映画『プリデスティネーション』の口コミ・レビュー

プリデスティネーション

[プリデスティネーション]
Predestination
2014年上映時間:97分
平均点:7.17 / 10(Review 48人) (点数分布表示)
公開開始日(2015-02-28)
サスペンスSF犯罪ものミステリー小説の映画化
新規登録(2015-03-15)【ポトフ】さん
タイトル情報更新(2015-10-22)【DAIMETAL】さん
Amazonにて検索Googleにて検索Yahooにて検索
Twitterにて検索
ブログに映画情報を貼り付け
監督マイケル・スピエリッグ
ピーター・スピエリッグ
キャストイーサン・ホーク(男優)バーテンダー
サラ・スヌーク(女優)ジョン
ノア・テイラー(男優)ロバートソン
クリストファー・カービイ(男優)マイルズ
井上倫宏バーテンダー(日本語吹き替え版)
斎賀みつきジョン(日本語吹き替え版)
佐々木睦ロバートソン(日本語吹き替え版)
原作ロバート・A・ハインライン「輪廻の蛇」(早川書房刊)
脚本マイケル・スピエリッグ
ピーター・スピエリッグ
音楽ピーター・スピエリッグ
製作マイケル・スピエリッグ
配給プレシディオ
特殊メイクスティーヴン・ボイル
あらすじ
爆弾魔「フィズル・ボマー」がNYを震撼させた1970年代。NYのとあるバーにやって来たジョン(セーラ・スヌーク)は、1本のボトルを賭けて自らの数奇な半生をバーテンダー(イーサン・ホーク)に語り始める。
スポンサーリンク

💬口コミ一覧

48.ネタバレ 「お袋でも分からないな」

冒頭、顔面の大怪我により形成手術を受けた“男”が、鏡に映った自分自身を見ながら自嘲気味につぶやく。
あまりにもさりげなく発せられるこの台詞が孕む意味と闇の深さを知ったとき、全身が粟立った。

“タイムトラベル”とそれに伴う“タイムパラドックス”描いた映画としてすべての整合性が取れている作品だとは言わない。
綻びは当然あるし、独善的で強引なストーリーテリングだと言えばその通りだろう。
極めて“いびつ”な映画である。だが、その歪さこそがこのSF映画が持つ真価であり、揺るがない独自性だと思う。

普通の人間が無意識レベルで携えている倫理観や禁忌すらも大胆に超越して描きつけられる“SF”。
まるで見てはいけないものを見てしまったような驚きと当惑が堪らない。

「自分の尾を永遠に追い続ける蛇」というフレーズがまさに象徴的なストーリー展開は、明らかな「矛盾」を生む。
しかし、その「矛盾」そのものが堂々巡りとなり、物語の帰着を許さない。
一つの疑問に対する答えがまた別の疑問を生み、繰り返され、最初の疑問に戻ってくる。まさに時空の螺旋。観客も登場人物同様に時空の狭間に閉じ込められる。
と、これ以上の言及は未鑑賞者の興を冷めさせてしまうので控えなければならない。


初見の当惑のまま、すぐに観返したくなり、再鑑賞に至った。

「お前や私のような細身の顔」

「恋に溺れた経験は?」「一度だけ」「なら分かるだろ」

「不思議だよな この顔を見ると人生を壊した男を思い出す」

「娘もその父親も過去の亡霊だ」

「俺を爆弾魔かと?」「かもな」「お前かも」

冒頭の台詞を皮切りに、劇中で繰り広げられるあらゆる台詞にこの物語の真意が込められていた。


惜しむらくは、ただ一点。
主演のイーサン・ホークの初登場は、“バーテンダー”として現れるべきだったと思う。
“掴み”として、最初のシーンが必要だったことは理解できるが、あの時点で彼の「顔」までを晒す必要はなかった。

