映画『スリー・ビルボード』の口コミ・レビュー

スリー・ビルボード

[スリービルボード]
Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
2017年上映時間:115分
平均点:7.18 / 10(Review 57人) (点数分布表示)
公開開始日(2018-02-01)
ドラマサスペンスコメディ犯罪もの
新規登録(2017-11-25)【皐月Goro】さん
タイトル情報更新(2023-04-04)【イニシャルK】さん
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監督マーティン・マクドナー
キャストフランシス・マクドーマンド(女優)ミルドレッド・ヘイズ
ウディ・ハレルソン(男優)ビル・ウィロビー
サム・ロックウェル(男優)ジェイソン・ディクソン
ジョン・ホークス〔1959年生〕(男優)チャーリー
ピーター・ディンクレイジ(男優)ジェームズ
アビー・コーニッシュ(女優)アン・ウィロビー
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(男優)レッド
ルーカス・ヘッジズ(男優)ロビー・ヘイズ
ケリー・コンドン(女優)パメラ
キャスリン・ニュートン(女優)アンジェラ・ヘイズ
サマラ・ウィービング(女優)ペネロープ
ジェリコ・イヴァネク(男優)巡査部長
ブレンダン・セクストン三世(男優)坊主頭の男
塩田朋子ミルドレッド・ヘイズ(日本語吹き替え版)
大滝寛ビル・ウィロビー(日本語吹き替え版)
加瀬康之ジェイソン・ディクソン(日本語吹き替え版)
佐古真弓アン・ウィロビー(日本語吹き替え版)
内田直哉ジェームズ(日本語吹き替え版)
永宝千晶(日本語吹き替え版)
脚本マーティン・マクドナー
音楽カーター・バーウェル
挿入曲アバ"Chiquitita"
ジョーン・バエズ"The Night They Drove Old Dixie Town"
撮影ベン・デイヴィス〔撮影〕
製作マーティン・マクドナー
配給20世紀フォックス
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💬口コミ一覧

57.ネタバレ フランシス・マクドーマンドは時々とんでもない映画に出るんですよね。
この役は彼女にしかできないんじゃないかとまで思います。
オープニングからグイグイ惹きこまれ「これはイケる」と確信しました。

怒りの連鎖を描いている本作なんですが、母親ミルドレットは娘と口論した時に売り言葉に買い言葉で言い放ったこと、そして本当にそうなり最悪の結果になってしまったことに持っていきどころのない後悔と無念さに苛まれていてそれも怒りへといっているように感じます、自分への怒りですかね。でも犯人への怒りとか憎悪っていうのはなぜかあんまり感じなかったです。
ここがよくある復讐ものとは違うんです。

そして警察署長の自殺と遺書から一気に様相が変わっていく、ここでもうまったく予想外の展開で
いったいどういう結末なのかと目が離せない、そしてそのラストもまったく予想外でエンドロールが始まってもしばし動けなかったです。まず脚本が優れているんだと思いました

登場人物たちはそれぞれしっかり人となりが描かれていて、みんな良くも悪くもないという人々。
オレンジジュースに飲みやすいようにちゃんとストローを添えて置いておく、
あの心遣いがいちばんホッとするうれしいシーンでした。
完璧、これは秀作です。
envyさん [CS・衛星(字幕)] 10点(2019-01-12 21:33:12)
56.ミズーリ州エビングという(架空の街)で起こった悲しい事件が発端で「ある」ことが始まります。

出てくる登場人物は田舎町に暮らすそれぞれに問題を抱え傷つき生きて来たひと癖もふた癖もある住人達ですが実は皆心根の優しい人達ばかりで病んでいるのは犯人とこんな国に成らざるを得なかったアメリカという移民の国の影の部分を凝縮したような映画でした。

