映画『誰も知らない(2004)』の口コミ・レビュー(2ページ目)

誰も知らない(2004)

[ダレモシラナイ]
Nobody Knows
2004年上映時間:141分
平均点:6.94 / 10(Review 196人) (点数分布表示)
公開開始日(2004-08-07)
ドラマ犯罪もの実話もの
新規登録(2004-05-28)【こじ老】さん
タイトル情報更新(2021-07-09)【イニシャルK】さん
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監督是枝裕和
キャスト柳楽優弥(男優)
北浦愛(女優)京子
木村飛影(男優)
清水萌々子(女優)ゆき
韓英恵(女優)紗希
YOU(女優)母・福島けい子
串田和美(男優)大家・吉永忠志
岡元夕紀子(女優)大家の妻・吉永江里子
平泉成(男優)コンビニの店長・中延司
加瀬亮(男優)コンビニの店員・広山潤
タテタカコ(女優)コンビニの店員・宮嶋さなえ
木村祐一(男優)タクシーの運転手・杉原
遠藤憲一(男優)パチンコ屋の店員・京橋
寺島進(男優)少年野球の監督
ささの翔太(男優)
脚本是枝裕和
音楽ゴンチチ
作詞タテタカコ「宝石」
作曲タテタカコ「宝石」
挿入曲タテタカコ「宝石」
撮影山崎裕
池内義浩(撮影助手)
製作バンダイビジュアル(「誰も知らない」製作委員会)
シネカノン(「誰も知らない」製作委員会)
テレビマンユニオン(「誰も知らない」製作委員会/製作プロダクション)
企画李鳳宇(企画協力)
プロデューサー是枝裕和
浦谷年良(アソシエイトプロデューサー)
川城和実(ゼネラルプロデューサー)
制作テレビマンユニオン(制作プロダクション)
配給シネカノン
美術磯見俊裕
三ツ松けいこ
編集是枝裕和
録音高橋義照(録音応援)
照明佐藤譲(照明応援)
その他シネカノン(宣伝)
あらすじ
福島けい子は、父親の異なる四人の子を持つシングルマザー。しかし子供たちを学校へは通わせておらず、彼らが近所の人に見つからないように気をつけながら暮らしていた。 実際にあった出来事をもとに、閉鎖的な状況下で生きる子供たちの姿を、生き生きと描く。
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💬口コミ一覧

176.これだよ、これ!
まさに時代を映す鏡の様な作品ですよ。
実話を題材にしててもちっとも違和感がない。
見てて悲惨云々より終始頷きっ放しでしたね。
実際に街の借家住まいなんてこんなもんです。
隣りに住んでる人とは挨拶を交わす程度しか会話がないし
下手をすると一度も顔を見ないまま年を越したりとか
正直どんな人が住んでるのかさえ判らない始末。
ホント世の中荒んでますなぁ・・・というのが私の感じた所。
実はこの観客一人々々の様々な捉え方を逆手に取った
問題提起の作品というのが本作品の真の狙いなのだと思いますな。
メッセージ・社会性等とは掛け離れた所に
本作のテーマが存在してるのだと思います。
目を背けてはいけません。これが現実なのだから。
sting★IGGYさん [DVD(字幕)] 9点(2005-09-21 23:06:01)
