映画『ブレードランナー 2049』の口コミ・レビュー

ブレードランナー 2049

[ブレードランナーニゼロヨンキュウ]
Blade Runner 2049
2017年カナダ上映時間:163分
平均点:6.48 / 10(Review 95人) (点数分布表示)
公開開始日(2017-10-27)
アクションSFシリーズもの刑事もの小説の映画化3D映画
新規登録(2017-08-17)【にゃお♪】さん
タイトル情報更新(2025-06-27)【TERU】さん
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監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ
キャストライアン・ゴズリング(男優)K
ハリソン・フォード〔1942年生〕(男優)リック・デッカード
アナ・デ・アルマス(女優)ジョイ
ジャレッド・レト(男優)ネアンデル・ウォレス
ロビン・ライト(女優)ジョシ [マダム]
マッケンジー・デイビス(女優)マリエット
バーカッド・アブディ(男優)ドク・バジャー
デヴィッド・ダストマルチャン(男優)ココ
ウッド・ハリス(男優)ナンデス
ヒアム・アッバス(女優)フレイサ
エドワード・ジェームズ・オルモス(男優)ガフ
デイヴ・バウティスタ(男優)サッパー・モートン
加瀬康之K(日本語吹き替え版)
磯部勉リック・デッカード(日本語吹き替え版)
小林沙苗ジョイ(日本語吹き替え版)
桐本拓哉ネアンデル・ウォレス(日本語吹き替え版)
深見梨加ジョシ [マダム](日本語吹き替え版)
行成とあマリエット(日本語吹き替え版)
恒松あゆみアナ(日本語吹き替え版)
木村雅史サッパー(日本語吹き替え版)
辻親八コットン(日本語吹き替え版)
七緒はるひジョイ日本語広告(日本語吹き替え版)
岡寛恵レイチェル(アーカイブ)(日本語吹き替え版)
白熊寛嗣ナンデス(日本語吹き替え版)
志田有彩(日本語吹き替え版)
出演ショーン・ヤングレイチェル(アーカイブ)
原作フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
音楽ハンス・ジマー
ベンジャミン・ウォルフィッシュ
撮影ロジャー・ディーキンス
製作アンドリュー・A・コソーヴ
ブロデリック・ジョンソン
バッド・ヨーキン
シンシア・サイクス
製作総指揮リドリー・スコット
制作グロービジョン(日本語版制作)
配給ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
美術デニス・ガスナー(プロダクション・デザイン)
編集ジョー・ウォーカー〔編集〕
録音マーク・A・マンジーニ
ダグ・ヘンフィル
日本語翻訳アンゼたかし
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💬口コミ一覧

95.ネタバレ 海外では「前作を超えた」という評価もありました。
そうした高評価と同時に日本のメディアによる「大コケ」報道にも触れ、
最大級の期待感とそして一抹の不安を抱きながら、IMAX、3Dで鑑賞。

結論からいいますと、
前作は超えていません。

しかし、2人の逃避行のあと、どうなったのか。
The lost 30yearsを埋めるお話をつくっていただいことに感謝の意を込めて
10満点を差し上げたいと思います。
なぜかというと、2人のその後を知りたくて仕方がなかったからです。

オリジナルが街頭の猥雑さなどに象徴されるように、
空間の閉塞感や狭さが特徴だったのに対して、今作はグレースケールを多用し、
空疎感を描くことで、人造人間の内省を抽象化しているように思います。

1作目のワイワイガヤガヤな雰囲気が一掃されてスキっとした静寂感が、
じっくり時間をかけてシークエンスを描くことも相まって、
「長い。退屈でダラダラしている」などの感想も散見されるところです。

しかし、私などは長いと感じず(お尻は痛くなりましたが)、
重要な場面に付随するであろう別のショットをもっともっと観てみたいと思い
、作品を最後まで思いっきし楽しみました。
また、未来機器などSF的表現も非常にセンス・オブ・ワンダーを感じさせるもので
、現在最高峰の技術とセンスによる、これぞ科学空想映画であると納得させられました。