場面ひとつひとつに商業映画特有の嘘っぽさがなく物語に入り込んで観られあっという間の2時間弱でした。
潤平さん [映画館(字幕)] 10点(2018-05-20 11:37:12)
55.ネタバレ 復讐の連鎖はストロー一本で断ち切られた、と個人的にこの映画で思いました。実際自分ができるかどうかは別として。Fargoの淡々とした捜査をする女性警察官約とはまた違った角度で、今作でのフランシス・マクドーマンが静かに時に激しく怒り、悲しむのがなんともよい。悲しいですが不気味な始まりでずっと目が離せませんでした。
HRM36さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2018-12-10 16:33:47)
54.ネタバレ ダメ人間が成長する話に弱いことを改めて実感。
ミルドレッドもディクソンも「怒りに囚われた」共感できないどうしようもない人間だが、いくつかの出来事を通して赦しを学んで成長していく、、かもしれない映画。
ディクソンが資料を死守し、レッドが赦しを与え、次第にミルドレッドも変化していく。。自己犠牲と赦し、成長、号泣してしまいました。
どうしようもないディクソンが一番変化するが、要するに子供がそのまま警官の制服を着てただけだったんだろうな。マイノリティがあるがゆえに、誰かに自己肯定してほしかっただけなのかもしれない。
それに引き換え、曲がりなりにも「大人」なってしまっていたミルドレッドは一筋縄ではいかぬ。怒りに囚われているところを、手紙、ディクソンの行動、ジェームズ君とのデート(と決裂)で心理が変化していく過程が大変よい。
最後は、ありゃ殺さねーな。彼らは怒りから少し解放されているように見える。
kosukeさん [映画館(字幕)] 9点(2018-05-20 00:08:42)
👍 2
53.ネタバレ 結論から言うと、大好きな映画。
死ぬまで記憶される映画の一つになった事は間違いない。

スリービルボードは「怒り」をテーマにした映画だ。
その中でも、特に大きな問題を抱えているのが、
フランシス・マクドーマンド演じるミルドレッド
サム・ロックウェル演じるディクソン

ミルドレッドは娘が殺され、その事件が解決されない事、警察が思うように仕事をしてくれない事に
ディクソンは、自分が大好きな署長を貶された事、それを実行した女、加担した若者に
そして彼らが、元々何かしら人間的に問題を抱えてたのも事実だ。
ディクソンも多くは語られていないが、かなり問題のある家庭で育っているようだ。
ミルドレッドも、ディクソンも、あの事件がなくとも、常日頃からどうしようもない怒りを抱えたまま生きている。

彼らは怒りを、直情的に何かに攻撃をする事でしか発散できない。
それは人間でもあり、モノでもある。

そして、田舎町が舞台であるから、人種や性別による差別の問題も色濃く残っており、
彼らの問題には拍車がかかる。

僕は、ディクソンがいつ感情を爆発させて、直接的な攻撃に出てしまうのか、
とてもハラハラしながら鑑賞していた。
案の定、広告社の若者に過剰な暴力を振るってしまう。

その結果は目に見えている。彼の同僚や上司も冷めた目線で彼を見る。
しかし、彼はいずれそのキれやすい性格のせいで、いつかは同じ運命を辿っていただろう。
感情に任せてあんな事をしなければ、と後から後悔する事になる。

だが、彼には救いがもたらされるのだ。
そしてミルドレッドにも。

物語の中盤、自殺したビル署長から手紙が送られてくる。
それを読んで彼は自分の中の良心に気付きはじめる。

ビル署長は、この映画では徹底して聖人君主だ。
僕が思うに、それは彼に死期がせまっていたからだと思う。
死ぬ時期が明確にわかれば人は変わる。
もし彼が末期癌ではなかったら、彼にも人間の悪の側面が残っていたのではないか。

彼の手紙がきっかけでミルドレッドもディクソンも少しずつ変わってゆく。

やけどを負って入院したディクソンは、同室のレッドに「すまない、悪かった」と謝罪を述べる。
映画を観てる人間は、そこでレッドがディクソンに対してどんな反応をするのか、ハラハラするだろう。
しかしレッドは彼にジュースを差し出すのだ。

僕はこの場面で涙が出た。

病気になったビル署長、怪我を負ったディクソンとレッド
単純に考えると、人間は弱くなってしまうと人に優しく出来るのかもしれない。

ミルドレッドもレストランで元夫と出会い、嫌味を言われる。
彼女はワインボトルを手に取り元夫がいるテーブルに向かう。
ここでも彼女はそのボトルで殴りかかるのでは・・・?とハラハラする。
しかし彼女はそうしない。
小さな変化ではあるが、彼女も変わったのだ。



