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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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81.  ヒルズ・ハブ・アイズ 《ネタバレ》 
ここはかつて政府による極秘の核実験が行われ、放射能によって汚染されてしまったアメリカの砂漠地帯。一帯は強固なバリケードによって封鎖され、中に入るには完全密閉された防護服を着ないと危険は免れない。そんな見捨てられた地にある日、キャンピングカーに乗った何も知らない一組の家族が通りかかる。定年退職を機にカリフォルニアまで旅する元刑事とその子供たち、長女とその娘婿の間にはまだ生まれたばかりの赤ん坊もいる。だが、そんな平凡な家族を丘の上から虎視眈々と見つめる謎の目が――。何もない砂利道で急にパンクするキャンピングカー。携帯も通じず、見渡す限り何もないこの不毛の地で途方に暮れる家族たち。そんな彼らに突如として異形の者どもが襲い掛かってくるのだった。銃を手にしたとても人間とは思えない恐ろしき怪物たちは、家族を一人、また一人と血祭りにあげてゆく。訳も分からずパニックへと陥る平凡な家族たち。果たして奴らは何者なのか?核実験による放射能で突然変異をおこした異形の者どもによって、恐怖のどん底へと叩き落される家族をノンストップで描いたスプラッター・スリラー。監督は、その容赦のないゴア描写で一世を風靡したアレクサンドル・アジャ。彼が悪名高い『ピラニア3D』で一気にメジャーになる前に撮ったという本作を今回鑑賞してみました。率直な感想としては、いやー、相変わらず中身がないです(笑)。でもその分、やり過ぎ残虐描写には相当気合が入ってます。斧で脳天直撃から始まり、散弾銃で顔バボーンやら、犬のハラワタくり抜いたりやら、挙句の果ては家族の目の前でお爺ちゃんを火あぶりにしたりしちゃいます。そして、この家族を襲う悪役たちの造形!放射能で奇形を患ったという設定なのですが、とにかく気持ち悪い!特に中盤に出てくる、頭が異常に膨れ上がって起き上がることが出来ずずっと寝たきりのミュータント。これ、夢に出てきそうなくらいエグかった……。もう最後まで、ポリコレ?何それ?って感じです(笑)。ストーリーの方も中身がない分、そんな異常者に追い詰められる描写はかなりキレッキレで最後まで楽しんで観ることが出来ました。犬のビューティー&ビーストも何気にいい仕事してます。最後のオチもシニカルで大変グッド。うん、なかなか面白かった。ただ、不謹慎極まりないですけどね(笑)。
[DVD(字幕)] 8点(2022-03-07 06:33:53)
82.  ブラックバード 家族が家族であるうちに 《ネタバレ》 
アメリカ郊外ののどかな田舎町に建てられた一軒の豪華な邸宅。そこで暮らすのは、医者である夫と二人で暮らす初老の女性リリーだ。ある日、そこに彼女の二人の娘、ジェニファーとアンナがそれぞれ夫とパートナーを伴って帰ってくる。目的は、週末のディナーをともに過ごすため。孫にあたるジェニファーの息子やリリー夫妻とずっと親友関係にあるリズという女性も加わり、楽しい夜になるはずだった。だが、彼らの表情は何処か不安げで隠し切れない哀しみに満ちている。何故なら、夜が明けるとリリーはもうこの世に居なくなってしまうから――。彼女は徐々に全身の身体機能が失われ、半年後には完全なる植物状態になることが分かっており、身体の自由が利くうちに自ら人生を終わらせることにしたのだ。そう、これはリリーが最後に過ごす家族水入らずのディナー。夫も二人の娘たちも母親の決断を容認し、最後は穏やかに逝かせてあげようと決意したはずだった。だが、夜も更けてゆくとそれぞれに抱え込んだ思惑が抑えきれなくなり、とうとう爆発してしまう……。尊厳死を決断した女性とその家族の最後の夜を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。アカデミー賞の栄誉に輝くベテラン女優スーザン・サランドンとケイト・ウィンスレットがそんな確執を抱えた母子を熱演しております。難病に侵された女性の尊厳死という大変重いテーマを扱っていながら、全体に漂う空気はほのぼのとしていてこのギャップが何とも言えない気持ちにさせられますね。死を決意した祖母を演じるスーザン・サランドンの、悲愴感を漂わせながらも微塵も同情を求めていないその凛とした佇まいがとても魅力的。彼女とケイト・ウィンスレットとのそれぞれの思いがぶつかりあう濃密な演技合戦はとても見応えありました。そして今回意外だったのは、次女役のミア・ワシコウスカ。精神的に不安定で自殺未遂を繰り返す問題児をリアルに演じていて、この二人に負けず劣らずの熱演を見せてくれます。この人、いつの間にここまでの実力をつけたんでしょうね。内容の方は、もちろん非常にデリケートな問題を扱っているので当然賛否が分かれるところ。でも僕は、善悪の彼岸を越えた、「永遠に分かり合えない家族の切なさ」を感じてとても心に染みました。最後、それでもそんな分かり合えない家族の元へと帰ってゆく登場人物たちの後ろ姿が何とも切ない。シリアス版『8月の家族たち』とも呼ぶべき、深い慈愛に満ちた良品と言っていいでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2022-01-07 02:00:50)
83.  炎の裁き 《ネタバレ》 
