD(字幕)] 9点(2007-07-04 08:14:48)
👍 2
182.「バベル」というタイトルの意味を、知って観るのと知らずに観るのでは、読み取れる内容が変わってしまうかもしれない。イニャリトゥ監督は、この悪意なき悲劇の連鎖の中で、あらゆる問題を、まるで針で布を縫い取るが如くすくいあげ提示する。我々が見過ごしていることの、なんと多いことか。言語が異なるがゆえのもどかしさと、言葉によらない心の交流。我々はそろそろ、この世界の格差や悲劇が、人為的なものである事を知らねばならない。
豆治さん [映画館(字幕)] 9点(2007-05-13 00:53:09)
👍 1
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181.ネタバレ 我々は皆、大きな大きな物語の一部なのだ。・・・そう言われているような気がした。「グローバル化」によって、思いもかけない形で、人、モノ、場所、出来事、が繋がるようになった。地球を覆いつくすような、巨大な、目に見えないネットワークが、今日も私たち飲み込んでいる。でも、私たちはそれを知らない。「バベルの塔」を作って、神の怒りに触れてしまった私たちは、コトバをバラバラにされたから。バラバラにされて、コミュニケーションが出来なくなってしまったから。・・・それでも、私たちは繋がっていく。大きな大きな物語の一部でいつづける。たとえそれが、絶望と悲しみと不幸の連鎖を招くのだとしても、どこかに希望へのリンクがあることを願って。全編を通じて重苦しい閉塞感におそわれるが、ラストシーン、父と娘の手と手の繋がりに、かすかな幸せへのリンクを期待せずにはいられない。
中山家さん [映画館(字幕)] 9点(2007-04-07 09:34:55)
👍 1
180.ネタバレ 映画を、みおわったあと、良く、わからないと、ここにレビューを、見に来ます。
映画の中で、バベルの塔?ってのは、日本に住む、菊池親子、のことなのかな?。
りんこ、サンの手話、すばらしかった。アレを、完璧に覚えて、映画に望んだんでしょう、アラビアのシーン、ブラピ、奥さん役の人、この映画は、お金、出演料に、かかっているんでしょうか。ああいう事故で、アメリカ人だから、最後には、ヘリコプターを、飛ばせてもらったけど、日本人だったら、個人で対応か、まず、たすかっては、
帰ってこないだろうと思ったり。日本の大使館が、迅速に行動するとは、思えないし。
猟銃は、日本から、持ち出せるのか?、とか思ってしまいました。菊池親子が住んでる設定のマンション?、あの景色だと、つきに120万円、200万円の物件か、とかおもうと、すごい設定だな、とおもう。菊池さんの聾唖の高校生が、怒ってるシーン、とっても、よく出ていた。誰でも、良かったのかも、、、ただ、あの刑事が、彼女の知る、まともな人に、見えたから、彼女の心が、壊れていて、さみしくって、おかしなことを、
してみようって、動機が良く出ていた。しゃべれないだけで、同じ年頃?の、若い男の子は、冷たくしていたし、、、その辺の心情は、とても、よくでていて、菊池りんこさんの名演技、が光りました。あと、メキシコから、逃げる、アメリカ、国内に戻る、家政婦、とっても、かわいそうだった。なんか、不思議な映画だけど、それなりに、シーン毎は、とてもよく取れていて、感心させられました。今頃のSFX多様の作り物映画と違って、とても、楽しめました。裸で、抱き合うのは、お母さんの死に目を、多分、彼女は見たのかもしれない、、、何時までも、心が、、、。携帯でビデオ電話にして、手話で友達と話すシーン、ありなんだ、とか思いました。
yasutoさん [ビデオ(字幕)] 9点(2007-04-07 01:07:59)
👍 1
179.ネタバレ カタルシスゼロ、要所要所の冗長なシーンの連続で、「多分平均点5点台だろうなー」と思ってたら実際そうだった。ただ自分的にはすげー面白かった。時系列の前後や、沢山出てくる登場人物を感じさせない自然かつ緻密な作りと、音楽の差し方が素晴らしかった。菊地凛子さんは聾の演技上手すぎてちょっと引きました。アウトレイジの全員悪人ならぬ、全員ちょっとダメな人という感じの映画だが、ガイド役のネパール人が金を受け取らなかったり、ケイトブランシェットが生還したり、最後の方に救いがあって良かった。
なすさん [インターネット(字幕)] 8点(2019-03-03 12:10:24)