175.とても考えさせられる物語でした。 子供達の痩せ細り荒んでいく姿は、作られた物語なのか?、実はドキュメンタリーではないのか?と思えるくらいリアルです。 誰を憎み、誰を哀れんでいいのかさえ分からなくなってしまうほど、私の心情は混乱しました。子供を持つ親だからでしょうか?それとも親をもつ子供だからでしょうか?複雑な感情が湧き出て、何故かずっとドキドキが止みませんでした。 その後どうなってしまうのか気になって、この日はなかなか眠れませんでした。
smiLey'70さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-08-06 00:21:29)
174.重いです。とりあえず、これから親になる人には観てもらいたい作品です。4人の子役に各2点、監督に1点
やっぱトラボルタでしょうさん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-23 18:23:02)
173.やられた。自然光や日常会話的な台詞まわしなどの手法が、『ワンダフル・ライフ』のようなファンタジーにはハマっていたけど、この映画のストーリーにはちょっとリアルすぎて前半辛かった。けれども、後半は一気に印象が変わった。これは、単なる子どもを題材にした感傷的な話ではなかった。あの子どもたちの生活のように、この大人の世界の論理の隙間に「子どもの世界」が存在しているということが普遍性を帯びて見えてくる。自分の子ども時代の、些細な喜びとか、残酷さとかの「感覚」を久々に思い出した。それを可能にさせた是枝監督の演出も子どもたちの演技もすごい。前半は、ちょっと「あざといかな」と思った演出も、後半には見事なまでに映画の世界と一体化していた。これはたぶん、演出というよりは、子役たちのリアルな成長なんだろうなあ。あと、YOUのキャスティングもすばらしい。
ころりさんさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-05-16 01:44:01)
👍 1
172.断罪がない。そしてきっと、狭義においては功罪すらもない。それでいいと思った。充分だった。私が12歳の頃、世界には紗が掛かっていた。それこそまるで是枝監督の映像そのもののように。世界に、大人らに、日々不安感や失望感を覚えつつ、同時にそれらに対しての根拠のない柔らかな希望と嘱望があった。世界はいつも、柔らかな美しい皮膜を通して見えていた。いつの間にか映画館に、12歳の自分がいた。ある意味においては大人になった今の私よりも大人だったあの頃の自分が。世界の誤謬に対し、無意識的に断罪を忌避していた私が。そして、大人である監督は、この物語において、“確信的に”断罪を忌避した。その姿勢に賛同した。柳楽君の目に射抜かれた。何を思うかなんて、各々が考えればいい。それでいいじゃないか。「生きているのは大人だけですか」稀に見る秀逸なコピーだと思った。
ひのとさん [映画館(字幕)] 9点(2005-04-09 21:22:28)
👍 1
171.見終わって、何とも表現が難しい後味でした。
感動するではなく、色々な事を考えさせられるというか・・・
時間がたっても音楽や映像が頭に残りました。
特に明がゆきを連れて、帰ってこない母親を駅まで迎えに行って、戻ってくる際に「キュッ、キュッ」というゆきの靴の音が物悲しく響くシーンが印象に残りました。
2回目に見たら1回目と違いストーリーが分かっている分、悲しくなり、涙が溢れてきました。
人それぞれ、何かを考えさせられる映画だと思います。

