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 > かたゆき さんの口コミ一覧
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  テリファー 《ネタバレ》 
ハロウィンの夜、奇怪なメイクを施した狂気のピエロがやってくる――。内容なんてほぼなし、そんな殺人ピエロがただひたすら人を殺しまくるのを徹底的なグロテスク描写満載で送る、もはやB級ですらないC級映画。こーゆー低予算を逆手に取って、それでも映画への愛だけを武器に、観客にとにかく楽しんでもらおうという作品って結構ありますけど、本作はその中でもかなりレベルの低い内容でした。とびかくセンスゼロ!!キレのいい演出も観ている者を惹き込ませるような映像も一周廻ってもはや笑けてきちゃうようなぶっ飛んだ展開も、な~~~んもありません(笑)。最後までばっちい映像がひたすら垂れ流されるだけ。観るだけ時間の無駄のう〇こ映画でありました。終わり。
[DVD(字幕)] 2点(2023-12-27 07:48:28)
2.  ディープエンド・オブ・オーシャン 《ネタバレ》 
3人の可愛い子供たちに恵まれ、現在子育て真っ最中の専業主婦ベス。手のかかることも多いが、優しい夫にも助けられ幸せいっぱいの充実した毎日を送っていた。そんな彼女をある日、悲劇が襲う。子供たちを連れて高校の同窓会に出席した際、ちょっと目を離したすきに3歳になる次男ベンが迷子となってしまったのだ。当初はすぐに見つかると思っていたベスだったが、何処をどう捜してもベンの姿は見つからない。友人たちの助けでテレビでの公開捜査に踏み切るも何の手がかりも得られることなく、時間だけが空しく過ぎてゆく。罪悪感と喪失感からふとした瞬間に半狂乱となるベス。次第に険悪となってゆく家族。失踪から1年が過ぎたころ、ベスは残された子供たちのため気持ちに区切りをつけることを決意するのだった――。9年後、成長した長男や長女とともに穏やかな日々を過ごしていたベス。それでもベンのことを1日たりとも忘れたことはなかった。そんなある日、ベスはたまたま近所の少年を目にした瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けるのだった。その男の子は自分が思い描いていた成長したベンと瓜二つだったのだ。果たして彼は本当に9年前にいなくなった我が子なのか?警察とともに少年のことを調べ始めたベスはやがて衝撃の事実に辿り着く……。失踪した我が子を巡って人生を翻弄される母親の苦悩を描いたヒューマン・ドラマ。非常に丁寧に描かれた作品で、冒頭から流れるように続く子供失踪までの過程にまず惹き込まれました。その後、3歳の子供がいなくなってからの母親の苦悩はとてもリアルで、ミシェル・ファイファーの抑えた熱演の力もあり、見ていて痛々しいくらい。夫や残された長男の苦しみなども抜かりなく描かれており、この監督の演出力の高さは相当なもの。特に、自分のせいで弟が居なくなってしまったと自らを責める一方、弟一辺倒で自分を二の次にする母親に反発する長男の哀しみはダイレクトに伝わってきました。ただ、これはきっと意図してのことだと思うのですが、良くも悪くも軽いんですよね、この作品。心に重くのしかかってきそうなシーンもそうなる直前くらいにすぐ別の場面へと移行する。最後まで流れるようにテンポよく進んでゆく。きっとそれがこの作品の美点だと思うのですが、自分はもう少し魂を震わすような圧倒的な現実を見せつけるような物語が好みですかね。それは失踪したかもしれない次男が9年後近所で見つかるシーンで顕著になります。真相はネタバレになるので避けますが、いや、さすがに偶然が過ぎるんじゃないですか。そこの部分もちょっと引っかかってしまって、僕はどうにも物語に入り込めず。途中からほとんど出てこなくなる妹の存在も気になりました。と言ったわけで完成度は確かに高いとは思うのですが、好みの問題もあり自分はそこまで嵌まれませんでした。
[DVD(字幕)] 6点(2023-01-19 07:30:22)
3.  ディア・エヴァン・ハンセン 《ネタバレ》 