1991年、12月23日。テキサス州、コルシカナにおいて一軒家を焼く火事が発生する。子供部屋で出火した炎は瞬く間に家全体へと拡がり、手の施しようのないまま全焼してしまう。当時家に居たのは失業中の父親トッドと、産まれたばかりの赤ん坊を含む3人の幼い子供たち。母親のステイシーは夜勤に出ていてまだ帰宅していなかった。消防車が来るまで懸命に子供を助けようとしたトッドだったが、炎の廻りは予想以上に早く、不幸にも3人の子供たちは帰らぬ人になってしまうのだった――。当初は被害者として扱われていたトッドだったが、その後事件は予想外の展開を見せる。なんとトッドが、自らの子供3人を焼き殺した放火犯として逮捕されたのだ。そうして始まった裁判では、トッドの過去の犯罪歴や妻に暴力を振るう粗暴な言動、そして彼と揉め事を抱えていた隣人たちの証言によって追い詰められ、最終的に彼は死刑判決を受けてしまうのだった……。果たしてあの日、いったい何があったのか?彼は本当に娘を殺したのか?そして彼はこのまま死刑となってしまうのか?実話を元に、そんな痛ましい火事の真相を巡って翻弄される人々の葛藤を描いた法廷劇。という、冤罪の疑いのある死刑囚の再審請求を巡るお話なのですが、普通ならここで彼の事件の再調査を担うことになるのは理想に燃える若手弁護士と相場は決まっているもの。だけど今回、この事件の再調査を行うのは何処にでもいるような平凡なおばちゃんというのが本作のミソ。もちろん頑張って裁判記録や当時の証言者に当たってみるのだけど、死刑反対派ってだけの何の権限もない単なるおばちゃんなので、そりゃもちろん調査は難航するわけですよ。しかも彼女だって自分の子供たちまで巻き込んでるわけですから、そりゃ世間の白い眼を浴びて当然。それでも地道な調査の結果、彼の冤罪の可能性が濃厚となり、決定的な証拠も掴めそうになるクライマックスは非常にサスペンスフルで見応え充分でした。死刑執行が明日に迫る中、ぎりぎりのタイミングまで尽力する主人公。きっと最後には執行延期の連絡が届くはず……。でも、ここで大きくネタばれすると、物語は非常に重い結末を迎えてしまいます。果たして何が正しかったのか?自分は死刑存置論者ですが、それでもこの結末は深く考えさせられました。監督は、社会性の強いエンタメを得意とするエドワード・ズウィック。彼の演出力は相変わらず高く、特に死刑囚独房で幻想の娘と一人会話を交わすトッドには胸打たれるものがあります。当初はこのトッドに冷たく当たっていた看守が次第に彼に同情を寄せていく描写も巧い。ただ最後、テキサスの共和党知事の実際の映像を流すシーンは非常に政治的主張が強いので、恐らく賛否が分かれるところ。自分はちょっとやり過ぎに感じてしまいました。とは言え、いろいろと考えさせられる密度の濃いヒューマン・ドラマの逸品と言っていいでしょう。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-22 07:33:31)
84.  この茫漠たる荒野で 《ネタバレ》 
彼の名は、ジェファソン・キッド大尉。今は退役したものの南北戦争で戦ったかつての英雄だ。そんな彼の現在の職業は、〝ニュース屋〟。まだ通信技術も移動手段も限られていたこの時代に、普段新聞を読まない市井の人々のために全米各地を転々としながら日々の出来事や政治情勢を分かりやすく読み聞かせることを生業としている。今日もまた次の町へと向かうために荒野を旅していた彼は、途中10歳くらいの謎めいた少女と出会う。白人でありながら英語は話せず現地の民族服を着た彼女は、明らかにインディアンに連れ去られた子供だった。調べてみると、彼女の名はジョハンナ。6年前にインディアンによって家族を皆殺しにされて、そのまま部族の中で育てられたらしい。唯一の身寄りは、テキサス南部に暮らす叔父夫婦のみ。遠方へと出払ってしまった保安部隊の代わりに、地元当局から身内の元へと送り届けてほしいと頼まれた彼は、仕方なく彼女を連れて荒野へと旅立つのだった。だが、武器となるのは鳥撃ち用の貧弱な散弾銃だけ。そんな二人を当然、荒野の荒くれ者どもは見逃すわけもなく、執拗に付け狙い始める……。『キャプテン・フィリップス』のポール・グリーングラス監督と名優トム・ハンクスが再びタッグを組み、南北戦争後のアメリカを舞台に孤独な退役軍人と家族を皆殺しにされた少女との苦難の旅路を描いたロード・ムービー。主人公となるのが現役バリバリの英雄なんかじゃなく、今や老境へと差し掛かろうかという枯れたオヤジというのが本作のミソ。そんな圧倒的に弱い立場の二人の旅路は常にサスペンスフルで最後までハラハラドキドキの連続で目が離せません。特に中盤、少女を売春宿へと売り飛ばそうという無法者3人に荒野で追い詰められるシーンは、リアルで生々しくひりつくような緊張感に溢れた名シーンでした。それ以降も、豪族が支配する地方の村落でニュースの読み聞かせからのアジテーションで村民に暴動を起こさせて逃げようとするシーンは、名優トム・ハンクスの面目躍如といった素晴らしい熱演で見応え充分。そんな彼とタメをはる子役の女の子も、これが新人とは思えない堂々とした演技で全く負けておりません。最後のオチもベタながら、この茫漠とした世界の中で微かな希望を感じさせ、良い余韻を残してくれます。過酷な運命に見舞われた少女がこれから先、少しでも幸せになってほしいと祈らずにはいられないなかなかの逸品でありました。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-10-30 02:30:45)
85.  THE GUILTY ギルティ(2021) 《ネタバレ》 
ここは、ロサンゼルス各地からかかってくる911コールを一手に引き受ける緊急通報センター。自らのデスクで今日も業務にいそしむ彼の名は、ジョー・ベイラーだ。数日前に発生した大規模な山火事により、その日はいつもよりも通報が多くもう目が回るような忙しさだった。ようやく勤務が終わるというその時間に彼はある一本の通報を受ける。「私の名は、エミリー。今、元夫の車に拉致され何処かへと向かっている。私、このままじゃ殺される、お願い、助けて」――。明らかに切迫した彼女の悲痛な声に、ジョーは運転しているであろう夫に悟られないよう慎重に言葉をかける。警察と連携を取り、すぐさま発信元である高速道路へとパトカーを向かわせるジョー。ここで彼の仕事は終わったはずだった。だが、自らも幼い娘を抱える彼は、携帯の登録情報から彼女の実家へと電話を掛けてみる。電話に出たのはエミリーの幼い子供だった。詳しく話を訊いてみても、血だらけのママが父親に連れ去られたと泣き叫ぶだけ。さらにはまだ赤ん坊の弟までナイフで刺されて血だらけになっているという。どう考えても異常な事態。居ても立ってもいられなくなった彼は、現場の警察とは別に独自の行動を取るのだが……。緊急通報センターという閉じられた空間を舞台に、主人公であるオペレーターとあとは電話の向こうにいる幾人かの人々とのやり取りのみで描くという挑戦的なスタイルでスマッシュヒットを飛ばしたデンマーク製サスペンスをリメイクしたという本作、監督は男臭いエンタメを得意とするアントワン・フークワでしかも人気実力ともに今一番脂ののっているベテラン俳優ジェイク・ギレンホールが主演を務めております。