ジムさん [映画館(字幕)] 9点(2005-03-13 10:28:40)
170.実話と言うこともあり、この物語から伝わってくるものは凄いものでした。もちろん、映画ということで実際の事件とは違う部分もあるんだろうけど。けれど、映画全体の静けさとYOUが演じる母親の明るさのギャップが凄い怖さを出していたような印象を受けました。とにかく、この作品は怖く、見終わってからもなかなか頭から離れませんでした。そして、子供達の力強さ、もろさ、そして、周りの大人たちの無力さなどがとてもよく表現されていたと思います。どう感じるかは自由だと思いますが、是非、現代に生きる色々な方に見てもらいたい作品だと思います。
シュシュさん 9点(2005-01-10 02:22:26)
169.実在の事件の「真実」が我々にとって意味するものとはなんでしょうか?。裁判の判決理由の事実認定さえも一義的には「真実」を明らかにしません。また、事件に利害関係のない私など大多数の人間は恣意的に、いいかげんに、無責任に事件を解釈評価します。つまり、乱暴を承知で言えば、こういう新聞に載った事件なんてのは「真実」など人の数だけあり、なおかつ所詮他人事なのです。誰もがあの兄弟たちのアパートの他の住人と同じです。この映画のヒューマニズムも傍観者は加害者というような説教的な意味では所詮無責任だと思うのです。極端な例えですが、我々があの子供たちを見る目とアフリカの餓死する子供たちを見る目はどう違うのでしょう?。本作には当事者を傷つけるという問題もあります。人物を美化したこの映画でさえも実在の当事者に対する私刑のような面を持つことは否定できないでしょう。罪を犯せば法や社会の公正なルールに則って罰せられるべきなのは当然ですが、あの母親も我々他人の無責任な正義感や義憤によって被害を受ける理由はないでしょう。この映画だって無責任な傍観者なのです。しかし、にもかかわらずこの映画のヒューマニズムにはワイドショー的義憤とは全く違う特別な何か、心に訴えかけるものを感じます。私は映画に引き込まれ、痛みを感じ、感動する他ありませんでした。本作は事件の裏に優しく居心地の良い美しい世界を見出しました。限りなく無条件に互いが信頼し愛し合う共同体はまるで一個の人格のように外部がズカズカ入り込むことで傷つき、外部を自ら拒絶します。あまりに危うく脆く痛々しいユートピア。見たことのない美しく同時に醜い不自然に閉塞した世界。無慈悲な仕打ちによって突き落とされたひどい生活の中にしかこんな世界は現れないという皮肉な逆説でしょうか?。事件について私はほとんど知りませんし、私のこの文章も無知のまま匿名で書く全く無責任なものです。私は他人事として、映画として、あの不思議な世界に感動するのみです。
しったか偽善者さん 9点(2004-12-15 00:02:40)
👍 3
168.かんじんの事件の部分がすっぱり抜けてるんで「この事件を忘れないでほしくて」という事を言っているらしいと見る前に聞いていたので、そういう目的ならむしろ舞台を変えてでも「その部分」を語るべきでは、特にこの主犯の少年は今は私と同じ30歳ちょっとらしい、同じ時代に机を並べていたかもしれないのに全く事件を知らなかったということもあって最初はそう思ったのだけど、「xxに捧げる」の一言で済ましてるものも多い中、むしろそんな一言もいらないくらいの作品。廃棄分の弁当を分け続ける店員、話を聞いても「そうなんだ・・」で終わってしまった店員、「俺ちゃんと避妊したから父親じゃないよ」は笑うとこじゃないような気が。きっと言い訳逃れな大人の象徴。大家に友達にそしてあの少女に。何か事件が起こるたんびにこう思うはずだ。隣人や近しい人たちのインタビューや話を聞いて、この人たちはなんで何も出来なかったんだろう、なにか気づいたはずだろう、どうしてこうなるまで・・ この周りを取り囲む人々に絶対自分はならないと言い切れるだろうか。私にも自信がないからこそ、「兄弟で一緒に暮らしたいから」と語る長男に惑わされちゃいけないと思った。それが彼らのためだと思いたい。なんてこと言うんだと思われても・・ 知っていても何もしなければ「誰も知らない」「何もしてない」のだと一緒。この問いかけに、時間を忘れた2時間ちょっとでした。
へろりうしオブトイジョイさん 9点(2004-12-04 21:44:43)
167.すごく良かった。これが率直な感想です。映画のテンポがたまらなく好き。ゆっり時間が流れているようだけど、実際には子供たちの体力はどんどん消耗されていき、精神的にも限界に近づいていると気づかせる、その映画全体の月日の流れの伝え方がとてつもなく上手いなと思いました。小道具も上手い。例えばマニキュア。お母さんがいなくなってから床にこぼれて固まったマニキュアを指でなぞる京子のシーンとか脱帽です。こんな風に名シーンを挙げていたらキリがないのですが、とにかく本当に良いんですよ!柳楽くんの演技は素直で好感が持てます。お母さん役のYOUさんもハマってるし、キャストもほとんど文句なし。そして私がもうひとつ気に入っているのは音楽。主題歌の『宝石』はあのコンビニのお姉さん役を演じたタテタカコさんが歌われているようなのですが、本当に切ない曲で最後の電車に揺られる2人のシーンのバックで流れている時とか私は泣きまくりでした。本当にこの映画にピッタリな美しい曲だと思います。もうこの映画を見てから3ヶ月近く経つのに、すべてが鮮明に蘇ってきます。本当にまた素晴らしい邦画に出会いました。
