401. ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
《ネタバレ》 前作同様、金も手間も掛かっているだけに、CG映像や撮影技術は素晴らしい。しかし「内容の無さ」は、前作以上かも。格調高い映像の雰囲気に誤魔化されているが、肝心のストーリー性やキャラ造形はお粗末な限り。 とにかく全体的に大雑把な内容で、展開もご都合主義のオンパレード。ガンダルフを始め、仲間たちの存在価値や参戦理由がイマイチ分からないのも前作同様。各エピソードも唐突&ぶつ切りで、繋がりや必然性に欠けている。そのくせ説明不足な部分も多く、「何でこいつらは、ここにいて、こういう状況になっているのか?」というような、よく分からないシーンも多かった。 壮大な戦闘シーンも、単にお互い力押しで戦っているようにしか見えず、リアリティが無い上に、やたらダラダラとしていて緊迫感に欠ける。あれだけ不利な状況での戦いにも関わらず、味方(メインキャラ)の被害はほとんど無し。んなアホな。 数で圧倒的に勝る敵のオーク軍に対して、もっと知略に富んだ戦法で戦うとか、攻撃魔法や補助魔法を使って援護するとかで、「なぜこんな不利な戦いに勝てるのか」という部分に説得力を持たせるべき。たとえファンタジーであっても、描くべきシーンってものがあると思うんだけど。原作が古典という事を考慮しても、このご都合主義的な戦闘シーンには問題がある。 原作の持つ、「ファンタジーの原点的価値」は認めるけど、はっきり言って肝心のストーリー性やキャラ造形、アクションシーンの演出等は、どれを取っても薄っぺらく、見た後に何も残らない。 [ビデオ(字幕)] 4点(2003-11-21 15:31:29)(良:1票) |
402. キャプテン・スーパーマーケット
前作までとは完全に別物。やはりどんな傑作も、続けば良いってもんじゃないね。 おバカ方面に行くのはいいけど、やる事が中途半端。金のかかる展開なのに、金が無いからなのか、全体的にすごくチープ。今までのシリーズはそのチープさがテイストに昇華していたが、こういう金のかかる展開とは相性が悪い。その煽りを食う形になった風車小屋での一人芝居は見ているのが辛かった。 やはりどんな作品でも、「やるならとことんやる」という姿勢が大事だと思う。ギャグもはじけっぷりも中途半端。個人的にはホラーとしてきちんと撮った続編を見たいんだけど、今さらリメイクされても、当時のテイストは出ないだろうしなあ。 [ビデオ(字幕)] 5点(2003-11-14 21:22:54)(良:1票) |
403. 死霊のはらわた(1981)
B級はB級でも、よくある悪ふざけをしているようなチープな駄作ではなく、ちゃんとエンターティメントを意識したB級ホラーを目指している。 特撮や雰囲気作りに手間をかけた「手作りの良さ」が、この独特なテイストに昇華している。間延びしているシーンが多いのが難点だが、初見なら気にならない程度。例え低予算でも、作り手に情熱とセンスがあれば、それなりに良い映画を作れるという見本。 真面目にハラハラしながら見るも良し、ビール片手にゲラゲラ笑って見るも良し! [ビデオ(字幕)] 8点(2003-11-12 17:35:49) |
404. 死霊のはらわたII
「おバカホラー」とか「B級ホラー」というより、「エンターティメントホラー」と言うべき。前作のノリを引き継ぎつつ、より娯楽性を昇華させた傑作。昔ながらの手作業による特撮がいい味になっている。これを今風のCGをふんだんに使ってリメイクしても、この独特なテイストは出せないだろう。これを笑って楽しめない人は、ちょっと価値観に余裕が無いですね。 8点(2003-11-12 17:28:32) |
405. エルム街の悪夢3/惨劇の館
ここで言われているほど、ひどい内容ではない。 まず、きちんとホラーエンターティメントとして、それなりに丁寧に作ってある事に好感が持てる。手間を掛けるところは掛けているし、ストーリー展開にも緩急があって、退屈する部分も少ない。 この作品を「おバカホラー」と捉える人がいるみたいだけど、「現実と夢の境界が曖昧になる」という恐怖は正統なもの。 一応シリーズとして、「まともな作り方をしてある」最後の続編。さすがに、これ以降は、ちょっと…。 [ビデオ(字幕)] 7点(2003-11-12 12:58:27) |
406. タイタニック(1997)