「俺たちには この職しかない」

というメインタイトル前の台詞を“リピート”させてラストシーンを締めたなら、この作品の特異な構造は更なるエモーションと共に際立ったのではないかと思う。

まあしかし、そんなことは些末なことだろう。
そういう鑑賞者個々人の考察も含めて、様々な感情が思い巡らされることが今作の最大の魅力だと思う。
サラ・スヌークという驚異的な才能、監督スピエリッグ兄弟の確かな映画的センス、綻びを補って余りあるストーリーテリングの力、このSF映画が掘り出したモノの価値は、極めて大きい。
鉄腕麗人さん [インターネット(字幕)] 10点(2017-04-03 16:13:07)
👍 1
47.ネタバレ あっとゆーまに映画が終わった。えーこれで終わりー?って感じで。それくらい映画にのめり込でんたとゆーことか。で、観終わった後に考えた。ちょっとまって、あれがこーなって、これが、いやいやいやいやいやいやいや、起点は?起点がない。どっから来たんだ。お前はどっからきたんだ。答えなんかでないのはわかってるんだけど、怖い。考えれば考えるほど怖い。もし爆弾魔を殺さずに一緒に過ごせば、どーなるんやろう?えーっと、わからん。存在が消えちゃうのか?てか、結局は爆弾魔にならざるをおえないのか。すると年老いた爆弾魔と行動するのか。それでも結局、同じことが起こっちゃうのか?殺した時点で、自分は消えてないってことは、やっぱ殺さないほうが歴史が変わるってことになるのかなー。最後、自分がいっぱいいる未来になったりすることもありえるのか。とにかく、観終っても色々、答えでないことを考えれるので、余韻は長いです。お前?爆弾魔じゃないのか?と言い合う酒場のシーン、うまいなー。
なにわ君さん [DVD(字幕)] 10点(2016-01-12 05:01:54)
46.ネタバレ タイムパラドクスものは好物であるにも関わらず未見でした。遅れ馳せながら鑑賞。

タイムパラドクスには大雑把に分けて二つのパターンがあると常々素人考えしている私。二つというのは、ひとつは過去を変えると未来が変わるパターン、もうひとつは過去を変えても新たに時間軸が分岐して並行世界が加わるというパターン。

しかしながら本作は、その二つのパターンのハイブリット的構造になっていて、二次元的に表現すれば劇中にも登場するように自らの尻尾に食いつく蛇のようなループ構造なのですね。それによって主要な登場人物が皆同一人物であることによる矛盾を解消しようという試み。いや逆かも。主要な登場人物が皆同一人物であることによって矛盾を解消しているのかも。原作がしっかりしているだけに流石の展開ですね。

ただ、そうは言ってもひとつの矛盾を解消しようとすれば新たな矛盾が生じてしまうもの。大きな疑問のひとつとして、輪廻することによって切り離された過去と新たな時間軸の接合点についてが今ひとつ理解出来ませんでした。そしてもうひとつ、同一の世界に住む他の存在と時間が共有されていること。勿論、個々人が時間を占有することは(多分)無いと思われ、時間を共有している他者が如何に「爪痕」を最小限に抑えようとも並行世界は同時多発的に増殖しかねないような?何より「爪痕」を抑えるのは何のためなのか?考えれば考える程、素人考えはループし続けてしまいます。

こんな風に悩み考えて何度も鑑賞出来る作品はそうそう多くはありません。納得は出来ずとも傑作であることには変わりなし。9点献上します。
タコ太(ぺいぺい)さん [インターネット(字幕)] 9点(2023-12-11 10:35:50)
👍 1
45.ネタバレ もしかして、と想像しながら鑑賞しその通りの展開となっても、
それでも心が締め付けられる。