ちなみに僕はオリジナルの方は鑑賞済みで、そのワンシチュエーションな設定ながら練られた脚本の力で最後まで見せきったなかなかの佳品だったので、今回楽しみに鑑賞してみました。結論を言うと、ほぼオリジナルに忠実なリメイクでしたね、これ。状況設定もお話の展開も最後のあっと驚くどんでん返しも。なので新たな驚きはなかったのですが、やはり見どころは主役を務め、ほぼ最後まで独り芝居を披露したジェイク・ギレンホールの熱演でしょう。オリジナルで主役を演じた方も決して悪くはなかったのですが、ハリウッドの第一線で子役の頃から何十年もキャリアを積んできた実力派はやはり違いますねぇ。最後までぐいぐい惹き込ませる素晴らしい熱演でした。特に最後、自らの過ちに気づいた彼の真に迫った表情には圧倒されるものがあります。新たに追加された山火事設定がいまいち活かされていなかったのがちょっと気になったけど、なかなか見応えのあるサスペンス・ドラマの逸品でありました。お薦めです。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-10-22 21:13:35)
86.  アーミー・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
感染した人々が次々とゾンビになるという謎のウィルス蔓延により、完全に崩壊してしまった眠らない街、ラスベガス。華やかなショービジネスの世界も人々の欲望渦巻くカジノも男と女の駆け引きが繰り広げられる夜の街も全て、人間を喰らうゾンビたちによって阿鼻叫喚の地獄絵図と化すのだった。慌てふためいた政府はとにかく感染を食い止めるため、街全体を強固なバリケードで封鎖してしまう。何とか解決策を探る政府だったが、何一つ有効な方法を見出せぬまま、やがて苦渋の決断を下すのだった。それは、小型の核ミサイルで街そのものを吹き飛ばすこと――。刻一刻とその時が迫る中、かつてその街から逃げ出した元傭兵スコットの前に謎の男タナカが現れる。「カジノの地下にある巨大金庫に残された2億ドルを回収してくれないか」。そんな無謀ともいえる依頼を口にするタナカ。だが、今は疎遠になっている娘のためにスコットはその依頼を引き受けるのだった。命知らずの仲間たちを集め、着実に計画を練ってゆくスコット。タイムリミットは、核ミサイル投下までの32時間。意を決してバリケードの中へと乗り込んだスコットたちだったが、そこには彼らの予想を上回る敵が待ち構えていたのだった……。独自の映像センスで唯一無二の作品を撮り続けてきたザック・スナイダー監督の最新作は、そんな『ドーン・オブ・ザ・デッド』以来となる本格的なゾンビ・サバイバル・アクションでした。いやー、相変わらずこの人の映像への拘りは凄いですね~。ウィルス流出(原因はドライブ中にフェラーリしてたバカップル!笑)からゾンビ大量発生、そしてラスベガス崩壊への下りを冒頭10分でサクサク見せるシーンなんてセンス抜群でテンション上がりまくり!!とにかくこの映像とアクションを見せるために用意されたシンプルすぎる脚本も潔くて大変グッド。反発しあってた父子がひょんなことから一緒にゾンビ渦巻くラスベガスへと乗り込むことになるシーンなんて、あまりにもベタで思わず笑っちゃいましたわ。他のメンバーも男勝りの女傭兵から、チェーンソーを振り回す黒人マッチョ、金庫破りしか出来ない軟弱男、ヘリの操縦にしか興味がないイカれたパイロット、お調子者のユーチューバー、そして何処か信用しきれない依頼主からの同行者ともはやジャンプ並みの分かりやすさ。彼らがゾンビたちをバチクソに殺しまくるシーンはキレッキレでもうサイコーでした。対するゾンビの皆様も知能を持った王と女王にゾンビ化したホワイトタイガーと誰もがキャラ立ちしまくってます。考えてみれば、ゾンビに支配された街へと金を取り返しに行くというこの設定も結構新しいですね。まあストーリーに深みなんて全くありませんが、切れのいいアクションとど派手なバトルシーンを観ているだけで140分あっという間に過ぎ去ってましたわ。うん、やぱサイコーだぜ!ザック・スナイダー!!8点!!
[インターネット(字幕)] 8点(2021-10-11 06:00:20)
87.  グッド・ボーイズ(2019) 《ネタバレ》 
現在、思春期真っ只中の12歳の男の子、マックス。近所の仲の良い友達二人と「ビーンバッグ」というグループを組み、ひたすらカードゲームとエロ話に明け暮れる冴えない毎日。ネットでエロ画像を検索してその生々しい内容にショックを受けたり、近所の高校生カップルを覗き見してるのを見つかって追いかけまわされたり…。そんな悶々とした日々を送っていたマックスはある日、ビッグ・ニュースを耳にする。なんと前から気になっていた女の子が明日の夜、クラスメイトたちとのパーティーでキス・ゲームに参加するというのだ。「大変だ!!憧れのあの子が、誰か他のヤツとキスしてしまうかもしれない!!」――。それを聞いて頭と何処かが爆発しそうになったマックスは、とにかく彼女の唇を守るためにビーンバッグのメンバーとともにパーティーへの参加を決意するのだった。でも、キスなんてどうやってしたらいいか分からない。勉強のために、お父さんの仕事用のドローンを使い、近所のヤリ〇ンで有名な女子高生の家を観察することを思いついたマックスは、さっそくビーンバッグのメンバーを集め、作戦を実行に移すのだった。だが、呆気なく反撃に遭った彼らは逆に彼女たちに弱みを握られてしまい……。思春期を迎えたばかりの男の子が、憧れの女の子とキスするために繰り広げる大冒険を下品なギャグ満載で描いた青春コメディ。天才子役として人気を集めるジェイコブ・トレンブレイ君が、そんな悶々少年を演じているということで今回鑑賞してみました。まあ全く期待していなかったのですが、意外や意外、なかなか面白いじゃないですか、これ!!子供にこんなことさせていいのかってくらい、お下品なネタがてんこ盛り。でも、それがいちいち笑えるのがナイスですね~~。少年たちが大人のおもちゃを手にあーだこーだ言うとこなんて思わず笑っちゃいましたわ。好きな子に渡すネックレスを忘れちゃったので、代わりにアナルビーズをプレゼントするシーンなんてサイコーでした。一番笑ったのが、キス・ゲームで隣のカップルがディープキスし終わった後によだれが糸引いてるのを見て、ドン引きしている黒人の男の子!こいつ、かなりいい味出してましたわ。と、お下品100%の内容かと思ったら、最後はまさかの切ないエピソードを放り込んできていい意味で裏切られました。少年から少しずつ大人の世界へと足を踏み入れた彼らは、それぞれ自分の居場所を見つけてゆく…。永遠だと思っていた自分たちの友情が、ちょっとずつすれ違っていくというラストはなんとも切ない。キレのいいギャグで大笑いさせて、最後はほろりとさせてくれる、いわばエロ版『スタンド・バイ・ミー』とも言うべき作品。なかなか楽しませていただきました。お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2021-06-07 05:07:33)(良:1票)