ディクソンの行動により事件は解決に向かうかと思われた。
しかし、そうはならない。

ミルドレッドとディクソンは犯人かどうかもわからない人間を殺しに旅立つ。
2人とも乗り気ではない。

事件は何も進展しない。

だが、絶対に打ち解けられないと思っていた2人が同じ車に座り、笑いながら会話をしている。
それは、物凄く大きな進歩だ。

スリービルボードは前向きな映画。
人は変われるし、理解し合えると思わせてくれる。
南雲しのぶさん [映画館(字幕)] 9点(2018-03-08 03:33:22)
👍 3
52.ネタバレ 強い信念を持ち合わせた人間が
己の正義を盾にぶつかり合う物語。
その意外性と心打つ各俳優陣の演技により
近年稀に見る名作に仕上がっている。

特にサムロックウェル演じるディクソン。
後半の彼の「変身」に一杯食わされた。
こんな単純な男にここまで涙を流すとは思いもしなかった。

おそらく最後どちらの選択をとっても、
ディクソンとミルドレッドには
地獄が待ち受けているに違いない。
それでも、二人の心情の変化には何か希望を感じる。
[anger begets anger]
彼らの怒りに終止符は打たれた。
そして、怒りの連鎖は引き止められた。


先日2回目の鑑賞を決行したが、
同じ箇所で同じぐらいの量の涙を流してしまった。
こちらの作品に是非、アカデミー賞を勝ち取っていただきたい。
鈴木さん [映画館(字幕)] 9点(2018-02-28 21:26:29)
51.ネタバレ 「ゴーン・ガール」も同じフィクション映画だが、マスコミを多用してよりリアリティを持たせていた為に個人的には「ニュース」を追うようなイメージで世界観に没入できなかった(嫌いというわけではない)
やはり「ファーゴ」「ツインピークス」のように実話のように始まって物語の世界観を作り出してグッと引き込む映画が好きだ。
「スリー・ビルボード」もその部類に入るのではないかと思う。
よく考えてみれば「ありえない」行動や設定があるものの、物語には必要となっているのではないかと思える。
「ノーカントリー」のように、「これで終わりか?」と思えるような終わり方も今思えば良かった気がする。
好みもあるだろうが、私は上映中ミズリー州の片田舎にいた気分になった。
かのっささん [映画館(字幕)] 9点(2018-02-19 16:57:44)
👍 1
50.ある怒りに満ちた3枚の看板(メッセージ)を掲げた事から巻き起こっていくヘイトに満ちたドラマ。
問題提起から様々な中傷や煽りが当事者を襲うが、それに対して全くブレる事なく意思を貫く主人公が凄い。他を全く寄せ付けない存在感だ。

物語は決して被害者の味方をする訳ではなく、この事件に関わる全ての登場人物に対して平等な視線を投げかけており、かつそれぞれのドラマが決しておざなりにならず、微妙な絡み具合で展開していく為飽きさせないし、非常に観やすい映画だった。

時にこの映画の登場人物達は、常識人ならば理解しがたい行動を取るが人間とはそもそも予測不可能な生き物であるからこういう状況になってみないと何が正しくて何が悪いのかはもはや不明である。我々の常識でくくられる境界線が次第に揺らいでいく展開が面白い。

あと、とりわけフランシス・ マクドーマンドの演技が素晴らしかった。
ヴレアさん [映画館(字幕)] 9点(2018-02-06 14:42:00)
👍 2
49.アメリカの田舎町を舞台にしたサスペンス。
冒頭に映し出された3枚の広告からどう話が展開していくのか、先が読めないため、グイグイ映画に引き込まれていった。

登場人物のほとんどが、善悪(というか美点と欠点)が混淆した存在として描かれていて、
非常に泥臭い人物造形となっており、これもアメリカの田舎町の雰囲気とマッチしていて、印象深かった。