自分を愛し、自分を生み、自分を殺す。

終着点は分かっている。

しかし、自分を愛するのだ。
自分が自分を分かるだけに。

タイムパラドクスというのは、繊細だ。
ゆえに一つ一つの行動の意味が大きく、
その描き方がこの映画はとても素晴らしいと思った。
元祖さん [インターネット(字幕)] 9点(2019-01-04 23:36:46)
44.ネタバレ 2017/5/20再鑑賞
冒頭のバーカウンターで会話する二人の間に必ずと言って良いほど、”LADIES”の文字が。
上手い!!
--------------------------------------------
鑑賞する前は半ば馬鹿にするつもりだった。
無駄に出演者が豪華なB級SF作品にありがちな感想、
"ちゃんと仕事選べや、イーサン・ホーク…" 程度の印象しか持たないのだろうなと考えていたが、
良い意味で見事に裏切られた。
タイムパラドックス物で良くある、拡げた風呂敷を後半無理やり収束させる展開では有るものの、
映画で無ければ表現出来ないエンタテイメント性を上手く活かした傑作だと思う。
前半で魅せるイーサン・ホークの胡散臭さは流石芸達者。
そして、数奇な運命(私だったら精神崩壊必至)を辿る主人公を巧みに演じた
サラ・スヌーク! お世辞抜きで本当に良い演技をしている。
本作でこの女優さんの事を初めて知ったが、
海外俳優陣の層の厚さに改めて感服させられた次第。
鑑賞した後の "なんか凄い作品観ちゃったぞ" 感や、
観た後で作品についてじっくり考えてしまう反芻度合いからしても、
現時点では2017年度個人的No.1。
私は傑作だと思います。
たくわんさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-03-19 08:31:44)
👍 1
43.ネタバレ ボマーになるまでの描写が全くないという1点のみで10点行かないという非常に残念な映画ですが、私はプロット重視なのである意味では最高点に近いです。サラ・スヌークが魅力的で、ジョンとジェーンで過ごした時間は知的で甘くてとても素敵でした。
DAIMETALさん [DVD(吹替)] 9点(2015-10-16 05:47:40)
42.ネタバレ もし本作が『フォレスト・ガンプ/一期一会』と同じ日本の配給会社だったら『プリディスティネーション/一人相撲』だったに違いない。
目隠シストさん [インターネット(字幕)] 8点(2023-05-05 11:16:59)
👍 2 😂 2
41.ネタバレ とんでもない扉を開けてしまった気分。タイムパラドックスという鳥かごから無限に出られない一人の人間による無限ループな人生。名も無きバーテンダーは何のために生きているのか。少なくとも自分の為に生きている瞬間は無さそうだ。一人の爆弾魔を追うことだけを目的としている。天職というかそれしか出来ないと言っている。その行動が自分を生み出し、自分を滅ぼそうとしている事に気づいたのはいつなんだろう。殺したいほど憎んだ男が自分だったらと知った瞬間、過去の自分の顔を見た瞬間、そんな顔をしていたのか、とても綺麗だと思った瞬間。これだけがこの人生で幸せを感じることの出来た瞬間だったんだろうな。繰り返される無限ループの中で、毎回一回ずつくらい幸福な瞬間が増えていくのだろうか。何ともタフな宿命を背負わされたもんだ。何度か見返すべき作品として、とんでもない大作であることは間違いない。それでも当時は全く話題にならなかった。クリストファー・ノーランやリドリー・スコットだったら違ったんでしょう、宣伝効果が違うから。ちょうどその年のクリストファーはインタステラーだったか。そんな訳で陰に隠れた秀作になってしまったが、一度見たら見る側も無限ループの世界へ導かれてしまう。とんでもない作品でした。
ちゃかさん [インターネット(字幕)] 8点(2022-09-02 11:50:47)
👍 3
40.ネタバレ 面白かった。
とても内容が濃くて2時間はあったように感じたけど、たった97分の作品でしたか。
鶏が先か、卵が先か、なんて考えても仕方ないことは理解してるけど、どこが始まりだったのか考えてしまいます。
もう1回最初から見て、色々と確認しようかとも思ったけど、それは蛇足かも知れませんね。
どう考えても無限にループするだけで、答えなんてあるはずないんだから。
もとやさん [インターネット(字幕)] 8点(2021-10-29 18:44:41)
39.引き込まれます、そして引きずります、すごい映画としか言えませんね。

50年代にかかれた原作「輪廻の蛇」は60年代ー90年代の「未来」の話を描いているんですね、でも、これは完全にいまからみてすごくよくできていて、身震いしてしまいます難しいでも!面白い。

インセプションが好きな人にはこれ、はまるんじゃないでしょうか。クリストファー・ノーランならもっと大がかりな映画に仕上げていたのかもしれませんがこのこじんまり感もたまりません。脚本・監督・音楽などを手掛けた一卵性双生児の兄弟はとんでもない天才なんでしょうね。

あ、あと個人的にジョンが時々ディカプリオに見えます(^_^)
HRM36さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-04-22 16:50:27)
👍 2
スポンサーリンク
38.ネタバレ 前半のジェーンの半生も魅せ方が上手い。
後半もちょっと難解だったけど面白かった。
よくこんな話を思いついたもんだ。
後半の少しずつネタばらしされていく過程はサスペンス的で引き込まれた。