親愛なるエヴァン・ハンセンへ。今日はきっと君にとって素晴らしい一日になる――。内向的で誰にも心を開けない孤独な高校生、エヴァン・ハンセン。精神的に不安定で抗鬱薬を手放せない彼はある日、カウンセラーに言われるまま、自分へと手紙を書いてみる。それは誰にも読まれることなく自分だけの手紙になるはずだった。ところがその手紙は、学校一の問題児として有名だったクラスメイトのコナーが偶然手に取ってしまう。薬物を濫用し、ことあるごとに暴力沙汰を起こすコナー。そんな彼に当然、エヴァンは返してもらうように言う。ところがコナーは、馬鹿にしたような態度で手紙をポケットに仕舞うと、その場を去ってしまうのだった。数日後、エヴァンは学校から衝撃的な事実を知らされることに。なんとコナーは、長らく苦しめられてきた薬物依存の後遺症から自ら命を絶ってしまったのだ。そして、彼の唯一遺された形見はポケットに仕舞われていた〝親友〟への手紙だった――。それは自分が書いたもので、彼とは親友でも何でもない。哀しみに暮れ、エヴァンのことを息子の唯一の親友だと思い込んだ両親に、彼はそんな真実を言うことが出来なかった。さらにはコナーの妹ゾーイに密かに想いを寄せていたエヴァンは、自らが書いた文章を彼からのメールだと偽って両親に見せてしまう。すぐにばれるような些細で杜撰な嘘。だが、彼の唯一の〝親友〟として追悼集会でスピーチした彼は、精神的に苦しむ人たちの共感を一気に受け、次第に時の人となってしまう……。孤独で内向的な青年がついたとある嘘を巡り、現代社会で生きづらさを抱えた人々の間に拡がってゆく波紋を瑞々しく描いた青春ミュージカル。監督は、決して特別ではない人々の人生の光と影を美しい映像の中に描き出すスティーブン・チョボスキー。いかにも彼らしい、キラキラと光り輝くような映像と観る者の心に直接訴えかけてくるような音楽の融合は素晴らしかったです!薬物依存、発達障害、家庭内暴力、そして自殺……。ともすれば非常に暗くなりがちなこれらのテーマをあくまで明るくポップにミュージカルとして描くという離れ業を、決して嫌味にならず映像化してみせたこの監督のセンスには素直に脱帽です。見事な歌唱力を披露してくれた主人公は当然のこと、脇を固めるジュリアン・ムーアやエイミー・アダムスというベテラン勢もいい仕事している。彼が思わずついてしまった嘘は確かに許されることではない。それでも自分も若ければ、まして恋焦がれる女の子の気を惹くためなら同じことをしたかもしれない。そう思わせるところも巧い。彼の嘘がいつばれるのかとひやひやしましたが、この痛々しさもまた青春あるある。若いころ、自分も同じような失敗をいっぱいしてきましたしね。最後、全てを失ってもそれでも前を向いて生きていこうとする主人公には思わず共感。人は誰しも弱い生き物で傷つくことで成長してゆくのだということを改めて教えてくれる、青春ミュージカルの佳品でありました。お薦め!
[DVD(字幕)] 8点(2022-05-18 05:12:53)
4.  DUNE デューン/砂の惑星(2021) 《ネタバレ》 
広大な銀河を支配する帝国の片隅にある、砂漠に覆われた小さな惑星デューン。宇宙空間の高速移動に欠かせない香料を唯一算出するこの惑星を巡り、強大な権力を有する皇帝とこの地を新たに統治することになった地方貴族アトレイデス家の間にきな臭い空気が漂い始める。やがて皇帝と結託したこの地を今まで支配していたハルコンネン家の陰謀により、アトレイデス家の当主は暗殺されてしまうのだった――。残された彼の一人息子であるポールは、命からがら母とともにデューンの砂漠地帯へと逃げ延びることに。そしてその地には、砂漠の中に住む強大な砂蟲を神とあがめる誇り高き先住民族たちが暮らしていたのだった……。壮大な世界観を有するSF小説の古典的名作を、独自の手法でこれまでにないSF映画を幾つも手掛けてきたドニ・ヴェルヌ―ヴ監督が実写化したという本作、何かと話題だったので今回鑑賞してみました。いやー、この監督の演出は相変わらずくどい!!重厚で細部まで作り込まれた独自の世界観やスタイリッシュながら重々しいアクション・シーンなどは確かに見応えありましたけれど、ストーリーが余りにも静かに淡々と進んでゆくため自分は途中で何度かうつらうつらとしてしまいました。面白いっちゃ面白いんですけど、退屈っちゃ退屈。ヴェルヌ―ヴのこれまでの作品ってその両者のせめぎ合いの中で、最後まで観ると結果面白さの方が勝つというのがパターンだったんですけど、今回はぎりぎり退屈さの方が勝ったかなという印象。壮大なシリーズの幕開けということで仕方ないのかな。まあ次作に期待ということで。
[DVD(字幕)] 6点(2022-03-24 06:32:22)
5.  デッド・ドント・ダイ 《ネタバレ》 