惜しむべくは、これだけ秀逸な脚本なだけに、物語のオチの部分、
もう少し踏み込んで描くこともできたのではないか、という思いもある。
ある意味で、最後は着地点をぼやかして映画を終わらせたようにも見える。
nakashiさん [DVD(字幕)] 8点(2022-02-16 07:13:00)
48.ネタバレ この先どうなるのか目が離せない筋立てだった。
署長、警官、母親のキャラクターがしっかりしていて、彼らと一緒になって悲しんだり、怒ったり、諦めたりができる上手い演出と配役。
署長が残したメッセージで、いけすかない警官が劇的に変化するのは少しやり過ぎな感はあるものの、暴走する若い警官のいい所を褒めて伸ばしてやろうとする署長の心意気に少し胸が熱くなった。
酒場の男が殺人犯であれば、カタルシスはあってもサスペンスとしては三流。でも、DNA鑑定の結果はシロ。
根底にあるのは、登場人物たちが、かけ違えたボタンを少しずつ直していくこと。
だから、たとえ真犯人が見つからなかったとしても、そのあとで寄り添える関係が大事。
屋根から投げられた兄ちゃんも、終始人から見下され、小男と呼ばれる男も、思いやりに溢れている。
殺伐としているけど、妙にあたたかい不思議な映画。
roadster316さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-03-21 10:40:22)
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47.ネタバレ アメリカ映画のジャンルの中で、私がもっとも怖いと思っているのは田舎町を舞台としたいわゆるスモールタウンものと呼ばれるカテゴリーでして、とくに南部が舞台となるとまたひとしおです。生まれた町や地域から一歩も外へ出てゆかず生涯を終えるような人がざらにいるお国ですから、みんな顔見知りで濃厚な人間関係でドロドロな生活なんて絶対に経験したくないもんです。 「娘を殺されてるのに捜査は行き詰まり、それでも執念で犯人を追いかける母親」となると我が国では拉致被害者の親族者たちがどうしてもイメージされますが、フランシス・マクドーマンドが演じる母親はけっこう粗野でがさつで独善的な感情移入できそうもないキャラです。日本と違って監視カメラなんてどこにもなさそうなド田舎で、遺留品も目撃者もいなかったら捜査が難航するのは至極当然。そしてまだ事件から9カ月しかたってないんだから、ウディ・ハレルソン署長があそこまで非難されるのはちょっと可哀そうな感じです。でもこのハレルソンが良いキャラなんですなあ、途中退場しちゃうけど本作で唯一最期まで感情移入できたキャラでした。サム・ロックウェルのキャラは「こんな警官、いるかあ?」と絶句しちゃうほどの凄まじさ、でも最近の米国での騒動からすると割とリアルなのかもしれません。この暴力警官がいい歳してママと二人暮らし、やっぱ彼はゲイだったということなんでしょうね。マクドーマンドが火炎瓶投げ込んだり、ロックウェルが犯人らしき会話をバーで聴くなど後半は思いもよらぬ展開だったかと思います。でも考えてみるとマクドーマンドもロックウェルもハレルソンの手紙を読んでからは、ガラッと迄もいかないにしても明らかに思考に変化が現れてきます。普通の映画ならロックウェルが採取したDNAが犯人逮捕につながるとかのカタルシスが待っているものですが、事件解決が何も見えないラストの展開なのに二人の心情の変化がカタルシスにつながるというのはこの脚本の妙味でしょう。でも実行したかは観客の想像に委ねられていますが、アイダホにDNAが一致しなかった男を殺しに行くラストだけはなんかしっくりこないんですね。実はアイダホの男が真犯人で軍が隠ぺい工作しているという穿った観方もあるようですが、うーん、それはちょっと飛躍気味だと思うしそうなると全く別のお話しになっちゃいませんかね。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-09-04 22:31:35)
46.ネタバレ 冒頭の3枚の看板のインパクトと主演の味のある演技で序盤は強く引き込まれましたが、中盤DV、人種問題などゴチャゴチャといろいろ絡め過ぎたせいで、本筋の娘の事件が霞んでしまったのが良くないと感じ1歩引いた感じになってしまった。が、そのままの感じでなんとく事件が解決して終わるのかと思いきや最後まるで予想してない終わり方でちょっとゾッとさせられた。この先の展開は見る人に丸投げになっていますので、人によってサスペンス、ヒューマンドラマ、ホラー?など様々なジャンルにその続きを変化させるのではないでしょうかね。個人的にはシャマラン監督のアンブレイカブル的なリアルヒーロー(特殊能力無し)の序章としてみるのもありかなと思いました。とにかくこんなに癖の強い映画だとは思ってもみなかったのでその意外性では楽しめた。