ただ冒頭の顔の皮膚移植された場面はどうみてもデッドプールで
もしかしてマーベル系かと思った。
Dry-manさん [インターネット(吹替)] 8点(2020-07-27 00:07:49)
37.ネタバレ 評価が高かったので鑑賞。SFとは思いませんでした。特にタイムマシーン物は字幕を追うだけでも大変でストーリーについて行くのが精一杯。奇想天外な展開にドキドキしたが、観賞後もいまいち理解できなない部分もあったりして。。。
kaaazさん [インターネット(字幕)] 8点(2018-04-27 23:11:34)
36.ネタバレ いきなり序盤から面白い。こういうグイグイくる映画はいいね~~。前半のBARでの大波乱の半生を語る場面からの、後半はタイムトラベルものになるというちょっと意表をつく展開も面白い。いやー、イーサン・ホークのベテランのシブさが炸裂しててとても良いんだけど、それにもましてのジェーン役のサラ・スヌークですよ、圧巻の演技とはこのことをいうのではないか、と大げさなことを言いたくなるほど本作のサラ・スヌークはすごい!  バーで話す男がまさかのジェーンとは!ほんとすごいよこの子は(ジョンのときはディカプリオにちょっと似てるね)。まぁタイムトラベル物のお決まりでやはりお話しが複雑になりがちだけど、比較的登場人物も少なめで話しが飲み込みやすいし、ストーリーも独特の深みがあって余韻が残るね。うん、なかなか良い映画でアリマシタ
Kanameさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-02-14 18:43:03)
35.ネタバレ 素直に面白かったですが、タイムパラドクス系は難解ですね。
いろんなサイトの考察を見て理解を深めないと、この作品の面白さは理解しにくいと思いますが、
わかった時には唸らされるような作りでとてもよかったです。
ローグさん [DVD(吹替)] 8点(2017-07-09 21:10:32)
34.ネタバレ いやー、自分が今まで観てきた中でも「?」がトップクラスで多かった映画でしたね。でもこの「?」は良い意味での「?」であるのも確かです。タイムパラドックスを扱った作品としてはかなりのハイレベルで、間違いなく『バタフライ・エフェクト』を超えていると思います。自分の中では「タイムトリップでその当時の自分と出逢ったらどうなるのか」という疑問がずうっとあって、これはある意味哲学的な思考実験でもありますが過去のタイムトラベル映画では「そのような邂逅はしてはいけない、もしくは起こり得ない」というスタンスで撮られていて、自分としてはまあ納得していたわけです。ところがこの映画にいたっては出逢うどころか過去の自分とアレまでしちゃうし、いやさすがにネタばれありとしてもこれ以上書けませんけど、自分の常識をぶっとばしてくれる衝撃的なプロットです。ここではいわゆるパラレル・ワールド理論はまったく無視されていて、この映画の世界は時間が完全にループしているだけで完結している宇宙だと考えるしかないんでしょうね。 イーサン・ホークはSF映画ではほんとに輝く役者で、素晴らしい演技だったと思います。でも衆人の一致するところだと思いますけど、サラ・スヌークの高度な演技も驚愕ものです。何と言いますか、“オーストラリアのジョディ・フォスター”と呼んであげるのが相応しいんじゃないですか。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-13 23:19:54)
33.ネタバレ タイムパラドクスもののSFをいくつか見たことがある人なら「整形手術」や「孤児として捨てられて」のあたりでおおよそのストーリーの予測がつく人が多いのではないかと思う。むしろあらすじを聞いた段階で刑事と犯人が同一人物というのは、浮かぶ人には浮かぶアイデアだと思う。

■ラストの爆弾魔になるところがほぼ全部カットされているので、深掘りしてほしいところがなくなっていきなりエンディングという印象であった。「これからどうするのか」は想像に委ねるにしても、あそこにいるもう一人の自分の変化過程はもう少し描いてほしかったところ。

■「父であり母であり子」というのは徹底した設定で、まさに「尻尾を食らう蛇」のごとき初めも終わりもない円環である。これを支えているのがサラ・スヌークの脅威の演技力で、最初のバーのシーンでジョンが女性だとは全く見抜けなかった。ケヴィン・スペイシーもそうだったけど、こういう演技力が圧倒的に必要な映画での役柄をこなすことでこの女優さんも将来有名になるのではなかろうか。
θさん [DVD(字幕)] 8点(2015-10-13 11:59:31)
32.ネタバレ 何も期待せず鑑賞したのですが、これはまさに掘り出し物。
最初の爆弾設置&爆破のシーンから「お?ずいぶんと凝った画作りだな」と、映像センスの非凡性に目を奪われ、
次にその独創的な物語の展開に目を奪われ、そしてセーラ・スヌークの見事な演技に目を奪われ、、、。
この女優さん、ついこの前も「ジェサベル」というホラー映画を鑑賞したんですが、
そのときもこの人はすごく演技派だな〜と強く記憶に残っていた矢先なのです。
特殊メイクの見事さももちろんありますが、こんなにも難しい役どころをこれほどまでに演じきるとは。
原作はロバート・A・ハインラインのSF小説だそうですが、これはなんの予備知識もなく観た方がよりハマると思います。
タイムトラベルというかなり古典的なものを扱うSFだけど、他のSF映画より頭一つ抜きん出た快作であります。
あろえりーなさん [DVD(字幕)] 8点(2015-09-12 23:43:50)
31.ネタバレ "----All you zombies----" by Robert A. Heinlein
1958年に書かれた非常に短いSF短編小説が原作です

