301. 黙秘
《ネタバレ》 娘を幼いころから虐げ夫を亡き者にし、今また仕える女主人に手をかけた極悪非道なドロレスに裁きを下す警部という展開予想は大ハズレ。娘が笑ってくれるなら、幸せになってくれるなら、私は悪になる。ドロレスの一貫した信念を見せつけられました。シモーヌ・シニョレを彷彿とさせるキャシー・ベイツが絶品で、とりわけ女主人との友情が生まれた無念の涙は圧巻でした。職責に私怨が入り混じった警部を演じたクリストファー・プラマーは厭らしさを振り撒いて母娘をしっかりと引き立てていました。金環日食の夫殺しを誰にも見られてなくても天はしっかりと見ており、天が罰をいずれ下すのだろうと思いました。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-10 15:17:12) |
302. 眼下の敵
洋上で遭遇した2艦の果し合い模様は実に見応えがありました。双方の艦長のリーダー像には心底脱帽でしたので、一見有り得ない結末も違和感なく見れました。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-02 19:04:50) |
303. 小間使の日記(1946)
《ネタバレ》 陽の野心家小間使いセレスティーヌをはじめとした登場人物全てが印象的。髭の主人と隣家の大尉の小競り合いが見せる喜劇調がジョルジュ帰宅を境にロマンス、サスペンス模様が色濃くなります。陰の野心家ジョセフが本性を現した末滅びるまで見応え充分でした。監督ならではの活気溢れるお祭り模様がドラマを盛り上げています。 [DVD(字幕)] 8点(2017-06-30 14:18:47) |
304. ある日どこかで
《ネタバレ》 自己暗示がタイムスリップの方法というのは、人を愛するのは一途な思いを振りかざすことを思い起こさせてくれます。映像と音楽の効果もあいまってクリストファー・リーブとジェーン・シーモアは神々しいまでの美しさでした。敵役のクリストファー・プラマーは二人の前にはさすがに霞んでいましたが、しっかりと二人を引き立てていました。結末は悲しいですね。彼には彼女のように長く生きてもらいたかった。珠玉の逸品。酔わされました。 [DVD(字幕)] 8点(2017-06-26 00:07:43)(良:1票) |
305. 吸血鬼(1967)
《ネタバレ》 格調高い映像で描かれたおどろおどろしさとお笑いがミックスされた物語に釘付け。監督特有の結末の徒労感を一際感じる作品。 [DVD(字幕)] 8点(2017-05-20 23:38:34) |
306. ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ
《ネタバレ》 「奇蹟がくれた数式」を彷彿させる内容で、カリスマ編集者マックス・パーキンズと夭折の天才作家トマス・ウルフの交流が描かれています。ベストセラーが世に送り出される過程で編集者の役割が如何に大きなものかを認識させられます。奔放な作家と冷静沈着な編集者の言葉を削るせめぎ合いは実に見応えがありました。また、仕事に没頭する二人が片や妻に寂しい思いをさせ、片や愛人に嫉妬させているのに現実味を感じます。息子の様に思って接していたという年齢差は感じられなかったものの、紳士のニューヨーカーを演ずる英国紳士コリン・ファースは安定感抜群でまさにはまり役、絶品でありました。対するジュード・ロウは迸る情熱と未熟さを好演しており劣らぬ存在感でした。曲折を経た末のラストシーンで帽子を脱いで涙するパーキンズに、本作のキャッチコピー「傷一つ残らないなら真の友情とは言えない」が重なります。 [DVD(字幕)] 8点(2017-04-28 00:36:30)(良:1票) |
