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コメント数 1963
性別 男性

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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81.  ストレイト・ストーリー 《ネタバレ》 
美しい映画である。田舎町の風景の美しさ、音楽の美しさ、更に人間愛としての美しさなど、この映画はとにかく美しい。十年前に喧嘩したまま別れたままの兄が病気で倒れたと知らされ、このままでは二度と会えないかもしれない。弟の兄への気持ち、それを見事に表現してみせたリチャード・ファーンズワースの名演技がこの映画を単なるヒューマンドラマではない人生の厳しさ、老いていく者の厳しさをあの台詞「若い頃のことを覚えていることは老いていることの短所である」というこの何とも痛烈で心の痛む台詞であって、老いた者にしか解らない。老いた者だからこそ言える台詞である。兄との再会をただ目指してゆっくりとトラクターに乗って走る。物語にこれといった凄いアクションがあるわけでもない。そこがこの映画の最大の長所である。兄との再会を果した時のあの弟の表情と兄の表情が何とも嬉しそうで見ていて良かったね。このまま二度と会えないまま終わらずに本当に良かったね。と言わざるを得ないぐらいこの兄弟の嬉しそうな顔付きはいつまでも心に残りそうです。
[DVD(字幕)] 9点(2010-01-11 11:23:38)(良:2票)
82.  深夜の告白(1944) 《ネタバレ》 
ワイルダーは何を撮っても、どんなジャンルでも傑作にしてしまう上手さには毎度ながら感心させられる。冒頭で主人公の保険会社で働く一人の男が肩を銃で撃たれ、血を流し只ならぬ様子でいる所を映し出し、そして、この男の語りから始まるというこの時点で完全に物語りは悲劇的な結末を迎えることを予感させ、暗示させることにより、この物語がどのようにしてして、悲惨な結末を迎えることになるのか?という興味を植え付けます。深夜の町並み、静かな夜の街を走り抜ける車、何かあるのでは?というようなこの冒頭とラストの男同士のそれも同じ会社の上司と部下という二人の表情と何も言わなくても伝わる男と男のやりとりが素晴らしい。保険会社の勧誘員に対して女の色気でどんどんと悪の道へと引きずり込んでいく悪女という設定を生かした演出の上手さ、犯人が被害者に成り済まして列車に乗り込むシーンで予想もしていないような出来事、邪魔が入るシーンや犯罪を計画通り実行した後の車のエンジンがなかなかかからかったり、上司と部下二人の会話の場面でドアの後ろで隠れている悪女バーバラ・スタンウイックの怖さ、単なるサスペンス映画とは一味も二味も違うサスペンス映画の中にも大人の男と女の悲しい恋愛もの的な要素を取り入れたりと、とにかく一瞬足りとも眼が離せません。それにしてもこの映画はやはりバーバラ・スタンウィックの悪女の存在無くしてここまでの作品にはなっていない筈です。男の弱い部分を全て知り尽くしているような恐ろしき女の象徴のようなフィリスの前には男は成すすべ無し!