88.  魔女がいっぱい 《ネタバレ》 
魔女は本当に存在する!そう、いたるところに――。両親を事故で亡くし、以来お婆ちゃんの元へと引き取られた8歳の少年である〝僕〟。心に深い傷を負った僕は、ずっと心を閉ざし独りぼっちで生きていた。優しいお婆ちゃんのことは大好きだけど、でもやっぱり僕はお母さんが恋しい。そんなある日、僕は町で不思議な女の人を目撃する。そう、その人はなんと身体に蛇を纏わりつかせ、邪悪な目をしながら僕にお菓子をあげるって言ったんだ。怖くなった僕は、すぐさまお婆ちゃんにそのことを話した。するとお婆ちゃんは驚きの真実を教えてくれた。「そいつはきっと魔女だよ!魔女はね、子供が大嫌いでいつだって子供を醜い動物に変えてしまおうって考えてるんだよ」――。身の危険を感じた僕は、お婆ちゃんに言われるまま、アラバマの高級ホテルへとやってきたんだ。だけど、そこには恐ろしいことに魔女たちのボス、大魔女とその大勢の仲間たちが会議を開くためにやって来ていたんだ。魔女たちは世界中の子供をネズミに変えようとしている!そのことを知った僕はもちろんすぐさま魔女たちの計画を阻止するために動き出した。でも、瞬く間に返り討ちに遭った僕は、とある無力な動物へと変えられてしまう……。『チャーリーとチョコレート工場』で有名な児童文学作家ロアルド・ダールの原作を、最新のCG技術で映像化したエンタメ・ファンタジー。監督は、エンタメ映画界の巨匠、ロバート・ゼメキス。率直な感想を述べさせてもらうと、いやー、面白かったですね~、これ。チョコレート工場同様、ちょっぴり毒を含んだこの世界観は自分には完全にツボでした。純粋無垢な子供が見たらトラウマになるんじゃないかってくらい、魔女たちの造形がかなりグロテスクで気持ち悪いのが大変グッド。大魔女を演じたアン・ハサウェイなんて、その性格の悪さが滲み出ていて?なかなかの嵌まり役でした。ロアルド・ダール常連と言ってもいい食べるの大好きおデブボーイもナイスな仕事ぶり。ネズミに変えられた主人公たちも可愛かったですし、彼らと魔女たちの戦いはどれも撮り方が凝っていて胸がワクワクしちゃいましたわ。クライマックスの魔女たちがぽんぽんネズミに変わるシーンなんて最高でしたし。そして最後の意表を突く終わり方!まさかのそのままかーい(笑)。しかも余命3年って…。いかにもロアルド・ダールらしいその毒気のあるオチに僕のテンションは爆上がりでした。うん、なかなか面白かった!8点!
[DVD(字幕)] 8点(2021-05-14 04:01:02)(良:1票)
89.  FREAKS フリークス 能力者たち 《ネタバレ》 
彼女の名は、クロエ・リード。今年で7歳になるちょっと変わった女の子だ。なんと彼女は、唯一の肉親である父親から家に閉じ込められ、生まれてから一度も外の世界に出たことがないのだ。父が言う、「外の世界には恐ろしい者どもがたくさんいて、見つかろうものならすぐに食べられてしまうぞ」という言葉を素直に信じ、完全に外界から遮断された一軒家の中でずっと生きてきたクロエ。友達もおらず、ただ目張りされた窓から路上でアイスクリームを売るワゴン車を覗き見ることだけを楽しみに生きる毎日。「でも、やっぱり外の世界をこの目で見てみたい」――。いつしかそんな欲求を抑えられなくなった彼女は、ある日我慢できずに家のドアを開け、外の世界へと飛び出すのだった。果たしてそこには何があったのか?世界は本当に恐ろしいものへと変貌してしまったのか?そして、彼女に秘められた恐るべき〝能力〟とは?父親によって生まれた時から家に閉じ込められてきた少女の驚愕の真実を独自の手法で描いたSFドラマ。何の予備知識もなく、ただスピルバーグに見いだされた新たな才能といううたい文句に惹かれ、今回鑑賞してみました。最初こそ低予算感が漂っているし、奇を衒ったような演出が散見されるしで、ちょっとこれはどうなんだろうって思わせるものの、後半からの怒涛の展開には完全にやられちゃいましたね。いや、なかなかの掘り出し物ですよ、これ。とにかくこの考え抜かれた脚本の構成力!前半に散りばめられた数々の謎が全て、後半への伏線になっていたとは!いやー、これは是非ともネタバレせずに観て欲しい一本。それに映像的にもけっこうセンスを感じました。人の感情を操ったり時間を止めたりといった特殊能力を使うシーンやクライマックスでの軍人を遠隔操作するシーン(屈強なおっさんがママって言うとこなんて思わず笑っちゃいました)など、どれもすんごくカッコよかったです。特に、姿を消したお爺ちゃんが銃で撃たれ、その血が空中に滲み始めるシーンなんて、センス抜群で最高でした!スピルバーグに見いだされた才能というのも納得。この監督、すぐにマーブルあたりの大作映画に大抜擢されるんじゃないですかね。前半、状況説明をほとんどしてくれないところや父親があまりに横柄なところにちょっぴりイライラしちゃいましたが、僕は充分満足。将来が楽しみな新たな才能との出会いを素直に喜びたいと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2021-05-08 00:32:59)
90.  ナイチンゲール 《ネタバレ》 