感動の演出法としてはあざといやり方ですね。誰でも最後にタイタニックが沈んでしまうことは知っているわけですから、その間における恋愛ドラマの儚さや最後の別れが際立つのも、ある意味当然ですよね。でも別にそういう演出が嫌いなわけではありませんし、全体的に丁寧な作りには好感が持てます。ただ、これもちょっと長いですね。 7点(2003-11-11 11:24:10) |
407. ゴーストシップ
《ネタバレ》 「13ゴースト」の監督か~。納得。作品としての中途半端さに通底するものがある。この作品もやはりホラーとしてもサスペンスとしても中途半端。限られた予算のなかで健闘しているのは分かるが、それ以前に基本となる脚本があまりにも陳腐。「サタンの使いが魂を集めている」というオチだと知った時の脱力感ときたら…。映画「ジェヴォーダンの獣」のレビューでも書いたことだが、まず作品として、ホラーならホラー、サスペンスならサスペンスとして「徹底すること」が大事なのではないだろうか?違うテイストを隠し味として入れるのもいいだろう。しかし、それは基本となる部分において徹底的に作りこんだ後にすべきことのはずだ。この監督さん、はっきり言ってホラーやサスペンスを撮る才能は無い。まず「恐怖とは何か」ということを勉強するべき。 2点(2003-11-07 11:41:38) |
408. ジャンヌ・ダルク(1999)
監督はジャンヌ・ダルクの生き様を通して、人間の心のあり方や宗教に対する姿勢、といった現代にも続く普遍的な問題を描きたかったんじゃないでしょうか。 7点(2003-11-03 03:52:29) |
409. グラディエーター
ビデオとテレビで2回見たけど、やっぱり印象薄い内容。世界観は重厚で素晴らしいと思うが、ストーリーが長いばかりで、単純な勧善懲悪モノなのがイマイチ。剣を交えての戦闘シーンも、いかにも「殺陣」という感じでリアリティに欠ける。ラストで皇帝が一騎打ちをするなんてのも、ちょっと考えられない。しかも背中を刺した男に負けとるやん。 6点(2003-11-03 03:41:58) |
410. スター・ウォーズ
実は今まで食わず嫌いで見てなかったのですが、見てみてビックリ。面白いです(笑)。正直言って、単純でご都合主義的なストーリーやチープなキャラデザ等、気になる部分は多いのですが、それでも最後まで飽きずに見れてしまうのですから、やはりこの作品の持つ力はスゴイものだと思いました。優れた名作に共通するものとして、「世界を感じる」というのがあると思いますが、この作品がまさにそれです。今の技術から見ればチープな着ぐるみや特撮なのに、そんな違和感を上回ってしまう確固とした「世界」があります。もし安易にCGを使えていたら、多分この雰囲気は出なかったでしょうね。もし当時リアルタイムで見ていたら10点です。 7点(2003-11-01 20:17:34) |
411. REM レム
最近はこういうのが流行りなのかな?解決をはっきりと提示すること無しに、物語全体の解釈を見る者に委ねるというパターンが増えている気がする。それが悪い訳ではないし、嫌いでもないが、問題は「解釈するに足るだけの練り込みがなされているか」である。概して、この手の方法を用いると、中途半端な内容になりがちである(「カル」、「メメント」、「マルホランドドライブ」等)。本格ミステリーほど伏線が巧妙である必要がないので、いかようにも解釈できる余地はあるだろう。しかし逆に言えば、それはまともな物語を構築できない言い訳でしかないようにも思える。「それっぽい雰囲気」や「それっぽい謎」を提出するだけなら誰にでもできる。それを結末でうまく収束させ、どんでん返しとして昇華できるかどうかが腕の見せどころのはずだ。本格ミステリーファンとしては、こういう手法は「逃げ」としか思えない。まさに「ハラハラ、ドキドキする」というだけの、文字通り「サスペンス」でしかない。 4点(2003-11-01 20:02:30) |
412. ターミネーター2
エンターティメント作品として一級品。これ以上、言う事なし。 10点(2003-10-31 20:33:58) |
413. アマデウス
天才の狂気と凡人の狂気。凡人である私はサリエリに感情移入しまくり(秀才も天才の前では凡人と同じ)。「何故、私じゃないのか?」と嘆く彼は、まさに凡人の代弁者。 「別に凡人でもいいじゃないか」という考えも一面では真理だが、「別に私が天才でもいいじゃないか」との考えも真理のはず。天才には歯が立たず、しかし凡人として甘んじるには中途半端に才能が与えられてしまった苦痛。天才の天才性を理解できるがゆえの苦悩。凡人として埋もれてしまっても世界の損失にならない程度の才能。 凡人として生きて行くには、その苦悩を受け入れるか、始めからその苦悩も感じないほどに凡庸であるかのどちらかしかない。 「天才」との相関から、己の姿や生き様を考えさせられる傑作。 また長編ながらミュージカルと違って、オペラなどの演奏シーンもしつこくならない程度の時間配分にされていたりと、娯楽性を考慮し、万人に受け入れられる作品に仕上げられている事に感心する。 [ビデオ(字幕)] 10点(2003-10-29 20:22:34) |