[DVD(字幕)] 9点(2009-12-28 22:09:37)
83.  黄昏(1981) 《ネタバレ》 
美しい!何と美しい映画だ!もう、冒頭の夕焼けの空の美しさと湖の水の美しさ、そして、湖に住む鳥、アビを映すカメラの美しさ、映像美、いやあ、ここで完全にこの映画は素晴らしい映画になるという予感通りに素晴らしい映画でした。美しいと言えば何も映像だけでない。主演の二人、これが遺作となってしまったヘンリー・フォンダと妻を演じているキャサリン・ヘプバーンの美しき夫婦愛、夕焼けの空の下でボートに乗って釣りを楽しむシーンの二人のあの笑顔、優しい顔付きが忘れられなくなるほどのこの美しい夫婦愛、二人が一緒にいる場面はどの場面も本当に美しい。ただ釣りをすることだけが楽しみである夫婦が喧嘩別れとなったままでいる娘(ジェーン・フォンダ)何と実際の父と娘という関係がここでも父と娘という形で描かれているシーンでのあの父親の前で飛び込みを見せるシーンがこれまた素晴らしい。そんなシーンを近くで見て拍手する妻と少年との心温まるシーンや時々入る笑いやらも観ていて心地良く、特に凄いドラマなど無くてもこれだけ良いものを見せてくれる。ラストシーンのヘンリー・フォンダとキャサリン・ヘプバーンと、ここでも夕焼けの空のあのオレンジ色した美しさ、タイトル通りの「黄昏」時の夫婦愛と親子愛のドラマとしての名作を見せてもらった。遺作にして、本当の親子での共演という素晴らしさもヘンリー・フォンダにとってはこれが遺作で良かったのではないだろうか。物凄い映像なんてなくてもこれだけ素晴らしい映画がアメリカ映画は作れるのに、昨今はやたらと派手な演出で誤魔化そうとしてばかりいる。この映画を一人でも多くのアメリカの監督さんに観て貰いたい。そして、良い映画とは何かってことをこの映画を観て知って欲しいと共にこういう映画をもっと沢山の人に観て欲しいし、撮って欲しい。最後に一言だけ言わせて貰うとすると、いくら好きでも6年間毎日、マスばかりの食事では飽きるぞ!そんなことはどうでも良いとは思うけど、とにかく良い映画でした。
[ビデオ(字幕)] 9点(2009-12-18 21:23:07)(良:3票)
84.  長い灰色の線 《ネタバレ》 
ジョン・フォード監督と言えば西部劇というのが一般的な意見かもしれないが、こういうヒューマニズム溢れる優しさいっぱいの人間ドラマを撮っても上手い監督である。これはその上手さを見せてくれている素晴らしき映画である。タイロン・パワーが隊長に殴られるシーンをその後、後輩に対して真似しようとして、殴られる下りの可笑しさ、モーリン・オハラとの喧嘩も何故か楽しい。一方で二人が結婚し、子供にも恵まれる。一見、どこにでもあるような普通の生活をと思わせるものの、そうはいかない。戦争により身近な人達も死ぬ。波乱に満ちた一人の男の人生の中に見える優しさ、希望に満ちたラストの大行進、最後に亡くなった人達が現れて一緒に挨拶するシーンには目頭が熱くなり、ジョン・フォード監督らしい人間的な演出で見せてくれる。これほどの傑作なのに、見た人が少ないのかな?たった三人って?もっと多くの人にこの映画の素晴らしさを私は訴えたく書かせてもらうことにした。ジョン・フォード監督の西部劇の中に埋もれてしまっているような気がして何とも残念である。とにかく声に出して言いたい。ジョン・フォード監督が何故、多くの監督に尊敬されるか?映画ファンの間にもファンが多いのか?これを見れば納得するはずである。ジョン・フォード監督だからこそ描ける人間ドラマの傑作!であると共にジョン・フォード監督にしか描けないそんな映画でもある。
[DVD(吹替)] 9点(2009-11-25 21:41:17)(良:1票)
85.  我輩はカモである 《ネタバレ》 
何というアホぶり、何というふざけた作品、戦争なんかどこ行く風かというような滅茶苦茶さこそがこの作品の一番の魅力である。鏡に向って飛んで行く。そして、壊れた鏡の向こうで繰り広げられる三人のやりとり、同じ姿で同じ動きでそこに鏡が存在しているような芸、この馬鹿馬鹿しさ、戦争が始まってもマイペースを崩さないマルクス兄弟、放たれた銃がお尻に当るギャグ、壺を被ってしまい、頭から抜けなくなってしまったグルーチョ、そのグルーチョの顔の落書きも余りにも馬鹿馬鹿し過ぎて、笑ってしまう。こりゃ、笑わずにはいられない。全てにおいて、ナンセンス、笑いのためならどんなものでも笑いのネタにしてしまうマルクス兄弟、ドリフターズはこの兄弟の影響を間違いなく受けている。