映画大好きっ子さん [CS・衛星(吹替)] 8点(2020-01-27 00:21:01)
45.ネタバレ やっと観る事が出来た。
アカデミー主演女優賞・助演男優賞獲得も納得の演技を堪能したが、本作は決して「観る事で前向きになれる」とか「観る事で嫌な事を忘れる」系の作品では無く、アメリカ南部に未だ色濃く残る人種差別、いや、本作の場合は「自分が認めないもの全てへの差別」を背景に、怒りの連鎖が生む悲劇を描いているので、観賞にはそれなりの気合と覚悟が必要だ。
本作の上手い所は差別が生む悲劇だけを取り上げているのでは無く、人間の優しさ・誰でも改心できるという気持ちをさりげなく描いている所で、他レビュアー諸氏も挙げておられる通り、オレンジジュースのストローの描写はとても良いシーンだし、自殺した署長の手紙を読んでからの作品のトーンの変化は劇的な程だ。特に私は終盤のサム・エリオットがマジックのふりをして容疑者と思しき男からDNAサンプルを取るシーンには、一種のヒーロー物を観ているかの様なカタルシスさえ覚えた。
だがしかし、本作の本当の持ち味は最後の最後まで希望に満ちた未来を提示しない事。
フランシス・マクドーマンドとサム・エリオットは容疑者と思しき男と「ケリを付ける」為、呉越同舟よろしくクルマでアイダホに赴く。
その後がどうなるかを観る側の想像に委ねる余韻を生む幕の引き方だが、よくよく考えてみると、ウサギの置き物を投げ捨て、バーで聞きたくも無い酷い事を自慢げに話していた容疑者と思しき男は(ここは私の推測を含むが)恐らく真犯人なのだろう。
だが、その男が中東派兵をアリバイにして軍部が犯罪を隠蔽しているかの様な事が暗に語られている事から、おそらくこの男はこれからも野放しで、
第二第三の犠牲者が出てくることは想像に難くなく、もしアイダホに向かう二人がこの男を殺す選択をした場合でも、彼らは軍人殺し(恐らくアメリカでは最も厳しく罰せされる筈)としてアメリカの法の下で罪人になってしまうのだ。
本作を通じて、アメリカと言う国は寓話的では有るが署長の様な善人は早死にし、本当の正義は施行されない「病みきった国」で有る事を思い知らされた。
監督や製作陣が本作で伝えたかった本当の思いはここにあったのでは無いかと私は思うのだ。
たくわんさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-09-25 17:42:45)
44.ネタバレ 人間関係が濃密で誰もがどこかでつながっている。
アメリカの小さな田舎町に事件が起こる。今までにいくつか、こういう映画を見た。
そして本作。何度も見返したい映画ではないですがこれは秀作だと思うし、
2人がアカデミー賞を受賞したのも納得の作品でした。
序盤から作品の中に様々な絶望や怒りが渦巻いている。それが次第にエスカレートしていく。
そんな中に効いてくるのが、末期癌に侵され絶望の末に自ら命を絶った署長が2人に残したメッセージ。
そして様々な怒りが渦巻いていた作品も少しずつ落ち着きを見せ始めます。
怒りだけでなく、色んな赦しもありました。この一連の流れがしっかりとしているいい脚本の映画を見たと思います。
最後も極端な行動に出ようとしている2人の姿でラストを迎えますが、最後に車中の2人がようやく穏やかな表情を見せる。
アイダホまで行くのか、途中で引き返すのかは分かりませんが、
どうするのかは「道々考えればいい。」2人の穏やかな表情に少し救われた気がしました。
とらやさん [DVD(字幕)] 8点(2018-12-23 20:35:18)
43.ネタバレ 良い映画だと思うし自分の好みの映画である。ボクにはスタートからやられてしまった。「悪いヤツだ」と思って観ている人物が「実は良い人だった」という展開なので気持ちよく観ていられる。「自分の娘がレイプされ死んで、その寸前のやりとりが痛烈に自分に突き刺さるという経験をすれば誰だってああいう人間になるよな?」と思うし、アメリカ映画によくあるストレートな所が無くイギリス映画の良い所をスパイスとして加えました的な感じが非常に良かった。最後の思わせぶりな展開も「多分この男がこういう事をして監獄に入るのは」と思う主人公が「やっぱり止めよう」って切り出すのは容易に想像できるし、あえて描かなくて観客の想像に任せるところが良い感じ。「起承転結の結が無くて起承転で突き放し後は「あなた勝手に想像してね?でもどういう展開になるか分かるでしょ?」という感じが良い感じ。ホントは10点にしたいんだけどまだ1回目だし今後どういう感じになるか分からないからとりあえず8点スタートです。
アマデウスga好きさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-12-22 01:29:23)