414. スタンド・バイ・ミー
さすがに死体探しをやったことはないけど、この映画と似たような体験はきっと誰にでもあるはず。私の小学生時代の夏の思い出は、近所の堤防がどこまで続いているか、友達と確かめに出発したこと。途中で、ニワトリのバラバラ惨殺死体を発見して大騒ぎになったり、その川沿いに建てられていたボロボロの小屋を探索したり、拾った錆びたナイフを手裏剣のように投げて遊んだり、今から思えば他愛のないことなのに、当時は楽しかったなあ。結局、暗くなってきたので途中で帰ってきたけど。こうして、ここで語っていられるだけでも、あの頃の出来事に価値はあったのかも。なんつって。 10点(2003-10-27 00:22:51) |
415. ショーシャンクの空に
ここのレビューを参考にして見てみました。確かにラストは爽快でジーンとしましたし、刑務所内だけの話で飽きさせずに見続けられるストーリー展開の上手さにも感心しました。ただ全体的に少し「出来すぎ」というか、感動のための「お膳立て」が見えてしまうのが個人的に気になりました(図書室のジイさんが自殺したのを見て、「ああ、次に出所してきた人が自殺しないための伏線なんだろうな」と読めてしまいます)。また、冤罪かどうかはともかく、囚人を美化し、看守側を悪人として二極化するというのも、感動演出の手法としては安直に感じます。ビールを奢ってもらっただけで、いきなり長年の親友のように親しくなるというのも、なんかなあ…。決して悪い映画ではなく、むしろ良い映画なのですが、言われるほどに感動はしませんでした。全編を通して見られる「予定調和的な展開」が気になるかならないかですね。 6点(2003-10-26 22:41:51) |
416. サイコ(1960)
サスペンス映画のお手本であり教科書。 多重人格サスペンスとしては、この地点で完成されているとさえ言える。 リアルタイムで見ていたら、この点数+2点献上しても良いくらいだけど、さすがに色々なアイデアや工夫を凝らした昨今の作品を見慣れていると、少々シンプルすぎて物足りないのも事実。 神格化された部分や「映画史における意義」などを考慮に入れずに評価すると、個人的にはこの辺の点数にならざるを得ない。 [ビデオ(字幕)] 7点(2003-10-26 22:28:02) |
417. 肉片の恋
み、短い…。いかにもシュヴァンクマイエルらしい作品。もう少し長くして欲しいな~。でも、短いからこそ、あっと言う間に食われてしまう肉片の運命に人間の無常観を重ね合わせることが出来るのでしょう。 7点(2003-10-25 00:57:20) |
418. シャイニング(1980)
《ネタバレ》 「人間の狂気こそが一番怖い」というのも、ジャック・ニコルソンの演技力の凄さも分かるが、個人的にはイマイチな内容。登場人物が少ない上に、展開に緩急がないため退屈。ミステリー的な謎解き要素もなく、単にひとりの男が狂気に取り付かれるというだけの話で物足りない。 [ビデオ(吹替)] 6点(2003-10-24 14:32:33) |
419. 13日の金曜日(1980)
《ネタバレ》 確かに今見ると非常に単純で、たいして怖くもないが、「殺人鬼ホラー」の元祖的存在としての価値は高い。 また、この第1作目は「犯人は誰か」というミステリー的要素を含む点が、その後のシリーズとは決定的に違う。 見る年齢や時代によっても評価は大きく変わっちゃうだろうけど、別に深い話でもないので、ビールでも飲みながら、のんびり見るのが正しい見方でしょう(笑)。 [ビデオ(字幕)] 7点(2003-10-24 14:15:40) |
420. スクリーム2
相変わらず最後まで誰が犯人か分からない、スピード感のある展開は◎。 ただ、前作同様「犯人の意外性」という一点でのみ持たせているだけの作品で、深いストーリーやミステリアスな謎解きがある訳でもないので、作品として薄っぺらいのは事実。 それに前作を見ていると、どうしても耐性がついてしまうので、誰が犯人であってもインパクトに欠ける。暇つぶしにはなるが、見るなら1作目だけで充分。 [ビデオ(字幕)] 4点(2003-10-23 14:45:39) |