[DVD(字幕)] 9点(2009-11-22 17:53:17)
86.  刑事ジョン・ブック/目撃者 《ネタバレ》 
ハリソン・フォードと言えば「スター・ウォーズ」シリーズや「インディ・ジョーンズ」シリーズというのが一般的な意見かもしれないけど、私は違う。私にとってのハリソン・フォードと言えばこの映画がベストである。どこまでも人間臭く、そして、優しさに満ち溢れている。そんな人間臭い男、しかも刑事役である。これが何とも良い味、出しているし、正に刑事であり、刑事役がこの俳優には本当によく似合う。この映画はサスペンスでありながら単なるサスペンスというよりは社会派のドラマとして見応え十分な映画になっているし、見せ方も上手い。まずは駅のシーン、少年がトイレで目撃してしまう殺人シーン、ここは何度観てもドキドキしてしまいます。見つからないように少年に「頑張れ」てついつい言いたくなってしまう。そんな少年がハリソン・フォード演じる刑事に初めて犯人が黒人の刑事である事を教える場面の演出が上手い。声も台詞も一切無しで子供の眼、それを見て察するハリソン・フォード、このやりとり、台詞になど頼らないで見せる。映画的なワンシーンである。この映画、始まって直ぐに犯人を観ている私達に教えてしまいます。そうすることでこの犯人がどのようにして捕まるのか?という興味、更に目撃者の少年が犯人に見られていた事を知ってしまうと、果たしてこの少年はどうなる?という二重の興味が沸いてきます。この演出などを観るとピーター・ウィアー監督が「刑事コロンボ」のファンなのかもしれないという興味も沸くなど、色んな興味がこの映画を観ていると沸いてきます。そういう興味深さを感じさせるという上手さ、単なる刑事ものにあらず、しっかりとした人間ドラマとしても見せてくれるという意味でも評価したいと思うし、そして、何よりも映像の美しさと音楽も心地良くて好きです。最後に好きなシーンを他にも挙げるとすれば、ハリソン・フォードとケリー・マクギリスがダンスをするシーン、そして、皆で家を建てるシーン、犯人との戦いに勝った後のハリソン・フォードと少年が二人、背を向けて座っている後姿など好きなシーンがとにかく多くて、そんな訳でとにかくこの映画が私は大好きだ!
[DVD(字幕)] 9点(2009-10-15 21:43:52)(良:1票)
87.  いまを生きる 《ネタバレ》 
この映画は学生時代に授業サボってガラガラの映画館の中で観てました。人は常に社会という枠の中で生きている。学生なら「校則」というルールの中で生きているし、社会人になればなったで「社会」及び「規則」いうルールの中で生きている。常にルールに守られながら生きていかなくてはならないのが人間の運命である。運命は人それぞれだけど、必ず守らなくてはならないそれが生きて上で最も重要であり、逆らうことの出来ない運命に対する逆らい、自分以外の人間が決めた価値観の元で生きているのが人間なのだと私は思う。そんな人の意見に対して聞き入れる気持ちと自分の事は自分で決めると思う気持ち、自分の道は自分で見つけようというあのラストの机の上に立ち上がる生徒達、あれこそ正しく自分の気持ちに素直になり、生きることの喜びを見出そうとする気持ち、勇気を持ってすればどんな苦しい事でも何とか乗り越えられるんだというものを見事に表している。正にこの映画は「生きる」映画!苦しい時、何かに対し、答えが見出せい時、この映画を見て勇気を貰いたいと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2009-09-01 22:48:58)(良:1票)
88.  決断の3時10分 《ネタバレ》 