他の名作への敬愛も感じられます。
折り紙が得意の元同僚をたずねる場面はオーソン・ウエルズしてました。
また、「闇の騎士」トリロジーの最終作で観られた、幼少期における男女
の見間違えを利用したミスリード。
そして、監督自身の加・中東を舞台にした代表作での家族にまつわる衝撃の真実。

世評では、AIホログラムが人気ですが、私はウォレス社CEOの腹心の方が好みでした。
タイトスカートまとったきれいなシルエット。回し蹴りの切れ。ブラスターを発火
させるときの手首を素早く上げるリアルな反動。そして前髪のデザイン。
こっちの方が全然いいです。

総じて、前作は超えてませんが、続編としても単体として堂々たる作品です。
迷っているのでしたら、鑑賞をおすすめします。

[要注意:このレビューにおける最大級のネタばれです]
本当は、こういう展開が好きでした。30年前に逃亡した2人が辺境地で
今でも生きながらえて(劇場版ではタイレル社の秘書は寿命4年制限なしとのナレあり)、
ひっそり暮らしていて、ブクブクに太っていてもいいから秘書役の役者本人に出てほしかった。
そしたら号泣してたと思います。でも、ああいう登場の仕方でもいいです。
「ならず者1号:惑星戦争物語」のラストかと思いましたが、それより出来のいい再生でした。
その場面はもっと長く観たかった次第です。
大通り・ヘップバーンさん [映画館(字幕)] 10点(2017-10-30 13:35:38)
94.ネタバレ デッカードは乱暴なヤツだよな~と思っていましたが、無抵抗のKをボコボコに殴るあたり変わっていませんね。デッカードはああいうヤツ。
Kはブラックなお仕事で最初から最後まで捨てられた犬のような顔をしていてとても可哀想。博士の前で激昂する場面に胸を打たれました。ブレードランナーの仕事はさぞ辛かったんだろうな。もしかして最後の白い雪は白い鳩の代わり?
そんな気の毒なKをたった一人癒してくれるジョイ。彼女との二人初お出かけデートで雨に濡れるシーンなどとても美しかったです。
ウォレスは最初から最後までぶっ飛んでていいですね。タイレルがすごく常識的な紳士のような気がしてきました。レプリカント開発能力的にもタイレルの方が上だったわけですし。ウォレスにはデヴィッド・ボウイが当初予定されていたそうですが、ボウイ版のウォレスも見たかったです。
最上の天使(最強の天使?)のラブが度々涙を流すのが印象的でした。微塵も暴力を躊躇していませんでしたが、絶対服従のウォレスの命令への抵抗感からの涙なのだとすると、ちょっと切ない。
あとリドリー・スコットワールドでアンドロイドがキスをしてきたら死にもの狂いで逃げるべきですね。
kiryuさん [映画館(字幕)] 10点(2017-10-28 20:31:05)
93.初日の初回に鑑賞。35年間、続編を待ち続けた甲斐がありました。旧作をちゃんとオマージュしており、ファンの期待に応えていると思います。28年ぶりの続編、「トロン・レガシー」以来、泣けました。
毒林檎さん [映画館(字幕)] 10点(2017-10-27 13:41:05)
👍 1
92.ドゥニ・ヴィルヌーブがどういう人間かというと、とにかく時代遅れの作家です。キリスト教のモチーフを散りばめ、女性の出産を賛美する、っていつの時代の気分なんでしょう?もう21世紀ですよ。20世紀の時点で宗教なんて散々批判された過去の遺物ではないですか。女性も出産という役割からある程度解放されて自由を手にしていますよ。この映画もまた時代遅れです。とにかくスローテンポでダラダラ展開、眠くなります。いまさらブレードランナーかよと、しょーもない。しかも話が主人公のアイデンティティー探しかよ、しょーもない。レプリカントが買春かよ、しょーもない。しかしこのしょーもなさこそが人間の姿そのものではないでしょうか。レプリカントのしょーもなさはまさに人間のコピーであるからこそなのです。そしてこの時代錯誤感こそまさに現代という時代そのものではないでしょうか。いまだに20世紀の作品のリメイクや続編が多作される映画界を象徴してはいないでしょうか。時代遅れであることがもはや今という時代そのものである、奇跡的にこの映画は現代を切り取った作品になっていると思います。20世紀の人間の行為を模倣し反復し続ける我々現代人のしょーもなさとその悲哀、この映画は切実な茶番劇なのです。
Сакурай Тосиоさん [インターネット(字幕)] 9点(2023-04-05 23:48:37)
91.ネタバレ 『ブレードランナー』の続編として純然たるSFというコンセプトはそのままに、極めて上質な映画が完成されている。作品の空気を完璧に引き継ぎ、前作の設定も生かし切りながら(前主人公のハリソン・フォードも巧く使った上で)主役を次世代にバトンタッチし、物語の内容は前作より遥かにグレードアップしている。