初見では内容が完璧に把握しきれず、5回目くらいにFizzle Bomberの目的がなんとなくわかりました
この映画が日本ではあまりヒットしていない理由がよくわかりません
物語への引き込みよし、伏線の多さと意外性が強烈で、タイプライターやオイルライターなどの小道具が
実に細々と設定されていて、映像美と複雑なシナリオをよくまとめています
主演の二人も名演技で会話も洗練されている

The Unmarried Mother: This life. Is it lonely?
愛のない人生は人を狂わせる、目的だけの人生は目標を失うと脆い
そういう哲学も回を重ねる毎に、どんどん視聴者にのしかかって来ます
pswさん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-08-14 23:10:53)
30.ネタバレ 冒頭15分は何が起きているのかサッパリ分かりません。さっきのシーンには一体何の意味があったのか、今画面に写っているのは誰なのか、そいつはなぜここにいるのか、そういうことがまったく分からないわけです。時空捜査官を主人公としたSFのはずなのに派手なガジェットやSF用語も登場しないまま、舞台は70年代NYの場末のバーに。そして、店に来た客とバーテンとの会話劇となり、さらにはその客がフォレスト・ガンプみたいな身の上話を始めて、どんどんSFからはかけ離れていくのですが、その身の上話が滅法面白いので引き込まれます。その後、客とバーテンの正体や、なぜ舞台が70年代なのかという理由が明かされ、物語は急速にSF方面へと舵を切っていきます。前半で張り巡らされた伏線もここでキッチリと回収され、すべての要素が完璧に繋がり収束。これをたったの90分でやりきってしまった構成力、この兄弟監督の手腕には恐れ入りました。
タイムトラベルものといえば、歴史的大事件に介入するようなスケールの大きなテーマをまずは思いつくものですが、これを映画化する場合には、舞台を小さく設定した方がうまくいくようです。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も『バタフライ・エフェクト』もそうでしたが、主人公を取り巻く家族や友人との物語に終始し、舞台をひとつの町内としたことが成功の要因でした。その法則に当てはめると、本作は考えうる最小単位のドラマであり、そもそも手堅い成功が見込める素材だったと言えます。鍵は、登場人物達が同一人物であることを観客に気付かせないことであり、文章で表現する分にはさほど難しくないこの部分を、どうやって役者に演じさせるかが唯一にして最大の問題でした。本作は、イーサン・ホークという演技力はそこそこあるのになぜか目立たないスター俳優と、サラ・スヌークという奇跡的にうまい役者さんを発見したことにより、この点をうまく処理できています。
作品全体の感触は、名作『12モンキーズ』に近いものとなっています。歴史改変をミッションとするはずの時空捜査官が、変えられない運命に絡め取られていくという逆説的な物語。そこら辺の倦怠感をうまく醸成できている点が見事でした。無から生み出された人物という設定はSFとしては✕ですが、寓話としては面白いので、こちらも良しとしましょう。緻密な映画ではありますが、考えすぎないことが大事だと思います。
ザ・チャンバラさん [ブルーレイ(吹替)] 8点(2015-07-18 02:28:03)
29.観終わった後、この映画のプロットを思い出して、その理屈というか筋を最後まで考え抜くこと。それができるかどうかでこの映画の評価は変わってくるんじゃないかと。僕はそれをだいぶ早い段階で放棄しちゃいました。てへっ。でも、楽しかった。二人の人物が結構な時間を掛けて会話をするシーンがあるんですが、そこだけでめちゃくちゃ引き込まれましたね。洒落たダイアローグに卓越した演技力。カメラワークもさりげなく良い感じ。後にカルト映画になるかも。
Y-300さん [映画館(字幕)] 8点(2015-03-17 03:41:18)
👍 1
スポンサーリンク
マーク説明
★《新規》★:2日以内に新規投稿
《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 48人
平均点数 7.17点
000.00%
100.00%
200.00%
312.08%
412.08%
536.25%
6816.67%
71429.17%
81531.25%
948.33%
1024.17%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review2人
2 ストーリー評価 8.00点 Review5人
3 鑑賞後の後味 8.40点 Review5人
4 音楽評価 6.33点 Review3人
5 感泣評価 4.00点 Review2人

■ ヘルプ