やったあ!近所のレンタル屋さんには置いてないし、売ってもいないからAmazonで買うことにして、昨日お願いしといたのが今日の夕方に届いた。いや~これは本当に傑作です。既に皆さんのコメントがあまりにも素晴らしいので、これ以上何を書けば良いのやら?とにかくオープニングからこれぞ西部劇ていかにも雰囲気、あまりにもかっこ良くてしかもやたらと哀愁漂うメロディ、そんな素晴らしいメロディが流れる中、空にそびえる白い雲、画面の遠くから画面手前へと沢山の馬に引かれながら馬車に乗ってやってくる男達、大量の牛の群れ、これこれこれです。西部劇てのはこれですよ。煙の立ちこむ中での男達が言葉も言わずに視線だけ交わしている。最初に言葉を発する男、ダンの渋さとかっこ良さ、一見二枚目でどう見ても正義のヒーローぽいこの俳優グレン・フォードに悪役をやらせるというその着目点が良い。そうそう、ぐるぐるさんが書かれているあの場面、良いねえ!酒場でのシーンの女エミーを前に大勢の男達がやって来て酒を飲むシーン、ここでの男達の煙草の吸い方までやたらかっこ良くて、かっこ良い代表と言えばダンの男の優しさ、更にそんなダンを最後は自らの命、危険を承知の上に守って列車へと乗せて消えていくベン、二人(ベンとダンを乗せた汽車、それを見送る奥さんと保安官、そこで空からの大量の雨、まるであの雨が二人のその後の幸せを祈っているような何とも言えない気持ちの良さ、気持ちの良い男二人の友情と女性達の美しさと美しいメロディ、モノクロの画面もこれまた素晴らしい。それにしてもこれほどの傑作なのに私を除いて7人しかコメントがないなんて、勿体無い。もっと多くの方に見て貰い、昨日から関東エリアでは公開中のリメイクを見た人、そうでない人、これから見ようと考えている人達にもみんなに見て欲しい。そして、西部劇の素晴らしさを体験して貰えたらと思う。皆さんのコメントが本当に素晴らしすぎて私にはもう皆さん以上の素晴らしいコメントを書くことが出来ないが、とにかく素晴らしい映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2009-08-09 21:13:53)(良:1票)
89.  旅情(1955) 《ネタバレ》 
中年の男女の話なんて、どこにでもあるような話であるがここまで素晴らしくしているのはデビッド・リーン監督の素晴らしい演出無くして考えられません。赤いベネチアン・グラス、サンマルッコ広場に鳴り渡る楽隊の響きや大きく聳え立つ鐘、スクリーンいっぱいに舞い上がる鳩の群れ、ベニスの美しい町並み、青い海の美しさ、大空に鳴り響く花火の美しさなど、とにかくどの場面も一度見ただけでいつまでも心に残ること間違いなしの美しい映像美があればこそである。前半はジェーン(キャサリン・ヘップバーン)がカメラを手にベニスの町並みを写真に収めるなどして楽しんでいる姿を見て私達も彼女と同じように旅行している気分にさせられる。ところがそんな彼女がサンマルコ劇場で後ろにいた男との出会いから話は変わっていき、しかも、その男のことが気になり、遂にはどうしようもない気持ちになってしまうその心理状況をキャサリン・ヘップバーンは見事な演技力で見せてくれてます。心の微妙な心理状態を表しているかの如く、監督の計算なのか?ジェーンの服装が変わる様子はまるで女性の揺れる気持ちを表しているみたいだし、ラストのあの駅の別れの場面での白いくちなしの花、届きそうで届かない。あと少しという所で手にすることなくレナードとの別れを済ませた後のジェーン(キャサリン・ヘップバーン)のあの晴々として気持ちの良さそうな表情にイタリアに来て良かった。辛いこともあったけど、それよりも楽しかった事の方が多かったと言っているようである。素晴らしいラストといい、タイトルの「旅情」なんてこれまた正しくその名の通りの素晴らしい映画である。恋愛映画の名作と呼ばれる作品の多くは同じイタリアが舞台の「ローマの休日」を代表するように愛した相手の幸せを自分の事よりも考えて自ら身を引くケースが多く、この映画のジェーンもそうです。愛した相手には奥さんがいる。その事をきちんと解っているから別れる事を決意し、ベニスから離れる事を決意して帰っていたのである。そういう品の良さを感じさせる映画を撮れるデビッド・リーン監督は素晴らしい監督である。
[ビデオ(字幕)] 9点(2009-08-03 22:20:40)(良:1票)
90.  ポセイドン・アドベンチャー(1972) 《ネタバレ》 