(ヒトのように振る舞うヒトでないものの”生き様”を通して、ヒトとは、人間性とは何かを問うたり、「記憶と魂」といったようなSFとしても興味の湧く内容を映画に上手く落し込んでいる印象)

難は前作同様、非常にゆったりしたテンポで人を選ぶだろうという点だが、個人的には深い世界観や(SFな)哲学を語る映画にはこれくらいの尺とテンポが必要なように思うし、史上最高のSF映画の1本として十分なクオリティを備えた作品であると思っている。オススメ。
Yuki2Invyさん [DVD(字幕)] 9点(2019-11-16 00:00:38)
90.待望の続編。前作のテーマを「生」とするなら、本作のテーマは「命」だと思う。人間の本質とレプリカントたちの夜明け。「ブレードランナー」としてロサンゼルス警察に所属する新型レプリカント「K」。彼は、かつて反乱を起こした旧型レプリカントを「解任」する職務に就いている。家ではウォレス社製AIの恋人ジョイと過ごす日々を送るのみだ。ある日、彼は捜査中にある農場で旧型レプリカント、サッパー・モートンを「解任」する。その農場の木の根元に埋まっていた「箱」。発掘の結果、中には「遺骨」が納められていた。この事件を発端とし、物語は大きく動き始める...。2022年のテロによる大停電により、世界は壊滅的な被害を受けた。しかしそのお蔭で、「旧型」と呼ばれるレプリカントたちは静かに生きのび、ひっそり人間として暮らしている。人々は合成食料を生きる糧とし、目にする生物は人工動物ばかり。地球環境と生態系の崩壊後、雨と雪と砂に支配され荒涼とした風景は、フィリップ・K・ディックの原作の描写と重なる。愚直なまでに従順となり、完全に人間の下僕となった新型レプリカント「ネクサス9」。盲目の創造主ウォレスと彼らの関係は、神と人間の関係を彷彿とさせる。記憶の中の木彫りの馬。木の根元に刻まれた「06/10/21」という数字。無菌状態の部屋に保護され、記憶を創造することを生業とするアナ・ステリン博士。Kが謎の真相に近づくにつれ、彼は運命のうねりに飲み込まれて行く。全体的に長尺すぎる感はあるが、丁寧に積み上げられた伏線と情報により、世界が深みを増し広がってゆく様が心地よい。また、デッカードの登場、レイチェルの名前と声を聞く頃には、感情の波に飲まれること間違いなし。「お前たちは奇跡を見たことが無い」冒頭、サッパーの残した言葉は、ラストシーンになって心に刺さる。
しぇんみんさん [映画館(字幕)] 9点(2018-01-27 22:06:09)
89.ネタバレ IMAX3Dで鑑賞。浮遊感や画面への没入感が素晴らしかった。ラスト近く「映画が終わっちゃうよ。Kが切ないよ。ジョイちゃんやラブちゃんに会いたいよ。もっとこの世界にいたいよ。」と切々と感じました。もっと映画を味わいたいと字幕2Dで見直したんだけど、IMAXの没入感が無く、映画の長さが気になりだし集中できませんでした。
この映画はブレランファンの大好きなコトを全部のせ大盛にした傑作なのですが、唯一の欠点は映画が長すぎるコト。賛否両論の否が結構多いのは、長すぎてアラが気になりだすとダメな人は我慢ができなくなったのでしょう。
なのでKとジョイとラブにフォーカスして2時間チョイぐらいに編集すれば大ヒットしたのではと思います。
ということで、勝手に再編集するとすれば
・Kの夢の繰り返しはしない
・プレスリーやモンローのところは全部カット
・格闘シーンは1/3に圧縮
・マダムの登場シーンは思い切りカット。
・ウオレス社の受付が大停電の説明するところ、ラブが顧客に製品説明しているところもカット。
・ウオレス博士の登場シーンも大幅カット(ラブがウオレス博士を愛しているコトを強調)。
・ラブとデッカードのシャトルを追跡するシーンは大幅圧縮。
・ラストは、Kが階段で倒れて雪を眺めているところで終わる  などなど
でも今のバージョンも大好きなので、IMAXではロングバージョンを並行上映するというのはいかがでしょう。
爆裂ダンゴ虫さん [3D(字幕)] 9点(2017-11-23 09:58:33)
88.ネタバレ オリジナルを超えた稀有な作品。
絵も音も物語もすんばらしい!
リドリー・スコットが監督じゃなくてよかった。彼にはもはやこのすごい映像は作り出せないだろう。
生身の人間とホログラフィックAIが徐々に同期するシーンのすごさ!
ところどころにオリジナルのオマージュが。ラストもそう。
レイチェルには驚き。SWのレイアやモフターキンのそれより遥かに自然で高度な技術!
うさぎさん [映画館(字幕)] 9点(2017-11-12 18:48:53)
87.ネタバレ 前作はレーザーディスクを買って何度も観たけれど難解なテーマでイマイチ理解ができなかった記憶が。それに比べて今作は普通のハリウッドSFと言った感じで分かりやすい。前評判があまり良くなかったので心配して観たがとても良かった。ジョイ、欲しいなあ。
kaaazさん [映画館(字幕)] 9点(2017-11-12 02:57:29)
86.ネタバレ 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」
これが原題の映画ならばレプリカントはアンドロイドと勘違いしていたのは私だけではないと思う。
それが今回生殖機能が中心の物語になっている
そうなると自我を持つアンドロイドの反乱「コヴェナント」ではなく、ほぼ人間として生まれたクローンの心の葛藤という解釈でいいのか?
分からない今更そんな設定受け入れられないよ、、と思いつつ鑑賞。
前作を全く知らない妻を無理やり連れて行ったが、彼女からは「面白かった、クローンの話なんでしょ」と絶賛の感想
「わたしを離さないで」のような映画が好きな彼女にはクローンが人間としての存在意義を問う社会的な問題として受け入れたらしい。