178.登場人物の取る行動に理解ができないことが多かった。「何故?」の連続。でも、人間ってそういう生き物なんです。目の前にいる人間だって、頭の中では何を考えているかなんて分からない。そして、軽い気持ちで取った行動が自分はもちろん周りの人間の人生まで大きく変えてしまう。長い歴史の中で人間は分断されていった。同じ種族の中で。それぞれが集団を作り、独自の言語を生み出し、互いに境界線を引いていく。他人に対する不信感が生み出す悲劇。ちょっとした行動で深まる溝。そんな中でも人と人は繋がっていく。繋がろうとする。良い映画だと思いますよ僕は。
Y-300さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-04-12 12:29:39)
177.ネタバレ 冒頭ブラピの奥さん役のケイト・ブランシェットが結構いやな女ぽくってちょっとやだなと思ってたら、日本パートでは菊地凛子がさらにいやなネーチャンでちょっと感情移入が難しい感じになってしまった この二人の描き方がもう少し感じがよければこの映画がもっと面白かったと思った しかし菊地凛子はなかなかの熱演で私の好き嫌いの問題であることははっきりわかっている 菊地凛子扮する千恵子は完全に病気で普通はあんな高校生は存在しないと断言できる その辺もちょっとやりすぎだと思ったリアリティを損なう 日本パートでは、こじゃれたカフェで定食みたいな物を食べてるのも変だった 物語は「風が吹けば桶屋が儲かる」的な無常観たっぷりの傑作だと思う しかし「バベル」と言うタイトルはピンとこなかったな、テーマの言葉の壁とかも感じなかった 有るのは無常観 3つの場所で起こった出来事をある程度時系列を無視して描く手法は見事だ モロッコのパートではあいかわらずわがままなアメリカ人が集まってイライラさせる 原因となるモロッコのくそガキ達もバカな行動ばかりしてイライラに拍車をかけた メキシコパートも同じく考えなく自己中心的な登場人物だからこそのトラブルで「クロッシング」を彷佛とさせて無常観をあおる 役所広司が元凶のライフル銃をガイドにやる過程は描かれないし、菊地凛子が刑事に渡したメモの内容もわからないが、刑事がメモを読んだ時のやるせない表情は心に残った 日本映画ならどちらも印象的に描いただろうな 日本映画は何でも説明しすぎるから 物語のキーになる刑事のメモの内容を刑事の表情だけで推測させる手法は非常に大胆だ しかしブラピの電話だけはアメリカ側と時間をおいてモロッコ側からも全く同じ会話だが違う視点で2度描かれる、しかし実は二度目のモロッコからの電話は奥さん危篤の窮地に追い込まれていた ここはうまいと思った
にょろぞうさん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-01-27 21:24:02)
176.ネタバレ 四つの話が、密接に繋がってないところがミソで、そうなるとどこか作って「お話」的になってしまう。ほんの少し掠る程度で、繋がっていることで、四つの話を一つの話に入れる契機としているだけ。この監督は、「不可避的、運命的出来事に押しつぶされる人間とそこからの再生の可能性」を歌っている。テーマを一般化するために、四つの話を並べているだけである。「バベル」というタイトルを付けたのも、言語は違うけど、人間同じなんだ、という人間の性を一般化したい監督の意図が伺える。最後のうまさは、見ている人は、「女の子」死ぬんだと思わせて(彼女は死に場所死に方を探していたのでしょう。その前に、アレを、ってことですね、最後に分かります)、実は、「救いの手」を差し伸べた点、ある意味、どんでん返し。監督の人間性を信じる姿を感じる。メキシコのおばさんが救われないのもワザとらしくなくていい。むしろ、ラストのどんでん返しの布石になっている。刑事さんの手紙は、きっと「私、死ぬのを辞めます」だったはずだ。
K-Youngさん [DVD(字幕)] 8点(2011-01-02 19:58:59)
👍 1
175.いやはや、これは並の作品じゃあない。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥという監督のセンスの良さ、映画創りの才能を五感全体で感じとることのできる素晴らしい作品だ。
音楽は、特筆に値すべき素晴らしさ。