昔、日曜洋画劇場で淀川長治さんが、この映画を絶賛していた。そして、それ以来、何度か見てはいるけど、昔、初めて見た時はただ単にパニック映画として、面白い。怖い。というだけの感想しか持たなかったけど、久しぶりに見て感じたことはこの映画は単なるパニック映画なんかではない。これを見ると凄い特撮で撮られる昨今のハリウッド大作がいかに駄目であるか、そして、この映画がどれだけ凄い作品であるかということがよく解ります。人間がどうしよもなく弱い生き物であるということ。そして、極限状態に陥った時、人はどうするべきか?何をすれば良いのか?ということを教えてくれている。自らの力で誰にも頼らずに頑張ろうとする人もいれば、誰かに頼り、人の支持に従い、強力しあって行きようとする人もいる。ジーン・シックマン演じるスコット牧師の上に行けば何かがある。きっと道は開けるという強い信念、レッド・バトンズのマーチンの様に「冷静な判断」とあの少年の持っている大胆な知性、その全てがあればこそ人間は絶望的な状況に追い込まれても何とかなるというそういうものがこの映画の中にはある。希望を持つことの素晴らしさ、諦めてはならないという気持ち、それはあのスコット牧師が自らの命を絶ってまで生き残った人達を死なせてはならない。あのラストの牧師ならきっと同じ事をするはずだと残った6人が救助隊の人達に自分達の居場所を知らせる為にガンガンと戸を叩く姿は人としての正しい有り方、コミュニケーションとてしての最も解り易い姿勢である。今の世の中のように携帯なんてない時代だからこそこの人達のように本当の意味での助け合う気持ちの大切さ、人間としての有り方を全て教えて見せてくれているという意味でもこの映画は素晴らしい。
[DVD(字幕)] 9点(2009-06-28 11:28:07)
91.  三人の妻への手紙 《ネタバレ》 
映画はシナリオ、どんな良い素材を揃えても上手く作れなければ美味しい料理が出来上がらないのと同じで映画が素晴らしいものになるかならないかの基本はまずは良いシナリオにかかっていると思う。そういう意味でこの映画は何よりも上手い。見事なまでのシナリオに尽きる。ある三人の妻が船に乗ってピクニックに出かける所から始まるこの映画、三人の妻が一緒にいる所へ一通の手紙が来る。そして、その手紙には「あなたたちのご主人のうちの一人と駆け落ちします。」というメッセージが書かれている。この手紙を書いた一人の女、アディという女の正体は誰なんだ?そして、一体、三人の妻のうち、どの妻の旦那がアディと駆け落ちするのか?という事をここで描き、それによって見る側の立場を見事に生かし、想像させるという何とも見事な画き方、脚本の上手さに感心させられる。三人のそれぞれの過去を回想形式で描きながらどんどんとこの三人と自分の夫との関係というもの、危機感を面白く見せる。そして、何よりも見ている私達に対しても本人も最も安全だと思っている女が一番危ない立場でいるという見事な構成、ヒッチコックの「レベッカ」と同じく姿を見せない女、アディの正体が解らないだけに余計、不安というものを隠す事が出来ないというのも上手いし、ラストの落ちも決まっていて、洒落た会話の中に男と女の強さと弱さのようなものまで全て見せてしまう。上手い。上手すぎる。それにしもてこれほどの傑作にたった二人しかコメントがないなんて、一人で多くの方に見て欲しい傑作ですし、これほどの傑作が僅か500円という安さでDVDとして売られているのを見ると安く手に入って嬉しい反面、500円分の価値しかないんじゃどうせつまらないだろうなんて思われたりするのかという事を考えてしまうと悲しくもなります。いずれにしてもこの映画の見事な脚本の前には今時のCGだらけの大音量のハリウッド大作がどれもこれも霞んで見えます。そのぐらいの素晴らしい傑作である。
[DVD(字幕)] 9点(2009-05-24 10:13:44)(良:1票)
92.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