「ブレードランナーは前作見た方がいいですか?」なんて質問の度に「続編だからね、もちろんだよ」と答えていたが
今作はおそらく前作を知らない方が評価が高くなると思う
今回の点数は妻の点数です。
かのっささん [映画館(字幕)] 9点(2017-10-30 11:09:08)
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85.ネタバレ 登場数が減少したとはいえ、あの暗く雨が滴り落ちるところにネオンが映える都市空間はまさにブレードランナー。30年の間にネオンが中国企業に変わっていないだろうかと心配したが、杞憂だった(ただ、強力わかもとはなく、うどんも看板だけだったが・・・)。
前回はレプリカントの強力な生への渇望がテーマだったが、今回はアイデンティティーがテーマだったのだろうか。
長作だが退屈には感じず楽しめたが、もっとも、難解な場面もあったので近々もう一度みてみたいと思う。
見終わったあとのせつなさ、やるせなさも含めて不思議な魅力がある映画だった。
ちなみに、ジョイはくるくるコスチュームが変わるし、昼休み時間帯の格安SIM並みのダウンロード速度の場面など、うっとおしいしあえて必要な役なのかとも思ったが、かわいらしさとその存在感に最後は納得。
jcross18さん [映画館(字幕)] 9点(2017-10-29 10:55:24)
👍 1
84.ネタバレ 人間と同じように物事を考えることができるアンドロイド(レプリカント)が、自己複製能力まで獲得してしまった場合、果たして人間とレプリカントを分かつものは何なのか。人間のアイデンティティが強く脅かされる。レプリカントから産まれた子を何としても殺そうとするのも頷ける。
人間であることを望んだ主人公が、大義のために死ぬことは人間らしいと言って、レプリカントから産まれた子を守ろうとする展開は興味深い。
その脚本に花を添える映像と音楽も美しい。
ただ、映画を観終わって振り返ってみると、大して話が進んでいないことに気づく。
アクアマリンさん [映画館(字幕)] 8点(2018-12-23 20:16:37)
83.ネタバレ 昔大好きだった映画が、まさかのパート2。いろんな思いで見せてもらいましたが、思った以上によかったです。ストーリーは単純で、あの博士がKの思い出で涙するあたりで確信に変わりました。前作の魅力はやはりレイチェル。今作はジョイでしょう。しかし、まさか本当に空っぽだったとは…。人間とレプリカントの戦いでパート3ができそうだけど、それは野暮だと思います。
木村一号さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-07-22 21:50:06)
👍 1
82.ネタバレ  前作”LOS ANGELES NOVENBER,2019”の世界では、レプリカントたちの感情の芽生えとまだ生きていたいという渇望が大きなテーマだったが30年後の"CALIFORNIA2049"ではそれらには触れず、あらたに、