イギリスによる植民地支配が本格化した時代のオーストラリア、タスマニア地方。些細な罪を犯し、この地に流刑となったアイルランド人クレアは、生まれたばかりの赤ん坊と優しい夫だけを頼りに懸命に生きていた。だが彼女の身元引受人でこの地を管轄するイギリス軍中尉によって、クレアはどん底へと追い詰められてゆく。中尉に夜毎何度もレイプされ、あろうことか酷い暴力まで受けていたのだ。そのことを知った夫は逆上し、中尉へと抗議するも逆に返り討ちに遭い、クレアは夫の目の前でレイプされてしまう。さらには夫ばかりか生まれたばかりの赤ん坊まで自らの目の前で殺されてしまうのだった――。「絶対に許さない!地の果てまで追い詰めてやる!」。絶望のどん底で、そう固く復讐を誓ったクレア。だが、中尉とその仲間たちは急用で森を抜けた街へと旅立ってしまった後だった。自分一人ではすぐに道に迷い、野垂れ死んでしまうのは明らか。仕方なく彼女は、現地のアボリジニを案内役として雇い、深く険しい森の奥へと分け入ってゆくのだが……。苦難に満ちた時代に、男たちの暴力によって人生を無茶苦茶にされたある一人の女性の復讐の旅路を描いたバイオレンス・スリラー。ナイチンゲールというタイトルとは似ても似つかぬ、非常にエグいシーン満載のなかなかハードな映画でありました。とにかく男たちの暴力シーンのえげつなさは群を抜いてます。女とみればとにかくレイプ、用が済むと無残にも殺しそこらに放置、家族が狂乱してやってきたらそれも殺し、泣いてる赤ん坊はうるさいからと壁に叩きつけて殺します。いや、さすがにやり過ぎやろ……(笑)。でも、なんだか妙に説得力があるのはこの監督の演出力の高さなのでしょうね。ストーリーはその後、極めてシンプルに進みます。家族を殺されたこの主人公が、同じく白人に家族を皆殺しにされたアボリジニの青年とともに森の中をただひたすら復讐のために歩き続ける。たったこれだけのお話なのに、最後まで緊張感をもって描き切ったところは素直に評価されるべきでしょう。何も悪いことしていないのに侵略され弾圧された、アボリジニの怒りや悲しみにも静かに目を向けるこの監督の目線の鋭さにも感嘆させられます。ただ、さすがに二時間越えは長い。もう少しコンパクトに出来たのでは。あと、最後の復讐劇も意外にあっさりしていて、そこまでカタルシスが得られなかったのもちょっと残念でした。まあそれがリアルだと言ってしまえばそうなんでしょうけど、さすがにこの中尉のやってることが鬼畜過ぎてもっと悶え苦しんで死んでほしかったですな。とは言え、この全編に漲る圧倒的な緊張感には素直にやられました。主人公を演じた女優の鬼気迫るような表情も素晴らしい。ちょっと甘めの8点!
[DVD(字幕)] 8点(2021-03-16 02:08:46)(良:1票)
91.  ザ・ピーナッツバター・ファルコン 《ネタバレ》 
ダウン症を患い、幼いころからずっと施設で暮らしてきた22歳の青年、ザック。家族にも見捨てられ、ずっと独りで生きてきた彼の主な話し相手は、昔話と愚痴だらけの老人ばかり。そんな生活に嫌気が差したザックは、長年の夢を叶えるためにパンツ一丁で脱出を図る。その夢とは、昔大人気だったプロレスラーの元を訪れて弟子となり、華々しくリングデビューを果たすことだった――。何とか脱出に成功したザックは途中、荒くれ者の漁師タイラーと出会う。仲間の漁師の獲物をネコババしていたことがばれ、地元を追われたという彼とザックは意気投合し、いつしか旅をともにすることに。かたやプロレスラーとなる夢を叶えるため、かたや新天地で自身の生活を立て直すため。社会のはみ出し者同士のそんな二人のどかなの旅路は、当初は順調に進んでゆく。だが、彼らを追う施設職員や地元の漁師たちが迫ってきて……。アメリカ南部の田舎町を舞台に、ダウン症の青年と貧しい漁師とのそんなのどかな逃避行を描いたロード・ムービー。非常にベタな内容ながら、この全編に漂う暖かな雰囲気は終始心地良く、最後まで気持ちよく観ることが出来ました。主人公をはじめ、ままならない現実に翻弄されながらもそれでも前を向いて生きていこうとする登場人物たちがみんな魅力的で大変グッド。荒くれ者の漁師の兄を巡る不幸な過去をさらりと描写する回想シーンのさりげなさも巧い。まあ確かに物語が都合よく進みすぎ、登場人物誰もが簡単に仲良くなりすぎといった欠点も大いに目に付く作品なのですが、それを補って余りある魅力がこの作品にはあります。その一つが主人公ザックの目的の人物であったプロレスラーの人。今や落ちぶれ酒浸りの中年となったこのプロレスラーが最初はそっけない態度を示すのですが、自分を信じてやって来た主人公のために昔の衣装とメイクを施し車で追ってくるシーン。なんとも微笑ましい魅力に溢れていて、僕は不覚にも涙してしまいました。うん、みんなカッコ悪くてしょーもなくてどうしようもない人生なのかも知れないけど、それでもみんな頑張って生きている。そんな当たり前のことを改めて思い出させてくれる、ヒューマン・ドラマの佳品でありました。お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2021-03-03 01:04:55)(良:1票)
92.  1917 命をかけた伝令 《ネタバレ》 
1917年、第一次世界大戦真っ只中のヨーロッパ戦線。激しい戦闘が続くこの地で、独軍によって今まさに罠に落ちようとしている仲間たちを救うため、命を懸けて戦場を駆け抜けたある無名兵士の苦難の旅路を全編ワンカットで描いた戦争ドラマ。まず驚かされるのは、やはりその驚異の撮影手法でしょう。手持ちカメラからクレーンでの空撮、そしてまた通常の固定カメラへと流れるように続く変幻自在のカメラワークには圧倒されました。明らかにカメラマンが壁を通り抜けていたり、激しく流れる川の水の中から普通に撮っていたりと、「本当にどうやって撮影したんだろう?」と月並みな感想ながら改めて感嘆させられます。そして、それにより戦場の臨場感を生々しく描き出すことに成功している。見事というしかありません。まあ内容が内容だけに物語的な深みは一切ありませんが、監督はそういった主題を扱うことをはなから放棄しているところも潔いですね。なので、細部の細かなエピソードが重要となってくるのだけど、それがどれも自然で非常に巧い。特に、一緒に旅に出た仲間が途中、墜落した敵機のパイロットを救おうとして命を落としてしまうというエピソードはなんともやり切れない。お互い普通の人間のはずなのに、背負うべき国家のためにかくも愚かになれるのか。戦争というものの不条理性を見事に炙りだしている。サム・メンデス監督作の中では今のところ僕は一番好きですね。うん、充実した映画体験をさせていただきました。8点!