監督としてのクリント・イーストウッド、私は今まで苦手でした。今でも苦手です。しかし、これだけは言える。間違いなくこの映画は素晴らしい。そして、これが仮に最後の作品となったなら、最高の終わりであると私は思った。「許されざる者」で初のオスカー獲得、その後も立て続けに評論家達にも一般の映画ファンの間でもかなり好まれ、どの作品も高い評価を得られている。しかし、私にはこの監督独自の重さ、やりきれなさだけがずしりと圧し掛かり、好きになりないでいた。それでも何故だろう?ついつい観てしまう。そして、観る度にやっぱり駄目だ!私には好きになれないと裏切られ続けてきた。それはまるで今度こそ今度こそとばかりに毎回、凝りもせずにナイスネイチャという馬の馬券を買いつづけ外してしたかの如く、今度こその思いで見てきた。そして、今回、やっとこれは私も素直に感動できた。その気持ちは正にナイスネイチャが三年以上ずっと勝てずにいて、高松宮杯(今で言う高松宮記念、当時は二千メートルのG2だった。)で久しぶりの勝利を収めて感動して泣いた時のような気持ちと同じ感じ気持ちにこの映画を観て感じることが出来た。イーストウッドの自分自身の集大成とも言える熱いメッセージみたいなものをあの身体を張っての死で感じると共に俳優としてのかっこ良さ、年老いて尚、アウトロー的なかっこ良さ、あのチンピラどもに向って指を銃のように差し出す仕草の何とかっこ良いこと、床屋での会話のユーモア、タオ、スーの二人に対する厳しさの中にも何か優しさみたいなものが感じられ、ウォルト(クリント・イーストウッド)の遺言状と言える手紙の内容、それを聞いてる時のタオの表情、ラストの海沿いをグラン・トリノの車に乗って走るタオ、それを映し出すカメラワークと美しい音楽、このラストの余韻があればこその傑作になっていて観て良かった。心からそう思う。ところでウォルトがタオをトロ助って呼ぶ度に「キテレツ大百科」みたいだとかただトロて呼ぶのを聞いて寿司が食べたくなってしまった。そんなアホな奴は私だけかもしれない。
[映画館(字幕)] 9点(2009-05-01 21:55:14)(笑:1票) (良:1票)
93.  ブラック・レイン
松田優作が亡くなって今年の十一月で早いものでもう二十年が経つ。公開当時、二度観に行きました。この映画が公開された年、1989年のキネマ旬報で1位に選ばれた洋画が「ダイ・ハード」である。「ダイ・ハード」も間違いなく傑作だと思うけど、私はこっちのが好きです。「ダイ・ハード」の影に隠れて評論家の人のほとんどはこの映画をベストテンに投票してない。この年邦画で1位に選ばれた「黒い雨」より私は断然、この映画!この映画が遺作となってしまった松田優作がこの時、既に末期がんで死後を覚悟していたという話を聞いたことがある。死後を早めるからと出演中止をすすめる友人に「死後を早めるのは解ってる。けど、好きなようにさせてくれ。このチャンスを逃したら悔いを残して死んで行くことになるから俺の好きなようにさせてくれ」と松田優作がその友人に対して答えているというのを本で読んだりしたけど、それを聞いた瞬間、私は泣けてきた。そんな松田優作の見たくてももう二度と劇場では観ることの出来ない最後の姿を見ることの出来る貴重な映画だ!私にとっては松田優作がいる。それも最後の姿だ!そんな最後の松田優作の才気溢れる演技は一生忘れることは出来ない。あまりにも早すぎる死は日本映画界の大きな損失だ!高倉健との夢の共演、健さん、松田優作の分までいつまでも長生きしてください。あんな自転車だらけのまるで中国みたいな街は大阪じゃないとか、大阪はあんなにも恐ろしい街じゃないとか、その他色々批判的な意見もあるかもしれない。しかし、好きなものは好きだ。好きで何が悪い?えっ?何?やたら興奮しすぎだって?良いじゃないか!好きな映画を好きなように熱く語って何がいけないの?すいません。興奮しすぎました。でも好きなんだから許して下さい。
[映画館(字幕)] 9点(2009-02-15 19:58:24)(良:1票)
94.  赤ちゃん泥棒 《ネタバレ》 
コーエン兄弟は断然、昔の作品の方が良い。個人的には「ミラーズクロッシング」とこの作品が私の中では同じぐらい大好きです。まず何よりもコーエン兄弟の温かさを感じることが出来るのが良い。囚人と府警という夫婦の組み合わせも面白い。そんな二人には子供が作れないという理由から赤ちゃんを盗む。しかし、単なるドタバタした話でない、何か人間的な温かさ、優しさが伝わってきて泣ける。笑えて泣けるのだ。赤ちゃんを盗んでからの二人の行動のチグハグさの中にも赤ちゃんに対する優しい感じが物凄く滲み出ていて観ていて幸せな気持ちにもなれる。だからこの映画が私は大好きです。車の中で盗んだ赤ちゃんを抱きしめている時のホリー・ハンターの嬉しそうな姿は、一人の人間としてのまた女性ならではの幸せを感じる何とも微笑ましい場面だし、ラストのあの夢のシーン、未来に向けての希望のようなあの場面、例えそれが正夢にはならなくてもきっとあの二人はこれからもずっと二人で仲良く生きていくことだろう!全てにおいて優しくて温かいこの映画、誰が何と言おうと、どんなに周りの評価は低かろうが、私は大好きだ。