舞台は、アメリカのとある小さな田舎町。そこに突如として大量のゾンビたちが出現する。突然のことに町の住民たちはただただ右往左往するばかり。果たして彼らの運命は?平和な田舎町に巻き起こったそんな一大騒動をゆるーいテイストで描いたゾンビ・コメディ。監督は、インディペンデント映画界の名匠ジム・ジャームッシュ。キャストには、アダム・ドライバーやビル・マーレイ、イギー・ポップといった彼の作品ではお馴染みの新旧常連組が名を連ねております。この監督の魅力って、「基本退屈なんだけど、なんだか癖になる面白さがある」だと思うんですけど、残念ながら今回は退屈さの方が勝っちゃってますかね。アダム・ドライバーとビル・マーレイのメタ的な会話とかティルダ・スウィントンの似非ジャパニーズ、そしてコーヒー大好きなイギー・ポップゾンビ等々、全体に散りばめられたネタが若干すべってましたし。まぁいかにもジム・ジャームッシュらしい、このゆるーい雰囲気は嫌いじゃないんですけどね。
[DVD(字幕)] 5点(2021-02-27 02:22:24)
6.  デビル(2010) 《ネタバレ》 
それは、何処にでもあるような日常のとある一コマだった――。大都会の一等地に聳え立つ超高層ビル。上層階へと向かうエレベーターの一室に、偶然乗り合わせた五人の男女。年代も人種も職業も違い、まったく共通点のない彼らはただ偶然そこに居合わせただけだった。だが、その狭い筐体は動き出した直後、原因不明の不具合を起こし、すぐに動かなくなってしまう。どのボタンを押してもうんともすんとも言わず、唯一のドアはどれだけ力を加えても一向に開かない。警備員室へと繋がるマイクにいくら訴えても、向こうはただ落ち着いてくださいと繰り返すばかり。室内には不穏な空気が流れ始め、徐々に混乱してゆく彼ら。一瞬の停電のあと、とうとう第一の犠牲者が出てしまうのだった。果たして犯人は誰なのか?やがて彼らは気づくことになる。この事態の裏側には、超自然的な力が動いていることを……。とあるエレベーターの一室に閉じ込められた、何の関連性もなさそうな人々の駆け引きを描いたシチュエーション・スリラー。明らかに低予算で作られたであろう、いかにもB級なそんな本作、制作を務めるがとにかくアイデア一発勝負で映画を撮り続けるM・ナイト・シャマランということで、さして期待せずに今回鑑賞してみました。ところがどうして、これがなかなか見応えのあるスリリングな密室劇に仕上がっていて、僕の先入観はいい意味で裏切られましたね。とにかく緊迫感の煽り方が抜群に巧い!!こーゆー映画にありがちな、舞台はこの密室の中だけ、ストーリーを登場人物のやり取りのみで強引に押し進めたりせず、ちゃんと外部の視点も取り入れているのが大変グッド。おかげで物語にメリハリがつき、最後まで飽きさせません。がっつりオカルト要素を取り入れているのも最初はどうかなと思ったんですが、それも自然であまり違和感を感じませんでした。物語の焦点となる、密室内に閉じ込められたこの五人のうちの誰が悪魔なのかというミステリーの見せ方も巧い。ビル内に徐々に混乱が拡がってゆくとこなんて、なんだかパニック映画のような趣さえありました。この五人のキャラもそれぞれ個性的でちゃんとキャラ立ちしているところも良かったですね。あのおばちゃんが急に立ち上がってきたときは、「どひゃあ~」と思わずのけぞっちゃったし。最後のオチは若干強引で力技で押し切られた感はありましたが、総じて満足度は高い。うん、なかなか面白かった。7点!
[インターネット(字幕)] 7点(2021-01-05 01:04:29)(良:1票)
7.  ディストピア パンドラの少女 《ネタバレ》 
そこでは最後に残された唯一の希望さえ、今にも消え去ろうとしていた――。謎の伝染病が蔓延し人類の大半が狂暴な化け物〝ハングリーズ〟と化した近未来。人々は強固なフェンスを張り巡らせその中で何とか身の安全を確保していた。軍部が管理する完全に外部と隔離されたその施設内で暮らす11歳の少女メラニーもまた、深い絶望の中に生きていた。彼女をはじめとする十数人の子供たちは常に独房に監禁され、外へと出る際は完全拘束された状態でしか許されなかった。何故なら彼女たちもまた謎の病原菌に汚染されているから。そう、彼女たちは〝ハングリーズ〟でありながらも思考能力を残している新種なのだ。彼らこそワクチン開発の決め手となるかも知れない唯一の希望だった。だが、優秀な科学者のもともう少しで人類の未来を取り戻せそうになっていた矢先、とうとうハングリーズたちによってフェンスが破られてしまう……。滅亡の危機に瀕したそんな未来社会で、明日の光を求めて彷徨う人々を描いたサバイバル・スリラー。といういかにもベタな設定の典型的なB級ゾンビものだと思って観始めたら、意外や意外、なかなかしっかりとした内容でけっこう面白かったです。特にこの人々がゾンビ化する謎のウィルスの発生源がある種のキノコというのは良いアイデアですね~。最後、このゾンビたちを栄養源としていた菌が発芽し、巨大なキノコとなって今にも胞子を撒き散らそうとしているというシーンは絶望感マックスで大変グッド。