42.ネタバレ 小さな町で連鎖する怒りはどんどん大きくなって、どこへ向かうのか…。恐ろしい結末も頭をよぎる中、署長の遺書が今度は赦しの連鎖を生んだ。オレンジジュース差し入れのなんと感動的なことよ。善人の中の悪、悪人の中の善、いやこんな括り自体がナンセンスか。人間ってだいたいそんなもので、これは1000年前も1000年先も大して変わらないのだろう。まあ、一本の映画の中で多くのことが起こりすぎたと思わなくもないが、そのたび登場人物たちの色んな顔が見られた。人間模様の面白さを凝縮した2時間。俳優陣も素晴らしい。
リーム555さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-11-24 10:03:15)
41.ネタバレ 「序盤では悪役だと思ってたキャラクターが、途中から味方になる展開」ってやっぱり良い。
この映画は凄かった。映画の序盤に登場する主要人物たち。
彼らへ感じた最初の印象がストーリーの進行と共にどんどん変わってしまう。
ちょっとしたキッカケや立場が違うだけで、こうも人の見え方が変わるのかと唸ってしまった。
クズだらけの映画かと思いきや、人間的魅力に溢れた人々の映画だと思う。
Nigさん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2018-08-19 22:53:40)
👍 2
40.ネタバレ 最初は腐った警察と、被害者遺族の話かと思っていた。この映画に出てくる警察官はホントにクズで、南部のアメリカ人の意識って未だにこんななのかと驚いた。だが話が進むにつれ、これは憎しみが憎しみを呼び、不幸が不幸に連鎖して「怒りが怒りを来す」悪夢を描いた映画だと思った。はじめは真っ当だと思っていた主人公が、次第に悪事に手を染めていき、最初からろくでもない警官と思っていた男が少しまともになったかと思いきや最終的にとんでもない方向に転んだ、両者の結末が悲しい。いや、映画自体はそこまで描写していないが、そう思わせるラストが怖悲しい。
Tolbieさん [DVD(字幕)] 8点(2018-08-02 19:00:08)
39.この人達、好きになれないな・・・とか思って観てたんですけど、終わってみればみんな嫌いになれない人達でした。
タフネスさん [映画館(字幕)] 8点(2018-05-21 12:51:47)
38.ネタバレ あらすじからクライマックスまで飽きないテンポで非常に好みの映画でした。
頼むからこんなラストであってくれ。劇中何度願ったことか。
裏切るようなラストじゃなくて素直に嬉しい。
このスリービルボードは犯人を捜す映画でもないし、復讐劇でもない。
きっかけが娘のレイプ殺人であって犯人逮捕を願う母親を中心に様々な怒りが交差する人間ドラマなのだ。
人種差別が根強く残るこの腐敗した街で孤軍奮闘。つまらないわけがなかった。
主人公を務めたフランシス・マクドーマンドはファーゴ以来のご対面だが
強い女性を演じるところは色褪せることなくお見事でした。
mighty guardさん [映画館(字幕)] 8点(2018-03-21 23:32:16)
👍 3
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【点数情報】

Review人数 57人
平均点数 7.18点
000.00%
100.00%
223.51%
311.75%
411.75%
523.51%
6610.53%
71831.58%
81933.33%
9610.53%
1023.51%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.50点 Review2人
2 ストーリー評価 8.00点 Review4人
3 鑑賞後の後味 7.00点 Review4人
4 音楽評価 8.00点 Review2人
5 感泣評価 5.50点 Review2人

【アカデミー賞 情報】

2017年 90回
作品賞 候補(ノミネート) 
主演女優賞フランシス・マクドーマンド受賞 
助演男優賞サム・ロックウェル受賞 
助演男優賞ウディ・ハレルソン候補(ノミネート) 
脚本賞マーティン・マクドナー候補(ノミネート) 
作曲賞(ドラマ)カーター・バーウェル候補(ノミネート) 
編集賞 候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2017年 75回
作品賞(ドラマ部門) 受賞 
主演女優賞(ドラマ部門)フランシス・マクドーマンド受賞 
助演男優賞サム・ロックウェル受賞 
監督賞マーティン・マクドナー候補(ノミネート) 
脚本賞マーティン・マクドナー受賞 
作曲賞カーター・バーウェル候補(ノミネート) 

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