[DVD(字幕)] 9点(2008-04-05 16:04:21)(良:1票)
95.  魔法にかけられて 《ネタバレ》 
なるほど!そう来たかっていう展開にタイトルの如く「魔法にかけられて」そんな気持ちになることが出来た。アニメと実写の融合がこれまた上手い具合に描かれている。所々で見られるディズニー映画のパロディぶりが面白い。そして、この映画の成功は何と言っても主演の二人、エドワード王子とお姫様ジゼル役のこの何ともノーテンキぶりが素晴らしい。段々と美女に見えてくるジゼル演じるエイミー・アダムスがとにかく良い。あのハイテンションぶり、オーバーな演技も嫌味なく、それどころか物凄く魅力的である。そんなジゼルを追ってやって来るエドワード王子のあの大馬鹿ぶりも最高だ!あの王子が二枚目でない所が良い。これが誰が見ても二枚目のような俳優だったりしたら嫌味なものに感じてしまうが、この俳優を選んだ所が作品の中で笑えて笑えてとにかくあのアホぶりは最高だ!画面全体の美しさもいかにもディズニーて感じで良い。特に公園でジゼルが歌いだすとそれにつられて公園に来ていた他の客がみんなして歌に合わせて踊り出すあの場面における楽しさ、まるで本物のディズニーの世界に連れて行かれているような気持ちになって楽しかった。最初は王子とジゼルの邪魔ばかりして魔女の味方となっていたナサニエルが二人の見方になるてのも救われる。それとあのリスも良い。音楽の楽しさとストーリーの面白さに美しい映像美とが見事に融合されていて素晴らしい作品になってる。こういう映画をああだとこうだと文句を言って観ようとするのは間違ってると思う。素直に楽しめればそれにこしたことはない。こういう映画はとにかく余計なことは考えないで思い切り楽しみたい。そんな私の希望に応えてくれているこの映画を批判することなど私には出来ません。観る前はそれほど期待してなかったものの、評判が良いので観に行きましたが観に行って良かった。心からそう思う。観た後、速攻でサントラ買いました。
[映画館(字幕)] 9点(2008-03-15 18:23:13)(良:3票)
96.  ナイト・オン・ザ・プラネット
これは間違いなく良い映画だ。この映画を言葉で表すとしたら「全人類が同じ時を過ごせる映画」正に奇跡の空間!住んでいる場所、人種こそ違っても、全ての人間が同じ地球上で生きている。人間の持っているものを全て温かく包んで見せてくれるこの映画、誰が何と言おうと、私は大好きだ!人間が好きになれるし、心優しい気持ちにもなれる。そして、この映画は特に夜遅くに見るのが最高です。観終わって部屋の窓を開け、星空を見上げるとそこには地球上の全ての人の微笑んでいる表情が眼に浮かぶ。素晴らしい。
[DVD(字幕)] 9点(2008-01-09 19:05:19)(良:3票)
97.  レディ・イヴ 《ネタバレ》 
やったあ!前から観たくて観たくてたまらなかった映画の一つで、近所のレンタル屋さんにはないからDVDで買うしかないと思っていたら何と500円で売ってるのを見つけて買ってきた。期待通りの面白さでした。まず何と言っても前半の船上でのやりとりが可笑しくて可笑しくて、何だか思い出すだけでまた笑えてくる。そのぐらい面白い。ヘンリー・フォンダのズッコケぶり、そんなヘンリー・フォンダを誘惑し、自分の部屋へと誘っておいて、靴を履かせるシーンにおけるバーバラ・スタンウィックの色っぽいこと!その時のヘンリー・フォンダの頭をなでまわすシーン、本当に笑える。そして、後半は後半でイヴへと成り済ましてのバーバラ・スタンウィックの凄さ、結婚式を終えた二人の列車内での粋な会話、更にドダバタ喜劇的な要素をたっぷりと混ぜてのテンポの良さ、最後の落ちも決まってる。粋な会話と見事なまでのドタバタ喜劇的な展開にあっという間に終わってしまった気がする。こういうコメディ、今は撮れないのかなあ?それにしても、ヘンリー・フォンダがここまでのズッコケ演技を見せてくれているとは、物凄く新鮮でもあり、本当に楽しかった。