それに、大量のゾンビたちが徘徊する世界でのアクションもちゃんとツボを押さえていてなかなか楽しい。主人公であるメラニーも保菌者なので、いつゾンビ化してもおかしくないというのも緊迫感があって良かったです。ただ惜しいのは、ここまで徹底的に考えられた設定で始まったお話なのに、後半から徐々にその設定に綻びが出ちゃうところ。まず、日中立ったまま寝ている彼らの近くで間違って音を出しちゃったのに、それに気づくゾンビと気づかないゾンビがいるというのはおかしい。後半、普通に思考能力が残った子供ゾンビが急に出てくるのですが、彼らの存在に一切説明がなかったのも残念。ここら辺の脚本上の詰めの甘さをもう少し何とかしてほしかったかな。とは言え、最後のパンドラの箱の暗喩もばっちり決まってたし、絶望的な世界観もしっかり作り込まれていたし、主人公もけっこう魅力的だったしで、まずまず満足の内容でありました。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-11-19 23:37:41)
8.  TENET テネット 《ネタバレ》 
時間と空間の魔術師、クリストファー・ノーラン監督の最新作を観てきました!!正直、内容の方はほとんど理解できなかったけど、「なんか凄い映画を観てしまった!!」感はビシバシ伝わりました!!その全体的な密度の濃さには素直に圧倒されたので、取り敢えず今は8点!レンタルされたもう一度見て、内容を確認してみます~。それで10点になるか6点になるか、どちらもあり得るのがまた凄い…。
[映画館(字幕)] 8点(2020-10-17 22:30:21)
9.  テッド・バンディ(2019) 《ネタバレ》 
エド・ゲインやジェフリー・ダーマ―と並び称される、猟奇殺人鬼界のスーパースター、その名もテッド・バンディ。分かってるだけで30人以上の女性を殺し、そのチャーミングな蝶ネクタイ姿で多くの女性を虜にした彼の驚きの半生を長年、彼と連れ添った妻の視点から描いたヒューマン・ドラマ。一言で言うと、非常に物足りない作品でしたね、これ。まあ意図してやってるんでしょうけど、彼の殺人シーンを一切描かなかったのはやはり失敗だったんじゃないでしょうか。おかげで何を描きたかったのか、その焦点が最後まで一切絞られることなくなんとも中途半端なまま終わっちゃいました。彼の妻?との愛憎渦巻く特殊な関係性を描くにしても踏み込みが甘いと言わざるを得ません。せっかく狂気と一途な愛情が同居する稀代の殺人鬼という魅力的な題材を扱っているのに、何とも勿体ない。それにしてもこのテッド・バンディの裁判がここまで世間に公開され、しかも実際の映像がこんなに残っていたなんて知りませんでした。なんだか彼のことをもっと知りたくなっちゃいましたわ。という訳で、彼のその類稀なる数奇な人生を知れたというだけでも本作の価値はあったのかも知れませんね。
[DVD(字幕)] 5点(2020-08-30 00:43:35)
10.  ティーンスピリット 《ネタバレ》 
イギリスの小さな島で貧しい母子家庭に暮らす17歳の少女、ヴァイオレット。歌うことが大好きな彼女は、週末ごとに場末の酒場で酔っ払い相手に歌声を披露していた。だが、ほとんど人生にくたびれた親父ばかりで彼女の歌なんて誰も真面目に聴いちゃいない。保守的な母親は、そんな彼女に小言ばかり。溜息ばかりの鬱屈した日々を生きていたヴァイオレットはある日、この島でテレビの大型オーディション番組「ティーンスピリット」の予選があることを知る。「誰でもいい、私の歌を真剣に聴いてほしい」――。退屈な日常から逃れるかのように会場へと向かった彼女は、思いっきり歌声を披露し、無事予選を通過するのだった。だが、二次予選に出場するには保護者の同伴が条件。仕事が忙しい母親にはとても頼めない。酒場で唯一自分の歌を真剣に聴いてくれていた、酒浸りの元オペラ歌手にマネージャーとして付いてきてもらうように頼み、ヴァイオレットは急いで会場へと向かうのだった。そしてそれが彼女の人生を大きく変えることに……。地方でさえない日々を送っていたティーンエイジャーが、持って生まれた才能だけを武器にスターへの階段を昇っていく姿を描いた青春サクセス物語。僕のお気に入りの若手女優エル・ファニングちゃんが自らの歌声まで披露しているということで今回鑑賞してみました。正直、ベッタベタでしたね、これ。何処かで見たようなストーリーに何処かで何度も聞いたような楽曲の数々、そしてステレオタイプな登場人物たち……。もう何もかもが薄っぺらいです。人気歌手のMVを引き延ばしたものに毛が生えた程度のものでしかありません。だいいち、この酒浸りの元オペラ歌手にどうしてそこまで主人公が肩入れするのか、さっぱり説得力が感じられない。