メキシコと日本の話とが平行して描かれ、時間軸も交錯しているため、脚本で見せる映画かと思いきや、この作品はそんな浅薄な映画ではなかった。

みずみずしい映像と、それに見事にマッチした音楽。
音楽が叙情性を更に高めていく。
この音楽の使い方一つをとっても、この監督の演出力の高さを感じることができる。

しかしながら、日本を描いた部分は、物語にそれほどリンクしていないし、特別見所があるわけではないので、はっきり言って不要。
ただ、「バベルの塔」というテーマを掲げるためには必要だったのかもしれない。
テーマもなく、センスの良い映像と音楽だけで魅せる映画は個人的には好きだが、それだと興行的に製作困難なのだろう。
そう考えると、この監督の才能は、まだまだその底を見せていない気がする。
芸術性重視で、とことん映像と音楽と役者の演技と雰囲気の演出を突き詰めていくことが可能なら、この監督はとんでもない傑作を創り出すことができる、そんな可能性を感じるのだ。

本作は、娯楽作品しか楽しめない人や、脚本の出来にしか興味を持てない方には合わない作品であるに違いない。
それだけに、観る側を選び、又、観る側のセンスが試される作品なのではなかろうか。
にじばぶさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-10-13 20:06:02)
174.ネタバレ 全ての悲しみはあのライフルから始まったと言うが、実際そんなことは重要なことではない。事件の大小はあるものの、ここで出てくる悲しみとは映画の中のものだけでは無く、その国では日常茶飯事なことである。ではこの映画の魅力は何か?それは人種間の環境の違いや生き方の違いを描いている所だと自分は思った。耳と口が使えずのけ者にされ愛に飢えている少女。子供の死で夫婦の絆が薄れ始め旅に出たアメリカ人夫婦。不法労働者としてアメリカで働いている女。みんな初めから悩みを抱えていた人達であり、そしてライフルが齎したのは決して不幸だけでは無い。アメリカ人の夫婦は仲を取り戻し現地の人々の優しさを感じ、日本の少女は結果として父親と和解している。結局は国や文化や暮らし、不自由な体であっても、同じ人間であり同じ愛を持って生きている生物に変わりないと言うことが言いたいわけだ。もちろん違法労働者の女や銃撃事件を起こした少年は不幸になったわけだが、どこかの国で死者が出てもどこかの国では産声が聞こえるわけで、それも人間と言う生物の宿命だと言うこと。この映画は複雑な構成ながら、各地の人種の日常を淡々と描いたに過ぎない単純な映画であり、それでいて人間と言う現実を見直す機会を与えた作品だと自分は感じた。愚かなことを積み重ねていく人類だが、未来を明かるく照らすことも不可能ではないと、この映画に励まされた気もした。
taka-104さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-02-25 23:59:10)
173.ネタバレ 繋がっているようで実はあまり繋がっていないという指摘もあるかもしれませんが、3つの舞台それぞれ、監督さんの言いたいことは首尾一貫していて、よく作り込まれた映画だと思います。どれも悲劇ではありましたが、とことん悲惨というわけではなく、最後はある程度救われた形にしたのは、監督さんの優しさでしょうか。観る側にとっても、嫌な後味だけが残る映画になっていなくて、その点でも良かったと思います。
(^o^)y-~~~さん [DVD(字幕)] 8点(2008-02-12 20:08:30)
172.この監督のファンであるということを再確認。いつでも人間が痛々しく生々しい。不幸も死も身近にあるんだと教わる。人間、身勝手に生きちゃいけないよな。
マリモ125ccさん [DVD(字幕)] 8点(2008-02-08 16:50:39)
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マーク説明
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《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 191人
平均点数 5.41点
021.05%
121.05%
2115.76%
32211.52%
42110.99%
54020.94%
63819.90%
72412.57%
8199.95%
984.19%
1042.09%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.33点 Review21人
2 ストーリー評価 5.09点 Review31人
3 鑑賞後の後味 4.90点 Review31人
4 音楽評価 6.00点 Review31人
5 感泣評価 4.59点 Review27人

【アカデミー賞 情報】

2006年 79回
作品賞 候補(ノミネート) 
助演女優賞菊地凛子候補(ノミネート) 
助演女優賞アドリアナ・バラザ候補(ノミネート) 
監督賞アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ候補(ノミネート) 
脚本賞ギジェルモ・アリアガ候補(ノミネート) 
作曲賞(ドラマ)グスターボ・サンタオラヤ受賞 
編集賞スティーヴン・ミリオン候補(ノミネート) 
編集賞ダグラス・クライズ候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2006年 64回
作品賞(ドラマ部門) 受賞 
助演女優賞菊地凛子候補(ノミネート) 
助演女優賞アドリアナ・バラザ候補(ノミネート) 
助演男優賞ブラッド・ピット候補(ノミネート) 
監督賞アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ候補(ノミネート) 
脚本賞ギジェルモ・アリアガ候補(ノミネート) 
作曲賞グスターボ・サンタオラヤ候補(ノミネート) 

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