魂の所在や「デザインされた(創り出された)もの」と「産み出されたもの」の違いといったテーマを持ち出していて、少し期待したけれど、ほぼ表層をかすめただけで、ぜんぜん掘り下げて無かった。
 まぁ、エンタテイメント性も必要な映画の尺では無理難題でしょうね…。


 作品世界全体が、CGのお陰で堂々と「昼」を描けるようになったが、細かい霧でいつも白けてるし、所詮CGは質量ゼロなのでわれわれの視覚が誤魔化されてる感だけで、そこに在るって存在感は無いんだよね。だから感動は少なくて「ふーん…」な感じ以上でも以下でも無い。

 前作が暗がりの多い部屋や夜の街や雨のシーンが特徴的で、さらに煙や強めのコントラストが多用されていたのは、世界観のためだけじゃなくて特撮効果や模型のアラ隠し(スピナーをつり下げるワイヤー隠し(出来てないけど)等)のためもあって、そういうシーンの数々が(女房に三行半された元・殺し屋)デカードのよく言えばフィルム・ノワール的な、投げやり感とやり切れないエネルギー感を彩っていて、ああ、こんな生き方って格好いいよなー、なんて当時の、私を含む多感な若者らにウケてたとおもう。少なくともそう感じさせてくれるほど、世界と生き様にリアリティが在った。

 当時自分はよく、何するともなしに夜の新宿に独りでいたりして、ブレランの夜のロサンゼルスと同じような、絶え間ない喧噪と猥雑さと、群衆の雑踏と刺激的な光で飛び込んでくる情報の洪水の中で、時々ふと空を見上げることがあって、そこは星一つもみえない真っ黒か、月一つあったらめっけもんの空間なんだけど、たぶん心にとっては避難場所みたいなものだった。
 それをデッカードがしたら、真っ暗な空をさえぎるようにブリンプが"OFF WORLD(ジャーン!)"って宣伝していて、「やれやれ…」って目をそらすシーンなんか上手くて、如何にも都市生活者らしくてリアリティがあった。


 本作のKはデッカードと違って、人間っぽさが設定でえげつなく制限されてるので、まさか飲んだくれてピアノで寝てしまわないし、小さな報酬系(垂れ流すほどのリビドーなんて無いであろう程度の性欲)で満足して、決して女に欲情し暴力的に壁ドンして「抱いてと言え」とか云ったりしない。さらに食欲もあるのか無いのかって感じなので、対面型屋台(店員さんとのコミュ必要)で、「(不味そうな青っぽいエビ天を)四つくれ!」なんてことも恐らく云わない。
 もう基本的に毎日が職場(LPD)と自宅アパートの往復で、たまに、ぜんぜん雑然としていないモールの独り席で宇宙食みたいなのたべる程度だったりする。