このおっさん、偉そうなこと言って車出してるだけで大したこと何もしてませんって。致命的なのは、最後、この大会の決勝戦で彼女が歌う曲が一切心に響かないという、ね(笑)。とはいえ、主役を演じたエル・ファニングちゃんは終始キラキラしててもう可愛いったらありゃしなかったです。彼女の胸ポチTシャツ姿なんてサイコーでした。という訳で、毒にも薬にもならないぶん最後までストレスなく観ていられるし、彼女のイメージ・ビデオとしてなら充分楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2020-08-27 22:06:40)
11.  デス・ウィッシュ 《ネタバレ》 
彼の名は、ポール・カージー。優秀な外科医として総合病院に勤務する彼は、愛する家族とともに幸せな生活を送っていた。だがある日突然、家へと押し入ってきた強盗団によって妻を殺され、一人娘も瀕死の重傷を負わされてしまう。巧妙な犯人たちはほとんど証拠も残さず、金庫の中身を持ってまんまと逃走。すぐに捜査は開始されたものの、警察は続発する凶悪事件に忙殺され犯人は一向に捕まらない。哀しみに暮れるカージーはやがてある一つの決断を下すのだった――。「法律など何の役にも立たない!ならば、俺の手で世に蔓延る悪を裁いてやる!!」。目深にフードを被り、慣れない銃を手にしたポール・カージー。夜の街へと繰り出した彼は、野蛮な犯罪者どもを次々と血祭りにあげていくのだった。そんな彼のことを撮影した動画がSNSを中心に拡がってゆき、やがて彼は街のヒーローとして人気を得ていく。そんな折、再び手術室へと戻った彼の元に、なんと亡き妻の時計をしたチンピラが運び込まれてきて…。愛する家族を奪われた外科医の血に塗れた復讐劇をハードに描いたバイオレンス・リベンジ・アクション。復讐に燃える主人公を演じるのは人気俳優ブルース・ウィリス、監督はどぎついバイオレンス&グロ描写で独自の地位を築いた鬼才イーライ・ロス。ハリウッド資本の影響だろうけど、この監督の良くも悪くも持ち味であるそのあくの強い演出は今回は控え目でした。なので、僕はそこそこ楽しめたかな。まあ、ベタっちゃあベタですけど、分かりやすいストーリーテリングやキレのいいアクションなどはぼちぼちのクオリティ。ブルース・ウィリスが全く外科医に見えないのはご愛敬ですけどね。ただ、新しい部分は一切ないので、三日も経てばほとんど内容を忘れてしまうだろうことは自信を持って言えます(笑)。結論。ヒマつぶしで観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2019-11-04 21:56:15)
12.  ディザスター・アーティスト 《ネタバレ》 
2003年、誰にも注目されずひっそりと単館上映された映画『ザ・ルーム』。だが、そのあまりにも支離滅裂な内容とあまりにも意味不明な演出の数々とあまりにも大根な役者の演技等によって、今世紀最大の駄作として評判を呼び、今やカルト作として一部で熱狂的な支持を得るに至っている。本作はそんな珍作の監督・制作・主演を果たしたトミー・ウィソーとスタッフたちの波乱に満ちたその撮影現場を描いたスラップスティックなコメディ。恥ずかしながら、僕はこの作品も監督を務めたウィソーのことも何も知らなかったのですが、いやー、良い感じのバカですね~、この人。有り余る自信だけは誰にも負けないけど、才能は欠片もない。現代のエド・ウッドとも呼ぶべき、そんな愛すべきバカなんですけど、奇跡的に何故か金だけは無尽蔵にあった。なので何億も掛けてこの映画を製作することが出来たのだけど、周りの人間にしてみたらほんと迷惑千万ですよね。途中から完全に駄作となると分かっていながら最後までこのバカに付き合わざるを得なかった、周りのスタッフたちの労力を思うとご愁傷様という言葉しか出てきません。でも、客観的に見るとなんか面白い。自分の信念に従って頑張ろうとすればするほど空回りするその姿はコメディの原点かも知れませんね。自分で書いた脚本なのに台詞をなかなかちゃんと言えず、何十テイクも撮影を重ねるなんてあり得ます?おかげで周りのスタッフたちの方が完璧に台詞を復唱できちゃうシーンには笑っちゃいました。そして紆余曲折の末になんとか完成し、盛大に金をかけて決行されたプレミアム試写会での失笑の嵐には、逆に変なカタルシスがありましたね。居合わせた主演女優の「これっていつまで続くの…」や「駄作だと思う俺が変なのか?」という言葉には笑わざるを得なかったです。いやー、なんかこの『ザ・ルーム』って映画、逆に観たくなっちゃいましたわ。うん、なかなか面白かったっす!!7点!!