未歩さん 9点(2004-12-01 22:05:12)
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166.★実際にあった事件を元に作られた映画であるが、酷い部分は違う展開に置き換えられているし、いつか訪れるはずの結末も見せないで、綺麗な映画に仕上がっている。(心が痛くなるお話であるが、実際の巣鴨子供置き去り事件はもっと悲惨)
★脚本も良いし、子供達の演技も自然で素晴らしい。しかも全員平成生まれだよ、コンチクショウ。(若さへの僻みです。気にしないで下さい)
flyhighさん 9点(2004-11-30 17:08:24)
165.ネタバレ いろんな情報から絶対大泣きすると思ってタオル持って観に行ったんですよ、でも泣かなかった(not 泣けなかった)。登場人物に過剰な演技、台詞一切ありませんよね。現実には人ってこういう反応をするんだと思います。特にコンビニの店員の女の子が、明に「警察とか福祉事務所とか…」といったときに「離れて暮らすのいやなんだ、前にそんなことあったし…」と返されたときの演技、嘘くささが全くなかった。ということで、これはテレビマンユニオンお得意のドキュメンタリードラマですね、三つ子の魂百まで。そして現代にはそぐわないものを削ぎ落としていったと。是枝監督の作品はドキュメンタリードラマ的手法ばかりなのですが、今回はフィクションではない分それがより生きています。エンディングでカタルシス(意味わかんない人は調べてね)がないのは、あくまで主人公の子供たちの視点、感情がメインということで、観客が何らかの意味で納得することに比重をおかない演出意図だと思う。やり場のない感情ってみんな持ってるじゃないですか。ま、映画にはそれを昇華させる効用ってのもあって、アクション映画や昔のやくざ映画ってモロにそれなんですけど。冒頭にモノレールシーンを持ってきて、すぐに引越シーンに移行するところで明に経過した1年という長さがすぐわかるし、定点カメラの映像から様々な変化が見て取れるし、映像的にも優れてると思います。ベタな感動を求めるべき作品ではありませんし、第一カンヌでしかもタランティーノが評価したものにそんなもの期待するほうが間違いでしょ。
shintaxさん 9点(2004-09-30 17:36:00)
164.子供たちはこのあとどうなったのでしょうか?それは・・・誰も知らない。
アスモデウスさん 9点(2004-09-22 00:06:44)
👍 1
163.願った。コドモたちが幸せになることをひたすら願った。自分の無知、甘さが身に染みた。
ダージンさん 9点(2004-09-19 02:05:09)
162.ネタバレ 最後の30分くらいは、いつ、発覚するのかと思いながら観ていました。
おとなの手で助けてほしいと願いながら、同時に、だけど、発覚したらどうなるのか。
明は、京子は、何を思い、その先を、どんな風に生きていくのだろうかと。
とても静かな映画でした。子どもたちは、ほとんど話しをしません。
もっと怒ったり泣いたりしてもいい筈なのに、何も言わない。
唯一、おとなである母親に要求するのは、「いつになったら学校に行かせてくれるの」
勝手で子どもっぽい母でも好きだったから、たくさん我慢して、あきらめてきたのだろう、と。
セリフで語らない分、いろいろな気持ちが、子どもたちの目から伝わってきました。
でも、私はこの映画では泣きません。泣いて、感動して、終らせてはいけない気がするのです。
moguさん 9点(2004-09-12 00:29:18)
👍 1
161.ネタバレ 母親であるより女である方を選んだのか。子供より自分の幸せを選んだのか。今時のゆるいタイプの人間を、ゆるいキャラのYOUが適役とばかりに演じている。妹弟思いの明、その兄を支えるしっかり者の京子、腕白な茂、天真爛漫なゆき。自然な演技の子供達、リアルな情景と日常、ゴンチチの音楽、主題歌が秀逸。現実の事件はもっと酷かったけど、モチーフにしただけなら映画だけは兄弟みんなハッピーに終わって欲しかった。が、あえて撮った監督はこのような社会問題に真っ向から切り込んでいると思った。カンヌを獲った事で注目されている事もあり、この手の作品にしては劇場数も多い。たくさんの人に観てもらいたい作品。
ロカホリさん 9点(2004-09-07 02:09:37)
👍 1
160.ネタバレ 私達の過ごしている“当たり前な日常”が、なんて幸せなことなんだろう、と。
これが、映画を見終わって思った感想です。
私達にとって“当たり前の幸せ”が、あの子達にとっては“最高の幸せ”なのだと。