307. アメリカン・ハッスル
《ネタバレ》 絵に描いたような善人の市長を騙す事に心痛めるアーヴィンの詐欺師らしからぬ葛藤が興味深い。詫びを入れに行った際の修羅場は「裏切るくらいなら裏切られるほうがマシだよなぁ」と言った人の事が思い浮かび、司法取引の一端である他人を売って自身の罪をチャラにしてもらう制度の胸糞悪さが際立っていた。特筆すべきはデ・ニーロでワンシーンのみの登場ながら、小賢しい詐欺師どもを瞬時に抜き差しならぬ状況に追い込んだ存在感は流石。 [DVD(字幕)] 8点(2017-03-26 01:12:34) |
308. ハドソン川の奇跡
《ネタバレ》 国家運輸安全委員会による厳しい追及があった事を初めて知った見応え十分の作品。誠実なプロの仕事師を演じさせたら右に出る者はいないトム・ハンクスは今作も貫録を魅せる。常に冷静沈着な彼が「生存者は155名」の報に感無量な姿にもらい泣きしてしまった。「奇跡」は皆が自分の職責を果たし一致協力した賜物で、公聴会のボイスレコーダーに客室乗務員の「頭を下げて、姿勢を低く」の連呼が聞こえた時にまた涙が出た。主人公が目を覆いたくなるぐらいに追い詰められるイーストウッドテイストはまろやかで拍子抜けするやらホッとするやら。副操縦士の〆の台詞が後味の良さを際立たせる。 [DVD(字幕)] 8点(2017-01-29 14:56:57) |
309. 天使にラブ・ソングを・・・
《ネタバレ》 実に良く練られた起承転結にユーモアが加味された最後まで飽きることなく楽しめた作品。デロリス救出の為に皆がカジノに一列になって乗り込むシリアスな場面にデロリスの台詞「こんな服ペンギンのようでイヤ」が浮かび大笑いしてしまったのは私だけなのだろうか。物語を引き締めてくれたスパイスの効いた存在感の院長はデロリスと共に忘れがたいキャラクターだった。 [DVD(字幕)] 8点(2016-12-25 01:22:34) |
310. チャイナ・シンドローム
要点を早く喋れ、早く! 手に汗握りました。技術者・経営者・テレビ局 三者のせめぎ合いが見応え満点でした。 [DVD(字幕)] 8点(2016-12-04 17:34:49) |
311. ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期
《ネタバレ》 43歳になったブリジット。体型はスリムになっているが皺っぽく老けた印象が観ていてツラい。ダニエルに代わって登場したジャックが没個性なのが物足りない。品の無い会話が飛び交うドタバタラブコメはあまりにも都合が良過ぎる起承転結。しかし、マーク・ダーシーから受けた時めきに劇場に足を運んだ値打ちを感じた。点数の全てをコリン・ファースに捧げます。 [映画館(字幕)] 8点(2016-10-29 17:38:35)(良:1票) |
312. 山猫は眠らない
《ネタバレ》 いやぁ、魅入りました。ジャングルにおける一撃必殺の人殺し稼業の適性とはどういうものかを体現するベケットに圧倒されます。ヘタレなミラーの顔つきが変わってゆくのに目を見張ります。どちらかが命を落とすのではないかという痺れる緊張感がラストまで続くあっという間の100分間でした。残酷な拷問にあったベケットがミラーに「一発で二人殺せ」というのは、ここで死なせてくれと懇願していたのでしょう。切ない一言でした。私は意味不明の邦題よりそのものズバリの原題のままが良かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2016-09-17 13:30:00) |
313. コードネーム U.N.C.L.E.