[DVD(字幕)] 7点(2019-06-01 21:38:26)
13.  デトロイト 《ネタバレ》 
1950年代、デトロイトで実際に起こった暴動を背景に黒人と白人との埋めがたい溝を描いた社会派ドラマ。いかにもキャスリン・ビグローらしい全編を貫く緊張感は確かに凄いとは思うのですが、いかんせんストーリーが弱い。実話と言ってもこれは一方の側の意見のみを全面的に取り上げた内容なわけで、実際どうだったのかは正直藪の中なわけじゃないですか?もう少しそこら辺の事情を汲めるような取り上げ方は出来なかったものか。例えば、もっと白人の側に立った人間の視点を取り入れてみるとか?じゃないとこのラストはかなり救いがなさ過ぎて、なんかモヤモヤした後味の悪さが残るのでちょっとしんどいです。迫力のある映像や分かりやすいストーリーテリングなどはさすがの安定感だっただけに惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2018-11-02 22:41:31)(良:1票)
14.  DEMON デーモン 《ネタバレ》 
舞台はアメリカのとある寂れた田舎町。保安官でも手を焼くほどの悪逆非道ぶりから地域の人々に恐れられている一人の男、ブラックウェイ。母親の死をきっかけにこの地に越してきたリリアンは、そんな彼に目を付けられ様々な嫌がらせを受けることに。ほとほと困り果てるリリアンだったが、保安官をはじめ住民の誰もが彼の復讐を恐れて彼女の声など聞いてくれない。だが、年老いたレスターという男だけがそんな孤立無援のリリアンに救いの手を差し伸べてくれるのだった。どうやらこのレスターも過去にブラックウェイと何らかの因縁があったらしい。神出鬼没のこの悪魔のような男と交渉するため、彼女たちは閉鎖的な町を捜しまわるのだったが…。アンソニー・ホプキンス&レイ・リオッタ共演ということで今回鑑賞してみたのですが、これがびっくりするくらいつまらない作品でした。内容としては、この二人の主人公(あと吃音の若い男も)が、ひたすらこのブラックウェイという男を捜しまわるだけのお話で最後まで地味で退屈極まりない。正直、眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。肝心のこのブラックウェイという男の存在も、どうして彼がそんなに地域社会から恐れられているかという説明がほとんどないせいで説得力が微塵も感じられません。おかげでサスペンスがさっぱり盛り上がらない。最後は、無事に復讐?を果たせて呆気なく終わるという捻りも何もない展開。あと、被害者の女性がけっこう残念なルックスなのもどうかと…。どうしてこの人にブラックウェイがそこまで執着するのかちょっと理解出来ないですし。結論。アンソニー・ホプキンスが出てるとはいえ、正直観るだけ時間の無駄の凡作としか思えませんでした。残念!
[DVD(字幕)] 3点(2018-05-07 00:13:05)
15.  ディバイナー 戦禍に光を求めて 《ネタバレ》 
第一次大戦終結から数年後、オーストラリアの寂れた田舎町でとある一人の男の妻が自らその命を絶つ。原因は、激戦地となったトルコ・ガリポリで、兵士として派遣されていた3人の息子たちを全てなくしてしまい深く心を病んでいたから。息子も妻も何もかも失ってしまった夫のジョシュアは、せめて息子たちの骨だけでも妻のそばに埋めてやりたいとトルコ行きを決意するのだった――。訪れたかの地、言葉も文化も宗教も何もかも違うかつての敵国でジョシュアは当然のように途方に暮れてしまう。だが、偶然泊まることになった宿屋で彼は同じように夫を亡くした美しい未亡人と出会う。彼女の手助けもあって、何とかガリポリに辿り着いたジョシュアは、そこで衝撃の事実を知るのだった。なんと長男アーサーが敵の捕虜となり、もしかしたら今も収容所で生きているかもしれないということを……。歴史の荒波に翻弄され続けたとある一人の男の人生を雄大に描いた大河ドラマ。ラッセル・クロウが監督・主演を務めたということで今回鑑賞してみました。結論を言うと、なんというか、ぬるーい映画でしたね、これ。とにかくご都合主義のオンパレード。一民間人が簡単に軍管轄の激戦地に赴いたまではまあ良しとしても、さすがにかつての敵国の将軍がいくら主人公の境遇に同情的だからと言ってあそこまで協力的になるなんてあり得ないでしょ。そして、息子の消息を探るのに主人公が何の前振りもなくいきなり超能力的な力を使った時は、さすがに失笑しちゃいました。まあそこらへんも百歩譲って納得するにしても、やはり本作の最大の突っ込みどころはR・クロウ演じるこの主人公のびっくりするほどの軽薄さでしょう。だって、三人の子供も亡くし嫁も自殺で失ったというのにこの主人公、一向に悲しんでる素振りが見えないんですよ。挙句、偶然会ったばかりの宿屋の未亡人と良い感じになるって…。あんた、この前嫁自殺したとこで、しかも息子の消息を探りにトルコに来たんちゃうんかい!!なに未亡人とイチャイチャしとんねん!!ってキレそうになりました(笑)。ロケ地となったブルー・モスクの荘厳さに+1点。
[DVD(字幕)] 4点(2017-03-28 22:13:29)
16.  デッドプール 《ネタバレ》 
ちょい悪ヒーロー、デッドプールが好き勝手に悪態をつきながら、画面狭しと大暴れするアンチ・スーパーヒーロー・アクション。冒頭から、一癖も二癖もありそうな自己中ヒーロー・デッドプールが爽快に敵の皆様をぶっ殺しまくる超かっちょいいアクションシーンの連続に、見ている僕のテンションは否が応にも高まってゆくのでした。いまやハリウッドを席巻する勢いの寡黙に悪と戦うスーパーヒーローたちを徹底的に茶化すかのようなデッドプールの軽快なノリに、「お、これはもしかしたら傑作かも」と僕は終始ワクワクしっぱなし。うん、途中まではね…。と言うのも、デッドプールが敵と戦う理由が明かされてからはその悪ノリぶりがどんどんと失速し、中盤以降はいたって普通のヒーローものになっしまって僕の期待はものの見事に外れてしまいました。だって、「愛する人を救うために悪と戦うヒーロー」って全然ふつうですやん。このちょい悪ヒーローというナイスな設定が全然活かされてませんやん。最近観た『キングスマン』が、最高にぶっ飛んでたいい意味での悪ノリ映画の傑作だったけれど、これはかなり中途半端。王妃とア○ルセックスしたいがために世界を救うヒーロー(キングスマン)くらいのぶっ飛んだ悪ふざけが、こういうノリの映画には必要でしょうに。なんだか、普通の人が頑張って悪ノリしようとしたものの、持ち前の良い人ぶりが邪魔をして、ちょっとスベッちゃったパターンですかね、これ。こーゆー悪ふざけものはもっと性格ねじくれた人が撮った方がいいと思います(笑)。アクションシーンのクオリティはかなり高かっただけに残念!