いえ、本当は私達全員がそうあるべきなのに、みんな忘れてしまっているんですね。
そんなことを気付かせてくれました。

子供たちが笑うたび、涙が溢れてどーしょもなかったです。。。切ない…!

しかし私は、母親が許せなくて仕方ないです。
大人は勝手だよね。
「じゃあ、私は幸せになっちゃいけないっていうの!?」
で、ホントもう胸が締め付けられそうでした。
子供にだって幸せになる権利はあるのに…。
あーもう上手く書けないや;;
とにかく、本当に心に残る映画でした。
タランティーノも見る目あるじゃん!(笑)
Ronnyさん 9点(2004-09-05 23:53:53)
159.目が覚めれば親が居て、食事が用意されている。そしてごく自然に学校へ行く。漠然とした日常の暮らしの中で、それらの事があって“あたりまえ”だと思っていた。だって、朝起きると親が居なくて、ご飯がなくて学校も行けないなんて、今の僕には想像もできない。これらの事がどれだけ幸せで、恵まれた事か、僕は知らず知らずの間に忘れていたのかもしれない。きっと日本に住むたくさんの子供達には、この映画の主人公達の想いは想像も出来ないだろうし、忘れてしまっていると思う。絶対に忘れては行けない事を忘れてしまっている。

この映画は胸が張り裂けそうなほど辛く悲しい。子供達が笑っている時でさえも・・・でもそこから学び、知るものがたくさんあった。それが“あたりまえ”の大切さ。今の僕にはもう、漠然とした毎日の“あたりまえ”が“あたりまえ”だなんて思えなくなった。そう、この映画に出会えたお蔭で。。。

素晴らしい映画には、いつも隠れたメッセージがある。でもメッセージがいつも、観た人全てに伝わるとは限らないし、届くメッセージも一人一人少しずつ違う。それが感想であり、意見でもある。僕に届いたメッセージは「“あたりまえ”を大切にする」という事だった。この「“あたりまえ”を大切にする」というメッセージは、できるだけ沢山の子供達に観て欲しい。言葉で言っても伝わらない事が、この映画には込められてる。だから観て欲しい。そして知って欲しい。たくさんの人々に。
ボビーさん 9点(2004-09-02 23:31:36)
👍 2
158.ネタバレ 幼い頃、母親の帰りが遅い夜、このまま帰ってこないのではないかと不安に襲われることがあった。根拠もないし、ただの幼い杞憂である。けれどその不安はいつもつきまとい、それはひどく恐ろしかった。  

物が溢れ、全てが揃っているような都会、しかしその都会のなんと生きにくいこと。部屋から出なければアパートの隣室に誰が住んでいるかも分からない世界。職も得られず、水も電気も断たれ、しかしそれでも懸命に生きていくきょうだいの強さに胸が熱くなる。だが、人が決して一人で生きられないのも事実。どんな形であれ手を差し伸ばしてくれる人がいるからこそ、初めて迎えることが出来る明日である。  

人は果てしなく強く、そして儚いほど弱い。人間の強さと弱さが、淡々と綴られる映像を通して交互に浮き彫りになり、この胸を強く締め付ける。息苦しいほどに静かな映画館で、子供たちの動作ひとつひとつから目を離せない。流れる音楽がはじめて、これが「映画」なのだと気付かさせてくれる。   

恐らくこの映画を観たほとんどの人がそうするように、自分もモチーフとなった置き去り事件について調べた。その”事実”は映画のそれと、特に後半部分は大きく相違していた。現実と映画とではやはり違いがあるのかもしれない。だが冒頭に記されていた「事実を基にしたフィクション」というから、いや、これが映画であるということだけで、部屋に差し込む温かい光が、額に輝く汗が、そして子供たちの眩しい笑顔こそが自分にとっての全てである。

劇場を出たところに、子供たちがそれぞれ笑っている大きなポスターが貼ってあった。それを見て、また涙がこぼれそうになる。思い出すのは、「警察に連絡したら」と聞かれた明が言った、「それだと4人で暮らせなくなる」という言葉。自分たちを置き去りにした母親を待ち続ける姿。ただ家族というだけで。そう、ただ家族というだけで。  

感動でもない。同情でもない。怒りでも、哀れみでも、喜びでもない。人間の感情はそれほど単純ではない。だから、自分はこの涙を忘れる気はない。
紅蓮天国さん 9点(2004-09-02 23:13:16)
👍 3
157.話自体はホントに救いようのない話。私自身、つらい話の映画は嫌い。けど、なぜかこの映画には惹かれるものがあって、見に行った。はじめは、ホントにつらくて「なんで見に来たのだろう」と後悔したけど、映画の中にドップリつかってしまっていたのは事実。最終的に見終わった後の気持ちは「穏やかな幸福感」と「どうしようもないやりきれなさ」が入り混じった感じ。凄く傷付いているのに、何故か幸せ。不謹慎かもしれないけれど、私はこの映画に暖かさとか日常の何気ない事の幸福感を感じてしまった。精一杯生きている彼らの強い目、笑顔、そこには悲しみだけじゃなくて強さみたいなのを感じたから。「誰も知らない」子供達だけの時間を少しだけ共有できたみたいな。私って、ひねくれてるのかなぁ。。。(^^;
コウさん 9点(2004-08-26 02:15:19)
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【点数情報】

Review人数 196人
平均点数 6.94点
021.02%
100.00%
242.04%
363.06%
4136.63%
5157.65%
62412.24%
74623.47%
84221.43%
93517.86%
1094.59%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.30点 Review13人
2 ストーリー評価 8.50点 Review16人
3 鑑賞後の後味 5.78点 Review19人
4 音楽評価 8.00点 Review20人
5 感泣評価 6.75点 Review16人

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