[DVD(字幕)] 8点(2021-02-19 06:30:23)
93.  ミッドサマー 《ネタバレ》 
不幸な出来事により一夜にして家族全員を失ってしまった女子大生、ダニー。以来精神安定剤が手放せなくなるほど不安定な状態になった彼女は、彼氏や友達に誘われるまま、スウェーデンへと二週間のバカンスに旅立つことに。目的は、北極圏に近い地域で自給自足の生活を続けている閉鎖的なコミューンを訪れるため。長い間外部との接触を絶ち、独自の文化と風習を継承してきたそのコミューンに、ダニーたちは戸惑いながらも徐々に受け入れられてゆくのだった。だが、二日三日と過ごすうちに彼らは拭いようのない違和感を覚え始める。みな同じ民族衣装を着てみな同じような笑顔を見せる住民たち、いたるところにある立ち入り禁止区域、明らかに幻覚作用のある物質を含んだお茶……。いつまでも太陽の沈まない白夜を迎えたこの季節、コミューンでは約90年ぶりとなる祝祭が開かれるという。なしくずし的に祝祭へと参加させられるダニーたち。やがて彼らは知ることになる。このコミューンには恐るべき秘密が隠されていることを――。長編デビュー作となる前作『へレディタリー 継承』で強烈なインパクトを残してくれたアリ・アスター監督待望の新作は、そんなカルト集団たちの恐怖を独自の手法で描いたサスペンス・スリラーでした。いやー、この監督独特のもう身悶えするようなねちっこ~~~い描写は相変わらず健在でしたね。とにかくこの世界を覆う異常なまでの白さはもう見れば見るほど気が狂いそうになりますわ。どこまでも連なる山々や緑あふれる草原、木造の掘っ立て小屋に少女たちが冠る花かんむりと、普通に見ればなんとも牧歌的な世界なのになんなんでしょう、このいやーーーな感じは。「アルプスの少女ハイジ」に完全に喧嘩売ってますね(笑)。このなんとも禍々しい世界観は男性より女性の方が嵌まるんじゃないでしょうか。倒れるまで踊り続ける少女たちやクマの毛皮を着せられた彼氏など、もはやメルヘン・ホラーといった趣きです。最後、全身花で飾られた衣装を身に纏った主人公が満面の笑みで迎えるラストシーンは、あまりにも狂気染みていて鳥肌ものでした。ただ、多少長いかなってのはありましたけど。もう少しコンパクトに出来たような気がしなくもない。それでも僕は充分楽しめました。なかなか癖が強いので観る人を選ぶとは思うんですけど、この監督の作品はこれからも要注目です。
[DVD(字幕)] 8点(2021-02-18 02:14:55)(良:2票)
94.  シカゴ7裁判 《ネタバレ》 
1968年、シカゴにおいて史上類を見ない裁判が始まった。被告となったのは、生い立ちも人種も所属団体も異なり、その思想信条も全く違う7人の男たち。罪状は、民主党大会の近くで行われた平和的なデモを組織的に煽り、過激で暴力的な行動に走らせたという、いわゆる共謀煽動罪。最高で懲役10年にもなるこの罪で起訴された彼らは、本当に有罪なのか?そして本当に彼らは事前に共謀したという事実があったのか?彼らの裁判を通して炙りだされるのは、当時のアメリカが抱えていた根深い病巣だった……。本作は、そんな実際にあった裁判をモデルにしたエキサイティングな法廷劇だ。監督は、事実を基にした社会派ドラマを幾つも手掛けてきたアーロン・ソーキン。主演には、エディ・レッドメインをはじめ、ジョセフ・ゴードン・レビットやジョン・キャロル・リンチといった新旧実力派の豪華な面々。この監督の前作『モリーズ・ゲーム』にはあまりいい印象は持てなかったのですが、なかなかどうして、本作は最後まで充分見応えのある良質の法廷劇に仕上がっておりました。とにかく脚本が素晴らしい!物語の芯となるのは、あくまでシカゴ・セブンと呼ばれた彼ら(最初はここにブラック・パンサー党の黒人幹部も含んだ8人でしたが)の公判なのですが、随所に事件当時の映像を差し挟むことでメリハリがつき、最後まで非常に観やすく、かつ考えさせられるというなかなか密度の濃い内容となっております。それまでほとんど面識のなかった立場も年代も違う被告人たちが、優秀な検事や偏見に塗れた判事によって徐々に追い詰められ、次第に疑心暗鬼から仲間割れへと発展してゆく過程も非常に丁寧。後半、次々と明らかになる、新たな証拠や新事実、そして決定打となる新証人の存在などの見せ方も充分にドラマティックで最後まで全く飽きさせません。主要キャストを務めた俳優陣もそれぞれいい仕事してます。特に後半、出番は短いもののかなり重要な役回りでマイケル・キートンが登場したのは嬉しいサプライズでした。果たして真実はどうだったのか――。個人の感情や思想など簡単に握り潰そうという国家権力、そして後先考えずただ己が正義のために暴走してしまう市民団体、その双方に改めて空恐ろしいものを感じます。最後は若干、過剰なまでの大団円へと導こうとするその手法に鼻白むものはありましたが、総じて満足度は高い。なかなか完成度の高い法廷劇の逸品でありました。8点!