[DVD(字幕)] 9点(2008-01-04 18:29:40)
98.  ヘアスプレー(2007) 《ネタバレ》 
やっと自分の期待に応えてくれるミュージカル映画を見ることが出来た。「ムーランルージュ」「オペラ座の怪人」「シカゴ」「プロデューサーズ」「ドリームガールズ」と近年のミュージカル映画はどれも自分としては物凄く不満であっただけに期待半分、いや、それ以上に不安のが大きかったけど前評判の良さに今度こそという思いで見てきました。いや~もう、楽しかったなあ!歌に踊りにそして、何と言っても魅力的な登場人物達と、こんなにも楽しいと感じることの出来たミュージカル映画なんて、おそらく自分が生まれてから、そして、映画館で初めて見ることが出来たそんな気がする。良き昔のハリウッド映画の雰囲気がここには感じられるのと太ってることがコンプレックスというよりもそれを生かして、一生懸命に前を向いて生きようとする主人公の姿がとても気持ち良くて、これぞミュージカルって感じのとにかく楽しくて、楽しくてあっという間に終わってしまった気がする。主演の女の子が本当に良い。あの女の子の演技と表情だけでも見ていて本当に楽しいのに、脇を固める俳優陣がこれまた皆、良い。ジョン・トラボルタのお母さん役も全く違和感なし、父親約のクリストファー・ウォーケンのコメディアンぶりもやたらと面白く、あの変なおもちゃ屋さんでのミシェル・ファイファーとのやりとりなんて、本当に笑えるし、そして、黒人問題やらの深い問題を描きつつも、けして、重くならずに誰もが見ていて本当に幸せになれると思うそんな作品です。白人も黒人も同じ人間であるということがこの映画を見ると誰もが思うはずです。人種を超えた仲間意識、素晴らしい人達によるこの秋、一番の作品だと思いました。最後にミシェル・ファイファーのあの悪女ぶりといい、大人の色気といい、何なんだ!恐るべき、もう五十歳にもなろうというのに信じられないほどの色気とかっこ良さはどうしたら出せるんだ?
[映画館(字幕)] 9点(2007-10-20 17:46:23)
99.  天使(1937)
ルビッチの演出が冴える。冴える。本当に何を見せて何を見せければ良いのか?この監督の見せないことで想像力を高める。素晴らしきルビッチタッチによって単なる三角関係の話がここまでスリリングにそして、上品で美しい物語になるものかと、本当にお見事です。もう、素晴らしすぎるコメントが既に書かれているので、私には何と説明すれば良いのか?とにかくルビッチ監督のこのお洒落で美しい物語にただただ酔いしれるばかりの傑作!
[ビデオ(字幕)] 9点(2007-07-13 21:47:35)
100.  恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ 《ネタバレ》 
久しぶりに観たけど、やっぱ良いねえ!何が良い?とにかくキャスティングがまずはお見事!そして役者の演技と音楽の素晴らしさ、更にこの映画、何といっても雰囲気が素晴らしい。そんな素晴らしい雰囲気を生かしているカメラワークもこれまた素晴らしい。中でも最も映画的な瞬間、映画でしか味わえない興奮、いや、もっと言うなら映画だからこそ可能なシーン、それはあのシーン!ジェフ・ブリッジス演じるジャックがバーで大勢の客を前にピアノを弾いている場面でのピアノの上に乗って歌うミシェル・ファイファー演じるスーシーとそれを映し出すカメラワークによって酔いしれる。観ている側も映画の中のお客さんと同じ気分になって酔いしれることが出来ます。当時、この映画で絶対にアカデミー賞主演女優賞獲得間違いなし、他の映画賞でも主演女優賞を総なめにしながらどういう訳か?オスカーだけは獲れなかった。これだけの見事な演技と歌声を見せて、聞かせたのに賞を与えなかったアカデミー賞、私は以来、アカデミー賞は一切、信用しないことにしました。そのぐらいミシェル・ファイファーの演技、歌声も完璧です。これこそ正しく大人の映画、ガキっぽい小学生レベルの映画がやたら増えてきている現在のハリウッド映画界において、こういう映画こそ本当に評価されるべき作品だと思います。
[DVD(字幕)] 9点(2007-05-20 22:16:58)
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