[DVD(字幕)] 5点(2016-10-17 16:57:18)
17.  天使が消えた街 《ネタバレ》 
イタリアで実際にあったアメリカ人留学生殺人事件を基に、事実と妄想を幻想的に交錯させて描いたサスペンス・スリラー。きっと監督はデビッド・リンチのような作風を意識して製作したのだろうけど、出来上がったものは酷い代物でした。とにかく、現実と妄想のそれぞれの取り扱い方が恐ろしく稚拙。現実だと思って見ていた映像が実はドラッグが見せた妄想でした、という細かい夢オチのようなことが延々と繰り返されるため、観ていて本当に苛々させられます。挙句、最後までずっと引っ張ってきた事件の真相も結局はうやむやのまま終わるし、「なんやねん、それ!」と僕は怒りさえ込み上げてきました。観るだけ時間の無駄です。3点。
[DVD(字幕)] 3点(2016-08-29 21:42:04)
18.  Dearダニー 君へのうた 《ネタバレ》 
かつてヒット曲を連発し栄華を誇っていた往年のロックスター、ダニー・コリンズ。だが、いまや老境の域に差し掛かった彼は、酒とドラックに溺れる寂しい日々を送っていた。もう何十年も新曲を書かず、かつてのヒット曲だけを頼りにツアーを廻っていたダニーに、ある日、マネージャーが誕生日プレゼントとして一通の手紙を持ってくる。なんとそれは、ジョン・レノンが生前彼に宛てて書いたものの約40年もの間配達されずに保管されていた手紙だった――。「親愛なるダニー、音楽を堕落させるかどうかは君自身。音楽と自分自身に常に忠実であれ。ジョンより」。深いショックを受けた彼はツアーを中止し、浮気中の妻には別れを告げ、とある地方都市のホテルにやってくる。新曲を書くため、そして今までずっと目を背けてきた自らの過去と真剣に向き合うために……。実話を元に、落ちぶれた往年のロックスターが約40年ぶりに発見されたジョン・レノンからの手紙をきっかけにして再起を図る姿を軽妙に描くヒューマン・ドラマ。アル・パチーノ主演、ジョン・レノンの名曲が幾つも使われているということで今回鑑賞してみました。うん、いいですね、このいい意味で力の抜けたノスタルジックな雰囲気。ともすれば雰囲気だけの薄っぺらい作品になりそうなテーマなのですが、そこにアル・パチーノやアネット・ベニングといった熟練の役者陣がいいアクセントを効かせていて非常に好感の持てる作品に仕上がっていたと思います。特にアル・パチーノ、酒浸りで胡散臭いロックスターながら時おり深い優しさを垣間見せるという個性的キャラクターを見事に演じておりました。そんな彼が後半、癌を患う息子と和解しようともがくことになるのですが、そこも単純な和解劇とせず主人公の弱さをちゃんと目を逸らさず描くところも好印象。うん、人間なんてそんなすぐ真人間に変われるほど単純じゃないしね(経験者談!!笑)。ただ、本作のストーリーにはちょっと弱い部分があるのも事実。それは、ジョン・レノンの手紙を読んだ主人公が急に心変わりする理由にいまいち説得力が感じられないところ。レノンからの激励の言葉を受け取った主人公がずっと書いていなかった新曲製作に取り掛かるのは分かるのですが、長年疎遠にしていた息子との和解まで決意するというのはいささか強引すぎやしませんか。とはいえ、この牧歌的な雰囲気を壊すほどの瑕疵ではない。全編を彩るジョン・レノンの名曲群も良かったですし、なかなかの佳品だったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2016-08-09 23:55:43)
19.  ディス/コネクト 《ネタバレ》 
「ハイ、ベン、はじめまして。あたしの名は、ジェシカ。あたし、あなたの歌が好き。本当に感動的な歌だわ。あたしにも一曲作ってほしいなって今回、友達申請したの……」。地味で大人しい音楽オタクの高校生、ベン。ある日、彼はフェイスブックでそんなジェシカと名乗る女の子からのメッセージを受け、友達となるのだった。だが、彼は知らなかった。それは同級生である男の子のたちの悪い悪戯であることを。次第にエスカレートする“ジェシカ”の要求にのぼせ上がってゆくベン。彼が、自らのヌード写真をジェシカに送信したとき、それは取り返しの付かない悲劇へと転がり込んでゆくのだった。