[DVD(字幕)] 8点(2020-12-21 08:30:27)(良:1票)
95.  ヒルビリー・エレジー 《ネタバレ》 
貧しい家庭から苦労して名門法律大学に入学した青年JD・ヴァンスは、その夜、とても緊張しながらディナーへと臨んでいた。何故ならそれが、有名な法律事務所で働くための最終面接にこぎつけられるかどうか、役員たちとの大事な顔合わせの場だったからだ。最愛の恋人からの応援もあり、順調にことを運んでいたJDだったが、急に姉から電話が掛かってくる。「お母さんがいま病院に緊急入院したの!またヘロインに手を出したみたい」――。苦渋の思いでその場を辞したJDは、すぐさま故郷のニュージャージーへと車を走らせる。そんな彼の脳裏に甦ってくるのは、自由奔放で問題ばかりだった母親と過ごした幼き日の辛い過去だった……。実話を基に、問題だらけの母親に虐待に近い扱いを受けてきた青年の苦難の日々を描いたヒューマン・ドラマ。監督を務めるのは、エンタメ映画職人ロン・ハワード。最近何かとよく目にする、いわゆる〝毒親〟映画なのですが、彼の手にかかるとこの重いテーマのお話が最後まで非常に観やすいエンタメ・ドラマとなるのですから見事というしかありません。現代と過去を行きつ戻りつし、しかも三世代にわたる家族の相関関係もけっこう複雑なのに、全てが分かりやすく整理され、最後まで興味深く観ることが出来ました。何より素晴らしいのは、典型的な毒親を演じたエイミー・アダムス!男と薬物にだらしなく、様々な問題を起こしては仕事をクビになり、都合が悪くなると全て人のせい、何かというと子供に手をあげるという、もう見れば見るほど反吐が出そうになるダメ母親を見事に演じ切っておりました。でも、この主人公にとっては、世界でたった一人の自分の母親。何度も警察沙汰になりながらも最後は結局、許してしまうというのがなんとも切ない。当然この長男はぐれて悪い仲間と付き合い始めるわけですが、そんな彼を何としてでも立ち直らせようとする優しい祖母の存在が唯一の救いでした。彼女を演じるベテラン女優グレン・クローズもいい仕事してます。最後はちょっとキレイごとに纏めすぎた感もありますが、自分にとって切っても切れない親というものの存在を改めて考えさせられる愛憎劇の秀作でありました。同じく毒親をテーマにした最近の映画に『ガラスの城の約束』というのがあり、こちらではウディ・ハレルソンとナオミ・ワッツがクズ親夫婦を見事に演じていたのでそちらもお薦めです。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-12-09 04:31:04)(良:1票)
96.  日の名残り 《ネタバレ》 
第一次大戦後から第二次世界大戦にかけての激動の時代を、英国上流階級の貴族に仕えるある執事の視点から描いたヒューマン・ドラマ。原作は、今や世界的な大作家となった日系英国人カズオ・イシグロ。主演を務めるのは、もうこれ以上ないくらいのまさに嵌まり役というしかない名優アンソニー・ホプキンス。もちろん本作のことはずっと前から知っていたのですが、以前読んだ原作があまりに素晴らしかったので、そのイメージが壊されるんじゃないかとの懸念が拭えず、ずっと未鑑賞のままでした(だって『わたしを離さないで』という前例があるしね)。でも、ネット配信サービスのラインナップの中に本作のタイトルがあったので、満を持して今回鑑賞してみました。率直な感想を述べさせてもらうと、いや、なかなか良かったんじゃないでしょうか。原作では、このスティーブンスという堅物の執事の「私」という一人称で話が進んでいくのだけど、もちろんこの執事は仕事一筋の超真面目人間なのでそこに一切個人的な感情は書かれていません。でも、読者は彼の同僚である女性への秘めたる想いをひしひしと感じとることが出来て、その切なさに誰もが胸打たれずにはいられないというまさに名作と呼ぶにふさわしい作品でした。映画では逆に、この主人公のモノローグを一切使わなかったのは英断だったと思います。それでもちゃんとこのスティーブンスの仕事第一主義に徹するあまり、自らの感情を二の次にしてきたことの後悔や孤独感をちゃんと感じ取れたのは凄いことですね。特に、この主人公と密かに想いを寄せるヒロインが暗い部屋の中でぐっと近づくシーンは出色の名シーンでした。「もしあの時、ほんのちょっと勇気を出して彼女にキスしていれば僕の人生は違ってたかもなぁ」なんて、誰もがふと思い出すような青臭い感情をビシバシ突いてきて、もう切ないのなんの(笑)。んでも確かに、この彼女が結婚を機に仕事を辞めることを決断した夜、思わず部屋で泣いてしまった彼女の元へとスティーブンスが入ってゆくというのはやり過ぎですね。ここは原作通り、スティーブンスが部屋のドアの前で彼女の泣き声を聞いたのにそれでも声を掛けられなかったとした方がより、後のこの主人公の悔恨がくっきりと際立ったと思うんですけどね。とはいえ、歴史の巨大なうねりの中でちっぽけに埋もれてゆく個人の感情という何処か日本的な〝もののあはれ〟もしっかりと描かれていたし、なかなか良い映画化作品だったんじゃないでしょうか。教訓。キスしなかったことを後悔するより、キスして後悔した方が絶対いい!
[インターネット(字幕)] 8点(2020-11-14 01:17:20)
97.  TENET テネット 《ネタバレ》 
時間と空間の魔術師、クリストファー・ノーラン監督の最新作を観てきました!!正直、内容の方はほとんど理解できなかったけど、「なんか凄い映画を観てしまった!!」感はビシバシ伝わりました!!その全体的な密度の濃さには素直に圧倒されたので、取り敢えず今は8点!レンタルされたもう一度見て、内容を確認してみます~。それで10点になるか6点になるか、どちらもあり得るのがまた凄い…。
[映画館(字幕)] 8点(2020-10-17 22:30:21)
98.  黒い司法 0%からの奇跡
1990年代、警察の杜撰な捜査によって死刑判決を受けた黒人男性の冤罪を晴らすため、執念の活動を続けた若手弁護士を実話を基に描いた法廷劇。監督は、生き辛さを抱えた社会的マイノリティを優しい視線でもって見つめ続ける新鋭デスティン・ダニエル・クレットン。まあ観る前からおおよそ予想はついてましたが、開始10分で「あぁ、またこの感じの内容かー」とその既視感満載なお話に少々げんなり。具体的に述べさせてもらうと、①舞台はまだ黒人への偏見が色濃く残るアメリカ南部で、②警察の杜撰な捜査で冤罪判決を受けた黒人男性のために、③都会のエリート大学を卒業した理想に燃える若手弁護士が、④白人たちの執拗な嫌がらせにも屈せず、⑤無罪を勝ち取るために頑張るというお話。過去に何度も何度も制作されてきたこのパターンをどのような角度で映画化するかがその監督の腕の見せ所だろうけど、本作は真っ向勝負の直球ストレートで挑んでおります。でも、ちゃんと見事に勝利しておりました。ベタベタなお話で結末だっておおよそ予測がつくものなのに、最後まで観客をぐいぐい引き込むこの監督の演出力の高さは相当なもの。なにより特徴的なのは、物語の中盤で死刑囚の執行シーンをかなり詳細に描いているところですね。このシーンのおかげで物語がぐっと引き締まり、最後まで全く気が抜けません。偏見に満ちた白人たちの嫌らしさもしっかりと描いており、特に悪役である検事の如何にも俗物なところもなかなか巧い。唯一惜しいのは、ブリー・ラーソン演じる助手がいまいち活用できていなかったことくらい。総じてこの監督の才能は確かなものだと思います。最初にげんなりしたとか言ってごめんちゃい(笑)。ラスト、エンドロールの合間にさらりと説明されたところによると、主人公の隣にいた死刑囚もまた冤罪で後に無罪となって釈放されたとのこと。ここで話を戻すと、最初に何度も観たようなお話だと書きましたが、そのほとんどは実話を基にしたものだったということを忘れてはなりません。つまり、このような無実の罪で投獄された黒人がいかに多いかということです。アメリカの司法制度がどれだけいいかげんなものだったかが分かり、なんとも空恐ろしい気分になります。エンタメ映画として充分な面白さを有しながら、そんな社会問題についても深く考えさせられる、なかなか完成度の高い秀作でありました。8点!