 ・・ただ、なんだかこれってそのまま、80年代の若者と現代の若者の違いのようでもあり、意図的なのかどうか知らないけどとても興味深い。


 あと、老いたせいか昔より短気で思慮が浅くなったようなデッカード(H・フォード)より、相変わらずどこか超然としてしまってるままのエドワード・J・オルモス演じるガフの挿入は、ファンサービスでしょうけど元気そうなの確認できて嬉しかったです。

 彼が会話中に手すさびに折った紙の牛(闘牛)で看破されたKとは、「おまえは闘牛みたいだな。だが所詮家畜」ってことなんでしょうね…。


 そういえば40年くらい前のテレビ番組で、「ロボット刑事K」ってのがあって毎週みてたんだけど、Kサツの仕事しか生きてる役割が無いなんて切なくって、子ども心ながら悲しくて仕方なかった。
 このブレランのKもロボットみたいに無表情だけど、JOIに安らぎを求めている時のあどけなさと、ずっと消えない戸惑いの表情は見ていて本当につらい。

 とは言え、続編を望むくらいに好い出来だったと思います。
みっしぇるさん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2018-04-09 03:55:30)
👍 1
81.ネタバレ SF映画の名作中の名作のと云われる作品の続編ということで期待が高い中での鑑賞でしたが、面白かったです。前作よりすっきりして綺麗な映像に、比較的静かな展開は私好みでワクワクします。それにしてもレイチェルが出産って、レプリカントももうほとんど人間です。ビックリです。難を言えばこの映画、ちょっと長すぎかと思います。途中、尻が痛くなりました。無駄な演出もあって、もう30分ぐらい短く出来そうな気がします。
ぽじっこさん [ブルーレイ(吹替)] 8点(2018-03-11 11:59:24)
80.ネタバレ レプリカントが子どもを産む奇跡。そしてその子がレプリカントたちの心の支えでもある「思い出」デザイナーであるという設定。もうストーリーテリングここに極まれり!という感じです。
監督はヴィルヌーブですが、製作のリドリースコットは、「エイリアン」の最新作でも強いAIであるアンドロイドがエイリアンの産みの親であるなんていう発想しますからね。
SF古典の「1984」のレプリカント版といった感じで話はとても面白いです。管理と自由というテーマは映画でもおなじみのテーマですしね。
が、しかしレプリカントには感情移入しづらいのも確か。
やはり人間らしさとは何か?愛とは何か?というテーマを掘り下げた展開にした方が、観終わって充実感あります。
でも映像もアイデアも確実にスゴイですし、見応えあります。
何年かしたらまた観たいですね。旧「ブレードランナー」と続けて観たく思います。
トントさん [DVD(字幕)] 8点(2018-03-03 18:57:49)
👍 1
79.ネタバレ 公開終了間近に映画館で見られてよかった。ドゥニ・ヴィルヌーヴは『ボーダーライン』での絵作りがとても印象的だったので、期待通りのオリジナルな(でも前作ファンを怒らせない程度の共通項を持った)絵が満載で、定番の混沌とした都市だけでなく、冒頭の「農場」から、ラスヴェガスの廃墟、廃棄場、ラストの海から雪までどのシーンも美しい。この点では、2D字幕だったのが悔やまれる。本当はIMAXで見たかった。そして、この絵のなかで展開されるストーリーが本当に切ない。ライアン・ゴズリングはあまり好きな俳優ではないけど、彼にここまでどっぷり感情移入できるとは驚き。自身の存在を否定しながら生きてきた彼が、「自分は実は何者かであるんじゃないか」という思いを抱くことで生まれる残酷な物語。でも、その物語の顛末で「特別ではない生」を受け入れる姿は本当に美しい。遅いテンポもシーンへの没入感づくりという意味では正解。正直『ブレードランナー』1回目でこんなにエモーショナルな体験をするとは思ってもみなかった(前作で、「感動」できたのって何回目だったろう)。一方で、会話シーンなどの描き方にはやや不満あり。ウォレスの登場シーンは恥ずかしいくらいの過剰演出だし、デッカードとKの対話シーンは退屈。ただ、ジョイとラヴの登場シーンはテンポも演出もよかったので、単にヴィルヌーヴ監督(あるいは私)の趣味の問題かもしれない。いずれにせよ、失敗する姿しか浮かばなかったクレイジーなプロジェクトでここまでできればOKでしょう。十分に新しい映像体験だったと思います。
ころりさんさん [映画館(字幕)] 8点(2018-01-05 15:48:53)
78.劇場で鑑賞して本当に良かったです。
ブーン(表現間違えていたらごめんなさい)と言う効果音に包まれ、これぞブレードランナーと言う素晴らしい映像。
Kの苦悩、Kの手際よさ、静かにそれでいて熱い思いがこちらに伝わってきました。
私は難しいことは理解できません。
そんな私でも旧作の世界観も大好きでした。
そして、新しいブレードランナーを今ここで観られて、幸せな時間でした。