さらにはそこに、ネット詐欺に騙されて全財産を失ってしまった夫婦や、児童ポルノサイトでリアルタイムで自らの身体を晒す少年少女たちが複雑に絡まり合い、物語は更なる悲劇へと繋がってゆく……。ネット社会に潜む危険な落とし穴に落ちてしまった人々の悲劇の連鎖を、淡々と描いた哀切な群像劇。ほとんど予備知識もないままにこの度鑑賞したのですが、これが予想外に良い映画で僕はびっくりさせられてしまいました。何が良かったかって、とにかくこの抜群の構成力!!かなり複雑な構造のお話で、しかも登場人物もやたらと多いのに最後まで分かりやすく、かつ緊張感を一切途切れさせずに見せきるこの監督の手腕は相当なものだと思います。のみならず、映像や音楽も随所にセンスを感じさせ、その完成度の高さには素直に驚嘆させられました。物語の方も、人間の悪意や欲望が簡単に暴走してしまうというネット社会が孕む危うさを極めて冷徹に見つめたその視線の鋭さには、久々にガツンと頭を叩かれるほどの衝撃がありました。ネットとは便利な反面、人間をさらに愚かで残酷な生き物へと簡単に変貌させてしまう危険な側面も持っている…。登場人物たちが翻弄される、所々目を背けたくなる程のそんな理不尽な現実に観れば観るほど気が滅入ってくるのですが、最後、それでも必死に生きていこうとする彼らに僕は微かな希望を見出さずにはいられません。ネットというパンドラの箱を開けてしまった僕らは、もう二度と閉じることはできない。リベンジポルノやSNS炎上、ネットを発端とする未成年者による犯罪行為…。そんなますます生き辛さを増す現代のネット社会において、本作こそ真に観るべき映画の一つと言っていい。
[DVD(字幕)] 8点(2015-04-07 19:22:04)(良:1票)
20.  ディアトロフ・インシデント 《ネタバレ》 
1959年、旧ソ連。極寒のウラル山脈にロシア人登山家ディアトロフをリーダーとする登山隊が登頂に向かう。だが、2週間後、彼らは全員不可解な死体となって発見されるのだった。誰もいない極寒の地のはずなのに、彼らの死体には明らかに他殺と思われるような傷跡が残されていたのだ。のちに“ディアトロフ峠事件”として知られるようになるこのミステリアスな出来事は、いまだ世界の人々の関心を惹き付けて止まない。これは事実を基にした物語である――。事件から半世紀近く経った2008年、アメリカの若き学生たち5人がそんな不可解な事件の真相を探るため、ロシアへと向かう。そこに、どんな恐ろしい真実が待ち受けているとも知らずに……。様々な憶測を呼ぶミステリアスな事件の真相を、レニー・ハーリン監督が『クリフハンガー』以来となる極寒の雪山を舞台に、POVという現代的な手法を使って描き出すパニックホラー。「どうしてカメラを廻し続けるんだ?!」「真実を記録しておくためよ!」←この遣り取り、今までのPOV作品でどれだけ見せられてきたことでしょう。この言い訳がましい遣り取りを、再び見せられただけで僕の作品に対する評価は大きく減点です。そんな使い古された言葉が象徴するとおり、今まで散々作られてきたパニックPOVホラーの単なる焼き回し、例えるなら『ブレアウィッチ・プロジェクト』の雪山バージョンとしか言いようのない、ふつ~~~の作品でしたね、これ。とにかく物語が大きく動き出すことになる後半の雪崩シーンまでがひたすら退屈で退屈で、僕の意識が睡魔という名の雪崩によって深甚なる白銀の世界へと押し流されそうになるのをこらえるのがホント大変でした(ZzzZzz…)。そして、ようやく辿り着いた秘密施設内での特に怖くもないモンスターとの攻防も、前述した理由により、「あんたら、カメラ片手に逃げ廻るとかかなり余裕あんじゃん!」と突っ込む気持ちの方が強くていまいちのめり込めず…。唯一新しいかもと思えるあのオチも、第一発見者であるおばあちゃんの「死体は確実に11体あったわ…」という言葉を思い出して、「あぁ、きっとそういうことなんやろな~」と思ったら、見事なまでにそーゆーオチに辿り着いちゃって思わず失笑。レニー・ハーリンって、特に面白い映画を撮るわけでもないのに、ほんと細々としかし確実にハリウッドで生き残ってきてるよね~。僕にとっては、それが一番のミステリーです(笑)。
[DVD(字幕)] 4点(2015-01-11 21:54:05)
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