[DVD(字幕)] 8点(2020-10-01 01:34:41)
99.  スケアリーストーリーズ 怖い本 《ネタバレ》 
ホラー好きで学校でも少し浮いた存在であるティーンエイジャー、ステラ。ハロウィンの夜、同じくクラスのはみ出し者の男の子たちと街へと繰り出した彼女は、何かと噂の絶えない町外れの廃墟へとやって来る。そこはおおよそ100年前、家族から監禁された末に自殺した女の子サラが、何人もの子供たちに自作の物語を聴かせた挙句残虐な方法で殺したという恐ろしい言い伝えが残っているのだ。鍵を外し、興味本位で中へと侵入した彼女たちは、そのサラが監禁されていたという秘密の地下室を発見する。そして、そこでサラが殺した子供たちの血で書いたと思しき本を見つけるのだった。ホラー好きのステラは、思わずその本を家へと持ち帰ってしまう。だが、彼女は知らなかった。そこにはいまだ恐ろしい物語が書き継がれていて、そこでつぐまれた物語は現実になってしまうことを――。全米であまりの恐ろしさから図書館へと置くことに論議が巻き起こったという児童書を映画化した本作、制作を務めるのがあのギレルモ・デル・トロと言うことで今回鑑賞してみました。しかも監督は前回、『ジェーン・ドゥの解剖』と言うフェティッシュ・ホラーの快作を撮ったアンドレ・ウーヴレダル。この二人がタッグを組んだというなら、もう観ないわけにはいきますまい。とにかく特徴的なのは、ホラー描写の禍々しさに容赦のないところ。日本的なじわじわ来る怖さとは正反対の、もういちいち人の生理的な部分を逆撫でする描写のてんこ盛り。最初に出てくるかかしのお化けの顔に毎回ゴキブリが這いずり回っていたり、仲間の男の子が食べたシチューの具に人間の足の指が入っていたり、可愛い女の子のニキビから大量の蜘蛛が飛び出してきたり……。いったいどうやったらこんな嫌なエピソードばかり思いつけるんですかね(笑)。極めつけは、廊下の向こうからゆっくりとやって来る太った女のお化け。もうこいつの気持ち悪ーい外見なんて夢に出てきそうなほどです。うん、確かにこれは子供が観たらトラウマになりますわ。肝心のストーリーの方も無駄を削ぎ落したシンプルなもので、最後まで小気味よく観られて大変グッド。ベトナム戦争や移民への偏見と言う社会問題へとさらりと目を向ける視点の幅広さもポイント高いです。主人公が最後に迷い込むことになる、サラが住んでいた洋館のおどろおどろしい雰囲気や彼女の悲劇的な最期なんていかにもデル・トロ的ですね。いやー、なかなか面白かった。やんちゃ盛りのお子ちゃまへの教育用ビデオとしても最適です(笑)。
[DVD(字幕)] 8点(2020-08-27 19:16:17)
100.  ベン・イズ・バック 《ネタバレ》 
クリスマスイブを迎えたその日、幼い子供たちとともに楽しい祭日を祝っていたバーンズ一家。だが、そんな順風満帆な家族の元に何の前触れもなく長男ベンが帰ってくる。母親であるホリーは満面の笑顔で彼を迎え入れるのだが、ベンの妹であるアイヴィーや義理の父親はあからさまな拒絶反応を示すのだった。何故なら彼はかつて、医者に処方された鎮痛剤のせいで依存症となり、クスリ欲しさに売人となって家族に散々迷惑をかけたから――。「今まですまなかった。でも、俺はもうすっかり真人間になったんだ」。そんなベンの言葉とホリーの説得もあり、家族は渋々一日だけならと彼を受け入れることに。だが、過去の酷い行いは彼を簡単には許してくれない。外出から帰ってきた家族は、家の中が滅茶苦茶に荒らされ、しかも愛犬が居なくなってしまったことを知る。哀しみに沈む家族のため、ベンは母親とともに家を飛び出すのだった。彼のせいで依存症となり命を落としてしまった娘の両親、彼にクスリを横流ししていた教師、そして売人時代の危険な仲間たち。犬を連れ去ったのは、果たして誰なのか?ベンは家族のために自らの過去と向き合おうとするのだが…。かつて些細なきっかけで麻薬中毒となった長男と彼を献身的に支えようともがく母親との特別な一日を描いたヒューマン・ドラマ。ジュリア・ロバーツがそんな母親役を熱演しているということで今回鑑賞してみたのですが、いやはや、これがよく出来た脚本の力が光る佳品に仕上がっておりました。本当にたった一日の出来事しか描かれていないのですが、それでもここにはこの母子の良い時も悪い時も含めた濃密な時間がちゃんと存在している。安易に回想シーンに逃げることも出来ただろうに敢えてそうしなかったのには、監督の覚悟を感じる。きっと過去に何度も裏切られ、そして酷く傷つけあったこともあったのだろう。それでも息子を必死で信じようとする母親の深い愛情に、僕は終始心を揺さぶられっぱなしでした。物語の後半、母子は連れ去られた愛犬の行方を捜して街を奔走するのですが、ここら辺のサスペンスの描き方も巧い。居なくなった息子の行き先を知るために、麻薬中毒のホームレスに敢えて麻薬を渡すシーンは、この問題の根深さを炙りだすことに成功している。そして、タイトルの二重の意味を浮かび上がらせる秀逸なラスト。哀切極まりないメッセージに、僕は思わず涙してしまいました。お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2020-08-18 02:09:07)
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