1963年を舞台に米ソが協力してナチス残党の悪巧みに立ち向かう。キャラの立った登場人物達の絡み合いに、笑って、ホロリとして、手に汗握った。敵ボスの優雅さは特筆もので作品に華を添える。齢を重ねても優男の面影が残るヒュー・グラントが観れて嬉しい。オープニングとエンディングのセンスにも魅了される。掘り出し物の一品。 [DVD(字幕)] 8点(2016-08-28 19:12:20) |
314. チョコレートドーナツ
《ネタバレ》 男同士の愛の深さに羨ましさを生れて初めて感じた作品。条理を尽くさない法律家の罪深さを見せつけられる。出所した実母がマルコの前で晒すどうしようもない醜態を、ゲイが養育すると悪影響を及ぼすという判断を下した判事達に見せて感想を聞いてみたい。バッドエンドに呆然となるがマルコの死顔を見せない演出が救い。 [DVD(字幕)] 8点(2016-06-30 23:44:28)(良:1票) |
315. キングスマン
《ネタバレ》 コリン・ファース。ビシッと決めたスーツ姿は何時もながらの渋さで魅了されます。何十人も殺した教会での大乱闘は「何故?」と唖然茫然ながらも、初めてお目にかかるキレッキレッのアクションにメロメロ状態。このシーン何度も見直しちゃいました。最後まで登場願いたかったものです。選ばれし者だけ生き、庶民は殺し合わせて削除するという企みは何だか現実味を感じました。見応えのある掘り出し物の作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2016-04-30 23:27:54) |
316. 明日に向って撃て!
小学生だった私に三人はカッコ良くてキラキラ輝いて眩しかった。40年以上の時間を経た今の私に三人は瑞々しい若さでキラキラ輝いていて眩しかった。罪と罰を見せつけるラストショットは昔も今も物悲しい。 2022.11.3追記 劇場鑑賞が叶い感慨無量の一時を過ごさせて貰えました。 [映画館(字幕)] 8点(2016-04-02 00:20:16)(良:1票) |
317. 招かれざる客(1967)
初対面時の双方の両親の顔が当時の世相を物語っており、鑑賞中、抱えたままのやりきれない思いはラストで少し晴れました。能天気に思えた娘の言動が、ご両親の教育の賜物なのだと思うと、理想と現実の狭間で取り乱す父の姿に胸が詰まりました。見ごたえのある作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2016-02-02 23:56:52) |
318. マイ・インターン
良き社長、妻、母を演じてパンク寸前のジュールズの心の拠り所となるベン。彼のような70歳になりたいものです。「折り目正しく」がそのキーワード。心に残る作品です。 [映画館(字幕)] 8点(2015-10-19 20:10:03) |
319. ミッドナイト・ガイズ
24年前に発症した「アル中」(アル・パチーノ中毒)の私は「ヴェニスの商人」以降パッとしなくて残念に思っていました。「笑点大喜利」の「ホー、やるな、爺さん」の問題ではありませんが、チョイ悪爺さん三人組の一夜限りの大暴れを見せてくれました。シモネタの度が過ぎて苦笑するも女優陣が爽やかで挿入されるエピソードが心地よかった。開襟シャツ「スカーフェイス」、ダンス「セントオブウーマン」、弔辞「訣別の街」、懺悔「ゴッドファーザーⅢ」、ラストシーン「ヒート」若かりしパチーノが浮かんで寂しさを感じました。もう一人のお目当てクリストファー・ウォーケンは着こなしのせいなのか好々爺していて、これまた寂しい思いをしていました。ラストシーンは良かったですね。ビシッと決めた二人に鳥肌が。見せない結末に余韻が残ります。久々の「アル様、素敵!」の作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2015-08-18 04:11:48)(良:1票) |
320. フルメタル・ジャケット
ハートマン軍曹の人間の尊厳を粉々に踏み潰す罵詈雑言から、戦場から生きて親元に帰したい、その為には上官の命令には絶対服従して個人的に何の恨みもないアカの他人を躊躇なく殺さねばならない、その為には人の心は捨てなきゃならん、という確固たる思いを感じました。微笑みデブ君がこのまま戦場に出れば自身もまわりの者も死んでしまうという考えが及ばなかったのが残念です。一見ありきたりな戦闘シーンも軍曹に「sir yes sir」と絶叫していた姿を重ねると合法的な殺人の不条理さに胸が詰まります。 [DVD(字幕)] 8点(2014-01-03 00:44:45)(良:1票) |