もう一度書きます。
劇場で鑑賞して本当に良かったです。
たんぽぽさん [映画館(字幕)] 8点(2017-12-11 10:34:24)
77.ネタバレ 面白かった!当該監督作品は初めて観たが、うまい監督さんですね。2時間40分程の上映時間も殆ど気にならずに楽しめた。世界観もきちんとブレードランナーを継承できていたと思うし、この世界観を漏らさずに描ききるには製作者の皆さん相当腐心されたのだろうなあと感心した。美術面は本当に素晴らしい。演出面では例えばラブがマダムを殺すシーンではナイフで刺す瞬間カメラが建物の外に出て無音になる所など、なかなかセンスを感じた。(こういう映画的な演出は最近見ることが少なくなった気がする。)惜しむらくは音楽がヴァンゲリスでないことで、恐らくそれは、制作サイドが一番悔しいとは思うが、やはり自分の中でブレードランナーをそうたらしめていたのはあの音楽に拠るところが多いため、「ここでヴァンゲリスの音楽が入って来れば最高だったな・・」と思うシーンが多かった。オリジナルの方も初見時は正直「?」という感想だったので、本作もこれから何度も見ることで更に面白さが増していきそうな予感がする。余談だが本作でjoi役のアナ・デ・アルマスに心奪われた男性諸君はそのまま「ノック・ノック」を見ることを強くお勧めする。(女性不信になると思いますが。)
rain on meさん [映画館(字幕)] 8点(2017-12-02 14:46:22)
👍 1
76.ネタバレ ブレードランナーといえば「レイチェル」なわけで、その他ストーリーとか未来風の効果音とかデッカードはそりゃカッコよかったけどそんなの脇役だった。
今作でもやはりそこらは心得ていてレイチェルが「妊娠、出産、帝王切開、腸骨に傷、産道がー」!!おお!女そのものを押し出してきましたねー。
前作で問題になっていたのはどこまでレプリカントなのか?だったような気がするが、結局全部レプリカントなんですかね。
で、レイチェルがデッカードとナニをして出産まで漕ぎつけたってのも作られた記憶なんですよね。
よくわからないけど。

レプリカントという仮定を用いて人間の実存とは何か?考えさせる哲学映画という見方もできる。
これに関してはただ一言。
「われ思う故に我あり」でいいと思います。
小鮒さん [映画館(字幕)] 8点(2017-11-18 22:49:25)
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【点数情報】

Review人数 95人
平均点数 6.48点
000.00%
100.00%
222.11%
344.21%
488.42%
51010.53%
62425.26%
71616.84%
82021.05%
988.42%
1033.16%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.85点 Review7人
2 ストーリー評価 6.84点 Review13人
3 鑑賞後の後味 6.76点 Review13人
4 音楽評価 7.00点 Review13人
5 感泣評価 6.27点 Review11人

【アカデミー賞 情報】

2017年 90回
撮影賞ロジャー・ディーキンス受賞 
視覚効果賞 受賞 
音響効果賞マーク・A・マンジーニ候補(ノミネート) 
音響賞ダグ・ヘンフィル候補(ノミネート) 
美術賞デニス・ガスナー候補(ノミネート) 

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